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人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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[口の中にタコをむにゅっと押し込んでから思った。
あれ、美味しそうだな?]


あー…


[追いかける。タコを。
座ったまま覗き込んだ、オリーブオイルで濡れた唇へ。
顔を寄せて、
触れてしまう距離のほんの2cmほど手前で一瞬だけ止まった。]


──……


[オリーブと、ガーリックの香り*]

[また痕をつけてくれるらしい嵐に口元は緩んで。
お風呂で寛いでくれている姿を見て、ほっとする。
背中から抱きすくめて、ぎゅっと抱き締める。
邪な考えは、今は横に置いておこう。]


良かった。
今日は少し、無理させたから。


[彼女は知る由も無い事だけれど……
自分は生活圏に人を入れるのが苦手で。
自宅を訪れるのは仕事絡みの人だけで。
こうして一緒に風呂に入るのも、まして合鍵を渡すような人も。
嵐が初めてだと言うことは……
何時か、話す日が来るかもしれない。

公園で彼女の姿を見た日から。
最初から結婚を念頭に置いて行動してること。
何時か彼女も知るだろう。]

[ゆったりとした時間に齎された問。
問われた意味を、少し考えて居たら、更問が来て。]


え? 見たい。


[ノータイムで口から出ていた。]

[突然俯いた嵐に。
え?これ、買ってくれてたりするんだろうか。
織戸さんと話してた買い物ってそれ?と。
色々考えて……

言葉より雄弁に身体が反応してしまいましたが。
密着してるから、嵐にも全部筒抜けで。
睨まれたりとかしたら。]


……だって。見たい。


[素直に欲望を口にして。
お腹の前の手を解いて、ふに。と、柔らかな胸に触れた。*]

弟子入りするもんじゃないでしょー。
おやめなさいよ、行儀わるいし。

[弟子入り志願にはそんなふうに肩すくめ。
 なるやつは勝手になるんだろうけど。]

へーき、まだへーき。

[言いつつ顔は緩みっぱなしだし、酒を飲む手も止まらないし、止めたら止めたで何かに触っていたい。
 酔っていないという奴は酔っているの典型的なパターンだ。
 大丈夫、まだまだ泥酔ではないのだけは、本当。]

あー。

[くれるものはもらおう。
 まだかすかに透明感のある蛸を、口で受け止め――]

……、

[近づいてくる唇と、暗くなる視界。
 は、と正気に返るような時間。
 数秒で詰まる距離。寸前で止まった、躊躇い。
 どうしよう、と迷ったこちらの思考も、一瞬。]

ん。

[アルコールのせいか、それとも胸のうち生まれた、甘い感情の種のせいか。
 止まった唇はこちらから重ねに行った。
 口に物が入っているので、触れた、だけ*]

 あ、そっか……
 
[申し訳無さそうに話す彼に、SASANKAのことを思い出す。
なかなか休みが合わないことは、今までの経験からも分かる通り。
飲食業、しかも夜までやっているとなれば難しい。
少し残念な気持ちはあるけれど、あのお店で働く彼を否定したりはしたくない。
彼の言うお盆休みに淡い期待は抱きつつ、頭を撫でる手にゆっくりと瞬いて微笑みを乗せる。]

 ううん、大丈夫です。
 基依さんがお店を大事にしてることは知ってますから。

[飴を持つ手に力を篭めて、ぐっと握り込む。
夏が訪れるのは一度ではないし、いつかは偶然休みが重なるなんてこともあるかもしれない。
二人だけの手持ち花火でもきっと十分楽しめる。]

[ふんだんに甘さを含んだ飴は、舌の温度に蕩けてなくなっていく。
店主さんに揶揄われて、りんご飴のように頬を染めて俯いた。

飴にコーティングされたりんごが覗いて、歯を立てる。
しゃくりと小気味いい音がなって、甘さで溢れた口内にりんごの酸味が広がっていく。]


 ……おいし、


[甘さも酸味も、恋と同様に食べ尽くした。]

[それから二人で訪れたのは、日帰りの温泉。
温泉地に訪れたのなら楽しむ他はない。
入り口で手を振って別れて、一人女湯へと向かった。

浴場では丁寧に髪と身体を洗って。
彼と付き合ってからは、身体に痕を残されることが多かったけれど、今日ばかりはその痕が無くて良かったと思う。
痕を付け始めたら一つだけでは済まないから、きっと公衆浴場には入れない。

身体中についた泡を洗い流した後、鏡を見て痕一つ残らない身体を見つめる。少しばかり物足りなさを覚えて肩口を撫でた。

お風呂上がりには、また新たな下着を身に着ける。
フロントホックのパールホワイトのブラジャーに、セットの腰元で紐を結ぶタイプのショーツ。いざという時のために下着を多めに持参して良かったと思う。
肌には甘い匂いのするボディミルクを忘れずにつけた。
これは肌触りがいいと褒められた日から、かかしたことはない。

