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【見】 郵便切手 フラン【バー:アマラント】 ここ数日、毎夜のように配達員は仕事終わりにバーに現れる。 目的があるかなんてわからないし、 ありもしないかもしれないが。 「……今日も、開いてない」 提げられたままの『CLOSED』のプレート。 職場にアマラント宛の荷物が受取人不在で持ち帰られているのを見た。 だから此処は、先日来たときからこのままなんじゃないかと思ったりして。 店主の意味ありげな笑顔を思い浮かべながら、 青年は幾ら見つめようと裏返る筈のない板をじっと見ていた。 (@2) 2022/08/18(Thu) 11:56:44 |
【人】 冷たい炸薬 ストレガ【街中】 工房に詰めかけるソルジャー人員に上の意向と 仕事の邪魔すんじゃねえの意を伝えてから少し後。 やってられんとばかりに街に繰り出して アイスコーヒーを買い、適当なベンチに腰掛けた。 「はあ〜〜〜〜〜〜…………」 面倒だ、とは零さないが。 ろくでもない予感がずっとある。 なんとも、憂鬱な状況だった。 (12) 2022/08/18(Thu) 12:03:10 |
【人】 piacere ラウラ【マウロの部屋】 >>10 リカルド様 語るリカルド様を見つめながら、ラウラはやはり皆様を羨ましいと思いました。 その言葉はたった一人に告げたのみで、この場では口にしませんが。 「…ツィオ様は、……確かに 軽薄に見えます、が。 それだけでは無いのだと、…見ていて 感じます、から」 幼馴染の貴方達を理解出来るなどと思わない。 それでも見てきたものがある。 菫色は今までだってずっと、貴方達を映してきたのだから。 あっさりと渡された写真立てを片手で受け取り、大切そうに胸に抱いてほんの少しだけ微笑む。 それは いつものように 作られたものではなくて、ラウラ本人の心からの笑み……だったのかもしれない。「…必ず、マウロ様にお返し致します。 ……リカルド様、ありがとう ございます」 続く話の頃にはいつも通りの表情で、けれど実は驚いている。 あの方が自分宛に何かを残すのだろうか、とか。 何が書かれているのか、とか。とにかく気になって。 そろそろ問題ないだろうかと冷やしている手に視線を向け水を止め。 懐から取り出したハンカチで手を拭いて、チラリと貴方を見上げた。 ついで手のひらを見せるのはきっと、もう大丈夫だという女なりの意思表示。 それからサイドテーブル近くに早足で向かい、そこに置かれた便箋に手を伸ばして──ラウラは、動きを止めた。 (13) 2022/08/18(Thu) 12:10:26 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 ふらふらと。 少女は歩く。 コーヒーショップは、仕事にならないから。お休みをもらって。 なんのあてもなく、ただ、周囲を窺って、なにかを探すように。 うつろな表情で、瞳だけをぐるぐると回しながら。 ……歩いている。 (14) 2022/08/18(Thu) 12:39:47 |
ビアンカは、あの日。 「知ってる」 と、笑って。 (a4) 2022/08/18(Thu) 13:23:30 |
【人】 デッドヘッド ヴェネリオ【裏路地】 「―― Dannazione!! あいつ早まってないか。俺にまで連絡がひっきりなしだ」 よれたスーツをだらしなく着こなしながら頭を抱えて路地裏にしゃがみこむ。 酔っぱらいにしか見えないその姿で、何人もの部下からの慌てたような連絡をさばいていた。 勿論甘ったるい個人の選択肢は与えない、この状況に必要なのは統制である。 「ドナートの指事に従え、何があっても絶対だ。 俺から言うことは――」 内部のこびりつきを探している内に空気は塩水がぶっかかったような状況に一変。見つかったのは一欠片の情報と、既に取り戻すことのできないアルバとノッテの深い溝だった。 男の言葉は後にノッテの会議室へと通達はいくだろう。 「裏切者はいたのか、って聞いたな」 「うちにそんな輩は いないよ 」少なくともこれまでには。 (15) 2022/08/18(Thu) 14:29:46 |
ヴェネリオは、知っていたはずだ。 (a5) 2022/08/18(Thu) 14:31:44 |
