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【秘】 花で語るは ソニー → 蜉蝣 アベラルド「そりゃ嬉しいや、まだ半人前ってどやされそうだけど。 自分じゃあ花と人を見る目はあるつもりだからさ」 事情や理由は知らない。けれど、褒められて"喜ばれる"と聞いたなら、やはり表情は緩んだ。 いつかは裏稼業のために今ある地位を優先しなくてはならないのかもしれないが、 それまでは今ある時間や、表の自分が作ってきたものは大事にしていたい。 おそらくそれは、相手も近しいものなのじゃないか、なんて。 「オレは配達もあるから、賑わいを見るくらいならそう困んないよ。 外出ることない店は厳しいかもね〜、此処だけの話、レース見るのに路駐することもあるよ」 さておき大事にしているからって、何もかも杓子定規に真面目にしているわけではない。 何より節度を守っている限りは、飲食についてくる飲酒量くらいなら仕事中も咎められない国だ。 同じようにはいかないだろうが、例えを出すのは相手に息抜きのヒントを与えているつもりなんだろう。 勘定のためにカウンターの方へ行き。多少は己より窮屈かもしれないと、考えて、ふと。 「……なんか困ったりはしてない?」 不意に。少しの憂慮が、分別を越えて口に出た。 (-22) 2022/08/14(Sun) 22:21:38 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー「おや、半人前でそれなら一人前になった時がもっと楽しみだ。 ますますここに足を運ぶ価値ができるってもんです」 くつくつと肩を揺らして笑う。実際、楽しみなのだ。 この花屋も、ここで買う花も、ここにいるあなたも、今ある生活の一部だ。 揺らぎが見え始めた自分の時間の中に、良くなるものが、変わらないものがあるなら、大事にしていきたいと思う。 「へえ!そりゃあいいですね、羨ましい。チョコラテリアじゃたくはいはやってないからなあ。 屋台番にでもなりゃあ俺もちょっとは覗けますかね」 レースそのものに興味があるわけではないが、祭りの空気を吸えるのならそそられるものはある。 この男は怠け癖こそあるものの、それこそそれは節度のある範囲内に収まっている。だから店を抜け出して祭りに行く、なんて事はした事もないし。 自分もカウンターへと向かいながら、店長に言って本当に出店の方へ回してもらおうか、なんて考えていたものだから。 あなたにそういうことを問われるとは思っていなくて、「へ?」と気の抜けた声が出た。 「……困ったり、かぁ」「そうだなあ」 顔にかかっていた長い前髪を、思案しながら梳き分けて。 「俺は、特に ……けど」 「困るってよりかは、そうだな……不安?」 「……ですかね」 ふと素に戻っていたのに気が付き、付け足すような敬語を付けた。 (-52) 2022/08/15(Mon) 1:22:43 |
【秘】 花で語るは ソニー → 蜉蝣 アベラルド「夏だし、チョコレートドリンク売ってたら嬉しいだろうなあ、冷たいやつ。 まだトライアル・ランくらいの段でしょ、ちょうど見れるんじゃない」 こんな状況下で店より外に出るのを勧めるのはあまり良くないのだろうけれど、 それで萎縮してばかりいても稼ぎがあるわけではなく、あとには続かない。 口にする考えはごく気軽な、市井の人間としてのものだ。 不織布の中に詰め物をして、ジャスミンの花が少しでも元気であるように。 包んで、会計をして。渡しがてらに勿体ぶって口を開く。 「そっか。……もしもね、頼まれごとがあったなら。 オレは公私どっちでも、役に立てると思いますよ」 照れくさそうに、もごもごと言う。それは、演技なのだけれど。 なぜならここで指す"公私"は、裏稼業と表稼業のこをと言っているのだから。 相手が気遣っている彼女のことは、同じ屋根の下の人間として知っている。 前に出ることの出来ない相手の代わりに――そういうニュアンスの言葉だった。 きっと同じことを申し出る場所が違ったならば、もっとはっきりと口にしたのだろう。 (-86) 2022/08/15(Mon) 9:00:56 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー「チョコレートドリンクなら……店でやってるのを冷やして持って行けばできそうだな。 需要があるんなら、それこそ人通り多い所で出店出してもいいかもしれないですね」 「楽しそうだ」 落ち着いたBGMを聞いているより、今は祭の喧騒の中に居た方が気が紛れるかもしれない。 店の外をふと見た。