どこにも行けない ヴェルデ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/18(Thu) 2:09:41 |
どこにも行けない ヴェルデ(匿名)は、メモを貼った。 2022/08/18(Thu) 2:10:55 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 暗殺屋 レヴィア痛くされるのは『苦しい』だろうか、と、ついよぎる。 ああ、でも、それはよくないんだったな。 仕事中に殴られたり首を絞められたりしたって、相応に痛みを感じはしてもそれだけで。 だから、たぶん、ここで試す意味もない。 薄い瞼を伏せる。 「届かないよ」 そのヒトは血縁でも何でもなくて。 ただ、部屋の隅を間借りしているだけの。 ただ、借りた金があるだけの。 それでも、少年にとって『家族』に一番近いのは、彼女かもしれなかった。 ……尤も、相手は嫌な顔をしそうだけれど。 「……どうせ、死んだらわからないだろうし」 「言うだけ言ったってことで、いいよ」 それだけ。 最後にそう呟いて、少年はもう一度、あなたを見た。 向けられる銃口を見た。 それが最期だった。 痩せた頼りないからだが頽れる。 (-105) 2022/08/18(Thu) 9:16:34 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ不機嫌な顔なら見慣れている。 それなのに、どうしてそんな顔をするのだろう。 「知らない、ガキだから」 どうしてそんな風に触れるのだろう。 「おれは言われないとわかんないし、」 「あんたも言えなかったら、ずっと何もわからない」 ▼ (-111) 2022/08/18(Thu) 11:15:03 |
ヴェルデは、あの日、開いた口から——「ッ、この強情女」 (c4) 2022/08/18(Thu) 11:15:20 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカそんな風に悪態をつくのも、初めてのことだ。 ハイヒールに踏み付けられた足が痛む。 それは或いは、姉弟喧嘩にも似ていた。 溜息ひとつ。 お望み通りに手を離し、絵本を拾った。 いつか、あなたが投げて寄越したものだ。 古びたそれは、必要がなくなって手放されたのだろうけれど。 少年にとっては、大切なものだったから。 (-112) 2022/08/18(Thu) 11:16:02 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → どこにも行けない ヴェルデ女は人を綺麗に殺す。 余計な傷も痛みも与えない。 その方が、後処理が楽だから。 「そう。」 「残念ね。」 帰ってくるのは、やはり温度の無い言葉。 裸の紙幣の行く末がどうなるか、貴方が見届けられる事は無い。 引き金は躊躇いなく引かれた。 「…………。」 「馬鹿ね。」 倒れ伏す体を見下ろして。 その時の言葉と瞳だけが、僅かに温度を滲ませて。 少しだけ目を伏せて。 そうして。 全てを消し去るような後処理をすることも無く、 その場を後にするのだった。 (-117) 2022/08/18(Thu) 12:27:55 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデずっと面倒だったしうざったかった。 さっさと目の前から消えてほしい。 「生意気なガキ」 ああ、ガキは嫌い。 あなたのついた悪態に、なぜだか、嬉しそうに眼を細めて、 にんまりと笑って。 ↓[1/2] (-124) 2022/08/18(Thu) 13:23:18 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ↓ 「あんたさ、まだそんなの読んでんの? 一回読んだら、もう終わりじゃないの?」 いわれたとおり手を離したのに。 はい、と──あなたに、手を差し伸べた。 あなたがその手を取れば、ゆらゆらと手を引いて歩き出す。 たよりなく、細く、非力な手で、ゆらゆら、と。 [2/2] (-125) 2022/08/18(Thu) 13:24:57 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 銀の弾丸 リカルド「そ。おれずっと、クローゼットの中に入れられてたからさ」 「今、こうやって好きに出歩ける方が、ヘンな感じ」 声は変わらず平坦に。本当にただ、不思議そうに。 感覚が麻痺している。 或いは、元より欠如している。 けれど満たされたことがなければ、欠落を認識することはむずかしい。 「……ん。それも、覚えとく」 心配してくれている、のだろう。 それを理解して、それでも、その真心の受け取り方がよく、わからないから。 できるのはいつも、惑うように曖昧に笑うことだけ。 どうやらあなたの夢はまだ、叶わないままであるらしい。 もう永遠に叶うことがないのだとは、その口振りからは窺い知れない。 「そっか、……大人になっても難しいんだな、世界って」 こんな会話の中からも、少年は世界の広さを知り、人間に近付く。 (-145) 2022/08/18(Thu) 18:27:47 |
