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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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 ―――すこしだけ


[例えば浮気でも最初はハグだけ。それから裸を見るだけ、とかそういう制限は先っぽだけ、入れるだけ。そういう風に際限がなくなっていくのを知っている。
別に自分と彼は恋人同士で浮気相手ではないのだけれど、彼に囁いたそれは自分がつけていた心のセーブを取り払うのと同じだっただろう。
彼の尻に擦り付けるようにして、熱をごまかしてた自分の屹立をすりすりと押し付ける。


入れるだけ。
中で出さないから。

そう言い訳しながらも、彼の媚びる声に応えるように、甘くほぐれている箇所に熱を押し込んでいった*]

[扉の向こうから、呟くような声が届く。
 飾らない口調が胸に響くのを感じ、扉を開けようとして手を伸ばしたとき──

 囁きが届いた]


  ……、…………


[何よりも答えづらい問いだった。

 だが、答えずにこの場を終えることはできない。

 そう思ってもすぐに言葉が紡ぎ出せず、伸ばした手は扉近くの壁に伸びた。
 縋るように壁に触れながら、ゆっくりと息を整える。

 そうしてどれだけ間を空けたのか……あるいは然程の時は流れていないのか。楓の主観においては相当な時間が経った後のこと]

[それが正しいと思う自分もいた。
 人間として生きていても、他の生命を犠牲にするのだから。人間でなくなった以上、犠牲にする生命が人間であっても構わないはず。
 それに、人間でなくなったとしたって生きる権利はあるはずなのだ。

 でなければおかしなことになる。

 人間として生きる間に生命の危機が訪れ、必死に抵抗した結果、危機は去り、彼は人狼となった。
 人狼となっては生きてならないのなら、危機に抵抗しなければよかったことになる。
 だが、それでは、人間であっても命を奪われかけたとき無抵抗に死ぬのが正しいことになってしまう。
 生きようとした選択が誤りになってしまう。

 おかしいではないか。
 人間でなくなったら生きてはいけないというなら、人間ならば生きていていいはず、生きようとすることが正しいはずなのに。

 どうしても納得ができない。
 それだって、大きな思いなのだけれど]

[《死ぬのが怖い》
 死を選ばない最大の理由として、楓の脳裏にどうしても浮かぶものがそれだった。

 死ぬのが怖いから自害はできない。
 かといって大切な人たちを殺したくない。

 それは彼らが共に生きたい人たちだからでもあるが──

 身近な場所で人を殺せば簡単に露見するから。
 そうしたら自分が殺されるから。
 死ぬのが、怖いから。

 だから自分の生活と無関係な遠くに住む人々を殺めて、自分の命を繋ぎながら理性を保つのは、実に『理に適ったこと』なのだ──楓の感覚では、の話だが]**

【人】 武藤景虎


 うん……、なので明日は走りに行くなら起こしてくれると助かる。

[記憶が戻った以上は起こしてくれるだろうとは思ってるんだけど、念のため。

蹴り起こしてもいいので、とは笑って言ったものの、そんな起こし方をされたことは今のところない。]

 まあ、昨日の記憶も全部あるしな。
 ずっと変な違和感ある感じだったし。

[それは柚樹の性別だったり、距離感だったり、ないはずの記憶だったりの全部に対してだと思えば、そういうことだったんだろうな、とは。

だから、あの時点に戻りたかったとかそういう何かがオレの中にあったわけでは断じてないというのは多分もう、心配してはいないとはわかるので、わざわざ口にはしなかったけど。]
(135) 2023/03/06(Mon) 17:46:01

 …………?

