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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着: 月島 雅空

【人】 月島 雅空

[はじまりはといえば、迷子の女の子を拾ったことであった。

 『大丈夫だよ。なんとかなるからさ』

当時小学二年生だった自分は泣いている幼い子に言える言葉として精一杯だった…今なら―――あまり変わらない気がする。と思うと成長してないようで落ち込むが、なにはともあれその雰囲気に頷いてくれた女の子をつれて、自宅兼洋食レストランへと連れて行った。

それからは早かった。
仕事中の父に事情を説明すると、女の子のことを父は見覚えがあったのだ。
先日隣に越してきた家の子だったということ、おそらく越してきたばかりで見覚えがなくて迷子になっていたのだろう。

後は父に任せてしまうと、二人でジュースを飲んで待っている間に解決したのだ。]
(54) 2023/03/01(Wed) 2:45:24

【人】 月島 雅空

[それを切欠に、そしてお互い片親だったことや隣同士で店兼自宅という共通項も重なって付き合いがはじまった。
幼馴染ではあるが互いに兄妹のように過ごし、例えば行事ごとなどどちらかの親が都合が悪いときは、もう片方の親が、などと助け合うような共同生活のスタートであった。

そうして時は過ぎていって今に至る。

毎年恒例の二家族による旅行を、二人だけというのは初めてだ。といっても既に成人してる自分と来年には成人する妹分。自由に任せていいだろう。となったのかもしれないが]

 おいおい、急に走って、子供か?

[ニヤニヤした悪戯猫>>53のような笑みを見せたのはおそらくわざとだろう。
だからこちらも子ども扱いしてやったほうがいいか?というニュアンスを込めて、足元気をつけろよ。といいつつ、任された不安までは抱かない。そんな性格なのも熟知しているのだ。

荷物を積んだアウトドアワゴンを引きながらも急かされれば心持ち早足で歩けば、珠月よりも一足遅く森の中から...の視界が変わる。

コテージに水飲み場など点在しており、家族連れらしき姿も見える。そんなキャンプ場らしい光景が広がっている。]
(55) 2023/03/01(Wed) 2:46:38

【人】 月島 雅空

 ぁあ、川と湖。あと少し遠いとこだが温泉もあるらしいな。
 一応湖近くのコテージでって予約したから…って、ぉーい、こら、引っ張るな。

 ほら、そこに看板があるからまずは管理人室訪ねてからだ。

[返事をしながらも、途中ダークネイビーのカーデジャケットを引っ張る珠月を鬱陶しそうにしつつ、払うことはせずにあっちと指し示した看板を見た。
そして近くの管理人しつ二家族の家名で予約したコテージの鍵を受け取ると]

 色々レンタルとかもできるみたいだが、さっさといくか。

[せっつく珠月へと、ほれ。と鍵を渡してアウトドアワゴンを引きながら歩いていくのだ]
(56) 2023/03/01(Wed) 2:47:10

【人】 月島 雅空

[そうしてしばらく歩き、自分たちが止まる区域番号近くまで来たところで、湖はすぐに見えてきた。]

 うっわー、……こりゃ広いな。

[一度立ち止まり、遠目に視るように目を細めても向こう岸が見えない。
春の陽気と同じく湖面は穏やかで、貸しボートらしき建物や桟橋も見える。]

 行きたいとこだが、今は後回しだな。

[まだ見ているようなら、ほらいくぞ。と促して歩いて行って、程なく、管理鍵と同じ番号の自分たちが数日お世話になるコテージにたどり着く]

 ……いい場所だな。…望み通りって感じだ。

[声としての喜びは控え目だが、口元の笑みは隠せてはいない。
温かみのある木造コテージは凝った形のものではない造りの一階と小スペースながら二階もあるコテージ。
玄関横にはテラススペースがあり、外側は手摺でおおわれ、椅子とテーブルが並べられており、すぐ横の掃き出し窓からテラススペースへと降りれるようにもなっている。

その手前側には焚火スペースがあり、コテージ横には屋根付きの水洗い場と焼き場スペースも用意されている。

更には湖が近くテラスからは当然として窓からでも見渡せる立地であった。]
(57) 2023/03/01(Wed) 2:48:12

【人】 月島 雅空

 って、外だけ見てるわけにもいかんな。

 荷物いれて、カーテン開けて、空気の入れ替えして。

[なんて指折り数えている。もうそろそろ夕方だからさっさと行動したほうがいいだろうし、こんな時大人しくないのが我が幼馴染なのもわかっている。]

 珠月。

[がしっと肩を掴んだ。]

 今度は先にいくなよ。

[それでも、先程鍵を渡しているのだから一番乗りは珠月のものになるのは決まっているのだが、それぐらいは譲りながらもひとまず身軽になるため、コテージの中へと入るのであった**]
(58) 2023/03/01(Wed) 2:54:53
月島 雅空は、メモを貼った。
(a8) 2023/03/01(Wed) 3:00:17

【人】 月島 雅空

[こういう引っ張るなといって素直に離さない>>95ところ、生意気盛り>>94だった頃の面影がしっかりと残ってることに、呆れるよりもほっとするのが正直なところだ。

専門学校に通い終え店で働きだし、珠月もまた自分の道を進むように美容師学校に通いだしてから、一緒に過ごす時間が減っていったからだろう。
それに昔と比べても随分と垢ぬけて美しく育ったとは思えるのに、早々変わるものでもないんだろう。と肩の力が抜けた。

おかげで今も好奇心のままに扉も開けずにテラススペースへ>>97いこうとするのも行こうとするのも、ほとんど流れ作業のように行い、体の向きを修正するように扉へと向けさせて]

 ん?どした?

[良い環境のキャンプ場。中も当然期待する楽しみと、妹を見守る安堵する心地と、そんな表情を覗かれながらも振り返りこちらを見る珠月へと、軽く首をかしげる。
といっても、そんなに大きな意味はないだろう。気まぐれだし、で自分の中で片付けて]

 おー、広々としていいな。二人でつかうには十分過ぎるぐらいだ。

[珠月の声に呼び込まれるように自分も身を乗り出して、ぶつかりかけながらも横にずれたので、近くのスイッチを押して電気をつける。明るくなってより全貌が明らかになる。

先程のテラススペースに繋がる掃き出し窓からすぐにリビングのようだ。
板間のリビングの中央だけ和風の作りにされこたつが置かれている。
少し奥にはキッチンも見えて、二階に続く階段も横にはあった。]
(151) 2023/03/01(Wed) 20:26:43

【人】 月島 雅空

 じゃ、リビングのほう頼むな。あと風呂場のほうで電気がつくかとか水や湯が流れるかの確認もよろしく。

 俺はキッチンのほういくから、もってきたものいくつか冷蔵庫に入れたりもしたいしな。

[入り口近くに置いておけばいい荷物もあれば、持ち込んだ食材いくつかある。
ついでに用意されているという食材も確認しておこう。などと決めて、キッチン近くのカーテンも窓をあけ、機材や食材のチェックをしはじめる。
もし動いていないものがあれば管理人に連絡が必要なためだ。]
(152) 2023/03/01(Wed) 20:27:04

【人】 月島 雅空

[湖を見た時>>96に普段よりぼうっとしているように思えたがのは、やはり疲れているのだろうかと思ったがその後のテキパキと動き出す珠月を見ていればそうでもないように思いつつ]

 まぁ…無駄になることはないだろ。

[荷物から取り出したのはルイボスティーに、砂糖、白ワイン、レモン汁を加え、桃と一緒に煮るという、ルイボスティーシロップの入ったタッパー。

家で途中までしてきて、残りは工程はこちらですればいい。ここでするつもりでもってきたものだ。そして区分けさせた一緒に煮た桃とを冷蔵庫にいれておく。
今日の晩御飯か、風呂上りのデザートになるだろう。]
(153) 2023/03/01(Wed) 20:27:26

【人】 月島 雅空

[幼いころから一緒にいたおかげで、からかう人間が自分の周りにはいた。自分だけじゃなくておそらく珠月>>52に周りにもだろう
おかげで自分は、異性と触れ合うには気恥ずかしさや照れから遠のく年頃となっても慣れのせいで平然としていた。

そんな単純なからかいなら別だが「気を回しすぎじゃないか?」と少し突っ込んだことをいわれた時は閉口した。確かに今回のことやバイクで足変わりになったり、と巡った思考で閉口して]

 …兄離れや妹離れが嫌っていうつもりはないんだがなぁ。

[嘆息しそうになって寸でとめる。
趣味のこともあってじじくさいとまた言われそうだしな。]
(154) 2023/03/01(Wed) 20:29:42

【人】 月島 雅空

 終わったかー?

[だいたいのチェックを終えたところで声をかける。
窓を開けていったことで風通しもよくなり、心地よい涼しさが部屋の中に広がっている。
一階には他にどんな部屋があったかは後で確認するとして、珠月のほうでも異常などなかったか確認を終えれば]

 んじゃ、いってみるか?二階。
 外から見たらそんな広くないとは思うんだが、そういう場所って秘密基地みたいでわくわくするよな。

[と好奇心たっぷりに笑っていう成人男性。
あいにくと気遣わない相手には子供っぽいとこが出てしまうのは仕方ないのであった*]
(155) 2023/03/01(Wed) 20:29:57
月島 雅空は、メモを貼った。
(a17) 2023/03/01(Wed) 20:30:36

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― 別世界の話 ―

[大地が裂け、霧で覆われた地上。
そこで生まれた文明は破壊され、住めなくなった人類は空へとその居住区域を移したのは何世紀も前のこと。

浮遊する大地に住まうものにとって、霧の濃い大地で祖先が暮らしていたといっても既にピンとこないだろう。衰退し、新たに発展した文明と、その生活に適応するように進化した人類にとって、過去の文献でしる地上の文明は、既に御伽噺のようなものなのだ。

大地と大地は空という障害物に隔絶され、他所との交流が緩やかで疎かになった世界。
島単位で物事を解決していくように社会は作られ、喫緊の危険もなければ、大きな変化もなく、一つ隣の遠い島さえみることなく一生を終える人がいても珍しくはないだろう。

少なくともこの島ではそうであった。

だから島で生き、島で死ぬ。それが大多数の考えである中。その島に生まれたアスルという男は外界という空に憧れをもっていた。]
(-84) 2023/03/01(Wed) 21:56:48

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そんな彼が、何の因果かこの島の守り手ともいえる不思議な力を持つもの、通称巫女と呼ばれるものの守り人に選ばれたのは、なんとも皮肉なことだろう。
皮肉だろうがなんだろうが、自身の特性が守り人としての資質に添っていたのだ。

その任を断りはしなかった。外界に憧れをもっているからといって、家族も幼馴染たちといった友人がいる故郷の島が嫌いだというわけではなかったからだ。

それに資質があろうがなかろうが、巫女と相性が悪ければ別の者を任命するともいわれていたので気楽に考えてもいた。

そして初めて、守り人候補として、次代の巫女と対面を果たしたのだが、年齢に似合わぬ生真面目な雰囲気と、年齢相応の寂しげな雰囲気が気に入らなかったのだ。
もっというならば不安というよりも、イラっとしたという直情的なものだっただろう。

最初は畏まったように名前をいってみたものだが、次にはやめた。]
(-87) 2023/03/01(Wed) 21:57:51

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月


 なぁ。チビちゃん。

 あんたは巫女様として傅かれたいか?それとも―――

[周囲の大人なたちのことなんて無視して、目の前で肩に手を置き、視線の高さを合わせるようにしゃがみこんで、深い紫色の瞳を群青の瞳がじっと見つめて]

 一人のペルラという少女として接せられたいか?

[不器用に優しく問いかけた。
それが守り人のアスルが15歳。次代の巫女のペルラが10歳の出会いであった*]
(-89) 2023/03/01(Wed) 21:59:04

【人】 月島 雅空

 お疲れ。ってそういうのも置いてあったんだ。じゃあ使わせてもらうか。

[珠月からアメニティグッズ>>167と聞いて少し驚くようにいう。
あれがあるとないとで風呂へ入るめんどうくささが変わるんだよなぁ。などと内心では思うズボラな人。

妹分が美容師学校に。そして彼女の母が美容師であるためか、多少の知識を気遣いはしているのだ……とはあくまで当人談である。]

 あ、あとこれも大事だな。

[ぽちっと着けた。備え付けの虫よけマット。暖かくなってきた春であり、森林の中のコテージだからこれは必須だ。
夜には冷え込むだろうから少ししたら窓はしめないとな。とありつつ、二階へと向かう]
(183) 2023/03/01(Wed) 23:35:42

【人】 月島 雅空

[ちなみに珠月がスカートだろうがなんだろうが雅空は登りも降りも下にいるのである。

今回も狭い階段を先に登った珠月に続くように登っていく。]

 やっぱり狭いからかね?

[子供ならら四つん這いになって登ったほうがはやそうな急な階段を登りつつ最後は差し出された手を取った。

柔らかい手だ、だがその指の関節部分などは硬く、見ていないところで努力している彼女の成果に目を細める]

 ん?お…!まさかこうなってるとはな。

[どうやら二階は寝室だけで、それ以上の用途はないとばかりの狭い部屋だ。
並んでいるベッドが二つ。間にはローテーブルとテーブルランプだけというスペースではあったが何より目を惹いたのは天窓のほうだ。]
(184) 2023/03/01(Wed) 23:36:38

【人】 月島 雅空

 これはなんていうか……

[出てきそうになった言葉は飲み込んで、珠月に倣うように自分ももう一つのベッドに横になり、仰向けで天上を見上げれば、夕暮れの空と影絵のように映る雲。こういう時に映る鳥たちの飛ぶ姿はどこか儚くも力強く自分には見える。]

 そーだな……それに月も星もよく見えるんだろうなぁ。

 …あ、今日は新月とかニュースでいってたから星だけだな。

[珠月>>168へと同意するようにいった後、月は見えなかった。と一つ訂正するようにいう]
(185) 2023/03/01(Wed) 23:36:47

【人】 月島 雅空

[そういえば昔、珠月の誕生日にと求められて困らされた記憶があったなぁ。などと思いながら、しばらく寛ぐようにベッドの上でいた。
視線を隣へと向ければ珠月も寛いでいて、必然的に距離が近い。手を伸ばせば相手のベッドには触れられる距離だ。
最近ではない近さだが、昔を遡れば隣にいたことすらあるため、大したことのない近さに、寛いだまま、自分は自分で懐かしさにふふっと笑う。]

 そっちはそっちで寝惚けて入ってきた。なんてなったら放り投げるからな。

[寝相が悪かったのも自分が小さい頃なら、家族旅行で寝惚けて自分が寝てるとこに寝に来たのも昔のこと。咄嗟にいってすぐにわかりあえる相手へと笑いかけながら]

 …さっき、夜は静かそう。なんていってたのに、珠月がいると関係なくなりそうだ。

[止めはせずに、濁すように皮肉りながらもう一度天窓を見て仰向けから上半身を起こして]

 …ここを引けば閉じれるのか。じゃないと昼寝するときやらきついものな。

[天窓用シャッターがちゃんとあるのも確認した。]
(186) 2023/03/01(Wed) 23:37:23

【人】 月島 雅空

 …そんじゃ、残りの荷解きしたら飯でも作り始めるか。

[ベッドから起き上がり、コテージの内装も粗方確認したので、残りの荷解きだ。そうしていれば夕飯時となるだろう。
更には火をおこすことからはじまるともなれば時間がかかるもの。遅ければ遅いほど夕飯が遅くなる。というのは珠月もわかっていることだろう。]

 ところで、我が家のお姫様はデザートは食後と風呂上りと、どちらがお望みで?

