07:47:20

人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

[メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ

視点:


【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「タマオさん」

あなたはあのとき首を横に振ったが、
男は一歩あなたに近づいた。
確かに見えていた、あなたが見えている。
亡くなったはずなのに、姿が見えている。

「あなたはどうして死んでしまったんですか?
 たった少ししかたっていないのに。

 ……いえ、すみません、話したくなければ結構です。
 ただ、……今、私は、死に方を探しています。
 だから、聞きたくなりました」

りんと通った声がたった一人の空間に響いた。
(-6) 2021/07/04(Sun) 21:24:20

【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク

「言ってたかァ……?
 ――マ、人様に命捨てさせようとしてンだ。
 おれが死ななきゃうそだろう」

 首を傾げたが、よく分からなかった。
 気を取り直す様に顔を上げ、至極当然の答えを告げて。

「ンなことより、自負って、お前サン。
 恨みでも買ってんのかい。やっぱりこえェひとかなァ」
(-7) 2021/07/04(Sun) 21:32:08

【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク



「? その理屈はよくわかりませんが。
 あなたがそう思うのでしたら。
 応援はしませんが止めませんよ」

気は乗りません。相も変わらず。

「恨み?
 あなた達のような方からは買っていると思いますよ。
 私の主人は裕福層で、あまり徴兵を逃れ、商いが成功し、
 満足とはいかなくとも不満の無い生活をしてきました。
 私にとっては、ですが。
 他の人にとっては、贅沢といえることでは無いでしょうか?
 と、日々思っています」
(-8) 2021/07/04(Sun) 21:45:05

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「……?」

 声を掛けられ、自身の身体を確認するように眺めた。納得するようにひとつ頷き、あなたに向き直る。

「本官は銃に撃たれて死にました。戦前のことです。
 仔細は記憶しておりませんが、東京駅だったと思います」

 今現在の己を認識できているというのなら、これは隠す内容ではない。思わぬところで露見してしまった。先のあれは気のせいで済まされたかと思ったのだが、そうでもなかったらしい。

「己は銃を所持していない為、あなたに同じ死に方は
 させられないが、他の死に方なら提供出来ないこともない。
 と言っても、可能なだけで今現在試行する気はありません」

 きっと目の前の人物にとっては突拍子もないことを並べているのだろうなと考えるが、こうなると妙な言い訳を立てるのも正直なところ面倒だ。

「己のように死後に突飛な存在になることなぞ稀ですよ。
 あなたは何を理由に死に方を探しているのですか?」

 幽霊になりたいが理由なら不確実だからやめた方がいいと思うよ。
(-9) 2021/07/04(Sun) 21:57:07

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「はじめから、でしたか?」

翡翠が落とされたあの状況から、あなたがこの場で死んだと勘違いをした。
少なくともここで何かがあったか、……死に至るほどの病気など持っていたか。
どちらとも外れていたようだったが。

「拳銃が楽ではありそうでしたね、少し残念です。
 理由ですか?
 取引に私の命を商品に、対価を支払われた方がいます。
 だから、死に方を、探しています。
 事故の方が周りに見つからなくて良いでしょうか?
 なんせ、経験したことがありませんから」

男は、あなたのようになりたいとは、考えたことはありません。
(-12) 2021/07/04(Sun) 22:27:52

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「うん、メイジ。メイジ アキラだよ。
 ……理由? それだけでいいんだ」

メイジは足をぶらぶらと揺らしながら、床を見つめている。
なにをどう話すべきか、考えているようだった。
"取引"をしたのだ、誠実に話すべきだろうかと。

その目はただただ、遠くを見つめている。→
(-18) 2021/07/05(Mon) 0:15:24

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「はい、はじめからです」

 あなたはタマオの思惑通りに事を受け取ってくれていたらしい。あなたが生きている状態で彼の姿が見えるのは、彼としても想定外だったが。
(-19) 2021/07/05(Mon) 0:23:13

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「己はこの村に来た時から
 身体を持たない故、飢えを満たす肉になれない。
 誕生日を理由に生者に必要な食料を分け与えられたくもない。
 痕跡を残さずふらと消えて、探す労力を割かれたくもない。
 かといって霊であったと説明するのも正直面倒だ」
 
 タマオは、実は結構我儘だ。
 
「故にあの形を取りました。
 死体を残さず、死んだと思われればと」
 
 話しぶりからして、彼は心霊現象を起こすことにそれなりに慣れていそうだ。
 
「商品にされたあなたの命に、肉体は含まれるのでしょうか。
 食肉にする話が出ていないのなら、含まれていないと思う」
 
「商品に肉体が含まれない場合、
 あなたは肉になる気はありますか?
 
 あるのなら、ううん……聞きかじり・見様見真似の
 知識ですが、それなりに処理をします。
 
 ないのなら、首から上でも置いて
 おけば死んだ事実は分かり易いと思います。
 
 目玉のみ等、ちいさいものだけにするのなら、
 見つかるように意図しなければ見つけ辛いです。
 書き置きを残すのも選択肢かと。
 
 そもそも何も残す気がないのなら、
 適当な大きさにして外に捨てようと思う」

 殺す算段を立てながら、一先ず死亡後の処理についての見解を述べた。殺し方にも関わってくるので。
(-20) 2021/07/05(Mon) 0:23:19

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

 ああ。語る内に上へ向いていた視線をあなたに戻した。

「試行する気はないと先に言ったが、実はそうでもない。
 己はあなたに過剰に商品を提供されたと思っている」

 タマオが求めたのは、おめでとうの一言だけだった。

「後払いは受け付けないか?」
 
(-21) 2021/07/05(Mon) 0:23:59

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「……痛いのはね、このへんかな。
 病気とかじゃなくても、そういうこと、あるでしょ?」

メイジは胸に手を当てた。嘘ではない。

「つらいのはね、今かも」

メイジは、膝を抱えた。嘘ではない。

「逃れたいのも、今」

そのまま膝に顔を伏せた。嘘ではない。

「あーでも、薬よりも、食料のほうがほしかったかも
 ずっと、おなかすいてるもん」

けど取引をしたのは薬なので、薬はきっちり受け取る。
おはじきはやっぱりだめかーと、へらり笑った。
(-22) 2021/07/05(Mon) 0:30:11

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「払いすぎましたか、すみません。
 渡すものに制限はされていなかったものですから。
 いえ、商品ではなかったんです。
 私の、個人的資産になりますねあの言葉は」

それはそうと、受け付けはします。
少しだけ、不安になりましたが。

「気が進みませんよね、すみません。
 楽に死ねるとは考えていないんです。
 できるだけ、早く死んであげた方が良いと悩んでいまして、
 ……頼ってしまいました。

 肉にはなれますが私、美味しいでしょうか。
 具合を悪くする方が増えないかが心配です。
 人間を食べたことがないからですね、
 少なくとも病気を持っていないのが幸いだと思います」

淡々と、あまり悲しくないように告げる。
誰かのため、という義務感も薄いように思える。
ただ、言われたことをこなしていくような。
最低限それに伴う影響は気遣っているようだ。
(-25) 2021/07/05(Mon) 9:51:29

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

あなたのそばにしゃがみこんだ。
顔は上げてもらわなければ見られない。

「……何から逃げたいのですか?
 病からですか、悩みごとがありましたか」

言葉は、あなたの不調を心配する。
随分と、抑揚がないが。

「満たされない、今の環境にですか?
 すみません、あなたの事情を私は知らないのです」

無責任だと、思っている。
目の前の少年が何を求めているのかわからないままに心を聞いている。

「……心を病んでいるのでしたら、なにか聞くことだけはできるでしょうか」

一つ、提案できることはあったが少年の言葉を聞くことにした。
何が辛いかを、教えてくれるのならば知れるに越したことはない。
(-26) 2021/07/05(Mon) 10:18:36

