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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 渡りに船 ロメオ

分けて欲しかったなあ、と同意して笑う。
実際のところ平均並みの身長は、気にする程は低くないはずなのだけれど。

「はあい。また来ますよお。」

レシートを避けてちょうどのお会計。
焼きたてのフォカッチャふたつ、ほくほく顔で受け取った。

「ぜひぜひ、お願いしますねえ。」
「それで増えたら儲けもんですからあ。」

ひらりと手を振る。
もし増えたところで、女がここに来る頻度はきっと変わらないだろうけど。
言わなくていいことは言わないまま、軽い足取りで立ち去っていった。
(-0) 2023/09/11(Mon) 21:01:21

【影】 日差しにまどろむ ダニエラ

夜になると、ときおり思い出すことがある。
はっきりと“いつ”と断言のできない幼少の記憶。
ひとりきりで眠る幼子の記憶。

幼すぎて覚えていないというわけではない。
ただただ、それが常だっただけ。

「……Madre」

夜の消灯は、その頃から苦手だ。
同じように明かりをつけたまま、同じように、呟いた。
(&0) 2023/09/11(Mon) 21:44:12

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>3 ニコロ

「はあい。んー、カボチャ…カボチャいいなあ……」

悩むといいつつ気持ちはどうやら大分カボチャに向いている。
キノコ嫌いではないのだけれど、今日はそっちの気分のようで。

「ああー、チャバッタ。美味しいですよねえ。」

弾んだというには伸びた声音で頷いて、それでも明るいトーンに違いはない。

「いつも行くサンドイッチ屋さんもチャバッタを使ってるんですよお。」
「でも、オリーブオイルですかあ……」
「そういえばサンドイッチ以外で、あんまり食べてないかもしれません、あたしい。」

『poco a poco』に次行った時買ってみようかなあ、なんて呟くのは眼鏡の長身が店番をするベーカリーの名前。
2日に1度、彼女がフォカッチャを買う店だ。

(8) 2023/09/11(Mon) 21:45:35

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

三日月島の街中、大してひっそりとした場所でもないところに建つホテル。
ひと月ほど前から、この一室には宿泊者がある。
夜になっても、留守の時も消えない電灯。
いつ不在でいつ眠っているかなんて、外からでは決して分からない。

その時在室していた名義人の彼女は、のびやかにあくびなんぞ繰り広げていた。
「そうだ」と、本当に今そこで思い出したどうでもいいことのように。

「一応〜、教えてもらったこと、本当か調べてみたんですけどお」
「嘘じゃあなかったからあ。信用しますねえ」

あまりにも軽い。
そもそも、その腕を信用したから声をかけたのだけれど。
順序が逆で、ちぐはぐだ。その印象を抱いたなら、間違いではない。
(!0) 2023/09/11(Mon) 21:54:04

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>11 ニコロ

「あ。ほんとおですかあ?」
「ふふ、店番のお兄さん、面白い人ですよねえ。」

知ってます?なんて訊ねたりして。
話を聞けば本当に美味しそうなものだから、次は是非ためそうと心に誓ってまた笑った。

「わあい。ありがとおございますう。」

そうしてカボチャのピザを手に入れるも、すぐに食べようとはせずその身をくるり。

「あとはあ、市民さんのさがしものでしたねえ。」
「すぐそこの公園にはベンチがありましたか。そこでいかがですかあ?」

その手にピザがあるからか、口許が緩んでいる。

(15) 2023/09/11(Mon) 22:29:15

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

はあいと間延びをした返事。

「もしものときは、勿論知らん顔して逃げてくださいねえ。」
「…そもそもそんな道理の通った法令では、あんまりなさそうですけどお。」

実情を知る女は、そこでようやく眺めていたディスプレイから視線を外した。
ディスプレイに並ぶのは『反社会組織取締法』、通称マフィア取締法についての概要。
法という名の無法。率直な感想はそれだった。

「んー……」

さて、質問には悩む様子だった。
どうやら一言で答えるのは難しいらしく。

「多分、個人ですよお」
「誰かに命令されたとかじゃ、ありませんしい……」

「ただあたしは警察の、摘発チームの人間ですからあ。」
「……やれないことは、ないですよお。きっと。個人でも。」

内部に信用されているからこそのこの立場であると、女は嘯いている。
(!2) 2023/09/11(Mon) 22:50:51

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>16 ニコロ

「そおですそおです、その人ですう。」
「ふふー。試してみますねえ、ニコロさんオリジナル〜」

料理名らしい。鼻歌混じりに告げながら。

「はあい。心ゆくまでお弾きくださあい。」
「静かあに、聴きますよお。」

ピザを抱えて公園へ。
辿り着いたそこは決して無人ではなかったけれど、運良くベンチは空いていた。
足早に寄って、ぺふりと腰掛ける。

(20) 2023/09/11(Mon) 23:03:03

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

今日は特にメッセージがない。

ただいつもの場所で受け取れば、

『送った』

とだけ書いてある。
……家に帰れば、宅配便が届いているだろう。
チョコレートに合いそうな、
色鮮やかな七色の缶に入ったフレーバー・ティーの詰め合わせだ。
当然のように、高い。
(-15) 2023/09/11(Mon) 23:07:58

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>23 ニコロ

楽しみだなあと足を揺らして。
あなたがハーモニカを取り出すと、音色を邪魔しないよう静かにピザを取り出した。
カボチャの甘味にピザ生地やチーズの香ばしさ。
咀嚼しながら、その音に耳を澄ませる。
長閑な公園に緩やかなテンポで響くハーモニカ。
歌詞が頭に浮かぶくらい、よく聞き知った曲だった。

