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人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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【人】 店長の日記

――たまには、いい豆からゆっくり焙煎したコーヒーってのも悪くないな。
香りだけでも気分が上がる。

何も落ち込んでいたわけじゃないけど、少し、ね。
ま、寝れば忘れるさ。
(0) 2021/05/19(Wed) 1:00:00
[嵐と共に帰宅したのは、マンションの最上階。
広いリビングはモデルルームのように家具と観葉植物が配置され(実際モデルルームをそのまま買った)、生活感を感じさせなかった真白なキッチンにも、今は少しずつ食器や調理器具が揃ってきている。
1室は仕事部屋である書斎。1室は本だけの部屋。1室はキングサイズのベッドが置いてある寝室。遊んでる部屋が1部屋と、ゲストルームとしてシングルのベッドと家具が置かれた部屋が1部屋。
ゲストルームは、今は嵐の荷物を置いてもらうのに使っている。
夜寝る時は、一緒に寝ようと我儘を言うけれど。

何時もより大きな荷物。
持たせてくれたそれをゲストルームに置いて。
彼女が荷解きをする間、自分はキッチンへ。

タルトの箱を開けたら、忍ばせてくれた紅茶に気付いた。
紅茶の淹れ方は教えてもらったけれど、自分の紅茶は少し味が落ちる。
それでも今日は、ウォーターサーバーからお湯を出して、湧かし直すと、手ずから紅茶を淹れた。
嵐の荷解きが終わる頃には、タルトと紅茶の用意が出来ただろう。]

[タルトは綺麗なサクランボが載っていて。
見目も美しい。
さして大きく無いから、食べるのも一瞬だろう。
嵐が食べる姿を見詰めながら、自分は少し考える。]


今日。俺が不機嫌だった話し。

誤解しないで欲しいけど、嵐は何も悪く無いんだ。
ただ俺が…………
その……

嵐が。
他の男に、そう言う目で見られんのが。
たまらなく嫌だっただけ。

ただの嫉妬だ。
ごめん。
それで嵐を不安にさせた。


[言葉にすると本当に情けない。
それなのに口にすると胸の奥の仄暗いムカつきが再燃する。]

本当。自分でも驚くくらい心が狭くて。
正直こんな姿見せて、愛想尽かされたらとか考えると、すげー怖いんだけど。

織戸さんにも、言ってもらえないと気付かないって教えて貰って、まあ、その。
……正直に、話しました。


呆れる?


[多分俺は、本当に不安で、きっと情けない顔をしていた。
笑い話に出来る程度なら良かったのに。
制御出来ない感情は、どんどん自分を蝕んでいく。**]



 ……早く逢いたかったから。


[人目のないところで身体を折って、おでこ同士をこつんと合わせる。]

[不意に落とされた影、近づいた距離に眼を瞬かせ、息を呑んで。]


 ……それは、私も、です。


[気恥ずかしくも、ふわり、と微笑む。]


[後ろから包むと、彼女の小ささや華奢さを改めて意識する。
ちょいちょいと頬をつついたら、此方を振り返ってくれるだろうか。

一日働いた後まだシャワーも浴びていない。
臭いと言われたらすぐ離れるつもりだけれど。]

 紫亜、

[食事前に「味見」がしたい。
唇が渇きを訴えた。*]

[海色のリボンを首に巻いたカワウソのキーホルダーから
つながっている鍵の出番は、今日はお預けだ。

最初訪れたときは、マンションの最上階にまず驚いた。
しかも本当に人が住んでるのか疑問なくらいスッキリしていて
(書斎と本の部屋を見せてもらって、ちょっと安心した)
改めて生活スタイルや収入などに違いを感じながらも。
この広さならハウスキーピングを頼むのも納得だし、
広くて真白なキッチンには思わずわくわくしてしまったり。

そして、最近少しずつ着替えなどの私物が増えつつある
ゲストルームに荷物をおさめてリビングへ戻れば、
キッチンからいい香りが漂ってきた。]

  あれ、この紅茶いつもと違う?

[ティーセットが増えたキッチンで私も
ルフナの香りと、ミルクティーの淹れ方を覚えたけれど。
今日の紅茶の香りは、どちらとも違っていて。
麦くんのサービスの和紅茶だと知れば、興味深々に
タルトと紅茶の前に腰を落ち付けた。]

[まずは台形型のタルトを一口。
ゼリー寄せでも食べた大人の味のするチェリーも
ディプロマットクリームに乗っかるとまた違った味わいで。
ふわりと広がる甘さの後にくるキルシュの風味に頬が緩む。]

  美味しい……ほんと麦くんのタルト外れがないなぁ。
  ほうじ茶のレアチーズは味見させてもらえたけど
  あーこれバナナタルトも食べたかったかも。

[深夜にこれは罪深すぎる味ではないだろうか。
今更だけど、閉店後に賄いを作っていた横で
何やら準備してた試作の仕込みも気になってくる。
あれはおそらく野菜を使ったデザートだろうか。
また今度味見させてもらえるかな。