【人】 商人 ミロク

いつかの時間。

男は大股で一人の少年を探している。
先日男と一番はじめに取引をした、
熱に浮かされたあの少年だ。

男は、少年から対価をもらった。
品物を欲する目的を知っていた。
だからこそ、姿が見えなくなった今行方を探していた。

人の少ない病院内だ、すぐに見つかるだろう。
そう思って、歩みを進めた。
(2) 2021/07/05(Mon) 10:30:52

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「謝られることは何も。良い物をいただきました」

 己は目の前の彼の区分はいまいち理解に及ばないが、少なくともカフェーの女給らと違い、言葉を商品にしていなかったのやもと考えた。己も言葉それ自体よりも、発音する労力を要求したつもりだったし。取引って難しい。

「肉は、ないよりマシ程度の味でしょうね。
 己も精肉の手練れというわけでなく、食後の具合の
 よしあしを保証できない。考慮しないこととしよう」

 不安ならやめとこ。己も不安だし。

「して、何に気が進まないと言うのでしょう?
 殺人に関して言えば己は今更なことであるし…
 …楽に死にたいと考えるのが人情では?
 苦しんで死にたいと言うのなら、それはそれで考えますが」

 拷問の場に居合わせた時のことを思い出している。無表情だ。
(-27) 2021/07/05(Mon) 11:14:38

【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク

 止められないならそれでいいや、と流すことにした。
 単純な理屈だと思うんだけどなァ。

「フゥン、そういうモンかねェ」

 他人事の相槌。
 外の贅沢を羨むことはあれど、恨む由は無い。
 男はそう考えている。

 それから、商人の腰掛けるベッドに近づき。
 手を掴んで掌を仰向けさせ、そこにポトリと一つ落とす。
 白く光る、小さな石。

「ハナシだけってのも味気なかろ。
 イチバン好きな色は白で違いなかったか」
(-29) 2021/07/05(Mon) 11:18:55

【人】 商人 ミロク

>>1 フジノ

「ごきげんよう。フジノさん。
 突然ですが、げーむをしませんか?

 隠して欲しいものがあります。
 決して誰にも、見つからないようにしてください。
 仲のいい友人にも、恩を覚えている医者にも。
 取引をした大人にもです」

その日あなたの前に男はやってきた。
そう、あなたに告げて、包みを渡す。
服の中に隠し続けるには少しかさばるような何か。

そして、内緒話をあなたの耳元で囁いた。

「隠したら、戻ってきて少しの間お話をしましょう。
 その後で、私が探しに行きます。
 見つからなかったら、あなたのかちです。

 見つけられたら、私のかちです」

「かんたんなげーむでしょう?」
(4) 2021/07/05(Mon) 11:47:46

【秘】 商人 ミロク → 焦爛 フジノ

渡されたのは魚肉の缶詰だ。
それと、男があのとき落としたお茶の缶。

「缶詰はあけたら、できるだけ2日以内に。
 一口食べて、長く噛んで、ゆっくりと。
 一度の食事で少量ずつ。
 一定の時間をあけて次を取ること」

「筒には、"薬"が入っています。
 ですが身重の方が飲むべきくすりではありません。
 高値で取り扱われ巷では【阿片】と名前がついています。
 お金に、なります。
 この田舎では金銭に値する価値にはなりませんが、
 ……その先で役に立つことでしょう」
(-34) 2021/07/05(Mon) 11:49:08

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「今のこの環境で一番肥えているのは私ですが。
 そうですね」

人間の精肉など考えたことが無かった。
丁寧に加工できる技術があるのなら一考。

「タマオさんの誕生日を祝う人間が減ってしまいます。
 他の方に、早々頼むことはしないでしょう?」

いくつか考えて、一番自分が納得する答えを出した。
(-50) 2021/07/05(Mon) 13:21:48

【独】 商人 ミロク

/*

狼予想、ロクとセナハラだったんですけど外れましたね。
誰だろう、これ。

残り、【骸糾問】、【連れ星】、【恋未練】、【人魂】
え? 全然わからん。まったくわからん。何?
ロクが骸糾問? ニエカワが恋未練? フジノが連れ星?

大体そんな感じ〜しかわから〜ん☆
(-51) 2021/07/05(Mon) 13:29:42

【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク

「……いただけませんよ?

 話したでしょう、都会にいけば、路銀もなるでしょう。
 靴磨きなどからでも働き口は開いています。
 私がロクさんから金銭として受け取ることが出来ないだけで、
 価値がある物には変わりませんから。

 あなたが手に入れた証を大事にしてください」

味気なく、色の無い態度と声色で。淡々と理由を連ねた。
しばらく眺めて、握ることも無くあなたに返そうとする。

はい、白い色は好きです


あなたは何色が好きですか。


問いかけたら、話が続いてしまいそうなので。
私は言葉を止めました。
(-52) 2021/07/05(Mon) 13:59:14

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ

「ニエカワさん、いますか―――?」

高熱の患者の病室に訪れ気配を探す。
いくらか歩き回ったが、散歩していただけなら、
この病室に戻ってくるだろうと思ったからだ。

「あれから、体調はどうでしょうか
 ……あまり姿を見かけなかったので」
(-53) 2021/07/05(Mon) 14:06:21

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「“次”に期待します。聞くつもりがないと
 あなたに言ったのは、今回に関してだけであるので」

 タマオはこの村の生まれではない。

「ひととせも留まらぬ己からすれば、一度があればそれで十分だ」

 誕生日の文化も、タマオにとっては後付けのものだ。
 
この夏の時期に生まれたことは本当だった。


「故に、そう心配せずとも構わない」

 憂うことなぞありませんよ!感を空気に滲ませている。
(-57) 2021/07/05(Mon) 15:08:50

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

近づかれる気配に一瞬びくりとした。

目だけ見える程度に、少しだけ顔を上げ
見開いた緑色が、あなたを伺うように見つめている。
できたばかりの傷を、包帯の上から擦った。

心配するような言葉をかけられても、本心かまではわからない。
メイジには、目の前の大人が信用できるかまだわからなかった。


「……今の環境、いつ助けが来るか、わかんないし。
 それに、食料だって、足りるかわかんないんでしょ……」

少なくとも病院の食料事情は知っているらしい口ぶり。

「ミロクさんはオレより大人だから
 食べ物の大事さは、オレよりわかってるでしょ」

「はやく、ここから出たい……」

この言葉は、本心から口にしている。
(-61) 2021/07/05(Mon) 16:13:50

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク


「……………いるよ」

霊感が強ければ病室のベッドあたりになにかがいることにきがつくかもしれない。
然しその気配は弱くほとんど姿は見えないだろう。
(-65) 2021/07/05(Mon) 17:19:33

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ

「……もし、かして。
 しん、でしまいましたか? どうして」

か弱く聞こえてくる声に、”見えにくい姿”。
いくつもの心霊現象を見てきた中で明確に見たのはいつぶりだっただろう。

「ニエカワさん、……助けられなくて、すみません。
 病気が悪化でも、したんですか?」
(-71) 2021/07/05(Mon) 20:36:44
ミロクは、【肉】を食べに行かなかった。
(a2) 2021/07/05(Mon) 20:37:22

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「……次、ですか。
 次はどこに行くんでしょうね」

生きていないだけで生きてる人間と同じようなものだろうか。
男にはわからなかったが少なくとも、意識をしないで欲しいという警備員の意思は受け取った。

「では、どうしましょう……ひと思いに、と言いたい、です。
 怖い物は、怖いので。あまり苦しみたくありません。
 ですが、逃げ切れてしまうような体験も恐ろしいので……。
 首を切ってもらうのが良いでしょうか。
 ああでも怖がらせたくは無い。

