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人狼物語 三日月国


131 蕐の残香、追憶のブーケトス

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【人】 患者 アンネロズ



[ 冷蔵庫のチョコレートが見つかった日は>>43
  私にとっても嬉しい日。
  
何故って、エドが嬉しそうにしてくれたんだもの!

  彼のために、って準備したものが
  喜ばれていたならこれほど嬉しい事もないわよね。 ]

  
(50) 2022/02/14(Mon) 11:06:38

【人】 患者 アンネロズ



   エドも紅茶が好きなの?私と同じね。
   私は特にアップルティーが好きなの。


[ 折角用意してもらえるのなら、断るのはむしろ失礼。
  だから、私が好きな紅茶の種類も教えたわ。
  そうして私たちのお喋りの時間は
  お茶会へと変わるの。>>44 ]
  
(51) 2022/02/14(Mon) 11:06:59

【人】 患者 アンネロズ



[ いつでも、私はエドの話を楽しそうに聞いていた。
  だって、楽しいんだもの。
  自分の話をしたくないわけではなかったけれど
  話したくないことが一つある私と
  聞いたことに応えてくれる貴方では
  自分のことを話す時間に差が出るのは自然なこと。


  本を読み終わった話をすれば返ってくるのは
  見どころが知りたいという質問がきた。 ]

  
(52) 2022/02/14(Mon) 11:08:06

【人】 患者 アンネロズ



   見所…そうね。
   主人公の女の子が周りのことも自分のことも
   いつでも信じていられる強い心を持っているのは
   いいな、って思うの。
   
私は、そんなに強くないから。


   主人公は私のためにしてることだから、って
   好きな男の子を助けているから
   男の子がそれを断れない場面も好きよ。

  
(53) 2022/02/14(Mon) 11:08:41

【人】 患者 アンネロズ


[ 内容に触れすぎると楽しみが減るから 
  少し難しい質問だとは思ったけれど
  タブーだとは思わなかった。
  口元に手を当てて少し考えてから
  伝えたことが貴方の楽しみを奪うことに
  なっていなければいいな、と思いながら答えたの。

  貴方の反応を聞いてから本を渡して、
  読み終わったら感想をぜひ聞かせてね
  なんて笑って言うのよ。 ]
 
(54) 2022/02/14(Mon) 11:09:48

【人】 患者 アンネロズ



[ 楽しい時間を重ねていくたびに
  自分が病気のことを秘密にしているのが
  苦しくて、胸が痛くなってくる。

  本当にその人を大切に想うなら
  きっと言わなければならないこと。

  でも、私は言えなかった。 ]


  
(55) 2022/02/14(Mon) 11:10:14

【人】 患者 アンネロズ


[ 好きな食べ物はリンゴのタルトだったり、甘い物。
  でも、食べ過ぎるとよくないから
  そんなには食べてない。後は魚より肉が好きとかね。
  変わった好みではないし
  ありきたりな答えだったかもしれないわね。

  どんな演奏を聴きたいかって言われたら
  貴方の演奏、って返してしまったから
  少し困らせてしまったかしら?
  どんな、とは違うものね。 ]

 
   貴方が自由に演奏しているのを聴きたいの。
   
   行ってみたい場所は……海、かな。
   砂浜を走り回ったり泳いだりしたいわ。
   

[ 貴方の心の赴くままに演奏している姿が見たいと。
  そう言う意味で言えば納得してもらえたかな。
  
  行きたい場所は叶わない夢を乗せて伝える。
  
激しい運動は、今はもう出来ないから。

  でも、夢見るだけなら私にも許されると思うの。 ]
 
(56) 2022/02/14(Mon) 11:14:00

【人】 ピアニスト イングラハム


 ***

   彼女の両親の前でやけに緊張したのは
   はて、何故だったんだか。

 
   好意的に接してくれる彼女の両親の言葉は
   迷惑かという私の懸念を打ち消してくれた。
   なんとなく血の繋がりを感じたりもして、>>49
   不思議とあの日食べたチョコレートに
   心満たされたことも記憶に在った。
 