ヴェネリオは、どうしてお前がと、咲って。 (a6) 2022/08/18(Thu) 14:33:11 |
ヴェネリオは、その夢を酷く否定したくなった。 (a7) 2022/08/18(Thu) 14:33:38 |
ヴェネリオは、手向けの花一つ贈らない。 (a8) 2022/08/18(Thu) 15:03:11 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【マウロの部屋】>>13 ラウラ 思い出の写真は、貴方の胸に。 普段見られないような、柔らかな笑みを垣間見て「あぁ」と頷く。 貴方なら、きっと約束を違わず写真を本人へと渡してくれるだろうことを信じている。 だからそれは、俺やツィオの仕事ではないのだと思う。 「あぁ、もう大丈夫そうだな。ゆっくり読んでくると良い」 手紙の話を切り出せばそう言って、ラウラが手を冷やすのをやめ手紙を読んでいる間、俺は部屋を見物していた。 あまり物が置いてない生活感がない部屋は、それでも煙草のほのかな香りが確かにマウロがここで生活していたことを証明している。 自分の部屋も大差はないが、本当にマウロらしい冷たささえ感じられる部屋だ。 最後にマウロと顔を合わせた時のことを思い出しながら、小さく息を吐いて、スプリングを軽く軋ませベッドに腰掛けた。 「アイツは本当に……人の話を聞かぬやつだ」 いや、本当は聞いていたからこそ、無理せずラウラを動かしたりしていたのだろうが。 それでももっと、俺やツィオを頼ってくれても良かったのにと、そういう思いがどうしても頭を離れない。 (16) 2022/08/18(Thu) 16:36:26 |
【人】 piacere ラウラ【マウロの部屋】 >>16 リカルド様 便箋に書かれているのは、仕事に対するメモ──アドバイスで。 床に転がるいくつかは書き損じたものなのだろうかと察せられる。 どうしてこんなものを?答えは……答え、は。 ──便箋に小さな雫の跡が作られた。 視界が滲む。 「……、っ」 己の感情に理解が追いつかず、口の端から震える吐息が漏れる。 それらが自身が零したものだと言うことさえも、信じられなくて。 近くにいる貴方に気付かれないように、 また 乱れてしまった呼吸を整えるために深く息を吸う。はく と口を動かす様は餌を求める魚のようで、何だか滑稽にも見える。 写真立てを握る力は僅かに強まり、1度落ちた雫は止められない。 顔を歪めることなく落ちていく涙は、本当に女の意思ではないように思えてしまうが……。 ゆっくりと、背が丸くなる。肩が震えることも抑えられない。 それから少しして、カタンッ と音を立てて写真立てがサイドテーブルに置かれた。 女は、……ラウラは──────。 (17) 2022/08/18(Thu) 17:49:34 |
ラウラは、両手で顔を覆う。涙を流すのはいつ以来だろう。 (a9) 2022/08/18(Thu) 17:50:09 |
ラウラは、この気持ちの名前を知らない。…胸が痛い。 (a10) 2022/08/18(Thu) 17:51:26 |
ビアンカは、「またね」と繰り返した。 (a11) 2022/08/18(Thu) 18:02:26 |
【人】 小夜啼鳥 ビアンカかつ、かつ、かつ。 石畳は今日も、リズミカルに音をたてる。 女は今日も、傘を片手に街を歩いていた。 かつ、かつ、かつ。 かつ、かつ かつ 。ときたまよろめいて、こけそうになりながら。 目許を覆い隠すほどの濃いアイシャドウを、燃え盛るすい星のように曳いて。 眸だけは真っ直ぐに、前を見る。 かつ、かつ、かつ。 ビアンカはこの街で、石畳がたてるこの音が好きだった。 それ以外は、みんな嫌いだった。 (18) 2022/08/18(Thu) 18:04:40 |
レヴィアは、今日も鎮魂歌を店で奏でている。 (a12) 2022/08/18(Thu) 18:18:05 |
【人】 狡兎 ツィオ【ラウラを待つ待ち合わせ場所】 どこか慣れない様子で不味そうに煙草を吸いながら、 自分を呼びだした相手を待つ。 女性との待ち合わせで、 予定の時間より、先に着くのは鉄則だ。 ましてや相手がラウラとあっては、 想定していた倍の時間、先に着いている必要がある。 自分は、誰かを待つのが嫌いではない。 その時間だけは間違いなく相手のことだけを考えているから。 その時間は、余計なことを考えなくていいから。 ただそれは。 待ち人が、必ず来る場合に限る話だが。 薄く笑って紫煙を吐き出す。 (――女性と待ち合わせをして、 心が躍らないのは久しぶりだ) (19) 2022/08/18(Thu) 19:03:43 |