ご馳走になったピザを食べながら演奏を聴くなんて贅沢な時間だなあなんて。
そんなことを他人事みたいに思い浮かべながら、その穏やかな時間を揺蕩っている。

演奏が終わると控えめな拍手の音がした。

「お上手ですねえ」

なんて言って、膝上に一度置いたピザをまた持ち上げる。

(27) 2023/09/11(Mon) 23:52:16

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「んー……」
「好き好んで。そおだねえ。」

またどうも、答えるのが難しいのか。
考えているような間のあいだ、女は両手を広げその爪を眺めている。
それぞれの小指にはマリーゴールドの色をしたエナメル。
黄金の花。太陽の色。

「愉悦感とか、達成感とかは、ないけどお…」

そうして眺めていると、右手のエナメルが欠けていることに気付いた。
塗り直さないとなと、ぼんやり。そうして徐に立ち上がった。

この日は自宅のアパルトメントに寄り、荷物を持ち帰っていた。
部屋の隅に置いたそんなに大きくもない箱を開く。
中から7色の缶を取り出した。フレーバー・ティーのアソートだ。
それを飲むでもなくディスプレイの横にとんと置く。

「同じように、罪悪感は、ないですよお。」

強いられているわけでもないから、当然。
そう女は言ったつもりだろうし、声音に特別な色はなかった。
けれど、それを答えるまでの間が、ひとつの事実を幽かに浮かべている。

 ――きっと、あるのだ。罪悪感は。
 そしてそれを女は、ないものにしたい。

あなたに隠すというよりは、もっと根本的な部分で。
女はそれを抱くことを、そんな自分を、許せない。
(!4) 2023/09/12(Tue) 5:01:19

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「だけど調べたい人とかはいないから、そっちはいいですよお。」

続いた声には、幾らか感情が乗った。
それを押し殺そうという意思が女の口から消えたのだ。

「逆に調べなくていい人は、もしかしたら出るかもお。」
「結果を待つ前に動くかもとか、そういうのお。」

余計な手間はかけられないしいとぼやきながら、再度座った女は、欠けたエナメルを剥がしにかかった。
リムーバーをコットンに染みさせ、丁寧に拭いとる。

「だからあたしの目標はあ、お兄さんに共有しますねえ。」
「今狙ってるのは、パオロ巡査。そっちは数日中に。」
「あとは――」

「――ニーノ・サヴィア。」

「そこまでの予定は決まってますからあ。」
「手間をかけて調査するんでしたら、それ以外をおすすめしますう。」

綿棒にもリムーバーを染み込ませ、際や端のエナメルもおとしながら。
もう一度その声は事務的に、無感動に、変わっていく。
(!5) 2023/09/12(Tue) 5:01:52

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

2日に1度。
偶数日のフォカッチャに、奇数日のサンドイッチ。

この日の女の朝はゆっくりでいいらしく、パラソルの張ったテラス席でサンドイッチを食べていた。
チャバッタに野菜、生ハムとチーズ。
変わらない具材に飽きることもなく齧りながら、やけに女は上機嫌だ。
鼻歌すらも浮かべるほどであったけれど、その鼻歌も、街中の喧騒に消えていく。

(30) 2023/09/12(Tue) 6:12:45

【影】 日差しにまどろむ ダニエラ

ホテルへと戻る前に、女は本来の自室であるアパルトメントに寄り道をした。
そこで荷物を受け取ると、包みを開こうともせず大事そうにそれを抱える。
暫しそうして満足した頃、ようやく大した大きさもなかろう箱を開いた。

中に並んだ7色を眩しそうに見つめ、知らずのうちに口元が緩む。
勿体なくて、まだ食べることの出来ずにいたチョコレート。
一緒に食べろということだろうけど、これもまた少し勿体なくて一度箱を閉じた。

いつもこうなのだ。
あの人が、色んな人に同じようにしていることはわかっている。
それなのにこんなにひとり喜んでいることは、自分だけのささやかな秘密なのだった。
(&1) 2023/09/12(Tue) 6:14:05

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

あなたに、その日届くメッセージ。

『例の件、摘発チームが編成された』
『メンバーを知る必要があるが、無理はしなくていい。
 引き続き、署内の対策法に対する態度を探れ』
『ただし「アリソン」には気を付けろ。その名前が出たら触れなくていい』

…女性の名前だ。

『それと資金を追加した。好きに使え』

君の口座に、追加で予算が振り込まれている。…車でも買えそうな額だ。
(-36) 2023/09/12(Tue) 8:12:44

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡


Si了解

短い1文。
昨日の宅配物についても何も触れられないままの、それだけの応答を送る。
しかしこの日は、追伸があった。

『近々伺います』

そうしてあとはいつもと同じように、読み返して履歴を消した。
(-49) 2023/09/12(Tue) 13:27:06

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>41 ニコロ

「子どもの頃からあ……ベテランさんですねえ。」

弧を描いた口元で感心を示す。
またひと口とピザを咀嚼すると、続いた言葉には悩むしぐさを見せた。

「あー、いいんですかあ。んー……」
「曲名がわかんないんですけどお、えっとお」

控えめに。
それでも照れは特になさそうな様子でハミングし主旋律を奏でる。
少し聞けばすぐ、レオンカヴァッロの『子守唄ニンナ・ナンナ』だとわかるだろう。有名な曲だ。

「……こんな曲ですけどお、わかりますう?」

小首をこてり。

(53) 2023/09/12(Tue) 15:21:11

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>55 ニコロ

「んふふー。」
「上を見たらきりがない〜ってやつでしょうかあ?」

控えめにくすくすと喉が鳴る。
あなたが曲名を口にすると、「あー。」と短い感嘆詞。

「そのまんま、子守唄なんですねえ。曲名。」

そんな短い感想だけ残し、また演奏に耳を澄ませる。
懐かしい旋律に、ハーモニカの音色。
いつの間にか、目を閉じて聴き入っていた女は、曲が終わると今度は拍手をしなかった。