夏の暑さは変わらず、からりと晴れた空から降りそそぐ日差しが地面を焦がして陽炎を作っていた。 目を細めて、また視線を戻す。 出されただけの数字を財布から出して、ジャスミンを受け取る。 その花に少し微笑んで、それから。 「……ふ。嬉しいな。貴方の事は、頼りにしていますから」 「でも無茶はせずに、ね。俺、貴方の身も案じてたりするんですよ?」 「貴方も何かあったら言ってください。俺だって頼りになる男ですし」 ね、と冗談めかす。 『家族』であるのは、あの子もそうだし、あなたもそうなのだ。 何事も無く無事であって欲しいと願うのは、おかしい事ではないだろう。 ……いや。こんな世界でそれを願うのは、おかしい事なのかもしれない。 手に持つ花の白い花弁が揺れる。 「じゃあ、そろそろ。また明日も来ます」 (-138) 2022/08/15(Mon) 22:46:35 |
【神】 蜉蝣 アベラルド【アルバアジト】 「……やっぱり変だよなぁ。 前々から薄気味悪ぃとは思っていたがいよいよきな臭い」 「こりゃ怠いとか言ってる場合じゃあなさそうだ」 訝し気な顔で資料をぱらぱらと捲り、手を離す。 各々の話を聞きながら、自分のこの違和感やしこりを皆も感じていることを確認して。 「下手な動きも出来ねえ、が。ここで様子見に回りすぎて動くべき時に動けねえのも頂けねえ」 「うちの奴ら数人にも探らせておく。せいぜい動かして3人だ。 あまり人数裂いてもここで嗅ぎまわってんのがノッテにバレて無駄に敵意を買ってもしち面倒だしな」 照査が必要だとしても、情報が足りないのも必要なのも変わらない。信用筋の情報屋がやられたとなれば、これはどこのファミリーも同じ事かもしれないが。 情報が無ければ下手に動けない。アジトが心臓とするならば、情報は血液と言ったところか。 少女の顔を忍び見る。 「……大事に至らないために色々やろうとしてんだ。 ま、ここの奴らなら馬鹿みたいな無茶は誰だってしないだろ。 なあ。そうだよなぁ?」 (G34) 2022/08/16(Tue) 11:28:27 |
【人】 蜉蝣 アベラルド>>36 サルヴァトーレ 「あはは、心配しないでくださいよ。うちのチョコならいくらでも入りますからね」 「では、こちらも。試食の分、ご用意します」 そんな冗談を言って屈託なく笑う姿は、傍目にも裏の顔を持つ人間の物には見えないだろう。 まあ、ここじゃただの従業員だ。違いない。 アベラルド本人も、努めてそうあろうとしているし。 元々 そういう 分別ははっきりしている方だ。プラリネにナイフを入れて、試食用のトレーに乗せる。 小さなピックを刺して、「どうぞ」と差し出した。 「俺もこれ、好きなんですよ。 他にも種類があるので、味の違いを比べても楽しめますよ」 (38) 2022/08/16(Tue) 12:26:46 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 蜉蝣 アベラルド/* Ciao! 夜魔から襲撃のご連絡です。 本日の襲撃先はアベラルド様になるかもしれない……のですが、 現在運営様の方へ様々システム的に事故が起きないか確認中である事と、 しまむら(イタリア店)様の体調がやや優れないように見受けられる事 また、そちらのロールが混雑していて今日死んでしまうと全てがハチャメチャ・不完全燃焼になってしまう可能性がある……! 等、何れか一つでもまずい点がありましたら襲撃先は変更するつもりで居ます。 当然襲撃失敗等の可能性もあるため、 現状こちらからはこうなるかも……程度の連絡ではありますが 念の為確認に伺わせて頂きました。ご都合いかがでしょうか。 (-172) 2022/08/16(Tue) 13:37:40 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 鳥葬 コルヴォ/* わあ襲撃だー−!!こんにちは! 此方の都合は大丈夫です!体調も回復しておりますので対応可能だと思います! ドキドキしてきたな どうぞよろしくお願いします……。 (-179) 2022/08/16(Tue) 15:01:02 |
