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人狼物語 三日月国


83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】

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【人】 三月ウサギ



  サイトを開いてから、ややしてから。
  キャンパス内のパソコン室。
  一定の速度でカタカタとキーボードを叩く音が響く。
 

  ・名前……三月ウサギ(仮名)
  ・性別……男
  ・連絡先……××××××@×××××.××.××
  ・願望……
 
 
  手を止めると、徐に唇を開き、
  両隣の席にも届かないくらいの声量で
  俺は願望を口にした。
 
(211) 2021/07/03(Sat) 18:57:05

【人】 三月ウサギ



       「 富裕層と会って話してみたい 」**

(212) 2021/07/03(Sat) 18:57:10

【人】 三月ウサギ



  やはり普段に比べて動揺していたらしい。
  送信した瞬間に我に返った。

  …… こんなサイト。
  悪戯か個人情報を抜くために決まっているのに。
  本名を晒さなかったのは唯一の幸いだと息を吐く。
  それが理性的に行動したわけではなく、
  自分の名を忌避した結果だとしても。

  だから返信なんて来るとは思わなかった。
 
 
(289) 2021/07/04(Sun) 17:38:31

【人】 三月ウサギ



  「 ザ ラピスか ……   」


  予想に反して再度届いたメールを一読し、
  指定されていた開催場所。
  そのまま流れ作業でパソコンで検索して、
  ページを開いた瞬間に目が眩んだ。

  これまでの人生で縁がなくとも
  名前は知ってるレベルの一等地に建っているホテルだ。
  外観の写真からでも、圧倒的な存在感を放っていた。
  更に細工で美しく装飾された室内は、
  飾られた絵画や彫刻の存在もあり
  それ自体が芸術作品のよう。

  まさに贅を尽くした空間。
  …… 一泊の宿泊費で何ヶ月暮らせるんだろう。
  頭の中で算盤を弾いたら、
  ウッ、と唇の端から呻き声を洩らした。
  
 
(290) 2021/07/04(Sun) 17:38:46

【人】 三月ウサギ



  思わず着ている服の首回りに指をかけ、
  そのままぐいと引っ張った。
  選ばれた者しか足を踏み入ることの許されない空間。
  対して、自分は ───

  ドレスコードの意味は知ってるけど、知ってるだけだ。
  兄からもらうお下がりは、
  皺が寄っていたり染みがあったり。
  新品特有のパリッとした糊のきいた服とは程遠い。

  ほつれた部分は繕って、着直しできるようにしたら
  みっともないと嘲笑と共に指をさされたこともある。
 
 
(291) 2021/07/04(Sun) 17:39:21

【人】 三月ウサギ



  「 運賃はないし。
    ホテルに着て行くような服もない。 」


  相談に乗るから。
  そんな主催者の言葉に甘えた返信は恥でしかったけど。
  同時に試しの意図もあった。
  明らかにたかりの意思を含んだ文だ。
  悪戯ならば、これ以上は踏み込んでは来ないだろうと。


  ─── 結果がどうだったか。
  指定された日時に、ザ ラピスの前の前に俺はいた。
  それが、答えだろう。**
  
(292) 2021/07/04(Sun) 17:39:30
三月ウサギ は、メモを貼った。
(a17) 2021/07/04(Sun) 17:45:31

【人】 三月ウサギ



  
俺にはお金がありません。


  ずばり、そんな情けない要望を送りつけて。
  犯罪の類を警戒するこちらに対し、
  主催者を名乗る人物は、至極当然とばかりに姿を現した。

  その常人離れの美貌にも驚かされたが。
  手渡された封筒に入っていた、
  帯で封をされている札束。
  数えなくともその金額を教えてくれた。
 
 
(370) 2021/07/05(Mon) 21:06:58

【人】 三月ウサギ



  「 ひゃくま、……??? 」


  
  俺の認識では、運賃や服を買うのに使う額ではない。
  慌てて数枚だけ抜き取ると、
  残りは用は済んだとばかりに
  その割には、何故か大学内へと向かう背に向かって。

  ねだったのはこちらとはいえ、
  百万円なんてぽんと貰えるはずがなく。
  勿論残りの数万円にしたって
  自分に受け取る正当な権利があるとは、
  とても思えなかったけれど。
 
