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人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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  ……わかりました……今度、
  って ちょっと、蓮司さ…… ぁン っ

[パシャンと湯船が波打って。
ようやく疼きがおさまってきた胸へ触れる悪戯な指先に
咄嗟に手首を掴んでしまう。
上擦った声が反響する恥ずかしさに、慌てて口を閉じた。]

  だめ、です……お湯が汚れちゃうし、
  今からしたら、仕事行けなくなりそうだし……

[一度外れた箍は、まだかなり緩んでいて。
簡単に再熱しそうな気配に、必死に理性を奮い立たせながらも
離れようなんて思えずに密着したまま躊躇っていても
燻りはじめた熱がおさまるわけもなくて。

続きを牽制していた手を離せば、背後へ伸ばし
反応している彼にそっと触れた。]


  ぅ……その…手、だけなら。
  初めてだから、上手くないと思います、けど。

[必死に考えた代替え案は、受け入れられただろうか。
お互いそれで我慢できるか甚だ疑問でもあるけども。


──浴室に響く甘い声と、
朝と呼べる時間をすっかり回ってしまった時計だけが
その顛末を知っている。*]

美味しいのは、ジンさんと飲んでるからですね。


[こんなに美味しいなら家でも普段から飲みたい、とは思わない。
根のところで、真なる酒好きの紋章は戴けず。
広げられた両腕にすぽんと収まった。]


メリィ?


[首を傾げて、クッションのお名前を聞けば喉を鳴らして笑った。]

メリィちゃんは今日は有給休暇です。
麦の名前を呼んでください。


[先日もこうして抱きしめ、子供をあやすみたいに撫でてくれた。
今日は、
自分からも背中へ腕を回した。

長いから結構届く範囲が広い。
肩甲骨のあたりに手のひらを触れさせ、もう一方は腰のあたり、きゅ、と力を入れて抱き着いた。]


ジンさん。
……もう一回、



  貴方にキスも したいです。


[髪を撫でてくれる手に呼応するように、長い彼の髪に触れ、指先で梳いた*]

[雑貨屋には、色んなアクセサリーがあった。
それでも最初に見た時から目が離せなかった。]

 "蝶"は再生と復活のモチーフなんだって。
 動けないままだった俺の時間を一緒に紡ぎ始めてくれた君に、あげたかった。

[彼女がくれたものは、自分のカラーと自分を表す"うさぎ"。
だから、自分も彼女のカラーと、彼女に似合うモチーフを贈りたかったのだと話す。

まあ尤もらしい御託を並べたが、単純に「これをつけた紫亜は絶対可愛い」というインスピレーションが一番だった。

包みを開けた彼女の反応は上々で、良かったと胸を撫でおろす。]


 似合う。
 思ったとーり。
 すっっっっげ〜〜〜〜〜〜可愛い。

[自分を可愛く見せるポーズというか、卯田が歓ぶ仕草に精通した彼女が可愛くない筈がない。
かんざしのつけ方を知らなかったらどうしようかと一瞬思ったが、彼女は器用に蝶を頭で遊ばせた。]

 あーーーー見せびらかしたくて贈ったけど、
 想像以上に可愛いから閉じ込めたくなった。

[ハハ、と苦笑する。
旅行は明日もあるけれど、今日彼女がやりたいことがまだあるなら付き合うつもりだった。]

[辺りは薄暮の頃。
夕食にはまだ時間がある。
抱き締めたい気持ちを抑えながら、手を強く握って歩き出した。

さて他に「浴衣デート」でし足りないことは?*]

[悪戯に触れた胸元。
ただお湯の中で恋人の胸に触れてたい。くらいの。
軽い気持ちで触れてたのに、返って来た言葉
急に体が熱くなって、顔に血がのぼる。]


いや。嵐。煽んないで?


[元々ゴム持ってきて無いし、ここでする気は……
って。考えてたら手が伸びてくるし。]



…………っ。も〜〜〜!!!


[それはずるいでしょう。
嵐の顎に手をかけて、振り向かせる。
赤い顔で彼女に口付けた。

──事実として。
その日はちゃんと、彼女を仕事に送り出した。
けれどやはり、身体が心配で。
2日連続で『SASANKA』に食べに行って。
微かに赤い顔をする自分は、アキに揶揄われたりしたかもしれない。*]

そう?
なら、美味しい酒飲むために、また一緒に飲まないと。

[俺もうまい酒を飲みたいし、相手にもそうであってほしい。
 そこに自分と飲むのが条件として加わるなら、何度も酌み交わすほかないではないか。]

あれはねー、うちのペットみたいなものだからね。
ウールのクッションカバーだからメリィ。

[なおメリーさんのひつじは飼い主がメリーなのであって羊はメリーではない。
 酔った勢いでつけた名前に突っ込んではいけないのだ。
 かわいいでしょなんて言いつつ、ふふふと上機嫌に笑う。]

麦。
――麦。

[繰り返し呼んで、呼んで、くしゃくしゃと髪を混ぜる。
 いいこ、と吐息混じりに囁いた。
 長い腕が、こちらの背にも回る。
 ああ、人の温度だ。とくんと心臓の音がする。]

ちょっと待って。

[キスを求められたら、一度制止。
 抱きしめる手を緩めて、グラスを探し。
 空なことに気付いて、水を汲んで飲んだ。]

俺で良ければ。

[軽口めいて笑いながら、眼鏡を外して迎えに行く*]


[彼の話すモチーフの由来を聞いて、言葉に詰まる。

止まったままだった彼の時間を再び動かすことが出来たのが自分であることを、彼自身の口から紡がれて嬉しくない訳がない。

諸手を挙げて褒められることも、全部。
仕草一つに返してくれる反応がくすぐったくも、温かくて。
髪にかけた手を下ろしながら、滲み出る喜色を隠せずに居た。]


