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人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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……悪さとかしないなら、まあ。

[生霊に許可を出すってのも変な気分だが。
 メリィに額を擦り付けるのを見ていると、コミカルな動きになんとなくふくふくと笑いがこみ上げてきた。
 嫉妬心からくるものとは知らず――というより、それを察するような思考力が弱まって――口元が緩む。]

エビ食っていい?

[手を伸ばす。
 鮮やかな色を見てからそわそわしていた。
 エビの淡白な旨味にアヒージョのオイル、白ワインには最高だ。]

ふふ、そーだねえ。
これから何にでもなれる状態――とも、言えるけど。
俺にはね、もっと綺麗なものに見える。
難しいんだけど……いろんな色に馴染みながら、でも芯は麦のままっていうかな。

光、みたいな。うん、光だな。

[うんうん。ひとり勝手に納得。
 サーモンの様子見にいこう。]

ん、いけそー。
ルイベもいーけど、重なったスモークサーモンは塊の板だし。

食べやすくして食べよ。

[後ろに人の気配。
 重なった身体に、無意識にするりとすり寄る。
 長い髪が麦の頬を掠めた。]

いや? 火通したスモークサーモン、それはそれでうまいけど……アヒージョに入れたら味濃いかなー。
卵の方がいーかも。

[ゆで卵の準備が始まるなら、カウンターキッチンの下にしまいこんでいる椅子を引き出す。
 ついでにグラスとボトルも持ってこよう。
 キッチンドランカーはカウンターで飲む気満々だ*]

[下腹をなぞる手に、息を呑む。
内から押し上げる彼の形がより鮮明に感じられて
恥ずかしい以上に、なんだか。]

  
ン、 っあ……蓮司も、きもちい…?


[下腹を押される度にびくんっと体が震え。
気持ちいい場所を、外と中から挟むように刺激されながら
落とされる口付けに、上がる熱に、くらくらと視界が歪む。

体に彼の形が馴染んでいく。
与えられるやさしい刺激に小さく喘ぎながら
ひとつに繋がってるという実感が、何よりも気持ちいい。]


  ん。痛くは、ないから…… ぁ、あっ

[浮いた下半身に、ゆるやかに始まる律動。
体内から響く濡れた音に、耳を塞ぎたくなりながら
やさしく気持ちいい所ばかり繰り返し刺激されて
徐々に体が作り変えられていく気がする。

彼に大切にされてることを全身で感じながら、
ゆらゆらと凪いだ波間を漂うような幸せに浸っていたら。]



  ……ゃ、
  いつもより、なんか ……ぁっ、ああ!


[荒々しくなっていく動きに
目尻に溜まり続けていた熱がぽろりと溢れた。

乱れる呼吸に、上下する胸の頂きを刺激されれば
体を走り抜ける電流のような快感に、背中を喉を逸らして。
追いつかない思考を置き去りに、体が跳ねる。

重なった唇から伝わる余裕のない荒い呼吸を
混ざる唾液と一緒に飲みこんで。]

  
ぁ、れん……、 れんじ、


[名前を呼んで、と。
はじめて肌を重ねた日にねだられたそれを、
強烈な快感に半ば飛びそうになる意識の中、繰り返す。]

[高められ過ぎた性感に、遠ざかる理性。

ただ激しく求められるのが嬉しくて、もっと、とねだり
快感に震える指先で、汗で滑る彼の腕を必死に掴んだ。
ぽろぽろと零れる涙でシーツに染みを増やしながら
研ぎ澄まされ昇りつめていく感覚に、狂いそうでこわいけど
彼に愛されていると思えばもっと欲しくて、たまらなくて。]

  
すき、……だいすき

  
ッ ぁ……あ、もっとほし……


[閉じ込められた腕の中、強く抱き締められ
求められる口付けに、満たされる心地を覚えながら。
荒ぶる波間へ絡み合ったまま、深く深く溺れて。]




  ────…… っ

[幾度目かわからない絶頂を迎えた瞬間、
ふ、と意識が深い海へと沈んでいった。*]

[情事の後の支度は妙に気恥ずかしくて気まずい。
掛けられる声に気配りを感じて、ほっと息を着いて、はい、と応えながら。
こういう些細な部分が、安堵を覚えてしまってより惹かれていくのだというのを彼は知らない。

彼にとっては自然な振る舞いなのかもしれないけれど、そんな動作一つ一つに「大切にされている」と実感してしまうから。
真夏に降る雪のように、深々と静かに「好き」と言う感情が心内に募っていく。]

[着替えを終えて、両の袖を手に取って袖を広げながらお披露目をすれば、シンプルな褒め言葉に仄かに目元を朱に散らした。]

 
 ……ありがとうございます。
 基依さんも、格好いいですよ。


[照れくささに褒め言葉に褒め言葉を返す。
彼は私のことをいつも「可愛い」と言ってくれるけれど、「綺麗」だと言われたのは初めてな気がする。
そのことにもじもじしてしまって、どうにも顔が見れなくなって目を伏せた。
彼の手を取って「外、行きましょう?」と話題を逸らしたつもりで。]

