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【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ「――……、君は、 ツィオとも浅からぬ関係だったようだな」 常に軽薄という仮面をかぶっている男だったから、その方面に関しては幼馴染であってもわからない事が多い。 貴方のセリフにはツィオの名前は出ていないけれど、飲み込んだ言葉に彼のことが含まれてることくらいは予想が出来てしまった。 「俺は一人何も知らなかったわけだ」 自分とて、医者としての自分を誰にも話してなかったから同罪だ。 それ故ツィオもマウロも、きっと、俺に対して怒ってるに違いないと思うから、だから、残念に思う気持ちは隠さない。 孤独に耐えるくらいの精神力はあるつもりだが、 こうしてここで貴方に出会ってしまうくらいは、俺もどうにも永遠の孤独には耐えられないようだ。 「せめてここにいる間くらいは、 共に見ていることにするか。……あの2人を」 (-223) 2022/08/22(Mon) 8:45:26 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド貴方の言葉に、肯定も否定も出来ずにいた。 あの人が何を考えて、あの問いかけを行ったのか。 どうしてあんなに苦しげで、それでも言葉を飲み込むのか。 どうして、答えをもう一度求めたのか。 どうして、……聞きたいことは沢山、沢山。 伏せた目をそっと持ち上げて、痛むはずのない胸に己の手を添えた。 「………本当に何も知らなかったのは、誰なんでしょうね」 少しずつ、ズレていたのか。答えは出せない。 だからこれは独り言だ。空に溶けるだけの、解のない問。 「……そうですね。…ともに、見届けましょう。 それが今ラウラ達に出来る、全てですから」 (-237) 2022/08/22(Mon) 11:45:14 |
【独】 Niente ラウラ喉を押さえ、小さな呟きを落とす。 それは誰にも届かなくて、届けたかった言葉。 「──────────……」 その呟きは、音を出さずに口だけが動いて。 それで、それで終わり。 生きたい。…生きたかった。 答えを飲み込んで、目を伏せた。 (-252) 2022/08/22(Mon) 13:40:59 |
【独】 Niente ラウラ「……胸が、苦しい」 きっと、落ちるだけ落ちたのだ。 そうでなければ本当にただ運が悪いだけになる。 だから最後くらい。 「──叶えてください…」 叶わない者の願い。 奇跡のほんの一欠片でも、この手に。 (-253) 2022/08/22(Mon) 13:46:27 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ/* RP中に相談にあがりました、もったいないおばけです。 この度匿名魔女お嬢様より、蘇生の連絡が入りまして……(まじかよ) 蘇生が成功しましたら、臨死体験だったってことにして送り出していただけますでしょうか……! どうぞご一考のほどよろしくお願いいたします。 (-255) 2022/08/22(Mon) 14:08:17 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ「誰もが知ってる所もあり、誰もが知らなかったとも言えるんだろう」 誰、なんて答えは永遠に出ることはないだろう。 全員がそうだという回答が適当なのではないかと思えるほど、自分たちは周りのことがちゃんと見えてなかったのだと思う。 「ツィオは……本気であればあるほど、うまく、正直に言葉が出せない奴だ。 君が、アイツに対して何故、どうしてと思うのであれば……それは、アイツはそれだけ本気だったということだ」 そう言って、また、どこかから聞こえてくる声と二人の様子を静かに見届けている。 遠い目をしながら、伸ばしても触れられなかった手を、握りしめて。 (-272) 2022/08/22(Mon) 17:36:05 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド/* お返事遅くなりました!申し訳ない。 落ち着いたので以下に失礼します。 まずは……おめでとうございます!! 蘇生入るようにお祈りしておきますね………!! 