[二家族で一番年下の珠月をしっかり年下扱いするように聞きながら、急な階段を今度は自分から先に降りていくのであった**]
(187) 2023/03/01(Wed) 23:38:56

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 別世界の話 ―

[ペルラは幼い頃に祖母から聞いたことがあった。
自分たちの暮らす島を浮かせる力を持つらしい巫女と、その巫女に仕え守り続ける守り人の伝説のようなお話。

生まれ育った場所は浮遊する大地の端っこで。
険しい山ばかりの島にしがみ付くように存在する小さな村。
住民は少ないけれどみんな家族のようなところ。
物心ついたときには羊や山羊を犬と一緒になって追いかけ回し、小さな妹や弟をおんぶして家を手伝った。

適齢期になれば村の男性と結婚し、家業を継ぎ、子供を生み育てていく。それもまた幸せだ。
でもきっと、この高い高い山の向こう側に行くこともないのだろうと、時折ひとりで空を見上げながら思っていた。

――ある日突然やってきた、島を治める長老たちの使い。
彼らに『次の巫女になって欲しい』と言われる時までは。]
(-106) 2023/03/02(Thu) 0:59:02

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[まず思ったのは、巫女って本当に居たんだということ。
今の巫女が自分を占いのようなもので見つけ出したらしい。

長老の使いは丁寧に分かりやすく説明してくれた。

この世界には不思議な力を持つ者が珍しくはあるが当たり前に存在しており、それぞれ能力を生かして生活している。
巫女もその中のひとりとも言えるが、力の及ぼせる影響が人々の暮らす島の浮力の維持であることから、なくてはならない存在、決して途切れさせてはならない存在である。
巫女は見習いから始まり、今の巫女が役目を終えたと同時に後を継ぎ、定期的に島の様々な場所で祈りを捧げて過ごす。

巫女はこの島のために在る。
この島には巫女がいなくてはならない。

だから特別視され、ある意味、神聖視されている――と。]
(-107) 2023/03/02(Thu) 1:00:00

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 私、巫女になります。
 大丈夫、ちゃんと、頑張ってくるから。

[両親は自分とは別に巫女の説明をしてもらっていた。
父は険しい顔をして母は泣いていたが、何かに納得し覚悟を決めたかのような瞳もしていて、ただ何度か頷いた。
賛成もしない代わりにぎゅっと強く抱きしめてくれた。

巫女見習いになると決めたのは10を数える頃。
すぐに生まれ育った町を離れることになる。

長老の使いたちが乗ってきたのは古めかしい飛行船だった。
大きくて丈夫そうだけれど、ギシギシ耳に痛い軋む音がして、窓が少なくて外は見えないのに風の音ばかり響いていた。
山を越えるのをきちんと眺めることは出来なかった。
すでに丁重に扱われはじめているのは気づいていたからこそ何も言わず、ただ、はいと頷くのを繰り返していた。

島の中央が栄えた街というのは噂で聞いていたが、本当に建物ばかりで溢れ、人がたくさん行き交い、夜になっても明かりが灯っている、田舎者には目まぐるしい世界で。
修行などはここで、と街の中央に建つ、塔のある石造りの高い建物に案内された後は、自室もそこに与えられた。]
(-108) 2023/03/02(Thu) 1:01:32

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[自分には不思議な力がある。
というのをあっさり認められたのは、物心つく頃からそれらしい経験をしており、村や村に訪れる行商人にも時折そういう力を持つ人が居て、話題だけなら僻地の村でも交わされていたために、そういうものなんだなとふんわり理解していたからだ。

さて、それがどんな力かというと、だけれど。
実は内容はよく分かっていなかった。

なんとなく物を浮かせられる気がしたり。
なんとなく手をかざしたら人の怪我が早く治る気がしたり。
なんとなく水に景色らしきものが映ったり。

そんなひどくあやふやで説明しがたいものだったのだ。
でも、たしかにこの中に巫女の力が潜んでいるらしい。
ここから巫女として島の浮力の助けとなる力へ全部を集め注げるようにならねばならないと言われ。

街に来た翌日から、もう厳しい修行の始まりだった。

身を清めるための泉に浸かるときだけはひとりで、震えをおさえてまっすぐ立ち、ため息にならないように息を吐いていた。]
(-109) 2023/03/02(Thu) 1:04:38

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[巫女見習いとして真面目であれば何も言われない。
表情が固かろうが、必要なとき以外は無口であろうが。

この島のため。この島のため。
きっとお父さんもお母さんもみんなも応援してくれている。

必死な日々は過ぎてゆこうとしていた。


――そんなある日。

巫女見習いさまの守り人候補だと連れられてきた彼は。
たくさんの大人たちに囲まれているのに、なんだか堂々として臆する様子を見せない年上の少年だった。

石造りの部屋の中、窓は閉まっているのに。
何故だろうか。ふわりと風が吹いたような。
彼の周りにだけ感じる澄んだ気配に目を瞬かせる。

そして次に発する台詞もまた、予想外すぎるものだった。]
(-110) 2023/03/02(Thu) 1:05:28

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[ちびちゃん、と彼は呼んだ。
しゃがんで目線を合わせる仕草は自然で、でもここの大人たちのように畏まっていなくて、距離が近い。

彼の瞳はうつくしい青色をしていた。
いや、ただの青ではない。
泉の清らかなばかりの色とも、深い湖の少し怖い色とも違う。


空みたいだ、と思った。


周りの大人たちが見えなくなった。
気づいたら、ただひとつ頷いていた。
それだけではどちらへの返答か分からなかったかもしれないが、じっとまっすぐ見つめる紫がかすかに潤んでいた。]
(-111) 2023/03/02(Thu) 1:08:14

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空



 私も、あなたの名前が知りたい。
 ……ちゃんと、呼びたい。


[視線が交われば、風に水の香りが添えられる。
それは水と親和性の高いらしい自分の力の影響か。

おそるおそる手を差し出す。

優しくも不器用な問いへ、震えながらも強い答えだった。*]
(-112) 2023/03/02(Thu) 1:09:51

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― 巫女と守り人の日常 ―

[守り人として、島の都市部に移り住んで働くことになった。
といっても、守り人の役目というのは別段四六時中あるわけではない。
せいぜいが祈りの期間はそちらに集中するなどあるが、それ以外は普通に仕事をして暮らしていくことになる。
都市部から離れれば牧歌的といえば中心地は流石に栄えており、もくもくと立つ煙は食堂のものだけではない。立ち上る蒸気の中に混じるオイルの香りに、むき出しのパイプ群や歯車が喧しく動き、上昇気流を故意に起こさせる大規模な施設は、外界へ行き来するための発着場のようにもなっている。

そこで飛行艇や発着所の整備を筆頭に、街灯の管理等を担っている。また隣では発生する熱が溶銑も兼ねている。

そんな場所が自分の仕事場だ。ここでアスルは機械を弄り、自分の特性を生かして飛行艇乗りともなって、各地に手紙を郵送することも担っていた。]
(-113) 2023/03/02(Thu) 2:11:06

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そんな仕事場をアスルは気に入っていた。単に趣味趣向にあっていたからだし外界にいかないなら元からこういった仕事につきたいと思っていた。
守り人だから巫女が住む場所の近くに住むというのはそういう点でも文句のつけない状況であった。

だが巫女が近くにいる。ということは、こんなことに利用されてしまうことに繋がっていた。

彼女が前日訪ねてきたときに渡した羊皮紙にはこう記されていた。

『明日、昼下がりの鐘がなる頃。修行の間、西側の塔の四階窓にて、風をまて。』

その羊皮紙を見たときに、ペルラが声をあげる前に人差し指を口元にあてて見せただろう。瞳は好奇心と悪戯に輝いていた]
(-114) 2023/03/02(Thu) 2:11:44

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そして翌日]

 おやっさん!テスト飛行いってくるなー!

[既に何度も試した飛行訓練。
彼は巫女を祈りの場まで連れていくことが仕事でもある。だから飛行訓練もかかせない。
そして巫女を運ぶとなると、当然、巫女当人も必要になるんだ。

じゃあかかせないよな。ということである。
アスルという男はやりたいことのために堂々と自分に都合よく理由を作り正当化することに長けていたのだ―――あまり褒められた技能ではない。

鳥が翼を広げたような空色のグライダー。端は滑らかに削られて丸みを帯びており風の抵抗を流すように作られており、端のほうには風を受けるための帆が取り付けられている。
そのグライダーを正面に掲げ持ちながら、空を見上げた。
一つ、二つ。工場の駆動音など気にならぬというように集中して、そして走りだした。

大地より熱を帯びて作られた上昇気流の網目状に塞がれた洞穴を前にグライダーを斜めに滑り込ませるように倒して、アスルは風に乗った。]
(-115) 2023/03/02(Thu) 2:13:36

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[巫女に力があるように、彼もまた力のあるものであった。
それは「風読み」とよばれるもの。
風の力を読み、音を聞き、意志を感じる。などというほど完璧なものではないが、多少なりともそれを理解できる力を持っており、また僅かながらも風に意志を伝えることもできた。
それが彼の飛行艇乗りとして、そして巫女を運ぶものとして選ばれた理由でもあった。

空に舞い上がったグライダーは、帆は順当に膨らみ、操舵主の手に応じて畳まれたり広がったりするだろう。
鳥のグライダーの背中には、空を飛ぶものが安定し操作するためにと、横からみればへの字のように見える簡素な取っ手がつけられており、その取っ手を掴み、身体を風に流すようにうつ伏せのような姿勢で空より街を見下ろしていた。

風をきる感覚が冷たくも気持ちいい。身体全てが覚めるような独特の浮遊感と空を飛ぶということそのものへの高揚感が、普段はどこか適当なアスルの雰囲気を鋭気なるものへと変えている。

そのままゆっくりと確かめるように旋回を繰り返しながら、街の上をぶらつくように飛びながら、空の路は約束の時間を守るようにして進む。]
(-116) 2023/03/02(Thu) 2:15:08

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 おうおう、いいこちゃんがいる。
 いや、悪い子ちゃんかな。

[約束の進路の先には、真面目に生きてきている見習い巫女が、役目を真っ当しようとしている見習い巫女の姿が見えた。

アスルは風に意志を伝えた。そして]

 ペルラ!!!飛べ!!!!

[昼下がりの鐘が自分の張り上げた声をかき消した。
だけれども通じている。吹くはずのない方向より、風がペルラの背を押した。

ふわりと落ちていく乙女。ゆっくりと浮遊しているようだが、このまま落ちれば怪我は免れないだろう。

あの時のようにおそるおそるではない。はっきりとした意志で自分を信じて飛び、そして伸ばされたペルラの手をアスルはしっかりとつかみ取った。]
(-117) 2023/03/02(Thu) 2:17:15

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[ペルラの手をとったことで、揺れるグライダーはその衝撃に逆らわずに下に逃がすようにして一回転する。
そうしてもう一回転の時に、ペルラを掴み引っ張り上げるようにして、機体を安定させ、ペルラを腕の中に抱きよせた]

 ほら、ペルラ。そこに空いてる手を伸ばして掴め。

[そして掴んでいない手をまずは取っ手へと誘導する。取っ手をペルラが掴めば、その上からアスルは手を重ね一緒に取っ手を掴む。
そして掴んでいた手も同じように取っ手へと連れて行き、固定するように自分の手で覆い重ねてしまう。]

 身体は後ろに流すように、なんなら俺に凭れかかるようにしろ。そうしたら安定するからな。

[そうやって、ペルラの姿勢が定まれば滑るように空を飛ぶことが再開される。]
(-118) 2023/03/02(Thu) 2:17:46

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ほら、あっちが前にいった俺の実家があるとこだな。

 ペルラのほうはあっちか?流石にあそこにはいけないな。

[最初は街並みを、次は少し郊外を飛んでいて、森と湖が目立つ場所を指し示して自分の実家のほうを伝え、そして教わったペルラの故郷ともいわれてる山のほうを見る。
流石にこれであそこまではいけない。シンプルに高度が足りない。少なくともこのグライダーではだめだろう。
いずれだな。なんて独り言をいうように呟いて]
(-119) 2023/03/02(Thu) 2:18:28

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 …なぁ、こうして空を飛んでみて、どうだった?

 普段見てるものが全然違って見えて、でも綺麗だろ?

 折角巫女をやってるんだから、ペルラはこんぐらい自由じゃなきゃな。

[巫女ではなくて、ペルラは、といって、これ内緒な。なんて笑っていう。最も空にいる今ならば咎める人もいない。いちいち外面を気にする必要もなく自由でいられる、ここはペルラにとってもそういう場所になれただろうか。]

 ペルラがよければだが、また空の散歩でもしような。

[今回はいきなり来い。といって無理矢理気味に誘ったが、次はペルラの気持ちも合わさった時、飛ぼうか。というのであった。

なお、この後、叱られながらも悪びれずに自身を正当化させるアスルの姿があったのはいうまでもない**]
(-120) 2023/03/02(Thu) 2:20:06

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 巫女見習いの日常 ―

[守り人候補との出会いを経ていくらか。
石造りの塔に一日中こもる生活は変わっていなかった。

自らの力と向き合う修行がメインなのは当たり前として、力を捧げていく島についても学ぶのは大事なこと。
科学的な知識に実用的な地理、人づてに語られる伝承もと、読み書きは一応出来るものの膨大な文書に目眩がする。
あとは一般教養に礼儀作法も身につけねばならない。
巫女は神聖視され、ある意味では特別扱いされる存在のため、人前では常に相応しい言動をするべきというものだった。]

 ……。

[塔にある図書室にはひとつだけ窓がある。
どうしても疲れたときにそこから空を眺めるのが習慣だった。
今日も先生が退室した隙に、ほんの少しだけと自分に言い聞かせ、石造りの冷たい窓枠に手を乗せて顔を上げる。

午後の空は明るく青く、薄暗い室内に慣れた目に眩しい。
こしこしと目を擦りながら視線を動かしていく。]
(-158) 2023/03/02(Thu) 15:56:27

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[中心街でもこの一角は石造りの建物が多いが、少し離れた向こう側には、昼でも夜でも細長い筒から煙がもくもくと立ち上り、明かりの消えない、鉄などで出来ているらしい茶色い建物が複雑に今にも崩れそうなバランスで組み合わさっている、この辺りとはまた雰囲気の違う場所がある。
地理の勉強によると、様々な飛行艇の整備工場や他の島までも行けるような飛行船の発着場などがあるらしい。

今日はそちらが気になりじっと目を留めた。
理由は最初分からなかった。けれど。]

 ……鳥?