 着物は支度が大変ですからね。
 普段から着てる人って尊敬します。

 ……でも、そうだなぁ。
 お正月の初詣とかなら、着てみてもいいかも。

[着物は背筋が伸びるし、胸が小さい方が綺麗に着れると聞いたことがある。恰幅のいい人のほうが似合うから、私の場合は多少タオルなどを詰め込んで着ないと様にならないかもしれないけれど。
彼が見てみたいというのなら、冬には実家から振り袖を出すことも視野に入れて。

借りた巾着にはハンカチとティッシュ。お財布とスマホを詰め込んで。
ぱたぱたと戸口へと向かう。

下駄を構える彼に気づいたら、う、とたじろいだ。
未だ慣れない過保護な扱いに、少し困りながらも抗えなくて、しゃがんだ彼の肩に手を添えて、素足を晒す。]




 ……基依さんって。
 私を甘やかすのが上手過ぎません……?


[恥ずかしさを隠すように、そんな恨み言めいたことを口にして、ジト目で彼を見つめてしまった。*]

ひかり。
そう、そうですか。光。
じゃあ俺と同じだ。


[貴方に見た色と。

─ ─ あなたはわたしの光。

そうして白ワインのグラスは空になった]

食べやすくしよ。スモォクサーモンにオリーブ巻いて食べよ。


[ケッパーの代用として十分すぎるくらい。
髪の毛の先が頬をくすぐって、笑い声を立てる。]


じゃあ、卵にしましょうね。
卵サラダのパイ……ん、色々あるけど、カレー粉みたいなのちょっとかけるといいかなー。


[さっきカレーの話をしたから。
グラスとボトルがお引越しされてくる間に卵を2つ、出してきて。お尻のところに小さくヒビを入れた。]

わあ、これ、楽しい。
出来立てのつまみ食いが一番美味しいですもんね。


[テーブルじゃなくて、カウンターキッチンで飲むお酒。
ボトルの下でグラスを構え。
同じ椅子に座ろうとしたけどお尻がはみ出す。きゅるきゅる笑って、沸いたお湯の鍋に卵をそうっと優しく入浴させた。]

[スモークサーモンのパックが開く。
お皿に移す?そんなこと考える前に手を出した。
摘んで引っ張ったら半分くらいで千切れちゃったけれど。]


ん、ま。
乾杯。んまぁ。


[仄かにスモーキーな潮の香り。
ねっとりした舌触りで美味しい脂が広がって、そこに白ワインが最高の最高。*]

 お、おぅ……ありがと。


[良い歳こいた男女が二人、それも先程まで露天風呂でまぐわっていたのに、今更互いを褒める言葉ひとつで照れてもじもじしている。
傍から見たら「何だこいつら」という感じだから、二人しかこの場にいなくて助かった。

そっと手を取られる。
どうにも次の行動に移らないと羞恥が勝ちすぎる。]


 見てる分には「華やかで良いな〜」くらいだけど。
 小物もいっぱいあるし、時間はかかるしって聞いたことあるな。
 着物で来てるお客さんみんなそんな大変な思いして着てると思うとすごいわ。

[最近は補正もタオルをポケットに入れるだけのベストのようなものがあったり、自装用に帯を前で結んで後ろに回すだけの帯板があったりと便利なグッズも発売されているのだが、それを卯田が知るのはもう少し先の話になるだろう。

今は、初詣に着てくれると言う彼女の振り袖姿を想像して、にやついてしまう呑気さだ。]


 ……?
 紫亜が甘え上手なんだと思うけどな?
 甘えるとこと、自分でするとこと、結構はっきりしてどっちの比重も重すぎないの、絶妙だと思う。


[と、卯田目線では思ってしまう。
女性は浴衣を着てしゃがむのは大変だろうし、素足で履く下駄は慣れなければ指を入れるのも難しいだろう。
自分の手助けで、彼女が困ることがひとつ減るなら、それは甘やかしではない、と思うのだが。
どうにも過保護が染みついている身では本当にそうなのかは自信がない。]


 紫亜は爪先まで可愛いよ。


[鼻緒を指の間に押し込んで離す間際に、ちゅ、と音を立ててくちづけた。]

――温泉街――

 な〜腹減ったから先に何か食って良いか?
 夕飯がっつり旅館で出るから、昼は麺かなって思うけど。


[昼の麺イメージは、SASANKAのランチがパスタ中心というのから来ているのかもしれない。

そうめん、そば、うどんの3択で彼女が選んだ店に入ろうと店先の食品サンプルを眺めた。
麺の店とはいえ丼ものもあるようなので、彼女が麺の気分でなくとも何かしら注文はできるだろう。*]

