23:27:30

人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


ほんとは自由に寝てくれてもいいんだけどね。
どこかの誰かさんがふたりで寝たいって言うからねえ。

[冗談言ったところで、ベッドの狭さは変わらない。
 シングルベッドに男二人、それも片方は目を引くほどの長身だ。
 身体は、見られて面白いような出で立ちをしていない。
 ひどく太ったりもしていないが、筋肉質な体つきでもなく、人に見られてもぎりぎり笑われないくらい。]

そーそー。
なんかさ、巣みたいな感じ。
寝るだけの場所、よくない?

[自然に話ができているだろうか。
 どこか噛み合いきらない空気に、苦笑い。]

そーだよ?
あのときは君、小さかったからね。
ほんと今でも信じらんないな、あの子がこうなるの。

[独身貴族の巣穴は、少年には充分であっても、成人には狭い。]

ん……今まで、どうしよっかなって思ってて。
フラウアって呼ぶべきなのか、ちゃんと名前を呼ぶか。

嫌じゃないなら、よかった。

[名前。
 ずっと呼べずにいたそれは、麦の方に落ち着いた。
 話を聞けば、向こうの国で麦の発音が出にくかった結果なのだと知れたから、呼ばれたくて名乗っている名ではないのだろうと、勝手なあたりをつけて。]

[こちらに背が向かないなら、好都合。
 無意識に布団を引かないように内側を向いて、丸まる子供に布団をかけてやろう。
 おやすみと声をかけたら目を閉じてしまうから、麦が眠れたかどうかまでは見守れないが。
 神経の太い(ついでに責任感と自覚の薄い)大人は、残念なことに朝までしっかりよく眠る**]

[頭を抱き込まれる。
唇に触れる皮膚が柔らかくて、思わず癖で強く吸いそうになって慌てて自重した。
これから色んな温泉に入るのだからとここ数週間我慢していたのだ。
ここで台無しにする訳にはいかない。]

 すごい、ぬるぬる、

[こうやって教えてやれば、締め付けが強くなることを知っている。
この「だめ」はだめじゃないやつだ。
指よりも「おく」まで届くものを欲しがって、腰が揺れていることに彼女自身はきっと気づいていない。]

 っ、

[耳を唇が掠めて息を詰めた。
びく、と伸び上がる刀身が彼女の尻にぬめりを伝える。]


 紫亜。
 その……、ゴムが、ない、

[このまま一旦イくか?
と、指のストロークを大きくした。

自分の方は洗い場で一度出してから室内に戻ろうかと。
室内に戻ってまた触りあいをしていたら復活するだろう。

彼女が周期をコントロールする薬を飲んでいれば、と期待する気持ちがないではない。
昂ったこのまま彼女の裡を熱源でぐちゃぐちゃに掻き回したい衝動を紙一重で堪えながら、預けられた身体で尖る箇所を自分の胸板で擦った。*]



  やぁ 言わないでっ……

手管だけではなく、言葉からも責められて羞恥に泣きたくなる。
なのに、身体は素直に彼の指を甘く離さない。ひくひくと蠢いて更に求めてしまって指を奥へ奥へと誘う。
自分の身体なのに、いうことを聞いてくれない。

下肢に伝わる熱が硬さを増して、彼も私を欲しがってくれているのだと気づいたら、緩く髪を撫でつけて耳からこめかみに唇を移して、口付ける。]

  ひ、 ぁんっ 、あっ

[追い立てるような指に上擦った声が零れる。
ぼうっとした頭で彼の言葉を耳にしたら、縋る手を頬に移して彼の両頬を包んだ。]


  おくすり、のんでる、から……っ、
  
なかに、 ほしいっ……



[そう伝えたら、旅行に行く前から用意していたと伝わるだろうか。
こうなることを期待していたと思われても仕方ない。

熱を持つ刀身を刺激するように、腰を揺らして。
しっとりと濡れた頬を包み込みながら、瞳を間近に捉え。ねだるように甘い声で告げながら、ちゅ……と音を立てて、彼の唇を啄んだ。*]

[微かに漏れ出でる声が甘くて。
離したくないと、そんな気持ちだけが膨れ上がる。
合わせた瞳は、まだどこか夢現で。
けれど瞳の奥に何処か熱を湛えて。
返って来た返事と、導かれた手に、熱い吐息を零した。]


……嵐。好きだよ。好きだ。



[耳元で囁きながら、耳朶に、耳の後ろに、口付ける。
耳の後ろ、髪で隠れる辺り。
跡をつけてしまいたい衝動にかられ、小さく吸って、ぺろりと舌で舐めた。]

[胸元に導かれた手は、柔らかな膨らみを、包み込むようにして柔く揉むけれど。
下着越しの感触がどこかもどかしい。]


少し。身体浮かせて?



[囁きながら、後ろ手に手を回して、ブラのホックを外す。
小さく身体が浮いたなら、下着ごと、ルームウェアを頭から脱がせてしまおう。]

[まだ半覚醒の君が、瞬きする間に、脱がせた服は床に落ちて。
見下ろした裸体に、感嘆の息が漏れる。]


……ああ。綺麗だ。
綺麗だよ。嵐。


[微笑みながら口付けて。指先は肢体を辿る。
柔らかな膨らみに直に触れば、まるで吸い付くような手触りに、浮かべた笑みは深まって、唇をそっと離した。

喉元に、鎖骨に、胸元に、口付けて辿って行く。
掌の中の胸からは、速い鼓動が伝わってくる。
片方の手をそっと離すと、代わりに唇で、胸を食んだ。
胸の突起を弄るように、舌で転がして、唇で吸って。
もう片方の胸は、指の腹で優しく擦るように触れて。
彼女の口から漏れる甘やかな音が耳を犯す。
気付けば夢中で、嵐を愛撫していた。*]

[─背はまだじわじわ伸びてるんですよ。
─名前で読んでもらえるの、凄く嬉しいです。君、じゃなくて。

ぽつぽつと交わした言葉。おやすみをやりとりして。]



[子供のままの方がよかっただろうか。

早く大きくなりたくて、急いで成長したけれど。
ぐうたらじゃない彼はいつも料理とお店のことを考えている。早く役に立ちたくて努力して。


だけど
小さいままだったらもっと純粋に、ただ愛されたいって求められたんだろうか。

それなのに撫でてくれる手を思い出して、想い浮かべながら、してしまったり。
自己嫌悪を見透かされたかな。

それにきっと、
 ちゃんと温まらなかったから心配させてしまった。]

[夜更け。
目を閉じている顔が綺麗だとか、
髪の毛結んでない、長い。触ってみたい。とか。
考えながら眠って起きて、眠って。*

寝たり覚めたり。*

丸めて畳んでしまっておいた手足がぬくくなっていて、背中まで暖かいことに気づいた。
シングルベッドで端っこにいるのに、布団がかかっている。きっと向こう側ははみ出している。
ジンさんが寒くないようにって思って、布団を掴んで内側に寄った。*]




[朝にはもう、少し暑いくらいだった。
寝相が良いなんて、そんなのどうやらただの願望だった。

ぬくぬく。
しがみつくみたいに四肢を絡めて、腕の中に頭を抱き込んで、もう完全に抱き枕扱いで寝ていた。頭頂部にほっぺくっつけて寝ていた。**]

【人】 試用期間 フラウア


[この日の、小麦粉を使わない冷たいスイーツ>>1:27は、
セロリのグラニテと、ズッキーニのジェラートになった。

種をとった緑のキウイとセロリをベースにした、ほんのり甘いお口直しのグラニテ。てっぺんをセロリの葉の素揚げで飾って。

ズッキーニのジェラートはホイップした生クリームとメレンゲでふわふわの、甘さを足さない野菜のアイス。
ラム肉にもスズキにも。それにカボチャの冷製スープに浮かべても美味しいデス。
デザートとして提供するときは、甘ーく作ったミントソースか、ルバーブのジャム(またはその両方)を添えた**]
(0) 2021/05/21(Fri) 13:12:15
[眠っている間のことは、知るはずもない。
 夢もあまり見ないたちだ。眠る前に思うことを、みんな紙の上に吐いてしまうからかもしれない。

 そういえば昨日は日記を書いていない。珍しい日もあるな。
 勢いに任せて寝てしまったせい。書きたいことが山ほどあるはずなのに。
 そんなことを考えながら、ゆるく意識は浮上して――]

――……ええと。

[ぼやける視界と頭の中で最初に考えたのは、これをどうやって起こさずに抜け出そうか、ということだった。
 いや無理だな。無理か。
 寝相がよかったはずのいい感じの棒っこは、しっかりとこちらに枝蔓絡めていた。]

[人肌があたたかくて、ああ寒くなかったならいいなと思うのがその次。
 よく眠れているならいいんだが、このままだと二度寝しそうだ。
 もぞ、と身じろいでみる。
 長い枝の間から、抜けることは叶うだろうか。
 起こしてしまうならそれはそれで仕方ない。
 あの状態から抜けて起きないほど疲れ切って眠っているなら、逆に不安だ。]

ごめんね。
まだ寝てていーよ。

[ひとり残る麦に布団をかけなおして、寝室を出る。
 起きるというならそれはそれで止めないけれど、寝てていいんだよと再度重ねはするだろう。]

[部屋のカーテンを開けて、日光を取り入れ。
 気に入りの食パンを少し厚めにスライスする。
 食パンのグレードは一度上げると落とせない、と誰かが言っているのを聞いた記憶があるが、実感がある。
 ――切ってから、パン職人の息子の朝食がトーストでいいんだろうかとよぎったが、忘れることにした。
 俺がうまいと思ってるんだ、気にするものか。]

どうすっかなー。

[鍋に水を沸かしながら、冷凍されている野菜類を物色する。
 キャベツとほうれん草、小房に分けたブロッコリー。
 前者ふたつを適当に鍋に放り込んで、顆粒のコンソメをひとさじ。
 余っていたハムも刻んで入れてしまおう。
 店のスタッフの手のかけようとはまるで違う、よく言えば家庭料理。
 気楽な朝食づくりは、今日は二人分*]

[そんなことを言われましても。
そのお願いばかりは聞いてやれない。

羞恥と快感で絞られたような高い声は、男をますます煽るばかり。
「恥ずかしい」のが「気持ちいい」んだと教えたのは自分かそれとも前の男か。
従順に覚えた身体はきゅうきゅうと指を締め付けて離さない。

このまま一度、と追い立てようとした頬が固定される。
温泉旅行という性質上、周期をずらす手立てを講じているかもしれないという予想はあたりだった。
勿論、こうなることを期待して、であっても嬉しいが。

真正面から欲しがられて、唇を啄まれたら――――]





[―――――ぷつ、と脳内で響いたのは、理性の糸が切れる音か。

くねる腰を宥めて少し上にずらし、張り詰めた己に宛がうと、ぐっと腰を突き上げた。
初めて直接味わう紫亜の裡。
薄膜越しになど戻れなくなってしまいそうに気持ち悦くて声も出せない。]


 っ、


[紫亜の腰もしっかりと落としてこれ以上ないくらいまで繋がる。
先端が降りて来た子宮を捉えた感触があった。]

[閉ざされた扉をこじ開けるように、何度も突き上げる。
はっ、はっ、と獣じみた荒い息は、激しいピストンにより起こる波に紛れ。

もう彼女の声を抑えなければ、なんてことは全く考えられないまま。
むしろもっと聞かせろと促すように、彼女の頭を抱き寄せて耳孔に舌を差し込んだ。

普段は唇が寂しいといくつもの華を彼女の肌に咲かせたがるが、辛うじてそこまでは飛んでいないらしい。
キスもしたい。

ああでも一番は、彼女の声を聞きながら果てたい。*]

[新事実。
人は、本当に驚くときゃあって悲鳴をあげる。
それからGosh!と叫びながら後ろに転がって、ベッドと壁の隙間に挟まった。
抱き枕状態から抜け出そうとする動きを腕に力こめて阻害して、すりすり頬擦りしてる状態で起きたのだから言い訳無用の現行犯にて。

まだ寝てて良いよと寝床を整えられ、布団を頭から被って死んだ。
大丈夫、傷は浅い、ただの軽い致命傷だ。
昨夜もやもやと考えていた暗い思考ごと吹っ飛んだ。]

[もぞもぞと巣から出てきたのは、小麦の焼ける良い匂いに一本釣りされて。]


おはようございます……ごめんなさい。


[全然寝相良くない、呪われしリビングボッコだった件について。
もしかしてソファで寝た方がマシだったのではと思うけれど。

それはそれとして、鼻を蠢かせた。]


朝のコンソメスープ!

[小麦粉と水と塩だけの硬派なパンも、
甘い美味しいブリオッシュも、
コッペパンに焼きそばとかをねじ込んだ惣菜パンも、
食パンの耳のラスクも。
田舎のパン屋さんちのフラウア君はなんでも好き。ご飯もお蕎麦もトルティーヤも好き。]


ジンさん今日も素敵ですね。
手料理……幸せ……!


[後で、パプリカのグラニテが一晩の冷凍でどうなったか食べてみましょうと誘って、ピカピカの笑顔でトースターを覗き込んだ**]

【人】 試用期間 フラウア

─ パイ生地は世界を平和にすると確信する日 ─


秋のパイ包み、良いデスね。
キノコもお魚も。


[キッシュのお許しが出たから、パートブリゼを仕込んでおこう。
お客様ごとに注文を受けられるよう、一人分ずつの小さな型で。
どのくらい出るかわからないけど、余ったら勿論、賄いにも残り食材の色々キッシュが登場する。
アパレイユは豆乳を使えば安上がりだし。]
(4) 2021/05/21(Fri) 16:04:19

【人】 試用期間 フラウア

[グラニテたち、気に入ってくれましたかとはお店では聞かない。
でも明らかに滲み出す何か。
ぴこぴこと跳ねるように歩いて行って、調理台の角にスネをぶつけた。
それとフロアのテーブル席にも。開店前で良かった。]


あの、ジンさん、次のお休み……
キッチンで飲む日です?

初めてのお給料をいただけるので、俺、それで何か買って行っても良いですか。


[次の約束を、そわそわしながら確認した夜*]
(5) 2021/05/21(Fri) 16:05:18
あっはは。朝から元気だね。

[きゃあでGosh!ときた。咄嗟に出る言葉が横文字なあたりに、彼のルーツを感じる。
 驚いて混乱した子猫のようだなと思いながら、隅に挟まった棒っこに布団をかける。
 頭からかぶって縮こまったのに、またひと笑い。
 彼といると自然と笑ってしまうような、不思議な魅力がある気がした。
 サイドテーブルの眼鏡をかければ、朝がはじまる。]

[卵を割って解きほぐす。オムレツのミルクはたっぷりのほうが好みだから、遠慮しない。
 塩と胡椒を少し。それからシュレッドチーズ。
 パンをトースターに突っ込んだら、フライパンにバターを落とした。
 が、ミルクとチーズが入っているから、使う油が全量バターだと朝には少し重い。
 バターが溶けたころにサラダ油をひと垂らし。卵液を一度に注ぎ込めば、じゅあっと気持ちのいい音がした。]

――おや、おはよ。
何がぁ?

[ごめんなさい、については、謝罪を受けることなど何もないと思っているから肩を竦めてはぐらかした。
 何に対してのことかはわかっていても、抱き枕が安眠に繋がるならそれに越したことはない。]

コンソメスープなんて言うほどたいしたもんじゃないけどね。
適当に野菜にて顆粒スープ溶かしただけよ。

[あとは仕上げに胡椒を挽くくらい。小学生の子供でも出来そうだ。
 面倒見ている卵液のふちが固まりはじめたところで、中身をかき混ぜてとろとろに仕上げる。
 舟形にまとめるのを面倒くさがって、ゆるいスクランブル状態のまま、皿の上。]

あ、そーだ。グラニテ。
あれちょっと使いたかったんだよな。

トマトあったかな、っと。

[野菜室の中の数少ない酒以外のもの。
 赤くて丸いトマトを一つ、細めのくし形に切った。
 オリーブオイルとワインビネガー、塩とドライバジルを片口の小鉢でさっと混ぜたあたりで、トースターが鳴いた。]

んじゃ、朝メシにしよっか。

[朝はしっかり食べておかないと、ランチ後のアイドルまで保たない。
 適当スープを大ぶりのマグに注ぎ、ミルクの甘さのふわりと立った厚切りトーストと、チーズ入りとろとろオムレツ……スクランブルエッグもどきをソファ前のテーブルへ。
 オムレツにはカレースプーンを雑に添えてある。
 それから、冷えたトマトには軽くグラニテを崩して乗せる。
 酸味の強いドレッシングを、その上からくるり。]

味は店レベルのを期待しないよーに。

[手料理、と感動している麦には面映ゆさを隠すようにそう言って笑って、オムレツをスプーンですくうとトーストの上に乗せてかじった*]

んああ、いただきます。


[ソファの前。トーストの匂いを胸いっぱいに嗅いで、厚切りのそれを手で裂いてみる。ふわぁと立つミルクの香。
何もつけずにそのままバクり。]


おいし…セレブの角食……!


