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人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ


なみだをながして ことばをこぼして そのやいばがふりおろされるときまで。
こはく は ひすい を ながめつづけました。
ふしぎなみりょくで まるでひきこまれるようだとおもいました。

わたしは あいされたかったのでしょう。


ちかよったらかわいがられるくろねこのように。
ときにはけられて てあしをもがれて しんでしまうけれど。
えさがもらったら すぐににげて じゆうに どこまでも。
きままないいきかたに あこがれました。

みろくは だれかのきおくに きろくされましたか。

それだけで きっと。
なんじゅうねんも なまえがなかったことなど きにならなくなるでしょう。


だから ちっとも   は さみしくありませんでした。
(-158) 2021/07/07(Wed) 10:18:02

【置】 商人 ミロク

朝方、2階の病室から奇妙な匂いがするのにあなた達は気づいただろうか。

一歩、また一歩進む度に違和感が増していく。
扉を開くと。

鮮やかな赤
と、
噎せ返るような鉄錆の匂い
があなたたちの視界に叩きつけられる。
同時に嗅いだことのない、
妙な
――酢酸の臭さと植物を燻った煙のような――
香りが空気に混ざっていた。


男-ミロク-は、病室のベッドの上で
んでいた。



病室の床とベッドのシーツは赤く染まっている。

首を重い刃物で一刀両断。即死だ。
断面は縫合され、人形のようにくっつけられている。

男の服は病院に訪れたときと同じスーツ姿。
衣類の乱れもなく、苦しそうな表情もしていない。

そんな奇妙な死体は、誰かに殺されているように見えるにもかかわらず、
どこか穏やかに笑っているようにもみえた。


気のせいかも、知れないが。



首以外の外傷はないが、左耳の耳朶から血が一筋流れている。
そこには白いピアスが点けられ、光を反射し輝いていただろう。
(L0) 2021/07/07(Wed) 10:46:46
公開: 2021/07/07(Wed) 10:50:00
ミロクは、その夜、命を落としました。
(a8) 2021/07/07(Wed) 10:50:00

【人】 商人 ミロク

>>32 フジノ

「畑仕事、やったことがないんですよね。
 都会では、靴磨きが駅前で盛んです。
 まず見た目の善し悪しが気にされないので。
 強いて言えば首に何か巻いていると良いでしょう」

「いい先生に、と。そういっていただけて幸いです。
 大人相手ばかりだと、疲れてしまいまして。

 きっと、あなたたちのような
 "子供"に慕って欲しかったのかもしれません。
 "大人"は醜くて、狡猾で、汚い部分がよく見えますから」

明日には会えなくなっているかもしれない。
そんな思いを抱いて、男は話した。

誰かが一人、また一人。
―――異常ではない異常の世界で暮らしている。


「"お嫁さん"としての将来を私が受け持つことはしませんが、
 あなたがお嫁さんになれる場所は、提供したいですね。
 できるだけ、手を回してみましょう。大丈夫ですよ。

 あなたは、心優しい、誰かを想える人ですから」


そうしていくつかやりとりをして男は去って行く。
最後に、別れを告げて。
(37) 2021/07/07(Wed) 11:03:14

【秘】 商人 ミロク → 焦爛 フジノ

「明日の朝、私の病室に来てください」

二階の、とある番号を告げる。

「そのとき辛いものをみせてしまうかもしれませんが、
 私は善意ですべてやっていますから、ご了承ください。

 あなたたちを害したいわけではないのです。

 その病室の引き出しに追加で缶詰を入れておきます。
 その食料は――――あと数日。もう少しだけ。
 体力が限界になるまで、明かさないでいてください。
 あなたが食料を持っていることが狙われてしまいますから。

 私は"食べられない"んですよ。
 だからあなたにおわけします。

 それでは、御機嫌よう」
(-164) 2021/07/07(Wed) 11:11:03

【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク

そこは病院の裏口に繋がる廊下。こっそり、裏から猫が遊びに来ていた記憶が甦る。

「…………ぁ?」

一瞬理解が遅れた。
あれだけ軽やかに動き回っていた記憶の中の猫。けれど、今目の前にいる見慣れたものはどれだけ視線を注いでもうんともすんとも言わなくて。

「……ぁ、あ?え、…………っと。な、に?なに?
どうし、て」

どうして貴方がここにいる。
どうして猫がこんな事になっている。
何に対するどうしてなのか分からない。

五体満足だったならまだ眠っているだけと思い込むことができたかもしれない。日常の延長線なのだと。
けれど、見慣れた姿からかけ離れた姿がそうではないと突きつけてくる。

男は、日常の中にある自分の姿を取り繕えない。
狼狽えたまま貴方と猫を交互に見やる。
(-165) 2021/07/07(Wed) 11:11:58

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「…………は、」

約束。
彼と自分しか知らない筈の話に、目を見開いた。

もし僕が忘れても、ニエカワくんが忘れないでしょう?