「……思うんですけどお。」
「プロに劣ったとしても、いいと思うんですう。」
「ニコロさんのハーモニカ、あたしはすごおく好きですよお」

素直な感想に、照れはない。
いつの間にかほとんど食べてしまっていたピザの最後のひとくちを、ぱくりと頬張って飲み込んだ。

「ごちそおさまでしたあ。」

(58) 2023/09/12(Tue) 16:25:18

【独】 日差しにまどろむ ダニエラ

/*
おれそういえばここでニコロさんの法令についての姿勢調べるつもりじゃなかったですっけ!?!?
もう無理そお!!!!!!!!
(-55) 2023/09/12(Tue) 17:20:14

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「ねー」

電話番の、ゆるりとした時間。
相変わらずの気怠い声が、書類仕事に向き合うあなたに投げられた。

「署長代理?さん、ニーノくんお話とかしたあ?」
「どんな人だろおねえ」

たかだか巡査の身の上で、ご挨拶という立場でもない。
何やら漏れ聞こえる噂を聞くに、新たな法令を敷こうとしていることくらいしか、女は知り得ていなかった。

…とまあ、つまり。
いつも通り、暇を持て余しての雑談のようだ。
(-63) 2023/09/12(Tue) 20:50:54

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

「こんにちはー。」

仕事帰りのジェラート店。
この日注文したものはカップのピスタッキオだった。
いつもはコーンだけれど、こういう日がたまに存在する。

「いただきまあーす。」

スプーンでジェラートをひとすくい。
女の、たまの楽しみのひとつだ。
(74) 2023/09/12(Tue) 22:08:17

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

店員を通して、この日の女の注文があなたへと伝わる。
カップの注文は、『待ち合わせ』を意味していた。
味の数だけ綿密に決められた待ち合わせ場所。
あとはあなたから時間の指定さえあれば、その日時落ち合う運びとなる。
(-67) 2023/09/12(Tue) 22:09:07

【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ

ゆるりとした時間が流れる中で、この男はといえば眉間に皺を寄せていた。
向き合う書類は朝の見回りの報告書なのだが、所謂デスクワークが苦手なのである。
言葉を上手くまとめるとは如何に、どう…などと考えていたところで、かかる声にはぱっと貴方へと向いて。

「ううん、オレもまだ話したことないです。
 でもなんか噂だと……マフィアが嫌いそう?なんでしたっけ。
 取り締まるための〜新しい法令作ろうとしてるとか……」

「ダニエラさんは賛成側です?」

知識量としては勿論こちらも同じ程度。
何せほやほやの新人で下っ端である、上の世界は分からないことの方が多い。
元々雑談は好きだし、目の前の難題から一時離れられるとなれば男は乗り気で話を広げようとしていた。
(-68) 2023/09/12(Tue) 22:14:22

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「ええー?やだよお。もちろんー。」
「だって、仕事増えそうだしい。」

眉根を寄せての即答だ。
散らかり果てたデスクの上で、書類も気にせず頬杖をつく。
どうせもういらないものが殆どなのだから、問題ないらしい。

そんなデスクだというのに、同じ仕事を2度も3度もやりたくない女の作る書類にはいつも抜けがない。
それでいて何故かきっちり時間には帰る準備を整えているのは女の特技だ。

「ニーノくんはあ、賛成ー?」

雑談を投げてきたのもどうやら、己の仕事を終えたためらしい。
あとは、後輩の眉間の皺を見ての息抜きの提案か。
(-73) 2023/09/12(Tue) 22:38:15

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

時間の指定が飛んできた。
割とすぐだ。
『今から向かう』と添えてあった。
(-75) 2023/09/12(Tue) 22:38:49

【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ

「あはは、それはそう。
 ダニエラさんは相変わらずですね」

「オレは家族都合で、表向きには賛成って言っておかないとですけど」

この言い方をしてる時点でお察しといったところだ。
にしてもゆるゆるしているように見えるし書類も散らばっているけれど、恐らくやることは終えているのだろう。
相変わらずはそこもということ、すごいなあとは内心のそれだ。

「マフィアのひとにも……いろいろ事情があるのかなって思って。
 そしたら、なんだかなーって感じです」

書類で疲れていたのもあってか、答えながらもぺとり、机に頬をくっつけていた。
(-79) 2023/09/12(Tue) 23:11:45

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

今日の指定は、或るマンションの地下駐車場。
白い明かりが天井から、打ちっぱなしの壁を照らす。
あなたの車が現れるのと同じ頃、女もその姿を見せた。
車の傍へと近付いて、乱視のレンズの向こうから、黒いレンズのその奥を映す。

後部座席のドアを開け、乗り込む。
ふうと息をついた女は、まず軽口を叩いた。

「喫茶店、開けてる時間じゃないんですかあ」

知りませんよおなんて続けて。
膝の上に、鞄を載せる。
(-80) 2023/09/12(Tue) 23:21:17

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>79 ニコロ

「ほんとおですかあ?やったあ。」
「それじゃあまたの機会を楽しみにしてますねえ。」

立ち上がり、口元緩く。

「美味しいピザと素敵な演奏、ありがとうございましたあ、市民さん。」
「また何かお困りのことがありましたらあ、本官にお気兼ねなくご相談ください〜」

…どうやらこの演技、気に入ったらしい。
ふふ、と笑いながら最後に軽く手を振って。

「また明日。お会いしましょうねえ。」

その『明日』、女が非番であることも度々あるのだが、そんなことは些細だと言わんばかり。
いつもとおんなじ挨拶を残して、その場を立ち去っていく。

(83) 2023/09/12(Tue) 23:29:32

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「よう、お嬢さん」

滑るように入ってきた車があなたを乗せる。
黒眼鏡のお気に入り、赤のフィアット500チンクェチェント――
日本では某怪盗の三世の愛車として有名だが、
今乗るには多分に趣味的だ。
丸みのあるユーモラスなフォルムはしかし、かなり窮屈でもある。

