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【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ今にも殴りかかりそうな雰囲気でありながら、彼は敬語を崩すことが出来なかったらしい。 「そうだ」逡巡も無く男は言葉を向ける。途端に、頬に鉄拳での一撃が飛んだ。 口の中に歯の刺さるような厭な感触を覚えながら、ヴィトーはゆっくり顔を戻した。 効いていないのだとわかると、更にもう一撃が飛んだ。それを予期していながら避けなかった。 どうして、と問い詰める人間が欲しいのは相手に訴えが伝わることだ。伝えたいのだ。 だから、取り付く島もないとわかれば苦しみが募る。仕方のないことだった。 拳の主は震える手で首根っこを掴み、ヴィトーに何度もいつかの栄華と失墜を聞かせた。 言葉にしてしまえば楽になる、などということばかりではない。 己の言葉に表してしまった声は耳から入り、彼ら自身を苛んだ。 理不尽に壊れそうな心を鎮める手段は、時間が無いほどに手段もなくなる。 侵入者はヴィトーの服に手を掛けて、薄い着衣を一気に剥いだ。その下には幾つか痣があった。 無抵抗の人間を殴りつけたのだろう痕を見て、侵入者は気が大きくなったらしかった。 自分たちばかりが指さしているのではないという、見えない誰かへの連帯感だ。 肩から足元まで肌が露わにされ、荒れた掌を這わされる。弾力のある生きた感覚に僅かに息を漏らした。 艶を帯びた吐息に、指の主が息を呑む。勢いがつえば止まらないように、胸板に手を乗せる。 「ん、」鼻を抜ける息が冷たい空気に混じった。鍛えた体は色めいたものとは異なっている。 過去の捜査で負ったのだろう傷もあれば、年を取って水気は失われつつあった。 働き者といったほうが近い体の上を幾つかの手が這い回る度に、肩に僅かに赤みがさす。 丁度明り取りから月光が差して、ヴィトーの体を照らした。引き締まった体に皮膚が張る体だ。 行き場のない感情をより集めたような高揚の息が、覆い被さる者から吹きかけられた。 着衣を緩め、両足を広げた間に入り込む。固くなり始めた幹を擦り、裸の膚に押し付けた。 体液の匂いと温度を、上昇する体温とは裏腹に無感動な目が睨めつける。 今起こっていることに対して、なんとも心の動きを持っていないかのようだった。 女に同じようにするにしたって乏しい体液が侵入者の掌に集められ、ぬるりと幹を支える。 (-695) 2023/09/23(Sat) 20:58:42 |
【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ同じ性別同士だから持ち得る性器同士をすり合わせて体を必死に動かすのを見上げて、 「それで気が済むのか」と嘆息するようにヴィトーが呟いたのを聞けば、空気が変わる。 侮蔑めいた態度を向けられたことは、漂う狂気に拍車をかけた。 もう一発、腹に拳が振り下ろされる。げうと息を吐いてのたうち回った。 やっとそれらしい動きのあることに安堵めいた声を侵入者は挙げた。彼は男を責める。 貴方は罪人で、肩書にふさわしくない人で、ずっと不満を持っていたのだと。 きっと彼らは自分のこれまでの恩を塗り替えてしまわないと耐えられないくらい、 ありふれた普通の、正義を信じる人間だったのだ。 その手が赤黒く腫れた肉の塊を包んで、ヴィトーの足の間に充てがわれる。 みちりと、膚の引き切れてしまいそうな音を立てて暴行が始められた。 初めはその手なりを全く知らないような杜撰な有様で、徐々に暴力に慣れはじめて。 数人分の精が体の中へ、外へと吐き出されて、それの何倍もの数の痣が膚に刻まれた。 何度も打たれた皮膚はところどころ擦り切れてしまって血の匂いを漂わせる。 殴られて腫れた頬の内側にできた傷を抉るように性器をねじ込まれて咳き込んで、 悲鳴どころが健康な呼吸の一つも出ないほどに腹を蹴り抉られ、内側から膨らすように犯された。 短くも長い強姦の最中、ただのひとつも、ヴィトーは彼らを責めなかった。 哀れんでさえいるような視線が投げかけられて、なすがままにされていた。 抵抗のないことが彼らの無力感を刺激し、弱い人間の心を苛むたびに暴行はエスカレートした。 それでも、誰ぞに露見するよりも前に彼らはやっと己の心の内の鬱憤を吐き出して、 どうにかこうにか留置所を後にすることが出来た。 足音が遠ざかってしまってからやっと、ヴィトーは体を起こして。 この部屋では何事もなかったのだというように、汚れた着衣を正した。 唯のそれだけのことでしかなかった。 (-696) 2023/09/23(Sat) 20:59:09 |
ルチアーノは、猫は別に好きじゃない。 (a27) 2023/09/23(Sat) 20:59:28 |
ヴィンセンツィオは、揺さぶられながらも己を責める声をただじっと聞いていた。 (c31) 2023/09/23(Sat) 20:59:53 |