【人】 冷たい炸薬 ストレガ>>20 ソニー 「あ゛?」 や、の時点で真っ先に浴びせられたのが そのドスのきいた威圧の声だった。 債務者の何人がこれを聞いた事だろう。 「なんだあんたか……いや余計に悪い、暑苦しい。 帰んな。あたいは休憩じゃなくて休業中なんだ。 クーラーの修理ならここ真っ直ぐいった十字路 右に曲がって300m。腰がほとんど直角の ジジイが店番してる電機屋に行きゃいい」 とりつくしまもない。 頼み事も大方依頼だろうと当たりをつけて、 何度か口説きに現れていた青年をしっし、と手で払っている。 (21) 2022/08/18(Thu) 19:40:44 |
リカルドは、何かを見て、なるほど……と呟く。 (a13) 2022/08/18(Thu) 19:43:55 |
リカルドは、真新しいスタッドピアスを手に取ると―――― (a14) 2022/08/18(Thu) 19:45:47 |
リカルドは、穴のない自分の耳に、―――― ぶすり (a15) 2022/08/18(Thu) 19:46:01 |
リカルドは、血が滴るのも気に留めず、その耳に飾った。 (a16) 2022/08/18(Thu) 19:46:30 |
【人】 花で語るは ソニー>>21 ストレガ ちぇ、とつれない様子に唇を尖らせるも、それでめげた様子はない。 ベンチの背もたれに肘をひっかけ、すっかり居直り状態になってしまった。 「残念ながら違う用事。あと、今日は当面の用聞き。 もうじき頼み事ができそうなんだけど、お姉さんの店は人気なもんだからさ。 予約はできやしないだろうけど、いつくらいから開くのかは聞いてもいいでしょ」 休業中、ということなのだからどっちみち今は請け負ってもらえるものじゃないんだろう。 とはいえやたらにしつこくするつもりでもないのか、内約はなるべく簡潔に。 あんまり追い払われ続けたら、その時は素直に踵を返すかもしれない。 「……ああ、そういえば。あのさ。機構じゃなくて細工物の調整って出来るの? アクセサリーとか、そういうやつ」 (22) 2022/08/18(Thu) 20:56:10 |
レヴィアは、仕事以外の殺しはしない。 (a17) 2022/08/18(Thu) 21:01:46 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【マウロの部屋】>>17 ラウラ 「やはり、君宛ての手紙だったか、ラウラ」 両手で顔を覆い涙を流すあなたに気がついて、呟く。 内容はほとんど読んではいないが、何かのアドバイスのようだったように思う。 死を覚悟していたのか。 単に彼女の実力を向上させようと導くつもりだったのか。 それはこの場で語られるわけもなく、思い量るくらいしか俺には出来ない。 「後者ならアイツは自分の口で言うがな……」 「使え」 ラウラのハンカチは、先程手を拭いて濡れているだろう。 ポケットからハンカチを出し、ずいっと貴方に差し出した。 この場面で泣いている女がどのような気持ちかなんて、流石に言われずとも察することくらいはできる。 ただの上司と部下の関係だったとしても。 やはり。 それ以上に慕っていたのだろうから―――― (23) 2022/08/18(Thu) 21:02:56 |
レヴィアは、殺すことに一切の躊躇はない。 (a18) 2022/08/18(Thu) 21:05:12 |