「なあに、うちのお客さんなら分かってくれるさ」

運転席越しに振り向いて、笑う。

「このままドライブでも行くか? ダニエラ。
 海辺とかいいぞ」
(-83) 2023/09/12(Tue) 23:37:57

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「そりゃそうだよお。」
「それよりお菓子とか食べてたいしい。」

けたけたと控えめに笑う。
足をゆらゆらと揺らしたせいか、椅子が軋むような音を立てた。

「んー。事情かあ〜。」
「でもお、一応世間的には悪い人なんだよお。」
「ニーノくんは、事情があったら悪いことしてもいいって思う〜?」

頬杖の手で頬を押し潰しながら。質問の内容の割に声色は軽い。
本当に世間話の延長の、素朴な疑問であるらしかった。
(-95) 2023/09/13(Wed) 0:38:39

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「知りませんよお。」
「ちょっとサボってる間にい、コーヒー入れるの下手になってもお。」

せっかくこの間は美味しかったのに、なんて。
そこまで言いはしないものの、多分にその意図は滲んでいる。

そんな女は小柄という程でもないが、決して大柄でもない。
そもそもそれ以前、狭い狭くないを気にする必要もなくこの車に乗るのは好きだった。
そう口に出したことはこれまで一度もなかったし、今後の予定にもないけれど。

「海辺にドライブですかあ。いいですよお。」
「あたしでよければ何なりと。お付き合いしますよお。」

だから本当は、その提案に見かけよりも喜んでいる。
それを素知らぬ様子に変換する、ひねくれた女であるだけで。
もしかしたらそれすら、あなたには筒抜けなのかもしれないけれど。
(-100) 2023/09/13(Wed) 1:26:17

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「それは困るなあ、またダニエラに飲んでもらわないといけないのに」

ノンキに笑いながら、パチンとハンドルの裏についたトグルスイッチを弾く。
メーターを照らす照明がパッと点灯し、古ぼけた計器を照らし出す。
そのままを慣れた仕草でガチリと音を立て、キーが回る。
表示や案内の何もない不親切極まる工業機械を、
物に執着しないこの男が使い続けているのは…なぜだろうか。

少なくともあなたと違って、かなり大柄な男にとって
その運転席は随分窮屈なはずだけど。

喜んでCon piacere.、お嬢さん」

気取った様子で答えてから、するりと車が動き出す。

「飯はもう食ったか?
 ジェラートはいくらでも食えるらしいから、そこは気にしないぞ」

地下駐車場から顔を出して、左右を確認しながらハンドルを回す。
建物の間から、ちらりと水平線が見えた。
(-101) 2023/09/13(Wed) 1:56:13

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「あたしも困りますう。」
「…楽しみにしてるんですからねえ、
マスター
。」

後部座席で、微かに口元が緩む。
無意識のそれはすぐに引きしめて、窓の外を向いた。

初めてこの車に乗った時、同じ疑問を抱いたことがある。
けれど女は訊ねなかった。
理由は至って単純だったが、お陰で今も訊けずにいる。

「まだでえす。」
「カルツォーネくらいつまもうとは思ったんですけどお。」
「…そおいうアレッサンドロさんこそ、ちゃんと食べてますかあ?」

するりと連想されたのは、半分ほどのホットドッグ。ソーセージなし。
元来の女は、表向きの顔ほど食に執着がない。
それでもその顔のお陰でしっかりと食べている部類にあった。

「…大変な時期なんですから、倒れないでくださいよお?」

部下としての思いを微かに乗り越えたお節介は、口にすると逆に胸の中が濁るようだった。
これに関しては今言うべきではなかったかもしれない。
少なくとも表の自分のときに言えば、そんなことも考えずに済んだのだが。
(-105) 2023/09/13(Wed) 5:32:38

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「そりゃあ頑張らないとな〜」

狭い車内で、慣れた様子で首を巡らせて周囲を確認。
エンジン音を響かせながら、するすると車の流れに乗っていく。
堅実で真面目で、リスクを取らない。
今のアレッサンドロの仕事のような運転。

後部座席にはちらりと目を向けながら、
特に秘めた疑問には気が付いた様子はない。
それよりも、対向車の動きにじっと注意を向けながら。

「じゃあどこかで買って食うか。
 俺もまだだ」

家に帰れば、ホットドッグ…用のパンがある。
そのうち食べようと思っていたが忘れていたので、
まだ食べていない。

「仕事に穴をあけるようなことはしないさ」
「お前もな。
 大変じゃないか、仕事・・

仕事。
こっち・・・の仕事とか、
あっち・・・の仕事とか、
色々な意味だ。

車はすでに、海辺に続く広い道へと合流していた。
(-116) 2023/09/13(Wed) 9:07:35

【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ

「好きですねえ、お菓子」

それもやっぱり相変わらず。
でもそんな貴方の朗らかさを好いものと感じているのは事実だ。
だから目元を緩めていたものの、投げかけられた問いにはん〜とすぐに答えの出なさそうな声。
考え込むようにしてそのまま一度瞼を落とした。

「…………いい、とは言いませんし。
 警察の立場で、言っちゃだめだろうなとも」

「それでも裏にあるものを考えないで、肩書だけで悪い人って頭ごなしに決めつけてたら。
 取り零してしまいそうなものがありそうで、……ううん。
 なんというか、オレだったら嫌だ」

「悪いことに手を染めないと、生きられないときだってあるし……」

そうして視界を少し開けば、まだ数文字しか書き始められていない書類に指先を滑らせる。

「だから、分かりたいなって思うんです。
 理解したからって何ができるかはわかんないですけど。
 ……変ですかね」
(-127) 2023/09/13(Wed) 10:32:18

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

流れる景色を眺めつつ、時たまちらりと運転席の後頭部に視線を向ける。
今のあなたしか知らない女は、母の言っていた昔の姿を想像もできやしない。
時折それに寂寥を抱くことがある。それもまた、いつまでも口にしないことのひとつ。

