マウロは、頭がクラクラする。 (a2) 2022/08/20(Sat) 22:23:38 |
レヴィアは、会議の闖入者にもやはり、何のリアクションも示さない。 (a3) 2022/08/20(Sat) 22:25:28 |
【墓】 デッド・ベッド ヴェネリオ幾人もの血を吸ったその靴で地面を蹴る。 男に纏った匂いは、シガレットか硝煙かわかったもんじゃない。 いつも一人、男は誰も連れない。 一番近い部下ですら、最後まで真に信じて居たかもわからない。 店に入るのが三人でも、出てくるときはいつも一人だ。 徹底していた、見せる姿を作っていた。 酷く甘い香りしかこの舌は受入れなかったが、 味のしない料理も砂を噛むよりはよっぽどましだった。 酷く心を病んだのはいつからだったか、もう覚えていない。 男は一つの窓を持っていた、それはパンドラの箱だった。 その窓の向こうには汚職にまみれた世界、 裏切りが裏切りを呼ぶ裏の社会、娼婦にならず者、 孤児達は恵まれない生活で媚びなければいけない生活が広がっていて、本当に全てが見渡せた。 「家族の邪魔になる者は排除しなければならないよなあ?」 ふと目についた『家族』を見逃して要らない命を絶っていく。 それが"楽"になれた。手が震える度にネズミを殺めて収めた。 巫山戯ていると思うだろ?魂を囚われていたかのようだったよ。 勿論、俺は正義なんてうたわない。 正義で人が救えるのなら、目の前で飯も食えないでくたばったロクデナシはいないのだから。 (+2) 2022/08/20(Sat) 22:28:47 |
【墓】 ニンナ・ナンナ ヴェネリオ『どうしてこんなことをするのか? 俺がしたいから だよ』『冥土に土産に子守歌を歌ってやろうか、なあに。 巫山戯てるわけじゃあない。これも愛情だよ。 俺に魅せてくれてどうもありがとう。 この歌を聞けるのは特別だぞ?』 この歌を覚えて生きている人間なんて、 『一人』居るかいないかだからな。 (+3) 2022/08/20(Sat) 22:31:45 |
【墓】 デッド・ベッド ヴェネリオ本名:ヴェネリオ・フィルマーニ(Venerio Firmani) 死因:銃殺。背部に多数の銃弾を受けたことによる失血死。 発見場所・遺体の様子: 町中で起きた乱闘による銃撃戦に巻き込まれ死亡。 乳母車をかばっているような姿で発見される。 背中を何発も撃たれたことにより出血多量、 事前に連絡をしていた病院に運ばれて間もなく息を引き取った。 怪我人は、アルバとノッテ共に多数の被害が出たそうだ。 (+4) 2022/08/20(Sat) 22:34:04 |
デッド・ベッド ヴェネリオは、メモを貼った。 (c7) 2022/08/20(Sat) 22:34:42 |
ストレガは、どうなってんだよこの状況は……と目頭を押さえた。 (a4) 2022/08/20(Sat) 22:38:29 |
マウロは、まだ生きている。 (a5) 2022/08/20(Sat) 22:40:19 |
【墓】 名もなき医者 リカルド本名:リカルド(Ricardo) ※孤児のため姓はなし。名前は変えきれなかった。 死因:自動拳銃による射殺、頭部を狙ったもの 発見場所:とあるクラブのVIPルーム 遺体の様子: 服は乱され、体内に性行為の痕跡を残している。 VIPルームでの性行為のあとにその相手or第三者に撃たれて死んだように見えるだろう。 司法解剖などを行えば、消化管からセックスドラッグが使用されているのを確認できる。 また、手には拳銃が握られており、握った手元に硝煙反応が確認された。 その拳銃は、リカルドの密輸業者で流通しているものであり、 マウロを撃ち抜いたとされる弾とこの拳銃の線条痕は一致するようだ。 (+6) 2022/08/20(Sat) 23:14:23 |
コルヴォは、上に白い目で見られても気にしない。どうだっていい事だ。 (a6) 2022/08/20(Sat) 23:25:25 |
リカルドは、匿った自室にマウロに置き手紙をしていた。 (c8) 2022/08/20(Sat) 23:33:41 |
リカルドは、この時はまだ、ラウラや上司まで同じ日に死亡するなんて、知らなかったんだ。 (c9) 2022/08/20(Sat) 23:34:21 |
