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【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ同じように革靴を脱ぎ、ストッキングを丸め入れ。 眼鏡をチェストの上に載せると、乱視の視界は少しぼやける。 それでも先に横になるあなたを見ては、その片腕の傍に躙り寄った。 「キスはあ、ミネが、したかったらあ」 へにゃと笑って控えめにごろん。 ベッドはこんなに広いのに、腕枕をねだればあんまり関係もないみたい。 「したかったらあ、…いいよお……」 ごろんと同時にうとうとし出す。 これが子供ならきっと親の苦労はない。 だけど、電池の切れた子供のような入眠だった。 (-508) 2023/09/10(Sun) 14:47:40 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ脅しは所詮脅しで、どちらかと言えば戯れで。 だけどそれでこのことにあなたが触れずにいてくれればなんて、本当に幼稚な願い事でもあって。 普通の人より少し温かい手のひら。 震えるそれが触れた時、願いは叶わなかったと悟った。 「ニーノ、くん……」 驚きの余韻が幾許か。 そうして瞬きをくりかえしたけれど、ついぞ女は哀しい顔はしなかった。 代わり、少しだけ困ったように、笑う。 (-509) 2023/09/10(Sun) 15:17:58 |
【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラごろんしたその頭に腕を貸し、笑って顔を向ける。 かかる吐息にはコーヒーの香り。 「そりゃご褒美が随分豪華だなあぁ〜……」 囁くように呟いて、空いている腕でもって その癖毛に指を通して梳き撫でる。 時折ぽんぽん、子供をあやすように優しく手を触れ、 するりと意識を手放したのをみたなら 常の緩み切った笑顔とは少し違った穏やかな笑みを浮かべた。 「una regina fulgida e bella al pari d'una fata siede accanto alla culla tua dorata...」 口から零すのは、カフェインを纏った子守歌。 指にひと房絡めた髪で頬をくすぐり、放し。 その手を背中に回して抱き寄せる。 静かな寝息をほんの一瞬だけ奪い去り、 またその寝顔に微笑むと、瞼の重さに従って、 三日ぶりに長く長く、目を閉じた。 きっと翌日は、あなたの方が起きるのが早いのだろう。 起きた時に見るのは幸せそうに緩み切った寝顔と、 どばどば垂れるコーヒーのにおい漂うよだれ。 それから、しっかり鬱血した腕枕。 きっと起きるのは昼を過ぎるだろう。 だって、今までも毎回そうだったから。 だから、後は去るでも、なんでも、お好みで。 (-511) 2023/09/10(Sun) 15:18:29 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「大丈夫って言ってるのにい。」 「……でもお、うん。」 「ありがとお」 迷惑だとも、お節介だとも思いはしない。 だけどその気遣いは少しばかり 効いた 。そしてそのことだけは、絶対に胸に秘めなければいけなかった。 「それじゃあー」 「いつか、淋しくなったらあ、言うねえ?」 「そしたらお母さんの代わりにい、ぎゅーってしてもらおー」 だから、困らせるようなことを言う。 この望みをあなたは叶えられますかって。 …でもそれは、今、急いで叶えなければいけないものでもないから。 「だからあ」 「……これからも、がんばろおね。ニーノくん。」 指先が落ち完全に離れてもそこには温度と感触が残る。 自分から初めて触れたあなたが残した震える指先の感触は、暫く消えてくれそうになかった。 (-512) 2023/09/10(Sun) 15:18:30 |
【独】 日差しにまどろむ ダニエラでもね。ニーノくん。 その“いつか”はきっと来ない。 あたしはあなたを騙していて、あなたはあたしに騙されている。 それでも“いつか”を迎ることは。 【血の掟】に従って、絶対、一生、有り得ない。 だって、全部、嘘だから。 今日までの日々も、全部。…全部。 (-510) 2023/09/10(Sun) 15:19:23 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネまどろみの中、幸せな夢を見たような気だけする。 目を覚ますとどんな夢だったかなんて全然覚えていないのに、何だかとってもいい夢だった気だけがしているのだ。 寝ていた間に起きたことなんて女は知らず。 ただ瞳と同じ色のライムグリーンを指先で壊れ物のように撫でた。 コツコツと革靴の底が鳴り、部屋を出入りする音がする。 シャワーを借りて浴びた時の音だ。 表向き自堕落でずぼらを演出する女からは想像もできない話だが、昨晩のコーヒー缶を集めてカウンターを片付けた。 そうして戻ってきて、涎の寝顔を見下ろす。 ふと何を思い出したか、ぽつりと小声が落とされた。 「結婚、かあ……」 「ミネには、幸せになって欲しいなあ」 呟いたあと少し可笑しくなって肩を竦める。 「……行ってきまあす」 眠る親友にそう告げて、来た時と同じように、靴底で床を鳴らしこの日は立ち去っていった。 (-514) 2023/09/10(Sun) 15:52:09 |