今度こそ幼馴染が揃うように、願っております故。 あと臨死というか……あれでしたら記憶飛ばしていただいても。 何か見たような気がするだけで、覚えてなくても……全然! 形のない、名前もない不思議な世界ですからね。 どうか良きように。 (-282) 2022/08/22(Mon) 18:55:25 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド独り言として零されたものに、応えが返る。 結局、全てを知ることなど叶わない。 相手の心でも読み取れない限り。 「……本気、ですか。……………それは、」 それは……その感情の名前は、想像するものであっているのか。 答えを聞けない今では、その名を付けることが正しいのか わからない。 会いたいと願って。会えないと知っていて。 また、いつかのように泣きたくなった。 それを堪えるように、己の身を抱く。 あの日の熱を思い出し──小さな吐息を 零した。 そこに含まれた感情は……己にも、分からない。 貴方の横でまた泣くのは、きっと 困らせてしまうから。 何かを思うように握りしめるその手を見つめて、口を噤んだ。 貴方が、貴方達が笑える未来が見たかった。 だからどうかと、──最後の願いを ひとつだけ。 (-286) 2022/08/22(Mon) 19:47:59 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ「アイツはすぐ、言葉を飲み込むところがある」 その本音を引き出すのは、自分でも結構骨が折れるんだと、 仏頂面が崩れ、眉をハの字にして苦笑した。 マウロくらい感情を表に出してくれれば何も苦労しないのだが、それは自分自身も無理なのだから仕方ない。 「…………俺は、いつも君を泣かせてしまうようだな」 涙は流れずとも、わかる。 泣くのを耐えていても、心は既に泣いている。 あの日流れた涙を思い出して、もう一度、貴方に手を伸ばした。 ぽん、ぽん。 不器用な手が、貴方の頭を撫でる。 慰めるように、 いつでも泣いて構わないとでも、言うように。 (-296) 2022/08/22(Mon) 20:33:17 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「神なんてものが、俺たちについてるとは思わんが。 聞き届けてくださってるよ」 人なんて信じない。 神なんて信じない。 奇跡なんて信じない。 未来なんて信じてない。 それでも守ろうとした家族の嘆きを、聞きおさめるのが上司の最期のつとめだろう。これも都合のいい妄想かもしれないが。 「それに、あいつは」 「気付くだろうよ、遅くとも全部が終わったあとにでも。 俺に似てるんだ、後悔して嘆いて喚いてた頃に。 そしてお前を愛してたって気付いて、 ――届かないものに焦がれて、どうしようもないものに囚われる」 「それは悪いことじゃない、何故なら 俺たちは悪者 だからだ。お前たちはノッテファミリーの一員だ。 疵になることを恐れず、そして忘れるな」 「ああ、そうだ」 男は手に持っていたカップを落として、嗤った。 (-301) 2022/08/22(Mon) 21:08:34 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ割れた破片は二人の足元に飛び散り、 なんともないようにひとつ落とした張本人の手に取られた。 その破片で 親指 を切り裂けば、そこには血 が浮かぶ。現実味を帯びない冷めた熱はゆっくりと溢れだし貴方に向けられた。 「Laura・Liberatore. Venerio・Firmaniが立ち会おう。」 「永劫、我らが家族であれるように」 メイドマン以上でしか行われていない掟を、今ここに。 お前の愛しの存在よりも一歩先に。 待とうではないか、彼らがいつか訪れることを同じ立場で。 (-302) 2022/08/22(Mon) 21:16:11 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド言葉を飲む込む様子を見て、放っておけない気持ちが湧いて。 どうにもひとりに出来なくて、あの日 こちらから──。 それが正しいか、正しくないか。今に考えたところで意味はない。 不器用な手に撫でられて、ほんの少し 眉を下げた。 泣くのは見届けてからでいい。