[彼女が俺の名前を呼んでくれる事が。
求めてくれる事が。嬉しくて。


『気持ち良いよ。』
『俺も好きだよ。』


一つ一つ。丁寧に拾って答えて行ったけれど。
次第にそんな余裕もなくなって……
乞われるままに、欲望のままに、彼女を求めた。]

[彼女をキツク抱き締めて、身の内で熱い精を解き放つ。
抱き締めた身体からくたりと力が抜け。
腕に重さがかかった。
荒い息を吐きながら、彼女の顔を覗き込めば、閉じた瞼。
ゆったりとベッドに横たえて、汗に濡れた前髪を梳いて流す。]


ごめんね。ありがとう。



[額に口付けて、気を失った顔を見詰める。
吐息が零れて、力の無い手を取ると、額をつけた。]


愛してる。嵐。


[彼女には、聞こえて居ないと思うけれど。]

[身体を離して、ゴムを結んで捨てると、床に落とした服の中から下着だけを履いて立ち上がる。
水を一杯飲んで、風呂の支度だけしたら、もう一度彼女の元に戻った。]


…………。


[シフトは夜からだと言っていたから。
もう少し眠っていても大丈夫なはずだ。
何も言わずに、ベッドに腰掛けて髪を梳く。
飽きることなく彼女を見詰めて。
目を覚ました時、最初に目に入るのが、俺だと良い。
そんなことを思いながら、身動ぎする嵐に、目を細めた。]

[彼女が目を覚ましたら今度こそ……]


おはよう。


[そう、微笑んで。]


立てる?
風呂を沸かしてあるから……
一緒に行こう?


[無理をさせた自覚はあるから。
共に入らないとしても、風呂までは腕を貸そう。
ふらつくようなら、共に入ろうと言うけれど。

床の上には、服や下着が投げ捨てられたまま。
請われれば拾って渡すけれど。
風呂に入れば脱ぐのに、何故着る必要があるんだろう?
そう思いつつ俺も、指示をされれば大人しく服を着た。]


 自分で着付けるとなると、慣れていないと結構大変なんです。
 出先で着崩れた時も、自分で直さないといけないし。

 着こなせる人は素敵ですよね。

[私だって一通り習いはしたけれど、普段着ていないと着付けの順番すら忘れてしまう。小物を手にする順番すら怪しい。
どちらにしろ冬までにお浚いすることは計画として頭の中に入れておく。

……もし、着物を脱ぐことになっても、着付けられるように。
と、そこまで考えてぶんぶんと首を振った。違う。そうじゃない。

ひとまずは目先の浴衣デートに浮かれておくことにしよう。]


 ……そうなんですか?


[絶妙と言われても。
褒められているのだろうと思うけど自覚はない。
寧ろ甘えてばかり居る気がするから、口に出たものなのに。

でも、肯定的だということは少なくとも嫌がられてはいないということで。
そのことに密やかに安堵の息を洩らしながら。
足元に掛かる彼の後頭部を見つめて、大人しく下駄に指を通した。
指先は手持ち無沙汰に髪の彼を弄んで。

離れ際に、キスを落とされたなら、]


 ……ひゃ、


[ぴくんと身体を揺らして、また頬が赤く染まった。]

―― 温泉街にて ――

[温泉街を手を繋いで歩く。
見慣れない土地で、普段見慣れない格好をして歩く街は新鮮だった。
慣れない下駄は歩幅をゆっくりとさせる。

隣を見上げて、「してみたかったんです、浴衣デート」と本音を隠しきれずににこにこと笑って告げたなら、笑われてしまっただろうか。

時刻はとうに昼下がり。話題は自然とお昼ご飯の話へと移る。]

 はい、いいですよ。
 麺類だったら……、私、お蕎麦が食べたいです。
 山菜そばとか、ありますかね?

[通りがかりの店舗で立ち止まり、サンプルが並んだガラスを覗く。
丼ものやうどんが並んだ一角に、山菜の水煮ととろろが添えられたお蕎麦を見つけて、指で指し示す。
そうして彼のお目当てが決まるのを待ってから、暖簾をくぐった。*]

[初詣ともなると、半年以上は先の話だ。
二人ともその時に一緒に居ることを信じて疑わず、当たり前のように共に行く前提で話せるのが嬉しい。
自分が「見たい」と言ったから、きっと彼女はそれまでに練習してくれる筈。

……途中で脱がしてももう一度自分で着られるように。]

[卯田としては勿論もっと甘えてくれても良いし、もっと色々してあげたい気持ちはあるけれど。
そのやりとりに罪悪感や負担が生じたら、関係が変わってしまいそうな恐れはある。
自分はつい行き過ぎてしまいがちだから、紫亜がストップをきちんと言える子なのをとてもありがたいと思っている。]

 ……感じた?

[真面目な話はまたする機会があるだろう。
今は、デートを前にして浮かれるばかり。

爪先のリップ音に上がる小さな声にクスリと笑って。]