【墓】 Niente ラウラ本名:ラウラ・リベラトーレ(Laura・Liberatore) ※偽りなし。 死因:大腿部の銃創による失血死 (右目の銃創は死後に残されたものと見られている) 発見場所・遺体の様子: 路地裏にて。意図は不明だが、目立たぬ場所に隠されていたようだ。 衣服等に乱れはなく、抵抗の痕も見られない。 腕には 血に濡れた ショルダーバッグが抱えられており、その中にはハンカチに包まれた写真立てのみが残されていた。 (+8) 2022/08/20(Sat) 23:59:54 |
Niente ラウラは、メモを貼った。 (c10) 2022/08/21(Sun) 0:00:51 |
名もなき医者 リカルドは、メモを貼った。 (c11) 2022/08/21(Sun) 0:05:19 |
マウロは、リカルドからの手紙に、会議から戻るまで気が付いていなかった。 (a7) 2022/08/21(Sun) 0:30:39 |
レヴィアは、会議の席を立った。きっともう、まともな話し合いはされないだろう。 (a8) 2022/08/21(Sun) 1:02:47 |
マウロは、反論をしなかった。黙って、会議場の言葉を聞いている。 (a9) 2022/08/21(Sun) 1:16:39 |
ストレガは、帰ろうとするレヴィアに口笛と指招きをしつつ、情報を聞く。 (a10) 2022/08/21(Sun) 1:21:38 |
コルヴォは、誰かが口火を切ったなら、何も言う事は無い。 (a11) 2022/08/21(Sun) 1:37:21 |
【人】 エースオブ―― ヴィオレッタ>>4:+14 マウロ 「左様でございましたか。失礼いたしました。 お楽しみいただけているのでしたら、幸いです」 ディーラーは申し訳なさげに丁寧に頭を下げ、微笑む。 ”お連れ様”はたまに無茶な掛け方をするので心配だが、 この青年がそんな無茶をするのは見たことがない。 店としては上客とはいえないが、 個人的にははらはらせずに済むので好感が持てる。 不機嫌そうな態度も素直さの表れと思えば どうということはない。 だから、さっきの問いもただのコミュニケーションだ。 何事もなかったように前のゲームのカードを回収。 小気味よい音を立ててカードを切り始める。 「そうですね、夜も勝負もまだまだこれから。 お客様のツキもここからは上向きとなるやもしれません。 よろしければ次のゲームのベットをどうぞ」 (0) 2022/08/21(Sun) 2:12:26 |
フランは、妹は2年前に亡くなっている。 (t0) 2022/08/21(Sun) 2:28:00 |
【人】 ”復讐の刃” テンゴ【ヴェネリオの部屋】 会議が終わって少しした後。 親友でもあった幹部の男の部屋に訪れる姿があった。 「…スーツを持っていけだのなんだの言っていたが、まさかこんなことになるとはな。」 ため息を零しながら、目当てのスーツを探そうとしているだろうか。あるかは分からないが。 (1) 2022/08/21(Sun) 3:30:23 |
レヴィアは、ストレガを一瞥し、それから立ったまま、テンゴの話を聞いた。 (a12) 2022/08/21(Sun) 6:40:33 |
ストレガは、大きなため息をひとつ。「了解」と言って席を立った。 (a13) 2022/08/21(Sun) 12:08:40 |
【墓】 デッド・ベッド ヴェネリオ>>1 【ヴェネリオの部屋】 戸を開けて見えたのは、がらんとした冷めた家具の色。 何度か人の立ち入りが伺えるその部屋では、ポットとドリッパー、甘い香りが客を出迎える。 クローゼットの中身も二枚のコートに並んだスーツ。几帳面にしわは伸ばされていて埃取りの予備のストックが連なって床に並んでいた。 棚の上にはまだ飾られて新しいカランコエの鉢植えが。主がいないその部屋で、もうすでに乾いた土が転がっている。 他にも電源がつくことなく中身も削除されたパソコン、あからさまに棚から抜かれていった書籍の穴。 死者は何も語らず、語りもしなかった。 『その身なりのままだとファミリーで浮きすぎる。 狙われてる身であると同時に人が減ってるんだ、 郷に入っては郷に従えよ兄弟』 結局そのスーツをこしらえたのはその故人だった。 一張羅は高級ブランドの箱に入って机の上に鎮座している。 