12:26:15

人狼物語 三日月国


82 【身内】裏切りと駆け引きのカッサンドラ【R18G】

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視点:


"賭け"に負けたのだと悟り嗤った。

どこにもいない。見つからない。ああでも、

「あの野郎……」


傷だらけの姿で鎖に繋がれている。
引きちぎれんばかりに前に進もうとすると、
鎖がギシと身体を拘束する。

“半年前の”姿なら幾らでも散らばってるだろう。

今もまだ、矛盾する世界と記憶を何一つ認識できていない。

【人】 食人嗜好者 アルレシャ

「、……」

食堂に入ったアルレシャは、少しばかり黙り込んだ。
ふたりほどであればまだ気のせいと思えたものの、そして真相を知った今となっては。
朝の食事を楽しむ面々は、あまりに……初期よりも、見知った顔が減ったように見えた。
少し気落ちしかかるのを、気丈に胸を張って中へと進みいる。
何事もないかのように、いつもどおりにダッチブレッドfoodブラッディ・ブルsakeを手にとった。
(6) 2021/07/05(Mon) 20:51:43

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>5 ゲイザー
少しいつもより陽気な様子を損なっていた眉をきゅっと引き上げて、せいいっぱいの笑顔で。
いつもどおりを装いながらに、彼女の置いたパイに手を伸ばした。
もしも近くにいたのなら、にこりと微笑みかけて挨拶だってしただろう。

「今日のパイも、お楽しみね。いつもとびきりの驚きがあるけど、今日はどうかしら」

アルレシャの手にとったひときれは(72)1d100。幸運が指先にあれと、願うように。
(12) 2021/07/05(Mon) 21:27:16
アルレシャは、>>12の結果を見て、II 女教皇tarotを手にした。
(a25) 2021/07/05(Mon) 21:28:37

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>15 サダル 前日
「手引している人間を一時抑えることができれば、旅の間だけでも……。
 その後は……なんて考えても、今の私には何も出来ないわね。そこまでの力なんてないもの」

不思議な力はおろか、政治的であったり経済的であったりの力も。
身を守るのはかんたんなことなのだろう。もう同じスポンサーの旅には搭乗しなければいい。
けれど、彼らは? ……写真で見た姿を頭に浮かべて、眉を下げた。

「サダルさんだったかしら、貴方はとても……強い人ね。
 人の嘘や隠し事を見抜くのは出来るけれど、疑い、敵意を向けるのは……どうかしら」

眼前に見える賓客達の踊る様子のなんときらびやかなことだろう。
麗しい足取りは……けれどその下に踏み越えられている者たちがいるのだ。
ふう、とため息を吐いて、ぎこちない笑みを貴方に向けた。

「ごめんなさいね、こんな話。貴方も船を楽しんで。ここには、いいものもきっとあるから。
 そうでなかったら、きっとここまで私も嘘や噂に気づくことは、なかったのだろうし……」
(27) 2021/07/05(Mon) 22:29:33

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>21 ゲイザー
「おはよう、パイのお嬢さん――お名前聞いていなかったかも。私はアルレシャよ。
 朝早くからこんな素敵なものを手掛けて、さすがというところかしら」

キレイに装飾を施されたパイを見て、素直に心からの賞賛を送った。
朝食を用意する従業員たちはそれよりも早く起床せねばならないだろう。
女教皇のカードをまじまじとみて、それから視線を彼女に向ける。

「そうかしら、安心……してもらえるといいわね。何せ医者だもの。
 ここでは仕事に来ているわけではないけれど、いつでもそうありたいものだわ」
(28) 2021/07/05(Mon) 22:35:36
規則的に鎖が揺れる音が、部屋に響く。
部屋からは蠱惑的な香の薫りがしている。

(これを嗅ぐと……脳の中身が全部ひっくり返り、
 外に流れ出すような感覚に陥る……)

開きっぱなしになってる口から、雫が落ち水音がする。
それを掻き消すような肉に肉を叩きつける音が聞こえて来て、
今自分の置かれている状況が否応なしに身体に伝わる。

「ッ……ぐっ……」

腹部の、臓器を押し上げられる圧迫感に、吐き気を催す。
相手が抉り搔き分ける形が想像出来る程にこじ開けられた身体が
異物感に、自然にそれを外に押し出そうとする。

どれだけオレの身体に執着するのか、
オレを買ったであろうそのVIPの酔客は、
その感覚こそが本懐と抽挿を早くする。
鎖の揺れも、激しくなる――。

――どうしてこいつらは。
最後は喉を犯したがるんだ。
間抜けにも切羽詰まった顔で正面に回り、
固く閉じた口を鼻をつまんで呼吸が出来ないようにし、
無理やり喉奥にまで達するほど突き入れてくる。