きっと彼の方が先に出て待っているだろう。
余り待たせては悪いから、メイクは湯上がりとあって最低限に留めて。
待ち合わせ場所へと急いだ。*]

[キス魔じゃない。
だって、ずっと前からしたかった。
せいぜいが微酔い程度、酩酊の言い訳なんて効くはずもない。
ただ少し、抑制の箍は緩んでいて、]


    、


[止まったのは一瞬。
こら、って叱って、距離を稼げるかどうかくらいの猶予だけ。
そしてそれは起こらず、]


……ん



……ふは、美味し、


[叶うならタコをもぐもぐする頬に触れ。
もう片手でグラスを手探った。
持ち上げて縁に唇をつける。傾ければキリリとした白ワイン。]


ああ……これ。
好きです。大好き。


[ねー、と首を傾げて覗き込む。
微酔いだけど、アルコールの支配下には居る。]



もっと撫でてください。クッションよりいっぱい。

ジンさん、好きです。


[すき、と繰り返してワイングラスを空けた。*]

[自分にとってSASANKAは運命で、料理は人生で。
そこを尊重してくれて応援してくれる彼女だからこそ、好きになった。

彼女も料理から離れられない自分を好きになってくれたと言っていた。

それでも]

 寂しい、とか。
 もっとこうして、とか。
 そーいうのは、飲み込まないでくれな。

 俺が出来ることには限りがあるけど、出来ないことの「代わり」は最大限叶えたいから。

[人前で抱き締められない分、今は撫でる手に気持ちを込めて。]

[部屋で下着を替えてからはトイレに行っていない。
下着を替えるのは旅館に戻ってからでも良いだろうと思うのは男ゆえの無頓着か。

部屋付きの露天風呂よりも広い温泉は深いところがあって、卯田でも肩までゆっくり浸かることが出来た。
ついゆっくりしそうになって、危ない危ないと後にする。
タオルやドライヤーなどその場で借りられるのがありがたい。

そうして先んじて出た後に向かうのは、途中にすれ違った雑貨屋だ。
個人の財布から出して、包んで貰って。

気に入ってくれるかな、なんて、どきどきしながら待っていた。]

[出て来た彼女は先程よりもメイクが薄い。
それがまたどうにも湯上りの火照った肌と相俟って色気を高めていた。
喉が鳴ったのは無意識で。
駆け寄って寄り添ったのは、他の男を牽制したい独占欲。]

 なー紫亜。
 ちょっとこれ、つけてみてくれる?

[包みを渡す。
周年祭の時にもらったネクタイのお礼がまだだったと言えば受け取って貰えるか。

中身は紫の蝶のチャームが揺れるかんざし。
まとめあげた彼女の髪を彩るものが欲しいなと思ったのと。
会社で髪の毛を上げる時にも使えるかと。

(その場合痕をつけるのを我慢しないといけないというのを失念しているあたりが残念な男である。)
*]

[頭を撫でる手は酷く優しい。
落とされる声も、言葉も、
本当に大事にしてくれていることが伝わるから。

ぽっと胸に温かい火が灯る。
いつからか内に灯る明りは、一つ一つと増えていって。
そのうち胸いっぱいに埋め尽くされそうだ。

掌に甘えるようにすり、と髪を押し付けて双眸を緩める。]

 はい。
 もしあったら、口にします。

 ―――今は十分、幸せですから。

[幸せ過ぎて、怖いくらいだと言って微笑った。]

―― お風呂上がりに ――

[外に出れば既に基依さんの姿があって、すぐに此方の姿を見つけてくれることをくすぐったく思いながらも嬉しく思ってしまう。歩み寄れば彼の手にはお土産の包みがあって。]

 ……私に?
 何だろう……?

[虚を付かれたもののお礼と言われたら断る謂れもなく、包装を解いていく。
包みを開いたらそこには、可愛らしい紫の蝶が揺れていて。]

  わ、  わ
 
[眼を丸くして喜色の色を浮かべ、かんざしと基依さんの顔を交互に見比べた。]

[酔ったらキス魔に、という話をジョークのひとつで聞いた。
 それでも構わないとは思っていたが、かといってこれがアルコールの魔力だけとも思わない。
 好きだと言う想いを受け入れさせてほしいといったのは、俺だ。『次』を約束し続けているのも、俺だ。
 生殺しにし続けるくらいなら断るべきだった。そうでないから、踏み込んだ。]

うまいなら、よかった。

[やわらかい蛸を咀嚼し、飲み込む。
 触れてくる指には、頬を寄せつつ。
 斜めにグラスを傾けて、零さないように飲みきってしまう。]


 
かわいい……!

 付けてみてもいいですか?