[さくさく、ふわふわ。
それからカレースプーンをとって、スクランブルエッグを真似して乗せた。はぐっと食らいついたらすぐになくなってしまう。]


半熟の玉子ってなんか、贅沢感あります。
ジンさんいつも朝はパンと卵ですか?


[スープのマグで指を温めながら、冷製トマトに興味津々。]

すごい、リンゴもサラダ味!


[冷製、氷製?トマトの粗い食感のグラニテが、ぴたりと朝の食卓に合う。パプリカは野菜と果物両方の顔をして。]


ここにマスカルポーネを指の先くらい載せてもいいかも。
チーズ……オムレツ…オムレツ食べよ。


[目分量で半分こを探り、こんもりとスクランブルエッグを取った。
くたくたとキャベツが柔らかいモーニングスープも飲み干して。]


……300万点。

あ、ジンさん出勤。デスよね。
朝はコーヒー飲みますか?俺いれましょうか。洗い物しますか?


[昨夜は自分だけシャワーを浴びさせてもらったから。

泊めてもらったのに何もしていない、手伝いを申し出て、
何だか自分の言葉が面映くて、少し頬に手を当てた*]

【人】 試用期間 フラウア

─ 定休日に向けて ─

[ドルチェの盛り合わせは、常連さんの綺麗な女の子達にも好評をもらった。タルトをミニサイズに小さくしたのが正解。
甘くない野菜のジェラートは、お酒に合ってお腹にたまらないアレンジでカウンターの常連さんに。]


さやくん、美味しくて高くないワインってどういうのかな。


[歳の一番近いバーカウンターの主に聞いて、1000円未満の旨安チリワインを教えてもらった。

初任給は、お世話になった人のために使うものだよ?
とはいえ懐事情も事情だし無理してると思わせたくもない。

おばさんが1回だけ使って以来棚の奥でお茶を挽いてたたこ焼き機を借りて、買い物は小さめのエビやウィンナー、ミニトマト、タコ、マッシュルーム、チーズなどなど。どれもスーパーで安く買える程度の。

その日は、保冷バッグを提げて、ワインボトルを抱え。
昼間から飲む気満々、フード付きパーカーにゆるいカーゴパンツの軽装で*]
(8) 2021/05/21(Fri) 20:36:42
うまいよな、ここの食パン。
麦んちのとは違うだろうけど。

[高い食パンはうまいのだ。
 スーパーの10倍ちかい値段を出しても価値がある。
 半分の陣地が切られた卵の、自分側の方をまた崩し。]

んや? 米のときもあるよ。
休みの日に米炊いて、冷凍して。
凍ったまんま出汁に突っ込んで煮て雑炊にしたり、昆布粥っぽくしたり。
生卵で済ますときもあるけど。

今日はこのパンがあるからパン。

[パンも冷凍できるのは知っているが、保存を考えるよりは食べてしまいたい派。
 オムレツトースト、やはり最高。]

いいね、ミルキーなうまみとトマト合うし。
リコッタでもよさそう。

テキトーにやったけどこのトマトうまいな。

[マスカルポーネの提案には頷く。
 パプリカとリンゴならサラダ方面に持っていってもいいだろうと思ったのは、バッチリハマった。]

あ、一応残してあるから、単品でも食おう。
この様子だとパプリカの部分、問題なさそうだし。

[その点数は言い過ぎだけどな、と笑いつつ、でも朝のざっくり料理にしては100点を出せると自負はある。
 ひと通り食べ終えれば、手を合わせ。]

ん、シャワー浴びてからだけどね。

洗い物してくれんなら助かるな。
コーヒー、マグに半分、濃いめに作って。
朝はカフェオレ派。

[ソリュブルコーヒーを、しかも冷たい牛乳で割る。
 ぬるいカフェオレをのんびり飲む朝を、モーニングルーティンなんてかっこつけた言葉では呼ばないが。]

[コーヒーの瓶の場所と、簡易式の電気ポットの使い方さえ教えれば事足りるか。
 不足があれば教えつつ、楽な朝だなーなんて軽口。]

んじゃ、ほんとに任せていい?

[お言葉に甘えてシャワーを浴びてしまおう。
 着替えを見繕ってバスルーム。クルタを脱ぎ捨て、やがて水音が微かに*]

[今まで付き合った人と身体を重ねても、
ここまで愛してくれた人はいなかった。

何気なく紹介された人と、何気なく付き合って。
それが身体目的だったと知る頃には、いつも別れの兆しがあった。

いくら恥ずかしさを訴えても軽く流されて、好きなように身体を弄られるだけ。
いやだと言えたら良かったけど、断る勇気もなかった。]

[「恥ずかしい」ことが「気持ちいい」ことだと初めて教えてくれたのは基依さんだ。
初めて身体を重ねた夜に、素直に口にしてほしいと言われて。
酷く恥ずかしかったけど、私が言葉にするまで待ってくれた。

ただの性行為が、
自らの感情を伝えるための行為に変わったのはそれから。

またあの腕に抱かれたくて、ピルを手にしたのも。
可愛いと言ってもらいたくて、新しい下着を身につけるのも。

彼が与えてくれる全てに応えたくて、好かれたくて。
初めてもっと愛されたいなんて欲望が芽生えた。]


 ……あ、  ァッ、んッ


[ぐちゃぐちゃに掻き乱されていた手が離れていったのも束の間、そそり勃った屹立が深く入り込んできて、その衝撃に目眩がする。
思わず逃げたくなるほどの刺激に身を捩ったら、逃さないと言わんばかりに深く穿たれて吐息が乱れた。]

[彼が動く度にちゃぷちゃぷとお湯が波打って。
更に奥へと求められてこれ以上無いくらいに身体が暴かれていく。]


 ぁ、ぁんっ……、ぁッ やっ……


[抑えようとしても声は止めどなく溢れていくばかりで、耳朶を濡れた舌が這えば、ぞくぞくと身体が震えてまた彼自身を甘く締め付けてしまう。
堪えられずにぎゅっと目を閉じたら、目尻に溜まった雫が溢れた。

縋り付くように背に腕を伸ばして、肌を擦り寄せる。]

 
  …… きもち、ぃ……、も、だめっ……

 
[教えられたことを熱に浮かされたまま口にして。
滲んだ視界の端に瞳を捉え、限界を訴える。*] 

[吐息混じりの低い声が、弱い耳元を撫でるように掠めて
声にならない息が零れた。
愛おしげに呼ばれるのも、繰り返し囁かれるのも
体が震えるほど嬉しくてふわふわする。]

  ……… 
ひゃ、


[不意に、走った小さな痛みに首を竦め。
舌の這う感触にぞくぞくと脳が痺れて
掌に包まれた胸が、浅く上下した。]

  
ん…… は、い


[請う声に、背中に力を入れて体を浮かせれば
胸元の締めつけが緩んで。
頭を手を抜けていくルームウェアに、不思議そうに瞬き。

ぱち、とようやく微睡から意識が覚醒する。]


  え、ゆめじゃな…… ぁ、下着………

[床に落とされた、シンプルで飾り気のないブラを目で追い
思わず零れたつぶやきに、慌てて口を手で覆った。]

  
……なんでもない、です。


[晒した肉付きが薄い体を、綺麗だと褒めながら触れられて。
今更のように襲ってくる羞恥に目元を染めながら
微笑む蓮司さんの顔が近付いてくれば、
口付けを求めるように覆っていた手を退けてしまう。]


  は…… ぁ、

[口付けひとつで、とろんと目元が緩み。
肌を辿る唇が、やさしく胸を包む掌が
気持ちよさを与えてくれることを知っている体は正直で。
指腹と舌で胸へ落とされていく愛撫に、
弄られた突起が次第に熟れたように赤く染まっていき。
甘い刺激に喘いでしまう口を再び手で覆って、
懸命に息を殺しながら。]


  ン、ぅ……
  っ……れんじ、さ…… あ、あぅ

[体の奥にじわじわと広がっていく熱が、切なさを訴えて
小さく内腿を擦り合わせ。
胸元に顔を埋めている彼を見つめた。*]

[紫亜は外見も内面もともに非常に魅力的な女性だ。
これは彼氏の欲目ではなく、兄のつもりで見ていた時にも彼女に彼氏がいることを信じて疑っていなかった。

初めて抱いた時、彼女は処女ではなかった。
以前から予想できていた筈のことが内心ショックで、何時から自分は処女厨になったんだと呆れたものだ。

だがそれなりの経験を積んできて、「泊まる」意味を分かって頷いたフシがあった割に、いざ抱き合ってみるとどこか遠慮がちなことに気づいた。
まるですべてを委ねていないと此方が機嫌を悪くすると思っているかのような。]

[だから身体を触りながら、「教えてくれ」と言った。

 「恥ずかしい」も、
 「気持ち悦い」も、
 「くすぐったい」も、
 「怖い」も、

 勿論「気持ち悪い」や「痛い」も。

恥ずかしがっている様子が堪らなく可愛いことは口にした。
気持ち悦いことを教えてくれたら「嬉しい」と返してそこをもっと愛した。
くすぐったいのはまだそこで快感を拾う準備段階だと言って、その日は取り置きを宣言した。

怖さを訴えられたら手を繋いでキスをして。
はじめての感覚を拒まないように導いた。]

              
たいせつ

[彼女に対する気持ちは最初からloveだったけれど。
恋を覚えてからますます大切にしたい気持ちが強くなった気がする。

その割に理性を飛ばした挿入はいささか乱暴だったけれど。
奥まで抵抗なくすすんだ慾を彼女の裡は歓待してくれた。
内部の歓喜に怯えが生じたか、上体は逃げるように捩られたが、その「怖い」は受け入れてほしい快感だから、逃がしてやれない。]



 はーっ、は、
 俺も、 きもちぃ、
 
紫亜んナカ、吸い付いてくる
……


[耳元で囁きながら穿つ。
囁く度に搾り取られそうになるから、言葉は呻き交じりになった。]


 良いよ、一緒に……ッ

 ――ココ、に。
 ぜんぶ、出す、から、 っ、


[紫亜の下腹を押す。
内外から快感を生む内壁を挟んで促して。]


 っぅあ……っ


[ぎゅうっと抱き締めた。
腰は勝手に浮いて、上体が反ろうと動いたが、抱き締めた彼女が錨となって、結合が解かれるのは免れた。

せりあがった袋でつくられた胤が間欠泉のように湧き出して、紫亜の胎内を叩く。
避妊具越しでは得られない「満たしている」快感に、喉奥がぐぅ、と獣じみた音を立てた。*]

[瞬きをして、覚醒したらしい嵐に目が細まる。


『何時もこんな夢を見てるの?』


問いかけても良かったけれど、笑みを深めただけだった。
聞いたら否定の言葉が返ってくるのは分かってるけど。
夢の中にも、俺が居れば良いなんて……
チラリと頭を過った俺は、相当嵐に溺れてる。

恥じ入るように染まった目元。
でも顔を寄せれば口付けさせてくれる。
愛おしさに目元が綻ぶ。
緩んだ目元を見詰めて、微笑み合った。]

[夢中で胸元を愛撫していれば、零れる小さな声。
自分の名を呼んだ声に、顔を上げる。
胸元から顔を上げれば、熱の籠った瞳と視線がかち合った。]


なあに? 嵐。


[微笑んで尋ねるのは、意地悪だろうか。
身を伸ばして、口付ける。
手はルームウェアに指をかけて。]


腰を上げられる?



[囁いたら、もう一度下着ごと。
ルームウェアを脱がせてしまおう。
嵐に口付けを贈りながら。*]

朝、雑炊を作ってるジンさん?
わあ、それ。いい、ですね。


[楽しそうに目を細めた。
ほんの最近までは毎朝毎朝パンだったけど、今は、住まわせてもらってる部屋に炊飯器置いてお米食べてます、とか自分の話もした。
居候が台所を占有するのは悪いから、ご飯と納豆だとか漬物だとか。
店に出れば賄いが食べられるのだから朝は粗食でも問題ない。]


なのに今日は朝から栄養バランスばっちり。トーストと卵とスープで100万点ずつ、トマトはプライスレス、です。

コーヒー、マグに半分。
はい。


[一つ、彼の嗜好を知った。嬉しい。]


この世で一番美味しいコーヒーは、自分でやらずに楽して人に淹れてもらったコーヒーだって聞きました。

洗って、拭いて。伏せておきますね。
お任せください。


[水を張った電気ポットと、コーヒーの瓶と、マグ、スプーン。
揃えて並べておいて、
バスルームの水音を聴きながらスポンジを泡立てる。]


……、良い、な。
こんなの。こんな朝……。


[現実じゃないみたいだ。]





[シャワーから出てくるタイミングはまだ知らない。
でも冷めてもレンジで温めればいいや。そろそろかなってところでポットのスイッチを入れた。*]

試用期間 フラウアは、メモを貼った。
(a6) 2021/05/21(Fri) 21:58:01

[基依さんと抱き合う度に身体が作り変えられていく。

「恥ずかしい」と口にしたら「可愛い」と肯定されて、
「気持ちいい」を伝えたら「嬉しい]と返事が返る。
「怖い」も「くすぐったい」も、
躊躇に戸惑った「痛み」や「怖れ」さえ、受け入れられて。

骨の髄までとろとろに溶かされて、彼無しでは居られない身体になっていく。
くすぐったさは快感に変わり、戸惑いを覚えるのに、それが悪いことじゃないと伝えられたなら、その変化が自分でも嫌じゃなかった。]





 
[ 奪われたのは、視線だけじゃなく私の心ごと全部―― ]




 

[耳朶に吐息混じりに囁く声は、羞恥を煽るような言葉を並べる。
その度に、腕の中で小さく身じろいで逃れようとしても繋がった箇所はそれを許さない。]


 ぁ、……やぁっ もぅ……、
 ……イく、…イッちゃう……ッ


[肌は羞恥に赤く染めあがり、がくがくと身体を揺さぶられてどうしようもなく涙が浮かぶ。脳裏はただひたすらに快楽を追って、縋る手に力が篭もり、彼の肌に薄っすらと爪の跡を立てる。]

[絶頂を促す声にこくこくと浅く何度も頷いて。
下腹を押されたら、きゅうと内側が収縮を繰り返す。]


  ……ふ、 ぁ、ッ…… !


[一際深く穿たれたと同時に、びくびくっと身体が痙攣を引き起こす。
ぶわりと胎内に広がった熱さが身体の奥を満たしていく。
跳ねた身体は長い余韻を残して、幾度も身を揺らして。]



 ……、は、ぁ、 



[やがて、くたりと力をなくして彼の肩口に頭を預けた。*]

[断じて、いつもこんな夢ばかり見てるわけじゃない。
と否定したくてもこの状態では説得力皆無すぎる。
たまに見てしまうだけ、なんて
言い訳もさせてもらえないまま。

見つめれば機嫌よく微笑む顔と、目が合って。

  ……いじわる。

[尋ねてくる声に、軽く睨むけど。
でもそんな蓮司さんにもドキドキして体が熱くなってしまう。
やさしくても意地悪でも、好きでどうしようもないことまで
見透かされてる気がして悔しいのに。

近付いてくる顔には、口を覆う手をとって
幾度目かわからないキスを受け入れてしまう。]


  …………ん、

[囁きに、小さく頷き。
角度を変えて、浅く深く、口付けを繰り返しながら
腰に触れる指先に、体を浮かせ。
私も伸ばした手で彼の服の裾をもう一度掴んで、
手探りでたくし上げていく。

下着をずらされた場所が、空気に触れた瞬間ひやりとして。
既に湿っていることに気づけば
恥ずかしさから脱がされた脚を閉じようと身動ぎ。]


  
私ばっかり……じゃ、はずかしいから。


[口付けの隙間を縫って、囁き返した。*]

……何かいいとこあったぁ?

