― ニッチ映画って? ―
ニッチな映画、なあ。
そうだな、マイナーってわけじゃないけど……
『イントゥ・ザ・ワイルド』とかかな。
[映研には犬の字がいるので、俺にメジャーな映画を訪ねてくる部員は少ない。
そりゃそうだ誰だってそうする俺だってそうする。
だから、俺のところに聞きに来る奴はたいていマイナーかニッチなほうを聞いてくるのだが、その日は後者だった。]
劇的な展開があるわけでもないし、派手なアクションがあるわけでもないし。
はっきり言って画面は地味な映画だけど、うん。
一度観ても、損はしないよ。
[ジョン・クラカワーのべストセラーノンフィクションを元にしたロードムービーだ。
ハーバートのロースクールという超の付くエリート街道を歩む青年は、突然すべてを投げ捨ててオンボロ車で旅に出る。
北へ。アラスカへ。
そんな衝動的で無謀な旅と、その結末。
それを繊細に、訥々と綴る、そんな映画だ。
地味だとは思う。だからこそ、こういう映画は惹き込まれるのだ。*]