【秘】 軍医 ルーク → 部隊長 シュゼット―― 東棟外壁 見張り台 ――[ タブレットの中身は、殆ど使い込まれてはいないようだった。 まるで、まだ空のなにか。 そのまま閉じた方が良いと分かっているのに、 指先はどうしても、中にある何かを探す。 『ノート』 初期の名前のまま変更もされていないそれだけが、 使用の形跡があった。 導かれるように指で触れ、内容を開き、 そこに刻まれている内容に、暫しの間、押し黙る。 どうやら呼吸も忘れていたようで、 読み終わったその内容が信じられずに、 茫然とその場に佇む。 『断ち切られてしまった』感情は、役割を果たさない。 無くなったわけではないけれど、うまく繋がらない。 鍵盤はあっても、ピアノ線が切れたようなもの。 時折、思い出したように突拍子もない音を鳴らすだけ。 死んだと聞かされた頃はまだ心の中に滾っていた、 父への感情であるとか、過去の記憶であるとか――>>6 そういったものに突き動かされるようにしていた自分には、 やはり今でも、父の語った“別の世界”の話は、 途切れた先の何かを動かすものだったのだろう。] (-133) 2020/05/17(Sun) 23:20:49 |
【秘】 軍医 ルーク → 部隊長 シュゼット[ そのまま閉じようとして――… 凍るような、骨のような指が、自然と滑り出す。 (音を奏でないピアノを、 潰れた指先でなぞるように) (-134) 2020/05/17(Sun) 23:21:17 |
【秘】 軍医 ルーク → 部隊長 シュゼットはじめに、ごめんなさいを言わせてください。 日記を読むつもりはなかったのだけれど、 このタブレットはきっと、支給される前に、 父が発掘に携わって使っていたもののようです。 裏面の角に、引っかき傷のようなものがあるけれど、 それが印。 何か遺されている物がないかと思って、 中を開けてしまいました。 あなたが夢で見たという、 『太陽』よりも上にある、世界全部を照らすような光や、 『月』の刻限に空全体に散りばめられた光を、 わたしは想像することしかできないけれど。 昔、聞いた物語があります。 (-135) 2020/05/17(Sun) 23:22:53 |
【秘】 軍医 ルーク → 部隊長 シュゼット 『天』の向こうには、別の世界がある。 手を伸ばしても届かないような何かが、そこにはある。 その夜の刻限の光は、『ほし』といって、 まるで降ってきそうなほどに綺麗な、 宝石のような景色で。 そのひとつひとつには名前があって、 物語を持っているのだと。 もしまた夢を見たなら、 『ほし』と『ほし』を繋げば、 何かの形のように見えるのかも。 日記を読んでしまったお詫びに、 その物語と一緒に、 教えてもらった曲を入れておきますね。 『星』をめぐる歌だそうです。 わたしも、多くを聞いたわけではないけれど、 その中の一つが、『ほし』の話でした。 いま、とても不思議に思っています。 (-136) 2020/05/17(Sun) 23:26:55 |
【秘】 軍医 ルーク → 部隊長 シュゼット[ そうしてノートのアプリを閉じて、他のアプリを立ち上げる。 玩具のような、楽器。 初期から入っていたもののようで、 娯楽もある程度は必要ということか、 タブレットにはこの類の代物も、少しは残されている。 鍵盤をひとつひとつ奏でれば、 無機質な音の繋がりが曲になる。 それは、どこか素朴なメロディの繰り返しで、 遠い何処かを旅するような、そんな曲だった。 作成したファイルを、ノートのアプリの隣に出しておく。 そうして、画面を消した。 ――“思っています”と、自身の指がそう綴ったことには、 自分でも、気づかずに。]** (-137) 2020/05/17(Sun) 23:28:20 |
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