[胸元に触れた瞬間、体が強張る感覚が伝わってきたのは気のせいだろうか。

最初の頃、他の部位より殊更に胸を見たり触れたりすることは気づいていたから、この半年くらいかけて漸くその辺りのコンプレックスはなくなりかけてたと思っていたのだが。

確かめるのは怖い気もして、聞くことはしないままに体を離した。

バーベキューの話をしたら一気に元気になったようにも見えたから、せっかくキャンプに来るという貴重な夢を見られてるわけだし、楽しいことを優先しようと頭を切り替えることにする。

幸い現実では春休みに入っていることだし、“また後で“がいつになるかはわからなくても、正月明け程待たされるわけもないのだから、あの時開いた期間に比べたら我慢はできる、はずなので。]

【人】 武藤景虎


 腹減ってから準備すると時間かかった時しんどそうだからな。

[早めに準備しといていつでも食えるようにするのに越したことはないかな。

柚樹は腹が減ると元気がなくなるし、と言ったら何だと思ってるのかと思われそうだけど。
なんか食べたら元気になるとこも合わせてかわいいと思ってるよ。

昨日と違って野菜切るやつは手伝っていいと承諾は得た>>131ので、切り方こうした方がいいみたいなのがあればその時教えてと言いつつ、肉の準備を始めるのは焼き場の準備をする前に少し見させてもらうことにした。]

 すごい、骨がついてる肉だ。

[柚樹が取り出した肉の塊にテンションが上がってしまうのも仕方ない。

仲間内でやるバーベキューの時は大体カットされてる後は焼くだけみたいな肉くらいだったし、スペアリブを焼くみたいなのは経験がなかったから。

調味料かけて焼くだけでも美味そうに思えるんだけどと安直に思ったものの、蒸しといた方が良いのだと聞いて、ほんとにいろいろ知ってるなと感心する。
オレが知らなすぎなのかもしれないが。

昨日の鶏肉にいろいろ味付けて揉み込み始めた辺りで既に腹が減ってきそうだったから、火の準備だけしとくと言い残してテラスの方に出た。]
(136) 2023/03/06(Mon) 17:46:51

【人】 武藤景虎

[いかにも焼き場ですよって感じの、二人なら充分くらいのスペースにテーブルとグリル台、あれは火消し壺かな?が置いてあって。

テラスに出てすぐ、晴れた空が頭上に広がっていたし、風も特にないから火起こしもそんなに大変ではなさそうだ。

屋根とかないから天気崩れたら困るだろうけど、空の感じからして流れて来そうな雨雲も見当たらないし、絵に描いたようなキャンプ日和な気候と空の様子に気分が上がる。

鳥の囀りや虫の音、木々のざわめきはあの時の止まった美術館にはなかったもので、そんな当たり前に感慨深くなってしまうのは久しぶりだった。

此処があそこと似たような山の中だからかもしれない、と一面に広がる森を見渡して、朝外に出た時はそんな余裕もなかったな、と思い出したように新鮮な空気を吸い込んだ。

軍手をはめるとグリル台の下に火おこし器を置いて、中に着火剤を置いたら木炭を隙間を開ける感じで積んでいく。

基本的に料理周りの準備をしたことない分、こっちの方がまだ馴染みはあるので、こんな感じだったかなって感覚ではあるけど。

あとは火を入れるだけって状態にしてから、室内へと戻った。]
(137) 2023/03/06(Mon) 17:47:22

【人】 武藤景虎


 ただいまー、火の方はいけそう。

[台所に立った柚樹の方に近寄ると、にんにくを剥いてるとこだった。

柚樹と焼肉屋行った時はほとんど肉しか食ってなかったからにんにくのホイル焼きは食べてなかったな。

それに、オムレツみたいにして食べるのはやったことないけど、絶対美味いやつなのはわかるので。]

 そのまっすぐっていうのが難しいんだが……

[玉ねぎの切り方を教わりながら、まっすぐになってんのか確認するために体が傾ぎそうにはなる。
それやると斜めになりそうだから傾きそうになるのに気づいては姿勢を正し直した。

そんな感じだったから、あまり手際良くはなかったかもしれないけど、多分おかしなことにはならなかった、はず。]

 火は5分くらいで回ると思うから、腹減ってきたしもう始めるか。

[一通り、準備が完了する頃には台所内の匂いとかで空腹を覚えていたし、早く焼こうと具材の乗った皿を持ってテラスへと出て。]
(138) 2023/03/06(Mon) 17:47:57