「ぐっ、ぶっ……!」

直接喉を叩く感触に、
鼻まで逆流してきた相手の欲望に、噎せ散らかす。

「げっほっ……テメ……」

ぼたぼたと地面に吐き出しながら牙を剥いて見上げると、
前髪を掴まれて顔を上げさせられる。
唾の一つでも吐いてやろうかと思ったが、
血反吐のように絡みついた白い泥に呼吸が詰まって、
酸素を求めて喉が喘いだ。

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>31 サダル(前日)
どことなく、打つ手の無さを感じているようでもあった。相手が大きすぎるせいだろうか?
けれど、それでも諦めきれないからにこそ、ここでこうして話をしているわけでもある。
細いシルエットのドレスを曲げる膝は、細くて頼りのないものだ。

「貴方と? ……いいえ、はい。喜んで。
 私、これでもダンスは得意なのよ。貴方を夢中にさせてしまえるかしら」

少女めいた明るさは少し元気がないせいか削げているが、年齢通りの強かさは消えず。
今度こそはうまく笑顔をかたちどって、貴方へところりと首を傾けてみせた。
二人の女は、しばしの間ホールを魅了するかのように踊り続けているのだろう。
(39) 2021/07/05(Mon) 23:34:11
メモを貼った。

ナフのことを思って、憔悴の中で少しだけ、笑った。

「……おいおい、気を利かせたつもりって人選か?
 偶然なら褒めてやるよ。“センスの悪さ(良さ)”にな」

最悪だ、なんて零す訳にもいかない。
だって自分と同じような奴らが集まってる場なら、ここで悪態をつけばつくほど喜ぶ。わかってる。わかってはいるが。

「裏切りは慣れっこのつもりだったが、毎日毎日毎日続くと慣れ以前に麻痺してきやがるな。前言撤回するか、腹立ちすぎて愛してるって言ったが、ここまで来るとお前は逆に唯一愛せそうだぜ、────」

呼べ、と呼ばれている名ではなく、“あの時”呼んだように、対象を見て知った名前を口に出そうとした瞬間、周囲の黒服から思い切り腹部を蹴り飛ばされて強制的に発言を止められる。

「かはっ、……っは、はは……、お前らの、名前が……げほごほッ!!……流出し、て、困る奴も、いねぇだろうによぉ」

睨む相手しか存在しない。溜息すら出なかった。

「…不本意ながら同感だ。随分と良い趣味なもので。」

飛ばされる、欲に塗れた下品で汚らしい言葉。ひとつひとつを聞いてやる道理もなく、乱れた衣服に仮面と手錠をつけた青年──首筋と肩にいくつもの痕を付けた──はともに"堕ちた"二人へ視線を走らせため息をついた。

反抗的であり、暴力装置を売りながらも己自体は非力で、されど暴力装置に詳しい青年は如何様にも扱える。
慰み者にすれば精が褐色の肌に映えるだろうし、血で彩れば白の髪も美しく染まるだろうし、"お客様"に商品を魅力的に提供する術にも長けている。


「それで?何をお望みです?」

すべてを『どこか』に預けている。

「ぐっ……は、よく言う……
 “そのような”の、が、好きな『お客様』も多いだろうに……ああ、そう言うの、全っ然、わかんねぇ口だったか?」

「ならその席代われよ、お前より余程、上手くやってやる」

痛みの耐性があるとは言え、呼吸が苦しくならない訳ではなく。噎せつつも、品のない言葉を紡ぐ口は出会った時と何一つ変わらない。足音だけで、薄寒い思いにさせる人間より上手くやれるかどうか、思い上がりにしかすぎないのだろうが。

「あの中のどこに"お客様"がいると? 金と狂気と血と肉に狂った獣をもてなす理由がありませんし、言葉だって分かったものではありませ、」

言いかけて、周囲の黒服に腹を殴られ声を詰まらせ崩れ落ちる。激しく咳き込み口の端から涎が垂れる様を見て悦ぶ者も嗤う者もいるが、息を切らしながらも仮面の奥の瞳は変わらぬまま。

