151 【身内】狂花監獄BarreNwort3【R18G】
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完全に油断していた男は耳栓をしたままだ。つまり、あなたが何か叫ぼうとしていたところまでは分かってもあなたが行動するまでは意図が分からなかった。
なので何かを投げられた、それが種であると気付いたのはそれなりに近くに飛んできてからで。
「わ、ッと……!」
戦闘経験のない人間にはその場から飛び退くことくらいしかできなかった。
結果、右脚が掠った。
後方に下がりながらその種自体を斬ってしまえれば良かったのだが。
何時もと違う射程、普段使いではない剣でそんな芸当は難しく。
素直に回避に専念した。
「ぅあ゛ッ!
」
飛び退いたのが僅かに遅れたのだろう、右脚に鋭利なトゲによって一筋の赤い線が引かれてそのまま後方に倒れ込む。
しりもちをついたし衝撃で拳銃が手元から遠く滑って行ってしまったがそれを気にしていられる状況でもなかった。
「届くのかよずりィなアイツ!」
座り込んだまま、ずりずりと後退して出口に向かう。普通に痛い。
壁際、男のすぐ横で枝が咲いた。
そちらに一瞬視線が向かい。
また、選ばれた彼へと戻る。完全に傍観者だ。
歌は聞こえている。然し静かだ。
ミズガネ
「っ、大丈夫、じゃなさそうですね!?」
回避に専念し、無事に後方へ下がった後。
投げられたもう片方の先へ視線を向け、座り込んだままの貴方へ駆け寄れば傷口を確認しようとするだろう。
「ミズガネ、傷口を見せて貰っていいですか。
…あと、少しだけ熱いの耐えられます?」
レヴァティはやり返してやる、ということしか考えていなかった。目に見えない風が迫ってもそれを察知することはなく。
「イッ
、な、」
投げつけた形のままの右腕に、風の刃が当たる。
慌てて腕を引っ込めて隠すように。
「い、痛……」
引っ込めた腕は痛い。それを押さえるもう片腕も。胴も。
体を見下ろしたら信じられないくらい血が流れているし。
向かってくる姿も見えるし。
「なっ、なんか〜……」
バラニ看守サマ
あなたの声は聴こえていなかったがあなたが近くに来たのを見れば耳栓を外す。楽しくなる。不思議な感覚だ。
「あァ、えと、傷口? ……うわ綺麗に切れてら。ウケる。
……。……あーと、少しなら余裕。余裕じゃなくても、ま、調子乗った結果の自業自得だし別にいいけど……何すんの?」
あなたの質問の意図が分からないので不思議そうにしている。楽しい気持ちも入り交じり、興味深げだ。
撒き散らされた血を避ける真似はしなかった。
好きにすればいいと言い続けてきた。
それを避ける理由もない。
「…………………………はッ、はは…………ッ」
思わず零した笑い声は、どこか狂気が含まれていて。
「………………あぁ……。………………良くねぇ、な」
弧を描く口元を隠すように手で覆う。
ずっと。ずっと、ずっと。誰かを殺したくて堪らなかった。
この高揚感に身を任せ、
誰でもいいから
と。
ここで動けば、周囲を巻き込むだろう。
……とも理解はしているのだが。
反射的に向かってくる刃を弾こうとして、代わりに右腕に突き刺さる。
痛みで腕を振り回してそれを取り除こうとするが、なかなか抜けることはなく。
動きはニアよりずっと遅く、踵を返し逃げようとする。
「違うッ、なんか……」
"こっち側"は、見ているだけとはあまりに違う。
今歌は聞こえていない。
サルガスはぼんやりと処刑室前の廊下で待機中。
壁越しに見ればちかちかと巡る色彩を遮断できる。
「…… …… …… ……」
それでも、色が見えずとも処刑対象の表情くらいはわかるのだ。
やはり人が死ぬ姿は見たくないなと。
……目を伏せてしまった。
ミズガネ
「簡単な治療ですよ。ちょっとびっくりするかもしれませんが逃げないでくださいね!」
そういって貴方の傷へと手を翳す。次の瞬間、傷口は燃え上がり、けれど傷以外は焼けることなく。
炎は真夏の日差しのような、じりりとした熱を伴いながらその傷を癒していく。
貴方が逃げることが無ければ数秒程で傷口は綺麗に癒えているだろう。
バラニ看守サマ
「びっくりするって何、っ」
傷口から生じるものとして想像もつかなかった炎が上がった瞬間に肩を大きく跳ねさせて驚いたものの、じっと耐え。
その熱が耐えられるものだったこと、数秒後には熱も傷も引いていたことから特に怒ることもなくあなたを見上げて。
「……。先に言っとけよ炎が出るって!びっくりしたわ!