[煙に紛れるようにして、一羽の鳥が飛び立ってゆく。
群れじゃないなんて珍しいなぁ。
なんとなく視線で追い続け、あれ、違うと気づく。]

 鳥じゃない……?

[鳥にしては大きい。
でも、両翼があるように見える。

ひらりひらりと旋回し、高度を増し、姿が小さくなる。]
(-159) 2023/03/02(Thu) 15:56:36

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 もしかして、人?

[知らず知らず身を乗り出し、息を止めて目をこらす。
きら、きら、と。銀色の何かが太陽の光に反射していた。

あの鳥は、どんな景色を見下ろしているのだろう。
どんな風を受けて、どこに向かい、何を思っているのだろう。

自由に空を舞う姿がうつくしく心に刻まれていく。
鳥の正体をまだ知らない日のことだった。**]
(-160) 2023/03/02(Thu) 15:57:06

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 巫女と守り人の日常 ―

[自分は記憶力には優れているらしく勉学は順調で。
しかし力の方向性の制御に関してはなかなか上手くいかず、試行錯誤を繰り返しては調整を見誤ってその日の力を使い切り、ヘトヘトになったり立ち上がれなくなったり。

そんな日々の中、今日は風を待っていた。]

 ……昼下がりの鐘。西側の塔。4階の窓。

[昨日アスルから渡された羊皮紙は、小さく折り畳んでずっと袖の内側に仕舞っていたせいで皺くちゃだった。
彼の仕事場を訪れたときは長老の使いも隣にいたというのに、こんな内容の秘密文を堂々と差し出すものだから、誤魔化して隠すのが大変だったのだけれど。

午後のこの時間はいつもひとり。
4階は図書室。窓はひとつ。計ったかのような指示。

風を待てとは、一体何をするつもりなのか。
彼が風に関する不思議な力を持つのは知っている。
なにか飛ばしてくるとか? お届け物かな?
約束の時間より少し前、たたっと窓へと向かう。
何か飛んできても受け取れるように開け放ち、一応ドアから先生が来ていないのを確認してから目をこらした。]
(-184) 2023/03/02(Thu) 18:38:46

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……え?

[何度か眺めたことのある鳥が飛んでいる。
今日もこの時間なんだなぁ、なんて思っていたら。

近づいてきている、ような。

街の上を悠々と旋回していると思えば、一気にこの塔の方へ、何なら自分のいる窓を目指すような動きで。

え? え!? ぶつかる!?
いつもこちらまでは来ないのに。

あの鳥は何を考えて……いや、違う。

あの人は、


――――アスルだ!]
(-186) 2023/03/02(Thu) 18:39:38

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空



 ……ッ、……うん!


[考える暇はなかった。
衝動と本能、背を押してくれる力。
鐘の音が鳴り響く中、風に彼の声がする。

窓枠に足をかける、両足で立つ。
不安定に揺れる身体。
自分には自分を浮かす力はないはずで。

でも、踏み出した。窓枠を思いっきり蹴った。
こちらへ飛んでくる鳥へ、彼へと手を伸ばしながら。]
(-187) 2023/03/02(Thu) 18:40:34

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 きゃ……っ

[4階の高さから重力に逆らえず落ちていく身体。
肩までの金髪と真っ白な装束が風に遊ばれる。

つかの間の恐れをかき消すように。
伸ばしたままの手を力強く掴み取る手。

くるりと一回転すれば今までの全部がひっくり返るような感覚とともに身体が軽くなっていく。
引っ張り上げられ抱き寄せられ、必死で声に従う。
わたわたと伸ばした片手が取っ手にどうにかしがみ付き、彼の手に包まれ、掴まれている片手も同じように。
軽い身体は風に揺れるけれど、心に安堵が押し寄せる。
触れ合った手と抱き寄せられたときのあたたかさが鮮明で。]

 も、もたれるって、こう? 大丈夫?

[重くないのかなって思うが今はそれどころでもない。
初めての空中に、初めての乗り物に、初めての飛行。
導かれるままに姿勢を安定させると、ふわり、翼のようなグライダーは風に乗り、鳥のように空を飛び始めた。]
(-188) 2023/03/02(Thu) 18:41:44

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスルのお家?
 わぁ、大きな湖がある……きっと素敵なところね。

[こんなビックリなことをいきなりするなんて、という抗議は欠片も出てこなくて、でも心臓はドキドキしっぱなしで。
頬を紅潮させながら景色を見渡す瞳は大きく輝く。
声だって最近のおとなしい響きではなく、子供のように張り上げられ、アスルの言葉に溌剌として返した。]

 そう、私のお家はあの山の向こう側。
 険しい谷もあって、いつもすごい風が吹いているの。

[あそこには行けない、の言葉に眉が下がる。
こんなに鳥のように自由に飛ぶ彼にも無理なんだって。
でも、いずれ、という呟きが実は届いたから、もしかしたらという期待が胸に消えない光を残してしまう。]
(-189) 2023/03/02(Thu) 18:42:27

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 空を飛ぶって、すごいね。

[鳥なんじゃないかと思っていたのは、アスルだった。
この人は鳥のように自由に空を飛んで、風の中を舞うように翼をはためかせるのだ。

振り返ったら青い瞳が予想以上に近くにあった。
何を言わずにじいっと見つめた。
空の色のように様々に移り変わる青に、景色と一緒に、自分の姿が映り込んでいるのに、何故か心が震えた。]

 うん、きれい。

[満面の笑みを浮かべる。]

 この島は、こんなに広くてきれいなんだなって。
 たくさんの色があって、たくさんの人や生き物がいて。

[私はこの島を守るための力になれるのだと。
初めてちゃんと思えた気がした。]
(-190) 2023/03/02(Thu) 18:44:24

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[アスルはペルラと名前を呼んだ。
彼の教えてくれたかったことは伝わっていた。
巫女としての自覚を促すためなんかじゃないのだろうと分かっていて、彼の気持ちが瞳から涙を溢れさせた。

ペルラは、巫女になる。
巫女が役目を終えるときは――。

アスルは知っているのだろうか。
それでもペルラには、自由でいろと言ってくれるのだろうか。

手は包まれているから涙を拭えない。
風に飛ぶ滴で泣いているのは伝わってしまうかな。
ありがとう、と小さな声で呟く。
子供に戻ったみたいにしゃくり上げて泣いて。]
(-191) 2023/03/02(Thu) 18:45:16

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 うん、私、今は自由!

[この翼の中は、アスルの世界なのだと思った。

それならば自分は巫女じゃないペルラなのかもしれない。
巫女だからは無理でも。それは願ってもいい?]

 アスルと一緒なら……空を飛びたい。
 色んなところを見に行きたい。

[素直に頷き、もう涙は溢さなかった。
内緒と笑ったアスルと向き合って同じように笑った。**]
(-192) 2023/03/02(Thu) 18:46:08

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 巫女と守り人の日常 ―

[アスルと空の旅をしてから、不思議なほど浮かせるために力を集めるのが上手くなっていた。
浮遊する感覚を自分自身で体験したからかもしれないし、心の在り方の変化のせいかもしれなかった。]

 よし、誰も……いない。

[本日は規則を自分から初めて破った記念日となる。

夕方までのやることリストは全て終わらせたし、泉でいつもより長く身も清めたし、今日は倒れるほど疲れてはいない。
ただ対外的には疲れたので晩ご飯はいりません、寝ます、と伝えておきながら、フード付きの地味なローブを着て、抜き足差し足、ベッドの上を布で膨らませて部屋を出ると、警護のおじさんの隙を突いて建物からも脱出する。

ここまでは順調だ。
次のミッションは街で目的の店を見つけること。

塔に通いで来ている女性たちが話しているのを聞いたのだ。
街で最近話題のパン屋の新作パンのこと。
なんでも林檎と蜂蜜がたっぷり混ぜ込まれているのだとか。]
(-197) 2023/03/02(Thu) 20:30:45

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[なお、見習いの自分にはお給金なんてものはない。
衣食住を十分に保証してもらっておきながらこれ以上欲する思考なんて当然ないものの、今回ばかりは別。
どうしようかなと思っていたら、現役の巫女は優しくて、何を察したのか最近頑張っているご褒美とお小遣いをくれたのだ。
これまでなら使い道のなさに逆に迷ったかもしれないが、有り難く頂いて、今もう手のひらに握りしめていた。]

 パン屋さん……あ、あった!

[フードを深く被った子供は物珍しいのだろう。
もうそろそろ陽が落ちきろうとしている時間帯なのもあるか。
労働帰りの大人の目線をかいくぐり、なんと最後のひとつという目的のパンに心の中で歓声を上げる。
そして、これをひとつください、と言いかけて、あ、と声が漏れたのは、ほんの少しだけお金が足りなかったからだった。]

 ううん、また、今度にします。

[パン屋のおばさんはオマケしてあげると言ってくれた。
子供なのが分かったからか、理由は知らないけれど。
でも次に来るお客さんはちゃんと目の前のパンの対価を払えるかもしれなくて、ならば、頷いてはいけないと思った。
残念で仕方なくても我慢しようと決めて、お礼を言って店を出ようとしたら、おばさんは更に引き止める。
じゃあ、お嬢ちゃんが大人になってからもここに通って、パンを買ってくれれば良いんだよ、と。
覗き込むようにして苦笑して、恰幅のよい彼女は笑った。]
(-198) 2023/03/02(Thu) 20:31:17

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 はぁ、はぁ……!

[紙袋に入ったパンをひとつ。
大切に胸元に抱えて、前に一度だけ長老のお使いの人と歩いた道を、何度も迷いながら走ってゆく。

入り組んだ路地。
灯り始めた街灯の光と伸びる黒い影。
鼻腔をくすぐるオイルの匂い。
この時間になっても蒸気がそこかしこから立ち上り、夜通し働く人が居るのだろうと思わせる一方で、人の集まる食堂からは陽気な賑やかさがたくさん溢れていた。
呼び止められ咎められぬよう、たたっと通り過ぎる。

この辺りだったかな?
もう一本向こうの道だったかも。

困り果て、オイルに濡れたズボン姿のおじさんに、フードから顔が見えないように気をつけながら、尋ねた。
アスルという人の仕事場を知りませんか?と。]
(-199) 2023/03/02(Thu) 20:31:57

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 着いた、ここだ……。

[アスルの仕事場といえばいいのか家といえばいいのか。
自分はまだよく知らないのだけれど。
窓から覗き込むかぎり小さく明かりはついていそうなものの、人の気配は感じられない。

もう仕事を終えてどこか行ってしまったのかな。
ご飯を食べに出かけているのかな。
大きな湖のある実家に行っている可能性だってあった。

……お手紙も出していなくて、約束もしていないのだ。
驚かせてあの瞳をまん丸にさせたいと願っていたとはいえ、さすがに考えなしだったと今更後悔する。

そっと入り口のドアを押してみる。
どうせ鍵がかかっているだろうと思って。]
(-200) 2023/03/02(Thu) 20:32:31

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 あれ?

[かすかな音を立てて、ドアは開いてしまった。
逆にどうしたらいいのかと固まってしまう。
鍵のかけ忘れかな、そもそもかけない習慣なのかな。
ええいと足を踏み出して少しだけ入らせてもらう。
外にいては人目につくし、今更誰かに見つかって塔に連れ戻されたくなかったのだ。

ほんの少しでも可能性があるなら、会いたかった。
会って、この前の空の旅のお礼を言いたかった。

かといって他人の家にずかずか踏み入ったりはできない。
ドアのすぐ隣の壁か、仕事場で飛行艇のようなものがあればその影に隠れるようにして、小さく膝を抱えて座り込んだ。

どうせ夜の間は帰れないからもう少し待っていよう。
そうしてどこか夜をこっそり過ごして朝には部屋へ戻ろう。

身を縮こまらせながらの時間はゆっくり長く。
頭に浮かぶのは、自然と全部、アスルのことだった。]
(-201) 2023/03/02(Thu) 20:32:54

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[アスルはどんなお仕事をしているんだろう。
アスルは何時になったらお休みになって帰るんだろう。

夜ご飯はお家で食べるのかな。
それともさっきみたいな食堂に行くのかな。

買ってきたパン、……受け取ってくれるかな。
あまいの好きじゃなかったらどうしよう。
 
もう食べたことあったりして。
人から貰っていたりして。
アスルは自分よりとても大きくて、もう大人みたいだもの。

ちょっとだけ、さむい。

……パンも、冷たくなって、固くなっちゃったかな。]
(-202) 2023/03/02(Thu) 20:33:23

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスルと……もっとお話したいなぁ。

 巫女になったら守り人と……たくさん一緒にいられるかな。

[少しでも冷えないようにパンを一番暖かい場所に抱え込んで、いつしか修行終わりの身体は疲れを思い出して。

うつらうつら、頭が揺れる。

小さな寝息が零れ出すのにそう時間はかからなかった。*]
(-203) 2023/03/02(Thu) 20:36:10

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― 巫女と守り人の日常 ―

 『気球タイプはやはり難しいかい。アスル』

 難しい。多くの人が使えるようにはいいだろうし、浮力の補助にはいいだろうけどさ。後、降りるときも安定はしたけどからそこはよかったな。

 『グライダーと一緒ってことか、一度浮き上がっても後は降りていくだけだ。』

 『小型航空機、あれを大きくできたらいいんだが』

 『あれ以上となると翼の揚力だけじゃまだ足りないだろ』

 『できたとしても着地に問題が――』
(-222) 2023/03/02(Thu) 22:09:07

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[巫女が自ら規則を破った日、アスルはというと職場で大人たちに混ざって講義に参加していた。といってもまだ若い彼は実体験に基づく体感を伝えるだけで、ほとんどは聞いて学ぶ側であった。

仕事場の技術屋の人間は好奇心が旺盛なものが多く、ついついこうして顔を突き合わせては、ああでもない。こうでもないと話すのだ。

アスル自身のもつ好奇心と方向性が違うものの、居心地が悪いわけではなかった。

むしろこんな若造が参加できるのは、こうできないだろうか?と言い出したのはアスル当人だからこそとすらいえた。

発想を交え、問題点を指摘しあい、そしてサンプルを作ってはまた試用していくのだ。

ただ、今日はついつい熱が入り時間を超過してしまった。]
(-223) 2023/03/02(Thu) 22:09:32

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[とりあえず自宅…社宅といえばいいか、そっちにでも帰る。]

 今日は飯は簡単なもんでいいか。

[食堂にいってもいいが、肉体的な疲れはあった。だが精神は充溢としていたためか、落ち着いた時間を過ごさないと夜寝れなくなりそうだ。


        より高く、より自由に。


そんな自分の言葉を真に受けてくれた人たちとの時間だったのだ。その願いが叶えば――そんなことを考えながら、家へと戻って、扉が少し開いていた。
元々が田舎暮らしだったせいか、扉に鍵をかける習慣が未だ身についていないためたまにやってしまうアスルではあるが、開いているなんてことはない。
緊張して腰にあるスパナに手を伸ばしてから扉をゆっくりと開けて周りを見渡してから一気に踏み込んで]

 …は?ペルラ?