(57) 2022/02/14(Mon) 23:40:15

【人】 ピアニスト イングラハム


 

    「アップルティーか。よし、覚えた。
     楽しみにしていて欲しい。」
 

   彼女の好みをまた一つ知るその裏で>>51
   今にして思えば「今度」なんて無粋かと
   そんな不安があったりもしたものだ。
 
 
(58) 2022/02/14(Mon) 23:41:05

【人】 ピアニスト イングラハム



   重ねられるお茶会の時間の最中
   語られる本の見所に私は耳を傾ける。
   核心に触れずに見所を教えてほしいなんて
   我ながらとんでもないわがままだとは思う。>>54


   答えてもらえば考えるように指先を顎に当てて
 
 
    「強い心、か。
     我の強ゆえの優しさなんだとしたら
     二人は最後に幸せになりそうだね。」
  
  
   そんな感想の口にすることになるだろう。
 
 
(59) 2022/02/14(Mon) 23:43:26

【人】 ピアニスト イングラハム



   そう呟くとすぐにはっとして。
 
 
    「ごめん、知ったようなこと言って。
     気にすることじゃないって言いたかったんだ。
       .......この本、読んだらちゃんと返すから。」
 
 
   誤魔化すように笑って彼女から本を受け取ると。
   いつか求めた未来の予定を口にすることになった。


(60) 2022/02/14(Mon) 23:49:17

【人】 ピアニスト イングラハム



   ありきたりな答えであっても
   私にとってはダイヤのように貴重な資源
   期待はずれなどありえない。>>56

   しかし彼女の考えていた通り
   「貴方の演奏」と言われれば戸惑いを
   隠さずにはいれられなかったのも事実。


   イメージが浮かばずに困っていると
   その答えを彼女はくれる。
   それは私にとっては理想の演奏の形で
   それもまた彼女に惹かれた理由だ。


(61) 2022/02/14(Mon) 23:52:18

【人】 患者 アンネロズ



[ きょとんとしていたら、
  貴方は誤魔化すように笑った。

  聞いた方がよかったのかもしれないわね。
  貴方のどこか強くないのか。
  でも、それを聞いてしまえば
  私達が越えずにいる最後の線を
  越えることになりそうで、言えなかったの。 ]



   ううん、エドは優しいわね。
   それに、貴方と同じならいいかもって思えるの。

   
返しに来てくれるの、待ってるね。



[ また一つ、会う約束を重ねて。
  願っていた通りにそれが叶うことが嬉しかった。 ]
  
 
(62) 2022/02/15(Tue) 2:12:12

【人】 患者 アンネロズ



[ 戸惑わせてしまってもそのあとの
  私の答えできちんと伝わったみたいで安心した。>>61

  私が聴いた時の貴方の演奏は
  自由、からは離れていたし
  コンサートのために課題曲を演奏しているのも
  話に聞いていたから。

  私はね。
  貴方が弾きたいと思った曲を
  何も気にしなくていい状況で弾いてほしかったの。
 ]

  
(63) 2022/02/15(Tue) 2:15:50

【人】 患者 アンネロズ


 ***


[ いつのことだったかしら。
  私は長い事入院しているけれど
  病院から全く出られないわけではないのよ。
  身体の調子がいいって検査でわかれば
  外出だってできるのよ。

  そう、私が外出できるかもしれないと
  貴方に伝えた日が、確かにあったのよ。 

  外に出てもいい日が久々に訪れるとして、
  叶うなら、貴方のコンサートに行きたいなって。
  私は、そう考えたものだから。 ]
  
(64) 2022/02/15(Tue) 2:21:49

【人】 患者 アンネロズ



   ねぇ、聞いて、エド。
   いい知らせがあるのよ!