 物を持てるんですよね、でしたら、頼みたいことはいくつか」

ひとつ。物理的に、出血多量になるように。
ひとつ。あまり肉の断面が見えるような傷は嫌。
ひとつ。自分の借りている病室に死体を残して欲しい。

ひとつ。手紙代わりのものを渡して欲しい。

「少し、話したいことがあるので一度離れますが。
 そのあと、またあなたの前に現れたら引き受けてくれますか」
(-73) 2021/07/05(Mon) 20:57:22

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「これは"取引"ではありません。

 ……ここからでたら何をしたいですか?
 あなた達は、食料難だけさけることが出来たら助かるんでしょうか」

どうですか、と取り出すのは魚肉の缶詰とじゅーす。
どちらも常温で、じゅーすに至ってはこの頃ではあまり見られないのでわからないかもしれない。
冷やす習慣がまだあまり少ないからだ。

「食べますか。
 理由は、あまり聞かないでもらえたらと、思います。
 強いて言えば子供が好きなんです。学生が。
 でも、こういった時に贔屓をしてしまうと諍いが起こります。
 少しの人間にしか行き渡らない配給はあるべきではないです。
 正しい価値で取引をしなければ不平等を起こします。

 私は、あなたに価値を感じました。
 さし出せるものを与える役目が大人としてあります。
 条件があるのならば。
 先程のことに次いで内緒ごとにして欲しいことです」
(-74) 2021/07/05(Mon) 21:08:08

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク

「うん……そうみたい。
 でも苦しまなかったのは、きっとセナハラさんのおかげ」

貴方にゆっくりとニエカワ少年らしき影が貴方一歩、一歩と近寄ってくる。

「いいんだ……俺が死んで皆が助かるなら。
 どうせ、病気でそんなに長くは生きられなかっただろうし……
 おじさんにせっかくもらった薬、使えなかったのは残念だけど」

サイドチェストの一番上の引き出しを指さした。
その中に貴方から受け取った粉薬が使われることなく残っているだろう。
少年にとってはそれが憧れの場所への切符のようなものだった。
しかし、悪化でもしたのかという問いにはゆるく首を振った。

違うよ、俺は殺されたんだ……
(-76) 2021/07/05(Mon) 21:38:08

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「東京へ勉学に赴こうかと。
 次はきちんと自力で肉に出来るようにしておきたく」

 タマオの知識は偏っている。こうした時にその分野だけを学ぶので。そして大分結構自由に存在しているようだ。本人としても、死んでいる以外には概ね生者と変わらない認識である。

「なら包丁か何か、兎角刃物を持ち出しましょうか。
 斧で切り落とし切ってから、
 首を元の位置に戻すのもひとつだと思う」

 縫合の道具もここには存在する。どのような手段でも取れるだろう。入用な物品はどこにあるものか、分かれたら確認してこようとタマオは思った。
(-77) 2021/07/05(Mon) 21:55:59

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「はい、謹んで受けさせていただきます」

 あなたの頼み事は全て了承された。
(-78) 2021/07/05(Mon) 21:56:40

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ

「……
殺された。
セナハラさんに、ですか。
 そうですか」

驚くことができなかった。
いつか起きてもおかしくないとどこかで思っていたから。
だが、目の前の少年が淘汰されるとは想像をしておらずただ哀しみと、憐れみが胸の虚ろを通り抜けた。

「あなたは、彼らを恨んでいないのですか?
 私は、……私はあなたが死んで悲しいです。
 トウキョウにまだ、行けるでしょうか。
 幽霊の足がどこまで動くか知らなくて。
 苦しく、ないと良いのですが……。
 すみません気が利いたことを言えなくて」

わかりやすく動揺したような感情が見え、
あなたを心配している様子がわかる。
出来ることは少ない、だがあなたの今の気持ちを知りたいようだった。
(-84) 2021/07/05(Mon) 23:31:50

【秘】 焦爛 フジノ → 商人 ミロク

包みを見た。缶詰……開ける道具はあっただろうか。
後で探すか、貴方へ聞こうと決める。

筒。阿片。どんなものだったかは、重要ではない。
重要なのはミロクの説明した通り。この先、役に立つ。それだけ。

「―――ありがとう」

そう一言、耳打ちして。

フジノは貴方と一旦別れた後、まず自分の借りている部屋へ向かった。
そうしない内に開けるだろう缶詰は、部屋の中。ベッドの下に。
隠し場所としてベタだけど、この状況で掃除に入る者もいないだろうから。
隠し終えた後、寝巻き替わりの検査着に着替えタオルを掴み、包みごと筒にぐるぐると巻きつける。

そして。
フジノは板を打ち付けていない扉から外へ出た。
この病院には昔から通っている。近辺の事も、よく知っている。
目当てはそう遠くない。雨風に打たれてもしかと立っている木のウロに、包みを入れた。
枝葉を上に被せて隠し、病院の中へと戻っていった。
(-85) 2021/07/05(Mon) 23:51:54

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク

「いえ……いえ、いいんです……
 仕方なかったんじゃないかなって、思うし……」

病の苦しみと時限爆弾のような心臓の痛みから解放されたいまなら、トウキョウにだって飛んでいけるかもしれない。
けど、なぜか今はそんな気にはなれなかった。

「俺は、ここで待ってないと……いけないから……」
(-90) 2021/07/06(Tue) 1:25:33

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ


「……誰を、何を待っているんですか」

死んでもなお。
自分の夢より縛り付けられるものがあるのだろうか。
それが気になって仕方なかった。

「私に、手伝えることはありますか? 
 誰かと傍にいたい、言葉を伝えたいなど。
 できる限りのことなら出来ますよ」
(-94) 2021/07/06(Tue) 2:54:51

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク

「わからない……でも、そんな気がする…」

地縛霊もこう言う感覚なのだろうか、不思議とこの場にとどまっていなければと思うのだ。

「手伝って欲しい事……」

うーんと少し考えて

「じゃあ、伝言……セナハラさんに
 約束…破ったら針千本だよ って」

本人にはそれほど悪意があったわけではないが、殺した人物からの伝言となると、呪いの類にきこえるかもしれない。
(-95) 2021/07/06(Tue) 11:07:03

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ

「そうですか、……わかりました。
 ちゃんと伝えておきます。

 あまり良い取引を出来なかったのが悔やまれますね。
 先生方に殺されてしまうのならば、しっかりと睡眠薬を仕入れておくべきでした。

 ……またあなたと同じ立場で出会えたらお話ししましょう。
 トウキョウの話でも、私の知ってることを少しでも。
 今は準備をしないといけないので、ここから離れてしまうことを許してください」

"同じ立場"、この状況で示すのは一体何か。
どうやら用事があるらしい男は靴をならし、あなたに背を向けようとする、ふと、引き出しを見た。

「薬は――――ここに置いておくと、勿体ないんですよね。
 あなたの遺体でもあれば、お供えするのですが。
 本人に聞いて、そばに置いても良いでしょうか?」


そして男は、セナハラにあなたの遺体の場所を聞いて、
薬を傍に供えたいと申し出た。
(-96) 2021/07/06(Tue) 11:23:57

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク

「実際をつかっても俺の体は……きっとトウキョウまで持たなかっただろうから……」

本当に実行できなくても、それに向かって貴方と取引できたことは少年にとっては意味のあることだったようだ。

「使ってないし、おじさんが使ってもいいよ」

睡眠薬が必要そうな顔をしている気がした。なんとなく。

「でも、お供えしてくれるのはなんかうれしいかも。
 セナハラさんを困らせちゃうかもしれないけど……」
(-98) 2021/07/06(Tue) 12:12:20