なぜかその箱の中には港の五番倉庫の地下にある秘密裏に設置された医療施設の詳細が書いてある文書があるのだが、一体なんの意図かは読み取れないかもしれない。ただ部下からもらってしまった、使う機会のなくなった遺留品を入れておいたのだ。 『孤児院の引き継ぎはフィオレロとマウロにでもやりたかったんだ。 あいつらなら向いてるだろ? 子供に情を持たないで、最後まで駒として扱って管理できる人間。 しかもまめに、丁寧にだ。惜しいやつらを持ってかれた』 『リックはだめだ、きっと早くに俺が地獄につれてく。 余所に捨てようとしたら離れなかったのは誤算だった、お前みたいにな』 テンゴの背丈に合わせられたスーツは気味が悪いほどにフィットし、靴まで添えられているかとおもえば店の名刺まである。 こうして小言が聞こえてきそうな余計なお節介を遺して、この男は友のもとから去っていったのだ。 (+9) 2022/08/21(Sun) 13:53:12 |
【人】 ”復讐の刃” テンゴ>>+9 ヴェネリオ 【ヴェネリオの部屋】 「…悪いな、兄弟。」 ずっと何度も言われていた。 着ろと、誂えて貰ったスーツを見て、零す。 目立つのも知っていたし、狙われていないとも思っていない。 こんな時だからこそ、従うべきだとも知っていた。 それでも着る事を渋っていたのは、目立つ方が良かったから。 「お前さんが死ぬくらいなら、俺の方がまだファミリーにとってはマシだと、そう思っていたんだ。」 「マウロが戻ってきた。孤児院の話は落ち着き次第通しておく。リカルドは…お前さんの思った通りになったな。今頃そっちで仲良くやってるんだろう。」 ぽつぽつと、誰もいない部屋で、カランコエの鉢植えを前に言葉が零れ落ちていく。 → (2) 2022/08/21(Sun) 14:45:35 |
【人】 ”復讐の刃” テンゴ>>2 【ヴェネリオの部屋】 「どうしてみんなして、先に逝ってしまうんだろうな。」 かつての恋人、先代、アウグスト、フィオレロ、リカルド、そしてヴェネリオ…親しい人は、みな先に逝ってしまった。 ファミリーはまだ残っている。奇跡的に戻ってきた人間もいる。けれど、カラス面の昼行灯は、独りぼっちになった。 「それでも俺は生きるよ。死ぬなら俺が良かったが、死にたい訳じゃない。ノッテを潰させる訳にはいかんからな。」 「だから精々、墓場で酒でも飲んで待っていろ。俺もいずれは、そちらに向かうだろうから。」 仕立てて貰ったスーツとカランコエの鉢植えを抱えて。 その代わりに、赤ワインのボトルを1本と菊の花を模った落雁を添えておいた。せめてもの手向けだ。 「じゃあな、親友。」 20年来の一番の親友であり、同期に別れを告げて。 カラス面は下駄を鳴らしながら、部屋を後にした。 (3) 2022/08/21(Sun) 14:48:29 |
【人】 暗殺屋 レヴィア【埠頭】 日傘を差して、波の音を聞きながら歩く。 この季節でも、ここは比較的涼しい。 潮風でべたつく髪も、血で汚れるよりはずっとましだ。 だからここには、良く来る。 「あら、今日は先客がいるのね。」 いつも座るベンチ。 そこに先に座り、丸まって寝る黒猫を一瞥して。 少し止まって、それからまた歩いて。 ベンチに座った。 「猫は平和でいいわね。」 誰にも向けてない言葉を吐いて、 煌めく海を眺めた。 (4) 2022/08/21(Sun) 17:15:21 |
【見】 郵便切手 フラン【街中】 「こちらにお受け取りのサインをお願いします。 ……ええ、はい。 祭りもそろそろ終わりですね」 届け先でサインを受け取りながら、 祭りの賑わいを指摘する話に頷いた。 開催初日に比べれば喧騒も落ち着いてきた。 時折、届かずに持ち帰られる荷物が増えたような気がする。 気がするだけ、だが。 「良い一日を」 別れを簡素に告げて来た道を戻る。 街の裏側で流れた血が段々と表側に滲み出してきている気配を感じながらも、今日も時間は過ぎていった。 (@1) 2022/08/21(Sun) 17:47:04 |
テンゴは、カランコエと馬酔木の鉢を並べて、煙管をふかしている (a14) 2022/08/21(Sun) 17:49:08 |