【人】 冷たい炸薬 ストレガ>>22 ソニー 完全に居直った相手にまたため息が出た。 イタリア人の男は情熱的で〜、などとほざく観光客を 今見掛けたら頭に2、3本ボルトをぶち込みそうだ。 「チッ」 明らかに舌打ち。ジジイに押し付けるつもりだったが そうはいかなくなった為に出たものだろう。 「夏季休業だから長い。最短でも祭が終わってからだね。 その後はあたいの気分次第」 これもまた、なんとも曖昧な返事。 まあ、本業が落ち着いたらなんてのは絶対言えないので 幾分か『一般人』に歩み寄った回答と言えなくもない。 「逆に今すぐだってんなら割り増し料金で やってやらない事もなかったけど、 もうじき頼みごとができそうってんなら無理だろうね」 本日以降は忙しくなるだろう。 生きていれば。 そもそも機械類の修理屋をなんだと思ってるんだ、 そんな視線をあなたにドスドスと刺しながら返答はする。 「ものによる。基本はお断りだ。 そもそもアクセサリーの調整って何を調整すんのさ。 ペンチで鎖でも千切って伸ばせっての?」 (24) 2022/08/18(Thu) 21:21:12 |
コルヴォは、誰かに言った。「せめてあんたは、黙って死んで──」 (a19) 2022/08/18(Thu) 22:16:51 |
コルヴォは、「──先に死んだ連中に挨拶して来な」 いつかの時の事。 (a20) 2022/08/18(Thu) 22:17:15 |
テンゴは、全員馬酔木の鉢植え (a21) 2022/08/18(Thu) 22:52:03 |
テンゴは、馬酔木の鉢植えを、静かにじっと眺めた (a22) 2022/08/18(Thu) 23:23:23 |
ビアンカは、引き金を引いた。 (a23) 2022/08/18(Thu) 23:44:05 |
コルヴォは、生きている人間と死に損ないが嫌いだ。けれど、 (a24) 2022/08/19(Fri) 0:52:02 |
コルヴォは、仕事が増えるのは、好きではない。 (a25) 2022/08/19(Fri) 0:52:10 |
コルヴォは、これが私用の口約束であっても反故にはしないけれど。 (a26) 2022/08/19(Fri) 0:52:26 |
コルヴォは、良い迷惑だから、この口約束が果たされなければ良いと思う。 (a27) 2022/08/19(Fri) 0:52:34 |
【人】 花で語るは ソニー>>24 ストレガ 舌打ちにはさも困ってしまったみたいに萎縮してみせるものの、それも少しのうち。 懲りずに相手に声を掛け続けてきた男は、多少の威嚇じゃ慣れたものになってしまっているのかも。 「そう? じゃあ早い内なら祭りが終わった頃にもう一度探すよ。 ああ……まだもう少し使いそうなんだよね。だから、もうじきってこと。 今話したって困っちゃうかもしれないし、その時にお話するかも」 完全に壊れてしまって今、というわけではないらしい。 何を指しているのか不明瞭な頼み事も、さておき休業中の相手に話すべきじゃない。 今は仕事の話ではなく、世間話に留めておく、それだけ。 「ちょっと細工の細かいやつだからさ。指に合わせてサイズ合わすのが大変かなって。 元買った店がなくなっちゃったから困ってて。もうちょい広げときたいんだよなあ。」 替わってついでの用事の方は、もう少し目処が立っているようだった。 ポケットから取り出した、翡翠の嵌った指輪をコロコロと指先で転がす。 (25) 2022/08/19(Fri) 1:08:35 |
【人】 piacere ラウラ【待ち合わせ場所】 >>19 ツィオ様 待ち合わせ時間よりも前、ゆったりとした足取りで近くまで来れば既に待ち合わせ人はその場で待っていて。 驚きよりも"らしい"のだと、そうした感情が先に湧いてきた。 少しの間だけ、煙草を吸う様子を眺める。 あまり、好んで嗜んでいるようには見えなかった。 それに何だか、浮かない様子にも見える……気がする。 止めた足をまた動かして、 少し足早に。 貴方の元へと向かう。 「…ツィオ様、」 ──お待たせしました。…と言いかけて、1度口を閉じた。 時間としては前なのだから、この言葉は違う気もする。 変わらない表情の中で悩むような時間があるのを、もしかすると理解されてしまうかもしれない。 「………お早いですね。…今日は、時間をお借りします」 女は三つ編みポニーテールに白ブラウス、黒のプリーツスカートというスタイルだ。 変わらないいつも通りのものでも構わないが【街中】のレストランやカフェ、【どこかのバー】等に向かうのであればと、そうした考えで。 勿論、隠し持つ武器もある訳だが。 (26) 2022/08/19(Fri) 1:20:22 |