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「オレに価値? そんなモノあるのかな……」

口元に笑み湛えてへらりとしながら言い放つ。
目は笑っていない。メイジの笑みはいつもこうだった。

「まだ子供だから……──弱い立場だから
 やさしくされたり、殴られたり、蹴られたりするのかな」

メイジは早く大人になりたかった。
けれど腹が減っているのは本当だ。
受け取るに受け取れず、ただ食料を見つめている。

「ここから出た後なんて、普通に暮らせたら、それでいいよ」

「ああ、でもオレ──"悪い子"だから。
 自由なんて、ないかもね……」

自嘲するように吐き捨てた。
あなたから見れば、何かしらの暴力を受けている
子供のように感じるだろうか。
(-100) 2021/07/06(Tue) 12:58:29

【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク

「ハハ、都会にゃもういかねェだろなァ」

 返してくれるなと言う代わり、
 両手を上着のポケットに突っ込んで。
 あっけらかんとそう言った。

「証もなにも。ただの高くてキレーな石ころだろうよ。
 銭にならねェってンなら、アー、なんだったけか。
 ――あァそうだ、贈りモンとでも思やァいい」

 そんくらいにはなるンだろ、と商人の言をなぞって。
 一歩二歩と後ろに下がる。

 ボチボチ暇の告げ時だろう。
 
話さなかったことの方がずっと多いけれども。
それで足りたというのなら、語る理由も見当たらない。


「そンじゃァ、これにて。
 “説得”されてくれてどうもアリガトウ、兄サン」
(-116) 2021/07/06(Tue) 20:45:27

【人】 商人 ミロク

>>13 フジノ

あなたが戻ってくれば、静かに座ってどこかを眺めて居た。
やってくると気づいて、濡れている服に首をかしげる。
一度席を外して、タオルを持ってくれば、
丁寧に髪や顔を拭き始めるだろう。


「お話は、そうですね。
 あなたがこの村でどう過ごしていたかなど聞きたいですが。

 不都合があれば私の話でもいいですよ。
 あまり面白みがないかもしれませんけれど。
 少しだけ、贅沢な。運だけがよかった男のお話です」

瞳を見返す姿はまたやけに温かみを帯びていて、
いつか肉の香りが漂う近くまで話はされた。

取引でも、なんでもないただの会話。
あなたがどう答えようと男は語っただろう。
(22) 2021/07/06(Tue) 21:08:58

【人】 商人 ミロク

>>13 >>22 フジノ

男は両親の顔を知りません。
赤子の頃、少し裕福な商人の主人に運良く拾われ育てられることになりました。
世渡りと、ほんのすこしの芸を身につけて金を稼ぐ幼少期を過ごして。
大きくなれば、商人としての知識を学び、
ようやく"客を見る"役目として表で活躍が出来るようになったのです。
色々な客と関わるうちに、一つの夢ができました。
つい、今日まで商いの生活で忘れかけていたが、やはりずっと胸の中には残り続けていました。



「教師になりたかったんです。
 しかしまともに学徒として勉学を嗜んでいませんから…。
 ほぼ難しいといわれ、諦めていました。
 実際、人より少しだけ多く本を読んだ程度です。
 このご時世、仕事は選べるものではありませんが、
 夢を持っていたことは忘れたく有りませんね」
(23) 2021/07/06(Tue) 21:10:15

【人】 商人 ミロク

>>セナハラ

しばらくして肉の香りがまだ漂っているだろうか。
人がまばらになった頃、商人は、医療従事者の男に声をかけた

「すみません、お時間いいですか?
 ニエカワさんのことです。

 先程"お話し"したのですが伝言があります。
 ここで、聞きますか? それとも、」

別室がいいですか。
何となしに訪ねる声が、病院内に静かに響いた。
(27) 2021/07/06(Tue) 21:51:20

【人】 商人 ミロク

>>28 セナハラ

「はい、どうやら彼はここにいる方々に
殺された
ようです。
 ご存知でしたか?
 ショッキングな内容ですと気にされると思ったんです。
 病院の体面的にも」

気にしていたのは技師の方だったが、一応、告げることは告げて。

「世迷言だと思いますか?
 それでも構いませんが、聞かないという選択肢はありません。
 最大限考慮をさせていただきますので、好きな条件でお聞きください」
(29) 2021/07/06(Tue) 23:10:24

【秘】 商人 ミロク → 発熱 ニエカワ

「困らせるぐらいで良いですよ」

もし、今。
そんな顔をしていると言われていたらとても驚いただろう。
男は、自分にそんな表情が出来るとも思っていないからだ。
不器用な笑い方は、誰かを怖がらせたりするらしい。
そして、自然にこぼれている笑みには気づいていない。


「いえ、まだ余っていますから大事に持っておきますね。

 ……それでは。

 ―――また縁があれば会いましょう」



自分から背を見せ、そして、歩き出す。
そうでないと、また目の前から消えてしまうかもしれない。
誰かのように。

それは―――少し悲しく、
違う存在であると思い知らされる。

だから、ここでは別れを告げよう。
次出会えるときは憂いが亡くなっていると信じて。
(-124) 2021/07/06(Tue) 23:45:31

【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク

「贈りもの、ですか。
 ……ありがとうございます」

―――僅かに                唇を食む。


「ええ、だから。
 彼らが生きてくれる未来を望みましょうか一緒に」


そのためになら、               。
     になら、   って。
きっと 、私は   のでしょう。
          で            から。
    、今すぐに          。


「『人生には、二つの道しかない。
 一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。
 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ』」

「ロクさん。
 私は、後者でした。」

それでは御機嫌よう。と。
男は告げ背を向けて部屋を出て行った。

また次に話すとき、
男はあなたに一体どんなことを告げるのだろう。

それは男以外、誰にもわからないことだった。
(-129) 2021/07/07(Wed) 0:17:48

【独】 商人 ミロク

「贈りもの、ですか。
 ……ありがとうございます」


―――僅かに声が震えて、何かをこらえるように唇を食む。

「ええ、だから。
 ……彼らが生きてくれる未来を望みましょうか一緒に」


そのためになら、私はいくらでもこの手を汚します。
取引のためになら、なんだって。
きっと今、私は嬉しいのでしょう。
思いも寄らないところで欲しいものがもらえましたから。
それこそ、今すぐに死んだって良いぐらい。

「『人生には、二つの道しかない。
 一つは、奇跡などまったく存在しないかのように生きること。
 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ』」

「私は、後者でしたよ」


「『人生は刺激に満ちた仕事ですが、
  もっとも刺激的なのは、人のために生きるときです。』」
(-130) 2021/07/07(Wed) 0:19:29

【秘】 発熱 ニエカワ → 商人 ミロク

「だめだよ?あんまり虐めたら……」

誰目線なのか、そんなことを冗談ぽく言って笑う。
貴方に微細な表情まで見えているかはわからないが。

「そう……?
 じゃあ、"またね"おじさん」

立ち去っていくどこかもの悲しい背中の彼を見つめ、少年はまた病室に一人残された。
(-133) 2021/07/07(Wed) 1:26:52

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ


「お待たせしました、タマオさん」

どれぐらい時間がたっただろう。
病院内を駆け回っていた男は警備員にはなしかけた。

声をかけたと言うことは、もう準備が出来たのだろう。

「……はぁ。
 流石に気が重いです、無駄なことだと思わないばかりに」

相当ぶりにはいたため息は随分と感情がこもっていた。
(-141) 2021/07/07(Wed) 5:36:03

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

 この男はと言えば、気まぐれに外の様子を見て帰って来た所だった。微塵も濡れていないし扉を介してもいない。改めて非現実的な存在である。

「苦しまないように努力はします」

 必要な物はあなたの病室に運搬済みとのこと。麻酔で意識がない内に首を落とすつもりらしい。
(-142) 2021/07/07(Wed) 5:55:56

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「……、眠ったまま別れをするのは寂しいですね。
 かといって」


「ああ、ちょうど良いのがありましたね。
 ……自分で使うとは思いもしませんでしたが。
 タマオさんは
[阿片]
は流石にご存じですか?