【秘】 鳥葬 コルヴォ → 蜉蝣 アベラルド/* ご快諾ありがとうございます。 襲撃者もドキドキしています。だいぶ。かなり。 では運営様からOKが出ましたらそっとお命頂戴しにお邪魔させて頂きます…… アベラルド様側にセルフでこういう死に方をするぞ!という予定が特に無い場合 襲撃を実行し、成功した際は更新後に秘話で軽く襲撃ロールを行えたらいいな… の気持ちはありますが、何事も無理の無い範囲でお付き合い頂ければと。 まだまだ暑い日が続きますので、どうかご自愛くださいね。 それでは一度失礼します。Ciao! (-184) 2022/08/16(Tue) 16:32:40 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 鳥葬 コルヴォ/* かしこまりました! 特にこちらで死に方の予定はなかったのでウキウキで襲撃されようと思います。その際はどうぞよろしくお願いします……。 そちらも無理のないようお過ごしください! 打診ありがとうございました!Ciao! (-189) 2022/08/16(Tue) 17:13:39 |
アベラルドは、花を一輪届けに行く。いつものように。 (a16) 2022/08/16(Tue) 17:14:04 |
【独】 蜉蝣 アベラルドどこかの孤児院。 アベラルドは毎日ここに足を運んでは、花を一輪届けている。 仕事帰りの服装のまま玄関まで行けば、職員が一目で要件を理解して一人子供を連れてくるのだ。 花だけを届ける日もあるけれど、今日は顔が見たい気分だった。 「Tesoro、こんにちは。今日は元気だったか?」 『パパ!来てくれたの!』 飛びついてくる少女を受け止めて、髪をくしゃくしゃにしながら頭を撫でてやる。少女はくすぐったそうに笑って、「おはな!」と両手を出してきた。 この少女は義理の娘だった。 抗争に巻きこまれて死んだ妹の娘だ。 自分じゃ引き取れもしないから、ここにいる。 「どうぞ、お姫様」と手渡した花に目を輝かせて、元気よくお礼を言う姿を見て、ずいぶん大きくなったもんだと笑った。 『あのね、この間のお花ね。枯れる前に、押し花にしたの』 『手のひらの大きさの栞にしたのよ!ふふ!』 「そう。そりゃいいなあ。この間の栞も使ってるのか? 全部そうやってたら、部屋が花まみれになるぞ」 『いーの!パパがくれたんだもん!』 ……こんな会話を、限られた面会時間で会うたびにしている。 本当なら家で一緒に暮らして、大人になるまでの成長を支え、見守るものなのだろう。 これでいいと思った。 こうじゃなきゃ、駄目だと思った。 自分が身を置く世界に、彼女までも引き込むことになんてできないのだから。 (-193) 2022/08/16(Tue) 17:51:04 |
【秘】 花で語るは ソニー → 蜉蝣 アベラルド「そうですね、まちぐるみであちこちに出し物をしているから、 ジェラートとかみたいに手に取る人はいるんじゃないかな……」 外からは楽団の演奏が聴こえ、その向こうでパレードの行進する音が混じる。 祭りの陽気に沸く人たちは、喉を潤すものを求めて屋台に足を向けたりもするだろうし、 なにかに怯えて見晴らしのいい場所を避けるなんてことも、しない。 金を受け取ったなら、見送りがてらにカウンターの中から出る。 ありふれた日常の風景。叶うならば明日の日にも同じ情景が続いたならいい。 もっともそれが叶わなくたって、同じように貴方は商品を手にすることは出来るが。 「……世の中、順番てなものがありますから」 ぽつりと、少しだけ低い声になったのは、それが花屋としての言葉ではないからなのだろう。 死ぬべきが誰からかなんて、わかりきったこと。 それを自虐的に口にすることは、ない。 見送りくらいは笑顔で。ガラスの扉が開き、呼び鈴が軽い音を響かせる。 「ありがとうございました。また明日も、よろしくお願いします」 (-267) 2022/08/17(Wed) 10:39:12 |
【秘】 蜉蝣 アベラルド → 花で語るは ソニー「祭り期間だけじゃなくても、夏の間はワゴンで売り出していてもいいかもしれない。俺だってあったら買いそうです」 少しでも落ち着けば、自分もそういう事が出来るだろうか。 皆もそういう事が、気軽に出来るだろうか。 出歩いて後をつけられるような心配も、スコープ越しに覗かれる心配も無い人たちが、笑顔で祭の喧騒を縫って歩いていく風景に、何かを思い憂う事が無くなる事は。 見送りに笑みを向け、入ってきた扉へと足を向ける。扉のノブに手を掛けたところで、聞こえた声に一度振り返り。 「律儀に順番守るのか? 真面目だな、お前」 たったさっきとは全く質の違う笑みを浮かべて、扉を押した。 カラン、カラン。 「どうも」 パタン。 また、明日。きっと何事もなければ、この男は言葉の通りに明日も来るのだろう。 革靴がタイル張りの道を叩く靴音が、店から遠ざかっていった。 (-302) 2022/08/17(Wed) 20:12:58 |
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