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【人】 こどもの アルレシャ「…………アマノ!」 アルレシャは、お城の中を走り回っていました。 使用人にアマノの所在を聞くも、皆一様に首を振ります。彼等も初めての失踪者に、半信半疑なのでしょう。 「ねえ、アマノ! どこにいるの?」 アマノは大人です。子供ではありません。だから、いつかお別れがあることをアルレシャは知っていました。 けれどもこんなに早いなんて、ちっとも思っていなかったのです。 「せめて……、さよならくらい、してよぉ……」 段々と足が重くなり、ついには立ち止まってしまいます。歩くのに疲れたので、大きなクマのぬいぐるみに抱っこしてもらいました。 泣き出しそうになるのを、ぐっと堪えました。 だって、約束しましたから。 (5) 2022/01/20(Thu) 10:45:24 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ「……」 指輪を見て、それから君を見る。 隠すように右手で左手を重ね、暫く悩むように口を閉じた後。恐る恐るといった勢いで言葉が紡がれ始めた。 「……そうね。結婚しているわ。 主人は……自由な人、と評するべきかしら。ふわふわふらふらしていて、自分のやりたい事をやる人。私はそれを支えるの。 …………アルは、どんな人が好きとかあるかしら。まだそういうのは早い?」 嘘は言っていない。事実だ。 (-30) 2022/01/20(Thu) 11:03:46 |
【秘】 なんでも屋 アマノ → こどもの アルレシャ「おー、俺ぁいいやつか。そいつは良かった」 ハハ!と小さく声を上げて笑い、よしよしとまた胸元を撫でる。 手元を見ても、そこには指輪なんてものはありません。 「おう、結婚……まではしてなかったがね。 事実婚……って言ってもちびにゃわからんわな。 ただ、ガキはいたぞ。生きてりゃお前サンと同じか少し上くらいの娘がなぁ。 守るはずが、守れなかったんだ。俺ぁな……」 (-33) 2022/01/20(Thu) 13:47:30 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 欠けた星 スピカ指輪が覆われた理由も、沈黙の理由も、アルレシャにはわかりませんでした。いつもと話し方が違うことだけは、わかりました。 「んん〜……あそびたいから……いっしょにあそべるこがすき! スピカはだんなさんといっしょに、 なにをするのがすき? 」好きでもない人と一緒にいる理由がありませんから、きっとスピカは旦那さんのことが好きなのです。アルレシャは、そう思いました。 ですから『共に何をするのか』ではなく、『共に何をするのが好きか』という問いでした。 (-35) 2022/01/20(Thu) 14:22:17 |
【秘】 こどもの アルレシャ → なんでも屋 アマノ「そうなんだぁ……」 守れるのに、守れなかった。 再びやってきた、『甘くて苦いお菓子』のような言い回しを眠い頭で考えます。守りたい気持ちがあったということだけは、わかりました。 ママだって、アルレシャを守ってくれます。大人とは、そういうものだと思っています。 「そのこ…… なまえは……? 」とうとう声も眠そうになってしまいました。すっかり寝てしまうまで、あと僅かでしょう。 (-36) 2022/01/20(Thu) 14:32:50 |
【秘】 なんでも屋 アマノ → こどもの アルレシャ決して、認められることがなかった契りだ。 愛した人も、生まれた娘も、愛した人を取り戻そうとする追手によって殺されてしまった。 向こうも殺すつもりではなかっただろう。 俺だけを、殺す手はずだったはずだ。 だけどこうなってしまった過去は最早変えられるものではない。 「……シルヴィア。 お前サンみたいに元気で無邪気なガキだったぞ」 さぁ、もう眠りなと。もうひとつ、そっとひと無で。 (-38) 2022/01/20(Thu) 14:42:50 |