 手元に、あるんです。

 効果がどこまで及ぶかわかりませんが、―――直前までは気をおかしくなれそうだとおもいませんか?」
(-144) 2021/07/07(Wed) 6:09:08

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「ああ、いつぞかには軍でも麻酔代わりに使われていましたね。
 いい考えだと思います。己も不慣れなことをしなくていい」

 この麻酔、未使用で返却できるな。

「余程少量というわけでなければ、
 おおむね望み通りの効果は得られるかと」

 ベッドの下から斧を引っ張り出しつつ、聞きかじった知識を思い出していた。
(-145) 2021/07/07(Wed) 6:31:30

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「ありますよ、あなたに価値は。
 この先が長いことです。病を患っていないことです。
 未来があることです。足があります。
 どこにでも行くことが出来ます。良い子に、なれます。
 明るくない、そう言うかも知れませんが、
 ―――生きていなくてはわかりません」

「子供の立場を決めるのは今の社会では大人の役目でしょう。
 不運であったと思います。
 子供が"弱い"立場とあなたが言う理由は、
 あなたの周りから知識を得られなかったからでしょう。
 
 賢い子供は、時に脅威となり大人をも凌駕します。
 あなたに賢くなって欲しくなかったのです。

 手を離して、淘汰されたくない、それが人間の真理です」

「……自由が欲しいのですか?
 すぐには用意が出来ませんが、伝なら紹介は出来るでしょう。
 あなたがどう、手を差し伸べて欲しいか。
 私にはわかりません。
 ただ、一つ聞きたいことがあります。

 餓えをしのいで自由になれるとしたら。
 あなたは、
生きていたいですか
、それと同時に」

それは、他人を犠牲にしてでも、得たい命ですか?


「あなたは、生きる以上に必要なことがあると思いますか?」
(-146) 2021/07/07(Wed) 6:33:14

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「違法だと取り締まられているようですね。
 表だって取引が出来ません。とても高く売れるのに」

残念そうに呟きながら、鞄のなかから一眼レフを取り出す。
高価なレンズの中にしまわれた紙の包みを引っこ抜いた。

続いて取り出したのは翡翠のパイプに………、
しけて使い物にならなくなったマッチ。
暫し眺めて捨てればライターを取り出した。
あまり商品を減らしたくなかったが仕方が無い。

「……副流煙は大丈夫ですか?」

パチン、と。オイルライターを鳴らし火を灯せば閉じた。

「ああそうだ、もう一つ頼み事が……。

 ピアスを人につけたことはありますか。
 もらい物をしまして、嬉しかったんで。
 これだけは体につけておこうと思いまして。
 痛くしても構いませんから、薬が効いてきた頃にでも針で穴を開けてくれますか」
(-148) 2021/07/07(Wed) 7:19:15

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

診察室に靴の音を鳴らしながら入った。
一切の警戒はしていない。


「気が滅入ったとは、面白いことを言いますね。
 あなたが、殺したのでしょう。
 咎めませんよ、都合が、よかったのでしょう」

淡々と、静かに告げる男の瞳には感情が伴っていない。
わかっていた、―――最も早く女子供が犠牲になっていくことぐらい。
一番弱くて、体力を使わず、陥れやすい存在だと。


そしてこの男は霊体というものを皆が見れると勘違いしている。
誰もそれを指摘してくれなかったものだから。


『約束…破ったら針千本だよ』

 そう、ニエカワさんはおっしゃられていました。
 どんなお約束をしたんですか?」
(-149) 2021/07/07(Wed) 7:30:25

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

 一連の動作をしげしげと眺めつつ、煙については問題ない旨を伝えた。吸おうと思わなければ吸わないんだってさ。

「医療行為全般に対して、経験があるとは言えませんね。
 ですが、その程度なら恐らく問題ないかと」

 後のこと考えないで良いし、痛くしても構わないのなら尚のこと。出血が止まってから取り付けた方が良いだろうか? それなりにします。
(-150) 2021/07/07(Wed) 7:47:36

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「そうですか」

夜中、その静かな空間で、火を点けた。
独特の香りが病室に漂い始める。
この香りで皆気づいてしまうだろうか。
自分が大声を出さなければ済む話だとも思った。

いくつか頼み事をして、確認をして。
取引をした相手を思い返していた。



「スー―――……
ー……」



ふらり酩酊。なれない煙に噎せつつ。
壁にもたれかかり座り込む。
ピアスに輝く白の宝石を眺めて小さく笑っていた。
(-152) 2021/07/07(Wed) 8:22:32

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

 暫し様子を見てから、あなたを床に寝かせた。切り落とし辛いので。ピアスも一応、血に塗れる心配のない場所へのけた。持っていたそうなら、そうした。
(-153) 2021/07/07(Wed) 8:43:05

【秘】 流転 タマオ → 商人 ミロク

「それでは」

 次が当然にあると思っているような、
 こんな状況にそぐわない淡々とした別れを告げて。


それから斧を振り下ろした。
 
(-154) 2021/07/07(Wed) 8:56:31

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ

「? わたしのですよ、それ。
 かえしてください、わたしがもらったものなんです」

だだをこねるように。
ぼんやりとあなたの目を見ずに手を伸ばしている。

ぺたり。すぐに力は抜けて床に寝転んでいた。


「……『         』」

何かを呟きたいが、思い浮かぶ言葉が無くて。
ただ、今、自分は。
誰かの為に死ぬことが出来ているのかだけを考えていて。
(-156) 2021/07/07(Wed) 9:50:14

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ


「わたしのかちがしりたかったです

 おかねじゃないと わからないじゃないですか

 だれもがわかる かちなんて ないじゃないですか

 いいことをしたからいいひとでもなくて

 わるいことをしてもいいひとだなんて

 わからないじゃないですか

 だったら わたしのことばや

 わたしのいのちのうむに

 かちをみいだしてくれるひとがいたなら

 それはもう そのひとにとっては

 かちのあるにんげんになれたとおもって

 いいんじゃないんですか 

 ここにこれてよかったです あなたにあえて それに―――」
(-157) 2021/07/07(Wed) 10:08:38

【秘】 商人 ミロク → 流転 タマオ


なみだをながして ことばをこぼして そのやいばがふりおろされるときまで。
こはく は ひすい を ながめつづけました。
ふしぎなみりょくで まるでひきこまれるようだとおもいました。

わたしは あいされたかったのでしょう。


ちかよったらかわいがられるくろねこのように。
ときにはけられて てあしをもがれて しんでしまうけれど。
えさがもらったら すぐににげて じゆうに どこまでも。
きままないいきかたに あこがれました。

みろくは だれかのきおくに きろくされましたか。

それだけで きっと。
なんじゅうねんも なまえがなかったことなど きにならなくなるでしょう。


だから ちっとも   は さみしくありませんでした。
(-158) 2021/07/07(Wed) 10:18:02

【置】 商人 ミロク

朝方、2階の病室から奇妙な匂いがするのにあなた達は気づいただろうか。

一歩、また一歩進む度に違和感が増していく。
扉を開くと。

鮮やかな赤
と、
噎せ返るような鉄錆の匂い
があなたたちの視界に叩きつけられる。
同時に嗅いだことのない、
妙な
――酢酸の臭さと植物を燻った煙のような――
香りが空気に混ざっていた。


男-ミロク-は、病室のベッドの上で
んでいた。



病室の床とベッドのシーツは赤く染まっている。

首を重い刃物で一刀両断。即死だ。
断面は縫合され、人形のようにくっつけられている。

男の服は病院に訪れたときと同じスーツ姿。
衣類の乱れもなく、苦しそうな表情もしていない。

そんな奇妙な死体は、誰かに殺されているように見えるにもかかわらず、
どこか穏やかに笑っているようにもみえた。


気のせいかも、知れないが。



首以外の外傷はないが、左耳の耳朶から血が一筋流れている。
そこには白いピアスが点けられ、光を反射し輝いていただろう。
(L0) 2021/07/07(Wed) 10:46:46
公開: 2021/07/07(Wed) 10:50:00
ミロクは、その夜、命を落としました。
(a8) 2021/07/07(Wed) 10:50:00