[早速と纏めた髪を解いて、緩く髪を巻き直してからかんざしで留める。
鏡がない代わりに結わえた髪を見せるように後ろを向いて、基依さんの方を振り返る。]


 …………どうですか?
 似合います?


[そわそわしながら、彼の感想を待つ。
耳元で紫の蝶がひらひらと舞った。*]  

いーよ、今日はメリィの出番はお休みってことで。

[空いたグラスを置いて手招きして、両腕を広げる。
 腕の中に収まってくれるなら、肩口に頭を置いて抱きしめる。
 頬や髪、手の届くところをあやすように撫でた。

 メリィの名前に疑問を示されたら、あのクッションの名前だと言おう。
 もうここまで来たらクッションに名前が付いていることも笑い話だ*]



  
ちょっと待った、早すぎでしょ!?



[聞こえた返事に、思わず顔を上げて振り返る。
いやまったく考えないで答えたでしょってくらい
返答が早すぎて、怪訝な顔をしかけた時。

腰に当たる蓮司さんの変化に気づいてしまい
かぁ、と首まで染まった。]

  ……えと、ほんとに?

[それでも不信感が拭えなくて。
も一度聞き返せば、駄々っ子のように繰り返される答えに
胸の奥がまたきゅんとしてしまう。

その顔は、ずるい。]


  ……わかりました……今度、
  って ちょっと、蓮司さ…… ぁン っ

[パシャンと湯船が波打って。
ようやく疼きがおさまってきた胸へ触れる悪戯な指先に
咄嗟に手首を掴んでしまう。
上擦った声が反響する恥ずかしさに、慌てて口を閉じた。]

  だめ、です……お湯が汚れちゃうし、
  今からしたら、仕事行けなくなりそうだし……

[一度外れた箍は、まだかなり緩んでいて。
簡単に再熱しそうな気配に、必死に理性を奮い立たせながらも
離れようなんて思えずに密着したまま躊躇っていても
燻りはじめた熱がおさまるわけもなくて。

続きを牽制していた手を離せば、背後へ伸ばし
反応している彼にそっと触れた。]


  ぅ……その…手、だけなら。
  初めてだから、上手くないと思います、けど。

[必死に考えた代替え案は、受け入れられただろうか。
お互いそれで我慢できるか甚だ疑問でもあるけども。


──浴室に響く甘い声と、
朝と呼べる時間をすっかり回ってしまった時計だけが
その顛末を知っている。*]

【人】 店員 ラン

[風呂を出て、火照る肌を冷ましながら着替えれば
いつもの男性物とあまり変わらない私服姿で。
朝食をすっかり食べ損ねたせいで、騒いでいるお腹の虫に
冷蔵庫を物色する。]

  相変わらず何も増えてないなぁ。
  あ、この間の卵とベーコン残ってる。
  たしかとろけるチーズもあったはず……

  蓮司さん、ホットサンド作ったら食べます?

[冷凍庫から、食パンを取り出す。
これも数日前に買ったものだけど、
おそらく蓮司さん一人じゃ食べないだろうと残りを
ラップで包み冷凍保存しておいたのだ。

それでももって最大一ヶ月くらいだが。
最近は三日と開けずに来ているから、消費は余裕だ。]
(15) 2021/05/22(Sat) 23:22:59
美味しいのは、ジンさんと飲んでるからですね。


[こんなに美味しいなら家でも普段から飲みたい、とは思わない。
根のところで、真なる酒好きの紋章は戴けず。
広げられた両腕にすぽんと収まった。]


メリィ?


[首を傾げて、クッションのお名前を聞けば喉を鳴らして笑った。]

メリィちゃんは今日は有給休暇です。
麦の名前を呼んでください。


[先日もこうして抱きしめ、子供をあやすみたいに撫でてくれた。
今日は、
自分からも背中へ腕を回した。

長いから結構届く範囲が広い。
肩甲骨のあたりに手のひらを触れさせ、もう一方は腰のあたり、きゅ、と力を入れて抱き着いた。]


ジンさん。
……もう一回、



  貴方にキスも したいです。


[髪を撫でてくれる手に呼応するように、長い彼の髪に触れ、指先で梳いた*]

[雑貨屋には、色んなアクセサリーがあった。
それでも最初に見た時から目が離せなかった。]

 "蝶"は再生と復活のモチーフなんだって。
 動けないままだった俺の時間を一緒に紡ぎ始めてくれた君に、あげたかった。

[彼女がくれたものは、自分のカラーと自分を表す"うさぎ"。
だから、自分も彼女のカラーと、彼女に似合うモチーフを贈りたかったのだと話す。

まあ尤もらしい御託を並べたが、単純に「これをつけた紫亜は絶対可愛い」というインスピレーションが一番だった。

包みを開けた彼女の反応は上々で、良かったと胸を撫でおろす。]