「ぐ、ッ…ふ、私達自身にやらせる?…お疲れですか?このような"愚行"をやめてしまえば全て解決しますが…。」

「…………?」

おや、あれは“半年前”の。ご存じですの?
貴方は最近来られましたか。有名ですよ。なんせ──
あら、それは良い愉悦(遊戯)を考えられた方が──
“調整の結果”前回とどう変わるのか、──

壊れるまで抵抗した人間が、壊れた事を知らないまま。
自分はまだ此方側で、正常だと思い続けている哀れな諜報員が、
何一つ己の中に真実はなく、変える場所も存在せず、
既に人間ですらないと知った時、どういう顔をするか。


思考がまた焼ける。ナフも、“  ”も似た事を言っていた。
妙に被る思考。なんだ?何を言っている?“真実”がない?

「……は、カッサンドラの名にでも当てられたかね」

要望の意図が汲み取れない。
汲み取らせて貰えない。

定期連絡の先が虚空だった事を認識すらできていない。今も。

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>50 ゲイザー
少しだけ目をぱちくりと瞬かせて、それから吹き出すように笑った。馬鹿にしているわけではなく、女にとっては突拍子が無かったのだ。
まるで母が娘を見るようにきゅうと目を細めて、はにかむ少女を見守っている。

「私は大したことなんてしていないわ。駆けつけたはいいけど慌てふためいただけだもの。
 少しの失敗はあったかもしれないけれど、皆無事だもの。前を向いていればいつか報われるわ」

安楽椅子が揺れるように頷きながら、なんだか見上げるような称賛を聞いている。
少しばかり大げさだと思っているようではあったが、わざわざそれを言葉で制して謙遜したりはしなかった。
そう思っているのなら、それでいいのだ。ひとつの憧れに無為に傷をつけるようなことはしない。

「ふふ、なんだか照れてしまうわね。よく、人を見ているのね、まるで占い師のあの子のよう。
 ……ねえ、よかったらあなたもパイくじを引いてみない? よい結果が出るかもしれないわよ」
(57) 2021/07/06(Tue) 18:53:36
腹を蹴り転がされた青年の顔が白手袋に掬われてある一人へと向けられる。
顔を向けられた先にいたのはともに堕ちた最低で最悪で──『最下層』に似合いの男だ。

"白手袋"から命じられた指示を聞いた瞬間には理解を拒んだ脳が、一拍遅れて言葉を受け入れて"お客様"の意図を汲み取った。
なるほど、彼らは…人と呼ぶにはあまりにも醜悪なモノたちは本当にいい性格をしている。

あらゆる暴力の知識を持つ"かつての"自分に似合いの仕事だ。
それでいて、効果的で暴力的なそれは
──"今の"自分にこそ有効だ。

この船に乗る前の自分であれば痛みなんて微塵も感じようがなかったのに。


眼前に舞う資料の中でよく知る顔と名前が踊る。記載されている内容も写真の日付も"半年前"に関することばかりで、これが事実だというのなら、彼は、
"あなた"は、


──先程聞こえた醜悪な者達の囁きは──


「──…ックソが…!」



声を荒げ罵倒の一つや二つ投げてやろうと口を開きかけて、けれどそれ以上が言えなくなる。他人の身を預かることは不得手だとどこぞの誰かに言ったばかりなのに、どうしてこんなことになっているのだろうか。

"見世物"として、"ショウ"としての成功が運命に、
そうしてそれは互いの手に握られている。


とはいえ、何を見ながら何を失うかが異なるだけで、結末は同じなのだろうが。

「…『解りました』。それでは、
そのように。


資料を拾い集め立ち上がる姿は一度だけ大きくよろめき、以降はしっかりとした足取りで"得物"を選びに向かう。
なるほど色んな手段が選べる。選ぶしかなくなる。暴力、凌辱、あなたはどちらが好みだろうか。

「あの時話した軽口が現実にできますよ、よかったですねバーナード?もっとも、鉛玉以外にもいくらでも選びようがありますが。要望くらいは聞いて差し上げますよ、ええ、私は、やさしいので。」

…握られた資料には激しく皺が寄って、震える手を隠した。

訝し気に眉を顰める。
少し向こう側、ダビーの目の前で先程まで自分が悪態を吐いていた相手が、書面のような物を落とすのが見える。何かの資料なのはわかるが、此処からではさすがに内容は読み取れない。

