202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】
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| [翌朝。 結局二人してこたつで一夜を過ごしてしまったか。といっても色気のあるものはない。]
おはよう、ペルラさん。 ごはんもう少しでできるけど、飲み物は何がいい?
[そう聞いて用意したのは先日作ったローストビーフに玉ねぎにトマトとレタスとチーズを挟んだローストビーフサンド。 特に要望もなければホットカフェオレを選んだか]
そういえば、海に興味があるようだったけど、映像で見ることができるんだけど、見てみる?
[こういうの。と、海、とか映像。とかで出てきた動画を開いてペルラの前に置いてみる。
昨夜色々と互いのことを話していたときのことだ。 自分や珠月の写真を見せたり、隣に住んでいて窓を超えて部屋に入ってきていた。とかそういうことも話したり、そのままお互いの世界や文化のことも話しはした。 どうやらあちらの世界には海というのは存在を目にする機会はなく書物で知るのみらしい。良い気分転換になるだろうというのと、口にはしないが彼女も帰るものだと思っている雅空は良い土産話にもなるだろうという気持ちもあるのであった*] (39) 2023/03/07(Tue) 23:51:38 |
[そういう学ぶ施設があるのか。
文字を教わったりするのは自分たちはお年寄りの仕事だったな。などといいつつ]
いんや、同世代ってだけで誰かという特定はしなかったぞ。
[好きな子といわれたときに一瞬だけ眉が寄ったが、すぐに切り替えてその時のことをいう。性差とか意識している頃でもなかったので、練習だったしなーと軽くこちらもいいつつ、次にいく島での憂慮すべきところを聞いてみたが]
いや、脱がなくていいし、俺も脱がんよ。
ってかまたもなにもあの時は水浴びしてたんだから脱いでて当然だろう。
それに泳げるけど荷物持ちながら泳げるほど上手くねーしな。
[あくまで泳いでの移動ならばというだけでそうじゃない人間はそこで住む人間も服を着てるのである。
――と、ミツキが慌てているとこが根本的にはずれているアスルであったが]
他所の文化に対して文句とかいったり騒ぎにならないならいいんだが、一応な。
丘の上に発着所があるし、風景もそこから見えるから大変だったらそこで待っていてもいいぞ。宿泊もどこか小島に泊ればいいだけだし、無理する必要はないからな。
[目を逸らして歩くのは歩くのは大変そうだし、やらなければならないことじゃないからな。というのであった*]
ミツキ、そろそろ着くぞ
[そうやって喋っているうちに太陽の位置も変わっている。時間も結構経ったのだろう。
開けた視界にはぼやける大きい陰のようなものが徐々にくっきりとしてくる。
目立つのはやはり島の中央にある一際高い山だろう。そこから四方に降り注ぐ滝の水により島の半分以上の面積をもつ巨大な湖を作っており遠目に見ても色合いとして水色が多く、島からは更にその外へと水を垂らすようになっている。
そんな湖の上に丸太を繋いで水上都市として機能させており、湖の外周部には畑や牧場があり、発着所といっていた丘もその近くにあった。
と、風景を楽しむように島へと近づいた後はスピードを落とし、緩く周りを見れるように巡航をしてみせながら高度は徐々に下がり発着所のほうへと向かう。]
そろそろ背中にしがみついてくれ。降りるからな。
[そうして背中にしがみつくように促すとハンドルごと体を傾けて、スピードと高度を落としながら旋回すること数周。
身体を傾ける角度が真っ直ぐに戻ったころ]
着地するぞ。手摺につかまれ。
[ミツキへと促して、慣性だけで動いていた飛行機は着地の時だけ身体を揺らす衝撃を出しながらも、無事に動きを止めるのであった。
なお、指示したときの動きが鈍かったら、事前にいっていたように抱き寄せられることになったが、ミツキはどうだっただろうか**]
[そうやって身を寄せた時、深江が促すように顔を近づけた。そういやそうだ、と鼻先でつつくように唇に触れると、自然に口が開く。長くざらついた舌が深江の口内に入り込み、気を唾液や舌や息ごと絡め取るようにして喰らっていった。
効率で語るなら血肉を喰らうのが最も早く保ちがいい。時間を気にしないなら何時間もかけて体を寄せてじっくり気を奪えば良い。だがこれはそのどちらにもあたらない方法だ。
深江に痛みの負担もなく、傍でちまちま奪うよりも早い。合理的な手段である――多分、最初はそういう感じだったはず。
“人”に慣れた今となっては、これがどういう意図のものか理解しているし、食事と異なる意味で交わすこともあるが……まあ、今は飯だ、今は。
明日もあるからと奪いすぎないように、あくまで一食の範囲で気を吸って]
ごっそさん。
[二人分の口元をべろりと舐め、ふすと鼻を慣らして深江の首筋に顔を擦り付ける。片足を引っ掛けてこちらに倒れ込ませ、丸まる体の中にしまいこんだ。
先の白い尾で包み込みながら、ごろりと転がる顔を覗く]
ん?