[不届き者と思われたものは膝を抱え込んで座っている少女。ペルラであった。
間抜けな声をあげて、彼女の意図したとおり驚きに目を丸くしていた]
(-224) 2023/03/02(Thu) 22:11:10

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 おい、大丈夫って寝てるだけか…?驚かすなよな。

[軽く肩を揺すってみて、寝息をたてるペルラを見て、ほっとして]

 ぁ…やっちまった。

[オイルまみれの手袋で触れてしまったのに、やっちまったなぁ。っていいながら手袋だけ脱いで、いつものようにテーブルのほうに放り投げておく]

 起きれるか?
 っと、とりあえずここじゃ駄目だよな。

[ペルラに声をかけつつも、体が冷えているペルラを見てこのままではいけないと、背中と脚に手を回すようにして横抱きに抱き上げる。
足で乱脱に隣の部屋の扉をあけ、寝室のベッドに横たわらせるのであった*]
(-225) 2023/03/02(Thu) 22:12:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……ん、……んんー。

[肩を揺すられ、意識が浮上していく。
アスルの声がする。
今どこかも曖昧なまま、会いに来てくれたんだと思った。
そもそも彼の家に自分が来たくせに、だ。]

 起きた……。

[寝ぼけ声で言ったのは、それでも彼が抱き上げてきたから。
自分が目覚めたのに気づいていないのかと。
結局ぼんやりしている間にベッドに下ろされて、多分掛け布団もかけてもらって、やっと瞼から覗かせた紫を瞬かせる。]

 アスル、お仕事終わったの?
 ……あ、おかえりなさい、だ。

[自分から離れる前に、彼の手を掴もうとして。]
(-229) 2023/03/02(Thu) 22:31:20

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 この前のお礼を言いたくて。
 お空に連れて行って、鳥の仲間にしてくれてありがとう。
 
 ……いっぱい、ありがとう。

[あ、パンの袋、どこにいっただろうか。
ちゃんと服の内側にあればそれを取り出して。]

 これ、渡したかったの。
 ……冷たくて潰れてしまったかもしれないけど。

[差し出すときは起き上がろうとすることだろう。*]
(-230) 2023/03/02(Thu) 22:36:04

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ああ、さっき帰ってきたとこだ。……ただいま。

[おかえりなさい。などと呼ばれたのは少し懐かしくて少し遅れながら、ベッドの上で降ろし掛布団をかけた。
何か暖かい飲み物でももってこようか。と思っていたところで手を伸ばされて、首を傾ぐ]

 ん……?いや、そりゃまぁ。

[なんのことだと思ったら、改めていわれると照れる。それに自分が引っ張ってきた面もあったしと思うが、重ねて、ありがとう。といわれると照れた熱さを紛らわすために前髪をかき上げて]

 どういたしまして…

[巫女は力を使い果たしたら――。彼女はそれを知っているのだろうか。それを思うと苛立ちとともに自分勝手に想いをぶつけた自覚もあるのだ。]
(-239) 2023/03/02(Thu) 23:38:57

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 なんならこれからもお願い。ぐらい厚かましく頼んでもいいんだぞ。
 これからも長い間一緒に過ごすんだからな。

[そして少なくとも自分はペルラのことを気に入っている。彼女が関係を破棄しないならこのまま続けようという想いもあったから、甘えていいぞ。というように伝えて]

 お、これって今流行りのやつだな。

[噂だけきいていた。だがだいたい自分が自由に動けるようになるときはもう売り切れているのだ。]

 これを届けにわざわざ抜け出してくるとか……いい子なんだか悪い子なんだか…

[起き上がるのはとめずに、袋の中のパンを受け取りつつ、呆れたようにいうが暖かい心地が胸に広がりながら]

 どうせなら一緒に食べようぜ。

 お茶ぐらいしかないが飲むか?

[そうしてパンを半分こにするように千切りお茶の用意をしていく。自分は椅子にテーブルをベッドに横づけするように置いて、ともに遅めの晩御飯をするのだ]
(-240) 2023/03/02(Thu) 23:39:31

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 …ところで、帰りはどうするんだ?

 こっそり帰るのか…なら、朝早くから空の散歩でもいかがかな?

[そんな気取った誘いをするのであった*]
(-241) 2023/03/02(Thu) 23:40:14

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空



 ……!

[これからも長い間、一緒に。
そうアスルが言った。確かに聞こえた。
ペシペシといきなり自分の頬を叩く自分に驚かせたかも。
よかった、夢じゃない!
ふにゃりと弛んだ笑みは年相応に見えたろうか。]

 うん! アスル、よろしくね。

[手を差し出したら握手してくれただろうか。]
(-242) 2023/03/02(Thu) 23:59:16

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[良い子悪い子論争的には難しい顔をして悩んだ。]

 私ね、たくさん考えたの。

[真面目な切り出し方で。]

 つまり……この場合って、隠し通せれば、アスルに悪い子って思われるだけですむんじゃないかなって。

 アスルは私が悪い子だと、いや?

[嫌いになるだろうか。
なんて、首をかしげる顔はちょっと悪戯っ子のもの。
だってアスルの真似なのだ。
こうして年下の巫女見習いは順調に悪い知恵も覚えていく。

一緒に食べようというのには喜びかけたものの、それではアスルに食べてもらう分が減ってしまうと眉を下げて。
でもお腹の音の方が正直者だった。]
(-243) 2023/03/03(Fri) 0:04:31

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[この街に来て、アスルと初めて一緒のご飯だった。
たったひとつのパンを分け合って、熱いお茶をふーふー冷ましながら飲んで、自分はお行儀悪くベッドの上のままで。

帰りの話には目をぱちぱち瞬かせた。
すっかり楽しくて帰り道を忘れかけていた。]

 ……。

[まだ帰りたくない、と。
言うのを我慢する強さはあったけれど。

アスルが空の散歩に誘ってくれたなら、ぱっと顔を上げる。
瞳をきらきらさせる表情は朝焼けのように明るかった。

今度は前回よりも上手く乗れるだろうか。
そうしたらさらに次は、もっと高くまで、遠くまで、アスルは連れて行ってくれるのかもしれなかった。**]
(-244) 2023/03/03(Fri) 0:12:12

【人】 月島 雅空

 ん?いや、なんでもない。

[似合わないことが浮かんだだけで、大したことはないのであっさりとこたえつつ、新月については、そうだな。と応えつつ、問題です。という珠月>>275に軽く首を傾げるように見て]

 月が―――って、一個…じゃなくて二個か。

[その問いに少し悩んで咄嗟に出た数値を言い直す。果たして今回の場合単位は個でいいのかどうか悩むところだが、さて、珠月の思う正解とはどうだったか。]
(292) 2023/03/03(Fri) 0:24:33

【人】 月島 雅空

 じゃあちゃんとゆっくり放り投げればいいか。

 というか、もてるもてないは関係ないだろ。

[結局放り投げるのか。とかいうのでは、ひどさは変わらないかもしれないが、あくまで自分のベッドにもぐ込んだ時のためだし、悪びれる気はなかったし、もてないとかは関係ない……と言いたい心]

 ま、そうだけどな。
 焚火もいいし、テラスでコーヒーでも飲みながら過ごしてもいいし、色んな過ごしかたできるな。

[寝るのはもったいない。という気持ちはわかる。と頷きながら、そこはもう大人だから大丈夫だろ。と軽くいう…また寝てしまったら放り投げるかわりに運べばいいだろう。と、珠月が寝落ちした後どうしていたかを思い返しつつ]

 壁一枚あるとないとじゃちょっと違うが、それもそうか。
 雷が怖くて…なんていってた頃とか一緒に寝たこともあったしな。

[軽く跨げばいける距離に互いの部屋があったせいで、窓越しの交流とともに、どちらかの部屋で寝るなんてことも少なくない回数あっただろう。
と思えば今更緊張することでもないだろう――相手が思っていないなら猶更に]
(293) 2023/03/03(Fri) 0:24:57

【人】 月島 雅空

 そいつは優しいな、こんなに気遣える子に育って泣けてくるねぇ。

[猫のように笑う珠月の言葉>>277をわざと真に受けるように、ぐしりと珠月の成長に存在しない涙を拭うようにしながらも、立ち上がり方針が決まれば同じ時間を過ごしたもの同士でなれたもの。]

 そのつもりだな。
 ってことで任せた。

[バーベキューについてはやはりキャンプならでは、というのを忠実にしたい気持ちはあるのだ。
そして火起こしにはやる気をしっかり出してくれる珠月のおかげで役割分担はくっきりとする。
階段を下りた後は軽く荷解き。落ちても割れない木製の食器などすぐ使うものを出していくのだが、その前の問いに珠月お姫様>>278はというと、堂にいった(?)お姫様らしく腕組みをして悩んで出した答えは―――]

 仰せのままに、お姫様。

[いつ頃食べるかによって準備する時間が必要なものだ。しっかりとリクエストを受け取った]
(294) 2023/03/03(Fri) 0:25:18

【人】 月島 雅空

 じゃ、これと、これと、これ、とりあえずもっていっといてくれ。
 飲み物は、さっき買った地元のぶどうでつくったジュースでいいか?

[木製の食器。火おこしに必要なものはコテージに置いてあったのでそちらを借りて、と簡単なものを珠月に渡した。
飲み物についても珠月に聞きながら、火おこしにいってもらうことになるだろう。
火が安定すればキャンプ場に用意してもらっていたバーベキューセットを順次もっていくことになるが、それは一旦おかれる。

ひとまず自分はキッチンに改めて向かうのだ]
(295) 2023/03/03(Fri) 0:25:44

【人】 月島 雅空

[折角のバーベキューだ。そのらしさを損なうような凝ったことはやらない。
料理人泣かせかもしれないが、こだわってらしさを捨てるなど勿体ないことはしたくない。

いくつかはそれでも用意していくのだ。

玉ねぎやパプリカ、ピクスルをみじん切りにしてマヨネーズを混ぜてタルタルソースを作り、刺身用のまぐろのを強火で両面を軽く焼いて、塩と粗挽き黒コショウとオリーブオイルで味付けをして食べやすいサイズに切り分ける。
 そしてバゲットを切り分け、これを乗せて食べれば焼けるまでの時間、お腹を満たせるだろう。

>>153で作っていたルイボスティーシロップ。こちらを冷凍庫に入れ直してスマホにタイマーをセッティングする。二時間から三時間。定期的にかき混ぜてシャーベットを作ればお姫様へのデザートは完成だ。

後は、牛もも肉の塊を塩コショウで軽く味付けをしておく。

その出来上がりのために、フライパンにバルサミコ酢と、料理酒、醤油にみりんにはちみつを混ぜて、火を通し軽く煮詰め、とろみがでたら完成だ。]
(296) 2023/03/03(Fri) 0:26:13

【人】 月島 雅空

 珠月ー?火はどうだー?

[こうやっていくつかの準備を整えて、火の様子を聞きがてら食材を運んでいく。

まずはバゲットと、マグロのタルタルソースをもっていき。腹が減ったらこれ乗せて食べとけ。と先にいって、火の様子をみたら順次、オーソドックスな肉や野菜といったバーベキューセットをもっていく。]

 これ、四面焼けたらアルミホイルで包むから。

[塊のままの牛もも肉の塊にはそういいつつ、そっちは時間かかるから早めに頼む。といって、残りの調味料など必要なものを運んでくるだろう。バーベキューのはじまりであった**]
(297) 2023/03/03(Fri) 0:27:25

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 どした?ペルラ?

[頬を叩くペルラに、よくわからずに首を傾げる。
自分にとって、一緒に長く過ごすのは当然のことだと思っていたからで、彼女の悩みをわかっていなかったからだ。

だが次にはふにゃっとした年相応の笑みを見せてくれる。

今までがずっと年不相応だったのだから、彼女の中で何かが解決したならいいか。とあっさりと思うことにして、よろしくな。と握手に応じる。]
(-245) 2023/03/03(Fri) 0:54:12

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[ひとまずお茶を沸かそうか。
あまり人を歓迎するような用意をしていない。お茶も市中で売られている普通のものだ。と、簡素すぎる歓迎になるがそこは仕方ない。などなどと考えているうちに、先程の自分のいった言葉の何が引っかかったのか、真面目な表情で考えていたペルラが口を開いていう。
考えた。と言う言葉に、ほう、なにを?と相槌を打って促して]

 なるほどな。そりゃあっさり解決する出来事だな。
 いいこも大好きだが、悪い子でいいこはもっと好きだぞ。

[そういうちょっとした抜け道は大好きだ。満面の勝気な笑みでペルラの考えを称えて、嫌い?という言葉には逆の言葉をあっさりとした口調で返して]

 じゃあ、こっちにいるうちはそうだな。人見知りの従妹とかそういうのになっておくか?