「(──楽しい拷問の仕方か何かか?)」

……奇妙な悪寒がする。
明るくこちら側に告げられる“補足”は、詳細を聞いても腑に落ちない。心からの屈伏の為の研修?それにしては、妙に──。

勿論、一般的な感性であれば想い合う二人に脅して暴行させるのは非道の部類だろう。しかし、ここは“一般的”ではない。何より状況から何度読み取ろうとも“殺し合え”とは言われていない。

爪の一枚や二枚を剥がれようと、明らかに耐性がある部類だ。
そんな事は向こうも当然理解しているはず。
仮に、“彼”を脅す効果はあったとして、ただ自分に肉体的な苦痛を与え続けるのを見るのは──
“温過ぎないか?”



その“温さ”が、逆に異常な不快感を覚えさせる。

周囲は妙に盛り上がり熱狂しているのに、
自分も“彼ら”と似ている
存在だから理解できる悪趣味さの筈なのに、今回ばかりは理解できない。

「……大して辛くもないのに、
 わざわざ辛しむ演技でもしろって事かね」

資料を集める“彼”を見ている。何故そこまで悪態を吐いたのかが分からない。観客だって『ただの恋人同士の拷問ショー』程度で、自分が堪えると思うのか?

「──銃弾は慣れてる。刃物の方が“お前が”苦しむかもな。
 手榴弾でも遠くに投げて破片で刺してくれてもいいぜ?
 ついでに客席まで吹っ飛ばしてくれりゃ、もっと楽なんだが」

“彼”は結局は所詮は商人の息子だ。苦しみを抱くのは分からなくもないが、幾ら考えても奴らの
【狙い】
が読めない。

──理解できない事こそが、
    
【狙い】
そのものな事に、いつ気付けるだろうか。

ギャンブラーだ。

お前の全てが、心から欲しい。

呻いた。

「銃弾は慣れているなら面白みもないし外しましょう、手榴弾は確実性が薄く見栄えが良くない。
 …ああそうだ、服も必要ありません。"今のあなた"をお客様にしっかり見せて差し上げなさい。
 綺麗なあなたが傷付いて行く様を"お客様"はお望みのようですから。」

そうあなたに命令しながら資料を捲り、そばにいた黒服にとある記述を指差し見せる。
騙され利用されることばかりの青年はそれでも他者を動かすことに長けている、意図を察した黒服たちが動き出す。

あなたへ何人分もの腕が伸びて容赦なく服を奪っていく。その途中、肌を掠めなぞっていった指もあっただろう。
そうしている間にも鑑賞室の上方から降ろされた両手首に用いる拘束具は太く、躾のなっていない手を封じるのに多大に役に立つことが伺えた。彼の不躾は足にも言えたことではあるが、痛みにもがく足の惨めさこそが"あなた"には求められている。

あなたが拘束される様を眺めながら青年は金属製の杖を手に取る。そうして後方から後方からゆっくり歩み寄り、右斜め後ろから小さく震える声があなたの耳に届き、

「──"お客様"に、ご挨拶しましょうね」


ただその行為を命令されたロボットであるかのように、あなたに頭を垂れさせるように、あなたの後頭部目掛けて杖を振り下ろした。
この程度では死なない。この男なら死なない。私の腕なら死なない。ただ、互いに痛いだけ。


/*
確定多めにしますがよろしいですわよね? あなたは 甚振られる者 なのだから。

「軍人にお綺麗さを求めるなんて夢見る処女かよ。……チッ」

綺麗は他者にいう言葉であって、自分が言われる言葉でもない。
それを求めている客が居たら『こんなもの見てる暇があれば適当に売春なりしてきたらどうだ』と進言したいくらいだ。

服を自身で脱ぐのならば別に抵抗はない。何ならパイのせいとは言え、レストランで思い切り自分から脱衣してたような男だ。強制的に脱がされる事に舌打ちするものの、如何せん人数が多い。

『どうせなら一人くらいは使えなくしておいてやろうか』と反射的に思って手が出るのを察したタイミングで、拘束具にまず手を封じられる。足癖の悪さも比じゃないが、この状況では黒服を蹴飛ばすくらいしかできない。むしろ惨めさの方が目立つだろう。