……血出とるんか。どこぞ引っ掛けたか?
[鼻を鳴らしたのは薄い鉄の匂いを感じてのこと。少々低くなった鼻をすんと鳴らして元を辿ると、親指の腹が僅かに裂けている。傷は浅いが、元からそうなのか、治りつつあるからかは一目見ただけでは判別がつかない。
これが自分の寝相と関係があるとは露知らず、不思議そうにしながらも傷跡を舐めた。文字通り舐めれば治る傷だ。朝ごはんのつまみぐい程度のもので、心配には値しない。
そして近づきがてら、唇も舐める。ふ、と口を緩ませて触れ合わせただけの他愛ない挨拶だ]
| そういう言葉は俺には何より嬉しいね。 つくりかたはーって言えたらいいんだけど…調味料がないと厳しいからなぁ。 [今日もよい食べっぷりをみせてくれるペルラさん >>40へと伝えつつ、でも限られたもので作られている料理というのには興味がある。 食感、硬さとかはどれぐらいだった?とかリンゴと蜂蜜のパンの話を聞きながら、うーんと聞きつつ、でも一緒に語られるペルラさんの思い出には微笑ましく思いつつ] あ、カスタードなら作れるかも。 [聞いてたかぎり作れるんじゃないかな。と、その調理方法なんかも説明したり、ついでにこちらはこちらで、カスタードを使ったクレープやミニカステラというお菓子が小さい頃珠月はよく食べていて、と、こちらはこちらでも思い出話を重ねていく] (50) 2023/03/08(Wed) 1:50:39 |
| これはね、誰かが撮影―――見てきた光景をそのまま保存できる機械があって、それをこうして披露してくれているんだ。 [海の中というのはやはりペルラさん >>41には未知だったのだろう。] 一緒だけれども、海のほうは塩水といってしょっぱいものだよ。 海、というか水そのものは透明なんだけど、太陽の光が海の中を通ると青色だけが奥まで通っていって反射してってあるけど、光の青色の部分だけが残ってるって思ってくれればいいかな。だからそうやって青く見えるんだ。 って、質問早い早い。一つ一ついくから [動画はここを押せばストップできるのだ。とかいうのを出したりしつつ、わかるものは解説をわからないものは…コメント欄にあったのを参照したりとしていって出来る限り質問に答えていく] (51) 2023/03/08(Wed) 1:50:59 |
| [と、画面をみながら説明していって不意の質問。 こうして近くから覗き込まれると…頬に熱がたまらない努力が必要になる]
身に着けてて、珠月が大切にしていたもの……っていったら心当たりはある……よ
[悪戯猫のように目を細めるのも、色々と心臓に悪い。 失礼にならないように、そしてその大切なものをとるためというように身体を引いて、上着ポケットに手をいれて、ハンカチの中に包まれていたものを差し出す]
…このイヤリングかな。 直接聞いたわけじゃないけども、よく身に着けてたからさ。
[シルバーの土台に青い石が一粒ついたシンプルな銀に青の光るピアスを見せてみて、どうかな?と首を傾げた] (52) 2023/03/08(Wed) 1:51:23 |
| [そして自分なりに思いついたことをもう一つ]
そういえばなんだけど、ペルラさん、ここの湖は変わってる。とかいっていたよな。 だから調べてみたら何かわかるかな。って思ってるんだけど、俺だけじゃわからないだろうからよければ一緒にきてくれないかな?
