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【人】 拷問吏 ネロ「何、ツキに悪きツキなどあるまい」 席に座り、空々と哂う。 「我ら、この生業よ。 使わぬツキを胎に溜め込んだまま死ぬる者も多い。 金子もツキも腸も、 皆懐から出ていく時分が最も温かいと聞く。 血肉存分に吐き出すが温度ある人生やもしれんぞ」 (9) 2023/09/11(Mon) 21:53:44 |
【人】 拷問吏 ネロ「……拷問には、種類が二つある」 ざらり。 「一つは、身体的な"痛苦"を与え、 そこからの解放を引き換えに情報を引き出す物。 もう一つは、先ず"喪失"を与え、 さらなる喪失を重ねぬを条件に、情報を引き出す物にある」 ざらり。り。 「雇われの拙が得手としておるのは"後者"だ。 故に、此処までの行為も、此れより後の行為も、 そうあることを念頭に受けるが好い。 さすれば、口を開かんことが如何な結果を齎すか、 想像は、その惚けた頭でも易かろう」 (90) 2023/09/13(Wed) 1:47:32 |
【人】 拷問吏 ネロ――に、ち。 「"奇怪"であろう。 目の粗い麻布に針を通しても糸を傷つけぬ理論と同じである。 故に、傷付かぬのなら、痛みがなきことも道理。 が、"そこ"を動かしてみよ。動かぬものがあるだろう」 ――ち。 「それは、"二度と動かん"。 生命活動に支障はない。痛みすらなかろう。 ただ、表面に傷を入れず "最奥"だけを無遠慮に一度犯された身体は、 在り方からぐちゃぐちゃと書き換えられる」 ――ち。ぐ。ち。――ぐ。 「それは、仮にここを出られても、 "不便"を齎す、"不自由"を齎す。 上がらぬ腕を、引きずる脚を、 見えぬ暗点を、聞こえぬ一音を、 揃わぬ足並みを、纏まらぬ思考を、 嘲る視線を、ままならぬ立場を齎す。 慣れはしようが、"失う前より出来る"ことは二度とない。 "研鑽"でも追いつけぬ"不都合"を確実にその身に刻む。 さて、再度動かぬ"それ"を見よ。自由の利かぬそれを。 ……主は、死ぬまでに、 あと何度それの不便を感じるだろうな」 (91) 2023/09/13(Wed) 1:49:33 |
【人】 拷問吏 ネロ――に、ち。ゅ。 「続けよう。主が心を折り、腸の内を漏らすまで。 ……そして不幸であったな。 仕手が悦びを覚えるタイプであれば、 主が拙を満足さえすれば、 "責め苦"もそこで終わりであったろうに」 (92) 2023/09/13(Wed) 1:50:39 |
【人】 拷問吏 ネロ>>110 カンターミネ 半ばまで他人の中に埋まっていた手指を 念入りに洗いながら、喜色めいてドアの方を見る。 サテン地のタオルで手を拭きながらドアを開けた。 「ほう。好い時分だ。 仕事終わりと同時に訪れた故、 時報かと思うたが、持っておるな。 ガイオが如き賭けに興じてみては如何だ」 実際、このような幸運は二割ほどであることも、 承知の上で、布で頬の赤を拭きながら言った。 「明日か、仕事が多きことは好いことだ。 女史が手空きなら 明日以降にむしろ手伝うてもらうのも一興か。 切れすぎぬ刃の方が後遺症を残すというからな」 他人と共に"責め"を行うと その酷さがさらに増すことは自覚していた。 ましてや、彼女とであるなら、それはそれは酷い有様になる。 (126) 2023/09/13(Wed) 22:20:55 |
【神】 拷問吏 ネロ『ふわけ』 ……送信してしまったな。まあ好い。 『腑分けの後にて牛の胃を避け』 送信してしまった。ふむ。 『参加しよう』 送信。機械は人間より素直で苦手だ。 (G9) 2023/09/13(Wed) 22:28:36 |
【人】 拷問吏 ネロ>>134 カンターミネ 「……心得た。 拙も、"人間の生命維持の最小単位"を 是非とも女史に披露しようと思うておったところだ」 冗談か本気か、仕入れた"箱"を見ながらそんなことを返す。 言いながら思案する。 ……成程、片付けのこの折が、 最も拙が情報を抱える折ということか。 部屋の中に散乱した物も、臭いも、肌の濡れも、 それらに付随する情報こそが、女史の"主食"である。 で、あるなら、この折に部屋を訪れたことも或いは偶然とは、 とまで考えて、去りゆく背を眺め、一人部屋で屈々と哂った。 「偶然であろうな」 であるならば。 このようなところで使った機運によって、 恐らく女史の行く先の道に、 五割の確証など齎さぬことになるだろう。 「道理、道理よ」 それが、我らの生業にて。 (135) 2023/09/14(Thu) 0:33:48 |