【人】 こどもの アルレシャ>>a3 スピカ 「……スピカぁ」 服の袖を引っ張る小さな手がありました。大きなぬいぐるみのクマ……に、抱えられたアルレシャです。 「…………ふたりとも、どこいっちゃったんだろうね?」 声色は沈んでいました。普段の振る舞いからすれば泣き喚いてもおかしくはありませんが、今の所その予兆はありません。 「…………アルはおそらから、さがしてくる。あったかいふく、きていくから」 メイド姿のうさぎのぬいぐるみが、コートを持って来ました。 (8) 2022/01/20(Thu) 14:42:51 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ「一緒に遊べる子。いいわね、一緒だときっと色んなことが出来そうで」 君を見ているようで、なんだか遠くを見ているような眼差し。 「私は……。 ………………」 閉口。沈黙。それから。 「…………分からないわ。私は、主人を支えることばかり考えてたから。 ……何が好きなのか、考えたこともなかった」 (-39) 2022/01/20(Thu) 16:00:11 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 欠けた星 スピカ「ぇ……ええ! すきじゃないのに、けっこんしたの……? むかしはすきだった、とか……?」 親や家といった、自分以外の都合で決まる結婚というものは想像もできません。 アルレシャは枕を抱え、スピカを心配そうに見上げています。 「なんか……、けらいのひとみたい。たいへんそう……」 アルレシャが知っている大人といえば、絵本に出てくる家来や木こり、職人くらいです。中でも1番イメージに近いものが家来でした。 決して貶めているわけではありません。それ以外に言葉が思い付かなかったのです。 (-49) 2022/01/20(Thu) 17:24:25 |
【秘】 こどもの アルレシャ → なんでも屋 アマノ何故死んでしまったの、とは尋ねませんでした。過去は変えられないことを知っているからです。 理由を解き明かした所で、帰ってくるわけでもないのですから。 悲しいことは思い出さない方が良いと、アルレシャは思っています。 「……、 まだ ねないぃ…… 」睡魔に抗ったものの、結局は規則的な寝息が聞こえて来ます。 ……穏やかな、年相応の寝顔でした。 (-51) 2022/01/20(Thu) 17:38:46 |
【人】 こどもの アルレシャ>>9 スピカ 「うん、……うん…………」 そんな言葉へ縋るように、何度も頷きます。心配性なスピカのことです。本心からの言葉だと思いました。 「アルはぜったい、いなくならないよ。ケガしないように、きをつける」 煙のように現れた絨毯が、ふわりと宙に浮きました。アルレシャが上に飛び乗ると、絨毯は窓を目指して進みます。 しかし、ふと思い出したように戻ってきました。 「これあげる。アルレシャあてのおてがみだよ。 かみはいってるからー、それにかいて、ふたするとアルにとどくの。 はやくつたえたいことあったら、これにおねがいね?」 差し出されたのは、閉じる前の封筒でした。淡いピンクに黄緑が混じる、アルレシャらしい色合いです。 言う通り、中には一枚の便箋が入っていました。 (10) 2022/01/20(Thu) 18:38:50 |
【秘】 なんでも屋 アマノ → こどもの アルレシャ「寝たか……」 規則的な寝息が聞こえてくれば、胸元をなでるのをやめ 幸せそうに眠る顔をじっと眺めた。 生きていれば、これくらい。 こうして寝かしつける日もいくらでもあったんだろう。 だけどそんな日はもう来ることはない。 今日だけは何故か、そうした温もりを思い出させてくれた気がして あなたにただありがとうと呟く。 そうして暫くすると静かにベッドを離れ、何処かへ向かう。 これがまさかあなたとの別れになるなど思いもせずに――――― (-56) 2022/01/20(Thu) 20:24:18 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ「いいえ。親が決めたのよ、私と主人は将来結婚しなさいって。子供の頃にね。必要なことだったの。私のお家を守る為に」 まっすぐな言葉に一度瞳を伏せる。 「…………。そう、ね。家来みたい。 妻は主人の為に尽くして、なんでも言うこと聞かなきゃいけない。そういうルールのようなものがあったから」 言い返すことも訂正することも出来なかった。 まさにそうとしか言いようがなかったのだ。 夫の顔を立て、我儘を聞きながら屋敷を切り盛りする。その為だけに女は生き続けているのだから。 (-59) 2022/01/20(Thu) 21:23:42 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 欠けた星 スピカ「……すごく、がんばってきたんだねぇ」 小さな手をスピカの背中に伸ばしました。