 
(371) 2021/07/05(Mon) 21:09:03

【人】 三月ウサギ



  とりあえず、俺が知る限り、
  一番高価な服が売っている店に行き。
  そのまま店員に見繕ったもらった。

  肌触りがよく、光沢のある生地は
  逆にどうも着心地が悪く。
  服に着られる形になったかどうかは、
  
  ─── 自分ではよくわからない。
 
 
(372) 2021/07/05(Mon) 21:09:33

【人】 三月ウサギ



  そんな心理だから、いざザ ラピスの前に立っても。
  なかなか一歩を踏み込むことができないで。
  場違い、そんな3文字と共に。
  しばらくその場に立ち尽くしていた。

  そのまま家に残してきた、家族のことを。
  薄ぼんやりとした思考で、考えていたのなら。
  

  …… そう言えばもうすぐ、
         20歳の誕生日だったな。


  玄関で履き慣れない靴に悪戦苦闘していた背中へと。
  不意に投げられた、おめでとうの声を思い出した。


(374) 2021/07/05(Mon) 21:10:35

【人】 三月ウサギ



  とはいえ、ケーキやご馳走、
  ましてやプレゼントなど無縁な家庭。

  そのまま歳を重ねる以外の意味は持たない日。

  友人の誕生パーティに招かれても、
  贈る物を用意できなかったから。
  苦い思い出の方が多い。
  
 
(375) 2021/07/05(Mon) 21:10:58

【人】 三月ウサギ



  はぁ、と嘆息と共に、意識を逸らした瞬間。
  胸元のリボンが、するりと解け、空中にこぼれた。
  気慣れない服。どうやら結びが甘かったらしい。

  逃げたそいつを掴むため、屈もうとした耳の横を、
  アスファルトの地面を渡る風が、さぁっと通り抜けた。

  そのままふわり、風に攫われるリボン。
  視界の端に捉えれば、

       …… 自身の双眸は無意識に、
       リボンではない別の何かを求めるように、
 
    
(378) 2021/07/05(Mon) 21:17:24

【人】 三月ウサギ



    …… 伸ばした右手の先に。
    まるで花のように淡い
色香
が揺れていたのは>>364


            単なる
偶然
だったんだろうか?**  

(379) 2021/07/05(Mon) 21:17:30

【人】 三月ウサギ



  自身の手より、数センチ先に伸びた手。
  爪の先まで整った、ほっそりとした綺麗な指が
  宙を舞うリボンを軽やかに掴む。


  「 …… うん、ありがとう。 」


  予想外のワンステップを挟んで。
  リボンは無事手元に戻ってきた。>>397

 
(400) 2021/07/05(Mon) 23:16:35

【人】 三月ウサギ



  「 え、ちょ。君? 」


  続いて飛び出た戸惑いを含んだ言葉。
  言い終える暇もないほど鮮やかな手つきだった。
  戻って来たリボンは再び攫われて、
  あっという間に、自身の胸元を飾った。

  呆然としているうちに、
  彼女は颯爽とこちらに背を向けて。
  その視線の先には ───。
 
 
(401) 2021/07/05(Mon) 23:17:07

【人】 三月ウサギ



  こくんと、喉を鳴らす。
  …… 場違いだと、気後れする気持ちはまだある。

  しかし中身が伴わずとも、
  装いがもたらす力はそれなりで。
  何より美しく整えられた胸元が、
  自身の背を後押ししてくれた気がしたから。
 
 
(402) 2021/07/05(Mon) 23:17:11

【人】 三月ウサギ



  「 すみません。
    1010号室を予約してるはずなんですが。 」

 
  ようやくホテルに入り、自身の姿が映るほど
  美しく磨かれた大理石の壁、なんてものがあれば。
  精一杯気にしてない風を装い、豪華なロビーを進む。
  そうしてフロントでチェック・インを済ませれば、
  先程の少女はどうしていただろう?

  とりあえず、「宿泊料金?支払われてませんよ」
  にこやかに微笑むホテルスタッフの口から
  そんな言葉が出れば、脱兎の如く逃げるつもりで。**
 
 
(403) 2021/07/05(Mon) 23:17:43

【人】 三月ウサギ



  「 えっ ……? 」


  振り向く彼女と俺の視線が交差する。
  まるで一瞬にも永遠にも感じられて。

  浮かべた疑問符と同時に納得もする。
  豪華なホテルにも物怖じしない態度。
  審美眼に優れているわけでもない自分ですら
  彼女の纏う紫色のワンピースが、
  質の良いものであるとわかる。
  
(459) 2021/07/06(Tue) 20:02:58

【人】 三月ウサギ



  「 君が …… 俺のお相手。 」


  形のいい唇から発せられた言葉の意味。>>418
  思考を働かせ終わったなら。
  手元は半ば無意識に、手渡されたばかりの、
  同じ数字が刻まれたキーを揺らした。
  