【人】 武藤景虎


 ん、そろそろ大丈夫そう。

[着火剤に火をつけてから、団扇で扇いで風を送りながら幾らか待てば、炭が赤く燻って火が回り始めるとパチパチと音が鳴りだす。

いくつか炭を足して、鉄板を置けば程なくして温まってきたら焼き初められそうだ。

蒸されてスパイスの良い香りを立てているスペアリブは既に美味そうなんだけど、焼いてからバーベキューソースつけて食うのが美味いらしい。

野菜と肉を乗せた鉄板を見ているとなんとなくじりじりしてしまう。

バーベキューだったらやっぱビールだよね。

冷蔵庫から取り出してきた500缶を柚樹に渡すと、開けた缶を軽く掲げて]

 討伐記念……?いや、思い出した記念?
 初めてキャンプきた記念……全部でいいか。

[昨日と違って乾杯の理由がいろいろあるなと笑うと、お疲れ様、と付け加えて缶を合わせた。]*
(139) 2023/03/06(Mon) 17:48:22
  死ぬのが、怖い……


[人の声で、繰り返す。それは思ってもみない答えだった。

 椿は扉を開け、楓の顔を見上げた。
 彼は椿の知らない顔をしていた。]

[初めて、彼と自分は似ている、と感じたかもしれない。

 同じような存在であることは知っていた。しかし、何かが決定的に違う、と感じていた。彼には失いたくないものがあり、自分にはない。それが自分の空虚を、彼の強さを示すものだと思っていた。

 彼は与えられる死を恐れ、己は死を与えることを恐れている。真逆のように見えて、その実、どちらも自分のあるべき世界から“弾かれる”ことを恐れているのかもしれない。]

 
  私たち、少し似ているのかもしれない。
  貴方は、自分が自分の在るべき場所に居られなくなることを怖がってる……そんな、気がする。
  私は……あの人がいない以上、もう、居られなくなってしまったけれど。

  似ていても、そうじゃなくても、何も変わらない、けど

[彼と共に生きられるわけではない。
 生きられたとして、何も変わらない。
 一人と一人、それ以上のものにはならない。
 わかっていても、どこか共通点を見出したいのかもしれない。それもあさましい心のように思えて、やっぱり出口はない。]**

【人】 武藤景虎

[柚樹の様子の変化は些細なことでも気づけるとは思っている、多分本人よりも。

昨日までのような大きな違和感はもうないものの、気づいてしまった些細な違和感は心労をかけたせいが大きいのだろうと思えば、解消はしてやりたいのだけど。

美味しいものいっぱい食べてぐっすり寝れば元気になってくれるだろうか。
昨日は寝付きはしたけど穏やかに眠れたってわけではないだろうし。

いや、食べ物だけ与えておけばいいとは思ってないよ?]

 手で持って齧る系の肉は満足感あるよね。

[可食部が少くても心の充足度が違うというのはわかると頷いて。>>140

でかい肉の塊ってだけで嬉しくはなるし。
丸鶏も見たらテンションあがるけど、スペアリブでもあがるのは同じような原理だろう。

割と動物的なとこあるよね、とは既に知ってることだったしお互い様なので。]
(151) 2023/03/06(Mon) 21:19:44

【人】 武藤景虎

[火起こしの準備をしてただいまと戻れば、台所に柚樹がいて、多分同じようなことを考えてたと思う。>>141

冬休みの間毎日のように一緒にいて、離れる前に“早く一緒に住みたい“と切実に思ったことは記憶に遠くない。

その頃には料理も少しは出来るようにはなっておきたいかな。
柚樹が作れない時とかもあるだろうし。
それに、柚樹が料理してるとこ見てるのも好きだけど、一緒に作るのも楽しいので。]

 う……、力入ってた?

[リラックスと言われて肩に力が入っていたことに気付いて、小さく息を吐く。

やっぱ慣れるしかないんだよな、とは。

今のところは切るのも焼くのも横について貰わないといけない手間はかけているけど、一緒にやるうちに覚えてはいけると思うよ。]
(152) 2023/03/06(Mon) 21:19:53