仰せのままにSignorsì 。」

前述通りの女であるから、寄る先がどこでも何を買うでも文句は出ない。
短い返事で食事については切り上げて、濁った胸の中身を押し出すように吐息を落とした。

「んー。まあ大変は大変ですよお。」
「まだまだ下っ端ですからあ、大した仕事はありませんけどお、その分別の仕事もありますしい?」
「…
そっち
については、今のところ、ニーノ・サヴィアがあんまり善く思っていないことしか、調べもついていませんけどお。」

進捗は芳しくないらしい。
無意識に口を尖らせると、そんな自分の顔が窓ガラスに映り込む。
(-153) 2023/09/13(Wed) 15:32:32

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「そりゃあだってえ。おいしいし〜?」

さも当然と宣って。
そんな話をしていると、口寂しくもなってきたらしい。
引き出しを開け個包装のミニドーナツを取り出して、包みを開けて、ぱくり。
咀嚼のさなかあなたの言葉を聞いていた女は、同じくん〜と難しそうな声を上げる。

「変じゃないと思うけどお。」
「…ニーノくん、苦労しそお。」

これでも言葉を選ぼうとしたのだが、結局選びきれなかったような気がする。
指先についたシュガーの粒をごみ箱に払い落とす、そのしぐさに合わせて小指のエナメルがゆら、ゆら揺れて。

「……どんな事情があっても、悪いことは悪いことだよお」
「悪いことしたって事実はなくならないしい。」
「被害に遭った人に、『仕方なかったんです』なんて、通じないよお。」

「あたしたちは警察なんだから、それくらいでいいんじゃないかなあ。」
「…と、ダニエラ先輩は思うわけでしたあー。」

冗談めいた口調で締めて席を立つ。
個包装をひとつ、あなたのデスクにお裾分けした。
(-157) 2023/09/13(Wed) 16:24:08

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

エナメルを剥がし終えた手を保湿する。
そうして漸く視線が上がった。鮮やかなミントブルー。

「…倒れませんよお。」
「そんな暇、ありませんしい?」

声に、多少の笑みが乗る。
お金のためであったとしても、その言葉は少し嬉しかった。
それでもその笑みに寂寥が乗ったのはきっと、続いたボヤきを聞いたからだ。
瞬きとともにその寂寥も、塗り潰して消えてしまったけれど。

「そお。あたしたちの可愛い後輩クン。」

さすが、名前くらいは知ってるんだねえと。
続いたその声は、少し明るい。

「新人だから、御しやすいとかあ。」
「同じことを署長代理お上も思ってるかもしれないとかあ。」

「…いろいろあるけど、1番は」
「ちょっと、個人的な事情。って、ことでえ。」

それに巻き込まれるあの子は本当に不憫だ。
だけど、煙が立つ前に日は消さねばならなかった。
(!8) 2023/09/13(Wed) 17:02:26

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>104 テオドロ

背後の声に振り返る。
見知った黒髪を認めると、へらり。

「テオドロさんじゃないですかあ。」
「ふふー。そちらを選ぶとはお目が高い〜。」
「あたしも大好きなんですよお。ぜひぜひご賞味くださいませえ。」

実際に、暫く同じ味ばかりを注文していたらしい。
そんな女も最近はイチゴfragolaに浮気しがちだったりする。

「今日はお休みでしたかあ?」
「それとも、休憩中でしょうかあ。」

そのどちらとも違う、ピスタッキオを戴きながら。
こういうことを聞いてくる時は、女のだる絡みの予兆である。
仕事中だと巻き込みにくいあなたのことも、オフなら巻き込めてしまうのではと、狙いを定めようとしている。
(109) 2023/09/13(Wed) 17:41:34

【独】 日差しにまどろむ ダニエラ

/*
ミネちゃん♡♡♡♡
いや拷問部屋訪れる旧友見てハート飛ばすやつ明らかにやばいな
(-162) 2023/09/13(Wed) 17:52:30

【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ

「え〜そうかなあ」

変じゃないと言ってもらえたのでうれしさがひとつ。
苦労しそうには自分ではわからないから間延びした声を落とし。
今日はミニドーナツだ、なんて煌めくエナメルにぼんやりと視線を注ぐ。
最中に耳に届くのは、そう深く考えなくてもよいと背を擦ってくれるような言の葉だ。
それを受けてゆるり目を細め、お裾分けしてもらえたと分かればにへらと笑みを。

「……悪い、に。
 歩み寄ってくれる誰かがいたら、もしかしたら。
 世界を憎まずに済むこともあるのかな……とか」

「そういうの、考えすぎなのかもですね。
 だからダニエラさんの考えを聞けて良かった。
 ドーナツありがとうございます、頑張れそ〜」

えいしょと姿勢を正し個包装越しにドーナツを撫でた。
今食べるか、頑張ってから食べるかは悩みどころだ。
うーんと少し悩みながらも、ふと。

「そういえば流れ的にはちょっと変わるんですけど。
 ダニエラさんってどうして警察目指されたんですか?
 悪いことを取り締まるため?」
(-164) 2023/09/13(Wed) 18:42:34

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

後部座席の人物が何を考えているか。
男でなくとも、それを悟ることは難しい。
だから少なくとも、鼻歌でも歌いそうな調子でハンドルを握るこの男が、口に出さず留められた想いを知ることはないだろう。