【置】 狡兎 ツィオ【――過去】 孤児院に、リックとマウロと共にいた頃から――。 俺は時々聞こえるはずのない声が聞こえるときがあった。 それは場所や時を問わず聞こえてくる、誰かの声だった。 知らないはずの情報を知っていたり、 教えたはずのない言葉を口にしたり、 孤児院の大人たちにとってはさぞ不気味な子供だったろう。 或る時、その情報が裏社会の人間に知られることとなり、 そしてガキの俺は利用価値を見出された――。 情報は、いつの時代でも高い値段を払ってでも取引される。 ガキの値段で手に入る情報は、さぞいい買い物だっただろう。 俺は、その時。 買われていく自分の行く先を、囁き声で知ってしまっていた。 知らなくてもいいはずの運命を先に知ってしまっていた。 自分がどう利用されて、どう使われるのかも。 だから俺は、初めてその瞬間その舌先に――"毒"を宿した。 (L0) 2022/08/21(Sun) 19:41:06 公開: 2022/08/21(Sun) 19:45:00 |
ツィオは、独りになるのだけが――怖かった。 (a15) 2022/08/21(Sun) 19:48:59 |
ツィオは、いつかその"恐れ"が、己を孤独に追い込むことを知っている。 (a16) 2022/08/21(Sun) 19:50:44 |
リカルドは、なるほど、と呟く。 (c13) 2022/08/21(Sun) 20:01:16 |
リカルドは、俺たちが集まったのには、どうやら理由があったらしい。――そう理解した。 (c14) 2022/08/21(Sun) 20:02:19 |
リカルドは、「ばかだな、お前は」と、呟いて手を伸ばす。 (c15) 2022/08/21(Sun) 20:03:21 |
リカルドは、でもその声は届かない。 ――死者の声は届かない。 (c16) 2022/08/21(Sun) 20:04:00 |
リカルドは、その手が触れることも、もうないのだと。悟った。 (c17) 2022/08/21(Sun) 20:04:25 |
ラウラは、2枚のメモを残しました。 (c18) 2022/08/21(Sun) 20:05:52 |
ラウラは、1枚はマウロ様に。もう1枚は──。 (c19) 2022/08/21(Sun) 20:06:26 |
マウロは、何も言わない。何も言えなかったのかもしれない。資料を握ったまま、壁に体を預けている。 (a17) 2022/08/21(Sun) 20:07:12 |
ヴェネリオは、次期ボスの椅子だ? お前は見る目はないなと笑う。 (c20) 2022/08/21(Sun) 20:27:50 |
ヴェネリオは、パンドラの箱を最期まで手放せない。 (c21) 2022/08/21(Sun) 20:29:53 |
ヴェルデは、だから、やっぱり、幸せだった。 (c22) 2022/08/21(Sun) 21:10:06 |
【人】 狡兎 ツィオ【会議後のアジト廊下】 「――マーウロくん」 アジトの廊下を、苦しそうに胸部を押さえたまま 肩を怒らせて歩く貴方の前に、道を塞ぐように現れる。 リカルドの隠れ家 「俺の"監禁場所"から突然居なくなったと思ったらさ、 そんな身体でどうしようっていうのかな。 ――聞かせてほしいなぁ、是非。なあ、子猫ちゃん」 まるで挑発するように、 居なくなった誰かのことなど、 マウロの状況や組織の状態など気にも留めていないように、 負傷をしたマウロに、無傷の男が尋ねる。 (5) 2022/08/21(Sun) 21:31:20 |
【人】 無風 マウロ【アジト廊下】 「……、アァ?」 壁に手をついて、睨むように前に現れた君の顔を見る。 痛みは治まるどころか、酷くなる一方で。 更には貧血による頭痛まで加わったものだから、眉間には皺が寄りっぱなし。冷や汗すら額に浮かんでいて、息も荒い。 至って平常の君とは、対照的な様相だ。 「……何も」 「生きている、以上」 「やるべきことを、する……だから、会議に出た」 当然のことだ。 片足が吹き飛んでいたとしても、この男は同じように会議に姿を見せたのだろう。 頼ることも下手だから、誰の力も借りることなく。 「閉じ込めてた、つもりだったのか?ハッ……鍵もかけないで、甘いこと考えてんじゃねえよ」 リカルドならそんなヘマしてないだろうよ、なんて口元を歪めて。 (6) 2022/08/21(Sun) 21:50:52 |
レヴィアは、起きた猫が走り去るのを見た。 (a18) 2022/08/21(Sun) 22:01:44 |