今みた動画みたいな感じで潜ろうかって思うんだけど……どうかな。
[ペルラさんの体調もあるけれども、どうだろうか?と誘うのであった**] (53) 2023/03/08(Wed) 1:52:08 |
[昨日の夜もしたかったと告げたら不思議そうな顔をされて、思わず頬に添えていた手で抓りそうになってしまった。
オレも健全な男子なので?
好きな子に抱きつかれて同じ布団で一晩過ごすとか、そりゃあそういう欲求は湧くというもので。
泣きじゃくってるとこにそんなことは出来なかったのもあるし、告白もしてないからという諸々の事情があったからというだけだ。
美術館の夢から還ってきた日の夜、病室のベッドで最後までは出来なかったけど、許される状況ならしていただろうことを考えれば経過時間的には似たようなものだと思う。
柚樹はその辺の認識が甘いから警戒心……といつも心配になる。
それとは別かもしれないが、何だか以前のような“女として私なんか“的な状態に戻っていることに、モヤモヤしたような気持ちを抱いていたことを察せられていたとは此方は此方で気づかないまま。
求められて繋がった後には、そういった機微にも頓着出来ない状態にはなってしまっていた。
溢れている涙の理由の全ては理解出来なくても、過ぎた快感を拾っていることが要因のひとつであることは見てとれたし、柚樹がそんな風になるのはここ最近のことではあったから。
巻き戻っているような様子のことは一旦どこかへと行っていたのもあるかもしれない。
柚樹の心が身体に追いつかないみたいな状態は、前にも一度あったから、それならあの時みたいに怖くなくなるまで抱けばいいのかなって。]
……っ、ふ……、声、だしてもいいのに、
[押し殺しているような声に、そう溢しはしても、出してと言われてなかなか出せるものでもなかったかもしれない。
何かを堪えている様子で漏れ聞こえてくる吐息も、胎内の拍動と合わせてよく知るものだったし、興奮を煽られるものには変わりはないのだけど。]
く……ッ、ぅ……、
あんま、締められると、すぐイきそう、だから……、
[これも言われたところでどうしようもないのはわかりつつ、一度目は大体早々に達することが目には見えていても、少しでも長くこの快感の中に溺れていたいと思ってしまって。
それに、柚樹のえろいとこもいっぱい見たいし、なんて。]
[“すき“と言い募られるのも、呼ばれる愛称にも昂りが増すばかりでは、限界がくるのは早そうだった。
雄を搾るように蠕動を始めた内壁から逃れるように中を擦り上げ、擦り下ろしても受ける刺激が加速するだけだというのに、快感を追っているのか堪えようとしているのかもわからなくなってくる。
せめて柚樹がイけてからとは僅かに残った冷静な部分でなんとかもっているようなものだったから。
中の挙動からそれも近いとは感じていたのだけれど。
“刻んで“と言われて反射的に噛みにいってしまったのは短絡的だったかもしれない、とは。
何も物理的に刻む必要があったかはともかくとして、その行為は達する時の癖のようなものだったし、ここ最近は柚樹の方もそれが引き金に絶頂を迎えることがあるのも知っていたことだというのに。]
……ッ、ぐ……、
[肌に歯が食い込んだ瞬間、吐精を訴えるように膨らんだ雄芯を強く搾る痙攣を内壁が返して、喉奥から、ぐる、と唸り声のようなものが漏れる。
困惑したような声が耳に届きはしたものの、衝動的に大きく跳ねた肢体を押さえつけて掻き抱くと、跳ね上がった腰を縫い止めるように引き抜いたものを荒く深くへと穿って。
達している最中の胎内を暴く摩擦の刺激に響いた嬌声を気にかけてやる余裕もなく。]
───ッ……!
[首筋へと歯を立てたまま開いた口から唾液が溢れるままに荒い息を吐きながら、幾度目かに奥を突いた先で、びゅく、と熱が吐き出されるのを感じていた。]
ハ……、ぁ……、
ゆずき、だいじょぶ……?