【人】 商人 ミロク

>>32 フジノ

「畑仕事、やったことがないんですよね。
 都会では、靴磨きが駅前で盛んです。
 まず見た目の善し悪しが気にされないので。
 強いて言えば首に何か巻いていると良いでしょう」

「いい先生に、と。そういっていただけて幸いです。
 大人相手ばかりだと、疲れてしまいまして。

 きっと、あなたたちのような
 "子供"に慕って欲しかったのかもしれません。
 "大人"は醜くて、狡猾で、汚い部分がよく見えますから」

明日には会えなくなっているかもしれない。
そんな思いを抱いて、男は話した。

誰かが一人、また一人。
―――異常ではない異常の世界で暮らしている。


「"お嫁さん"としての将来を私が受け持つことはしませんが、
 あなたがお嫁さんになれる場所は、提供したいですね。
 できるだけ、手を回してみましょう。大丈夫ですよ。

 あなたは、心優しい、誰かを想える人ですから」


そうしていくつかやりとりをして男は去って行く。
最後に、別れを告げて。
(37) 2021/07/07(Wed) 11:03:14

【秘】 商人 ミロク → 焦爛 フジノ

「明日の朝、私の病室に来てください」

二階の、とある番号を告げる。

「そのとき辛いものをみせてしまうかもしれませんが、
 私は善意ですべてやっていますから、ご了承ください。

 あなたたちを害したいわけではないのです。

 その病室の引き出しに追加で缶詰を入れておきます。
 その食料は――――あと数日。もう少しだけ。
 体力が限界になるまで、明かさないでいてください。
 あなたが食料を持っていることが狙われてしまいますから。

 私は"食べられない"んですよ。
 だからあなたにおわけします。

 それでは、御機嫌よう」
(-164) 2021/07/07(Wed) 11:11:03

【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク

そこは病院の裏口に繋がる廊下。こっそり、裏から猫が遊びに来ていた記憶が甦る。

「…………ぁ?」

一瞬理解が遅れた。
あれだけ軽やかに動き回っていた記憶の中の猫。けれど、今目の前にいる見慣れたものはどれだけ視線を注いでもうんともすんとも言わなくて。

「……ぁ、あ?え、…………っと。な、に?なに?
どうし、て」

どうして貴方がここにいる。
どうして猫がこんな事になっている。
何に対するどうしてなのか分からない。

五体満足だったならまだ眠っているだけと思い込むことができたかもしれない。日常の延長線なのだと。
けれど、見慣れた姿からかけ離れた姿がそうではないと突きつけてくる。

男は、日常の中にある自分の姿を取り繕えない。
狼狽えたまま貴方と猫を交互に見やる。
(-165) 2021/07/07(Wed) 11:11:58

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「…………は、」

約束。
彼と自分しか知らない筈の話に、目を見開いた。

もし僕が忘れても、ニエカワくんが忘れないでしょう?


「…………。何、言ってるんですか。
 巫山戯るのも大概にしてくださいよ、ねえ、」

きっと、生前二人は話したのだろう。
そうに決まっている。そんな筈はない。
けれども声の震えが隠せなかった。
(-171) 2021/07/07(Wed) 11:45:10

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

甘い卵焼きを作るという、些細な約束だ。
その時は彼を殺すだなんて、考えもしていなかった。
お互いが生き延びるのは難しいだろうと、内心思いながら指切りをしたのだ。

弁当を持ってピクニックに行くと約束した時には──決めていた。
確実に守れないと、知っていた。

「ぁ、貴方、何がしたいんですか。
 どうして笑ってんですか。──
なあ!!


殺人を指摘された事よりも、
ニエカワと交わした約束を指摘される事の方が、
男にとってはずっと重い。
(-172) 2021/07/07(Wed) 11:49:32
商人 ミロクは、メモを貼った。
(a10) 2021/07/07(Wed) 12:05:23

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「笑って、いましたか?
 不器用なんですよ、表情を作るのは。

 今、悲しんで良いのか怒って良いのか。
 許して良いのかわかりません。

 でもあなたの立場だったら私は、
 ――きっと彼を殺していました、文句が言えません」

男は高熱の少年と縁が深いわけでも無い。
ただ、少し話しただけの浅い関係だ。
だからこそ、あなたに何も怒りの感情を向けられない。
ただそこにあるのは興味と、少年への憐れみだ。

「私は知りたいだけです、あなたの目的と、
 ニエカワさんの行方を。

 彼と取引をしたんです。
 商品が手元に無いのは可哀想ではありませんか?
 一緒においてあげたいんです。
 彼がなけなしのお金で掴もうとした夢ですよ。

 それに答えたいと思うのは当然じゃ無いですか」
(-173) 2021/07/07(Wed) 12:15:53

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

肩で息をしていた男は、俯いたまま僅かに呻く。
漸く上げた顔は、憔悴しきったものだった。
何かを言おうとして、……口を噤む。
そんな事を数度繰り返し、漸く声にした。

「……。そこまで言うなら、どうぞ」

重い足取りを隠しもせず進む。
扉を開けると、肩越しに貴方を見た。

「見る方が、早いでしょうから」

男の後ろをついて歩けば、手術室に辿り着く。
(-175) 2021/07/07(Wed) 12:33:13

【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク

 先程まで商人が腰掛けていたベッドを見下ろし乍ら、
 乾いた声でボソリと呟く。

「おれァ、先の方だったかなァ」

 
小手先ばかり、口ばかり。
種も仕掛けもある奇跡で生き永らえ乍ら。
それを信ずる事を諦めている。半ば、恐れてすらいた。


 一人残された病室の中、返ってくる声は無い。
 直に男も部屋を出て行き――その場に、静寂が訪れた。
(-176) 2021/07/07(Wed) 12:48:57

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「……もっと後悔していないと思っていました。
 口減らしなんて、いくらでも」

手術室にやってくる、すぐにはピンとこず、
少年を連れ込んだ場所だろうかと扉が開く様子を見ていた。

「そうだ、セナハラさん。私、……
明日死にます。

 理由は死ぬように望まれたからです。
 だから、食事もいりません私以外の皆さんに配ってあげてください。あなたも、随分我慢をさせているでしょうから……衣類だけでも必要であれば寄越しましょうか? お古で良ければ、ですが。」
(-179) 2021/07/07(Wed) 14:29:39

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

メイジは、あなたの言葉をぼんやりと黙って聞いていた。

「ミロクさん、子供が好きってだけでそこまで出来るんだね」

それはどこかあきれたような、けど先程よりは穏やかな声。
ここにいる大人たちは変わっている、と思った。
メイジが知る世界が、狭すぎたのかもしれない。

どうしてここまでしてくれようとするのかわからなかった。
でも──本当のことを話そうと思った。

「……オレは、痛いのも、苦しいのも、オレを脅かすものも
 なくなってほしい──死にたくないよ」

「生きていたい」


それは決意というよりは、縋るような目だ。
死ぬのが恐ろしいから、そうしたいと言わんばかりの。

「たとえ、誰かを犠牲にしてでも、そう思ってる。
 ……オレは、親父のようになりたくないんだ」→
(-180) 2021/07/07(Wed) 14:42:17

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「ミロクさん……オレさ、ここに来る前に、親父を殺したんだ」

「逃れるために、あんなとこから解放されるために。
 だから、──もう、人殺しなんだよ。オレ」

はは、と乾いた笑いが漏れた。
メイジの父親は、兵隊だった。
帰って来てからも、戦争の傷跡が消えずに
荒れ果てた家庭環境を過ごした。
母親は、それに耐えきれずに命を絶ってしまった。
村の者なら、知っているかもしれないこと。