[雑なものぐさをさらけ出しただけなんだが。
 恋は盲目というやつなんだろうか。

 毎朝パン生活、それが普通だと違和感もないよねとか、炊飯器いいねえなんて、麦の話を聞ければうんうんと相槌。
 朝粗食だからよく食べるのか、なんてぼんやり思いつつ。
 賄いは余りのことが多いから、処理してくれるのはありがたい。]

はは、違いない。
じゃあ今日はこの世で一番うまいカフェオレだ。

よろしく。

[洗い物は、普段しているのを見ているから不安はない。
 気楽な気持ちで任せて、シャワータイム。]

[長い髪を洗うのは慣れた。
 ざあざあとシャワーの湯が、肌を、髪を、撫でていく。
 少し熱い温度が、目覚めをどんどん促して、身体を切り替える。
 時間にして15分ほど。
 長くはないが、洗い物とコーヒーの準備にはきっと足りる。]

[髪はタオルドライして、あとはタオルを肩にかけるだけ。
 下着をつけて、ゆるいシャツを着て、リビングに戻る。]

あー、ほんとにやってくれてる。
めっちゃ助かる。

[信じてなかったわけではないが、実際片付けが済んでいると嬉しいものだ。
 濃いコーヒーを牛乳で割る。]

麦はどうする?
一旦家、帰るか?

[これを飲んだら着替えて出勤はするが、開店まではまだ間がある。
 業者が運んできてくれる食材の受け取りなり整頓なりの、俺の仕事しかない時間がやってくるだけ。
 それが終われば、ランチシフトのスタッフの出勤を待つ流れ*]

[紫亜を好きになって、知らない自分を幾つも見つけた。

限界を迎えた時に言葉にしてほしいとねだったのは何度目の性交の折か。
泣くほどの快感の渦の中にあって、それを実行してくれる彼女のいじらしさに胸がときめくと同時、どうしようもなく興奮して。
腕にぴりっとした痛みが走ったが、出所を確かめる余裕はなかった。

放った勢いで漏れた空気が二人の間で泡になって浮かんでくる。
ごぽぽ……と割れる音がそのまま彼女の中で自分が立てている音のように感じた。]


 ……っは、
 大丈夫、か……?


[急激に遠ざかった場所からゆっくりゆっくり戻ってくる感覚がある。

いつの間にか閉じていた目を開いたら、くたりと倒れこむ彼女の頭が見えた。
そっと撫でて意識を確かめる。

浮き出て来た白が身体にまとわりつくのはいくら自分でも気持ちが悪いので、かけ流しに甘えて早く湯舟から出ようと思うけれど。
彼女が飛んでしまっているのなら、戻ってくるまで待とうと頭を撫で続けた。*]

[お湯が沸くまでに急いで着替え。
寝癖がついたままだった。キッチンの水で適当に手櫛。口を濯ぐ。

コーヒーを混ぜ溶かして、拭き上げた食器は片付けやすいように寄せておいて──
そんな一つ一つが胸に迫る。]


はい、濃いコーヒーです。


[マグを手渡しして、湯上がりのジンさんも綺麗ですねといつものをやって。]


帰ります。
今日は少し早めに行くと思い、マス。

あの、パジャマも朝ごはんも、ありがとうございました。


[ごめんなさいは、言っても躱されるだけだからありがとうを。]


    ……また、後で。*

【人】 試用期間 フラウア

─ うさぎの微睡む定休日 ─

[これは自分でも、引くかなって思うんですけど。
ジンさんを感じたい時、よく、ストリートビューでこの街歩いていたので。
覚えています。
ストーカーとかじゃなくて、聖地巡礼みたいな気持ち。デス。]


こんにちは……


[夜に見るのと昼とでは印象が違う。
その家の門を潜るのは、3回目になった]


ジンさん、今日も素敵。です。
(11) 2021/05/21(Fri) 22:55:36

【人】 試用期間 フラウア

タコパセットを。持ってきました。

アヒージョもチーズフォンデュもできます。
おつまみパイ、作ります。
それと俺はどんどん食べちゃうから、焼きおにぎりとおやつも。


[飲む気、と言うよりは食い気満々になってしまうのは仕方ない。*]
(12) 2021/05/21(Fri) 22:59:28
[嵐は良く俺を睨む。
俺の事をいじわるだと言う。
ただ俺は。そう……]


可愛いなぁ。


[睨んで来る嵐の目元をそっと指の甲でなぞろう。
ただ俺は、そう思ってるだけなんだけれど。
受け入れてくれる事に甘えて、今も口付ける。]

[嵐の指が、自分の服を辿る。
服を脱がせてしまえば、身動ぎする嵐に。
足を、太腿を、指先で辿りながら、幾度も口付けを交わせば。
吐息の合間に、囁き声が聞こえてきて。
微笑んで、一度身体を離した。

一糸纏わぬ姿の嵐を見詰めながら、自分も服を脱ぐ。
脱いだ服をベッドの外に落として。
嵐の横に横たわった。]


……嵐。好きだよ。


[瞳を見詰めて、微笑んで。
恥ずかしいと言うなら、自分だって既に起立して痛い程だ。
そっと身体を抱き寄せて、肌を重ねる。
少し汗ばんだ肌が、しっとりと触れ合って。
口付けを交わしながら、指をそっと秘所に沿わせた。]

[潤んだ秘所を、そっとなぞって。指を埋める。
水音が恥ずかしいなら、キスの合間に愛を囁こう。]


好きだよ。嵐。愛してる。


[触れ合った俺の胸の。
鼓動が速い事も、伝わるだろうか?
彼女と触れ合う時、何時も溢れる気持ちは。
少しでも、伝わるだろうか。
指を増やして、中を解して行く合間に。
何度でも愛を囁いて、キスをしよう。*]

[肩口に身を預けて、乱れた呼吸を整える。
しばらくは打ち震える身体にぼうっとして動けなかった。
頭を撫ぜる手に気づいたら、こくりと頷いて。]

 
   ぅん、……
   へい、き……
   

[小さく身じろいでゆっくりと身体を起こしてへにゃりと笑う。
自身から彼を引き抜く際には、ふるりと瞼が震えてあえかな声が零れたけれど、そこは聞かなかったことにして欲しい。
身体を交えた名残が、泡と白濁となって湯船を汚した。]

[これ以上湯船に沈んでいたらのぼせてしまいそうだし、
早くお湯も流してしまわないといけない。

それでも、濡れた髪を撫ぜる手が優しいから。
片時も離れがたく思ってしまう。

喘ぎに渇いた唇が、口寂しさを思い出して。
身体を離す前に、もう一度と、キスをねだった。*]

そか。
んじゃ、また後でね。

…………あのさ。

[いつもの綺麗ですねを半分聞き流して、マグカップに牛乳。
 ぬるいカフェオレは、湯上がりの身体に染み込んでいく。

 帰ると聞いて、うなずいて。
 たっぷり間をあけて、口を開く。]

失望したりしてなきゃ、気長に付き合って。
俺は最低でも君のことは嫌いじゃない。
し、スタッフたちはみんなみんなかわいいと思ってたけど、そうじゃない『好き』を聞いたら、君のことがもっといじらしくて気にかかってる。

単純だろ?
想像以上に流されやすくて軽い男じゃないかと思うよ。

けど、6年を、埋めたいなと思ったのは、ほんとだから。

[何をすれば埋まるのか、わからない。
 こうしてプライベートな時間を明け渡すことくらいしか思いつかない。
 ただ、そのために次を約束したのは間違いないから。
 ここから先に進むのは、『次』のときの役目*]


[意識が確認できたので、彼女をそっと持ち上げて自身を抜く。
そんな声をして聞かなかったことができると思いますか?
名残惜しむように反応した自身が彼女の入り口をつんとつついてしまったのは不可抗力だ。

水中では水圧が邪魔をしてすべては排出されないだろうが、それでも湯に白の凝りが舞う。
それでももう少しだけ余韻に浸りたいと思っていた心を見透かされたのか、それとも彼女も同じ気持ちだったのか。
尖る唇にキスを。
もうグロスは跡形もない。]


 ん……
 すんげー気持ち悦かった、けど……
 はぁ……ナカで出すの、癖になったらどうしよう……


[しみじみ言いながら、紫亜の下腹を撫でた。
そこにたっぷり注いだ白濁は、押すと少し零れてしまうだろうか。
掻き出すのは出てからの方が良いから、それ以上は悪戯をしなかった。]

……
失望できるトコ、ちょっとでもありました?


[長い沈黙。言葉。
真っ直ぐに、正直に返してくれる。
きっと重たすぎる思いなのに。
流されてくれる可能性があるなら、どこまでも押して押し倒したい。]


この6年よりも昨日、昨日よりも今日、もっと貴方が好きです。

だから時間が埋められなくても、
今の俺を受け入れてくれるだけで、嬉しいんです。

……ありがとうございます。


[謝罪は躱されてしまうから、ただ感謝だけ*]

[自分たちの動きで起きた波でそこらじゅうの石床がびしょ濡れだ。
これは抱き上げると滑りそうだと、先に自分が出て彼女に手を貸すことにした。

もう一度身体を洗ったら、選んで貰った浴衣を着よう。
腕は少し彼女の爪の後が残っているが、男湯で男に見られるのはむしろ勲章みたいなものなので見せつけたい。**]

食い気があるの、ありがたい。
余ってもいいようにいろいろ準備したけど、残んないほうが気持ちいいしさ。

[部屋に入れながら、必要なら冷蔵庫を開けよう。
 ついでにハムとチーズを適当に取り出す。]

飲むの、何が好き?
ワインでも日本酒でも、ウイスキーもあるよ。
あと甘いものの用意はあんまり無いんで、ごめんね。

[フルーツくらいしかない。それもいくつかはマリネにしてしまった。]

 ひぁ、……もう、だめっ……!

[隠し事は許されなかった。
情事の名残が尾を引いているから、そんなことをされてしまえばすぐにまた火が着いてしまう。
慌ててそれ以上悪戯されないように制したのは言うまでもない。

代わりにと落とされたキスを受けて、とろりと蕩けた眼が細くなる。]


  ……ン、


[ちゅ、と音を立てて、食んで、啄んで。味わうようにして。]

[幾度も戯れるようなキスをして。
彼の口から出た言葉に、かあ……、と頬を染めたら俯いて、下腹を撫でる手に手を重ねる。
まだ胎内にある彼の名残を感じながら、ほつりと]


  
……私も、癖になりそう……



[瞳は伏したまま、そう呟いた。]

[湯船から上がる時には彼の手を取って、シャワーで身体を洗い流す。

中に残された彼の名残は、恥ずかしいから自分で処理したいと言ったら、またそこで彼と押し問答になっただろうか。
仕方なくこれ以上触れられたら、また身体が火照ってしまいそうだからと羞恥心を堪えて伝えたら、理解してもらえるだろうか。*]

その中なら、なんでも。
飲み会だと酎ハイとかハイボールばっかりだけど俺、もっと強めのをじっくり飲む方が好きかも。

あ、持ち寄りにってワイン持ってきたんです。赤と白。安いけど家飲みするならこれって、さやくんお勧め。


[2本で2000円しないワインボトルを置いて、それから色々少しずつ持ってきた食材達を冷蔵庫に宿借りさせてもらう。]

甘いもの。あっ、チョコ持ってきました。大丈夫。

えとですね、パイ生地だけ作ってきたんです。
それをこう、穴のとこにはめて、好きなもの中に入れて焼きます。パイパーティー。


[家庭用たこ焼き機のコードをコンセントに刺して。
シュウマイの皮くらいに成形したたくさんのパイ生地を保冷バッグの底から見せた。]


とりあえず…一つはハムチーズパイ?
あと、別のとこでプチトマト入れてみます。

焼けるまでに……乾杯させてくれるなら、別のものつまんで、デス?

[睨んでるのに、そんな嬉しそうな顔をしないでほしい。
いつだって、その言葉ひとつ。
触れる指先ひとつで、簡単に絆されてしまうんだから。]


  …………
ン、


[それをねだったのは私なのに。
離れてく唇と温もりに、名残惜しげな声がこぼれてしまう。
さっきまで触れられていた太腿が、そわそわして
落ち着かなさ気に視線を彷徨わせていれば。

同じように裸になった蓮司さんが戻ってきて。]


  はい…… 私も、っ……

[抱き寄せられて重なる肌。
脚にあたった蓮司さんのものが硬くなってるのを知れば、
同じように期待してくれてるのが嬉しくて
目を細めながら口付けを受け入れ。]

  ………、っぁ

[脚の付け根をたどる指に、おずおずと脚を開いた。]


  ぁ、……んんっ

[ほとんど抵抗なく指を受け入れ、
奥から溢れだしては指に絡む淫猥な水音に、頬が染まり。
はずみで、きゅうっと指を締めつけてしまう。

顔を見られるのが恥ずかしくて、首に腕を回し
重なる互いの胸の鼓動の速さに、少しだけ驚きながら
深くキスを交わす、その合間。]

  あっ、ぁ……わたしも、すき……
  れんじ、が……好き、だいすき。

[増えていく骨ばったやさしい指に
ゆっくり内側から撫でられるのが気持ちよくて。
繰り返されるキスと囁かれる声に頭がふわふわして
だんだんと水音が気にならなくなっていく。]

[指の動きは、ほぐすためなのはわかっているけれど。
次第に蜜を溢れさせるもっと深くまで誘うように、
腰が揺れてしまい。]

  は、ぁ もっと……おく、 が……

[たりないです、と切なげに呟いた。*]

あー、炭酸。
用意しときゃよかったね。あんま考えてなかった。
じっくり飲むのが好きなら、僥倖。

[酒、水、氷。あとはアテ。それだけで充分な飲兵衛だ。
 相手への配慮がすっかり欠けていた。]

あ、ほんと?
じゃあそれから開けよ。
有村の勧めなら外れないし。

[あれも若いが、知識が深い。
 俺はあれくらいの歳の頃は酒なんてたいして差がわかってなかったのに
 安ワインでもうまいものはうまい。それを知ってるのは強いなと思う。]

ハムチーズいーねぇ。
生ハムも入れる?

[火が通れば本当に普通のハムになるけど。]

乾杯しよしよ。
チーズに蜂蜜ならすぐ出せる。

[カマンベール、シュロプシャーブルー、クリーミーウォッシュ、パルミジャーノ。
 並べるのは完全に個人の趣味で選ばれたチーズたち。
 小皿にやや結晶化した、花の蜜。]

フィコ・デ・インディアっていって、サボテンの花の蜂蜜。
クセがなくってさっぱりした甘さだから、どのチーズにも合うよ。

アカシアとかの蜂蜜ってちょっと引っかかるみたいな甘さない?
これ、そういうのないから好き。

[あとはチェイサーを入れるのにカラフェとクリスタルグラスをふたつ。ワイングラスもふたつ。
 せっかくのチーズだから赤を開けたいなと、いそいそと手を伸ばす*]

[首に腕を回されて、重なる肌と肌。
お互いの鼓動が速くて、可笑しくなる。
どんどんと嵐に溺れて行く。自分を自覚してる。
彼女が俺を名前で呼んで、頭の芯がくらりとした。
表面に張り付けてた余裕が、根こそぎ剥がれそうになって。
寸での所で踏みとどまる。

大事にしたい。優しくしたい。
ああでも、彼女を貪って、俺を刻み付けたい。]





[囁き声は掠れて重くて、熱を孕んで。
余裕なんて何処にも無かった。]

[それでも何とか、彼女を傷つけないようにと。
指先は丁寧に動かしていたのに……]


…………っ。


[嵐の切ない呟きに、言葉が詰まって。
サイドテーブルを叩くように手をやって、引き出しを漁る。
ゴムの袋を嚙み千切るように開けると身に着けて。
荒い息で喉を鳴らすと、彼女の上に覆いかぶさった。]

もう……



[コツンと額を合わせて。少し息を落ち着ける。
乱暴にはしたくないのに。酷く彼女が欲しい。]


入れるよ。



[掠れた声で囁くと、ゆっくりと彼女の中に身を沈めた。
彼女の強請った奥に届くまで。身を進めて。
全て繋がって一つになった後。
ああ、このまま彼女を酷く揺すってしまいたいと。
足を持ち上げて口付けた自分は、彼女の言う通り意地悪なのかもしれないと、ふと、思った。*]

生ハムのパイ!