その方がいい。 ──貴方の優しさがじんわりと胸の奥に広がって。 少しだけ、考えていたものを紡いでみせる。 「……リカルド、様。"好き"の形は、ひとつ ですか。 ……………分からなく、なるのです」 どちらを思っても、胸は苦しくなる。 けれどきっと、本当は何かが 違うのだろう。 「………ラウラだけでは、見つからないのです」 欠けてしまったパズルのピース。 自分で捨てたせいで、拾い集めることが出来なかった。 ただ、誰かの持つそれをなぞって。型を作って。 少しずつ、歪ながらにも欠落を埋めてきた。 (-333) 2022/08/22(Mon) 22:57:40 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ「俺にそれを聞くのか……」 聞かれてる本人が、恋心などというものには一番疎いというのに。 下心を持って近づく女が苦手で、ずっと遠ざけていたというのに。 「”好き”といっても形は色々あるだろう……、 親愛も、友情も、恋心も、一口に言ってしまえば”好き”という感情に他ならない」 「それでも……、親愛や友情と、恋は決定的に違いはあるだろうな。 お前は親とセックスができるか? つまりはまぁ、そういうことなんだろう」 「お前がマウロに向けていた感情と、ツィオに感じた感情がどのようなものであったかは俺にはわからん。 だが……その違いをゆっくり考えるのは悪いことではないだろうな」 例え、あの2人には決してその答えが伝わらないのだとしても。 気持ちに整理をつけることは、この先自分たちが向かう先には必要なことだろうから。 (-345) 2022/08/22(Mon) 23:33:12 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ神というものは、信じない。 何故ならば、いつだって約束や願いが叶わないから。 神がいるのなら、きっともう少し なんて。 「……………"愛"、ですか」 それは、どちらに対してだろうか。 なんて、女には上手く汲み取れないから 首を傾げる。 会いたい気持ちはどちらも同じで。 "好き"の形も………同じ、だろうか。…………………。 けれど軟派な彼と貴方が似ている、というのは想像し難い。 それではつまり、己の上司が? 考えるように、視線が下に向かう。 "愛してた"なんて、そんなことを考えるようには思えないのだ。 多分、きっと。……焦がれて囚われるのも、思い付かない。 ただ、部下を思う気持ちは確かで……。 確かで…………と、思案の先で何かが割れる音が響いた。 ▽ (-352) 2022/08/22(Mon) 23:58:02 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ視線は既に下を向いていた。 だから破片が散らばるこの状況は瞬時に理解して。 目をぱちぱちと瞬かせていれば── 赤 が見えた。「………………………え、」 零した声は、きっと間抜けだった。 流石に驚きは浮かびでるものだ。それは二つの意味でも。 「………あ、……っ、……………………はい、」 ずっと、ずっと己が己を駒として見てきたから。 家族になんて、なれるはずも無いと。 これ以上は望むまいと、諦めていた。 だから今この場で落とされる誓いの色に。動揺せずにいられるはずもなく。 それでも、気づいたその瞬間に動き出していたはずだ。 同じように破片を拾い、親指を切り裂いて 赤 を浮かばせ。──向けられたその色に、己のものを交わらせた。 ここで何か言葉を返せたのなら格好もついたのかもしれないが。 慣れないそれに、返事をすることが精一杯だった。 何とも不思議な話だ。上司よりも1歩先に。 そして、残りの2人と同じ立場に並び立つ。 あの3人がどのような表情を見せるのだろうと、少しだけ笑みが零れた。 (-354) 2022/08/22(Mon) 23:59:18 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ何度かすり合わせるように交わった指。 即答で返ってきた答えは 確かに生きていた しばらく合わせていれば、ゆっくりと離して。 手持ち無沙汰になってしまったその指を舐めながら、もう片方の手で再び頭を粗雑に髪をわしゃわしゃと乱してやる。 まったく、この笑顔をどうしてかわいがれないだろうか。 