「……そうだよ、オレは馬鹿だよ。
 せっかく都会に出て大人に混じって働けるようになったのに
 親父に逆らえなくて、結局こんなことになったんだから──」

「人を殺すのはつらいよ」


もう"普通"とは程遠くて、背負って生きなければならなかった。
誰かを犠牲にするというのは、そういうことなのだろう。
メイジには耐えられるのか、わからなかった。

「そしてここでも、オレはきっとそうする」


「そう言ったら、どうするの?」

肯定してくれるのだろうか。
──自分に、生き方を教えてくれた"彼"のように。
(-181) 2021/07/07(Wed) 14:52:17

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「……貴方は何があっても、生きたい人だと思ってました。
 衣類も、うん。大丈夫です。
 大分、僕も死にたくなってきましたから」

男は貴方と取引をしていない。
どんな人間か、大して知らなかった。
次に殺すなら貴方だろうかとも思っていたぐらいだ。

「後悔なんてね、ずっと、……ずっとしてますよ。
 朝起きて、夜眠るまで。
 四六時中、後悔と自責の念でいっぱいです」

手術室の扉が開かれた。
(-183) 2021/07/07(Wed) 15:27:21

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

まず目に入るのは、吊るされた肉切れ。
机には塩や胡椒といった調味料が置かれていた。
そして僅かに、硫黄のような、酸味のある異臭がする。
戸棚の一番下を開け、大きなブリキのバケツを引っ張り出した。

男は貴方に見せるように、バケツの蓋を開ける。
……中には、骨や内臓が詰まっていた。
最上部に贄川涼の頭部が置かれている。
少年の首は、割れ物を扱うかのように布で包まれていた。

室内の異臭が強くなったが、出所はこの一つではないらしい。
戸棚には、もう一つ蓋をされたバケツがある。
(-185) 2021/07/07(Wed) 15:31:19

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「はい、はじめはそうでした。
 ここにいる皆さんを殺してでも生き残ろうかと。
 ですが取引をしてしまいましたから。

 まさか私の命が欲しい人が現れると思うでしょうか?
 ―――嫌な誘いではありませんでしたので、乗りました」

どこか満足そうな表情をしている男は、
目の前に広がる光景に一瞬だけ眉をしかめて目を細めた。

「後悔をしているのならば、
 生きようとしている彼らに譲りませんか。
 一秒でも長いその人生を
 有意義に暮らしてもらえるように手伝いませんか?

 気乗りしなければ結構です。
 私の生きるより必要なことが、そうなっただけでした」
(-189) 2021/07/07(Wed) 16:06:41

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

バケツの中身を見た。驚きこそすれど、察しはついてしまい。
喉の奥にせり上がる酸を吐き出す前に言葉が出てきた。
まだ、耐えられる。あり得ない話では無かっただろう。
あの技師もいるのだろうか――そう心のどこかで思いながら。



「私の死体があがったら肉には……流石に出来ませんか。
 知らせる必要があるので、隠れて死ぬつもりは無いんです。

 ニエカワさんの一部は貰っていってもよろしいでしょうか。
 そうですね――歯か骨でも。

 お墓を作ってあげたいんです。こんなところ狭いでしょう?」


あなたを責める言葉は少なく、だが誘う言葉はまるで悪魔のように心の隙間に入り込んでくる。
男は、客を見る目を養ってきた、今まで、ずっと、ずっとだ。
目的がある人間と無い人間を見極めるのが酷く得意だった。
(-190) 2021/07/07(Wed) 16:09:18

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「あなたのしたことは
許されない
でしょう。
 それは罪となりいつまでも人生に刻みつけられます」

「ですが、その罪はあなただけのものじゃありません。
 ここにいる全員が、共犯者です。
 無自覚に、誰も知ること無く、抱えることになります。
 あなただけが背負っていい話では無いんです。

 だからもう無理をしないでください。
 必要以上に、手をかけるのをやめましょう」

夢のような問いかけ。
だが現実は人が減らなければこの飢えを凌ぐことは出来ない。
だから、男は少しでも前を向ける道を用意しようと思っていた。


「私は、あなたに生きていて欲しいんです」

(-191) 2021/07/07(Wed) 16:13:02

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「―――、一つだけお願い事があります。
 あなたは、あなたが憎んだ父親のようにならないでください。
 子供を大切にしないような、
 弱い者たちをこれ以上虐げるような、
 そんな人間にならないでください」


「私のことは殺さなくて構いません。
 ここからいなくなりますから、手を汚さなくて平気です。

 だけど、どうしても一人だけ生かして欲しい人がいます。
 フジノさんだけは、あなたが手を出さないでください。
 彼女が死を選ぼうとしたら止めてあげてください。
 私は、そうしないと信じていますが。
 彼女は、生きる理由があります。
 どれほど私があなたに生きていて欲しくても。
 あなたがそれを脅かすことは私は許しません。

 二人であれば十分ではないでしょうが、きっと間に合います」

二人。そう言っている時点でこの病院の限界が見えているのだとわかる。憶測では無く、嫌な、予想だった。
精神的にも、肉体的にもきっと多くは持たないのだ。

(-193) 2021/07/07(Wed) 16:21:13

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ


「セナハラさんは、今度お話でもしましょう。
 納得してくれるか、わかりませんが」

あの医療従事者は、何処まで生きたいのだろうか。
何処まで、彼らを生かしたいと思っているだろうか。


「生きる理由は皆持っています。
 大きくても小さくても、一つ一つが尊重されるべきです。

 ―――ロクさんについては私が取引をいたしましたから。
 いざとなれば口減らしの対象にしましょう。
 これに彼が同意しないわけがありません。
 ええ、私は、知っています」

うっそりと笑う男に、悪意はひとつもない。
まるで当たり前のように、そして間違ったことでもないように告げていた。
(-194) 2021/07/07(Wed) 16:22:37

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「……、……変な人ですね。気が狂いましたか」

戦場を見た人間の精神は壊れてしまう。
壊れたものは直せない。それが現代医学の結論だ。

「でも、ええ。
 その誘いを魅力的に感じる僕も、気狂いでしょうね」

自決を選ぶ人々を大勢見てきた。
あの時、崖から飛び降りる勇気も無く。
万歳と叫ぶ声に、耳を塞ぐしかなかった。
(-197) 2021/07/07(Wed) 16:39:54

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

「この時期の肉は腐敗しやすいんですよ。
 ……気持ちだけ受け取っておきます」

骨はともかく、歯を渡す気にはなれない。
今頭部から引き抜く気には、どうしてもなれなかったからだ。
……これ以上死者を痛めつけるのは嫌だった。

「で、彼と取引した商品というのは?
 彼を起こしておくのは忍びない。
 手早く済ませてくれませんか」

言いながら中身を漁り、血に濡れた骨を一つ差し出す。
背骨のひとつ、上から二番目。
喉仏とも呼ばれる、骨上げで最も丁重に扱われる骨だ。
(-199) 2021/07/07(Wed) 16:49:39

【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ

「私、気が狂っていました?」

はじめて言われました、と言わんばかりの。
思い当たることはあるが、もしかしたらこれは元からの気質だ。

「もしくは、倫理観が欠如していたのでしょう」


・・・・・
・・・


「取引の内容は―――秘密です。
 こればっかりは、信用問題に関わりますから。

 彼がトウキョウに行くための、手段でした。
 使われることは、なく、大切にしまわれていました。
 "場所を教えて貰いました"から。
 その商品と一緒に埋めに行きます。

