23:22:31

人狼物語 三日月国


68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新

[メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ

視点:


二ア
くしゅっ、と、くしゃみをすれば本当に風邪がひけそうだと
流石に服を絞り最低限の動きができるように身なりをととのえる。
♪〜♪〜〜 ♪♪ ♪〜〜♪〜 〜♪ ♪〜〜〜 〜〜 ♪♪〜♪〜 〜〜〜〜 ♪♪〜♪〜 ♪♪〜♪ 〜♪♪〜〜 ♪♪〜〜♪ ♪♪〜

サダルはふと、どこかに意識をとられるようにぼんやりと目をうつろにさせた。
髪から垂れるしずくを眺め続けていたが
首を横に振れば乱雑に頭をタオルで拭いている。
目の前の二アをぬらすわけにいかないからだ

 キファ
「できるよ」
 
今の自分は役者だ

 サダルは顔を近づけると、とてもあっさりと唇を触れさせた。
 キファが動かなければ離される口付け。
 その瞬間に言葉では決して伝わらないものが、
 星のように淡く光り落ちていった

「キファが恋を覚えるために」

「……、……
 君のとなりに誰かがいても、
 自分のとなりに誰かがいても、傍に居させて欲しい。
 君と二人の台本をみたい気持ちは変わらない」
 
本当の恋だってできる

 ここは死の先なんかじゃないと重ねたかった。
 他のなによりも前なのかもしれないことを、
 キファは本当にわかっているのだろうか。
 それとも、そんなことを気にすることでもないのか。
 それでも、与えられたものを取り戻す必要があった

「……これを言うのにこんなに時間がかかってしまうなんて、
 やっぱり恋というのは恥ずかしいね。キファ」

サダル

「なんの話ですか?」と、首を傾げてあなたを見上げるのは
ただただ子どもの無垢な瞳だった。
気付いていないとも、そもそも知らないとも見える様子。

影はここでは生前の様子と何も変わらない。

「……真面目というよりは
 今のぼくに他にできることがありません。
 あなた以外誰にも認識されず、物にも触れられない。

 死の先というのは意外とつまらないんですね
 こんなところでも舞台に立つことはできるのか
 特訓する意味はあるのか、わかりませんけど

 まあ、何もしないよりは、いいです」

ただ、ひとりでなくてよかったと
あなたの心情など知らず、淡々と語る。


サダル

「……………」


そして、運動部のような
特訓メニューを聞いて一瞬固まった。

「それを全部やったら……
覚醒
、できますか……?」

ギルドでもそこまでやったことない気がする。
そもそも才能があった故か
せずとも済んでいたのかもしれなかった。無情。

「星の練習は、したいですね。
 ぼくがやるとなんか、黒い星ができるんですよ……

 
よし、じゃあ、これからがんばりますっ!


いつでもいい?今でしょ!と
言わんばかりに準備運動が始まったのだった。

ここが死の先だと信じて疑わない。

知らない。

ルヴァにドンマイを送った

"舞台"が見えている

 ニア

少女の白い指先が首の傷を辿る。
自分のした行動をなぞるような仕草に首を傾げた。
ニアは、誰かと同じ行動を選ぶことは少ない。

「──ニア?」

“なにか”に霞む紫を見下ろして、青年は名を呼ぶ。
少女の首から指を離し、頬を辿る。
青年が、いつも──口付けの前にする動作。
少女の瞳が下りたなら、許される合図。

彼女はいつも、言葉で答えを与えてくれないから。

サダル

 少女の小さな唇が、塞がれる。

 
「──馬鹿みたいだ」
 
 

サダル

「……馬鹿みたいだ。吾を幾つだと思っている?
 こんな、年端も行かぬ少女みたいに、キスひとつで」

 恨みごとを放つその間際。
 少女の頬を、熱い、熱い涙がこぼれ落ちる。
 大粒の涙がこぼれ落ちる。

「こんな、甘ったるいラヴストーリーみたいなキスひとつで!」


 →

サダル
(ニアの『ニ』が漢数字の二になってるわよ…!)


「……知ってるわ」

 そっぽを向いて、つんと澄まして。
 いつもの態度を装いながら、慣れないことを口にする。
 ――今なら、ちょっとだけ。素直になってあげてもいい。

「あんたがわたしの味方だってことくらい、とっくに。
 ……寂しがりなのは今、知ったけれど」

 それに、あんたわたしに特別甘すぎると思うわ。
 呆れたようにそう言って、寂しがりは自身の殻を少し破る。

 腕を持ち上げ、タオルに手を伸ばした。
 自分のとよく似た黒髪を拭いてやろうと思って。

(→)

サダル

 逢瀬を交わして、手を繋いで。
 そんな長ったらしい時間は必要ない。
 少女の熱を呼び覚ますのも、
 彼女を人間としての心の形に引き摺り落とすのも。

 たった、キスひとつで十分なのだ。

「──あ、あ……!
 なんでこんなに、切なくて胸が熱くなる?
 吾はまたおかしくなってしまったのか?」

 サダルの胸に顔を押し当てる。

「いや、違う──」

 
だって。だってあなたに恋をしていた。

 
例え造られたものでも、あの気持ちは嘘じゃない!


 →

サダル

 避けられなければ髪を拭いてやる。
 きっとその動きは、拙い。

「わたし、優しくなんてないわ。
 優しいっていうのは、あんたみたいなひとのことを言うのよ」

 ひとり、ぽつんと座っている女の子を気にかけて。
 会議の内容をまとめた資料を作ってやって。
 抱えているものはないかと、話しやすいように呼び出して。

 そういう優しさが大嫌いで、疎ましくて、
 ……けれどたしかに、嬉しかった。嬉しいから、遠ざけた。

「どんな場所でだって、求められるわ。
 ……だから、嫌いなのよ」

サダル

 キファは、確かに一度死んだ。
 この世界の真実が、どのように在ろうとも。

 ……彼女の死生観は、そう定義する。

 あなたはもしかすると、
 悲しみが連鎖する”あの場所ではないどこか”へ、
 辿り着きたかったのかもしれない。

 あなたはいつか二人でこうして真に出会うために、
 一時恋心を売ってでも、逃避行をしたのかもしれない。

 だがこれらは全て仮定であり、
 それはあなたが語らぬ限り、キファは知る由も無いのだろう。


 →

サダル

 ──二人は、最早舞台から降りた。
 これは誰かを感動させる為の演劇じゃない。
 ロミオとジュリエットでも、サロメでもない。

 二人が紡ぐ、二人の為の、物語だ。


 これにて、ヌンキの”はじめの祈り”は、
 真に叶えられたのだろう。

 紆余曲折こそありはしたけれど。
 でも、序破急のない物語なんて退屈だろう?
 神様が、笑った気がした。

 唯、残されたヌンキは──
 それはまた、別のお話。