「ニア」

　普段の調子で、淡々と出席の報告。
　腰掛けた席の位置は隅の方。昨日と変わらず。

　口を噤んで、周囲に耳を傾けている。

　手持ち無沙汰に、首元の赤いリボンを弄んでいる。

>>194

　――街の外へは出られなかった。
　その村と街をつなぐ森の中、深い霧に阻まれて。

　しかし、街の中には『Beagle』に所属する者がいる。
　浅く狭い繋がりの中の、ひと握り。
　その男をよく知るギルド員に巡り会ったのは、
　偶然か、それとも必然か。

　そこであなたは、疑問の答えを得る。

　実直で責任感の強く、人の良いケイプ。
　彼がメレフに隠していたことは、何も無い。

　メレフは紛れもなく、ケイプ・バーニーの友人であった。