「…………。何、言ってるんですか。
 巫山戯るのも大概にしてくださいよ、ねえ、」

きっと、生前二人は話したのだろう。
そうに決まっている。そんな筈はない。
けれども声の震えが隠せなかった。
(-171) 2021/07/07(Wed) 11:45:10

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

甘い卵焼きを作るという、些細な約束だ。
その時は彼を殺すだなんて、考えもしていなかった。
お互いが生き延びるのは難しいだろうと、内心思いながら指切りをしたのだ。

弁当を持ってピクニックに行くと約束した時には──決めていた。
確実に守れないと、知っていた。

「ぁ、貴方、何がしたいんですか。
 どうして笑ってんですか。──
なあ!!


殺人を指摘された事よりも、
ニエカワと交わした約束を指摘される事の方が、
男にとってはずっと重い。
(-172) 2021/07/07(Wed) 11:49:32
商人 ミロクは、メモを貼った。
(a10) 2021/07/07(Wed) 12:05:23

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「笑って、いましたか?
 不器用なんですよ、表情を作るのは。

 今、悲しんで良いのか怒って良いのか。
 許して良いのかわかりません。

 でもあなたの立場だったら私は、
 ――きっと彼を殺していました、文句が言えません」

男は高熱の少年と縁が深いわけでも無い。
ただ、少し話しただけの浅い関係だ。
だからこそ、あなたに何も怒りの感情を向けられない。
ただそこにあるのは興味と、少年への憐れみだ。

「私は知りたいだけです、あなたの目的と、
 ニエカワさんの行方を。

 彼と取引をしたんです。
 商品が手元に無いのは可哀想ではありませんか?
 一緒においてあげたいんです。
 彼がなけなしのお金で掴もうとした夢ですよ。

 それに答えたいと思うのは当然じゃ無いですか」
(-173) 2021/07/07(Wed) 12:15:53

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

肩で息をしていた男は、俯いたまま僅かに呻く。
漸く上げた顔は、憔悴しきったものだった。
何かを言おうとして、……口を噤む。
そんな事を数度繰り返し、漸く声にした。

「……。そこまで言うなら、どうぞ」

重い足取りを隠しもせず進む。
扉を開けると、肩越しに貴方を見た。

「見る方が、早いでしょうから」

男の後ろをついて歩けば、手術室に辿り着く。
(-175) 2021/07/07(Wed) 12:33:13

【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク

 先程まで商人が腰掛けていたベッドを見下ろし乍ら、
 乾いた声でボソリと呟く。

「おれァ、先の方だったかなァ」

 
小手先ばかり、口ばかり。
種も仕掛けもある奇跡で生き永らえ乍ら。
それを信ずる事を諦めている。半ば、恐れてすらいた。


 一人残された病室の中、返ってくる声は無い。
 直に男も部屋を出て行き――その場に、静寂が訪れた。
(-176) 2021/07/07(Wed) 12:48:57

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「……もっと後悔していないと思っていました。
 口減らしなんて、いくらでも」

手術室にやってくる、すぐにはピンとこず、
少年を連れ込んだ場所だろうかと扉が開く様子を見ていた。

「そうだ、セナハラさん。私、……
明日死にます。

 理由は死ぬように望まれたからです。
 だから、食事もいりません私以外の皆さんに配ってあげてください。あなたも、随分我慢をさせているでしょうから……衣類だけでも必要であれば寄越しましょうか? お古で良ければ、ですが。」
(-179) 2021/07/07(Wed) 14:29:39

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

メイジは、あなたの言葉をぼんやりと黙って聞いていた。

「ミロクさん、子供が好きってだけでそこまで出来るんだね」

それはどこかあきれたような、けど先程よりは穏やかな声。
ここにいる大人たちは変わっている、と思った。
メイジが知る世界が、狭すぎたのかもしれない。

どうしてここまでしてくれようとするのかわからなかった。
でも──本当のことを話そうと思った。

「……オレは、痛いのも、苦しいのも、オレを脅かすものも
 なくなってほしい──死にたくないよ」

「生きていたい」


それは決意というよりは、縋るような目だ。
死ぬのが恐ろしいから、そうしたいと言わんばかりの。

「たとえ、誰かを犠牲にしてでも、そう思ってる。
 ……オレは、親父のようになりたくないんだ」→
(-180) 2021/07/07(Wed) 14:42:17

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「ミロクさん……オレさ、ここに来る前に、親父を殺したんだ」