そこに思い悩む様子もない。
彼が見せるのは道行く車たちとすれ違い、海辺の道に出て、
ぱあと開けた視界に、

「お」

声が漏れて。

「お嬢様、見えましたよ海」

ほらほら、とバックミラーで笑う、能天気な顔だけだ。


「確かあっちにフリットラ売ってる屋台があったはず…ん」

海辺の道をゆきながら、
あなたの言葉を聞いて、ほう、と応える。

「まぁそうだよな、警察の仕事内容までは良く知らんが」
「いじめられたりしてないよな〜?」

ハンドルをゆっくりと回す。
海岸線にそったゆるやかなカーブを、フィアット500が進んでいく。

そっち・・・についても、
 そのくらい分かればいい。リスクは少なく、な」
(-167) 2023/09/13(Wed) 19:54:34

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>112 テオドロ

「ええー。そんなあ。」
「冷たいのはジェラートだけで充分ですよお。」

大袈裟に嘆くような物言いで、その実けらけらと笑っている。
あなたの反応から察しはしたのだろうが、しっかりだる絡みは開始されていそうだ。
多分、当社比、軽度。

「そんなこと言わずう、ぜひぜひ常連さんデビューしましょうよお。」
「おいしいものって元気が出ますよお。」
「実際に毎日おいしい物食べてるあたしは、こんなにも元気ですしい〜。」

日々気怠そうに業務にあたる女を当然あなたは知っているだろう。
女が元気なのは、休憩時間と定時の間際くらいのものだ。
(114) 2023/09/13(Wed) 20:00:12

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

「んふふ。どおいたしましてえ。」

伸びた声は、つい今まで真面目そうな話をしていた人とは思えないほど。
左手でそっとあなたの背中をたたく。いつもの練習の延長線。

「ええー。聞いちゃうう?」
「……んー。」

小首を傾げ、数拍。
やおらにその口元が柔らかく緩む。

「………今は、秘密う。」

転がすように囁いて、その瞳はあなたを映し細められる。
するりと傍を離れると、自分の席にもう一度座った。
ぎし…と同時に、軋む音。

「ちょっとお、恥ずかしいしい…?」
「でもお、…いつか、教えたげるよお。」
「…約束う」

ゆら、ゆら。足をまた揺らす。
頬杖をつく、元の姿勢に戻ったならば、「それでいい?」とまた、間延びした声。
(-172) 2023/09/13(Wed) 20:31:05

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

その声を受け、外へ向いていた視線は不思議と車内へ向いた。
まず映ったのはフロントガラスの向こうに広がる景色。
開けた道とその先の海。同じくらいに広い空。

そして。

「…ほんとお」
「きれーですねえ、」

やおらに、女の表情が移り変わる。
頬が緩んで、それを隠してツンと澄ますまで緩やかに。
この車に乗るのは、好きなのだ。
たとえ狭くて窮屈だとしても。…そしてもしかしたら、それすらも。

「いじめなんてありませんよお。」
「アレッサンドロさんの部下は優秀ですから、ちゃあんと、上手くやってるんですう。」

くすくすと、ささやかに笑う。
口元に当てた左手に、小指のエナメルが煌めいた。

「だから、安心しておまかせくださあい。」
「お時間は、その分いただきますけどねえー。」

歌うように言って、また外を見た。
別に目新しくもない見慣れた海辺だ。
だけど窓ガラスに映った顔は、どこか楽しそうな色を浮かべていた。
(-183) 2023/09/13(Wed) 21:30:52

【秘】 陽光の元で ニーノ → 日差しにまどろむ ダニエラ

叩かれた背は予期はしていないもので、最初の方なら緊張してしまっていただろうか。
今は驚きよりも素直に励みとして受け取ることができたから、形作った笑みはそのままに。
それでも囁かれた言葉にははたりと瞬き、少しばかり呆けた表情を向ける頃には貴方は自席に辿り着いていて。

「……約束してくれるんですか?」

秘密、は今は話したくないに近いということ。
それなら話さなくてもいいのに、いつかの日に約束をしてくれるという。
なんだかそれがうれしくて、だから素直に唇を動かした。

「ぜんぜん……それでいいです、嬉しいです。
 あはは、でもダニエラさんでもはずかし〜ってなること、あるんですね」

意外だったって笑う、あんまりそういうのはなさそうに見えていたから。
理由は前にも聞こうかと悩んで、やめたものだ。それでもやっぱり気になって今尋ねてしまったわけだが。
貴方の過去を思えば悪を庇うような言葉は言わなかった方がよかったのかもな、とはそこまでを思い出して今更のように。
けれどほんとを有耶無耶にもしたくなかったから、話したことは後悔しないまま。

「お菓子も楽しみも貰えたから、仕事へのやる気が百倍になったかも……です!」
(-184) 2023/09/13(Wed) 21:47:14

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「ああ」

海を見る時、黒眼鏡はなんとなく遠くを見る。
フロントガラス越しの、三日月島の海をじっと眺めているようだ。
だが、あなたの言葉には頷いて、

「綺麗だ」

「…ドライブ先にはよかったな」

ミラー越しに笑顔を垣間見たのか、笑みが混じるような声。

「ほんとか〜?
 困ったことがあったらいうんだぞ」
「怖いおじさんもいるからな、あそこは」

恐らくは特定の個人のことを指しながら、はははは、と声を上げて笑った。

(1/2)
(-187) 2023/09/13(Wed) 21:58:38

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

途中、道端で営業している屋台の前に車を滑り込ませると、
フリットラ――パンにコショウとレモンの効いた牛のくず肉煮込みを挟み込んだもの──を二人分買って、

「ん」

と後部座席に手渡した。


「デートにゃ色気のないモンだったな」

悪いね、などと笑いながら、ふたたびアクセルを踏み込む。

「まぁ、安心してるよ。
 時間もかけていい。お前なら、変なリスクは取らないだろ」
「マフィア稼業で危険を取るなんざ、まったく、くだらないことだ。
 ……俺がいうのもなんだけどな」