[ないし、普通のハムになってしまうのパイ]


黄色いブルーチーズだ。美味しそ。

ああ、確かにアカシアの蜂蜜って流通多いけどクセありますね。
俺はでも蕎麦の蜂蜜も好きです。すごい臭い。すごい臭いチーズと合うやつ。


[サボテンの蜂蜜は初めて見た。
クセがなく何にでも合うと言うことは、製菓業界では難しい。センスが問われる。]


じゃあ白ワインは冷やしておきましょうか。

やった、ジンさんと昼間っから飲み会!乾杯。


[二つずつ並んだグラスに頬が緩む。
目の前にあるのはたこ焼き機だけども]

[赤ワイン。ベリー系の果実味に、チョコの香り。口当たりが軽くて飲みやすい滑らかな味わい。

つまんだチーズに甘さを足す、さらりとした蜜の風味。
ふあああー美味しい!となるけど次々口に入れないように気を逸らして、パイ生地を焼き始める。]


この辺でアヒージョも出来ます。
エビとマッシュルームどっちが──あ、ニンニク買ってない。


[あります?チューブ?
オリーブオイルをたこ焼きのための丸い窪みに注いで、赤ワインをもう一口。*]

シュロプシャーうまいよ。
ブルーっぽいピリッとする感じは弱いけど、香りと旨味と塩気って感じ。

そーなんだよねー。
あのクセのある感じ、主張が強くてなあ。
蕎麦の。一回舐めたことあるけど味忘れたな……アカシアとは別の意味で、クセ強かったって覚えだけある。
クセ系チーズか……ウォッシュのしっかりしたやつとかかね。

[ウォッシュチーズの並びにも、洗いの浅いものを並べたくらいには、あまりクセの強いチーズにも馴染みがない。
 どちらかといえばフレッシュな方が好きなくらい。]

このウォッシュはほとんど白カビと変わんないくらいだけど、中とろっとろになってて酒と合う。

[ナイフを入れれば、ゆるい中身が崩れて見える。]

昼酒は大人の味。
かんぱーい。

[グラス合わせた勢いで、赤を一口。  
 とろけたウォッシュチーズをナイフの先端ですくって、それを銘々皿についと擦り付けてから、箸でつまんでワインをもう一口。

 軽い口当たりと果実味、チーズのクリーミーな塩気、それを包み込む渋みのあるカカオの香り。]

あー、うま。
これいいね。

ん? あるある。
ちょい待ってて。

[大蒜は常備している。
 冷蔵庫の影に吊るしてあるのをひとつ出して、ひと欠け皮を剥いた。]

潰す? 薄く切る? 刻む?

[ついでにペティナイフと小さめのカッティングボード一つ、テーブルに持っていってしまおう。
 なにかに使うかもしれないし*]

ブルーチーズと蜂蜜のパイも作りましょう。この穴で。

とろっとろいいですね。チーズは溶けてなんぼってイメージありマスし。


[ハード系にもお世話になっているけれど。
ナイフの入っていくクリーミーウォッシュの断面を見つめ、見た目だけでご飯が食べられるなって思った。
もとい、断面見るだけでお酒が飲めるな。

お皿につけられたウォッシュチーズのとろとろを箸先で舐める。再度もとい、食べるととってもお酒が進むな。]

んー、刻みます。


[ニンニクを潰してる匂いでご飯が食べられる、違った、酒が飲める。
オリーブオイルにニンニクを入れて、塩、それとマッシュルームも窪みに入る大きさにころんと切って。]


楽しいですね、こうやって自分でアテを作りながら自分で飲むの。
いつも一人でしてたんですか?


[くーっと赤ワインが進む。グラスが空になってお代わり*]

あ、それ最高。
絶対うまいやつだ。

[ブルーチーズと蜂蜜のパイ。その響きだけで味が約束されているのに、目の前にあるのは気に入りの、自分が選んだチーズと蜜。
 期待にグラスの傾きも深くなる。]

そーねぇ。こないだのオムレツも結構チーズ入れたしね。
糸引くとろけるチーズっていいよね。

あれさ、加熱して糸引くか引かないかって、油分の量で決まるらしいね。
だから溶けないチーズもバターとか絡めると溶ける。

[言いつつ、大蒜刻む役は請け負おう。
 はじめはスライス、重ねて細切り、みじん切り。]

[オイルと大蒜が加熱されてくれば、蠱惑的な香り。]

そーよ。いつもひとりで――っても、こんなパーティっぽいことはしないけど。
チーズ並べて生ハム切るか、あとはスパイス擦り込んで肉焼いたり? あとカレー作ったり。

[キッチンドランカーは思い立ったものを作って食べる。昨今のスパイスカレーブームにも乗った。]

[おかわりを要求されれば、瓶の底を持ってグラスに注ぐ。]

ちゃんとチェイサーで薄めなよ?
酒だけ飲んでるとすぐ酔う。

[カラフェに注いだ水は、ポケットに氷を入れて冷やしている。
 チェイサー用のクリスタルグラスも満たしておこう*]

バターとチーズ。悪魔の誘惑です。
あーあのオムレツ最高だった。


[テーブルからはいい香りが立ち込めている。
薄めに重ねたパイ生地は火が通りやすい。そろそろいい色に変わった生ハムとチーズのパイは、可愛らしい丸い形の、たこ焼きサイズ一口おつまみ。ジンさんの皿に乗せた。]


かレーをおつまみに酒ですか?
画面を想像しちゃう。

いつもは一人なら、本当にプライベートな時間を俺にも分けてくれてるんですね。


[口がむずむず。笑みの形になる。]

悪魔だねえ。
だからなるべく食べる量とかは控えるようにしてるんだけど、こう揃うと、無理。

[なんたって今日は酒もあるのだ。最高。
 ひとりよりふたり、話相手もいると酒も進む。]

スパイスカレーで酒、いいよ。
カレーって言っても実質ほら、スパイス煮込みだし。
クミンとコリアンダー効かせて、ほうれん草のペースト作って水分飛ばしながら豚肉煮込んで。

[黄金色の丸いパイに、フォークを突き刺す。
 サクリと小気味良い音がした。
 歯を立てて閉じ込められた旨味を味わおうとし]

あっつ。

[ちょっと性急だった。
 けれど断面からは、よくとろけたチーズが覗く。
 口の中では、もう生じゃないハムの塩気がパイ生地のほの甘い味わいと合わさって。]

うん、うま。

[言葉は少なくとも、追いかけて減るワインの量が雄弁に語る。]

うん? 俺の料理食ってる時点で、相当プライベートよ。
店じゃやらないからね。

[ふ、とこちらの口元も弓なった。
 アルコールは表情筋を勝手に柔らかくする。

 店で料理しないのは、ほぼこだわりに近い。
 雇っているスタッフに全幅の信頼を置いているから、実質自分が作ったようなものだとか御託は並べられるが。
 結局の所、自分に作れない味を出してほしいから、彼らを雇っている。それは目の前の麦も同じ*]

酔うほど飲んだこと、ないんです。
自分の中にモノサシが欲しいから酔ってみたいけど、すぐ、はやだな。


[注がれた水をちょっと舐め。
パイを食べてくれる様子をふんわり笑いながら見た。]

カレー、ああ…
そんなこと言われたら食べたくなっちゃう、デス。


[水分の飛んだ、ほうれん草の旨味たっぷりの豚肉のスパイス煮込み。ご飯がたくさん食べられそう。
プチトマトのパイを引き上げて、熱そうなのでお皿で休んでもらう。]

ふ、嬉しい。
手料理だ。


[切ったチーズを皿に擦り付けるのだって、そう。
店ではやらない提供の仕方。嬉しいんだ。]


マッシュルームのアヒージョも熱そうです。
パン浸して食べ、マス。


[ガサガサとバゲットを出してくる。自分で焼いたものじゃない、買ったやつ。
今日手間をかけたのはパイ生地だけ。冷凍のシートを買ってきてもよかったけど、それだけは。
パイが好きだって彼が言ったから。]



[チェイサーを挟みながらも、ワインは進む。
今度白も出してきましょうか、それとも日本酒?]


はあ、おいし…パイ上手にできてよかった。
加熱したトマトどうして美味しいの……
生でも美味しいのにずるい。


[トマトのパイを食べ。
たこ焼き機ではエビのパイと、ベーコンのアヒージョがゆっくり出番を待つ。
その横には、丸い形のおにぎりが焼かれていた。
焦げ目が付いたら醤油垂らして食べるやつ!**]

はは、かっこいー。
言ってみたいね、酔ったことないって。
ちょい、一回立ってみて。

[平然として見えるけれど、立ったらぐらりなんてことはよくある話。
 まあ、麦のこの様子なら心配はなさそうだが。
 何事もなさそうなら、ありがと座って、と着席を促す。]

今の時点で何でもないなら、まあ充分強いよ。
飲んだことがないから基準がわからない、ってだけだったら、赤一杯も空けられない子はたくさんいるからね。

[おかわりを要求した上チェイサーも舐める程度なら、下手をすれば覚悟を決めるのはこちらかもしれない。
 明日に響かないようにしないとなあ、なんてのは、日が高いうちは考えないようにするけど。]

今日は準備がないからなあ。
『次』かね。

そんときは米でもいいか。

[そうは言うものの、きっと酒も開く。
 米だけでは耐えられない身体になっちゃったのよ、俺は。
 次の約束は、連綿と続く。]

あー、加熱したトマト。
子供の頃そんな好きじゃなかったけど、いつの間にか好きになってたな。
果肉のところが煮えてとろっと崩れるのがいい。

[ハムチーズパイの残りを口に放り込んで、グラスが空いた。
 赤ワインも残り少ない。次を考えるところか、という思考になったのはこちらも同じ。]

アヒージョ食うなら白出すか。
スモークサーモンも出そうか? カマンベールとオリーブ巻いて食おう。

[大蒜の効いたオイルを、さっぱり、きりりと。
 魚の脂を包んで、さらりと。
 有村セレクトと聞いているので、そちらの味が楽しみだ*]

[達した後にも簡単に火が点くように紫亜に教え込んだのは自分だ。
一度抜いてもすぐはいりたくなることを教えてくれたのは紫亜だ。

抜く間際の声にじわりと熱が再び集まりそうになるが、悪戯は止められる。
本気の「駄目」を聞いてやれない男にはなりたくないから、代わりにバードキスで余韻に浸った。
ゆっくりゆっくり、灯りかけた慾が湯と一緒に流れていくまで。

〜〜〜〜だから、そういうことを言わない!!


呻きだけで耐えた自分を褒めて欲しい。
彼女は卯田を翻弄する言動に長けている。]

[指で触らせるのも忍びなく、責任を取って掻き出そうとしたが、それは叶わなかった。
後処理という作業でも、自分の指なら感じてしまうのだという事実を伝えてくれたことが嬉しいからその場は折れる。
でも正直これが夜なら覚悟しておいてほしい、という宣言は忘れずに。

一足先に身体を流して出て、抜け殻を拾って衣類消臭スプレーを噴霧しておく。
荷物から新しい下着を出して履いて。
浴衣の下は肌着がいると聞いていたので白のTシャツを身に着けた。]


 え〜っと、前に伸ばして丈を調節……っつかちょっと短いかやっぱり……
 右を下にして左を被せて腰紐、っと……

[選んで貰った浴衣を着て、帯を身体の横で簡単に蝶結びにする。
初めてにしては中々上手く着られたと思う。

ついでに借りた巾着にスマホと財布を移していると、紫亜もそろそろ上がってくるだろうか。
彼女の方はどんな仕上がりになるか楽しみだ。*]

[一回立ってみてのタイミングできっと冷凍ご飯をレンジに入れた。
カロリーが必要なのだ。もしかすると空腹でアルコールだけ飲むと凄く弱かったりするかもしれない。したことないから基準はわからない。]


ジンさんは酔ったらどうなります?


[首を傾けて聞いてみた。
先日よりずっと力が抜けて、表情筋も解れているのが自分でわかった。
彼はどうだろう、いつもあまり変わらないように見える。飄々と捉え所のない佇まい、懐の深い鷹揚な人。
でも、いじらしくて気にかかってるって肯定的な言葉をくれた。]


『次』はじゃあ、俺パパド焼きマス。
あと、らっきょうの漬物も好きです。


[ご飯食いと酒飲みの折衷案をほろり、ほろり。]

はい、白いきましょう。
スモークサーモンあるんですか?豪華!


[カマンベールは万能選手。
オリーブはオイル漬け状態だとなかなかスイーツ界にはやって来ないけど、好き。]


ワインで焼きおにぎり、これもなかなか。


[ころんとピンポン玉くらいに焼き上がったまん丸おにぎりをはむり。香ばしい醤油の香り。

お勧め白ワインは辛口。スレンダーな酸を感じるけど、滑らかで、後味は意外とボリューミー。サーモンとの相性抜群。
それに杏と、花みたいな香りがする。ゼリー寄せに向いてそうだなと思った*]

[欲に濡れて低くなる声が好き。
掠れながら求めてくれる響きが、好き。
でも丁寧すぎる指先は、彼の熱を知ってしまった体には
ちょっとだけもどかしくて。

  ッ……… 
れんじ?


[離れていく手に、はしたなかったかと不安になり。
下がりそうになった眉は、
彼が手に取ったものを見てすぐに引っ込んで。
その荒々しい仕草に頬が火照った。

覆い被さる彼を見上げれば、呆れたよう落ちた呟き。
いつもと違う余裕のない表情に、胸の奥がきゅんと鳴って。

合わさる額に、目を細めながら両手で彼の頬を包み
首を伸ばしてかすめるように、キスをした。
吐息が絡む距離で、ふふ、としあわせそうに笑いながら。]


  ん───…… 
は、ぁ


[囁きと共に、ゆっくりと彼の熱を受け入れていく。
入ってくるときは、まだ少し苦しいけど
少しすればそれも痺れるような疼きに変わって。]

  
……ふ、ぅ…… 奥まで、はいった…?