「――地獄の入り口へようこそ。 これでお前も死ぬまで俺達の家族だ。 裏切ろうものなら命は無いと思え。 俺達はな――嘘はつかないんだ」 ラウラは此処にむいている、物を感情を知らないのがなんだ。 ついてくる決意さえあれば、何処までも道連れにしてやろう。 実際の本物のボスの血ではないが、その席に近い故役職としては十分だろう。 (-362) 2022/08/23(Tue) 0:51:11 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルド確かに、貴方へ聞くのは間違いなのかもしれない。 とはいえだ、ラウラにとっては今 貴方にしか聞く術がない。 それからまともな答えが返ってきそう、という信頼もある。 黙って話を聞きながら、時折相槌を入れて。 それで、悩むように視線を落としたところで。 体に回していた腕を下ろす。 「………………親愛と、友情。………恋、心」 ぽつぽつと、紡がれたものを復唱し。 その意味を考えるように視線がゆっくりとあちこちに向けられる。 「親、と……は…………、」 しないだろう、と両親を思い浮かべる。 顔や声は思い出せやしないけど、そういう対象とは違うのは流石に理解出来る。 「……マウロ様と、…………ツィオ様、」 浮かべたそれぞれの姿に感じるのは、どういう形だろう。 それを今この場で出すには難しいが、……難しい、と思っているが。 自ら望んで手を伸ばし熱を求める存在というのであれば。 ──あれば、と……目を瞬かせた。 何となく、意味を理解出来たかもしれない……多分。 答えを口にするには、もう少し考えるべきだとは感じたけれど。 (-363) 2022/08/23(Tue) 0:52:24 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ「わかったか、少しは」 自分も時々、自分の感情がわからなくなる。 己は女房役の右腕だと豪語していても、ヴェネリオに対する感情は親愛や敬愛だ。 マウロやツィオに関しては、それ以上の執着はなくらいの友情であるはずだ。 貴方に対する感情も、少なからず親愛の情くらいは持っているのだと思う。 では、自分の恋心とやらはどこにあるのだろうか。 もしかしたら、今まで一度もそのような感情など持ったことがないのかもしれない。 自分を第一に想ってくれる存在とは、一体、どのような人の事を指すのか、皆目検討もつかなかった。 ―――それでも。 目が離せない人がいた。 好敵手と位置づけて、様々を見守っていた。 その時抱いていた感情を、一体どう名付けていいかは、これだけ語っていても理解ができないのだ。 自分のこととは、かくも難しい。 「わかったとしても、……今は俺しか触れる熱を伝えることはできないんだがな」 撫でていた手をそろりと沿うように下ろして、その背に回す。 引き寄せて、抱きしめれば死後の世界でも、熱くらいは伝えることができるだろうか。 不器用な自分でも、恋心とやらを語る事ができたならいいと、そう思った。 (-366) 2022/08/23(Tue) 1:15:28 |
【秘】 デッド・ベッド ヴェネリオ → Niente ラウラ「こんなに素直で優秀なんだから、 さっさとマウロごと俺の部下にしておけば良かったな」 ツィオは嫌いだから放置だ。あいつは一人でなんでもする。 「部下になったらお前達を守るのは俺の役目になる。 無茶さえしなかったら自由にしていい。 普段はリックが出した指示をお前達に流して、 無傷で終わったら俺が褒めるんだ。 金の稼ぎ方まだ詳しくはしらないな? もう少しまともな仕事を斡旋してやる。 それで出来たお小遣いでお前は好きな物を買う練習をするんだ」 つらつらと告げるのはもう無い未来。 そうであっただろう不明確な夢は信じるも信じないも自由だ。 「時間が余れば、こうして茶や菓子を嗜んで――。 無いなら趣味でもストレス発散の方法でも、探すのを手伝ってやる。俺は時間があるときは暇だからな」 趣味は<kana 監視>覗き<kana>。ストレス発散に菓子を作ることを勧める程巫山戯てはいないが、きっと目の前のあなたなら何でも吸収するのだろうと思って、誰かの叱る声を脳裏に思い浮かべていた。 (-367) 2022/08/23(Tue) 1:15:42 |