【秘】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ → 日差しにまどろむ ダニエラ「んが」 と声をあげたのは、やはり昼過ぎ。 濡れた口周辺を拭い、辺りを見回す。 「寝坊したな。見送るつもりだったんだけど。」 ん〜〜〜、と猫のような格好でベッドの上に伸びて、 シャワーへ歩き去る。戻った時には 白衣に身を包んだいつもの格好へとなっていた。 「さて、今日はどこで何をするかな! ……え!なんか片付いてる!?魔法!? なワケないな。エーコめ……俺をダメにする気だな……?」 幸せを祈った親友に対して、思う事がそれでいいのか。 ともあれ、ばさりと白衣を靡かせて歩いていった。 (-518) 2023/09/10(Sun) 16:29:23 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>130 ニコロ 「あ。」 「ニーコロさあん。」 偶然、と呼ぶにはあまりにも出来すぎて。 それでも確かに偶然とそこを通りがかった勤務中の女。 てってと後ろ姿に声をかけ駆け寄って、こんにちはあ、と間延びした挨拶。 「ニコロさん、今日は非番でしたかあ?」 ハーモニカに目を留めると首を捻った。 自分のことですらデスクの上を見ての通りの有様なのだから、他人の休みなど当然頭に入っていない。 (134) 2023/09/10(Sun) 16:31:09 |
【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ貴方の表情からは大丈夫は消えていないまま、寂しいも悲しいも読み取れないまま。 それでも困ったように形作られた笑みを、声音を受け取ればやはりお節介だったろうかと思う。 けれど返ってきたのはありがとうの感謝一つと、 「……」 それから、望み。 聞き零す筈もなく拾い上げれば少しばかり目を瞠ったが、すぐにふと目尻を緩める。 言葉を紡ぐ僅かな時間、自分から触れることさえ震えていたくせに。 「……はい」 「ダニエラさんが代わりを必要とするときは、いつだって」 そう望んでくれるなら叶えられるような気がしたから、これは決して強がりではなかった。 [1/2] (-524) 2023/09/10(Sun) 18:17:46 |
【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ……で、その後にはこれからもがんばります!といつものように元気に返事をして、だからお願いしますね、そんな一言も付け加えて。 「よし、じゃ〜今はひとまず見回りがんばりましょっか! あ、前から思ってたんですけれど足元は気を付けてくださいね、キャンディ食べながら歩くの……こけたら危ないと思います」 言いづらいことを言葉にした流れで普段思っていたそんなことさえ伝えていた。 満足すれば普段通り、横を歩くときに開いた距離もいつも通り。 その内につつがなく、本日のパトロールを二人で終えたことだろう。 [2/2] (-525) 2023/09/10(Sun) 18:18:34 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ本当は、「頑張ります」と頷く姿にちょこっと茶々でも入れようと思っていた。 「頼むよお〜?」なんて小突くような、それだけで空気を払拭できるような。 だけど、返った言葉に思いの外静かな自信を感じると、その気すら失せてしまって。 「ん。」 こちらも静かに頷いて、棒キャンディを口に入れた。 [1/2] (-526) 2023/09/10(Sun) 19:27:50 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノそれから先は、いつも通り。 ゆるっとだらけた空気を漂わせながらも職務にはあたる。 「ええー。でも、美味しいしい。」 「……わかりましたあ、転ばないよう、気をつけまあす。」 おどけた仕草で頷いて、今度は変わらぬいつもの笑顔。 そんなのどかな昼下がり。 この日は大荷物のおばあちゃんを助けたくらいで平和に業務を終えたのだった。 [2/2] (-527) 2023/09/10(Sun) 19:28:13 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>151 ニコロ 「せいか〜い。」 にへらと笑う。ブイサインをちょきちょき。 そして書類仕事だろうが外回りだろうが気怠げにしか挑めない女は、あなたの提案に「おー」と短い返事。 「なるほどお。そーいうことなら本官にお任せくださあい」 「えーとお、市民さんの『ハーモニカを吹ける場所』、一緒に探してあげますよお。」 機嫌よく続けると、行きましょおと適当な向きに先導をした。 心当たりがあるわけでは決してない。行き当たりばったり。 (156) 2023/09/10(Sun) 23:10:41 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>158 ニコロ 「んー。ピザですかあ?」 きょと、と振り返る。足並みはそのままだ。 そうして少しだけ険しい顔をした。面白くなさそうな、そんな顔。 「まだですよお。昨日は商店街行かなかったから、知らなくってえ。」 「いつも通り、サンドイッチ食べちゃいましたあ。」 「そっちも美味しかったから、いいんですけどお……」 流行りに乗れなかった気がして、ちょこっと悔しい。 そう口を尖らせて。 「どんなピザなのかすら知らないんですよお、あたし。」 「ニコロさんは、もう食べましたあ?」 (161) 2023/09/11(Mon) 0:47:24 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ2日に1度。偶数日の日課。 「おはよおございまあーす」 「フォカッチャくださあい」 朝のパン屋に女の間延びした声が響く。 「おはよおございます、お兄さん」 店番のあなたに改めて。 日課とはいえ来店時間も疎らなこの女、今朝は時間に余裕があるらしい。 (-542) 2023/09/11(Mon) 6:12:37 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>172 ニコロ 「ええー、いいんですかあ?」 などと語尾を伸ばしながら、明らかに声音が変わった。 ワントーン明るく。「待ってました」と続きそうな。 「じゃあお言葉に甘えちゃいますう。」 「ふふ。ありがとおございますねえ、ニコロさん。」 拗ねた口許はどこへやら。 緩んだ頬でそう告げて、適当な方に向いていた足が、迷わず商店街の方へ向けられる。 「そおいえば」 「ニコロさん、好きなパンとかありますかあ?」 「あたしいつもフォカッチャやサンドイッチばっか食べてるんですけどお、たまには別のもの食べよっかなあって」 軽い足取りのまま、到着までの軽い雑談。 (174) 2023/09/11(Mon) 12:50:47 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 日差しにまどろむ ダニエラ「んお」「あーい。おはようさんです……」 足を組んでいた店番が、背を預けていた椅子によっこらせと座り直す。 朝はやや眠たげな店番は、それでも声を掛けられればすぐに反応した。 「フォカッチャね、ありますよ。 今日は旦那の気まぐれでチョコとくるみのフォカッチャも」 そう言って店番が指さす先、焼きたてのパンが立ち並ぶ棚には言った通りのパンが置かれていた。 店主の気まぐれでこういう限定パンが並ぶことがある事を、あなたはきっと知っている。 「今日も来てくれて何よりすわ。固定客ってありがたくってね」 (-556) 2023/09/11(Mon) 15:48:48 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ「はあい。んふふ、今日も眠そおですねえ」 朝しかここには来ないから、眠そうなところ以外はあまり見かけない気もしている。 こちらは気怠そうに間延びした口調ではあれど、そこそこに目は覚めているらしく。 「わあ。今日はいい日ですねえ。」 「店長さんに、毎日きまぐれしてくださあいって伝えといてくれてもいいんですよお?」 ご機嫌に笑みを浮かべ、フォカッチャを眺める。 こういうところで得した気持ちになれるから、この店を贔屓にしているのだとは本人談だ。 (-558) 2023/09/11(Mon) 17:00:37 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 日差しにまどろむ ダニエラ「オレ夜型なんでー……」 ひらひら、とそう言いながら手を振った。 朝に対する白旗の代わり。 「気まぐれは気まぐれなんだから気まぐれなんでしょーが。 この特別感を楽しんでださーい」 「焼きたてだから美味いすよ。保証します」 もう食ったんで、なんて得意げになった。 「昼にも来てくれたらおやつメニューもあるんすけどね。 