[ なんて上機嫌でそのことを告げたの。
  貴方が前に約束してくれた、
  演奏を聴かせてくれるって話が叶うかも、なんて。
  
  海にだって、いけるかもしれないわ。
  その時の私はそう思っていたの。  ]*


  
(65) 2022/02/15(Tue) 2:22:27

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   私の言った意味を知ってか知らずか
   呆気に取られたような彼女の表情は
   少しばかり怖くも思える。

   引いた国境を踏み越えるような不安は
   相手を想えば想う程花瓶になるのだから。



    「それなら良かった。
     あぁ、必ず、返しに来るよ。」


   必ず、と口にしたからには返しに来るのも
   当然早くなるもので。余す時間の全てを
   読書に注いだのは言うまでもないこと。


(66) 2022/02/15(Tue) 8:25:24

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   君一人のためだけに僕の音色を届けましょう。

   そんな想いは運命の因果を掛け合わせて
   結果、彼女の優しさに甘える形に収まる。

   叶うかも分からない約束を交わせば
   それは私自身の生きる糧ともなっていった。

   課題にも観衆にも民俗にも縛られない
   そんな自由を彼女の為に使えるのなら...。


      未来を夢見ていたのは、お相子というわけだ。

      

(67) 2022/02/15(Tue) 8:32:04

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   彼女の助けになろうと躍起になったものの
   実際、私は私で彼女に救われた。

   それは譜面に音符のインクが滴るように
   彼女との約束は私の演奏への意欲を
   この上ないほどに高めてくれていたから。

   両親がからかうように
   「何かいいことでもあった?」などと言うので
   やめてくれと不満を顕にすることもあったが。



(68) 2022/02/15(Tue) 8:55:32

【人】 ピアニスト イングラハム



   新たに予定表に書き込まれる日課
   学校と演奏の練習以外には何よりも優先される
   病院への見舞いというイベント。

   それまではアンネが病室から出られる日がある
   なんて思ってもみなかったから。
   アンネからそれを聞いた時は分かりやすく
   喜びの表情を浮かべることになっただろう。>>64

   受付で看護婦が微笑ましげに
   ニヤついていた理由が、その時初めて分かった。



(69) 2022/02/15(Tue) 8:56:12

【人】 ピアニスト イングラハム




   「本当か!?」


   外出の許可が降りたということは
   回復も近いのだと私は勝手に解釈して
   病室には相応しくないくらい声を張り上げる。

   それからこほんと咳払いをして
   頑張ったんだね、などとアンネを労うと


   「なら、その日は必ず予定を空けるよ。
    僕にとっては君が一番大事だから。」


   そう、意気込んでみせるのだった。
   その心臓の奥底に、大きな決意を秘めて。



(70) 2022/02/15(Tue) 8:57:48

【人】 患者 アンネロズ


 ***

[ 必ず、という彼の言葉はきちんと守られた。>>66
  思った以上に返してもらえるのが早かったから
  読むの早いのね、って感心したりもしたわ。

  貴方の感想を聞きながら紅茶を楽しむ時間は
  やっぱり私にとってかけがえのない時間だった。 ]

 
(71) 2022/02/15(Tue) 12:11:17

【人】 患者 アンネロズ


 ***


[ ボランティアとして病院に来たことがあって
  多少なりとも顔が知られている彼が
  病院へと見舞いに来ているというのは
  私を知る看護婦さんたちも知っていること。

  ちゃんと私から言うから秘密ね、って
  口止めはしておいたはずなのに!
  ニヤついていたなんて貴方から聞けたなら
  貴方が見ていない所でこっそりと
  文句を言いに行ったと思うわ? ]


  
(72) 2022/02/15(Tue) 12:17:42

【人】 患者 アンネロズ



   ふふ、本当よ!
   最近は調子がいいから
   もしかして、って自分でも思っていたの。
   

[ 労いの言葉には嬉しそうにしつつ、>>70
  貴方が予想以上に喜んでくれたから
  くすくす笑いながら、付け加えた言葉。

  
回復が近いようにも聞こえるそれは

  
きっとあなたの勘違いを招いてしまったのでしょう。

  
調子がいいのは回復が近いから
ではなくて

  
神様がくれた最後のチャンスだった
…なんて


  当の本人ですら予想してなかったのだから
  その解釈を責めることなんて
  誰にもできはしないのよ。  ]



   私達同じこと考えてたのね。
   私も、外出できるって聞いた時
   真っ先にあなたを思い浮かべたのよ?