[もし見つかっても誤魔化せるような嘘の存在を作っておこうという。
まさかこれが巫女が悪い知恵を覚える切欠になるだなんて、シラナカッタナー(棒読み]
(-246) 2023/03/03(Fri) 0:54:38

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[正直なお腹を抱えるペルラに噴き出し。
ほら、むしろ俺一人だと食べづらいだろ。といって、お茶を沸かしにいった。
コップを二つ、ペルラのにだけほんの少しだけ蜂蜜を垂らしていれて、思えば一緒に食事するのはこれが初めてだ。
とはいえ巫女を祈りの場に連れていくことを考えたら、これも珍しくなくなるのだろう。]

 甘味と酸味がいい具合で思ったより食べやすいな。

[実はもっと甘ったるいのを考えていた。なんて流行りのパンを食べながら一緒に口にしつつ、帰りの話はというと、やはり不満があるんだなぁとかそんな感想をもつ。
そりゃこの年頃だったら俺もっと好き勝手してたもんな。とかそういう類のものだ。

でもそんなペルラも本当に空を飛ぶことは気に入ってくれたらしい]

 ふふっ。ああそうだ。
 今度、事前にいっておけ、そしたら夜の散歩だって楽しめるぞ。

[流石に今からでは無理だが、夜間飛行の練習といえばできるだろう。と、先の楽しみをあげながら、ゆっくりとした時間を過ごすのであった**]
(-247) 2023/03/03(Fri) 0:55:32

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスル、私、病気になったかもしれない。

 アスルのこと考えると、変なのよ。
 ……ここがぎゅうってするの。痛くて、苦しいの。

[自分の心臓の上。
胸元を押さえ、そう明かしたのは幾つの時だったか。]
(-253) 2023/03/03(Fri) 1:10:27

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[ペルラは恋を知らない子供だった。
知ることのないまま、アスルだけを唯一として、巫女として以外は彼だけを追い続け、年を重ねていった。

これが恋と言われればそうなのだろうと思うけれど、恋という単語だけで説明できるとも思えなかった。

アスルを想う気持ちとしか言い様がなく。
彼と一緒に空を飛び、隣に座り、言葉を交わし、瞳と瞳で見つめ合い、手を繋いで、……ぎゅっと抱きしめて欲しかった。

巫女見習いになる前、結婚なら知っていたけれど。
巫女になれば逆にそれは禁じられることになる。
力に影響が出てはいけないと、子を授かることも同様に。

ただ、人を想ってはいけないとは言われないから。
そんなことは誰にも止められないから。

アスルが許してくれるなら、ペルラは、ただのペルラは、いつだって手を伸ばして、彼の世界の中でなら甘えられた。]
(-254) 2023/03/03(Fri) 1:11:09

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[巫女見習いとしての日々は確実に過ぎていく。
肩までだった髪は腰に届き、アスルには離されるばかりとしても背も伸びて、見習い用の装束は何度か仕立て直された。
人前に出るときの仕草は洗練された女性のものになり。
常にうっすらと湛えた柔らかな笑みは、見習いになったばかりの頃が嘘のようだと言われ、口元に手を当てて苦笑した。

ただアスルとふたりの時はただのペルラで。
草むらにそのまま腰を下ろし、両脚を行儀悪く伸ばす。]

 私、やっと力を使いこなせるようになってきたわ。
 これならもういつでも大丈夫だろうって。

[アスルになら何でも話せた。
嬉しいことだって、悩んでいることだって。]

 でも、まだ時々制御が難しいの。
 力がありすぎるのも困りものなんだって。
 大地に向かわせないといけないのに、ぽーんって空に飛ばしてしまったら、私なんてすぐに力尽きてしまうものね。

[そんな冗談にならない冗談も。
今や言えるのはアスルにだけ。]
(-255) 2023/03/03(Fri) 1:12:23

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[彼が窓から攫ってくれる日があれば。
自分が彼の家へと忍び込む日もあった。
だってちゃんと従妹という隠れ蓑があるんだもの!]

 それで良い案を思いついたんだけど、聞いてくれる?
 祈りの時に一気に力を捧げるのではなくてね、日々少しずつなにかに力を貯めておくの。
 本番ではそれを溶かしながらゆっくり浸透させていく……。

[真剣に、でも生き生きと。
アスルが飛ぶことについて語るときのように。]

 この耳飾り、きれいでしょう。
 遠い昔、人々が地上で生きていた頃、大地の周りは海という塩の水でできたものに囲まれていたんですって。
 湖よりももっともっと広いの。
 そこでね、貝の中からとれた宝石。……真珠。
 とても大切に保管されていたらしいけど、私と相性が良いみたいで……巫女になるときに譲り受けることになったの。

[ある日見せたのは、古めかしい金の葉の装飾に銀白色の柔らかな曲線を描く宝石――満月のような真珠のついた耳飾りだった。]
(-256) 2023/03/03(Fri) 1:13:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 これはね、私のお守りみたいなもの。

[力をきちんと使いこなすための。]

 ここからが本番。アスル、見ていて?

[アスルの隣に座ったまま、両の手のひらを上に向ける。
そうして瞼を伏せると静かに祈りの言葉を紡いでいく。

金色の髪が淡く光り輝き、細まった紫の瞳が煌めく。
どこからか水もないのに滴が落ちるような音が響き、ふわりと清流のような香りがして――手のひらへと力が集まってゆく。
柔らかな光が金にも虹色にも変わり、最後に柔らかな銀白色へ、艶めきを帯びた小さな真珠の粒が、今、生まれた。]

 これが、私の、この島を守るための力。

 私、ちゃんと巫女としてやっていける……。
 アスル、私、大丈夫……よね。

[彼へと肩を寄せて、そっと目を細めた。]
(-257) 2023/03/03(Fri) 1:14:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[その翌日だった。

現役だった巫女の力が突然尽き、そのまま彼女は姿を消した。

『巫女は祈りを捧げて力を使い果たすと消えてしまう』

逸話の通りに。
跡形もなく。
泣いて縋ることは許されなかった。

その日に巫女見習いは巫女になった。
ペルラが見習いになって3年、年は13になっていた。**]
(-258) 2023/03/03(Fri) 1:16:50

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[病気になったかもしれない。
そういわれた時は柄にもなく焦ったが、内容を聞いていくうちに違う意味で焦ってしまった。
同郷の同年代のものなどそれを成就させて番となっていると、自分とは無縁とはいえ理由も意味も理解はしていた。

とはいえどう説明したものか。ここで大人らしく諭して誤魔化すのは簡単なんだろうけれども、ペルラにそういうことをしたくはないし、何より性に合わない。性に合わないので嘘だとばれるのも容易いだろう。

それに自分自身そういわれて、自覚をしてみて、驚くほど嫌じゃないことに気づく。

ペルラほど閉じた生きかたはしていなかったものの、こちらに引っ越してきてからというもの、周りには目上の人ばかりで、そういう対象ではなかったのもあったが]

 ……魅力的なやつってずるいよな。

[ため息をともに、じっと見つめる未だ成長途上の少女の姿。
真面目に務めを果たそうとする姿も、年相応に自分だけに見せてくれる柔らかくも悪戯気な様子も知っている。だからこそ少しだけ咎めるように見つめて、視線を和らげた]
(-259) 2023/03/03(Fri) 1:29:49

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 …その気持ちが続く間はな、俺と一緒にいろ。ずっとな。

 そしたら悪いことにはならないからな。

[明かされた言葉に、いいな?といった。解決案ではないが、ただ、信じろ。というようにその時は伝えたのであった*]
(-260) 2023/03/03(Fri) 1:30:28

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[次代の巫女の守り人として任命されていこう、日々が過ぎていく。
少年から青年への移り変わりとなっていたアスルは徐々に大人の仲間入りをするように成長していき、肉体的にも絞られた完成品のようになっていき、また髭も少し生えるようになっていく。

そんな二人の関係は大きくは変わらない。少なくとも表面上は亀裂でも入らない限り、良好な関係を築けていき深まっていく。という意味では変わらない。

さて、そんな本日は窓からさらった日であった。
自分の工場はおやすみで、また少し改良されて、より鮮明にカラーリングされていったグライダーに乗って、郊外のほうに降り立ったのだ。
今はグライダーを紐で固定して、日除け替わりにしながら草原に横たわりそよぐ風は心地よさに身を任せている。
もう少し風が強くなれば、また一緒に飛ぶこともできるだろう。そんな中、ペルラの話を聞いていた。]

 おお、ついにか。
 いっぱい頑張ってたもんな。愚痴を聞いてた甲斐があったもんだ。

[二人きりでいるときは、何でも話すペルラに自分もまた遠慮など…思えば最初からなかったかもしれない通常運転。]
(-262) 2023/03/03(Fri) 2:57:57

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そんな中で新たに生まれた悩みを、うんうんと相槌を打ちながら聞いていく。
悩みというのは尽きないものというのは技術と同じで、悩みも似通っていくものなんだなぁ。なんて少し不思議に思う。
後冗談にならない冗談もこっちにはよくあることなのだ。
着地できずにバラバラになるぞー。とかそういうやつである。

そして問題が見つかれば改良するのも変わらない。
寝転がっていた姿勢を横向きにかえて、良い案というのを聞くために身体を向け、伸ばした手は風に揺れるペルラの金髪へとそっと指にはわせながら話を聞く。]

 ああ、綺麗だ。

 海……なぁ。うーん。なんか今聞いても想像つかんな。

[こういう過去の文献は自分はさほど詳しくない。しっていても偏りが多い。そのためだいたいペルラのいうことを鵜呑みにする傾向を持ちつつも、、話の続きを聞く。
その真珠という譲り受けたものと相性がいいというのはわかったが、それがどう繋がるんだ?というように、その装飾のついた耳飾りを見せてもらう]
(-263) 2023/03/03(Fri) 2:58:49

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[御守りだというペルラ。
ただそれは精神的なものではなく確りとした理由のあるものだ。

俺がもつ、南側を向く鳥の嘴。という星座が掘られたコインと同じだ。
みていて。と言う言葉に頷いて、転がっていたのをやめて起き上がり胡坐をかいた。

金色の髪が昼間の日輪のように輝き、紫の瞳が昼と夜の境目のように艶めく。

しとしとと優しく落ちる雨のような音は森林の川の香りをともに運び、不可思議な。だがこの島から見える光景と香りが詰まった光景が彼女の手の中で一つに集うようだ。
ペルラは本当にこの島に選ばれた巫女なのだ。と誰が見てもわかることだろう。

煌めきが美しく移り変わり、月色の光を放つ真珠の粒が生まれる。]

 ああ…大丈夫だ。自分の力を理解して扱っているんだ。だから巫女としてやっていける―――――――――って、言ってほしいのか?

[自分に打ち明けてくれた言葉。だが彼女は次代の巫女に相応しいと、周りの人間は言っていることだろう。それと同じことをいうのが彼女のためになるのだろうか。]
(-264) 2023/03/03(Fri) 2:59:24

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ………簡単なことじゃないな。本当

[色んな、色んな意味を込めて口にしながら、身を寄せてくれるペルラをそっと支えるようにして、自分のほうを向かせる。
ペルラの肩にのった逃げることのできない重責の一部を受け止めるように抱きしめる。]

 ペルラの努力の結晶だってのはわかっているけどな。

[とんとんと背中を優しく叩いて]

 しっかりしなくていい、泣き言いっていい。そんぐらいの我儘は許されるさ。

 だから島のためなんて言い聞かせて自分をしょいこむより。もう少しやる気だせるもののためなんてどうだ?

 美味しいもの食べたいとか。もっと遊びたいとか。

 あとは、好きな人のため。とかな。

[ここでいう好きな人というのは、恋愛的な意味ではなく家族とかもっと身近な色々なものを含めてのこととして口にする。]
(-266) 2023/03/03(Fri) 3:00:41

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 俺が働いている工場あるだろ。
 正直いうとな、あそこの人たち、俺の従妹はペルラだってことばれてるぞ。

 でもな、変わらないだろ、見て見ぬふりしてる。

 理由は一応わかるんだ。

[訥々とペルラの返事を聞くことなく口にしていく。]

 何かあっても人を安全な空へと導くため。そういうのが根っこにあるんだなぁって、最初の頃はわからなかったけど、そういう理念をもってるんだってな。

 表だっていうと、巫女の存在の否定になっちまうから誰も言わないけどな。

[でも、次代の巫女に聞かせた。他の一般人ならともかく、巫女となるものに、そしてペルラだからこそ言っていいと思った。]
(-267) 2023/03/03(Fri) 3:02:46

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 それにそんな大層なことじゃなくていい。食堂のおばちゃんのおかげで助かってるやつだっているし、牧場や農業のおかげで飢えなくて住む。
 暮らしを成り立たせるための一つって意味では農業も牧畜も巫女も変わらない…なんて思ったってそんな間違いはないと思うぞ?

[それでも巫女が重要であることに変わりはないが、ペルラの重責が少しでも軽く思えるように、どうだ?って笑いかける。
もちろん、巫女にはもう一つ、逸話があるのだが]

 ちゃんと…傍にいるからな。

[髪を指で梳くように触れそのまま頬まで指を動かして指先で撫でる。
今できることといえば、自分が触れることでペルラが触れられている自分がいることと自覚を持ってもらうことだけだった**]
(-268) 2023/03/03(Fri) 3:08:28

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 巫女となって ―

[巫女として役目を果たす日々は意外なほど平穏でもあった。

満月の夜、半月の夜、三日月の夜、新月の夜。
時には占いで力の不足を察知して。
島中に点在する、時に人の住まない僻地だったりもする祈りの場へ守り人とともに赴き、夜通し祈りを捧げる。
限られながらも広い大地に、山に、谷に、湖に、花咲く野原に、島の奥深くへと力を浸透させて浮力を活性化させるために。

最初は全力すぎて祈り終えた途端にバタンと倒れたり、岩の間からいきなり水を溢れさせたり、急に滴を降らせたり、悪影響を及ぼさずにすんだのが幸いなトラブルは巻き起こしたものの。
自分なりに必死で立ち向かい、アスルへ素直に助けを求めた。
たくさん失敗してへこんだ後だって、彼に空へと連れ出してもらえば心へやさしい風が吹き込んだ。]

 ねぇ、アスル! さっき、虹が出ていたでしょ?

[くすくすと笑い、悪戯に目を細める。]

 あれなら力の無駄遣いじゃないわね。

[彼の前では、よく、ペルラは悪い子で良い子だった。]
(-333) 2023/03/03(Fri) 17:46:53

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[巫女になって変化したのは住む場所もだった。
中心部の街であればと条件はあったが希望を聞いて貰えたため、石造りの塔から、街の少し端にある小さな一軒家へ移った。
花屋を営むおばあさんが少し前まで暮らしていた家だった。
古くて必要最低限の部屋しかなく、キッチンもこじんまりしていたが、街中なのにちゃんと庭があって花が植えられている。
おばあさん亡き後も近所の人が世話をしていた花々。
早朝に身を清め、真珠を作り終えた後、ほんのり力を込めた水を如雨露で花にやる、そんな習慣が増えた。]

 今日はおまじないかしら?
 占って欲しい?