【秘】 無風 マウロ → Niente ラウラ運び込まれた君の元に、近付いてくる男が一人。 未だ顔色は良くないものの、無理しないのならと出歩く許可を貰って。 その顔を見ておきたくて、足を運んだのだ。 アウトローなマフィア、特にノッテのような個人主義の集団でも、ファミリーであったものの亡骸を綺麗にしてくれる人はいるものだ。 眠る君の傍に腰かけて、暫くその顔を見ていたことだろう。 いつものような不機嫌そうな表情ではなく、どこか寂しそうに眉をひそめて。 「……わざわざ死に戻ったっていうのに」 「お前は何でこうなってんだろうな。ヴェネリオも、リカルドもそうだ」 「いや……先にやられた俺の言えることじゃないな」 「伝えるべきことがあったんだ。上司として、俺が死ぬ前に」 ラウラ、と 初めて君の名前を呼んで。 その前髪に優しく触れた。 らしくないとは分かっていても、それを止める事は出来なかった。 (-411) 2022/08/23(Tue) 14:07:56 |
【秘】 無風 マウロ → Niente ラウラ当然、返事はないし。 手に伝わる温度も、生者のそれではない。 形を整えるようにしたのなら、前髪から手を離して。 ふと、少し離して置かれていた 遺留品のショルダーバッグに目を向ける。 赤黒いものがこびりついて、元の色を覆い隠してしまっているそれに手を伸ばす。 「……何が好きだとか、何を持ち歩いてるだとか」 「結局、一度も聞いたことなかったな」 中に手を入れて、布に包まれた何かに触れる。 引き出して、開いてみれば。それは、"自室に置いていた写真立て"。 やっぱりこいつが持っていたのか、と視線だけを一度ラウラに向けて。 リカルドの手紙と、部屋を見た時からなんとなくわかっていた。 それがどういった意図だったのか、それまでは分からなかったけれど。 後ろの留め金に違和感を覚えて、フレームを外してみる。 変わらず入ったままの、3人の写真と、 見覚えのないメモ。 青年は黙って、そのメモに1枚ずつ目を通していくだろう。 (-430) 2022/08/23(Tue) 18:48:03 |
【秘】 Niente ラウラ → 名もなき医者 リカルドゆっくりと、頷いて。 さ迷っていた視線はまた貴方に。 感情とはままならないものだ。 だからこそいつかに捨ててしまった。 それでも探していたのは──ノッテのおかげ。 抱くそれぞれの"好き"が。 同じである必要などないのだろう。 近くなった答えに、心が軽くなったような気がした。 その答えが相手と同じものでなくとも。 それが独りよがりと呼ばれても──ラウラの答えを探そう。 頭を撫でていた手が下りて、背に回れば。 僅かに首を傾けて。 口を開く前に──引き寄せられた。 大きな腕の中におさまる女は、目を見開く。 そのままほんの少し顔を歪めて、その背に腕を回した。 貴方達は不器用だ。とても不器用で。 それでもその中で欠落した者に多くをくれた。 そんな貴方達の幸せを願っていた。 …願っている。 叶わないことばかりでも、ずっと。──ずっと。 「…………"さみしい"です ね……」 (-434) 2022/08/23(Tue) 18:56:39 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ交わる指を見つめ、小さく吐息を零す。 それに含まれた感情の名前はまだ見つからない。 ……それでも、今はそれでいいのだろう。 離れていく指のその全てを見届けて。 乱される髪に温かな感情を抱く。 「──…この命、家族のために。 裏切ることは、ありません」 いつものように真っ直ぐに見つめるのは。 感情が薄いなりの表現だ。 心からそう思っていることを、伝えるための。 拾われたあの日から、道連れになる覚悟は出来ている。 例えあの日にただ頷くだけの子供だったとしても。 心のどこかで、そう考えていたはずだから。 ▽ (-448) 2022/08/23(Tue) 20:10:14 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ貴方の言葉は、夢物語だ。ない未来が描かれている。 それでも、どこかそれを現であればと願うのだ。 叶わないと知っていて。 それでも約束や願いを止められない。 だから。……だから。 ゆったりと頷いて、その夢物語を想像しよう。 信じるには難しく それでいて、優しい夢を──…。 「……趣味、は………分かりません。ですから、ヴェネリオ様と。 …………一緒に、探したいです ね」 貴方の趣味を知っても目を瞬かせるだけ。 それから、どんなものを見ているのか問いかけてみたり。 お菓子は頼まれれば作ろう。 上手く出来たら皆で分けて、そんな様子を眺めて。 叱る声に笑って、"たのしい"その日々を 過ごしていこう。 その夢に切なさを抱き、温かさを得ながら。 交じりあった熱を握りしめ また小さく吐息を零した。 (-449) 2022/08/23(Tue) 20:10:53 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ取り戻した感情は、まだほんの小さなものだったかもしれない。 まだまだ迷い子のように彷徨ってしまうのかもしれない。 それでもきっと、死んでしまっているとしても遅すぎることはないはずだ。 考える頭、心があれば、いつだって取り戻して良いもののはずだ。 それくらいの悔いがあるほうが丁度いい。 空の上から見下ろして、雨となる涙を流せるくらいのほうが、きっといい。 回された腕が、泣いているように感じて、 ぎゅ、と抱き寄せた手に、少しだけ力を込めた。 止まない雨はないのだから、いつだって泣いていい。 「あぁ、寂しい、な」 そう思うから、こうして熱を与え合うことができるのだ。 (-458) 2022/08/23(Tue) 20:44:10 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ近づく足音に振り返る──訳もなく。 そこにあるのはただの器だ。動くはずもない。 貴方の声を死体は聞かない。 貴方の言葉を死体は聞けない。 名を呼ぶ声に──声を、言葉を……返せない。 触れる手も、何もかも 知ることなど出来ない。 それが死ぬということだ。ここには、何もない。 ▽ (-459) 2022/08/23(Tue) 20:47:31 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ持ち歩いていたものは些細なものだ。 けれどここにあるのは、たったひとつ。 ならば他はどこに消えたのか。…死者は語らない。 ただ、そのたったひとつが守るべきものだった。 そのたったひとつを 届けたかった。 ……なんて、それさえも理解は出来ないだろう。 フレームは、簡単に外れた。 そこにあるのは2枚のメモだ。 ならばそれを隠したものは誰か。 貴方はきっと知っている。名前も、あるし。 その文字を、見たこともあるはずだから。 小さめで、主張の少ない文字。 それぞれに書かれた内容は……違うもの。 勿論宛先も。……1枚は、届かないものかもしれない。 ▽ (-461) 2022/08/23(Tue) 20:48:20 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ1つ目のメモは、貴方に向けて。 急いだようには見られない文字がそこに並んでいる。 そして、それをじっくりと書く時間はあまり無かったようにも。 ならばいつ書いたのか。……それも、語られることは無い。 ──────────────────────── マウロ様 ラウラをお傍に置いてくださり ありがとうございました ラウラはマウロ様の不器用な優しさが好きでした ずっと お慕いしております 貴方に栄光と勝利が訪れますように ──────────────────────── …………。 ……。 ▽ (-462) 2022/08/23(Tue) 20:48:48 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロもう1枚も、宛名が記されている。 少しだけ 端がくしゃりと歪んで、折れていた。 ──────────────────────── ツィオ様 ラウラは ツィオ様が好きです あの日 貴方に触れたことに後悔はありません 幸せに なりたかった ──────────────────────── ………………。 …………。 貴方がこの2枚をどうするか。 それは自由だ。 破いても、隠しても。燃やしても。 何だっていい。 咎めるものは誰も──いないのだから。 (-463) 2022/08/23(Tue) 20:49:22 |
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