「逃れるために、あんなとこから解放されるために。
 だから、──もう、人殺しなんだよ。オレ」

はは、と乾いた笑いが漏れた。
メイジの父親は、兵隊だった。
帰って来てからも、戦争の傷跡が消えずに
荒れ果てた家庭環境を過ごした。
母親は、それに耐えきれずに命を絶ってしまった。
村の者なら、知っているかもしれないこと。

「……そうだよ、オレは馬鹿だよ。
 せっかく都会に出て大人に混じって働けるようになったのに
 親父に逆らえなくて、結局こんなことになったんだから──」

「人を殺すのはつらいよ」


もう"普通"とは程遠くて、背負って生きなければならなかった。
誰かを犠牲にするというのは、そういうことなのだろう。
メイジには耐えられるのか、わからなかった。

「そしてここでも、オレはきっとそうする」


「そう言ったら、どうするの?」

肯定してくれるのだろうか。
──自分に、生き方を教えてくれた"彼"のように。
(-181) 2021/07/07(Wed) 14:52:17

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「……貴方は何があっても、生きたい人だと思ってました。
 衣類も、うん。大丈夫です。
 大分、僕も死にたくなってきましたから」

男は貴方と取引をしていない。
どんな人間か、大して知らなかった。
次に殺すなら貴方だろうかとも思っていたぐらいだ。

「後悔なんてね、ずっと、……ずっとしてますよ。
 朝起きて、夜眠るまで。
 四六時中、後悔と自責の念でいっぱいです」

手術室の扉が開かれた。
(-183) 2021/07/07(Wed) 15:27:21

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

まず目に入るのは、吊るされた肉切れ。
机には塩や胡椒といった調味料が置かれていた。
そして僅かに、硫黄のような、酸味のある異臭がする。
戸棚の一番下を開け、大きなブリキのバケツを引っ張り出した。

男は貴方に見せるように、バケツの蓋を開ける。
……中には、骨や内臓が詰まっていた。
最上部に贄川涼の頭部が置かれている。
少年の首は、割れ物を扱うかのように布で包まれていた。

室内の異臭が強くなったが、出所はこの一つではないらしい。
戸棚には、もう一つ蓋をされたバケツがある。
(-185) 2021/07/07(Wed) 15:31:19

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「はい、はじめはそうでした。
 ここにいる皆さんを殺してでも生き残ろうかと。
 ですが取引をしてしまいましたから。

 まさか私の命が欲しい人が現れると思うでしょうか?
 ―――嫌な誘いではありませんでしたので、乗りました」

どこか満足そうな表情をしている男は、
目の前に広がる光景に一瞬だけ眉をしかめて目を細めた。

「後悔をしているのならば、
 生きようとしている彼らに譲りませんか。
 一秒でも長いその人生を
 有意義に暮らしてもらえるように手伝いませんか?

 気乗りしなければ結構です。
 私の生きるより必要なことが、そうなっただけでした」
(-189) 2021/07/07(Wed) 16:06:41

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

バケツの中身を見た。驚きこそすれど、察しはついてしまい。
喉の奥にせり上がる酸を吐き出す前に言葉が出てきた。
まだ、耐えられる。あり得ない話では無かっただろう。
あの技師もいるのだろうか――そう心のどこかで思いながら。



「私の死体があがったら肉には……流石に出来ませんか。
 知らせる必要があるので、隠れて死ぬつもりは無いんです。

 ニエカワさんの一部は貰っていってもよろしいでしょうか。
 そうですね――歯か骨でも。

 お墓を作ってあげたいんです。こんなところ狭いでしょう?」


あなたを責める言葉は少なく、だが誘う言葉はまるで悪魔のように心の隙間に入り込んでくる。
男は、客を見る目を養ってきた、今まで、ずっと、ずっとだ。
目的がある人間と無い人間を見極めるのが酷く得意だった。
(-190) 2021/07/07(Wed) 16:09:18

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「あなたのしたことは
許されない
でしょう。
 それは罪となりいつまでも人生に刻みつけられます」

「ですが、その罪はあなただけのものじゃありません。
 ここにいる全員が、共犯者です。
 無自覚に、誰も知ること無く、抱えることになります。
 あなただけが背負っていい話では無いんです。