再び、ガラスの向こうを海が横切る。
白波がさんざめく海面が、きらきらとした青と橙に瞬いた。

(2/2)
(-189) 2023/09/13(Wed) 22:02:25

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>>118 テオドロ

「そんなこと言うと、真に受けますよお。」
「仕事中においしいもの食べてもいいってえ。」

嫌味についても、からころと控えめな笑い声。
ひとすくいしたジェラートを口に運びながら、もちろん冗談であるのは言うまでもなかろうと思っている。

「ふふー。さすがテオドロさん。正解ですう。」
「楽しいですよお。だからその楽しいを、お裾分けできたらあって思ったんですけどお」

振られちゃいましたあ〜だなんて、やはり言葉だけは大袈裟だろう。

「じゃー通いつめなくってもいいですからあ、お疲れの時にでもまた食べに来てくださあい」
「ほら、最近っていろいろ大変じゃないですかあ。そしたら2度目はすぐ近く…だったり、しません〜?」

…推し活に余念はなさそうだ。
もしくはこれもただのだる絡みの一環かもしれない。
(131) 2023/09/13(Wed) 23:24:45

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ

あなたの言葉に、女は静かに微笑んだ。
遅れてひとつ、ゆるりと首肯する。

「…うん、やくそくう」

言葉と共に、へらへらと口を歪め。
少なくともあなたの“ほんと”を女が気にした風はない。
どちらかというと気にしたのは。

「んむー?どおいう意味かなあ。」
「あるよお、恥ずかしいことくらい〜。」

こちらの方らしい。
むすりと口を尖らせて、けれどもそれもすぐ収まる。

「なあんて。いいよお。」
「ふふー。そろそろニーノくんの定時が怪しくなってきちゃうかなあ。」
「…邪魔したお詫びに、ちょっとくらいなら書類見てあげて、いいよお。」

添削というやつ。

「それともやる気百倍のニーノくんには必要ないかなあ〜。」
(-204) 2023/09/13(Wed) 23:42:50

【影】 日差しにまどろむ ダニエラ

“いつか”はこない。
破られることがわかっている約束を交わす。
それに罪悪感を抱く必要なんてないはずで。
それでも一瞬、確かに良心と呼ばれるものがずきりと痛んだ。
(&2) 2023/09/13(Wed) 23:49:00

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

その声色にまたうっすらと頬を緩め。
ひねくれもののあなたの部下は、

「及第点ですう」

それでも声音の喜色は隠そうとしないまま。
また表情だけをすまさせた。

「大丈夫ですってえ、もお。」

どれだけ重ねられても信用がないだなんて受け取らずに済む程度の自負はある。
そしてそれはきっと自負だけに所以しない。…幸福なことだと思う。

(1/2)
(-214) 2023/09/14(Thu) 1:33:14

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「まあ、そうですねえ。」

受け取ったフリットラをひとかじり。
色気がない、には同意しかなく、苦笑する。
そのまま色気のある車内食というものについて思いを馳せようとしていたとき。

「…ふふ。はあい。」

静かな首肯。
すぐ茶化してしまうより、多少は誠実さを残したかった。

「さすが、“港”の“黒眼鏡”さんは言うことが違いますねえ。」

直後には茶化してしまうわけだが。
そうやって久し振りに口にした呼称に、ひとりでまたくすりと笑い、遠くの海を見つめていた。

(2/2)
(-215) 2023/09/14(Thu) 1:34:08

【独】 日差しにまどろむ ダニエラ

――黒眼鏡さん。

そう呼んでいた幼い日、こうして彼と
デート
するなど、誰が想像しただろう。
その頃から重なった縁を思えば、恩を返したいし、期待に報いたいと思うのは自然なことだろうと思う。

そのために、リスクを負わないということも大事なことだけれど。
リスクを負う、ということも。今は、必要なことだと感じていた。
(-216) 2023/09/14(Thu) 1:35:00

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ


「そいつはよかった」

かちゃり、と黒眼鏡を押し上げる。
声色が耳を擽って、それが伝染したかのように口許が綻んで。

「まぁ覚えておけ。
 年を食うと、若者が頑張っているのを手助けするのが楽しくなるのさ」

押し付け癖の延長と言われれば、そうなのだろうけど。


「そういえばあそこのジェラート、最近食ってないな。
 あんまり繋がりを残したくなかったが、
 立ち寄るくらいはいいだろ」

さっさと食べ終わり、包み紙を助手席の紙袋の中に放り込む。
食事にさほど拘らないアレッサンドロも、濃い味付けの肉のあとに冷菓を食べたいという欲求はあるようだ。

(1/2)
(-221) 2023/09/14(Thu) 2:07:52

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「うるせ」

茶化す言葉には、おどけて応えて。
――しばらく、開けて真っ直ぐな道が続く。
フロントガラスからリアガラスまでが海面の煌めきを映しとり、
海辺の稜線がゆっくりと遠くを過ぎていく。

ハンドルを片手で固定すれば、漫然と走っても構わない。
そう思ったからか、ふとアレッサンドロは振り返って、
座席に肘をつきながらその大きな手をひょいと後部座席に伸ばした。


そのまま、腕を避けることが無ければ。
何も言わずにあなたの頭を、くしゃりと撫でた。


(2/2)
(-222) 2023/09/14(Thu) 2:08:05

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

「えー?」
「そんなこと言ってるとお、すぐおじいちゃんになりますよお」

肩を竦めて、既に年寄りくささある言葉を笑っていなす。
成人して3年のまごうことなき若者にはそれこそ響かない。
だけど、きっと、それでも女は忘れることはないのだろう。

「ご随意にい。」
「ダニエラ巡査はあ、ミルクfior di latteがおいしいって言ってましたよお。」

そればっかり食べていただけだ。
署長の入院まではほぼ、そうして『異常なし』が届けられていた。
最近は、『警戒』のイチゴfragolaの頻度が多くなっていることだって、当然あなたは知っているだろう。

(1/2)
(-236) 2023/09/14(Thu) 6:40:30

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

早くはない速度で食べ進めながら、色移りゆく景色を眺めている。
早くはないだけで遅いわけでもなかったが、食べ終えても包み紙だけはまだ手の中だ。
停車の折にでもと考えていただけだが、運転席の気配に気づき振り向いた際それは乾いた音を立てた。