[脚の付け根に彼の肌があたるのを感じて
根元まで飲みこめたのを確認すれば、
改めて一つになれた多幸感に長い息を吐き。
体の力がふっと抜けた。]

[ちょうど、その時。]

  ぁ、

[不意に持ち上げられた足に、
僅かに繋がる角度が変わって驚き、彼を締めつけてしまう。
思わず腰が揺れ、奥が擦れてビクっと跳ねた。]

  
ぃ、じわる……、 ッ


[過敏になっている体中の神経が、
彼にふれられる度にざわめいて、奥から蜜が溢れだし。
彼がふれた場所からぞわぞわと痺れるような熱が広がって
物欲しげに小さく喉が鳴ってしまう。]

[じわじわと内側に籠っていく熱が、目尻に溜まり。
溢れて零れ落ちそうになる瞳で、彼を見上げ。]


  
蓮司、……好き。



[やさしくなくてもいいから、乱暴でもいいから。
もっと欲しくて、彼に欲しがってほしくて
おずおずと太腿を彼に腰にすりつけた。*]

[切れそうになる理性を、幸せそうな笑みが繋いで。
腹の奥から身体が締め付けられる。
普段は呼ばない呼び方で、彼女が俺を呼ぶ。
足を抱えたまま、彼女の下腹をそっとなぞって。]


全部入った。


[俺の形を覚えて、馴染めばいい。
下腹を優しく押しながら、身を乗り出して口付ける。]

[身近で見詰めた嵐の瞳は潤んで。
ああ。俺は彼女が好きだと思い知る。
意地悪と言うには、少し余裕の足りない顔で笑って。]


俺も好き。嵐。痛かったら教えて。


[そうして足と腰を微かに持ち上げると、嵐を求めた。
彼女の中は熱く畝って。
最初こそ彼女の性感を導くようにゆるやかに。
けれど次第に荒々しく。
肌に汗が浮かんで、呼気が荒くなる。
彼女の胸に腕を伸ばして、頂きに触れながらキスをする。
俺と同じように乱れれば良い。]

[恥ずかしがり屋の恋人。
今までは優しく、大切に抱いてきたけど……
俺の夢を見てくれる人。口付けで濡れてくれる人。
彼女のもっと乱れる姿が見たい。
もっと俺を求めて欲しい。俺ももっと……
理性なんて飛ぶくらい、彼女を求めたい。]





[腰を打ち付けて名前を呼ぶ。
その綺麗な肢体を抱き寄せて、抱き締める。]





[深い海の中。そこにしか空気が無いかのように、唇を求めて。
何時しか理性も溶けだして、俺は嵐に溺れていった。*]

酔ったら〜〜……?
あんま、人といるときは酔いたくないんだけどねえ。

[言うか。言うまいか。迷うはぐらかし。
 軽く頭を掻いて、でも麦には言っておいたほうがいいか、と腹をくくる。]

こう、だんだん気が緩んでくるっていうか。
ほろ酔いくらいだったら、ふわっふわ笑ってるくらいだけど、だんだんなんか構いたくなってきて……

[それ、と麦が座っている後ろにあるクッションを指差す。
 指してから、まだ残る理性が顔を少し染めた。
 酔っているわけじゃない。
 酔っているわけじゃないから言いづらい。]

……ひとりで飲んでるときは、それと喋ってる。
なんも答えてくんないけど。

[ちなみにメリィという名前がついている。当然勝手につけた。
 麦がメリィを渡してくれるなら、両腕に抱き込んでクッションを撫でているところも見せたろう。
 最近ネットで見かける、撫でるとしっぽを振る猫クッションが実は切実に欲しい。]

パパド? いいねえ。
食感軽いもの好きよ。

[ナンやチャパティでなくパパドが出る辺り、好みを見透かされてるのか偶然か。
 パイが好きだとかいうあたりから、口当たりの軽いものを想定されたんだとしたら――ちょっと恥ずかしい。考えすぎであってほしい。
 らっきょう漬け、言わずもがな。甘酢で酒を飲むのはあまり得意でなくて、箸休めの感覚だが。]

冷凍のだけどね。
ちょっと流水解凍しときゃ食えるでしょ。

[瓶詰めのブラックオリーブは冷蔵庫。
 ああ玉ねぎがないのが残念だ。買っておけばよかった。
 ついでにケッパーもない。ケッパーの瓶詰めはひとりで買ってスモークサーモンだけで処理しきれる量じゃない。
 シンクに深めのバットを置いて、スモークサーモンをパックごと流水に当てる。
 とりあえずはオリーブと白ワインだけ、持って戻ろう。]

醤油の深みも赤と合うよな。あんまり焦がさなきゃ白とも合う。

[言いつつ、いそいそボトルを開ける。
 さっきまで赤かったグラスはチェイサーを注いでくるりと一回し、飲み干して洗う。
 注いだ液色はシャンパンゴールド。]

そういや、麦ってなんで白金が好きなの。

[色から連想したのは、彼の店でのトレードカラー。
 彼は色よりその存在感で、人の記憶に残っていそうだが*]

ああ、…ぁー……
それは、そうデスね、人といる時は。


[気が緩んだらどうなるんだろう。
ふわっふわ。だんだん構いたくなって。想像して、ワイングラスの縁を見つめる。

今日は酔ってくれますかって、聞いたら、直接的な意味になってしまう。]

それ…?


[どれ。と振り向いた。後ろにあるクッション。
これ?]


このクッションとですか?


[持ち上げて、ジンさんに見せる。
そうしたら抱いて撫でてるところをデモしてくれた。
目をまん丸にする。]


……
    ……ン
lovely!!!



[ああ!と両手で顔を覆った。萌え、とはカクノゴトキモノ。]


俺……生まれ変わったらクッションになりたい……

[赤のボトルから後を継いで、注がれる白ワイン、杏みたいな果実味の香り。
エビのアヒージョのエビを突いてひっくり返した。]


……え。


[瞬く。
ジンさんの顔を見て、ワイングラスのシャンパンゴールドへ視線を落とし。その色を見た。]

トレードカラーのことだって知らなくて。
ただ好きな色って聞かれたから……


[白ワインのグラスの、腰のあたりを緩く撫でる。]


その。ジンさんのイメージ?
白くて、でも白よりあったかい。生成りやクリーム色よりはもっと煌めいていて。
──綺麗です。ホワイト・ゴールド。

俺のイメージカラーだったら、何色なんでしょう、ね。
よくわからない。
コーギーのお尻の色?


[つまり小麦の色だ。
注いでもらったばかりのワインを一気に半分くらいまで飲む。
んあ、美味しい*]

[シャワーは二人で交互に浴びて。
途中、呻くような声が聞こえたけれど、それが自らの声が引き起こしたものだとは気づかずに小首を傾けながら。
先に出ていく彼を見送って、後処理をした。

息を詰めて指を秘部に入れて、奥へと指を動かせば。
彼が残した跡がとろりと時間を掛けて落ちてくる。
夜に繋がる宣言を思い出したら、また自分で自分の指をきゅうと締め付けてしまって、はしたなさに赤面した。

こんなに愛されてるのにまだ足りないなんて思うなんて、どうかしている。]

[彼に遅れること少し。
新しい下着(さすがに二度目は恥ずかしいから、色は普通の淡いピンクを選んでいる)を身に着けて、その上にキャミソールを着る。

濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に戻れば、浴衣姿の基依さんが見えて、普段とは見慣れない姿にどきっとした。]

 わ、格好いい……

[格子柄の黒のシックな色が彼によく似合っている。
彼の腰元に添えられた蝶がゆらゆらと揺れていた。]


[それから自分もと浴衣を羽織って。
短大時代に習った着方をなんとか思い出して身頃を重ね、帯が短いから彼と同じように蝶結びで纏めて、くるりと背中に回す。
男性用と違ってちょっと縦幅がある分、それっぽく見えるだろう。

まだ湿り気の残る髪は軽く結わえてアップにすればすっきりとした。

着付けが終わったら、彼の前で小さくターンを決めて。]

 どうです?
 変じゃないですか?

[見せびらかすようにして、はしゃいでしまう。*]

……人といる時にこうなんの、嫌じゃん。
ま、人がいたらクッションは抱かないけど……

[じゃあ何を抱くかって? 皆まで言うな。
 だから酔いたくないんだって。]

その反応は余計恥ずかしいわ……

[もす、と隠すようにクッションに顔を埋める。
 顔を突き合わせて飲んでいたはずが、お互いが顔を隠す時間が数秒生まれた。]

俺より先に死なないでちょうだい。

[生まれ変わりを願うのに、話を切りあげてメリィを押し付けよう。
 はー、顔が熱い。チェイサーを一息に飲み干した。]

[ひっくり返ったエビがあかあかと彩りを見せる。
 その見た目と香りだけで飲めるなと白ワインを傾けた。
 爽やかなキレと後から追ってくる甘い香り。
 赤よりはいくらか軽く感じるが、飲み口のせいだろうか。]

……え。

[瞬きに瞬きを返して、返事もオウム返し。
 それから語られる、イメージカラー。]

あ、あー……そういう……

[おっとこいつも素面で聞くのはなかなかハードルが高い。
 ワイングラスを傾けて、アルコールに助けを求めた。
 ホワイトゴールド。そうかあ、とどこか現実味のないまま受け止めつつ。]

麦のは……白、かな。俺のイメージだけど。
なんにも染まってない感じ。
何でも受け入れるみたいだけど、でも純粋なままでいる、っていうか。

すごく綺麗。

[さて、そろそろサーモンの様子を見に行こうか。
 照れ隠し半分おもむろに立ち上がって、シンクの方へ*]

[クッション抱かないなら何を抱きますか。
その時その場に──まで考えかけて思考を手放した。皆まで言うもんか。]


じゃあ取り憑く生き霊でいいデス?


[押し付けられたクッションを抱き締めた。
そのままぐりぐり力一杯に額を押し付ける。嫉妬。]

うむむ、っ


[綺麗って言ったのは自分なのに、同じ単語を返されるとクリティカルヒット。
びえ、とクッションに絞め技をかけた。]


発酵させて後は焼くだけのパン種の色?
くるみをいっぱい混ぜ込んで、ウォルナットブレッドにしたり


[グラスの残り半分も飲んでしまった。

関係ないこと言い募って羞恥心に手で風を送る。
シンクへ歩いていくジンさんに、鶴のひよこみたいに後ろをついて行こうとして]

  ぉ


[踏み出した足の予測着地地点と、実際につま先が乗った床がずれる。
ふわんと心許ない、でもなんだか楽しい感じ。
あ、これ、酔っ払いのあれのやつだ、へえこういう。これが凄くなると千鳥足?になるのか。]


溶けました?食べられます?
爺ちゃんとこでは、ルイベって言って凍ったままでもいっちゃうんですけど。


[横に並んで立って、シンクの縁に手をかけて。
体の1/4くらいの幅がジンさんの肩に触れる。
犬が飼い主の隣に座ってなんとなく毛を引っ付けてくるやつみたいに。]

[脱衣所から紫亜が出て来た気配がする。
けれど、着て早々に盛り上がってしまったから、彼女の方も替えは荷物のところまで戻らないとない訳で。
そういった余白の部分は見ないのがマナーかと背を向けたまま]


 着替えたら教えて。
 ちゃんとこっち向いとくから。


[無視ではなく、待っているのだと伝えてスマホに目を落とした。
後ろで聞こえた呟きに火照る頬をぺちぺちと叩く。
「可愛い」はふざけてノる癖に、「格好いい」が恥ずかしいあたり、いかに自分がどちらのキャラで通っているかがわかるというものだ。]

[そのまますりすりしたくなってしまう。
少し指先がぬくい。おなかも。]


……スモークサーモン、アヒージョの具にしたら、
焼き鮭になっちゃいますかね?

そうだ、ジャガイモか卵があったらマヨサラダにして、
それをパイに載せても美味しいと思います。アンチョビとかと。


[ちょっと借りていいですか。小鍋に水を張って、茹で卵の準備*]

[スマホを見ていても、耳は衣擦れをしっかり拾っていて、期待は高まるばかり。
着替え終わったのを教えられて、振り返った。

濃い紫に白い大輪の華が咲いている。
ところどころには黄色も入っていて、華のような、夜空に咲く花火のような柄だと思った。
腰の中心には白い帯が入って全体の印象を引き締めている。

くるりと回るはしゃいだ姿を見て、思わず目元が綻んだ。]


 すげー綺麗……。


[ゆるく纏められた髪の下、晒された白いうなじを見ていると、先程吸うのを我慢して良かったなと思う。
彼女はいつも「可愛い」けれど、浴衣姿を見て最初に思ったのは、「綺麗」という言葉だった。

卯田は普段人の容姿についてコメントを求められたら「似合ってる」という単語を使う。
本人が好きで選んだものならば全然似合わないことはないだろうし、「似合う」という評価には自分の主観の色は強く出ないから。
恋人以外には変に期待させずに済むし、恋人には欲目だと思われずに済む。

だが思った瞬間に言葉にしてしまう程、紫亜の浴衣姿は「綺麗」だった。]


 最近着物で来店する人も増えて来てるし、今回だけじゃなくてもっと別の着物着た紫亜も見たいかも。
 いや〜印象変わるな。

 横歩く時、緊張してちょっと背筋が伸びそう。

[笑いながら、浴衣と一緒に借りた下駄を二足持ち上げて部屋の外へと誘う。
洗うのは拒否されてしまったから、下駄を履かせる役は任せて貰いたいものだがどうだろう。

足を持ち上げたらつい爪先にキスしてしまいそうだというのは言うまい。*]

……悪さとかしないなら、まあ。

[生霊に許可を出すってのも変な気分だが。
 メリィに額を擦り付けるのを見ていると、コミカルな動きになんとなくふくふくと笑いがこみ上げてきた。
 嫉妬心からくるものとは知らず――というより、それを察するような思考力が弱まって――口元が緩む。]

エビ食っていい?

[手を伸ばす。
 鮮やかな色を見てからそわそわしていた。
 エビの淡白な旨味にアヒージョのオイル、白ワインには最高だ。]

ふふ、そーだねえ。
これから何にでもなれる状態――とも、言えるけど。
俺にはね、もっと綺麗なものに見える。
難しいんだけど……いろんな色に馴染みながら、でも芯は麦のままっていうかな。

光、みたいな。うん、光だな。

[うんうん。ひとり勝手に納得。
 サーモンの様子見にいこう。]

ん、いけそー。
ルイベもいーけど、重なったスモークサーモンは塊の板だし。

食べやすくして食べよ。

[後ろに人の気配。
 重なった身体に、無意識にするりとすり寄る。
 長い髪が麦の頬を掠めた。]

いや? 火通したスモークサーモン、それはそれでうまいけど……アヒージョに入れたら味濃いかなー。
卵の方がいーかも。

[ゆで卵の準備が始まるなら、カウンターキッチンの下にしまいこんでいる椅子を引き出す。
 ついでにグラスとボトルも持ってこよう。
 キッチンドランカーはカウンターで飲む気満々だ*]

[下腹をなぞる手に、息を呑む。
内から押し上げる彼の形がより鮮明に感じられて
恥ずかしい以上に、なんだか。]

  
ン、 っあ……蓮司も、きもちい…?


[下腹を押される度にびくんっと体が震え。
気持ちいい場所を、外と中から挟むように刺激されながら
落とされる口付けに、上がる熱に、くらくらと視界が歪む。

体に彼の形が馴染んでいく。
与えられるやさしい刺激に小さく喘ぎながら
ひとつに繋がってるという実感が、何よりも気持ちいい。]


  ん。痛くは、ないから…… ぁ、あっ

[浮いた下半身に、ゆるやかに始まる律動。
体内から響く濡れた音に、耳を塞ぎたくなりながら
やさしく気持ちいい所ばかり繰り返し刺激されて
徐々に体が作り変えられていく気がする。

彼に大切にされてることを全身で感じながら、
ゆらゆらと凪いだ波間を漂うような幸せに浸っていたら。]



  ……ゃ、
  いつもより、なんか ……ぁっ、ああ!