[繋がった先では断続的に精が吐き出され続けていたけれど、我に帰って問いかけた先、あまり大丈夫ではなかったらしいとは惚けたような表情からも見てとれて。]
……ん……、おやすみ。
[限界を訴える声に軽く唇を重ねると、微かな寝息が聞こえてくるまでに時間はかからなかった。
刺激が強過ぎて意識を飛ばすようなことはそうそうないものだから、これは眠気が限界にきただけだろう。
無理をさせてしまったことを内心で謝りつつ、また昂ってしまわないうちにと腰を引いた。]
[ずるりと抜け落ちた陰茎の先、脚の間から溢れてくる白濁を柚樹のかけていたタオルで拭き取ると、一度身体を離して。
抱きしめたまま眠りにつきたい気持ちはあったものの、風呂入らないと、とはいくらか冷静になった頭で思い出すことはできたので。
柚樹に布団をかけてから、そっと額に口付けるとベッドから降りてバスルームへと足を向けた。
装飾品は左耳の上のピアスと指輪以外は外してからシャワーを浴びて。
煙で燻されてた髪や汗ばんだ全身を洗い流すと、頭を冷やして大人しく寝られるように気持ちを落ち着ける。
寝間着に着替えて髪を乾かすのもそこそこにベッドまで戻ると、膨らんだ布団と空のベッドを交互に見てしばし逡巡した。]
…………、
[なんもしないから大丈夫。
それに、裸のまま一人で寝るのは風邪ひくかもしれないし。
夢の中でも風邪をひくかはわからないが、せっかく着たスウェットを脱いで膨らんだ布団の方に潜り込んだ。
直肌の方が多分温まるし……って雪山でもないんだけど、その方が心地良いかなってだけなんだけど。一応下着は穿いてるので……。
巻き戻っているような感じは治っているだろうかと寝息を立てる顔にそっと口付ける。
朝起きたら確かめてみた方がいいだろうか。
聞くのもな……、と思えば、唐突に胸を触るとか、さすがに怒られそうなことしか思い浮かばなかったので寝ることにした。
布団の中で柚樹の身体を抱きしめると、頭に浮かびそうになる邪念は振り払って瞼を閉じた。
柚樹の方が早く目を覚ますとは思うのだけど、朝を迎えて声をかけられても抱きしめた腕をなかなか離そうとはできなかったかもしれない。
顔やら何やらを擦り寄せてしまうのはいつもの挙動としても、おそらく起きてすぐにシャワーを浴びたいだろう柚樹の邪魔をしてしまいそうなことは申し訳ないのだけれど。]**
["私はそういう風にはならないから"という自分基準で考えてしまうものだから、私は"健全な男子心"にどうにも疎いみたいで、武藤をさんざんやきもきさせてしまっているらしい……とは、自覚しているような、していないような。
でも、だって、昨夜の自分を昨夜の武藤が、そこまでそんな風に思っていたなんて、ぜんぜん、ほんとうに気付かなかったんだよ?
それを否定しているわけではないけれど、"声出していいのに"とか"あんま締められると"なんて言葉 には、でも、だって、と告げるように首を振る。
"刻んで"と譫言のように口走っていたのは、自分でもどんな意味で、どんな風にしてほしいと思ったのかは定かではなかったけれど。
けど、首に食い込んで来た歯には、懐かしいような、切なくなるような、深い安堵を覚えていた。]
と、ら……ッ、ちょ、だい……ッ?
あ……っん、ぁ……っ!!
[全部、暴かれる。
全部が、武藤のものに、なってしまう。
そんな感覚に襲われながら、達した直後の身体をこれでもかと貫かれ、揺さぶられ、私はでも微かに笑っていたように思う。
────この世界でただ一人の、私だけの男。
愛してる、よ。
意識を保つ中、最後に胸に浮かんだ思いは、そんな風なものだった。]
…………ん?
[武藤、お風呂入ったのかな。入ったんだな?