【人】 冷たい炸薬 ストレガ>>25 ソニー 「なんだか知らないがこっちにも準備ってもんがあるんだ。 後から妙なモン持ち込んで出来ないから他所当たれ、 ってなってもあたいは責任取らないよ」 珈琲を一口、つれない返事。 物がわからなければそれ用の道具も揃えられない。 ストレガは準備が出来ない仕事は面倒だと思っている。 が、世間話だというならそこはそれ。 次いで示された指輪には今度こそ大きなため息をついた。 「……なあ、あたいは彫金師じゃないんだぜ。 指輪職人でもなきゃ、宝石商とも違う。 万力でぶっ潰しながら金鎚かなんかで叩くか、 金属ドリルで穴を削り広げるか、それくらいしかないよ。 じゃなきゃその石だけ取っ払って、デカい台座買ってきて そこに嵌め直すかだ。本当にそいつが惜しいなら、 ちゃんと装飾品を扱うとこに行きな」 (27) 2022/08/19(Fri) 1:33:27 |
【人】 狡兎 ツィオ【待ち合わせ場所】 >>26 ラウラ 襟元を正し、貴方を見る。 「今来たとこだよ。 そりゃね、美人に誘われたらいつだってはせ参じるし、 気分だって高揚して余計なことまで言うもんさ」 嘘と分かる嘘を吐いて言う。 煙草を慣れない手つきで地面に落とし、 踏み消してゴミ箱に入れた。 「いいよ。 俺も丁度、話したいと思ってたとこだったから。 こんな偶然ってあるんだね、俺たちもう付き合っちゃおうか。 なんて、分かってるよ、もう少し楽しい話をしようか。 何かを、聞かせてくれるみたいだし」 言えば、エスコートのように道の先を促す。 行先は、【どこかのバー】だ。 薄暗く、人払いもできるそこなら。 誰にも聞かれないし。誰にも見られない。 何を話しても、何をしたところで ――それを見咎めるやつすらいないから。 (28) 2022/08/19(Fri) 1:39:30 |
【人】 piacere ラウラ【マウロの部屋】 >>23 リカルド様 貴方の言葉に何かを答えようと顔を覆うままに口を開くけれど、喉が震えて上手く言葉を紡げない。 己の中でここまで大きな存在があることに初めて、気付いてしまった。 そう、これはきっと── 喪失感 。女にはまだその名前を理解出来ていないけれど、いつかにも感じたもので……忘れてしまったもの。 一度袖で涙を拭い、差し出されたハンカチを受け取る。 そこで見えた表情はいつも通り ではない だろう。貴方はベッドに腰かけているから、視線はやや下に向かうのだろうか。 であれば 涙は床へとポロポロと零れ落ちて、拭ったはずのそれもあまり意味が無くなってしまった。 ラウラは、知りませんでした。 マウロ様がラウラのために何かを残してくれようとしたこと。 知りませんでした。こんなにも考えてくださっていたこと。 知りませんでした。……マウロ様、ラウラは。…ラウラ は、 「マウロ 様……、………どう、して。 ……どうし て、…ずるい、です…………」 いたい、 くるしい。 かなしい。 置いていかれる事がこんなにも辛いことだと、わたしはまた 理解するのです。 受け取ったハンカチは、直ぐに涙で濡れてしまった。 声を上げることは無いけれど、貴方に迷惑をかけてしまうのではないかと思考するけれど。 どうすればこの涙が止まるのか、本当に分からないのだ。 「……ごめん、なさい………………………」 (29) 2022/08/19(Fri) 2:40:27 |
【人】 ショウダウン ヴィオレッタ【賭博場】 今日も今日とてカジノの門は開く。 祭りの喧噪に負けない歓声と悲鳴の坩堝は今日も盛況のようだ。 であるならば、この勤勉なディーラーが居ない訳もなく。 「いらっしゃいませ、お客様。 本日はどの遊戯になさいますか?」 今日も笑顔で客を出迎える。 (31) 2022/08/19(Fri) 8:41:20 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【マウロの部屋】>>29 ラウラ 「……謝らないで良い」 こんな泣き方をされたことは今までになかった。 女の涙を見たことがないなんてそんな事は言わないし、冷たくして泣かせたことなら何度もあるくらいだが。 それでも、幼馴染を思って泣いている女をどうすればいいかなんて、俺にはわからない。 これがツィオなら、歯の浮くようなセリフを吐いて慰めるのだろうけど。 そんな言葉を操る自分は最早自分ではない。 だから、自分ができることと言えばそんなに多くはなくて、腰掛けていたベッドから立ち上がると貴方に一歩近づいて、手を伸ばした。 子供にやるようにできるだけ優しくその頭をぽんぽんと撫でて、少しだけ思案を重ねて、ゆっくりとその耳元に顔を近づけて―― ―――紡ぐ言葉をその耳に溶かしていく。 (32) 2022/08/19(Fri) 8:53:46 |