 だからもう無理をしないでください。
 必要以上に、手をかけるのをやめましょう」

夢のような問いかけ。
だが現実は人が減らなければこの飢えを凌ぐことは出来ない。
だから、男は少しでも前を向ける道を用意しようと思っていた。


「私は、あなたに生きていて欲しいんです」

(-191) 2021/07/07(Wed) 16:13:02

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「―――、一つだけお願い事があります。
 あなたは、あなたが憎んだ父親のようにならないでください。
 子供を大切にしないような、
 弱い者たちをこれ以上虐げるような、
 そんな人間にならないでください」


「私のことは殺さなくて構いません。
 ここからいなくなりますから、手を汚さなくて平気です。

 だけど、どうしても一人だけ生かして欲しい人がいます。
 フジノさんだけは、あなたが手を出さないでください。
 彼女が死を選ぼうとしたら止めてあげてください。
 私は、そうしないと信じていますが。
 彼女は、生きる理由があります。
 どれほど私があなたに生きていて欲しくても。
 あなたがそれを脅かすことは私は許しません。

 二人であれば十分ではないでしょうが、きっと間に合います」

二人。そう言っている時点でこの病院の限界が見えているのだとわかる。憶測では無く、嫌な、予想だった。
精神的にも、肉体的にもきっと多くは持たないのだ。

(-193) 2021/07/07(Wed) 16:21:13

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ


「セナハラさんは、今度お話でもしましょう。
 納得してくれるか、わかりませんが」

あの医療従事者は、何処まで生きたいのだろうか。
何処まで、彼らを生かしたいと思っているだろうか。


「生きる理由は皆持っています。
 大きくても小さくても、一つ一つが尊重されるべきです。

 ―――ロクさんについては私が取引をいたしましたから。
 いざとなれば口減らしの対象にしましょう。
 これに彼が同意しないわけがありません。
 ええ、私は、知っています」

うっそりと笑う男に、悪意はひとつもない。
まるで当たり前のように、そして間違ったことでもないように告げていた。
(-194) 2021/07/07(Wed) 16:22:37

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「……、……変な人ですね。気が狂いましたか」

戦場を見た人間の精神は壊れてしまう。
壊れたものは直せない。それが現代医学の結論だ。

「でも、ええ。
 その誘いを魅力的に感じる僕も、気狂いでしょうね」

自決を選ぶ人々を大勢見てきた。
あの時、崖から飛び降りる勇気も無く。
万歳と叫ぶ声に、耳を塞ぐしかなかった。
(-197) 2021/07/07(Wed) 16:39:54

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「この時期の肉は腐敗しやすいんですよ。
 ……気持ちだけ受け取っておきます」

骨はともかく、歯を渡す気にはなれない。
今頭部から引き抜く気には、どうしてもなれなかったからだ。
……これ以上死者を痛めつけるのは嫌だった。

「で、彼と取引した商品というのは?
 彼を起こしておくのは忍びない。
 手早く済ませてくれませんか」

言いながら中身を漁り、血に濡れた骨を一つ差し出す。
背骨のひとつ、上から二番目。
喉仏とも呼ばれる、骨上げで最も丁重に扱われる骨だ。
(-199) 2021/07/07(Wed) 16:49:39

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「私、気が狂っていました?」

はじめて言われました、と言わんばかりの。
思い当たることはあるが、もしかしたらこれは元からの気質だ。

「もしくは、倫理観が欠如していたのでしょう」


・・・・・
・・・


「取引の内容は―――秘密です。
 こればっかりは、信用問題に関わりますから。

 彼がトウキョウに行くための、手段でした。
 使われることは、なく、大切にしまわれていました。
 "場所を教えて貰いました"から。
 その商品と一緒に埋めに行きます。

 ふふ、何処にしましょうか。
 ああ、確か、小さな壺が商品に残っていました。
 さーびすぐらいいいでしょう、そこに詰めて
 ――どこにやりましょうかね」

まるでご褒美を貰えたかのように嬉しそうに手を赤で染めれば、
用が終わったと言わんばかりに立ち去ろうとする。

男にはまだやることがある。いや、本当はこれ以上、
ここにいられなかっただけかもしれなかった。
(-207) 2021/07/07(Wed) 18:37:13

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

許されない。罪。父親のようになるな。
殺さなくていい。いなくなる。
口減らし。生かしてほしい。──生きて欲しい。

うっそり笑う男から次々とでてくる情報。
メイジは内臓が押しつぶされそうになった。

「注文が多い」


その結果、ぴしゃりと出た言葉がこれだ。
当然、メイジは真剣だった。

「……怖くないの?」

──死ぬことが。自分はこんなに怖いというのに。
前にも誰かにしたような問いかけだった。
何故そんなに笑っていられるのだろう。

「やっぱり、おじさん、変な人だ。
 オレたちの知らない間にいろいろ企んでたんだ」

メイジは憂いを帯びた面持ちで、乾いた笑いを零した。

(-208) 2021/07/07(Wed) 18:52:09

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「親父のようにはならないよ。それだけは絶対に。
 オレのやったことが許されないのだって……
 もうわかってるんだ、……嫌なほどね」