ちょっとくしゃりとしてる金髪、身に纏う金色も、揃いの指輪と私が誕生日に贈ったピアス以外が外されていて。
────それに、におい、が。]
…………武藤のにおい、うすい。
[ちょっと不満、という風に鼻を鳴らし、肩口に頬を擦り付けたりしていたら、さすがに目を覚ましてしまうかな。
起こすつもりは無かったのだけど。]
おはよう?武藤。
[小さな呻きと、揺れる睫に気がついて、そうっと声をかける。
場所は違えど、何度も交わしている挨拶。
夢の世界で"地に足がついている"だとか"日常に戻ってきた"とかいう表現もおかしなものだけど、でも漸くに、そんな心地になっていた。*]
[流れるように顔を寄せて口付けてしまうのも、いつものことだけれど。
手に触れているのが直接肌だということに気づけば、身体を寄せると脚を絡めて。
肩口ぐりぐりと顔を擦り寄せて、視線を落とした先、肌に浮いた歯型の痕に安堵に似た笑みを浮かべると同時、昨晩のことを思い返して、じわ、と頬が熱くなるのを感じた。
押さえつけるように押し付けていた背中から滑らせた手を胸元に当てて、もう大丈夫になったかなと顔を窺ってしまう。
昨晩と違ってちゃんと寝る前にはシャワー浴びたし、ってにおいが薄いのが不満だったとかは気づいていないまま。
ぐり、と押し当てた下肢が熱を持っていることに困らせてしまうだろうか。
でもまあ、それもいつものことだから……、とは。
走りに行ったり朝ごはん用意したり、シャワー浴びたりしたいかなとは思ったんだけど、こうしていつものように触れられることが嬉しかったから、つい。
引き剥がせば大人しく起きるとは思うので。]*
…………ん、……。
[互いの姿を認めると、自然に口付ける のはいつものこと。
まあまあ"触り魔"な武藤が、寝間着を纏ってないとなればあちこちに手を伸ばしてくるのも、よくよく知ってる行為なわけで。]
……ぁ……む、と…………。
[ひたりと胸に手を当てられて、心臓が跳ねた風になったけれど、それはびっくりしたからであって、拒否ではない、ので。
大丈夫?と問う風な瞳に、大丈夫と微かに頷くように返して、暫くは穏やかに抱き締め合って────いたかったけれど、下肢に当たる熱にも気付かないわけにもいかないもので。]
えーと……。
[でも、うん、今してしまったら、ものすごく空腹になって、私がぐんにゃりしてしまう未来しか見えないよ?]
私ははじめから、“そういうもの”だったから……
そうでない時があると、怖いのでしょうね。
[紅茶を冷ましては少し啜っての繰り返し。]
私にはたぶん、わからないの。
昨日まで大事にしていたものを壊したくなる怖さ。
どうせいつかは壊したくなるのなら、初めから近づかない方がいいでしょう。
[楓の夢の話だ。椿には楓がひどく迂遠なことをしているように見える。いつか必ずやってくる拒絶の時を予見しながら、それでもそこを自分の居場所と定めることは、自ら苦しみの中に飛び込んでいるようで。]
私にはそんなものがないから、自分が死ぬのもあまり怖くはないの。生きてても、さみしいだけ。
[椿は楓の膝に頭をもたせかけた。今はどうだろう、と考える。互いに分かり合えなくても、同胞とも言える彼が共にあれば、寂しくはないのだろうか。]**
[“そういうもの”……誰かの命を脅かす者。だから自分に危機が及ぶのは怖いのだろうか、と楓は考えた。当然と思っている前提が覆される恐ろしさなら、彼にも理解が及ぶ。
彼女の言葉を聞きながら、膝に寄りかかってきた頭を感じる。片手を伸ばし、彼女の髪をそっと撫でた]
仕方ねェんだ、オレにとっては
“最初からあったもの”なんだから。
[人間だった頃に得ていたもの。
人間でなくなったときに“失った”もの。
失ったことを認められず、しがみついている。けれどもう、そこは自分の居場所ではない……きっと、そうなのだ]
……オレは、自分が変わったことを
受け入れられてないのかもしれない……。
もうそこはオレの居場所じゃないのを……
認めるのが怖い、のかも……しれない。