[役目で遠出していない期間は、修行や勉学の他に、占いやおまじないを頼まれて行うこともあった。
今日は小さな女の子から恋占いのお願い。
ふふっと微笑んで、グラスの水に花弁を浮かべる。

見習いの間より、街の人々と積極的に関わるようになった。
フードで顔を隠さずに道を歩き、花壇の花が素敵だと言葉を交わし、時に井戸端会議にもお邪魔し、工場街の食堂にだってこっそり行ったりもして、今は定番商品になった林檎と蜂蜜のパンをふたつ買っておばさんにウインクされている。

だって、アスルはパン半分じゃ足りないに違いないもの。
あんなに背が高くなって身体もしっかりして。]
(-334) 2023/03/03(Fri) 17:49:12

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[街にはたくさんの人がいて支え合って暮らしている。
祈りのために出向くどんなに小さな村だってそう。
自分が生まれ育った場所のように手を取り助け合っている。

巫女になる前日。
アスルがくれた言葉たちを忘れたことはない。

これからも、ずっと、忘れたりはしない。

抱きしめてくれたあたたかさも、背中をとんとんと叩いてくれた手の強さも、髪をすいてくれた指先の優しさも。
頬に触れられたときは、心臓がとくりと鳴ったのも。]
(-335) 2023/03/03(Fri) 17:49:43

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスルーいるー?

[今日は自分が忍び込む番。
バレバレと知りつつ律儀にフードは被って人見知りの従妹のフリをするのはほぼ悪戯心というもの。
アスルの仕事場の休憩時間はもう把握済みで、彼の姿を見つけたら目を輝かせ、パンの袋を掲げて見せた。
ふふん、もう自分だって稼いでいて買えるのだ。]

 今のアスルだったら、パン3つくらい食べてしまいそうね。

[彼が淹れてくれるお茶は今もほんのり甘いだろうか。
オイルのついた手袋を外す姿を見守って微笑む。
自分の分にだけ蜂蜜を入れてくれていると知ったのは何回か訪れた後のことで、くすぐったい心地がした。]

 ね、今度、夜の散歩に行きたいな。

[美味しいパンを食べて。楽しい空の旅で遊んで。

――あなたと、ともにいたいと願って。]
(-336) 2023/03/03(Fri) 17:53:06

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……。

 …………アスル……ううん、なんでもない。

[あの気持ちは、あの胸の痛みは。
あれからずっと変わらない。

種類は増えた気がする。
苦しいのと、跳ねるのと、急に速くなるのと、時々アスルのそばに居すぎると酷くなるから困ってしまう。

『俺と一緒にいろ。ずっとな。』

それでも、言われたとおりにする。
どんなに苦しさが増したとしても、そうすると決めていた。*]
(-337) 2023/03/03(Fri) 17:54:13

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[気持ちを通じ合わせたのは互いが幾つの頃か。
年齢など、タイミングなど、些細なことだったかもしれない。

重ねる手の温度は変わらない。
抱きしめ合ったときの感触も、どう関係の変化があったって何がいきなり成長するものでもない。

けれど。温度も力強さも。
なにか違って感じるのは気持ちのせいなのだろう。

空を飛びたい、だけでなく。
抱きしめて欲しいと。
せがむ声に、もう子供ではない、甘い響きが含まれてしまう。


巫女が恋に溺れるのかと不安視する空気は知っていた。
長老たちの一部からは直接批判されたこともあった。
巫女としての能力に影響は出ない、出さないと、それだけは必死で訴えたし、自身を律する気持ちはあった。

でも、なくせはしなかった。
――ただひたすらに、彼を想わずにいられなかった。**]
(-338) 2023/03/03(Fri) 17:54:43

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 変化 ―

[自身に変化が表れ始めたのは20を越えてからだった。
もう過去に役目を終える巫女のいる年齢になっていた。

濃い金色の髪の毛先がほんのり色を淡くしている。
水盆に自分の顔を映せば、紫の瞳もまた少し淡く見えた。
ほんの少しの変化だった。
だが確実に、それは予兆としか思えなかった。

巫女を管理する長老たち以外、街の人々などには特に言うつもりはなかったが、アスルには先に気づかれるだろうか。
隠すという考えは……一瞬だけ、浮かんでしまった。

初めてのことだった。
言いたくない、なんて。

でも、時間は止まってはくれず、役目は訪れ、分かりやすくなる変化とともに、身体は疲れやすくなっていった。
自身の中の力が尽きていく。
砂時計の砂のように減っていき、ひっくり返しは出来ない。
覚悟はしていたことでも身体が冷たかった。]
(-343) 2023/03/03(Fri) 20:21:52

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[昼の街中を歩けば、子供たちの遊ぶ声がする。
自分と同じくらいの女性はとっくに結婚し親となる年齢だった。
仲睦まじそうに笑い合う夫婦はともに双子を抱いていた。

アスルは、自分より5歳年上。

男性の方が結婚の適齢期は遅い傾向がある。
彼ならば、本来は引く手あまただろう。

守り人もまた、巫女と同じく結婚してはいけないとされているが、力の影響を考えれば不当な縛りとも思えていた。
巫女以外となら、女性と結ばれて子を持って悪くないはずだ。]

 アスルは、良いお父さんになれるだろうな……。

[最近、そんなことをよく思う。

巫女の自分は、彼と結婚できない。
なにより彼の子孫を残せないのだ、と。]
(-344) 2023/03/03(Fri) 20:23:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[思い詰める日々が続いた。
役目の間は頭から消しても、終えればすぐによみがえる。

アスルとは常に一緒なのだから仕方ない。
巫女と守り人の距離はどうしても物理的に近かった。

でも、心は、そうでなくてもいいのだ。

幼い自分はアスルしか見えず、そのまま大きくなった。
アスルから離れたくなくて我が儘を言い、意識しなくても彼を縛り付けていたのかもしれないと思う。
巫女としてだけの気持ちを持っていれば。
今頃、守り人をしながらであったとしても、彼は別の幸せを得ていたのではないか。

こんな、いつ消えるか分からない女のために、……。

いつになく情緒不安定になっている自覚はあった。
力の安定を欠いたせいに違いない。
淡い紫の瞳から、水が零れて止まらないのだ。]
(-345) 2023/03/03(Fri) 20:23:55

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[覚悟を決めたのは満月の夜。
祈りの役目を無事に終え、街まで距離があるから無理はしないでおこうと、人里離れた湖畔での野宿を選んだ次の夜にはほんのりと月は欠けていた。

祈りの場の近隣の人々が優しく迎えてくれるのは勿論嬉しかったが、実は、こうしてアスルと野宿するのが一番好きだった。
ここの湖畔は静かで、澄んだ水の香りがした。
焚き火から散る火の粉を追っていけば、夜空に淡い色の月と、きらめく星が眺められたことだろう。

食事を終え寝床を整えて。
隣に座るアスルへと、そっと話しかけた。]

 アスル。

[巫女として守り人へ話しかけるのとは違うトーンで。
ふたりきりの時だけの響きで。]

 両手を出して? 手のひらを上に、ね。

[何のためか言わないのはわざと。
渡そうとしているものを拒否しにくいように、乗せてしまえば断りにくいだろうなんて、悪い考え。
どこの誰に似たんだか、そうよく笑ってきた。]
(-346) 2023/03/03(Fri) 20:25:23

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[アスルは訝しげにしたかもしれない。
でも、従ってはくれただろうか?

それを確認すれば、自らの横の髪をかき上げ、片方の耳から、巫女になった日から片時も離れず着けている耳飾りを外す。
金の飾りがにぶく輝き、歴史ある真珠が柔らかに光る。
力を常に帯びてきた宝石は月日を経てきても美しく、もう自分が身につけていなくても――いつか彼が生を全うするその時まで、朽ちることも、染みこんだ力を失うこともないだろう。

番の片方を、アスルの大きな手のひらに置いた。]

 ……私からの贈り物。
 アスルがこれからもずっと……元気でいられるように。

[健やかに、怪我をせずに。]

 自由な鳥みたいで、いてくれるように。

[耳飾りを置いた自らの手を離す。
ほんの少しだけ触れ合っていたぬくもりを、名残惜しく思わないように、我慢して、綺麗に微笑んでみせる。]
(-347) 2023/03/03(Fri) 20:26:51

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……アスル。
 ただの巫女と、ただの守り人に、なりましょう?

[ペルラとアスルではなくて。]

 私の心臓は、もう、ドキドキしなくなっちゃった。
 苦しく痛いばかりは……辛くなってしまったの。

 ……ごめんなさい。

[いつか身体が全部消えてなくなるとしたら。
心臓なんて一緒に泡みたいになって、全部分からなくなって、彼を想う気持ちも、塵のように吹き飛んでしまうのかな。

耳飾りを渡すのが自分のエゴなのは分かっていた。
全部消えるのが怖いくせに、でも、アスルに幸せになって欲しい、可能性を持って欲しい、その気持ちも本当で。*]
(-348) 2023/03/03(Fri) 20:27:40

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― ペルラが巫女になって ―

[月の満ち欠けに応じてペルラは祈りを捧げにいく。
浮遊する大地に雨を注ぐように、力を浸透させていく。

当然だが守り人である自分は巫女の翼となって祈りの場へと連れていき、工場として働く傍らで飛行機を操舵するものとしての時間も過ごしていたアスルはその任を恙なく遂行していた。
彼女のほうはというと、やはり最初からすべてが上手にできる。ということはなかったが、犯してはならないミスというのもなく。
野を越え谷を越え村を越え、どこもかしくも日帰りなんかはなく、時には野営地で、時には村で宿泊をしてはまた帰る。

今日もまた二人は空にいた。

真上からみればトンボの形をした中〜長距離用の小型飛行機。
焦って帰るような旅でもないため、四枚の内、二枚の虫の羽根の形をした翼が複雑に角度を変えながら上下に揺れ動かしながら、足元のペダルと両腕のハンドルで操舵するのがアスルである。]
(-360) 2023/03/03(Fri) 21:48:10

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 虹は綺麗だったが、だからって鳥を驚かせていいわけじゃねーんだぞ。

[剥き出しの機体に乗る彼らは風を感じながら視界の右側で悪戯に揺れる金の髪と同様なのが悪い子で良い子なペルラ
この機体、胴体部分が左右と底部分があるだけで、身体が晒されてるとも取れるが、結構自由に動けるのだ。よって]

 ほら、こっちだ。

[操舵の邪魔にならないように、でも視界には入り続けるように、正面右端部分の上に乗って足をぷらぷらさせ悪戯気に目を細めるペルラを引き寄せた。]
(-361) 2023/03/03(Fri) 21:49:15

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[この機体はハンドルと体重移動により進路を変える必要がある機体だ。
巡航状態からゆっくりと進路を変えるために体重を傾けながらハンドルを切る。抱き寄せることで機体を傾けて]

 さーて…今回はどういう道で帰りたい?

[巫女としてのお勤めであることは変わりはないが、祈りの場で役目を終えれば二人にとっては帰るまでは自由時間だ。多少帰り道を好きな場所を選んで寄り道しても構わないよな。なんていいだしたのはアスルであり、彼女が巫女として守ってる大地を、そんな大地の上に住む人々の生活を見て回るようにして、空では彼らは自由であった]
(-362) 2023/03/03(Fri) 21:50:16

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そんな風に結構しっかりと守り人の役割を果たしているアスルだが、私生活はというと、男の一人暮らしなんてこんなもんだ。というだらしなさがあった。
暑かったからって下着一枚でいたところをこっそり入ってきた従妹には――まあその時のことは深く語るまい。
休憩時間。垂れるオイル交じりの汗をタオルで拭いとり、一休憩いれたところで風が教えてくれる来客の気配。
よ。っと、脱ぎかけの手袋のまま軽く手を振った後、手袋をちゃんと脱いでおく]

 食えるっちゃ食えるが、眠くなるから駄目だな。

[いつものように沸かしたお茶をいれる。ペルラのお茶にだけほんのり蜂蜜をいれているのは既に習慣のようにもなっていた。]

 ああ、いいぞ。そうだな。三日後ならいけるとおもうがどうだ?

[なんて彼女のおねだりに応えるようにいう。パンを一齧りして予定を聞く。

巫女になる前に話した言葉が、ペルラにどこまでの変化をよんだのかわからない。
ただ今は色んなことに目を向けて知ろうとする、世間知らずなお嬢ちゃんではなくなっていってるのは確かであった。]
(-363) 2023/03/03(Fri) 21:51:28

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[ちょっとした切欠があったとはいえ、気持ちが通じ合ったのは、ごくごく自然なことだったように思える。

彼女の胸の痛みの理由を自分は知っていたし、世間知らずではなくもっと広く色んな所に視野を広げていったペルラを、アスラもチビちゃん呼ばわりする頻度が減っていった。

同じように減っていったものもある。それは些細な距離だ。
肩に触れればよいときも髪に触れ、手を握って引き寄せるときも、それだけではなく自然と抱きとめるように腕を回す。

彼女の子供のようなおねだりにも隠し味のような甘い響きが加わり、応える自分の低い声にもランプのような熱がこもっていた。

巫女というものが、守り人というものが、などとあっても、アスルとしてペルラを想うことはごくごく自然のことだったのだ。*]
(-364) 2023/03/03(Fri) 21:52:08

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― 変化 ―

[想いを交し合う関係は、3〜4年ぐらい続いていただろう。
抱き寄せるペルラの髪の香りは俺が知る限り一番の花だ。と抱擁に囁きが乗るようになったのも、愛しさから口を滑らせてしまうのだから仕方ないのだろう。

その日は満月の日。祈りの役目を終えれば、密やかな逢瀬にも繋がる蜜月の時間の訪れでもあったのだが、その頻度は減っていた。明らかにペルラが疲れている時間が長く、そして最近はペルラの様子がおかしい。それは見た目的にも精神的にも。

本日は湖畔で二人野宿をして過ごす。
休んでいろ。といって食事を終えると二人分の寝床を整えた。彼女が寝るまで火の番をしよう。そう考えていたが、寝るまでの時間を一緒に過ごすように隣に座るペルラ。
名前を呼ぶ響きは甘く、自然と冷えた体のペルラの肩に手を回して引き寄せようとして、両手をといわれたので一旦止める]

 …いいけど、どうしたんだ?