嬉々として賄いを頬張ってくれた顔を思い浮かべながら
洗い物まで請け負ってくれた後輩店員に感謝と期待を。]

[和紅茶は、渋味やクセが少なくて飲みやすいイメージだけど
市場への流通はあまり多くはないそうで。
タルトと交互にゆっくりと味わいながら、
ふと蓮司さんと目が合えば、紅茶も美味しいです、と
目を細めて淹れてくれた感謝を伝えたけど。

やっぱり、蓮司さんはまだどこか思い悩んでる様子で。
考え込む姿に、黙って待つこと少し。
訥々と語られだした話に、静かに耳を傾けて。
だんだんとまた不機嫌な顔になっていく蓮司さんに
目を丸くした。]

  ……なんだ。
  あ、いえ、なんだって呆れたわけじゃなくて、
  怒らせたんじゃないのわかって安堵したって意味で
  だから……よかった。

[呆れてません、と首を横に振って。
へへ、と気落ちしてる彼の顔を覗きこんではにかんだ。]


  愛想尽かすとかないし、ていうかむしろ……その、
  そんな風に心配されたり嫉妬されることなかったから
  なんだか普通の女の子になったみたいで
  ちょっと嬉しいです。
  そっかぁ……嫉妬してくれたんだ。そっか。

[両方、と言ってたことにも納得する。
束縛されたいか聞かれたら、答えはたぶんNOだけど。
私のことで蓮司さんが一喜一憂してくれてることが
素直に嬉しくて、ちょっと浮かれてしまう。

今の顔はきっと、タルトを食べた時より緩んでる。]

[そんなに心が狭いとは思わないし。
そんな言うほど悪い姿でもなければ、むしろかわいらしい
なんて言うと拗ねられそうな気がするので黙っておくけど。
怖いと思いながらも、言ってくれたことは伝わってくるし。]

  実をいうと……私も、
  蓮司さんのことでちょっと嫉妬したこと、ありますし。

[ほんの少し覚えがないわけではないので。
罰が悪い顔で目を逸らしながら、ぽつりと呟いた。*]

[紅茶の香が違うと言う嵐に。]


和紅茶だって。紅ほまれ。だったかな。
フラウアさん毎回言い間違えるから、もしかしたらお芋の名前を言ってるかも。


[笑いながら一緒にテーブルに座って。
食べる姿をじっと見てた。
自分の中にある重く苦しい心を。
吐露したのは、彼女がタルトを食べた後。
丸い目をした彼女の表情が、嫌悪に歪むのが怖かった。
でも実際に訪れたのは、はにかんだ微笑みで。
覗き込んでくれた彼女の瞳に、はたはたと目が瞬く。]

あ……


[自分の手が、小さく震えてるのが分かって。
酷く緊張していたことを知った。]


……りがとう。


[突然心臓が音を取り戻したみたいで。
緩む嵐の表情に、泣きたくなる。
君は何時でも可愛い女の子で。
俺にとってはかけがえの無い人だと。
伝えたかったけれど、肝心の口が動いてくれなくて。
情けない顔のまま、笑みを浮かべた。]

[けれど続く言葉を聞くと、心配そうに。]


俺に……?


教えてくれる?嵐。
貴女にはこんな嫌な思いして欲しくない。
気を付けるよ。


[手を伸ばして。テーブルの向こうの嵐の手を取る。
そっと温もりを与えれば、彼女は話してくれるだろうか。*]


 ……!

[後ろから抱き竦められて、小さく身が跳ねる。
悪戯に頬を突付かれて、むずがるように首を振りゆらしながら半身を向けた。
彼の胸元に肩口を預けて、視線を上げる。]

[接客業だからか、彼はいつも香水などは付けていなかった。
それでも、腕に包まれたなら彼特有の匂いがして、安堵する。

乞うように名前を呼ばれて、そっと眼を伏せた。]


 ……ン、……


[触れ合わせるだけのキスを、一度。二度。
離れる間際に、啄んで。吐息が落ちる。*]

[あまり深くしたら戻れなくなる自信があった。
だから、敢えて音を立てないように気を付けて。
それでも彼女から吐息が漏れたなら、思わず抱き締める腕に力が籠った。

苦しがらせただろうか。
ごめん、と呟く声が掠れている。

そっと腕を解いた。*]

[薄っすらと眼を開いたら、離れていく唇をつい視線が追いかける。
腕の力が強まれば、その腕に手を添えて。

掠れた声には、緩く首を振って小さく笑う。]


 続きは、明日……ね?