 ………嬉しい。
 大事にしますね。


[はにかんで後ろ手に蝶に触れれば、ゆらゆらと踊る。]

[閉じ込められると聞いたなら、首筋を赤く染めながらも。]


 閉じ込められるのは、
……その、嫌じゃないです、

 
その方が、ずっと一緒に居られるし……


 
……嘘、聞かなかったことにしてください。



[口にしてから恥ずかしくなって、顔を覆った。]

[エスコートしてくれる手は力強くて。
その力の強さに応えるように、きゅっと力を込める。
隣を見上げたら、見下ろす瞳と重なって微笑んで。

夕食までまだ時間がありそうだったから。
足湯なら二人で一緒に入れるからと、
ぶらぶらと二人で温泉街の中を散策した。

ようやく見つけた足湯で、浴衣を膝まで持ち上げて足だけを浸す。
借り物の浴衣を濡らさないように気をつけながら。

温かい湯に癒されながら、のんびりと会話を続けている内に、早く二人になりたいな。……なんて気持ちがやっぱり芽生えたから。
少し時間は早いけど、旅館へと足を向けた。*]

はい、次はカレーで飲みますから、忘れないで。


[作ってるところを見たいから、早めに買い物して来なくては。
ヨーグルトを買ってチキンを漬け込んでもいいし、自分用のラッシーも作ろうか。
それに、スパイスカレーと楽しめる氷菓も]

待つ?


[にゅう、と悲しげに眉を下げる。髪はくしゃくしゃ。
ステイ。

グラスに水を注ぐ動作を横目に見ながら、
片手を持ち上げて耳に触った。
すりすりと指の背でなぞる、やっぱりちょっと酔いが回ってきてる。]

貴方でなければだめです。


[眼鏡を外したお顔も素敵です、と言うタイミングがなかった。

二人で座るには狭い一つの椅子を分け合って。
ひやと冷たいチェイサーの甘さ。

恐らく、卵はかなりの固茹でになってしまうらしい*]

[恋人に身に着けるものをあげたい心理というのは、自分がずっとくっついていられない代わりなのだろうか。
心理学には詳しくないけれど。

旅行先の雑貨屋で買ったそれは、将来を約束するものに比べたら頼りない値段だけれど。
いつかそれを贈る時まで、彼女の「大事」の気持ちを占めていて欲しい。]



 聞かなかったことに出来ると思うか?


[小さくてもぜんぶ聞こえた。彼女の気持ち。
薄々感じていたけれど、彼女は「所有されたい」欲求があるのではないか。
それは独占欲の強い男には垂涎ものの餌なのだけれど。

二人で浸かる足湯は気持ち良かったけれど、その足に今度こそ痕をつけたい衝動が高まるばかりだった。]


 
この時間なら、もう布団は敷いてあるな。

 ――帰るぞ。


[行きに比べて下駄の鳴る音が強く響くのは速足の所為。
転ばない様に気を付けながら、元来た道を戻った。
今日行ったその向こうは明日への宿題にして。]

――部屋――

[抱き上げて彼女の下駄を脱がせる。
自分の分を蹴り上げたら、扉に当たってかこんと音を立てた。

夕食は19時だ。
何もしないで待っていると長いけれど、何かをしているとあっという間に過ぎそうな。]


 ……布団、くっつけてあるな。


[綺麗に整えられているそれが乱れたところは、襖で隠してしまえば夕食の配膳時には見えないだろう。
そんなことばかりが頭をよぎる。*]

忘れない忘れない。
久しぶりだな、カレー作るの。

[3種くらいは作りたい。
 ほうれん草と、チキンと。あとはココナッツを効かせたやつにしよう。
 なんてことないやり取りなのにどこか甘やかな雰囲気になるのは、きっと酔いだけのせいじゃない。
 惹かれていく。いつの間にか惹かれていってる。
 好きだと言われたからか、麦の持つ引力なのか、自分があんまりにも絆されやすいのか、おそらくすべて。

 待てに眉下げる様子すら、愛らしく見える。]

ん。

[唇を食むように、キスを重ねる。
 酔うとキス魔になるのはいっそこちらかもしれない。
 水を飲んだばかりの口がもう熱い。
 呼吸のリズムで離れて、もう一度――

 かた、と卵が揺れて、鍋と触れ合った。]

麦。
卵。

[出来損ないの早口言葉みたいに指摘してみたが、手を伸ばして火を止めるには、ここからでは届かない*]

[聞こえてしまった以上、取り消しはできない。
その答えが、是なのか否なのかは分からなかったけど。

それは少し時間差で遅れてやってきた。

足湯を終えて、帰り支度をしている頃に。
聞こえた声はいつもより低くて、強引さがあった。
垣間見えた側面に心臓が跳ねる。

言葉の意味を知らない訳じゃないから、
手を繋いで帰る間も、どきどきと胸が落ち着かなくて。

いつもより少し早いペースに、慣れない下駄を踏み鳴らして後へと続いた。]


 ひゃ、……
 

[部屋に戻れば、急くように抱き上げられて。
咄嗟に支えるように肩口に手を伸ばしてしがみつく。
下駄は早々に脱がされて、彼の脱いだ下駄の音が響く。

夕食にはまだ早いのか、机は来た時のまま。
手のつけられてない茶菓子と水呑が伏せられたままだった。

変わったことといえば、二間の奥に並べられた二組の布団。]


 ………離した方が、いいですか?


[なんて、ちょっと意地悪なことを尋ねながら。
肩口に置いた手を、彼の頬に添えてこつりと額を突き合わせる。*]