[荒々しくなっていく動きに
目尻に溜まり続けていた熱がぽろりと溢れた。

乱れる呼吸に、上下する胸の頂きを刺激されれば
体を走り抜ける電流のような快感に、背中を喉を逸らして。
追いつかない思考を置き去りに、体が跳ねる。

重なった唇から伝わる余裕のない荒い呼吸を
混ざる唾液と一緒に飲みこんで。]

  
ぁ、れん……、 れんじ、


[名前を呼んで、と。
はじめて肌を重ねた日にねだられたそれを、
強烈な快感に半ば飛びそうになる意識の中、繰り返す。]

[高められ過ぎた性感に、遠ざかる理性。

ただ激しく求められるのが嬉しくて、もっと、とねだり
快感に震える指先で、汗で滑る彼の腕を必死に掴んだ。
ぽろぽろと零れる涙でシーツに染みを増やしながら
研ぎ澄まされ昇りつめていく感覚に、狂いそうでこわいけど
彼に愛されていると思えばもっと欲しくて、たまらなくて。]

  
すき、……だいすき

  
ッ ぁ……あ、もっとほし……


[閉じ込められた腕の中、強く抱き締められ
求められる口付けに、満たされる心地を覚えながら。
荒ぶる波間へ絡み合ったまま、深く深く溺れて。]




  ────…… っ

[幾度目かわからない絶頂を迎えた瞬間、
ふ、と意識が深い海へと沈んでいった。*]

[情事の後の支度は妙に気恥ずかしくて気まずい。
掛けられる声に気配りを感じて、ほっと息を着いて、はい、と応えながら。
こういう些細な部分が、安堵を覚えてしまってより惹かれていくのだというのを彼は知らない。

彼にとっては自然な振る舞いなのかもしれないけれど、そんな動作一つ一つに「大切にされている」と実感してしまうから。
真夏に降る雪のように、深々と静かに「好き」と言う感情が心内に募っていく。]

[着替えを終えて、両の袖を手に取って袖を広げながらお披露目をすれば、シンプルな褒め言葉に仄かに目元を朱に散らした。]

 
 ……ありがとうございます。
 基依さんも、格好いいですよ。


[照れくささに褒め言葉に褒め言葉を返す。
彼は私のことをいつも「可愛い」と言ってくれるけれど、「綺麗」だと言われたのは初めてな気がする。
そのことにもじもじしてしまって、どうにも顔が見れなくなって目を伏せた。
彼の手を取って「外、行きましょう?」と話題を逸らしたつもりで。]

 着物は支度が大変ですからね。
 普段から着てる人って尊敬します。

 ……でも、そうだなぁ。
 お正月の初詣とかなら、着てみてもいいかも。

[着物は背筋が伸びるし、胸が小さい方が綺麗に着れると聞いたことがある。恰幅のいい人のほうが似合うから、私の場合は多少タオルなどを詰め込んで着ないと様にならないかもしれないけれど。
彼が見てみたいというのなら、冬には実家から振り袖を出すことも視野に入れて。

借りた巾着にはハンカチとティッシュ。お財布とスマホを詰め込んで。
ぱたぱたと戸口へと向かう。

下駄を構える彼に気づいたら、う、とたじろいだ。
未だ慣れない過保護な扱いに、少し困りながらも抗えなくて、しゃがんだ彼の肩に手を添えて、素足を晒す。]




 ……基依さんって。
 私を甘やかすのが上手過ぎません……?


[恥ずかしさを隠すように、そんな恨み言めいたことを口にして、ジト目で彼を見つめてしまった。*]

ひかり。
そう、そうですか。光。
じゃあ俺と同じだ。


[貴方に見た色と。

─ ─ あなたはわたしの光。

そうして白ワインのグラスは空になった]

食べやすくしよ。スモォクサーモンにオリーブ巻いて食べよ。


[ケッパーの代用として十分すぎるくらい。
髪の毛の先が頬をくすぐって、笑い声を立てる。]


じゃあ、卵にしましょうね。
卵サラダのパイ……ん、色々あるけど、カレー粉みたいなのちょっとかけるといいかなー。


[さっきカレーの話をしたから。
グラスとボトルがお引越しされてくる間に卵を2つ、出してきて。お尻のところに小さくヒビを入れた。]

わあ、これ、楽しい。
出来立てのつまみ食いが一番美味しいですもんね。


[テーブルじゃなくて、カウンターキッチンで飲むお酒。
ボトルの下でグラスを構え。
同じ椅子に座ろうとしたけどお尻がはみ出す。きゅるきゅる笑って、沸いたお湯の鍋に卵をそうっと優しく入浴させた。]

[スモークサーモンのパックが開く。
お皿に移す?そんなこと考える前に手を出した。
摘んで引っ張ったら半分くらいで千切れちゃったけれど。]


ん、ま。
乾杯。んまぁ。


[仄かにスモーキーな潮の香り。
ねっとりした舌触りで美味しい脂が広がって、そこに白ワインが最高の最高。*]

 お、おぅ……ありがと。


[良い歳こいた男女が二人、それも先程まで露天風呂でまぐわっていたのに、今更互いを褒める言葉ひとつで照れてもじもじしている。
傍から見たら「何だこいつら」という感じだから、二人しかこの場にいなくて助かった。

そっと手を取られる。
どうにも次の行動に移らないと羞恥が勝ちすぎる。]


 見てる分には「華やかで良いな〜」くらいだけど。
 小物もいっぱいあるし、時間はかかるしって聞いたことあるな。
 着物で来てるお客さんみんなそんな大変な思いして着てると思うとすごいわ。

[最近は補正もタオルをポケットに入れるだけのベストのようなものがあったり、自装用に帯を前で結んで後ろに回すだけの帯板があったりと便利なグッズも発売されているのだが、それを卯田が知るのはもう少し先の話になるだろう。

今は、初詣に着てくれると言う彼女の振り袖姿を想像して、にやついてしまう呑気さだ。]


 ……?
 紫亜が甘え上手なんだと思うけどな?
 甘えるとこと、自分でするとこと、結構はっきりしてどっちの比重も重すぎないの、絶妙だと思う。


[と、卯田目線では思ってしまう。
女性は浴衣を着てしゃがむのは大変だろうし、素足で履く下駄は慣れなければ指を入れるのも難しいだろう。
自分の手助けで、彼女が困ることがひとつ減るなら、それは甘やかしではない、と思うのだが。
どうにも過保護が染みついている身では本当にそうなのかは自信がない。]


 紫亜は爪先まで可愛いよ。


[鼻緒を指の間に押し込んで離す間際に、ちゅ、と音を立ててくちづけた。]

――温泉街――

 な〜腹減ったから先に何か食って良いか?
 夕飯がっつり旅館で出るから、昼は麺かなって思うけど。


[昼の麺イメージは、SASANKAのランチがパスタ中心というのから来ているのかもしれない。

そうめん、そば、うどんの3択で彼女が選んだ店に入ろうと店先の食品サンプルを眺めた。
麺の店とはいえ丼ものもあるようなので、彼女が麺の気分でなくとも何かしら注文はできるだろう。*]

[彼女が俺の名前を呼んでくれる事が。
求めてくれる事が。嬉しくて。


『気持ち良いよ。』
『俺も好きだよ。』


一つ一つ。丁寧に拾って答えて行ったけれど。
次第にそんな余裕もなくなって……
乞われるままに、欲望のままに、彼女を求めた。]

[彼女をキツク抱き締めて、身の内で熱い精を解き放つ。
抱き締めた身体からくたりと力が抜け。
腕に重さがかかった。
荒い息を吐きながら、彼女の顔を覗き込めば、閉じた瞼。
ゆったりとベッドに横たえて、汗に濡れた前髪を梳いて流す。]


ごめんね。ありがとう。



[額に口付けて、気を失った顔を見詰める。
吐息が零れて、力の無い手を取ると、額をつけた。]


愛してる。嵐。


[彼女には、聞こえて居ないと思うけれど。]

[身体を離して、ゴムを結んで捨てると、床に落とした服の中から下着だけを履いて立ち上がる。
水を一杯飲んで、風呂の支度だけしたら、もう一度彼女の元に戻った。]


…………。


[シフトは夜からだと言っていたから。
もう少し眠っていても大丈夫なはずだ。
何も言わずに、ベッドに腰掛けて髪を梳く。
飽きることなく彼女を見詰めて。
目を覚ました時、最初に目に入るのが、俺だと良い。
そんなことを思いながら、身動ぎする嵐に、目を細めた。]

[彼女が目を覚ましたら今度こそ……]


おはよう。


[そう、微笑んで。]


立てる?
風呂を沸かしてあるから……
一緒に行こう?


[無理をさせた自覚はあるから。
共に入らないとしても、風呂までは腕を貸そう。
ふらつくようなら、共に入ろうと言うけれど。

床の上には、服や下着が投げ捨てられたまま。
請われれば拾って渡すけれど。
風呂に入れば脱ぐのに、何故着る必要があるんだろう?
そう思いつつ俺も、指示をされれば大人しく服を着た。]


 自分で着付けるとなると、慣れていないと結構大変なんです。
 出先で着崩れた時も、自分で直さないといけないし。

 着こなせる人は素敵ですよね。

[私だって一通り習いはしたけれど、普段着ていないと着付けの順番すら忘れてしまう。小物を手にする順番すら怪しい。
どちらにしろ冬までにお浚いすることは計画として頭の中に入れておく。

……もし、着物を脱ぐことになっても、着付けられるように。
と、そこまで考えてぶんぶんと首を振った。違う。そうじゃない。

ひとまずは目先の浴衣デートに浮かれておくことにしよう。]


 ……そうなんですか?


[絶妙と言われても。
褒められているのだろうと思うけど自覚はない。
寧ろ甘えてばかり居る気がするから、口に出たものなのに。

でも、肯定的だということは少なくとも嫌がられてはいないということで。
そのことに密やかに安堵の息を洩らしながら。
足元に掛かる彼の後頭部を見つめて、大人しく下駄に指を通した。
指先は手持ち無沙汰に髪の彼を弄んで。

離れ際に、キスを落とされたなら、]


 ……ひゃ、


[ぴくんと身体を揺らして、また頬が赤く染まった。]

―― 温泉街にて ――

[温泉街を手を繋いで歩く。
見慣れない土地で、普段見慣れない格好をして歩く街は新鮮だった。
慣れない下駄は歩幅をゆっくりとさせる。

隣を見上げて、「してみたかったんです、浴衣デート」と本音を隠しきれずににこにこと笑って告げたなら、笑われてしまっただろうか。

時刻はとうに昼下がり。話題は自然とお昼ご飯の話へと移る。]

 はい、いいですよ。
 麺類だったら……、私、お蕎麦が食べたいです。
 山菜そばとか、ありますかね?

[通りがかりの店舗で立ち止まり、サンプルが並んだガラスを覗く。
丼ものやうどんが並んだ一角に、山菜の水煮ととろろが添えられたお蕎麦を見つけて、指で指し示す。
そうして彼のお目当てが決まるのを待ってから、暖簾をくぐった。*]

[初詣ともなると、半年以上は先の話だ。
二人ともその時に一緒に居ることを信じて疑わず、当たり前のように共に行く前提で話せるのが嬉しい。
自分が「見たい」と言ったから、きっと彼女はそれまでに練習してくれる筈。

……途中で脱がしてももう一度自分で着られるように。]

[卯田としては勿論もっと甘えてくれても良いし、もっと色々してあげたい気持ちはあるけれど。
そのやりとりに罪悪感や負担が生じたら、関係が変わってしまいそうな恐れはある。
自分はつい行き過ぎてしまいがちだから、紫亜がストップをきちんと言える子なのをとてもありがたいと思っている。]

 ……感じた?

[真面目な話はまたする機会があるだろう。
今は、デートを前にして浮かれるばかり。

爪先のリップ音に上がる小さな声にクスリと笑って。]


――温泉街――

[流石の野菜好き。
山菜は春先に時々レコメンドに上るが、自分では特に買ったり食べたりはしない。
アク抜きが大変だからというのもある。

彼女とは違うものを注文しようかと、此方はシンプルにざるそばの大盛りにした。
セットでいかなごのくぎ煮と山椒の実が入った混ぜご飯がついてくるらしい。

いただきます、と手を合わせ、出て来た蕎麦をすすったら、思ったより強めに蕎麦の風味を感じて目を丸くした。
侮れない、温泉街。
この驚きを共有したくて、紫亜に視線を向ける。]

 美味いな、ココ。

[そば自体は彼女と同じものだから、「お裾分け」はご飯の方で。
とろろが入っていた器を少し拝借して一口分。]

[最後の蕎麦湯まで満喫したが、彼女の「別腹」具合はどうだろう。
ここでデザートを頼むも良いけれど]

 ちょっと行った先にりんご飴の屋台が出てたけど、そっちにするか?
 「浴衣デート」っぽいし。

[「してみたかった」と素直に言って来た彼女は本当に可愛かったから、浴衣デートっぽい行動は全制覇したい慾張りだ。*]

[下駄の鳴らす足音はからころと。
出かける前に落とされたキスの名残は今はない。

意地悪な質問には、応えられたなかった。
もう「くすぐったい」じゃ済まされないことが、きっと彼にはバレてしまっているだろうから。
その内、彼自身に確かめてほしいと思っている。]

[注文した山菜そばは温かそうな湯気を放っていた。
旅先で食べるお蕎麦はどうしてこんなにも美味しそうなのか。
お店特有の出汁の香りが食欲を誘う。

彼と合わせて、いただきます。と両手を合わせる。
ふぅ、と口先で湯気を飛ばして、口にしたら麺はつるつると滑るように喉元を通っていく。]

 はい、おいしいです。
 山菜食べてみます?

[卵黄と絡ませた山菜を少しだけ箸で摘んで、彼の口に運んだ。

代わりにもらった混ぜご飯を食べてみたら、山椒のピリリとした辛さに舌が刺激されてしまって、慌てて水で受け流した。
薬味にもだんだん耐性は着いてきたけれど、辛さばかりはまだ慣れない。]

[お蕎麦を食べ終えて余ったおつゆをれんげで掬い、仕上げの一口を堪能していれば、基依さんから屋台の話が上がる。

何よりさっき伝えたばかりの言葉を覚えてくれていたのが嬉しい。
両手を打って、眼を輝かせたなら、]

 はい。
 りんご飴、いいですね!

 お祭りじゃないと食べられないから、嬉しいです。
 いちごもあるかな、りんご……、どっちにしよう。

[取らぬ狸の皮算用。
まだ見ぬ飴の陳列に想像を膨らませて、席を立った。*]

[──なんだか、とてもいい夢を見てたような気がする。

髪を梳かれる心地よさに、ぼんやりと目を開け。
視界に映った裸の彼の姿に、二度目の覚醒は早かった。]

  ……ぇ。あ。
  おはようございま、す?

[夢じゃない。
夢中になりすぎて理性がなくなっても、
都合よく記憶までなくなるわけがなくて。

襲いかかる羞恥心に
今更のように布団を引っ張り丸くなって突っ伏しながら
風呂、の声に、ちらっと顔を上げた。
時計も確認すれば、まだ出勤を気にする時間でもなく
それほど長く眠ってたわけじゃないと安堵して。]


  う。一人で行けま……せんねこれ。

[試しに片足だけ降ろしてみようとして、断念する。
なんだかまだ体の中に蓮司さんがいるみたいだし、
上手く力が入らない。
転んで怪我したら迷惑かけるし仕事にも差し支えるので
大人しく手を借りようとして。]

  ちょ、ちょっと待って、服! 服!!
  せめて上だけでも着させてくださいっ。

[さすがに、浴室と寝室以外の場所を裸で歩くのは
既に窓の外は明るいのもあって、抵抗感がありすぎる。
ルームウェアの上だけでも拾ってもらって被れば、
だぼっとしてるそれでなんとか股下まで隠せそうだ。]

[女性は隠したい部分が多いんです、と話せば。
解せない、という顔の蓮司さんは一応下着を履いてるから
彼も風呂がまだなら、それ以上は強要しないけど。]

  ……なんか、目のやり場に困ります。

[改めて普段はきっちりとした服の下に隠された
腕や胸板や腹筋などなど、じっと見てしまいそうになって
視線がうろうろと彷徨った。
赤くなりながら、腕を借りて立ち上がり。]

  あ。
  すみません、この傷……私ですよね。

[彼の上腕の辺りに真新しいひっかき傷を見つけ、
更に頬が火照ったけど。
彼の体に私の跡がついてることに、ちょっと嬉しくて
顔が緩んでしまったりして。

途中で水をもらいつつ浴室に着けば、早速滑って転びかけ。
結局一緒に入ることになったとか。*]

[ん、と自然に口を開けて差し出された山菜を食べる。
卵黄のとろっとした食感の後に、山菜の繊維質がやってきて、噛んだら出汁がじゅわっとしみ出て来た。

こくこくと頷いて、「美味い」と伝えて、ふと。
「あーん」に対しお互いもう「事前に照れる」ことがなくなったなと思う。
本当に、ごく当たり前のように自分の「好き」を分け合える存在になったんだなとしみじみしていたら、紫亜の方は山椒にやられてしまったらしく、慌てて水を口に含んでいる。

悪かった、と謝る卯田は、まだ彼女を完全には把握できていない。
日々精進です。]

[りんごの方は、以前好物だと言っていたのを覚えていた。
いちじくとのバターソテー食べ比べを作ったのを思い出す。]

 まだ夏祭りには時期が早いけどさ、浴衣でぶらついてると屋台が欲しくなる需要があるからなんだろうな。

[店内も老若男女殆どの客が浴衣姿だ。]