[そう言いながらも、解かれた腕を思えば何処か寂しくて。
笑みは苦いものが少し混じっただろう。*]


 ……だよなぁ。

[首が横に振られる。
苦笑して身体も離した。]


 先にシャワってくるわ。
 お茶は淹れといて貰って良いから。


[最早理性が効かない年頃ではないけれど、一度灯りかけた火を鎮めるには深呼吸だけでは足りないので。
シャツのボタンを外しつつ、シャワールームへと。]





[そして食事はより遅くになってしまった。

彼女がデザートを望むなら先に切るが、そうでなければ自分の食事を待たずにシャワーに行っても構わないと告げる。
起床時間を思えば、早く動いた方が良いだろうから。

彼女がその場にいてもいなくても、まずは淹れて貰った緑茶を一口。
甘くまろやかな飲み口は、毎年通販で取り寄せる静岡の新茶だ。
ほう、と息を吐いて、首をコキコキと鳴らす。

休暇を貰う為とはいえ、数日シフトを詰め過ぎた。
温泉ではしっかり解そう。]

[宇張のおかずはこの時間には本当に罪深い味付けだった。
白飯ならうっかりおかわりをしてしまうところだった。

牛蒡だけではなく蓮根や人参も入っていて食感も楽しい。
この味付けと具材なら、肉は牛小間にしがちだが、選ばれた豚肉も甘辛いタレと絡んで美味だ。
肉で根菜を巻いて咀嚼する。至福。

もう一つの副菜は食感が真逆のとろとろの茄子。
濃い味付けの後のほっとする味に、ごまの風味が効いている。

味噌汁をテイクアウトしなかったのが悔やまれる、と思いながらごちそうさま、とあっという間に平らげた。
おにぎり?食べたのが3つか4つか覚えていない。]

[ほうじ茶レアチーズタルトを半分にする。
濡れ布巾で湿らせた包丁を滑らせれば、生地をあまり崩さずに切ることができる。

上に置かれた甘納豆も仲良く1つずつ置いて、スプーンで分けたチェリーを添える。]

 あ〜絶妙の固さだな……。
 俺、レアチーズはあんまり柔らかくない方が好き。
 ホワイトチョコの控えめな甘さがまた最高……。

 うん、麦にも宇張にも良い土産買ってやろ。

[こちらも手を合わせてごちそうさま。*]

[伸びてきた手に、触れられて。
微かにいつもより低い蓮司さんの温もりに、
どれだけ緊張してたのか今更のように知って。

  私のは……嫌な思いってほどじゃないので、

[取られた手を握り返して、温もりを分けながら。
しどろもどろに。]

  ほんとに、蓮司さんに比べたら
  全然たいしたことないような、もので……

[逸らした視線を、おそるおそる戻せば
心配そうな顔に、う、と小さく唸った。]

[小さく息をついて。]

  …………
  ちょっと前にあった、ランチタイムのことで。
  蓮司さんはいつものカウンターにいたから
  聞こえなかったと思うけど。

  ホールに出た時、テーブル席の女性二人が
  「カウンターの人かっこいい」って話してるの聞こえて。
  まあ、あと……いつもいるよとか、彼女いるのかなとか。

  それだけ、なんですけど。

[その後バックヤードに戻ったアイドルタイム、
笑顔がこわいって指摘したのは、同僚だったか店長だったか。
卯田さんの言うエグさを利用して
敢えての笑顔で冷ややかな対応をすることもあるのだが。

その時は完全に無意識だった。
確かにちょっともやっというか、イラッというか。はい。]


  あー……私も心狭いなぁ。

  あっ、蓮司さんに気を付けてほしいとか、
  お店に来ないでほしいとか、
  全然そういうんじゃないですからね!?

  ただ、私が勝手にもやもやしただけ、で……
  うー…言葉にすると、すごく恥ずかしいな。

[だんだん首の後ろ辺りが熱くなってきて
手を握ったまま、項垂れるように顔を伏せてしまう。]



  ……呆れてます?


[いっそ笑ってくれてもいいんだけど。
緊張して、泣きそうな顔で笑った彼に比べたら、
私のはすごく浅くてちっぽけに思えてしまうから。*]

[名残惜しいのは此方も同じ。
離れていく間際に、つんと袖を引いて少しだけ引き留めて。
彼の頬に掠めるようなキスを送った。]


 はい、いってらっしゃい。
 ご飯も温めておきますね。


[シャワーに向かう彼を見送れば、ちょうどケトルが鳴り始めたので火を止める。
先にシャワーを浴びるなら、もう少し時間が経ってから用意したほうがいいだろう。
少し持て余した時間は、部屋の片付けに費やすことにして。]

[頃合いを見計らって、茶葉を蒸らす。緑茶の温度は低めがいいというから時間を置いてちょうど良かったかもしれない。
同時に賄い用の容器とおにぎりを温める。これは電子レンジの力を借りて簡単に。

レンジから取り出せばいい匂いがした。
程なくしてシャワールームから物音がしたら、彼が戻ってくる合図だろう。
タイミングもちょうどいい。]