(460) 2021/07/06(Tue) 20:03:31

【人】 三月ウサギ

 

  エレベーターに乗り込み、二人きりになれば、
  少し躊躇ってから、10Fのランプを灯す。
  同時に、困ったように頭をかいてから。

 
 「 まさか君みたいな若くて ……
可愛い

   女の子が来るとは思わなかった。

   ええと。
   俺のマッチング希望通りなら、君は ─── 」


  お金持ち、とは流石に口にはしなかったが。
  ここまでに察せられる要素はあっただろうか?
  裕福で可愛い女の子が、初対面の相手と二人きり。
  鴨がネギどころの話ではない。
 
 
(461) 2021/07/06(Tue) 20:04:13

【人】 三月ウサギ

 

  「 ご両親は知ってるの?
    君が何か事件に巻き込まれれば。
    心配するのも被害を被るのは、君の家族だ。 」


  音もなくエレベータが上昇するのを感じながら。

  ─── ずくり、と胸を刺すような痛みが走る。
  …… これは気のせいだ。
  心配する家族なんて、俺とは無関係だから。
  
  説教じみた台詞は全てこちらに帰るブーメラン。
  仮に指摘されれば、子供のような反論を返そう。
 
 
(463) 2021/07/06(Tue) 20:05:21

【人】 三月ウサギ

 

  一つ、君は女で、俺は男だから。
  
  一つ、君はお金を持っていて、俺はそうではないから。

  一つ ───、

 
(464) 2021/07/06(Tue) 20:05:26

【人】 三月ウサギ



   俺は、家族を捨ててここに来たから。




                …… なんて、嘘。
                最初からきっと、そんなものはどこにもいなくて。**


(465) 2021/07/06(Tue) 20:05:32

【人】 三月ウサギ

  

  「 心配する家族がいない ……? 」


  犯罪者扱いされたことより。
  その言葉は心をひどくざわつかせた。
  

  「 そんな高そうなワンピースを着ておいて?
    まさか主催者に頼んで手配してもらったとは
    言わないだろう? 」


  もしかしたら目的の階まで直通だったかもしれないが。 
  いつ誰かが入ってくるかわからない密室。
  声を荒げない程度の分別はあった。
  しかし相手を見据える瞳は剣呑な色を宿して。
 
 
(475) 2021/07/06(Tue) 22:38:34

【人】 三月ウサギ

  

  「 お金なんかいらない。
    いや、いるけど。
    君から貰おうとは思わない。

    僕の目的は、………… 」
 
 
(476) 2021/07/06(Tue) 22:38:56

【人】 三月ウサギ

  

  「 …… ただ、話がしてみたかった。


         俺が持たないものを持つ人達と。
         知らない世界を知る人達と。 」


  先程までのざわめきは色を変えて、
  代わりに胸を締めるのは一つの願い。

  静かなエレベータ内。
  激しく渇望する想いを
  ぽつり、凪のような声音で落とし終わる頃には
  目的の階に着いただろうか?
 
 
(477) 2021/07/06(Tue) 22:40:22

【人】 三月ウサギ



  開いた扉の先。
  これまた、下手をすれば自身の家より広いだろう
  絢爛豪華な廊下に一歩踏み出せば、

  床が柔らかいという未知の経験を味わいながら。

  どこか失望したような表情を浮かべていた少女。
  ついて来ているかも確認せず。
  背を向けたまま、言葉を投げた。
 
 
(478) 2021/07/06(Tue) 22:40:35

【人】 三月ウサギ



  「 三月ウサギ。

    俺が登録した名前。
    もちろん、本名じゃない。
    
    長いから適当に呼びやすいようにして。 」


  彼女がこのまま踵を返すようなら不要な提案。
  向けた言葉の行方を知らぬまま、
  さらに一歩、歩みを進めて。
 
 
(479) 2021/07/06(Tue) 22:40:48

【人】 三月ウサギ



  ─── 三月ウサギとは。
  童話『不思議の国のアリス』に出てくる
  登場キャラクターだ。

  アリスのウサギといえば、
  時計を持って逃げている奴の方が印象強いだろうし。
  こちらは共に出てくる狂った帽子屋に、
  どうにも出番を食われている。


  …… そんな、勝手なイメージを胸に抱いたのなら。
 

  
(480) 2021/07/06(Tue) 22:41:37

【人】 三月ウサギ



     
             
 アリス

    少女でもなければ、主人公にもなれない。
    そんな誰かを。

    どこかで三日月の口が嗤っている気がした。**

(481) 2021/07/06(Tue) 22:41:42