でもま、ドーモ。おかげでもう痛くねェよ」
口元を覆う手を外し、9回拍手。パイプ椅子の音に隠れて、大して聞こえていないだろうが。
限界まで暴言暴言暴言暴言暴言暴言!!!報告書にこれも書いとけ!!!!
「痛ァ!死ぬ!」
まだいける!
ミズガネ
「あっ、つい!火が出るっていうと逃げられちゃったりするので…!」
慌ててごめんなさい!と謝るけれど、もう痛くないと聞けばぱっと笑顔へ。
「どういたしまして、あと、逃げないでくれてありがとうございます!」
| 「ふふ。楽しもう、楽しいんだよ。 。」 気づけばまた男が歌に吞まれている。 ずっと武器を選ぶふりをして背を向けていた。 鼻歌を乗せながら振り向いた。 手に持っているのは銃身の長い、猟銃。笑いながら処刑対象に向かって放つ。一発。 使い方こそ違えなかったが反動でしりもちをついた。 それでもかまわずに次の弾へ、引き金を引く。何度か撃つたびに、銃口はもはや処刑対象の方角にあったかも怪しい。それでも笑い声と鼻歌を交えながら。 (2)1d6回の余分な発砲音がすることだろう。 (31) 2022/06/16(Thu) 0:36:44 |
ニアから逃げる先で、先にシャトに捕まっただろう。
"獣"を直視して、息を飲む音、そして、
「ひッ?、ッあ゛ぁぅ、!」
顔周りから流れた血が、押さえた指の隙間を通り抜けて新たな汚れを生み始める。
さして間を置かずに、壁を作るように獣と自分の間に平らな木を作る。
逃げようとした方向だ。道を自分で塞ぐことになっただろう。
狙いは案外、正確なものだったかもしれない。
こちらへ向かった3発、当たった銃弾が腕や足の肉をいくらか貫いたり吹き飛ばしたりするたびに悲鳴が上がる。
怯えや怖れを含んだ、歌にのまれていないもの。
バラニ看守
「別に、逃げるこたァねェだろ」
あくまでこの男の感想だ。初対面の相手に言われていたのならば逃げていたかもしれないが、数日とはいえ交流もあった相手なので信じていないことはない。完全に信頼しているとも言わないが。
手に持った爆弾を周囲に転がした。まだ、爆破の合図はない。
「……。……わかるなァ」
歌を聴いているからこそ笑いごととしてレヴァティの悲鳴に気楽に共感を示せている。
歌を聴いていなかったらとっくに自分はここにいない。
| >>+42ぐるぐると歌とは違う悲鳴が頭の中にある。それを振り切って鼻歌を歌っていたはずだった。 まだ生きているので、楽しげに追撃をしようとする。 立ち上がり笑顔で被害者に向けて口を開く。 「 」 開いたのに声も歌も出てこない。 楽しいと思わせなければ それならば持っている銃口を向けて行く。 それもゆらゆらとガタガタと前に向けられない。 彼のもとに行かなければ 代わりに笑顔で、被害者に何が起こっているかも構わずにその体の前へと歩いてしゃがもうとするだろう。 その前に流れ弾などに当たって斃れるかもしれないが。 (34) 2022/06/16(Thu) 1:20:22 |
ミズガネ
「はは、だと嬉しいんですけどね」
歌による楽しさ交じりに笑って。やれることはやったから、と貴方から離れれば、処刑の行く末を後方から見守るだろう。
それなりに、近づくことは叶っただろうか。
ある程度近づけば歩みを止め、近くで様子を眺め始める。
早く、殺せ。
悲鳴は嫌いだ。
誰が死のうと構わない。
命乞いも好きじゃない。
小さく吐息を零し、目を細めた。
殺しへの高揚感など、幻だ。
| ルヘナは、他者に何もかも巻き込まれる程には近づいた。その距離でやっと銃口を構えている。 (a15) 2022/06/16(Thu) 1:34:44 |
| (a16) 2022/06/16(Thu) 1:34:52 |
近づくだけの人間に構っていられない。
迫る危機を直視する余裕もない。
……以前ならイヤなことが起こる前に逃げられたから。