あんた朝客だからなぁ」 (-560) 2023/09/11(Mon) 17:18:45 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ「おやあ。そんなお兄さんには、お目覚めのコーヒーをおすすめしますよお。」 「おいしいテイクアウトのお店知ってますけどお。今度、お土産しましょうかあ?」 ご機嫌は続く。どれもこれも店主の気まぐれのお陰だ。 そうでなくとも女はそこそこに懐っこかった。 「焼きたてえ〜…ふたつ食べれるかなあ。」 「チョコの入ったパン、焼きたてだとすごおくおいしいですよねえ。」 「……あ。もしかしてえ、お昼のおやつパンにもチョコのやつがありますかあ?」 小首を、こてり。 (-564) 2023/09/11(Mon) 18:27:31 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 日差しにまどろむ ダニエラ「あー、コーヒーね……オレミルクと砂糖入れねえと 全然飲めねーけど。いいんすか?」 その提案には薄く笑って興味を示す。 真面目な店員なら客に持ってこさせるなんて、と思うかもしれないが、生憎とロメオはそこまで真面目でも硬くもなかった。 「わかるっすよ、外は香ばしくなるし、中は溶けてるし」 「ビンゴ〜。おやつパンは甘いの中心なんでね。 果物のとチョコのが多い」 「今度取っときましょうか。冷凍しといても美味いもんすよ」 常連サービスでーす、とこちらもゆるい提案を。 (-565) 2023/09/11(Mon) 18:39:04 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ「あー。ふふ、なかまあ。」 「あたしもお、ミルクとお砂糖絶対ないといやでえ。」 「それも、お砂糖ふたつですよお。ふふ、子ども舌でえ。」 対照的に、無邪気そうに女は笑う。 もちろん言い出しっぺの女の方も、それで店員の評価を下げるような人間ではないらしい。 「あー、本当ですかあ。…だったらあ」 申し出には、すこし悩むしぐさ。 「友達にい、チョコが好きな子がいるんですよお。」 「ふたつ分…とか、さすがにだめですかねえ…」 だったら諦めまあす、と軽く眉を下げ。 愛想笑いみたいに、へにゃりと笑った。 (-569) 2023/09/11(Mon) 19:33:22 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 日差しにまどろむ ダニエラ「なんだ、それじゃあオレもおんなじっすよ。砂糖2個」 「子供舌仲間が居てよかった〜。アハハ」 肩を竦めて、少し眉を上げて。 「図体はデカいのに舌が育たなかったんすよね」なんて冗談も付け足した。 「2つ分? あー、全然いいと思います。 旦那もそういうの断るタチじゃないんで」 「じゃあ2つ分、取っときますよ。なるべく形の良いやつね」 悩む貴方の仕草に反して、なんとも軽くそう返した。 「予約注文ー、なんつって」 (-570) 2023/09/11(Mon) 19:42:34 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ「わあ。ほんとにお仲間だあ。」 「ふふー、それなら気兼ねはいりませんねえ。」 「次に来る時、お土産しますう。楽しみにしていてくださあい」 あたしなんて背も育ちませんよお、と笑いながら。 だけどいつも見るのは椅子に座った姿だから、そんなに大きいんだなあなんて失礼にも見つめてしまったり。 いや、背が低くはもちろん、見えませんけどお。 「いいんですかあ?ありがとおございますう」 伸びた声に喜色が点る。 また無邪気そうに笑みを浮かべた。 「これはこれはあ、これからもご贔屓にしないといけませんねえ。」 「…というわけでえ、悩んでたけど今日は焼きたてをふたつ、いただきまあす」 流れるようにそう決めて、ゆるゆると限定フォカッチャをふたつ、トレイに載せる。 お会計の財布からいくつかレシートが覗いた。 (-575) 2023/09/11(Mon) 20:34:07 |
【秘】 渡りに船 ロメオ → 日差しにまどろむ ダニエラ「そりゃよかった。んじゃ、楽しみにしてます」 少し分けてやれれば良かったな、なんてまた冗談。 事実少し大きすぎると自分でも思っているので、 そう出来るのなら願ったり叶ったりではあるが。 「お安い御用す。このくらい全然」 パ、と両手を広げて楽勝アピール。 「あい、ふたつね。じゃあ合計でこのくらいに」 「いつもどーも。また来て」 古ぼけたレジに数字を打ち込めば、出てきた金額を指し示す。 「旦那には気まぐれ増やすように言っとくよ〜。多分増えねーけど」 「ハハ」 (-577) 2023/09/11(Mon) 20:39:24 |