[てのひらを上に、といわれて首を傾げ口でも疑問を発しながらも、その後のペルラの動向を見守った。]
(-370) 2023/03/03(Fri) 22:36:19

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[なんだそれ。とは思った。
贈り物。といわれて外されて見たのは金の葉の装飾。彼女が力の形として作るのにも似た真珠と呼ばれる宝石。
その片方をてのひらに乗せられた。そこはいい。
ただその後に続く言葉がまるで―――遠くから願うように聞こえる]

 ・・・・・・

[少しの間、黙って言葉を受け取りながらも、指は握るようにしてイヤリングを受け取った。ごめんなさいという言葉を聞いて目を細める。睨むように悔やむように]
(-371) 2023/03/03(Fri) 22:36:39

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ここ最近はどうすりゃいいのか。って迷ってた。
 何も浮びはしない。ただ漠然とな。

[ぽつりと開いた言葉、でてきたのは繋がらないけれど意味のある会話。
実際なんとかできないだろうか。なんとかできないにしてももっと良いことができないだろうか。と、自分だけでは無理だろうか。と考えていた。]

 ……別れが近いのか?

[彼女の異常を、それはそういうものだと思っているのか、理解できてしまっているのか。その感覚は自分にはわからない。
だが、ペルラがそんなことを言い出した理由がそこにあると思い当たってしまった。]
(-372) 2023/03/03(Fri) 22:37:52

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[じっと見つめた。しばらく無言でじっと紫の色素が薄くなった瞳を見つめて]

 ……わかった。

[それはペルラにとって了承のように聞こえただろうか。ただ今回のことは額通り、そっちの言い分は、という意味でのわかった。というだけだ。わかった上で]

 ……巫女だからって、なんでもかんでも言ったら従うと思うなよ。

[低く怒るように、ただの巫女。となったものへと、ただの守り人はいう]

 そんなの初めから知ってるんだよ。
 だから苛立ったんだよ。そんな生きかた俺には真似できねーってな。

[出会いのとき、苛立っていた理由は、今の関係に至った最初の経緯を口にした。
今までの関係を肯定するように、知っている。という。]
(-373) 2023/03/03(Fri) 22:39:42

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[肩を寄せ合うように隣り合う姿勢から真向かいに向かい合うように身体の向きを変える]

 なぁ、俺はな、ペルラ。

 ペルラが寂しくならないように後悔せず生ききったって思えるぐらい愛そうと考えてた。
 消えちまうんだとしても、消えれないぐらい俺を焼きつけて、その先で待たせてやろうと思っていた。

[最初は守り人として、次は恋人として]

 そう聞いて、嫌いになったか?
 そうやって好きな女性に無理させて謝らせてるような、かっこ悪い男、嫌になったか?

[嘘も誤魔化しも許さないように、ペルラへと真剣な眼差しをむけ問いかけた*]
(-374) 2023/03/03(Fri) 22:40:16

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[わかった、と言われて。

ほっとした。さみしかった。かなしかった。
――本当はわかってほしくなかった。
言い出したのは自分なのに、泣きたくて仕方なくて。
ひゅうひゅう言いそうな喉を締め付け、張り裂けそうな胸の苦しさに耐えて、やっぱりそんなの嫌だと叫んでしまいたい自分に絶望しながら、じっと湖面を見つめていた。]

 ……っ、

[低く怒っている声。
当たり前だと思う。

でも、彼の紡ぐ言葉を聞くうちに、耐えきれなくなっていく。
真正面から向き合うときにはもう決壊寸前だった。]
(-383) 2023/03/04(Sat) 0:03:31

【人】 月島 雅空

 おお、流石だな。まさに熟練の技だな。

[彼女の火おこしの技術は堂にいっている。
今回は炭となど豊富に置かれていたが、小さい頃から乾いていた枯れた枝を探すのも一番上手だった。

覗き込んだ先では火は起こっていた、後はこれをある程度満遍なく広がっていけばいいが、風も珠月を手伝ってくれている。時間の問題だろう。

雄々しくサムズアップする珠月>>378に惜しみなく賞賛を向ける。

もってきた前菜料理を覗き込む珠月へとテーブルに置いて見せつつ、こういう時に素直な反応をするのは作った当人としても嬉しくなる。]

 ああ、正解だな。

[緑のそれが嫌いなのは知っている。だから無理に食べさせようとは思わないのだが、あまり甘やかすのはなんなのでそれを口にはしないでおく]
(397) 2023/03/04(Sat) 0:04:10

【人】 月島 雅空

 めしあがれ。元々前菜だしな。

[手伝おうとしてくれたとしても火の番が必要なので待ってもらうことにするだろう。

珠月が食する間に網へと油を湿らせたキッチンペーパーで軽く塗っておき、油を網になじませておくなか、届く喜びの声、そして猫が液体になった時のような緩んだ表情。]

 口に合ったようで何より。
 せめて珠月から見て全部で70点ぐらい欲しいしよかったよかった。

[そんな足し引き>>378して64点の幼馴染は、牛もも肉のことを頼んでまたコテージに戻る。
ちなみに料理の腕が残念>>379なのは理解しているが、油が滴るタイプではないし、そもそもそんなに長時間離れないので大丈夫だろう。]
(398) 2023/03/04(Sat) 0:04:36

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 私、は……もう十分、幸せだったの。
 アスルにたくさん幸せを貰ったの。

 誰よりもアスルと一緒に飛んで、隣で過ごして。
 その記憶さえあれば大丈夫で、思い残すことはないって……っ

[なのに、そんなことを言う。
まだ未来の長いアスルから手を離したいのに、解放したいのに、――ああ、でも、自分は思い違いをしている、か。

初めから、アスルは自由な鳥だった。
彼は彼らしく、彼の考えで、飛んでいるのだ。]
(-384) 2023/03/04(Sat) 0:04:37

【人】 月島 雅空

[保冷ボックスにいれられたバーベキューセットに調味料。
ワインボトルのようなものに入ったぶどうジュースと、プラスチックグラス。と、一揃え用意を終えたところで改めて珠月と合流する。
ちなみにお酒はもってこなかった。単にアルコールが入ると味覚が鈍るので飲むとしてももう料理しなくなったときというものだ。

ということで焼き場を珠月と交代する。
牛もも肉は四面が焼ければアルミホイルに包んで網の端のほうに置いておきながら]

 どれから食べるー?

[牛や鳥といった肉。野菜と、二人で食べるには十分すぎるものをこちらの施設で用意してもらっていたので遠慮なく食べよう。
ホタテに上から醤油をそっと垂らし、バター乗せる?とか聞いたりしつつ網に具材を置いておく。焼ければ、これ食べれるぞーと渡していくだろう。]

 ん、いい感じだな。

[バゲットの上に、彩りも鮮やかにされたタルタルを両面やいたマグロに乗せて食する。マグロの脂の旨味を塩と胡椒で少しスパイシーに仕上げられているがそこをまろやかなタルタルの加わることで良い塩梅になっている。パプリカの歯ごたえも悪くない。などと当然自分で作ったものも食べていくのであった*]
(399) 2023/03/04(Sat) 0:04:51

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……嫌になったりしない!

[もうぐちゃぐちゃだ。
こんなこと言ったら、別れを切り出した意味がないのに。

消えたその先で待たせてくれようとしてた、なんて。
自分の心がどれほど痛んでいるか、わかるのだろうか。

どんなに嬉しいか、どんなに苦しいか。]


 ……アスルはね、いい父さんになるかなって思ったの。
 子供を抱き上げている姿を何度も想像したの。

 私には出来ないこと……私じゃ、アスルにあげられない幸せがあるんじゃないかって、怖くなった。
 縛り付けているんじゃないかって。
  
[ぽろぽろと、頬を大粒の涙がすべっていく。]
(-385) 2023/03/04(Sat) 0:05:29

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[アスルの瞳は空のようで。
彼の気持ちと一緒に、こちらの想いまで映し出すようで。
いつだって何も隠せなくなってしまう。]

 でも、私が、そうしたかった。
 本当は全部、私が、アスルに、あげたかった。

[自分がアスルにあげられるものなんて。
もう、何も残っていない気がしてしまっていた。]

 嫌いなんかじゃない……。
 でも、嫌いじゃないから、……つらく、て。

[ひくっとしゃくり上げる。]

 ……本当に、……待っていても、いいの?
 私、アスルの言うこと、すぐ本気にしてしまうから。

[子供のように、何度も確かめて。*]
(-386) 2023/03/04(Sat) 0:09:31

【人】 月島 雅空

 じゃ、かんぱーい。

[互いのグラスに葡萄ジュースをいれて珠月と乾杯。
焼き場もいい香りとともに食欲が大変なことになっていた。

食べたいと思っていた焼きトマト。
口の中にじわりと染み出る酸味と甘味をオリーブオイルの香りが良いまとまりとなっている。そんな複数の味のぼやけさせない役割を塩は担ってくれた。

鳥は今回はタレでこってりと、牛は塩とわさびで味わおうか。
今回米を用意していないのが悔やまれるがそれは明日からになるなぁ。と、さすがにそこまで用意するのは限られた時間では手間であったので仕方がない。]
(400) 2023/03/04(Sat) 0:23:59

【人】 月島 雅空

[野菜は、玉ねぎやキャベツ以外にも自分用にだけピーマンは焼いておこう。半分に割いてその中に先程の鶏肉を詰めるようにいれたら、珠月も食べるかな?

しいたけは少し考えたが味噌と山椒を少しだけかけて、味噌の独特の甘味と旨味がしいたけの味と合わさって結構おいしく、痺れとも辛みともとれる鋭い山椒の風味はもう一口と癖になる味わいになってくれている。

途中スマホのタイマーが鳴ったので、と二回、三回とコテージへと戻ったりとしていた。聞かれたらデザートの下準備というだろう。]

 最近学校のほうじゃどうだ?

[一緒にいたら昔の感覚を取り戻せたが、つい先日まであまり会えなかった日々が続いていただけで、その時間を埋めるように問いを向けて]

 俺はようやく、コックコートも着慣れてきたな。
 でも調理師学校と違って店の客は父さんの料理を食べにくるからな。今はいくつかレシピあての練習したり、期間限定の料理とかちょっと任されたりしてるとこだな。

[後は昔からの手伝いの延長。などといいつつ話してくれれば近況をお互い知り合えるのだろう]
(401) 2023/03/04(Sat) 0:24:51

【人】 月島 雅空

[そうして無事にご馳走様。までいければ、事前に用意したデザートを運んでくる。]

 お待たせしました、お姫様。

[マイナスの点でも気にせずにうちの末っ娘の前にすっと差し出す。
見た目でも美しさを損なわないように硝子に盛り付けられたルイボスティーシロップ>>153で作られたシャーベット。そしてルイボスティーに漬けていた桃の果肉をシャーベットの山の外側に盛るように飾られ上にはミントが添えられている。]

 桃とルイボスティーのグラニテ。でございます。

[コックコートはない普段着にもらい眼鏡をつけているが、綺麗に一礼をしたが、珠月の反応はどうだっただろうか**]
(402) 2023/03/04(Sat) 0:34:34

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 何言ってんだ…俺の目に映ってる押し殺した顔の女の子は幸せそうになんてちっとも思えないぞ。

[綺麗な笑みの内側に潜む、複雑にない交ぜにした苦し気な生々しい表情。
叫ぶような心の告白を黙って聞きながら、視線を逸らさずに力が弱まったような淡い紫色の瞳を見つめる。]

 いいお父さん…か。

[ペルラの中で自分はどうなっているのか。と苦笑しつつ思った、父。といわれれば意識してしまう相手はいるんだが、それを口にしたら彼女を追い詰めてしまうだろう。]
(-389) 2023/03/04(Sat) 1:26:15

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 でも…ペルラとしかもらえない幸せもあるんだ。
 だからもっと寄越せ

 …知ってるか?空を一緒に飛ぶのって…怖がるやつ多いんだぜ。今更一人乗りの練習をさせるなよ。

[縛り付けているかも。という言葉を聞いて、不可思議そうに首を傾げながらも、しゃくりあげるようなに続ける言葉を聞きながら、頬に手を当て、涙をぬぐうのではなく受け止めるように触れて、頬から移るようにペルラの涙が自分の手に滑り落ちていく。]
(-390) 2023/03/04(Sat) 1:27:06

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ああ、それでいいんだよ。

 ずっと残していくイヤリング渡しといて、離れましょう。なんて…下手な嘘つきやがって。

[いいの。と何度も確認する言葉に当然だ。というようにいって、ようやく柔らかい笑みを浮かべる。]

 …傍にいろ。
 仮に、消えちまうんだとしても、ずっと俺の中に残っているようにしておけ

 ……じゃないと、待たせるだけ待たせて浮気しちまうぞ。

[それでいいのか?なんて意地悪な笑みを浮かべながら、手で覆っていないほうの頬に、涙の痕を隠すように唇を上から下へと這わせ、唇の近くで止まり]

 後悔しないように…傍にいろ。

 俺の巫女……俺のペルラ。

[静かに熱をこめて囁き、そっと口付けをした*]
(-391) 2023/03/04(Sat) 1:29:36

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……、

[アスルに言われ、彼の瞳に映る自分を見る。
本当だった。浮かべられているのは笑みではない笑みで。
隠しきれない感情でぐちゃぐちゃの顔。

いいお父さんか、と呟く姿をじっと見つめる。
苦笑されるのはなんとなく予想できていたけれど、彼が心の内になにを思い浮かべたのかを知ることはできない。
だって、仕方ないのだ。
この人の子供をと願ってしまう心があるのは。]

 ……私からだけの幸せ……?