  
(73) 2022/02/15(Tue) 12:21:03

【人】 患者 アンネロズ


 ***


[ 約束をした日が迫ってきたある日。
  その日は、お母さんが見繕ってきてくれた
  服を試しに着ていたの。
  黒を基調にした裾にフリルのついたワンピース。
  胸元にリボンがついていて、それを後は結ぶだけ。
  そんなときに病室のドアが開いたの。
  訪ねてきた人が貴方だと分かった時は
  それはもう、びっくりしたわ。
 
  
だって今日は来ないと思っていたんだもの。 ]



   エド……!?
   
な、なんで、っ……。


  
(74) 2022/02/15(Tue) 12:24:46

【人】 患者 アンネロズ



[ いつもの病衣姿じゃないことに
  気づかないわけ、ないわよね。

  貴方との約束の日に着ようと思っていて
  当日までのお楽しみにしたかったのに。
  予定外の訪問で貴方に見られてしまって。
  少しだけ唇を尖らせて拗ねたように、 ]


         
……この服のことは当日まで

         
秘密にしようと思ってたのに。



[ なんて言って、ふい、と目をそらした。 ]

  
(75) 2022/02/15(Tue) 12:25:51

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   あの日は確かたまたま近くで公演があって
   せっかくだからと病院に足を運んでいた。
   観客から頂いたフルーツのおすそ分けという
   我ながら取ってつけたような理由を添えて。


   とはいえ急な来客だったものだから
   迷惑でないか、と病院の看護婦に
   再三確認を取ったわけで。

   とんとん、というノックと共に
   彼女が許可をくれれば病室にその顔を
   覗かせるのだったが。>>74

   私が驚きのあまり口をポカンと空けたその顔は
   まさにマヌケと呼べるような情けないものだった。


(76) 2022/02/15(Tue) 21:27:27

【人】 ピアニスト イングラハム



   サプライズドッキリにしては
   あまりにも空気が読めてなかったらしい。

   アンネがどうして不服げなのか
   すぐに察した私はというと


    「あ、いや、ご、ごめん。
     一言連絡をするべきだった。

        その......僕は、間が悪いな。



   思わず頭を下げると慌てて病室の外へと
   出ようとする。

   しかし目を逸らすアンネを前にして
   そのままトンズラをこくという訳にもいかず
   ただ反省の色を浮かべることしか出来なかった。


(77) 2022/02/15(Tue) 21:29:02

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   アンネとの約束の日。
   私は朝から落ち着かない気持ちでいた。

   演奏の練習も全てキャンセルして
   彼女に会うためだけに身嗜みに普段以上に
   気を遣ってみせたりもして。
   彼女の可愛らしい姿を思い出して
   少しでもそれに釣り合うようになりたかったから。


   この後何を予定しているかは
   傍から見ればすぐに分かってしまうほど
   私はずっと浮き足立っていた。
   まるで、何も知らない呑気な子供のように。


(78) 2022/02/15(Tue) 21:34:03

【人】 ピアニスト イングラハム



   病院から一番近いところにある海
   付近の公民館をわざわざ無理を言って借りて
   夢を叶えようとこの日の準備を重ねてきた。

   彼女はどう喜んでくれるだろうか。
   そんな期待に胸をふくらませて。

   私は病院へと向かって歩き始める。
   「お昼頃にそっちへ迎えに行くよ」と
   そんな連絡をひとつ残して。

   私は彼女に、会いに行くのだった。*


(79) 2022/02/15(Tue) 21:35:14