イヤな相手はどっかにやれたから。
今はその手段は失われて、どこにも行けない。
逃げられない。
こうなったときの心構えなんか、できていなかった。
「ぃ
っ、ヤ
だァァ
ァ……ッ!」
伸し掛かる体を肘で押しのけて、蹴り飛ばしてやろうと暴れる。
やがてそれは痛みから行う目的のないものに変わるだろうが。
「
………………遊ぼうぜ、
」
男が認識しているのは、歌と悲鳴を紡ぐ者のみ。
それ以外は今、見えていないし聞こえてさえもいない。
強制的に引き上げられた高揚感に喉を震わせ笑うが。
──己の声さえも、上手く聞き取れずにいた。
パチンッ。
軽快な音とともに9つの爆弾は起爆される。
それに誰が巻き込まれようが、巻き込まれまいが。
どうだっていい。誰が傷つこうと構わない。
威力はそう高くもないが、食らえば当たり前に痛みはある。
因みにレヴァティへ向けて転がしたのではなく、あくまで周囲だ。
ほんの一瞬。……歌から逃れるように。
起爆とともに剣──ファルシオンを引き抜き、駆け出す。
反撃を避ける気もなく、ただ対象の
胴へ向けて振るおうと。
シャトがいようと、やはり構う様子もない。
背を向けようとした瞬間聞こえた爆音に全身を揺さぶられた。
これ以上を見るのが憚られて、背を向けようと思っていたのだ。
これ以上を見てしまうのが憚られて、目を背けようと思っていたのだ。
自分が処刑の時に二度目の死を迎えられたのは、これを恐れて
先に殺してもらったからだった
から。
見られて気分のいいものでもないだろうと思ったのだ。
爆音と衝撃を受けた位置はあくまで後方。だから深刻な影響を受けずに済み、周囲の被害状況を確認する程度の余裕は持ち合わせていられた。
飛び上がるシャトを認識し、また、拍手とともに周囲に(5)1d6の爆弾を転がした。
| 笑いながらいつ撃とうかと自分をだましてみた。
その結果、爆発なんかには巻き込まれるまで気づいていなかった。
歌がかき消され、笑顔が揺さぶられ、足が震え、血や涙が飛び交い、全ての意識が真っ白になった。
前へ倒れるように崩れ落ちる。
ルヘナは助からない。 (37) 2022/06/16(Thu) 2:08:13 |
| ルヘナは、今は何も聞こえないから、どんな感情もない。 (a23) 2022/06/16(Thu) 2:21:53 |
胴へ振るった剣は、直前でその動きを止めた。
「…………やめた
」
歌が聞こえない今は、少しだけ冷静になれる。
だからきっと、対象の表情も、動きも。
何もかもを見ていたはずだ。
そうしてまた、周囲に爆弾を転がして。
──パチンッ。
耳が良ければ銃声を聞く爆音に紛れて聞き取りづらい可能性もあるが、銃声を聞いたものもいるだろう。
爆弾に紛れて聞き取りづらい可能性もあるが、銃声を聞いたものもいるだろう。(テイク2)
手にしていた銃を素早く仕舞い、両手を上げた。剣は床に落ちている。
看守の兄さん
「…………あ?巻き込まれたくれぇでピーピー叫ぶなよ。
俺は猶予をやったはずだぜ……??」
避けなかったのはお前だとばかりの発言。
「俺の能力も教えてやってて、知ってんのにさ。
…………可哀想に」
ケラケラと笑う男は、とてもとても楽しげだ。
あまりの被害甚大さに恐れるべきか呆れるべきか笑うべきかも分からない。
変な汗が滲んでいるのを感じる。指先の震えも気のせいではない。
「……
処刑、じゃ
」
「
」
これじゃあまるで戦争、あるいは、
暴動
じゃないか。
誰が扇動したかも分からない有様に、誰もが扇動されたかのような惨状に、変な笑いが込み上げてくる。
かつて自分が生み出した光景の一端はこれに近かったのではないか?と要らない想像力が働いている。
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