コルヴォは、一度、二度、乾いた銃声を路地裏に響かせて。 (a28) 2022/08/19(Fri) 10:34:22 |
コルヴォは、そうしてまた死に損なった。 いつかの時の事。 (a29) 2022/08/19(Fri) 10:34:29 |
コルヴォは、どうしようもない死にたがりだ。 (a30) 2022/08/19(Fri) 10:34:37 |
レヴィアは、血に濡れたリボンを捨てて、新たなリボンを買った。いつもの黒色だった。 (a31) 2022/08/19(Fri) 11:27:23 |
【人】 piacere ラウラ【待ち合わせ場所】 >>28 ツィオ様 今来たとこ、なんてことは嘘に決まっている。 断定するのはいいことでは無いが貴方だから、と。 それを指摘することは勿論、ないのだけれど。 漂う香りに少しだけ目を細めて、ゴミ箱に捨てる流れまでを菫色に映す。 やっぱり何だか、似合わない。そう感じてしまった。 続く言葉には目をぱちぱちと瞬かせた。 「……ツィオ様も、ですか?」 そこはどうやら、予想外だったらしい。 スラスラと紡がれるいつもの言葉よりもそちらに反応して。 返事を考えている間に道を促されたから、黙って頷く。 ▽ (33) 2022/08/19(Fri) 11:49:53 |
【人】 piacere ラウラ【どこかのバー】 >>33 ツィオ様 ここに辿り着くまでに、以前訪れたことのあるとあるバーの存在を思い出して。 叶わなかった"また"に胸が痛くなる。明日が来ることが当たり前だなんて、そんなことあるはずもないと知っていたのに。 少しだけバーの中を見回して特に指定がなければ端の席に向かう。 開いたメニュー表は一般的なものが載せられているのかもしれない。 「…ツィオ様は、どうされますか?」 問いかけながら、女はサザンオレンジsakeを頼むことに決める。 何でも構わないとは言えないが、適当に目に付いたものを選んだ。 伝えたいことを口にするのは、頼んだものが届いてからだろう。 それを貴方に告げる必要は無いのかもしれない。 それでもなんとなく、口にしておくべきだと考えた。 (34) 2022/08/19(Fri) 11:51:09 |
【人】 piacere ラウラ【マウロの部屋】 >>32 リカルド様 涙で濡れていくハンカチを握りしめながら、ゆっくりと頷く。 優しい声だと、そう感じました。 この間も涙は止まらなくて、胸が苦しくて。 締め付けられるような痛みに、悲鳴をあげそうになりました。 泣いたところで何も変わりはしないのに。 忘れてしまった──閉じ込めた感情が溢れて止まらない。 きっかけがあればいつだって零れてしまうような、そんな状態で。 ともすれば、壊れていくことも有り得たことで。 貴方についてここへ来たことは正解だったのだと、いつかに知る。 いつも通りであることが本当に何も問題ないと言える、訳もない。 ベッドの軋む音が僅かに響き、近づいた気配を感じた瞬間。 優しくて、大きな手が己の頭を撫でる。 その感触に強ばっていた体の力が抜けるような心地がして、小さな吐息が零れた。 だから自然と、囁かれる言葉も耳に届いて。 ▽ (35) 2022/08/19(Fri) 13:18:20 |
【人】 piacere ラウラ【マウロの部屋】 >>35 リカルド様 暫くはそうして、泣き続けていたけれど。 落ち着きを少しずつ取り戻し、最後にもう一度目元を拭う。 謝罪はきっと、また謝らなくていいと言われてしまうだけ。 感謝は……今日はずっと、貴方にそれを伝えている気がする。 だから代わりに。 「………お任せ、ください」 今度は言葉にして、真っ直ぐに貴方を見つめた。 泣き腫らした目は情けないものがあるけれど。 託されたものを確かな決意で受け止めたことが伝わるように。 それがきっと、貴方への感謝に繋がるのだから。 (36) 2022/08/19(Fri) 13:21:47 |
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