[失う覚悟ができていない。そういうことなのだろう。既に失った後ではあっても、まだ向こうにはそうと思われていない。だから自分も周りもごまかし続けている。何年も。多くの命を犠牲にして]**
[目が覚めてすぐに柚樹がいたことに安心したのもあったし、お互い裸ともなると触れ方が他意のある感じになってしまっても仕方ないというか。
胸元に触れた手には一瞬びくりと肌が震えた気はしたけれど、昨日みたいな体の強張りとは違っていたようだから安心した。]
……ん、大丈夫そうでよかった……、
[大丈夫な感じを思い出すまで一日胸触って過ごすことになるとこだった、というのはさすがに冗談だけれど。
よかったと言いながら胸元を指でなぞったり肌を押し上げるようにしていたのは念のための確認で……、嘘、触りたかっただけです。
いつも通り、ではあるのかな。
交わした視線に変わりがなさそうなのを確認すれば、身体を寄せると重なった肌が熱を持つのを感じた。
下着越しとはいえ主張するような熱や固さが当たってしまっても不可抗力なので気にしないでいい、とは思いつつ。
このまましてしまったら、起きられないことにはさせてしまいそうだったから。
腹減ってきた気もするし、柚樹もそうだろうなと思えばあまり空腹の状態にさせておくのも良くないなと名残惜しさを感じながらも抱きしめていた腕を緩めた。]
認めるのが……。
[楓の言葉を繰り返す。
確かにそうなのかもしれない。
が、それを認めてしまうなら、自分と同じにしかならないのだ。それが彼にとって良いことかどうかはわからない。
また、紅茶をひと口啜る。体はよく温まっていたが、頭の奥のどこかが冷たく冷えきっているような気がする。]
[紅茶のカップをテーブルに置いて、椿は楓の隣に座った。]
どうするのが、正しいのかしら。
——いいえ、もしかしたら、正しい道なんてどこにもないのかもしれない。
[楓の膝に手を置いて、彼の目を見上げる。それから、揺れる耳飾りを、柔らかく跳ねた髪の先を、さっき喰らい損ねた首筋を見る。本当に貫くことはできないのだろうか。終わらせてしまうのがあるいは正しいのではないだろうか。自分も、楓も。そんなことを考えながら。]**
[今になって思うと、なんであれほどに胸を愛撫されるのが駄目になっていたのか不思議なくらい。
そのくせ、見られたことに関してはまるで頓着していなかったのだから、武藤にも訳がわからなかったのじゃないかなと思う。
でも、それはそれで、朝の起き抜けから触られまくるのは、やっぱり、その、色々、と。]
…………っ、むとう。
[溜息混じりの吐息があやうく熱を持ちそうになって、思わずジト目で見つめてしまう。
それでも、"柚樹にはちゃんと食べさせ眠らせないといけない"という使命感を強く抱いているらしい武藤は、すんなりといたずらな手を止めてくれたのだった。]
[自分はもう人間ではない、人間だった頃の居場所に留まることはできない。
そう考えたとして、では、次にどうするというのか。
人間でなくなったからこそ、新たにできるようになったこともある。
それでも去らねばならないのだろうか。
彼女が身動ぐのを感じて腕をソファの背に移動させると、彼女はそのまま隣に座ってきた。
膝に載せられた手に目を向け、それから彼女の視線の先を思い描いた]
[やがて彼が向けた視線の先には、彼女がテーブルに置いたカップがあった。
意味などない視線のやり場としてほどよい位置にあった。それだけの理由だ]
正しいかどうかが道を選ぶ理由になるのか?
正しくたって間違ってたって、
やりたかったらやるし、
やりたくなかったらやらないだろ。
[正しいかどうかは判断基準のひとつではあっても、意思を決める最終的な理由にはならない──それが楓の感覚だった。
そしてやりたくないこと、やりたいことを整理したら、どうしても楓は現状維持にたどり着いてしまう。それが最適解に思えてしまう。だから何年も続けていると言えるのだが……]
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