「…何ですかあ、もお。」

ひねくれものは反射的に、文句のようなものを漏らしている。
だけど確かに一瞬見せた、面映ゆそうなへにゃりとした笑顔が、その本心を映し出していた。

多分それは、親に頭を撫でられる幼子の姿によく似ている。
そして、隠そうとしたところで満更でもなさそうなわけだから、きっと大して隠れてもいないのだ。

(2/2)
(-237) 2023/09/14(Thu) 6:43:30

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「あいにく、生涯現役のつもりだ。
 魚釣りをしてのんびり暮らすのは性に合わん」

若者の言葉にもどこ吹く風。

「おお、そうか。イチゴも悪くはなかったんだが、やっぱりそっちだよな」

彼が食べる分には意味がないことだが、

「……意味深になるな」

なんていって、フロントガラスにまた一つ、笑みを刻んだりして。



「いいや。
 お前、いくつになったっけ」

腕を伸ばす時一瞬向けた顔は、もうフロントガラスを見つめている。
海鳥たちが視界を掠めて、その顔に一瞬陰を落とした。
(-255) 2023/09/14(Thu) 10:47:17

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

似合うと思うのにい、とくすくす笑った。
そんな女が浮かべたのは、派手なシャツにサングラスのまま釣り糸を垂らすあなたの姿だったりする。
…でも、せめてそれよりはあの喫茶店で車を弄りながらコーヒーを振る舞っている方が、なんてこれは取り留めもない話。

「21、ですよお。」
「…いけないんだあ。女の子に年齢聞くなんてえ。」

宣いながら、指先が前髪を整える。
そのまま滑るように、するりするりと横髪を弄んだ。
(-265) 2023/09/14(Thu) 12:57:39

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

よせやい、と言うように肩をすくめる。
海を見ていることはあっても、魚釣りなんてしているところは見たことがない。
10年前からずっと、惰性のように同じことを繰り返している。
それは執着か、それとも残滓か。


「もうそんなか。
 トシとるわけだ」

しみじみとつぶやく声は、きっとガラス越しに潮騒よりは大きくて、けれど車内に響くエンジン音には負けてしまう。

「いいじゃねえか、お前ね、
 聞くべきことを聞いてこない男より、
 ちゃんと色々聞いて確認してくれる男のほうが
 QOL高いぞ」

俺みたいな、と笑う。
嘘である。
この男は、放任主義がアロハを着て歩いているような男だ。

そんな男に任せているのだから、車も好きに走っていく。
ハンドルがゆっくりと回って車線を変えた。
次の曲がり角を曲がれば、海辺沿いの道から一本内側へ。
そのまままっすぐ細い路地を勧めば、"待ち合わせ場所"へ戻るだろう。
(-266) 2023/09/14(Thu) 13:44:08

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

母が亡くなり拾われた日から5年。
それ以前の付き合いも含めれば、もっと。
子供が大人を見て年月を想うのは、その姿に老いを見た時だけだから。
紛れた声が聴こえたとして、きっと共感なんて、できやしない。

「そうですかあ…?」

つまり、ただ、懐疑的な声が続く。というか当然、信じてない。
他に聞くべきことはいくらでもあろうに、聞いたのが年齢という辺りが特に。
そういえば女はあなたの年齢を詳しく覚えていない。
出会った時から大人だったあなたは、ただ“大人”であり続けている。

「……」

窓越しの海を、ぼんやりと。
あなたの大嘘に対する自分の意見を述べようとしたが、何故かこの時に限り言葉がまとまることはなかった。
そうする間に道が移り、デートの終わりを女も悟る。
(-270) 2023/09/14(Thu) 16:46:01

【人】 日差しにまどろむ ダニエラ

>147 テオドロ

「ええ。そおですう?」
「どおせ食べるんならあ、楽しくておいしい方がいいのにい」

まあ無理強いするものでもない。
そう今のところは諦めたのか、それ以上の言及もない。
ただだる絡みと同じように、いつかおいしい食べ物づけにしてみたいと思った。密かに。

「ふむう、おすすめえ。」
「よくぞ聞いてくれましたともお。」

そして、そのチャンスはすぐに来た。
何がいいかなあと脳内を辿り。

「甘いものならあ、あそこのお店のマリトッツォ〜」
「おかず系ならサンドイッチでしょおかあ。あとはベーカリいー」

どうやら自分の他にも行きつけにしている人がいるらしいというのは最近になって知った話。
あなたがどちらか分からないけれど、あのベーカリーなら胸を張っておすすめできるらしい。

他にもゆるゆる、指折って。
多分、終わらない。どこかで止めた方がいい。
(150) 2023/09/14(Thu) 18:04:21

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「でしょおー。」

へらりと口許が笑みを形づくる。
わかりやすい。確かにそうだ。
女もそう思ったからこそ、言わずともいいことまで口にした。
それこそ信頼関係云々の話もあるが、
話せないこと
に比べれば、それくらいは易いものだった。

「あたしも、良心的な情報屋さんに巡り会えて果報者ですよお。」
「…だから、その辺は安心してくださあい。」

少なくとも女の命令で、あなたが身内を調査対象にすることはないだろう。
…あなたから言い出した場合は、別だろうが。
しかしその場合女が色を乗せねばならない義務もない。
(!11) 2023/09/14(Thu) 20:11:18

【念】 日差しにまどろむ ダニエラ

「…ふうーん」

保湿も終え、15mlのボトルの蓋をとる。
ベースコートを筆につけて反対の小指に滑らせた。
あなたの胸中など、当然女は知りもしない。

「イレネオさんかあ。」
「いいと思うー。」

呑気そうに首肯して。
依頼主としての、きっと最初の責務だろう。

「じゃー。前金は送っとくからあ」
「イレネオさんのこと、よろしくねえ。」

事実として、前金として不自然ないだけの金額が後日には送られているはずだ。
(!12) 2023/09/14(Thu) 20:11:53