 ベビーカステラもあったけど、あっちは腹に溜まりそうだしな〜。

[オーダー表を手に取る。
「奢り」「割り勘」で揉めるのが嫌だったので、少なくともこの旅行中は二人で同額を出し合って、そこから払おうと提案した。
頼んだものの値段が違っても、後で面倒な計算をしなくて済むし、個人的に欲しいものだけを個人の財布から払えば良い。]

[支払いを済ませて外に出る。
からころと下駄の音。
軽いキスでは痕もつかないが、浴衣の裾から見える足の甲に、印をつけておきたかった妄想は、今晩実行させて貰おう。]


 最近はりんご飴だけじゃないんだな。
 いちごもあるし……俺はこの「ぶどう飴」にしよ。

 「紫」が綺麗だし。


[意味深に言う言葉は、勿論店の人には通じない暗号のようなもの。
再び旅行用資金から代金を払って、甘いあまい「紫」にくちづけた。

吸って、舐めて、甘く噛んで飴をはがす。]

 あっま、

[粒はりんごよりも小さいから食べきれたが、飴が随分甘い。
複雑な顔で笑って、紫亜が食べきるのを待つ。
デザートには少ないかと思ったが、この甘さならこれ以上は食べられないかもしれない。*]

[おはよう。と、笑いかければ。
今更のように赤くなって、布団を被る嵐の姿。
くすりと笑いつつ自分は嬉しかったので、次の機会を待ちながら。
やはり一人では立てない嵐に腕を貸す。
共に風呂に行こうとしたら慌てる姿。
ルームウェアの上だけを着る姿も可愛い。

じっと見詰めて、不思議そうな顔をされたら。]


可愛いと思って。


[そう。素直に答えよう。
無駄な肉の薄い裸の姿も綺麗だけれど。
だぼだぼの服から覗く細く長い脚も、綺麗で可愛らしい。]

[自分は服を着るよう言われなかったので、下着一枚で。
目のやり場に困ると、視線を彷徨わせる姿に微笑む。
自分は『SASANKA』の人達のように、重い鍋をふるう訳でも無く、筋肉質な訳でも無い。
それでも彼女が赤くなるなら、悪い気はしない。]


気を付けて。


[立ち上がる彼女に腕を貸して。
上腕の傷に初めて気づけば。]


あ、ほんとだ……


[目を瞬いて。]



消えそうになったら、またつけてもらおう。


[思わず笑ってそう言ってしまって。
また睨まれたかもしれない。]

[湯船では足元の安定しない嵐と一緒に、入る事にして。
お湯をかけて、共に湯船に浸かったら。
背中から嵐を抱きすくめて座る。]


少しは、疲れが癒えると良いけど。


[お腹の前で組んだ腕。
悪戯したいのを必死で堪えてます。
魅惑的なお胸とか、触りたいけど怒られそうとか。
お湯の中で組んだ指が、所在無げにお腹の辺りを擽った。*]

[蓮司さんだから、困るのだ。
その腕がどんな風に私を抱きしめて、
重なる肌の温もりとか重みとか気持ちよさを知っているから。

これが店長や同僚なら、なんてまずあり得ないけど、まあ
風邪引きますよとあしらうのが精々だろう。

そんな私の心境なんて知らずに、
傷を見て嬉しそうに笑う彼を、思わず睨んで。

  ……またつけても、いいですけど。

[呟いて、ぷいっとそっぽ向いた。]

[浴室に着けば当然、再び脱ぐことになる。
明るい場所で改めて裸を見られる恥ずかしさはあるけど、
つい数十分前を思い返せば、今更すぎると腹を括って。

お互い汗やら何やらを軽く流してから、
湯船に浸かれば背後から伸びてくる腕に、背中を預けた。
二人で入っても足が伸ばせる浴槽の広さに、
他にもこういうことした人がいるのかな、なんて
改めて感じる5年の差や大人な部分が、ふと過ぎったり。

背中で蓮司さんが必死に耐えてることも知らないまま。]

  んー……さっきより大分いい感じかな。
  やっぱ湯船に浸かるだけで、疲れ取れる気がしますね。

[温かいお湯と腹部をくすぐるやさしい掌に、
体に残っていた怠さや違和感も融けていくようで。
背後から聞こえる声に、くすくすと笑いながら。]

[微睡みそうな心地いい時間に、ふと。
さっき言われたことを思い出して。

  そういえば……その、
  蓮司さんは服とか……身に着けるものに
  拘りってあります?

[ちょっとだけ勇気を出して聞いてみる。
大体、蓮司さんの基準がわからないのだ。
可愛いって言われても、色気も何もないルームウェアだし
睨んでるのに、嬉しそうに言われることもあるし。
そんなことする必要ないと言われてしまえば、
別の方法考えなきゃいけないし、なんて脳内で言い訳を。]

  えーと、つまり……
  仮にですけど、私がかわいい下着、とか
  ……つけてたら、どう思います…か?

[仮ですよ、仮の話。
まったく無駄な部分を強調しつつ、
落ち着かなさ気に足先を揺らし。
湯中りではなく火照ってくる顔を隠すように、俯いた。*]


 そのうち夏祭りにも行ってみたいですね。
 一緒に花火、見たいです。

[少し先の予定のお伺いを立ててみる。

夏には、一緒に夏祭りに行ってりんご飴を食べて。
秋には、インカのめざめの入ったビーフシチューを。
冬になったら、振り袖を着て初詣に。

この先の夏も、秋も冬も。彼と一緒に過ごせるように。
彼と一緒にしたいことは沢山あるから。]

 旅館の晩ごはんもありますしね。
 明日なら食べられるかも?

[くすくすと笑って応えながら、お店を後にする。
二人分の旅費は先に彼の財布に預けてあるから、支払いは彼に任せて店の外で待った。
重荷になるのがいやで「奢り」には抵抗があったから、彼からの提案には二つ返事で了承した。
共用で財布を使うことが、まるでずっと先の二人の未来を思わせるから嬉しかったのもある。]

そか。
俺も光かぁ。

[同じ、と言われたその意味を考える思考能力は蕩けてしまった。
 光。麦に見ているような清らかなものでなくとも、自分が兎の穴の中を照らす光であれたならと思う。]

カレー粉かぁ……クミンでいい?
ターメリックもあるよ。

[カレー粉としてまとまったそれはない。
 ホールのクミンと粉のターメリックをスパイスラックから取り出す。]

スパイス適当に買ってると増えるんだよなー。

[なんせ朝以外料理を週1でしかしない。
 スパイスの減るスピードはかなり遅かった。]

[少し先に進んだところにあったりんご飴の屋台には、色んな種類が並んでいた。
りんごが好きなことを、覚えていてくれたのかな。なんて思えば隣を見上げる表情が緩む。

ぶどう飴を手に取る彼の理由を耳にしたら、嬉しさと恥ずかしさが同様に押し寄せてきて妙にそわそわした。]

 ……、あ、私はこの小さいほうのりんご飴を。

[通常サイズではなく、ふたまわりぐらい小ぶりな方のりんごを選んで封を開けて口につける。

赤い艶のある飴に舌をつけながら、横目に見たら彼の口元が見えて。
彼の唇が「紫」の飴を溶かしていく。]

スモークサーモンとオリーブ、最高だよな。
カマンベールも持ってくるか。

[テーブルとの往復は二度め。
 サーモンとオリーブに、クリーミーなチーズも加わると最強なのだ。
 控えてるグラスにはワインを注ぎ。ふたつが満ちたら縁同士を出会わせた。]

かんぱーい。





 …………。


[何となく見ていられなくなって、そっと視線を外した。
唾液で溶かされた飴は柔らかくなって、甘噛みしたら、ぱきりと音が鳴る。

なんだろう。顔が見れない。
飴のお裾分けは、出来なかった。*]

つまみ食いってか、自分で作ってると味見?
ま、出来たてがうまいのは同意。

その歳でキッチンドランカーにはなるなよー?

[ひとりなら誰も咎めやしないのだが、褒められた行為じゃないだろう、おそらく。

 窮屈そうに座る麦の方に、おもむろに手を伸ばす。
 なんとなく触れたくなって、体温が欲しくて。]

んー、ふふ。

[口元緩ませ、叶うなら、頬なり肩口なり撫ぜるように指先を遊ばせる*]

クミンとー、ターメリックとー。
ちょっとずつですよ。卵サラダも少しだから。


[あとコリアンダーも、とスパイスラックのご開帳を願った。消費が購入に追いつかないだけあってなかなかの品揃え。
あ、タラゴンもあるぞ。]

[二往復目のテーブルには、ヒヨコのようについてった。
たこ焼き機の加熱をオフに。
空焚きダメ、ゼッタイ。
それから、作りかけだったタコのアヒージョを救出。
ちょっと奮発した刺身用だから半生でも大丈夫。

乾杯はキッチンカウンターで。]


んー、スモークサーモンからのぉワイン!うまい!
大人になったらキッチンドランカーなりたい、弟子入りします。



……ジンさん酔ってます?
酔ってるでしょ。酔ってるんだー。


[頬に触れる指に笑って、
緩んだ口元へオイル煮になったタコをくっつけた。]


はい、あーん。


 あ〜花火大会、な……。
 そこは休みが難しいかもしれない……

[二人で行きたいところやりたいことは沢山あれど、イベント日程が「土日」と決まっているものは休みが取りにくい。
その帰りの外食需要が高まるからスタッフの数も必要となるのだ。

お盆休みはあるから、お盆にやっている花火を探して遠出してみるならできるかも?と言って。]

 ごめんな。

[彼女の楽しみに水を差した罪悪感でしゅんとしながら頭を撫でた。
もし見に行けなければ二人で手持ち花火をしよう。
少しでも彼女が「一緒にできない」ことへの寂しさを感じることがないように。]

[今も。
彼女がしたいことや自分がしたいことを取りこぼさない様にと思っている。

ベビーカステラは明日。
りんご飴は今日。

暗号に気づいてそわそわする彼女が愛おしくて笑ってしまう。
りんご飴を舐める舌の赤さに違うことを想像しそうになって上手く見られないのは卯田もだった。

そんな二人の様子を見た店主は『若いねェ』とニヤニヤしていた。]

[小さくて甘い飴を舐めた後は、折角だからと立ち寄りの温泉に誘った。
男湯と女湯に分かれているから、一緒には入れないけれど、折角温泉に来たのだから、色んなところを楽しみたいと主張して。

その裏にある意図には気づかれていないと思う。
女性の方が長風呂だと思うから、先に出て用意したいものがあった。
とはいえ彼女がのぼせを危惧するなら、用意は明日に回すことにする。*]

[口の中にタコをむにゅっと押し込んでから思った。
あれ、美味しそうだな?]


あー…


[追いかける。タコを。
座ったまま覗き込んだ、オリーブオイルで濡れた唇へ。
顔を寄せて、
触れてしまう距離のほんの2cmほど手前で一瞬だけ止まった。]


──……


[オリーブと、ガーリックの香り*]

[また痕をつけてくれるらしい嵐に口元は緩んで。
お風呂で寛いでくれている姿を見て、ほっとする。
背中から抱きすくめて、ぎゅっと抱き締める。
邪な考えは、今は横に置いておこう。]


良かった。
今日は少し、無理させたから。


[彼女は知る由も無い事だけれど……
自分は生活圏に人を入れるのが苦手で。
自宅を訪れるのは仕事絡みの人だけで。
こうして一緒に風呂に入るのも、まして合鍵を渡すような人も。
嵐が初めてだと言うことは……
何時か、話す日が来るかもしれない。

公園で彼女の姿を見た日から。
最初から結婚を念頭に置いて行動してること。
何時か彼女も知るだろう。]

[ゆったりとした時間に齎された問。
問われた意味を、少し考えて居たら、更問が来て。]


え? 見たい。


[ノータイムで口から出ていた。]

[突然俯いた嵐に。
え?これ、買ってくれてたりするんだろうか。
織戸さんと話してた買い物ってそれ?と。
色々考えて……

言葉より雄弁に身体が反応してしまいましたが。
密着してるから、嵐にも全部筒抜けで。
睨まれたりとかしたら。]


……だって。見たい。


[素直に欲望を口にして。
お腹の前の手を解いて、ふに。と、柔らかな胸に触れた。*]

弟子入りするもんじゃないでしょー。
おやめなさいよ、行儀わるいし。

[弟子入り志願にはそんなふうに肩すくめ。
 なるやつは勝手になるんだろうけど。]

へーき、まだへーき。

[言いつつ顔は緩みっぱなしだし、酒を飲む手も止まらないし、止めたら止めたで何かに触っていたい。
 酔っていないという奴は酔っているの典型的なパターンだ。
 大丈夫、まだまだ泥酔ではないのだけは、本当。]

あー。

[くれるものはもらおう。
 まだかすかに透明感のある蛸を、口で受け止め――]

……、

[近づいてくる唇と、暗くなる視界。
 は、と正気に返るような時間。
 数秒で詰まる距離。寸前で止まった、躊躇い。
 どうしよう、と迷ったこちらの思考も、一瞬。]

ん。

[アルコールのせいか、それとも胸のうち生まれた、甘い感情の種のせいか。
 止まった唇はこちらから重ねに行った。
 口に物が入っているので、触れた、だけ*]

 あ、そっか……
 
[申し訳無さそうに話す彼に、SASANKAのことを思い出す。
なかなか休みが合わないことは、今までの経験からも分かる通り。
飲食業、しかも夜までやっているとなれば難しい。
少し残念な気持ちはあるけれど、あのお店で働く彼を否定したりはしたくない。
彼の言うお盆休みに淡い期待は抱きつつ、頭を撫でる手にゆっくりと瞬いて微笑みを乗せる。]

 ううん、大丈夫です。
 基依さんがお店を大事にしてることは知ってますから。

[飴を持つ手に力を篭めて、ぐっと握り込む。
夏が訪れるのは一度ではないし、いつかは偶然休みが重なるなんてこともあるかもしれない。
二人だけの手持ち花火でもきっと十分楽しめる。]

[ふんだんに甘さを含んだ飴は、舌の温度に蕩けてなくなっていく。
店主さんに揶揄われて、りんご飴のように頬を染めて俯いた。

飴にコーティングされたりんごが覗いて、歯を立てる。
しゃくりと小気味いい音がなって、甘さで溢れた口内にりんごの酸味が広がっていく。]


 ……おいし、


[甘さも酸味も、恋と同様に食べ尽くした。]

[それから二人で訪れたのは、日帰りの温泉。
温泉地に訪れたのなら楽しむ他はない。
入り口で手を振って別れて、一人女湯へと向かった。

浴場では丁寧に髪と身体を洗って。
彼と付き合ってからは、身体に痕を残されることが多かったけれど、今日ばかりはその痕が無くて良かったと思う。
痕を付け始めたら一つだけでは済まないから、きっと公衆浴場には入れない。

身体中についた泡を洗い流した後、鏡を見て痕一つ残らない身体を見つめる。少しばかり物足りなさを覚えて肩口を撫でた。

お風呂上がりには、また新たな下着を身に着ける。
フロントホックのパールホワイトのブラジャーに、セットの腰元で紐を結ぶタイプのショーツ。いざという時のために下着を多めに持参して良かったと思う。
肌には甘い匂いのするボディミルクを忘れずにつけた。
これは肌触りがいいと褒められた日から、かかしたことはない。

きっと彼の方が先に出て待っているだろう。
余り待たせては悪いから、メイクは湯上がりとあって最低限に留めて。
待ち合わせ場所へと急いだ。*]

[キス魔じゃない。
だって、ずっと前からしたかった。
せいぜいが微酔い程度、酩酊の言い訳なんて効くはずもない。
ただ少し、抑制の箍は緩んでいて、]


    、


[止まったのは一瞬。
こら、って叱って、距離を稼げるかどうかくらいの猶予だけ。
そしてそれは起こらず、]


……ん



……ふは、美味し、


[叶うならタコをもぐもぐする頬に触れ。
もう片手でグラスを手探った。
持ち上げて縁に唇をつける。傾ければキリリとした白ワイン。]


ああ……これ。
好きです。大好き。


[ねー、と首を傾げて覗き込む。
微酔いだけど、アルコールの支配下には居る。]



もっと撫でてください。クッションよりいっぱい。

ジンさん、好きです。


[すき、と繰り返してワイングラスを空けた。*]

[自分にとってSASANKAは運命で、料理は人生で。
そこを尊重してくれて応援してくれる彼女だからこそ、好きになった。

彼女も料理から離れられない自分を好きになってくれたと言っていた。

それでも]

 寂しい、とか。
 もっとこうして、とか。
 そーいうのは、飲み込まないでくれな。

 俺が出来ることには限りがあるけど、出来ないことの「代わり」は最大限叶えたいから。

[人前で抱き締められない分、今は撫でる手に気持ちを込めて。]

[部屋で下着を替えてからはトイレに行っていない。
下着を替えるのは旅館に戻ってからでも良いだろうと思うのは男ゆえの無頓着か。

部屋付きの露天風呂よりも広い温泉は深いところがあって、卯田でも肩までゆっくり浸かることが出来た。
ついゆっくりしそうになって、危ない危ないと後にする。
タオルやドライヤーなどその場で借りられるのがありがたい。

そうして先んじて出た後に向かうのは、途中にすれ違った雑貨屋だ。
個人の財布から出して、包んで貰って。

気に入ってくれるかな、なんて、どきどきしながら待っていた。]

[出て来た彼女は先程よりもメイクが薄い。
それがまたどうにも湯上りの火照った肌と相俟って色気を高めていた。
喉が鳴ったのは無意識で。
駆け寄って寄り添ったのは、他の男を牽制したい独占欲。]

 なー紫亜。
 ちょっとこれ、つけてみてくれる?