【人】 武藤景虎


 空が見える範囲多いし開放的だよね。
 晴れててよかった。

[テラスに出ると見える景色に感嘆の声を上げる柚樹を見て顔を綻ばせた。

外で飯食うのってなんか楽しいし美味い気がするよな、って前にも何度か言った覚えがある。

クリスマスで出されてた外国っぽい屋台だったり、年越しの屋台とかお祭感のある時もそうだけど、こうして自分たちで焼いて食べるのはまた格別なものがあるよね。

手分けして準備が整えば、テーブルには並べられた野菜と肉、セロリ入りのコールスローのサラダも増えていて。>>142

鉄板の上からいい音と匂いが漂ってくる中、そこにビールが加われば文句のつけようがない幸せな休日だなと、手にした缶を掲げた。]

 はは、そうだな。骨付き肉もあるし。

[確かにテーマパークで遊んだゲームコラボのアトラクションの称号は合ってるかも、と笑って。

じゃあ討伐記念で、と缶を合わせれば、ぐい、と喉にビールを流し込んだ。]
(153) 2023/03/06(Mon) 21:20:14

【人】 武藤景虎


 ん、ありがと、食べる。

 んん……、やば、肉めっちゃ美味い。

[切ってもらったスペアリブを受け取って齧りつくと香ばしい香りが鼻に抜ける。
たっぷり塗られたソースと肉に染み込んだガーリックとオニオンパウダーが良い感じで顔を綻ばせた。

つい前のめりに食べてしまうのは、焼肉行った時も似たような感じだったなって。

程よく焼けた野菜は甘いし、定番の玉ねぎ、人参、かぼちゃやピーマンは勿論のこと、茄子があったのも嬉しかったな。]

 タンドリーチキンも味付けがすごいビールに合うし美味いな。

[なるほどちゃんと下準備したいと言ってた理由がよくわかる、とはいろいろ作ってくれた柚樹には感謝しかない。]
(154) 2023/03/06(Mon) 21:21:15

【人】 武藤景虎

[最後に作ってたコールスローはサンドイッチ用も兼ねてたのかな。

おすすめされた通りに食パンにコールスローとスペアリブから剥がした肉を解して挟んでみる。

マヨネーズベースだからパンに合うし、スペアリブとコールスローの組み合わせも満足感あって、食べたことない組み合わせだけど好きな味だった。

にんにくのオイル焼きも良い感じにグツグツしてきたやつが食欲をそそるし、息で軽く冷ましてから口に入れるとホクホクした食感と一緒に旨みが広がってビールが進んだ。]

 追加のビールとってくるね。

[鉄板の上をお任せしつつ、何度かビールを取りに戻ることにはなっただろうか。

まとめて持っていっておけばいいんだけど、火を焚いてはいるし温くならない方がいいかなって。]

 このオイルって絶対美味いのに捨てるのもったいないなと思ってたけど卵焼けばよかったんだな……

[にんにくがなくなった後のオイルや欠片の残ったアルミホイルで作ったオムレツは想像通りに美味しかった。

二人で肉と野菜をせっせと焼いては食べて、飲んでを繰り返してたら陽が落ちていくらか肌寒くなってきても、焚き火もあれば少し暑いくらいでちょうどよかったかな。]*
(155) 2023/03/06(Mon) 21:21:39
[涙が浮かぶ顔を隠した手は落ち。
彼の唇により、雫を吸われてしまう。ぁと小さく啼いた声と、惑う瞳で彼を見つめた。指を食べる淫花は奥まで来てほしがり。変わる体勢に、ふるっと震えた。このキャンプを提案したのは自分の方だ、彼と過ごす時間が増えれば、いい。そう思ったし、二人っきりで過ごしたいと思っていたから。けど]


 ……寿? んっぁ


[ほんの少しだけ戸惑ってしまった。
彼が自分の身体を気遣ってくれているのは知っている。知っていても堪えの利かぬ身は、悶え、性を欲しがるのだけど。少しだけ。という言葉とともに、屹立が臀部に擦りつく。

それは、以前彼と交わったときのことを思い出させた。
性行為の途中でコンドームが破けたときの事を]



 ……はぁ…ん
  少し、だけなん?