掌をゆっくり、優しく労るように動かします。 本当は頭を撫でたかったのですが、手が届かなかったのです。 「――――よし、よし。スピカはえらいね……」 その手付きはまるで、母親が子供を宥めるようでした。未だ子供であるはずなのに、何故か手慣れているかのような。 ……かつて自分がお母さんにしてもらったことを、真似ているのかもしれません。 (-62) 2022/01/21(Fri) 0:05:42 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ人探しをするあなたは空を飛び回っていたでしょうか。 それともまた疲れて地を歩いていたでしょうか。 あなたとあなたの乗る物に、大きな影がかかります。 『おそらとべるこ』 互いに人を探してそこら中駆け回っていたのです。 何度か視界の端に姿は見えていたかもしれませんし、目当ての人とはまるで違ったので気にかけなかったかもしれません。 『みつかった?』 言葉少なに、ウミはあなたをじっと見つめて問いかけます。 くたりと垂れた真っ赤な花が、ウミもまた探し人を見つけられていない事を示していました。 (-63) 2022/01/21(Fri) 1:14:33 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ/* はろーはろー。夜遅くに失礼します。 襲撃予告というものです。 遅くなってごめんなさい。 都合が悪かったりお忙しいのでしたら遠慮なくおっしゃってください。 (-64) 2022/01/21(Fri) 1:14:50 |
【人】 こどもの アルレシャ>>11 スピカ 凄い魔法使いかはわかりません。アルレシャは、自分が使う力が魔法なのか、どんな原理なのかも知りませんから。 でも、なんだか嬉しくなりました。 「……ふふ、ありがと?」 ようやく、アルレシャも笑いました。今なら何でもできる気がします。絵本のようなハッピーエンドが迎えられるのだと、子供はいつでも信じています。 「いってくるね! スピカも、ケガしちゃだめだよっ」 そして空飛ぶ絨毯が窓から外へ、夜空を飛んで行きました。 (12) 2022/01/21(Fri) 6:27:16 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 彷徨民 ウミちょうど鬱蒼とした森の上にさしかかった頃でしょうか。声に顔を上げます。 地を歩いている時なら珍しくありませんが、空を飛んでいる時に見上げるのは久しぶりでした。元いた場所では、みんな自由に空を飛んでいましたから。 「あ、とべるこ」 絨毯が夜風にはためいていました。絨毯の上にはアルレシャがひとりだけです。見つかっていないのは明らかでした。 「んーん、アルもまだ。えーと……」 言い淀んでいると、やはり小鳥が飛んで来ます。アルレシャの耳元でウミの名前を囁きました。 「ウミもみつかってないんでしょ? ……どこいっちゃったんだろうね」 (-69) 2022/01/21(Fri) 9:47:55 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ大人しく背中を撫でられる。 小さな子供にこんなに気を遣われるなんて。本来なら自分が子供の面倒をきちんと見るべきなのに。 「偉くなんてないわよ。これは、必要なこと……で……」 言葉尻が萎む。思わず顔を上げる。 その優しげな手つきに身を預けていたが、一欠片の疑問が胸に落ちてきて、少女へと視線を動かした。 真似るにしても、どうしてそこまで違和感なく撫でられるのだろうか。 違和感がないことこそが、違和感だ。 (-71) 2022/01/21(Fri) 10:02:42 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 欠けた星 スピカ「……ふふ」 声色こそ幼い子供の高さです。その眼差しは優しさというよりは、慈愛に近しい何かを孕んでいました。 「もしね、つらくてもうやだっておもったらね、にげちゃえばいいんだよ? たくさんあそんでいれば、おうちのことなんてわすれちゃうもん」 子供らしい、無責任な提案でした。 けれども、前例を知っているかのような言い回しに聞こえるかもしれません。 気のせいかも、しれません。 アルレシャはまだ幼いですから、言葉使いが正しくないことだってあるでしょう。 (-74) 2022/01/21(Fri) 11:08:42 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ子供が持つには不釣り合いの感情にどこか引っかかりを感じるけれど、すぐに泡のように消えていく。 「……。……逃げてもいいの? どれだけ遊んでも、許される?」 女にとっては甘い誘惑。夢のような信じがたい提案。 恐る恐る、というふうに問いかける。その声はあまりにも頼りない。 (-82) 2022/01/21(Fri) 15:22:13 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 欠けた星 スピカそれは、まるで綿飴のよう。ふわふわと柔らかく、雲のような甘さを携えています。 「もっちろん! だれだって、すきなばしょですきなことをしていいんだよ? アルのママなら、ぜーんぶゆるしてくれる!」 スピカの置かれている環境について、先程聞いた程度のことしか知りません。 ――――ですが、アルレシャは知っています。 「……あのね? スピカは、けっこんするためにうまれたんじゃない。 しあわせになるために、うまれたの 」産まれてくる子供は、須く 幸せであるべき なのです。戦争、政治、風習……大人の都合で利用されるなど、以ての外。子供は決して大人の道具ではありません。 だからこそ箱庭の中で、そっと守るのです。 (-83) 2022/01/21(Fri) 16:43:27 |
【秘】 欠けた星 スピカ → こどもの アルレシャ「好きな場所で、好きなことを……」 目を閉じる。 この子が語るのはまるで絵本に出てくる世界のよう。 絵本が好きだった。不思議でいっぱいの世界に幼いときの自分の心はそれはもう弾んでいた。 叶うことなら、好きな道を選んで良いのなら、絵本作家になりたかった。 「幸せになるために生まれた……」 「……。アル、私、わたし……」 ▽ (-85) 2022/01/21(Fri) 18:56:32 |
【秘】 灯された星 スピカ → こどもの アルレシャ「……ごめんなさい。それでも、貴方のお母様の元へ行けないわ」 静かに、丁寧にそう告げる。 「夢に満ちたお話ね。絵本みたいでとっても素敵。 でもね、アル。私までそちらに行ってしまったら、残された他の子たちは誰が守るのかしら。全部全部、皆が守りたいものをアルのお母様が守ってくれるの?」 子守唄を紡ぐように、穏やかに言い続ける。 「大人になってからじゃないと見えないものがある。知らないものがある。幸せだって、自分で掴まなくちゃいけない。 私、それを此処で少しだけ知ったのよ。そして、それを守る為には大人になって力を得ることも必要だって」 「だから……だから、ごめんなさい」 「私は」 「夢を見るだけの子供のままじゃ、いられない」 (-86) 2022/01/21(Fri) 18:59:12 |
【秘】 こどもの アルレシャ → 灯された星 スピカ神さまが救うのは、救いを求める人だけです。救われようとしない人を助けることは、できません。 神さまでさえ、そうなのです。アルレシャのお母さんなら尚更でしょう。 「……やさしいね。それは、スピカじゃなくてもいいのに。 ママはね、うごけないの。だから、じぶんからきたこしか、まもれないんだ」 そう、スピカである必要はないのです。背丈があれば、遠くが見渡せます。大人なら、きっとわかるはず。 それでも、大人になりたいというのなら――止める理由などありません。 するりと小さな手を大きな手に重ね、目を伏せます。 「ざぁんねん。スピカはもう、ママなんだ。 アルにはよくわかんないけど、これからもがんばって」 (-108) 2022/01/22(Sat) 12:14:47 |
【秘】 彷徨民 ウミ → こどもの アルレシャ『とべるこだよ』 ウミは同じような人をここ暫く見た事がなかったので、あなたの存在は新鮮に思えました。 だから視界に入った時、ついあなたの所へ飛んできたのです。 『うん。ラサルハグみつからない』 『……ふたりとも、かくされちゃったのかな』 しょんぼりと眉が下がります。 『それとももくもくのひとのところにいったあと、なにかあったのかな』 最後に話をした時、彼女はそのような事を言っていたのです。 (-123) 2022/01/22(Sat) 20:49:14 |
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