[包みを渡す。
周年祭の時にもらったネクタイのお礼がまだだったと言えば受け取って貰えるか。

中身は紫の蝶のチャームが揺れるかんざし。
まとめあげた彼女の髪を彩るものが欲しいなと思ったのと。
会社で髪の毛を上げる時にも使えるかと。

(その場合痕をつけるのを我慢しないといけないというのを失念しているあたりが残念な男である。)
*]

[頭を撫でる手は酷く優しい。
落とされる声も、言葉も、
本当に大事にしてくれていることが伝わるから。

ぽっと胸に温かい火が灯る。
いつからか内に灯る明りは、一つ一つと増えていって。
そのうち胸いっぱいに埋め尽くされそうだ。

掌に甘えるようにすり、と髪を押し付けて双眸を緩める。]

 はい。
 もしあったら、口にします。

 ―――今は十分、幸せですから。

[幸せ過ぎて、怖いくらいだと言って微笑った。]

―― お風呂上がりに ――

[外に出れば既に基依さんの姿があって、すぐに此方の姿を見つけてくれることをくすぐったく思いながらも嬉しく思ってしまう。歩み寄れば彼の手にはお土産の包みがあって。]

 ……私に?
 何だろう……?

[虚を付かれたもののお礼と言われたら断る謂れもなく、包装を解いていく。
包みを開いたらそこには、可愛らしい紫の蝶が揺れていて。]

  わ、  わ
 
[眼を丸くして喜色の色を浮かべ、かんざしと基依さんの顔を交互に見比べた。]

[酔ったらキス魔に、という話をジョークのひとつで聞いた。
 それでも構わないとは思っていたが、かといってこれがアルコールの魔力だけとも思わない。
 好きだと言う想いを受け入れさせてほしいといったのは、俺だ。『次』を約束し続けているのも、俺だ。
 生殺しにし続けるくらいなら断るべきだった。そうでないから、踏み込んだ。]

うまいなら、よかった。

[やわらかい蛸を咀嚼し、飲み込む。
 触れてくる指には、頬を寄せつつ。
 斜めにグラスを傾けて、零さないように飲みきってしまう。]


 
かわいい……!

 付けてみてもいいですか?


[早速と纏めた髪を解いて、緩く髪を巻き直してからかんざしで留める。
鏡がない代わりに結わえた髪を見せるように後ろを向いて、基依さんの方を振り返る。]


 …………どうですか?
 似合います?


[そわそわしながら、彼の感想を待つ。
耳元で紫の蝶がひらひらと舞った。*]  

いーよ、今日はメリィの出番はお休みってことで。

[空いたグラスを置いて手招きして、両腕を広げる。
 腕の中に収まってくれるなら、肩口に頭を置いて抱きしめる。
 頬や髪、手の届くところをあやすように撫でた。

 メリィの名前に疑問を示されたら、あのクッションの名前だと言おう。
 もうここまで来たらクッションに名前が付いていることも笑い話だ*]



  
ちょっと待った、早すぎでしょ!?



[聞こえた返事に、思わず顔を上げて振り返る。
いやまったく考えないで答えたでしょってくらい
返答が早すぎて、怪訝な顔をしかけた時。

腰に当たる蓮司さんの変化に気づいてしまい
かぁ、と首まで染まった。]

  ……えと、ほんとに?

[それでも不信感が拭えなくて。
も一度聞き返せば、駄々っ子のように繰り返される答えに
胸の奥がまたきゅんとしてしまう。

その顔は、ずるい。]


  ……わかりました……今度、
  って ちょっと、蓮司さ…… ぁン っ

[パシャンと湯船が波打って。
ようやく疼きがおさまってきた胸へ触れる悪戯な指先に
咄嗟に手首を掴んでしまう。
上擦った声が反響する恥ずかしさに、慌てて口を閉じた。]

  だめ、です……お湯が汚れちゃうし、
  今からしたら、仕事行けなくなりそうだし……

[一度外れた箍は、まだかなり緩んでいて。
簡単に再熱しそうな気配に、必死に理性を奮い立たせながらも
離れようなんて思えずに密着したまま躊躇っていても
燻りはじめた熱がおさまるわけもなくて。

続きを牽制していた手を離せば、背後へ伸ばし
反応している彼にそっと触れた。]


  ぅ……その…手、だけなら。
  初めてだから、上手くないと思います、けど。

[必死に考えた代替え案は、受け入れられただろうか。
お互いそれで我慢できるか甚だ疑問でもあるけども。


──浴室に響く甘い声と、
朝と呼べる時間をすっかり回ってしまった時計だけが
その顛末を知っている。*]

美味しいのは、ジンさんと飲んでるからですね。


[こんなに美味しいなら家でも普段から飲みたい、とは思わない。
根のところで、真なる酒好きの紋章は戴けず。
広げられた両腕にすぽんと収まった。]


メリィ?


[首を傾げて、クッションのお名前を聞けば喉を鳴らして笑った。]

メリィちゃんは今日は有給休暇です。
麦の名前を呼んでください。


[先日もこうして抱きしめ、子供をあやすみたいに撫でてくれた。
今日は、
自分からも背中へ腕を回した。

長いから結構届く範囲が広い。
肩甲骨のあたりに手のひらを触れさせ、もう一方は腰のあたり、きゅ、と力を入れて抱き着いた。]


ジンさん。
……もう一回、



  貴方にキスも したいです。


[髪を撫でてくれる手に呼応するように、長い彼の髪に触れ、指先で梳いた*]

[雑貨屋には、色んなアクセサリーがあった。
それでも最初に見た時から目が離せなかった。]

 "蝶"は再生と復活のモチーフなんだって。
 動けないままだった俺の時間を一緒に紡ぎ始めてくれた君に、あげたかった。

[彼女がくれたものは、自分のカラーと自分を表す"うさぎ"。
だから、自分も彼女のカラーと、彼女に似合うモチーフを贈りたかったのだと話す。

まあ尤もらしい御託を並べたが、単純に「これをつけた紫亜は絶対可愛い」というインスピレーションが一番だった。

包みを開けた彼女の反応は上々で、良かったと胸を撫でおろす。]


 似合う。
 思ったとーり。
 すっっっっげ〜〜〜〜〜〜可愛い。

[自分を可愛く見せるポーズというか、卯田が歓ぶ仕草に精通した彼女が可愛くない筈がない。
かんざしのつけ方を知らなかったらどうしようかと一瞬思ったが、彼女は器用に蝶を頭で遊ばせた。]

 あーーーー見せびらかしたくて贈ったけど、
 想像以上に可愛いから閉じ込めたくなった。

[ハハ、と苦笑する。
旅行は明日もあるけれど、今日彼女がやりたいことがまだあるなら付き合うつもりだった。]

[辺りは薄暮の頃。
夕食にはまだ時間がある。
抱き締めたい気持ちを抑えながら、手を強く握って歩き出した。

さて他に「浴衣デート」でし足りないことは?*]

[悪戯に触れた胸元。
ただお湯の中で恋人の胸に触れてたい。くらいの。
軽い気持ちで触れてたのに、返って来た言葉
急に体が熱くなって、顔に血がのぼる。]


いや。嵐。煽んないで?


[元々ゴム持ってきて無いし、ここでする気は……
って。考えてたら手が伸びてくるし。]



…………っ。も〜〜〜!!!


[それはずるいでしょう。
嵐の顎に手をかけて、振り向かせる。
赤い顔で彼女に口付けた。

──事実として。
その日はちゃんと、彼女を仕事に送り出した。
けれどやはり、身体が心配で。
2日連続で『SASANKA』に食べに行って。
微かに赤い顔をする自分は、アキに揶揄われたりしたかもしれない。*]

そう?
なら、美味しい酒飲むために、また一緒に飲まないと。

[俺もうまい酒を飲みたいし、相手にもそうであってほしい。
 そこに自分と飲むのが条件として加わるなら、何度も酌み交わすほかないではないか。]

あれはねー、うちのペットみたいなものだからね。
ウールのクッションカバーだからメリィ。

[なおメリーさんのひつじは飼い主がメリーなのであって羊はメリーではない。
 酔った勢いでつけた名前に突っ込んではいけないのだ。
 かわいいでしょなんて言いつつ、ふふふと上機嫌に笑う。]

麦。
――麦。

[繰り返し呼んで、呼んで、くしゃくしゃと髪を混ぜる。
 いいこ、と吐息混じりに囁いた。
 長い腕が、こちらの背にも回る。
 ああ、人の温度だ。とくんと心臓の音がする。]

ちょっと待って。

[キスを求められたら、一度制止。
 抱きしめる手を緩めて、グラスを探し。
 空なことに気付いて、水を汲んで飲んだ。]

俺で良ければ。

[軽口めいて笑いながら、眼鏡を外して迎えに行く*]


[彼の話すモチーフの由来を聞いて、言葉に詰まる。

止まったままだった彼の時間を再び動かすことが出来たのが自分であることを、彼自身の口から紡がれて嬉しくない訳がない。

諸手を挙げて褒められることも、全部。
仕草一つに返してくれる反応がくすぐったくも、温かくて。
髪にかけた手を下ろしながら、滲み出る喜色を隠せずに居た。]


 ………嬉しい。
 大事にしますね。


[はにかんで後ろ手に蝶に触れれば、ゆらゆらと踊る。]

[閉じ込められると聞いたなら、首筋を赤く染めながらも。]


 閉じ込められるのは、
……その、嫌じゃないです、

 
その方が、ずっと一緒に居られるし……


 
……嘘、聞かなかったことにしてください。



[口にしてから恥ずかしくなって、顔を覆った。]

[エスコートしてくれる手は力強くて。
その力の強さに応えるように、きゅっと力を込める。
隣を見上げたら、見下ろす瞳と重なって微笑んで。

夕食までまだ時間がありそうだったから。
足湯なら二人で一緒に入れるからと、
ぶらぶらと二人で温泉街の中を散策した。

ようやく見つけた足湯で、浴衣を膝まで持ち上げて足だけを浸す。
借り物の浴衣を濡らさないように気をつけながら。

温かい湯に癒されながら、のんびりと会話を続けている内に、早く二人になりたいな。……なんて気持ちがやっぱり芽生えたから。
少し時間は早いけど、旅館へと足を向けた。*]

はい、次はカレーで飲みますから、忘れないで。


[作ってるところを見たいから、早めに買い物して来なくては。
ヨーグルトを買ってチキンを漬け込んでもいいし、自分用のラッシーも作ろうか。
それに、スパイスカレーと楽しめる氷菓も]

待つ?


[にゅう、と悲しげに眉を下げる。髪はくしゃくしゃ。
ステイ。

グラスに水を注ぐ動作を横目に見ながら、
片手を持ち上げて耳に触った。
すりすりと指の背でなぞる、やっぱりちょっと酔いが回ってきてる。]

貴方でなければだめです。


[眼鏡を外したお顔も素敵です、と言うタイミングがなかった。

二人で座るには狭い一つの椅子を分け合って。
ひやと冷たいチェイサーの甘さ。

恐らく、卵はかなりの固茹でになってしまうらしい*]

[恋人に身に着けるものをあげたい心理というのは、自分がずっとくっついていられない代わりなのだろうか。
心理学には詳しくないけれど。

旅行先の雑貨屋で買ったそれは、将来を約束するものに比べたら頼りない値段だけれど。
いつかそれを贈る時まで、彼女の「大事」の気持ちを占めていて欲しい。]



 聞かなかったことに出来ると思うか?


[小さくてもぜんぶ聞こえた。彼女の気持ち。
薄々感じていたけれど、彼女は「所有されたい」欲求があるのではないか。
それは独占欲の強い男には垂涎ものの餌なのだけれど。

二人で浸かる足湯は気持ち良かったけれど、その足に今度こそ痕をつけたい衝動が高まるばかりだった。]


 
この時間なら、もう布団は敷いてあるな。

 ――帰るぞ。


[行きに比べて下駄の鳴る音が強く響くのは速足の所為。
転ばない様に気を付けながら、元来た道を戻った。
今日行ったその向こうは明日への宿題にして。]

――部屋――

[抱き上げて彼女の下駄を脱がせる。
自分の分を蹴り上げたら、扉に当たってかこんと音を立てた。

夕食は19時だ。
何もしないで待っていると長いけれど、何かをしているとあっという間に過ぎそうな。]


 ……布団、くっつけてあるな。


[綺麗に整えられているそれが乱れたところは、襖で隠してしまえば夕食の配膳時には見えないだろう。
そんなことばかりが頭をよぎる。*]

忘れない忘れない。
久しぶりだな、カレー作るの。

[3種くらいは作りたい。
 ほうれん草と、チキンと。あとはココナッツを効かせたやつにしよう。
 なんてことないやり取りなのにどこか甘やかな雰囲気になるのは、きっと酔いだけのせいじゃない。
 惹かれていく。いつの間にか惹かれていってる。
 好きだと言われたからか、麦の持つ引力なのか、自分があんまりにも絆されやすいのか、おそらくすべて。

 待てに眉下げる様子すら、愛らしく見える。]

ん。

[唇を食むように、キスを重ねる。
 酔うとキス魔になるのはいっそこちらかもしれない。
 水を飲んだばかりの口がもう熱い。
 呼吸のリズムで離れて、もう一度――

 かた、と卵が揺れて、鍋と触れ合った。]

麦。
卵。

[出来損ないの早口言葉みたいに指摘してみたが、手を伸ばして火を止めるには、ここからでは届かない*]

[聞こえてしまった以上、取り消しはできない。
その答えが、是なのか否なのかは分からなかったけど。

それは少し時間差で遅れてやってきた。

足湯を終えて、帰り支度をしている頃に。
聞こえた声はいつもより低くて、強引さがあった。
垣間見えた側面に心臓が跳ねる。

言葉の意味を知らない訳じゃないから、
手を繋いで帰る間も、どきどきと胸が落ち着かなくて。

いつもより少し早いペースに、慣れない下駄を踏み鳴らして後へと続いた。]


 ひゃ、……
 

[部屋に戻れば、急くように抱き上げられて。
咄嗟に支えるように肩口に手を伸ばしてしがみつく。
下駄は早々に脱がされて、彼の脱いだ下駄の音が響く。

夕食にはまだ早いのか、机は来た時のまま。
手のつけられてない茶菓子と水呑が伏せられたままだった。

変わったことといえば、二間の奥に並べられた二組の布団。]


 ………離した方が、いいですか?


[なんて、ちょっと意地悪なことを尋ねながら。
肩口に置いた手を、彼の頬に添えてこつりと額を突き合わせる。*]