 ふふ、何処にしましょうか。
 ああ、確か、小さな壺が商品に残っていました。
 さーびすぐらいいいでしょう、そこに詰めて
 ――どこにやりましょうかね」

まるでご褒美を貰えたかのように嬉しそうに手を赤で染めれば、
用が終わったと言わんばかりに立ち去ろうとする。

男にはまだやることがある。いや、本当はこれ以上、
ここにいられなかっただけかもしれなかった。
(-207) 2021/07/07(Wed) 18:37:13

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

許されない。罪。父親のようになるな。
殺さなくていい。いなくなる。
口減らし。生かしてほしい。──生きて欲しい。

うっそり笑う男から次々とでてくる情報。
メイジは内臓が押しつぶされそうになった。

「注文が多い」


その結果、ぴしゃりと出た言葉がこれだ。
当然、メイジは真剣だった。

「……怖くないの?」

──死ぬことが。自分はこんなに怖いというのに。
前にも誰かにしたような問いかけだった。
何故そんなに笑っていられるのだろう。

「やっぱり、おじさん、変な人だ。
 オレたちの知らない間にいろいろ企んでたんだ」

メイジは憂いを帯びた面持ちで、乾いた笑いを零した。

(-208) 2021/07/07(Wed) 18:52:09

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「親父のようにはならないよ。それだけは絶対に。
 オレのやったことが許されないのだって……
 もうわかってるんだ、……嫌なほどね」

──鮮明な赤が、目に焼き付いてる。
メイジは、ぼうっとした頭を覚ますように振った。

そうだ、──自分が殺すと決めた──友達だって
親父みたいにはならないと、そう言ってくれた。
許されることではなくても、それを、無駄にしてはいけない。

「だから、フジノことは……きっと守るよ」

彼女まで犠牲にしなければならない時がきたら
メイジにはもう、耐えられないだろうから。

「……セナハラさんは……。──きっと、わかってくれる」
「だって。オレにたくさん、教えてくれた人だから」

メイジは、すこし悲し気に、だけど穏やかに笑った。

「……いろいろありがと、ミロクさん」

「──あとこの薬ってどうやって使うの? 飲むの?」
(-211) 2021/07/07(Wed) 19:13:58

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ

私は聞こえた声に顔を上げました。
琥珀の瞳があなたを映します。

動転している様子に、もしかしたらという気持ちと。
申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

「あなたの飼い猫でしたか?
 私が、――私が
殺して
しまいました」
(-212) 2021/07/07(Wed) 19:49:58

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ


私は死者を見ることができるようです。
ですが、知っている人間しかみえないようで。
何度か自分の知人と生きていると間違えてしまうことがありました。

生者と区別が出来ないのはいくつか理由があります。
ですが一番を占めるのは、私にとって、彼らが生きているか死んでいるかなど些細だったからでしょう。



黒猫のことは何度か見かけたことがありました。
患者から、医者から、食料を貰ってかわいがられている姿は愛嬌があって。
なんとも贅沢な暮らしだなと羨ましく思ったものです。

だから―――私が殺したといったことは間違いではありませんでした。


やけにずっと猫の声が聞こえると思い、おかしいと思いました。
外に出れば、猫は待っていたと誘うように歩きだしました。

ついて行くと、病院の近くの道ばたに倒れている猫の姿がありました。
まだ少しだけ柔らかい、直に固くなるだろう猫のからだがありました。

土砂崩れに巻き込まれたのか、おかしいほど曲がった引きずった後のある足。
重傷であることも、ここまで歩くのにも相当必死だっただろうとうかがえました。

そして思ってしまったのです。ようやく、と。
弱い命がこのご時世に長く生き続けることなど不可能だと証明されたと、そんな感想を抱きました。
(-213) 2021/07/07(Wed) 19:50:30

【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ


「あなたも、あまり長く外にいない方が良いですよ」

私は黒猫を拾い上げました。
そのまま何を言われようと踵を返し病院へと向かうつもりです。


これ以上は、さむいですから。



誰かを探しているようなあなたに無駄だと声をかけるのは、
それこそ余計な一言だとおもい黙っていることに決めました。
(-214) 2021/07/07(Wed) 19:53:01

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「これぐらい、がんばって覚えてください。
 ……? 怖くないか、ですか」

「怖いですよ。
 私は、死にたくなんてありません」


それこそあなた達を殺してでも生きたかった。

(-215) 2021/07/07(Wed) 20:03:04

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「だけど、望まれてしまいまして。
 そちらの方が嬉しかったんです。

 私が生きることを望む人はいませんでしたが。
 私に死んで欲しいと望む人もいませんでした」

なんと歪んだ感情か。
そこまで男は乾ききって飢えていたのか。
『死を望まれたことに価値をみいだす。』
この言葉は心から告げているように思われ、
この言葉は心から嬉しそうに聞こえただろう。


「ついでに、あなたたちを生かす価値になれるのならば、
 死ぬことも悪くないと思いました」

「上手くいくかはわかりませんが……ここにいた大人達は。
 私を含めて、あなたたちにとって、
 いいひとになれたのなら、よかったですね。

 嫌な人で、記憶され続けるのも嫌ですから」

薬に関しては、詳しいことが説明された。
よく使われる摂取方法は煙草のように火を点けて吸うのだが、
経口摂取でもその分量で有れば問題ないこと。

なにかあれば、とある病室の引き出しを漁って欲しいこと。
そこに翡翠のパイプとライターを置いておくらしい。
その薬を使うときにでも使って、使わなければ、持ち帰って路銀にするといいと言われるだろう。


(-216) 2021/07/07(Wed) 20:10:57

【秘】 商人 ミロク → 被虐 メイジ

「『人生最大の幸福は、愛されているという確信である。
 自分のために愛されている、否、もっと正確には、
 こんな自分なのに愛されているという確信である。』」

始終男に暗い表情はなかった。

「どういたしまして、メイジさん。
 また機会があればどうぞ取引をしてください。

 それでは御機嫌よう」

鞄をもち、背を向けるように踵を返す。
あなたとまた何度かは出会うだろう。
そのときの表情も変わらない、この男は何も後悔をしておらず、
ただあなたたちを思って何かをしようとしていた。
ただそれだけの男だったのだ。
(-217) 2021/07/07(Wed) 20:17:39

【秘】 焦爛 フジノ → 商人 ミロク

「朝、に?
……わかった。ちゃんと、起きてて、ね」

こくり、頷いてそう返しただろう。

辛いもの。害したいわけではない。
"食べられない"。

気になった言葉はいくつも、あった。
それでも言及はせず……ご機嫌ようと、返したのだ。

お互い腹に抱えるものがあると、大人へ足を踏み入れてしまった少女は悟っていた。
(-219) 2021/07/07(Wed) 20:29:48

【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク

骨を手渡せば、そっとバケツに蓋をする。
静かに戸棚へ戻す手付きは、眠る赤子を扱っているようにも見えるかもしれない。

「仕事なら仕方ない、と言わざるしかないですね。
 埋めるなら、うんと深く掘ってください。
 その内鹿や猪が戻ってきて、掘り返してしまいます」

東京に行く為の手段と言われても、
男には一体何なのか思い当たらなかった。
物品でなんとかなるものならば、既に彼の親が買い与えているだろう。
現実主義者の男は、考えるのをやめた。

「……倫理に関しては、僕も大概ですから」


まるで逃げるように立ち去る背中を、感情の無い瞳が映していた。
(-221) 2021/07/07(Wed) 20:42:53

【秘】 被虐 メイジ → 商人 ミロク

「……そっか、安心した」

死ぬのが怖いのは、自分だけではない。
メイジは最後にひとつだけそう呟いた。

あなたの語るそれは、歪んだ感情だとは思った
けれどそれが彼の飢えだったのだろう。
渇きに潤いを求めるのは、当然かもしれなかった。

「またね」

メイジは、その背を見送った。
(-226) 2021/07/07(Wed) 21:00:01