そうしている間に服も一瞬で奪われる。概ね2日目と変わらない。しいて言うなら、背中に明らかに情事の後に出来るような細かい傷が多いが、目を逸らすような酷い傷がある訳でもなく、鍛えられた筋肉もあり見れない身体ではない。
──半年の間、■■されていたにしては“綺麗”な部類だ。これを保つのも苦労した事だろう。


「趣味悪。もう少しセンスあるかと──ぐあッ、ガッ…!!」

殴られる気配は分かる。悪態を吐いていて口を開けていた結果、舌を噛むなんて馬鹿な事はしなかったが、鍛えようが一瞬目の前の視界が点滅する事も、衝撃に一瞬呻く事も、無理やり頭を下げさせられるのも避けられない。頭を上げようとするも、杖で制されればそれ以上上げるのは困難だろう。
……何より、聞こえてくる声の震えに気づかない程鈍くもない。


何を震えてんだか。自分の痛みなんて全然痛みでも何でもないだろうに。

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>62 ゲイザー
「貴方のパイがあったお陰で、朝の食堂を楽しみに思っていた人もあると思うわ。
 だってふふ、ひとコーナー任せられる期待の新人だもの。いつか有名になるかもね」

激辛パイはひと騒ぎ起こしたかも知れないけれど、激甘パイにも人は来たし。
彼女は知らないかも知れないけれど――ざわめく騒動のなかでも、それは光になったのだろう。
現に女も、惹かれるように今日はここへ来た。それが、証左になっている。

「ふふ。運命は自分の目で見定めなさい、ということかしらね?
 ……もうこの船旅も折り返しになることだし、どう、何か身になるものはあったかしら?」

啓示が顕れないというのも、またひとつの啓示なのかもしれない。
(63) 2021/07/07(Wed) 7:46:54

【人】 ルビーの花 アルレシャ

>>64 ゲイザー
「まあ、そうだったの? でも、誰も止めに来たりするようではないし……黙認されてるのかしらね?
 だったらいいんじゃないかしら、船の人たちも意外と寛容……なの、ね」

無邪気に語る言葉はほんのりと語尾を凍りつかせながらも。ぱ、と懸念を笑顔で覆い隠す。
通りがかるスタッフ達も難色を示すような顔をしては居ないようだし。……噂を思えば、それは不気味なほどに優しいのかもしれないけれど。

「私? ふふ、貴方に声をかけた人は、きっとたくさんいるのじゃない、人気のパイ焼きお嬢さん?
 ……それとも何か、思うところでも、あった?」

からかい混じりに言いはするものの、貴方の表情の翳りに全く気づかないわけではないのだろう。
きっと同じことを思い浮かべているのかもしれない。ほんのりと声量を抑えて、周りに聞かれないようにする。
(65) 2021/07/07(Wed) 12:34:02
品性、センス、そういったものを気にする青年がこのような下劣な行為を選ぶ意味。
資料を手に指示を出し舞台を整え、震える声を隠せずに、躊躇いはあれど悩みはなく杖を振り下ろした意味。
それは全て"いつか"をなぞった喜劇の一端をなぞっている事実に帰結するものなのだが、"今のあなた"はいつ気付くことになるのだろうか。


賓客達はとうにこの"演者"の意図に気付いたらしく、拍手と歓声が場に満ちる。
思い思いの声が、欲望が、そう在れと、要望を、並べ立てる。

おやこれはあの時の、粋なことをしたものだ
"調整"されているのでしょう、どこで「変わる」か賭けましょうか
同じ演目は二度見る必要がない、さあ、見せろ、屈しろ、

──真に愉快でおぞましく甘美な"ショウ"を我々に見せてくれ!


「…よくできました。」

あなたの頭を制していた杖が左右に二、三度動いて髪を乱し、それから支えの手を失って鈍い音とともに床に落ちる。
"お客様"は手加減を望まない。与えられた指示でもそのようだった。であれば、無駄な焦らしもなく淡々と奪っていくだけだ。…あのような姿から今の姿に戻せる手段があるのならば、当然、これから行うことであなたを殺すことはない。
ちょうど、
眼球一つくらいなら掬い取れるであろう、
"それ"を手にあなたに迫る。

「けれど駄目でしょう。お客様に「足りない」ものをお出ししては。…ああ、だからこそ"あなたはそうされた"し、あなたはそうなるのでしょう。
 "半年"でここまで戻されたのも、きっと、そのような意図が、あったのでしょう。」

青年は、じっとあなたの"右目"を見つめている。

空き時間にボル(4)1d10を与えられたかもしれない。わからない。空き時間ありますか?