──鮮明な赤が、目に焼き付いてる。
メイジは、ぼうっとした頭を覚ますように振った。

そうだ、──自分が殺すと決めた──友達だって
親父みたいにはならないと、そう言ってくれた。
許されることではなくても、それを、無駄にしてはいけない。

「だから、フジノことは……きっと守るよ」

彼女まで犠牲にしなければならない時がきたら
メイジにはもう、耐えられないだろうから。

「……セナハラさんは……。──きっと、わかってくれる」
「だって。オレにたくさん、教えてくれた人だから」

メイジは、すこし悲し気に、だけど穏やかに笑った。

「……いろいろありがと、ミロクさん」

「──あとこの薬ってどうやって使うの? 飲むの?」
(-211) 2021/07/07(Wed) 19:13:58

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ

私は聞こえた声に顔を上げました。
琥珀の瞳があなたを映します。

動転している様子に、もしかしたらという気持ちと。
申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

「あなたの飼い猫でしたか?
 私が、――私が
殺して
しまいました」
(-212) 2021/07/07(Wed) 19:49:58

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ


私は死者を見ることができるようです。
ですが、知っている人間しかみえないようで。
何度か自分の知人と生きていると間違えてしまうことがありました。

生者と区別が出来ないのはいくつか理由があります。
ですが一番を占めるのは、私にとって、彼らが生きているか死んでいるかなど些細だったからでしょう。



黒猫のことは何度か見かけたことがありました。
患者から、医者から、食料を貰ってかわいがられている姿は愛嬌があって。
なんとも贅沢な暮らしだなと羨ましく思ったものです。

だから―――私が殺したといったことは間違いではありませんでした。


やけにずっと猫の声が聞こえると思い、おかしいと思いました。
外に出れば、猫は待っていたと誘うように歩きだしました。

ついて行くと、病院の近くの道ばたに倒れている猫の姿がありました。
まだ少しだけ柔らかい、直に固くなるだろう猫のからだがありました。

土砂崩れに巻き込まれたのか、おかしいほど曲がった引きずった後のある足。
重傷であることも、ここまで歩くのにも相当必死だっただろうとうかがえました。

そして思ってしまったのです。ようやく、と。
弱い命がこのご時世に長く生き続けることなど不可能だと証明されたと、そんな感想を抱きました。
(-213) 2021/07/07(Wed) 19:50:30

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ


「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」

私は黒猫を拾い上げました。
そのまま何を言われようと踵を返し病院へと向かうつもりです。


これ以上は、さむいですから。



誰かを探しているようなあなたに無駄だと声をかけるのは、
それこそ余計な一言だとおもい黙っていることに決めました。
(-214) 2021/07/07(Wed) 19:53:01

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「これぐらい、がんばって覚えてください。
 ……? 怖くないか、ですか」

「怖いですよ。
 私は、死にたくなんてありません」


それこそあなた達を殺してでも生きたかった。

(-215) 2021/07/07(Wed) 20:03:04

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「だけど、望まれてしまいまして。
 そちらの方が嬉しかったんです。

 私が生きることを望む人はいませんでしたが。
 私に死んで欲しいと望む人もいませんでした」

なんと歪んだ感情か。
そこまで男は乾ききって飢えていたのか。
『死を望まれたことに価値をみいだす。』
この言葉は心から告げているように思われ、
この言葉は心から嬉しそうに聞こえただろう。


「ついでに、あなたたちを生かす価値になれるのならば、
 死ぬことも悪くないと思いました」

「上手くいくかはわかりませんが……ここにいた大人達は。
 私を含めて、あなたたちにとって、
 いいひとになれたのなら、よかったですね。

 嫌な人で、記憶され続けるのも嫌ですから」

薬に関しては、詳しいことが説明された。
よく使われる摂取方法は煙草のように火を点けて吸うのだが、
経口摂取でもその分量で有れば問題ないこと。

なにかあれば、とある病室の引き出しを漁って欲しいこと。
そこに翡翠のパイプとライターを置いておくらしい。
その薬を使うときにでも使って、使わなければ、持ち帰って路銀にするといいと言われるだろう。


(-216) 2021/07/07(Wed) 20:10:57