[少しじゃなくて沢山が欲しい。
そう雌の本能がいう。やぁやぁ、沢山ちょうだい。と啼いてしまいたくなる唇を指で押さえ、すりすりと懐く刀身の形を意識して、彼の熱を多く味わおうとしてその肩に片手を乗せた。甘くほぐれた箇所が、彼の雄を飲んでいく。]


 ……ぁ あぅ


[薄皮一枚。それが無い。
直に感じる熱に震え、悶えて支える手は彼の肩を強く掴む。指で解かされていた媚肉は大きな質量を喜ぶように添う。彼の形を覚えた場所が開いていく。最初は少しだけ、いれるだけ。中で出さないから。彼はそういった。腰を揺らめかせ、自然と上下に揺れて彼の熱を出し入れしようとして]


[置いて行かれるのは辛いだろうなあと思う。
 だけど、天美が不死になるのも嫌だなあと思う。

 俺が死ねれば、本当は一番良い。]
 


[本当に、一番良い。]
 

[山の天辺や、帰ってきた後。
 自分の空腹は弁当でだいぶん満たされていたけれど、
 天美の方はそうではなかっただろうから。

 ちょいちょいと相手にも飯を食わせた。
 どれくらい食われるかは天美次第であったが。]



 …はぁ …ん 
   少しだけ…なんて無理やんっ
  搾りとったるっから !


[唇は妖艶に笑い。
そのまま、彼の熱源を扱くように腰を振りだそう
卑猥な音が波うつ湯船の中から溢れだす。彼の精を搾りだそうと動く腰は彼の雄を咥えては上下に揺れて。そのまま絶頂まで我儘に蹂躙しようとするが。]


 天美、

[小さく呼ぶ。
 頭を腹に寄せ、寄りかかった。*]



   ……


[そう、本来なら煽って煽り倒して
際限なく求めさせたかった。けど、彼に抱かれる事を覚えた身体はこらえ性がきかなくて、先ほど一度抱かれたせいか、奥が精液を、彼を欲しがってやまず。足りなかったのだとばかり、揺れる腰の奥で啼いた。湯舟が波打ち、浴槽からお湯が溢れでる。

そんな中、涙を零し。堪忍をまた自分は綴り。
哀願を見せる唇は]


 ……達也……ぅ …奥に

    きて …

[彼の唇へ噛みつき。
奥に彼の熱を迎え入れようと腰を浮かす。
自分で良い処を当てるよりも彼に抱かれる方が気持ち良いと覚えた身体は1人善がりより彼との性交を求めて、抱かれたがり・
最奥で鈴口とキスをしようとした*]

[開くとは思っていなかった扉が開いて、楓は戸惑って顔を背けた。

 似ている。
 そう表現されて横目で彼女を見て、少し考え込んで、また目を逸らす]


  在るべき場所、……


[人間だった頃なら、疑いの余地もなくそうだっただろう。
 けれど人間でなくなった今は?
 そこに留まりたいがために多数の人間を犠牲にしてきた今は?
 それでもそこは在るべき場所なのだろうか。

 そうではなくなったとわかっているからこそ、自分が変わってしまったことを隠し、重ね続ける罪を隠し、必死にしがみついている。
 それこそが現実なのではないか]

 
  ……椿……、オレはさ。

  夢を見たんだ。
  人狼殺して生き延びた、その夜に。


[楓はおもむろに口を開き、吐息のような声で語った。視線は逸らしたまま]


  狼になって、身近な人たちを喰う夢だ。
  友達も、惚れた女も、親方も、仕事仲間も。

  誰喰っても美味くて、こんな美味いものは初めてだって、
  一人も残さないぐらいの勢いで喰い続ける夢。

  それで夢中になってるうちに銃声が聞こえて、
  目の前が真っ暗になって……目が覚めた。
 

 
  最悪な夢だった。……けど、


[一度言葉を切って、息を小さく吸い、ゆっくり吐き出す。それから静かに言葉を続けた]


  本当に最悪だったのはその後……
  故郷に帰って、実際にみんなに会ってからだ。

  誰を見ても食欲しか感じられなかった。
  みんな本当に美味そうだったよ、
  すぐにでも食べたいぐらいに。

  それで確信した。いつかオレは“やる”んだ、って……


[悪夢はただの夢ではなくて、予知夢にも近いもの。
 身近な人たちに抱いていたどんな感情も全て“食べたい”に侵蝕されていた。
 あの瞬間に何もかも失った気がしたのに、なぜ、まだそこにしがみついているのだろう]

 




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