レヴィアは、今日も店に戻り、そうしていつも通りに鎮魂歌を奏でる。 (a19) 2022/08/21(Sun) 22:01:53 |
【人】 狡兎 ツィオ【アジト廊下】>>6 マウロ 「昨日まで、食事も一人で取れなかったやつが、 よく吠えるなあって印象しかないよ。 そんな奴には閉じ込めておくために 鍵も必要ないと思ってたんだけど、 ――ごめんごめん、舐めすぎてたね」 顔色が、どんどん悪くなる相手に。 ――へらへらと近づいていく。 その、重体患者の胸倉を掴んで――。 ――ドンッ、と、壁に押し付けた。 薄く笑った笑顔のまま、瞳だけが、笑っていない。 「――死にたいのか。 ・・・・ ……もう一度」 絞り出したような声は。 壁に押し付けた方が、痛みを堪えるようで――。 ギリ、と、その襟首を掴む両手に力が籠る。 (7) 2022/08/21(Sun) 22:02:09 |
ストレガは、時計塔の中でぼんやりと過ごしている。 (a20) 2022/08/21(Sun) 23:04:18 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c23) 2022/08/21(Sun) 23:41:28 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c24) 2022/08/21(Sun) 23:42:29 |
【人】 無風 マウロ「治療は、済んでるんだ」 「動けるようになったら、動く……ただでさえ今は、人員も減っ―――ッ、ぐ」 壁に体がぶつけられて、傷口が酷く痛みを訴える。 じわり、シャツに滲み出る鮮血。 ぐらりと揺れる視界。映る君の顔は、冷たい目をしていた。 掴んだ手は、いつもよりずっと力が入らなくて。 けれど、君の気持ちに呼応するように 返す言葉に力がこもる。 「っ、なわけ、ないだろ……!!」 「まだ、死んでないなら―――生かされたん、なら……やらなきゃいけねえことが、あるだろうが…ッ!」 短絡的な思考。いつも通り。 義務感と、焦りに突き動かされたもの。 2人が、幾度となく気にしてくれていたもの。 その果てに得たものが、大切な物が喪われたという情報だけであったのは。 彼の不運が為すものだったのだろうか。 締まる襟首に、苦し気な咳をした。 (8) 2022/08/22(Mon) 0:06:18 |
【人】 狡兎 ツィオ【アジト廊下】>>8 マウロ ――激情が、迸る。 それは、堪えていたものだったのかもしれない。 安 堵 絶 望 執 着 マウロの生存に、リカルドの死に――そしてラウラの死に。 蓋をしていたはずの、機構としての自分の箍が外れた音がした。 グ、と壁に押し付けたまま、 掴んだ襟首を引き寄せるように顔を覗き込む。 胸板で跳ねたマウロの血が、右の瞼の上から涙のように伝った。 「――それは、死にぞこないの猫一匹が、 血反吐吐いて前に進めば、どうにかなることか――?」 そして贖罪も、諦観もままならないまま。 また俺は、ここで、何かを失うことを。 ――"知っていながら"、"見過ごせ"っていうのか。 全部。……全部。 俺が壊したような、ものなのに――。 だからこれは。本当に、八つ当たりだ。 何の、正当性もない。裏切り者の悲鳴だ。 ▽ (9) 2022/08/22(Mon) 0:41:53 |
【人】 狡兎 ツィオ【アジト廊下】>>8 マウロ リック ラウラ ――それでも。 自分が、リカルドの腕を掴んで言えなかったことが。 あの日、ラウラの身体を抱きしめて言えなかったことが。 喉の奥から、溢れることを、堪えきれなかった。 ・・ ・・・・・・・・・ 「俺を――独りにしないでくれ」 血を吐くように。痛みを伴いながら。 その一回だけ自分に許した弱音を、 血塗れの幼馴染に、吐き零した。 ――息を、吸い、吐く。 整える。ツィオという名前の青年を。 「――考えてみなよ、一人より、二人だろう。 もう、リックは居ないんだ。無茶をするっていうんなら。 俺にも、一枚嚙ませてくれよ、ここから先、何かするなら」 きっとその方が。 あいつは、自分が死んだことを後悔するだろうから。 (10) 2022/08/22(Mon) 0:43:41 |
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