労働時間的にはホワイトなこの船のことがよく分かりません。気にするところそこ?

ボル族じゃなくても美味しければいいと思っています。チョコクロワッサンfoodが美味しいものかどうかについてはさておき。

自分のランダムダイス結果は比較的勝ち組だと思った。媚薬とにゃん以外。

「ぐっ!……随分、鈍ったか?今回は随分──」

「────“今回”、は……?」


意識もなく自覚もなく『自然』に滑り落ちた言葉。脳を介さず口から漏れた言葉が、ようやく耳に入って、己は発した言葉の意味が理解できない。そちらに思考が割かれて、漸く頭を上げられるようになった事も気付かず、俯くままである。

 今回?前回?鈍るってなんだ?
 ここに来た記憶なんてある筈ないのに、
 どうして今、“前より大した事ない”と思った?

観客が騒めく。ただ、自分が
“少し顔を上げるのが遅れただけ”
で彼らは思い思いに歓喜し、落胆し、好奇に湧き立つ。何かの試合の結果を観戦するかの如く、ねちっこい視線が纏わりつくのを感じる。

 
「──チッ!っ、さっさと続けろ、……よ?」

──まずい。わからないけど何かがまずい。
考えては行けない。これ以上思考を割いてはいけない。ただ無で暴行を受け続ければ、時間が流れる。痛みがあれば思考も多少は飛ばせる。そうしなければ、
……そうしなければ、何?


その思考を振り切る様に突如顔を上げて、仮面越しでも明らかにわかる敵意を隠さずに吠え散らかす。困惑ごと掻き消す威勢は、目の前の“彼”が持っている物で、呆然と止まった。

『前回』も男は同じ様な反応で吠えて、先を促していた。目の前の相手が持つ物で一瞬動きが止まった。何も変わらない。

──ただ
“前回”は、殴られて即座に吼えていた
のが、
“今回“は、何か迷うような間があって、遅かったから。


男が何に戸惑い、混乱しているのか、『内容が同じだからか?』『これぐらい誤差では?』『でもあの狂犬が──』と口々に議論が交わされている。

男は、ただ“彼”の言葉を聞いて、何も理解できない事を言う彼から、目を背けたくなるのを真正面から見据え続けるのが、精一杯だった。

青年は黒服へ指示を出しあなたの口を無理矢理開かせる。眼前にちらつかせるのはきっとあなたにとっては見慣れた錠剤、あなたの使い慣れた催淫剤だ。

「これが何かはご存知ですね?ええ、ご想像の通りのものではありますが、飲むか飲まないかはあなたに一任します。ですが、早めに飲むことをお勧めしますよ。一秒でも早く苦痛から逃れたければ、一秒でも早く快楽を得たいのであれば、すぐに嚥下するといい。」

それをあなたの咥内に放り入れて、あえて優しく語り掛ける。苦痛にもがく様も快楽に乱れる姿もどちらも賓客好みのものであり、どのタイミングでどちらを選んだとしてもあなたが見世物として機能し"お客様"の要望通りになることは避けられないのだが、さあ、あなたはどうするだろう?

自分を見据え続けるあなたを見ていた青年の様子がほんの少しだけ変わる。
なんとか震えも苦痛も出さないように耐え虚勢を張り付けていたはずの口の端がひくりと動いた。それは幼子がしゃくりあげる前のほんのひとしぐさのようにも、ふと込み上げてきた歓喜に打ち震えているようにも見える。
ああ、己を押し込めていた『常識』という枠組みが軋みを上げている。嫉妬に由来する憎悪から生まれ出でた新たな『怪物』の卵にひびが入った。

もう、声は震えていなかった。

「──さあ皆々様ご唱和ください、テンカウント参りましょう。
 
…10、9、8、7、6…


青年の声に合わせて狂った男の声が、嗤った女の声が、ひとつまたひとつと重なり、反響し、あなたが奪われるその瞬間への期待を膨らませていく。
あなたの仮面をずらし青年は手に持つ"それ"を近づけていく。

あなたの右目がさいごに映したのはどんな景色だっただろうか。青年はそれが『怪物』の瞳であることを願いながら、
ゼロカウントともに"抉り取る"ことだろう。