[うん、と頷く。
ほっとしたように、でも素直に不安そうに。]
(-448) 2023/03/04(Sat) 16:01:40

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 もっと……。
 うん、空を一緒に飛ぶのなら、たくさんできるわ。

[涙に潤んだ目を細める。]

 私もアスルと飛ぶのがなによりも好き。

[そういえば怖がったことなど一度もなかった。
初めてともに飛んだあの日から心は楽しさと幸せに溢れていた。
アスルと一緒だから。空は自由で。
風は時に気まぐれで、激しい時も、なかなかいうことを聞かない時もあったけれど、いつも最後には優しかった。
アスルみたいね、と笑ったこともあったっけ。]
(-449) 2023/03/04(Sat) 16:02:46

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[アスルの柔らかな笑みに悪戯な笑み。
視界がぼやけていてもはっきりと分かるのは、これまでの年月で何度も何度も見てきて笑い合ってきたから。
ずっと一緒にいたんだなぁ、と思う。]

 ……うん。

[これからも傍にいたい。
ずっと、傍にいさせて。]

 アスルが浮気したら、水が溢れて大変なことになるかも。
 
[泣き顔が笑みに変わるのは自然だった。
頬に触れる大きな手は変わらず濡れたまま、もう片方の頬へは柔らかなぬくもりが涙の跡を癒していく。
くすぐったそうに肩が揺れ、淡い紫が瞬いて。
唇が重なり合うときにはそっと瞼を伏せた。]
(-450) 2023/03/04(Sat) 16:03:22

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[月と星明かりが明るい夜だった。
波の穏やかな湖に光が映り込み、すべての境界が曖昧だった。

触れるだけの口付けはどこか神聖で。
でもいつものようにあたたかく。
別れではなく、これからを約束してくれる。]

 アスル、ぎゅっとしてほしい。

[アスルの腕の中が好きだった。
彼の翼の中と同じように自由で、でも身動きができないくらい包まれるのが安心できて、彼だけを想える場所。
胸元に頬を擦り寄せるように潜り込んで。
綺麗な景色も何も見ずに、オイルと鉄のような匂いに澄んだ風のような気配の混じるアスルを感じていた。

よく自分の髪は花の香りがする、みたいにアスルは言ってくれた。
とても嬉しくてそのまま受け取って、彼と会う前に花畑で時間を過ごしたり、本当に髪に花を飾ってみたり、もっといい香りって思ってもらえるように頑張った自分がいたっけ。
懐かしいな。たくさん思い出がある。
これからは、どれくらい積み重ねていけるのだろう。]
(-453) 2023/03/04(Sat) 16:21:33

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……私、本当はね、

 …………消えたくない。……こわい。

[彼にだけ聞かせる声で。
しがみついて。]
(-456) 2023/03/04(Sat) 16:39:04

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[でも、顔を上げた時には瞳に輝きが戻っている。]

 少しでも長くいられるように頑張るわ。
 アスルがもっと大きくなったところ、見たいもの。

[もう成長期は終わったと突っ込まれそうだけれど。
おじさんになっておじいさんになって。
本当は、本当は、複雑な心の中でも、アスルには色んな幸せを掴んでほしいと思うのも全部本当だから。

……アスルの中に残る自分があるなら。
怖さが薄れて、心の中にランプが灯ったように温かかった。

消えてから待つ間はひとりで寂しいかな。
でも大丈夫、きっと風はどこでも吹いてくれるから。
あなたの言葉を届けてくれるように。]
(-457) 2023/03/04(Sat) 16:40:53

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空




 ずっと、貴方だけを想ってる。
 私の、アスル。


[巫女にとっての守り人は当然だったから。
自分にはこれが、唯一の告白だった。

こちらから顔を寄せると、綻ぶように微笑む。
夜は星と月の光のように輝く銀の髪に触れ、耳元を掠め、そっと頬を撫で――誓うように口付けをした。**]
(-458) 2023/03/04(Sat) 16:51:19

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 その時はペルラに暖めてもらわないとな。

[初めの頃、溢れた水に濡れたのは幾度もあったことだ。そのことを思い出しながら、自分からも応じるような答えをくれたペルラに嬉しそうに笑みを浮かべ、触れた唇の柔らかさは初めてをもらったときのような愛おしく甘美な響きと、自分の熱で染め上げたいような気持ちでいたから、恋人のお願いは自分もまた望むものであった。

無言でペルラを腕の中に抱きしめた。
強く、離さないという意志を込めて、互いにその熱を想いを刻み込むように。
それに機械交じりの中で生活することが多いアスルには、今日も好きな花の香りを堪能する時間は心が安らぐものであった。

これからそんな時間をどれだけ過ごせるだろうか。。

しがみつき、自分にだけ聴かせるか細いペルラの言葉には、自分も微かに首を縦に振るだけに留められた。]
(-465) 2023/03/04(Sat) 18:09:19

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 そうしろ。俺だってまだ一緒にやりたいことがあるんだからな。

 って、でかくなるのを見守ってたのは俺だし、これ以上でかくなるかよ。

[流れるように突っ込みをいれて、ふふっと可笑しそうに笑う。

淋しさや怖さはあるけれど、だからといってそれまでの時間もこれからの時間も捨て去る気にはなれない。

思えば、ペルラを空に初めて誘ったとき、子供のように溌剌とした声をだして楽しんでいた姿を見たとき、自分はこの女の子に押し殺している奥の表情をもっとみたい。と思ったのだ。

だから、もし消えてしまうのだとしても、最後まで―――]

 ずっと、ずっと愛してるぞ…ペルラ。

[白金のような髪をそっと撫で、誓うようなペルラの言葉に胸を熱くして、自分もまた囁き返し、ペルラがいないと俺の幸せは得られないんだぞ。と教え込むように自らも唇を重ねた*]
(-466) 2023/03/04(Sat) 18:10:26

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

― 別れの時 ―

[炎が燃え盛るように、二人きりの時は愛することをより遠慮しなくなった。
抱擁の回数が増えた。キスの回数が増えた。ちょっとしたことで愛するもの同士の繋がりを求めるようになった。

それでも脳裏には消えないものはある。
力を使い果たしたら巫女は消える。そういう言い伝えがある。実際先代の巫女は消えていった。

だが全ての巫女が消えたわけではない。力を使い果たす。というところは変わらないが
三つ前の巫女なんかは消えなかったそうだ。
彼女もそうだといいな。と思わなかった日々はない。だが島のこともある。次代の巫女も育ってきているが、投げ出していいわけではない。実際ペルラが巫女になったときも最初の頃は失敗ばかりだったように未熟ではあったのだ。少しでも長く――そして無事に巫女としてのお勤めを終えられるように。

怖さを覆い隠すように、そして後悔せずに忘れられないにいられるように、強く優しく熱情的に出来る限りの時間一緒にいた。

そうして日々が過ぎて、アスルは30歳に、ペルラは25歳になっていた。]
(-483) 2023/03/04(Sat) 20:52:28

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[本日も途中に二度、野営地と村とで宿泊をとって、祈りの場の一つ、大地の裂け目のような谷をトンボ型飛行機に乗って降りていく。
その途中川から流れ滝のように落ちていく水を途中に掬い上げるように水筒にいれて]

 ん…飲ませてくれ、ペルラ。

[隣にいるペルラへと、その水をくれるか。という。別に自分でも飲めるのだがそこは恋人としてのものであった。

そうして祈りの場近くへと無事に着陸をする。飛行機の羽根がゆっくりと畳まれて内臓されていくなか。ペルラを抱き上げて、頬にキスをした。
甘やかしてるともいえるが、最近はペルラの身体はより消耗しているように思えての気遣いというのもあった。]

 さて、夜になるまではのんびりするか。

[幾度も使ったことのある湖の前に広がる庵までペルラを運んでいく。
広がる湖はやはり谷底のほうにあるからか少し湿っぽく薄暗い。
だがその分、秘密の場所のようだ、なんて笑っていたものだ]
(-485) 2023/03/04(Sat) 20:53:22

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そうして儀式の時間。新月のこの日は星灯りしかなく、普段よりもより暗く感じる。
そんな中でも薄く輝くような巫女の姿を、守り人は常のように邪魔にならないように遠目で見守る。

ただここ最近の恒例として、巫女が祈る傍らでアスルも祈っていた。

巫女のようにこの浮遊島でもなく、ただただペルラの無事を祈るように、あの時にもらった真珠のイヤリングを手にしたままじっと祈っていた*]
(-486) 2023/03/04(Sat) 20:54:07

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 別れの時 ―

[あの別れようとした日から幾年も過ぎた。
力の調整を心がけ、常に島のために力を蓄え注ぎながらも、アスルとの時間を諦めることはなかった。
25になるペルラはもうどこから見ても大人で。
悪戯っぽさとやんちゃさのなくならないアスルもまた30となり、見つめる者をドキリとさせる深い魅力を漂わせていた。]

 ……仕方ないわね。

[役目へ向かう道中。
水筒から自分で飲めるくせに頼まれて苦笑してしまった。
でも笑みには甘やかさが添えられている。
この前は照れながらそのまま水筒を口に運んであげたのだけれど、今回は――唐突に自分の口の方へ、そして含んで。]

 ん、……

[アスルの腕を引き、つま先立ちになる。
多少揺れても大丈夫。きちんと抱きつくから。
岩肌に映る影がそっと重なった。
ペルラが想いを込めた水が、アスルへと届いたことだろう。]
(-489) 2023/03/04(Sat) 21:52:26

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[楽しい空の旅は終わり。
あっという間に感じるのが少しさみしくて、でも、帰り道もあるのだからといつも自分に言い聞かせる。

ふわりと抱き上げられて、頬に落ちるキス。
くすぐったげに微笑んで身体を委ねた。]

 うん、そうしましょう。
 今回は多めに真珠も作れているから……あまり無理をしなくても大丈夫じゃないかと思うの。

[新月の夜の祈りはより力を使うことが多い。
一説によると月光の助けを得られないからというが、自らの真珠は月のような光を帯びているし、その通りかもしれない。
首から提げたガラス瓶に真珠が幾つも揺れている。
日々時間をかけて作り上げたこの島への祈りの結晶だった。]
(-490) 2023/03/04(Sat) 21:52:31

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスル、行ってきます。

[祈りの間はすぐ傍に居ることはできない。
太陽が沈み、空が夜の色に変わっていく頃、身体を離す。

最近新しく仕立てられた巫女装束のローブは深い青の生地に銀色の糸で細やかな刺繍がされていて、星明かりに煌めく。
そして淡くなり白にも銀にも近くなった月色の髪と、赤みが薄れ紫というよりは空色のようにもなった瞳。

湖へ裸足で踏み出そうとして、一度止まり。
珍しく振り返ると、アスルを探して――まるで祈るように自分を見つめる彼を見つけて――綻ぶように微笑む。

そうして、幼い頃と同じ。
片手を上げてひらひらと手を振ったのだ。]
(-491) 2023/03/04(Sat) 21:52:36

【人】 月島 雅空

 そりゃよかった。

 ってかいきなり桁が上がったがどんな計算なんだよ。

[別に真面目という自覚はない…そりゃ確かにどうでもいい人間から言われたら聞き流していただろうけど、吹きだす珠月>>462へとさらりとした突っ込みをしながら、他の点数についてはきかなかった。まぁ15年ほどの仲だしな。

そこからはバーベキューの時間だ。
しかし焼いていたりすると自分が食べる時間ってのはなかなか取れないものだよな。

まぁ、それでも一緒に乾杯して、隙をみて自分も食べて、不意な停止>>463とともに口に突っ込まれて驚かされたりもあった。]
(474) 2023/03/04(Sat) 21:57:48

【人】 月島 雅空

[ただ自分が食べる以外のものとしても、美味しそうに食べる幼馴染が、どう美味しいのかと一生懸命伝えてくれる様が嬉しくも微笑ましく目を細めて見守って過ごすのは良い時間だった]

 確かに、明らはごはん主体にするか。

[珠月>>464からの最大の誉め言葉に嬉しくありつつ、自分も同意するように深く肯く]

 今日は来て早々だったが明日からは時間もあるからな。リクエストあるならある程度叶えられるぞ。

[到着時間から考えて、事前にいくつか用意しておいてよかった。と思いつつ、焼きトマトや、苦手なピーマンを鶏肉が詰めてだと食べて、妙な敗北感を漂わせている幼馴染。そしてしいたけに山椒をかけすぎて悶えてるのをみて、我慢もせずに声を出して笑ったりしながら食事が進んでいった]
(475) 2023/03/04(Sat) 21:57:58

【人】 月島 雅空

[そして珠月の学校生活を口を挟まずに相槌を打ちながら聞いていく。
周りと比べたりはしかたないとしても、はぶてることなくがんばっているらしい。
それに声の色的にも強がっているわけではないのが伝わる。]

 新しい形をつくるのって大変だからな。俺も今までにあったものを学んでいって案が出てくるものだしな。でも珠月の表現したいものが見えるようになるのが楽しみだ。

 髪か。なら夏前ぐらいには切るからその時頼むな。

[天原母のお店でいつもきってもらっている雅空はというと、その技術の細かいところはわかっていないが、珠月が試したいというなら対して悩むことなく頷くのであった。]
(476) 2023/03/04(Sat) 21:58:10

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……。

[湖を、水の中を、歩いて行く。
腰ほどまで冷たくも温かな水に浸すと、瓶から手のひらに移していた真珠の粒たちを――星を散らすようにまいた。

ぱぁっと広がる光の粒。
いつもより暗い夜に、まばゆく優しい光が灯る。

祈りの言葉を紡ぐ。
いつも、夜通しそうし続ける。

――でも、気づいてしまった。意識の片隅で。
気づいていたけれど、もう、どうすることもできない。

足の感覚が消えていく。
泡になるように、真珠が溶けるように。]
(-492) 2023/03/04(Sat) 21:58:16

【人】 月島 雅空

 清潔感と姿勢。それがあればいいんだよ。

[あれを着てるからかっこいい。と暗にいってる珠月に持論を述べるようにいうにはいうが]

 …まぁ、でもコックコートって確かにかっこいいんだよな。

[素直に子供の頃から思っていたのも事実である。ただ自分がといわれると照れのほうが出るからそういう強がりめいたいいかたにもなってしまうのだ]

 そういうこと、珠月も学校卒業した後のほうが本番だって思って今はゆっくりやってけばいいって思うぞ。

[といってもなってみないとわからないか。とは内心で呟きつつ]

 いや、流石に今更は――まぁ、やれるだけやってみるけど期待はするなよ。

[咄嗟に浮かぶものとして、春野菜のっていえば定番では野菜とニンニクをつかったパスタになりそうだが、定番でいいものかどうかは父と相談だろう。有限な時間の限り、とあるけどな]
(477) 2023/03/04(Sat) 21:58:41

【人】 月島 雅空

 お、こっちもそろそろいいぞ。

[ローストビーフを包んだアルミホイルをあけてみて、包丁で軽く端のほうをきってみて具合を確認した。
ソースはというと>>296で作ったものだ。バルサミコ酢のフルーティーな香り高い味わいと、馴染みある和風の味付けのミックスである。
まな板で一枚二枚と切ってみて、ソースを軽くかけてみて]

 食べるか?珠月・・・・・あーん。

[先ほどの仕返しぐらいのつもりで、こっちはあまり気にせずお兄ちゃんしているつもりで、素直に食べるか嫌がるかはわからないが]

 あぐ。むぐむぐ。

[するだけして自分で食べるのであった。んむ、さっぱりとしたローストビーフに和風バルサミコ酢ソース。これはごはんが欲しくなるし、パンにだって合うだろう。

―――なんてちょっとした悪戯をしたあとは、悪びれなく謝りながら、珠月はどれだけ食べる?とその分切り分けるのだ。]

 全部食べなくても大丈夫だからな。余ったらサンドイッチにでもするか。

[そんな風にして時間が過ぎていった。]
(479) 2023/03/04(Sat) 21:58:56

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空



 ――…………。


[ぱしゃん、と水音を残して。

月の映らない湖から、巫女は姿を消していた。**]
(-494) 2023/03/04(Sat) 21:59:39
 




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