【人】 害のない毒 マキアート>>42 リカルド 「そうですか…… 見かけによらない紳士でしたね」 目上(と勝手に思っている)相手から発された言葉は鵜呑みにする。取引とかしてるくせして。 そちらからすれば助かりはすれど、 危なっかしくも見えるだろうか。 そして作られた笑みに対してはほんの若干不満そうに眉根を寄せたものの、それまで。 顧問の真似をしてそんな堅苦しいのはよして、なんて言ってみたかったが洒落で済まず怒られそうなので断念。 「いかにも貴方はあまり……その、 浮かれた行事に慣れていなさそうですしね。 でも気を落とさないでください、このバーに来たことも含め、一歩目を踏み出せただけでも凄いことですよ!それに」 どこで見ても変わらないにこやかな笑みのまま、掌でグラスを指しながら話を続ける。 「……そのお酒、『心理状態をうまく調節できる天才』なんて言葉がついてるんです。 知らずのうちに頼んだのなら、 それはそれで何だか意味ありげじゃないですか?」 まるで本当に、その天からの才でもって、 うまく立ち直ろうとしてたみたいで。 ▽ (44) 2022/08/13(Sat) 17:54:39 |