【人】 オリガミ部2年 近藤 絵理香──キャンプファイヤー前、シオン先輩と── [彼女の手を取り、向い合う。 私の指はいつも通り、クリームが塗られて少ししっとりとした感覚だっただろう。 向かい合って微笑んで、1.2.3、1.2.3。 ゆっくりと簡単なリズムを刻んでいく。 右に進んで、左に進んで。 不慣れなステップだけれど、きちんと踊れていただろうか。 どうしても距離は近くなる。 胸が触れ合い、互いの呼吸が聞こえそうな距離。 時々片手を離して、彼女がくるりと回れるように繋いだ手を頭の方にあげてみた。 そうして踊る中、私はラララ、で歌い出す。 ワルツの三拍子に合わせるのは「いつか夢で」 眠れる森の美女でヒロインがワルツを踊るときの曲。 彼女に向かい、笑顔で。 そのワルツはいつまで続いたのだろう。 私は、滞りなく踊ることはできていたのだろうか。]* (237) 2020/11/28(Sat) 20:23:13 |