【墓】 どこにも行けない ヴェルデ街娼がひとり殺されるぐらい、ごくありふれた出来事だ。 街灯に照らされる石畳を蹴り、夜を歩いて。 自ら暗がりへ手を引いてゆくのだから、どうしたって人目につきにくい。 行き過ぎた嗜虐性に嬲られることも。 或いはクスリを使われ躙られることも。 店に管理されていない分、危険はずっと多くある。 だからこんな風に綺麗な死に方をしたことの方が、きっと、ずっと珍しい。 それでも少年は街路に立つことを選んだし、多少の無茶は厭わなかった。 けれど、結局。苦しみを理解するには欠落が多すぎた。 その苦しみを解するまで、死んではいけないだろうと思っていた。 だから少年は、死にたくないと思ったことはなかった。 それなのに、最期のそのとき、確かに。 ――死にたくなかったな、と。 諦観の奥に、喪失の苦しみを抱いた。 (+8) 2022/08/18(Thu) 18:44:10 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 暗殺屋 レヴィア (-151) 2022/08/18(Thu) 18:45:41 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカあなたがどうして笑ったのかわからない。 それでも、立てつくような言葉を吐いてなお、そんなに悪い気分ではない。 拾った絵本を小脇に挟み、差し伸べられた手を握る。 少年の痩せた手は節くれ立って、二年前よりずっと、大きくなった。 「一回読んだぐらいじゃわからない」 「ばかだから」 そも、その一度読むという行為自体に時間がかかる。 知らない言葉が出てくれば、調べて理解しないと先へ進んだって意味がわからないままで。 ゆっくりと時間をかけて文字を辿り、何度も読み直して物語をなぞる。 そういうことが、必要なのだ。 ゆら、ゆら。繋いだ手が揺れる。 (-154) 2022/08/18(Thu) 19:02:24 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → どこにも行けない ヴェルデ夜鷹について詳しくないマフィアなどいない。 路地裏を歩けば死体に行く着くことは、この街では珍しくない。 珍しくないから、女は。 路地裏を仕事の場に選んでいた。 人を殺すことに、何の戸惑いもない女だった。 貴方の事は知らない。名前すらも聞いていない。 貴方が抱えたものの全てを、女は知りえないし。 きっと、興味がない。 次の日の夜、女は。 もう居なくなった、貴方の遺体があった場所に。 紫のヒヤシンスを一輪、置いていった。 何処までも無感情で、温度も色もない顔のまま。 女は何を言う事もなく、去っていく。 女はきっと、"お人形さん"だった。 人を象っただけの、心のないブリキの人形。 周りがそう揶揄するように。 (-160) 2022/08/18(Thu) 19:26:57 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ「それでいーの。 あんたには、時間があるんだから」 大きな、けれど小さな手をぎゅう、と包むように握る。 ゆらゆらと揺れる手は、水面で揺れる揺り籠のようだ。 ざわざわとした雑踏が波濤となって、ふたりだけの揺り籠をぐらり、と揺らす。 だから、ビアンカは前を歩く。 打ち寄せる波を、自らの身体でうけるよう。 「ばかは何もしないやつのこと。 バカはマジでバカだから、何もしないくせに文句ばかり。 いい、ヴェルデ。 あんたは、」 「■■■■■■■■■■■■■■」 ――その言葉は、どうにも言いづらくて。もごもごと、不明瞭になってしまった。 (-167) 2022/08/18(Thu) 20:06:11 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → どこにも行けない ヴェルデ>>3:=4 スープも飲む、と君が口にすれば、男はまた君の頭を撫ぜた。先程より少し強く、よしよし、それでいい、と言った感じに。 「そうかい」 「よく食べられるようになったね。偉いぞ」 食が細い、とは言え。 口にしよう、と思えるほどには変わってきている。それが、男にとっては嬉しかった。 「おや、辛いのも食べられるの? 大人だねえ。……っと」 「こら。全く」 少し茶化したりしてから、財布に手を伸ばす君を軽く制止。店主に微笑んで目配せをして、悠々と自分の財布を取り出す。 「こういう時は、大人に甘えてればいいの」 先程君を形容した言葉を簡単に剥奪してしまう。 長い指で長財布の中を探って、紙幣を一枚。受け取った店主は後ろを向いて、ソーセージを二つ手に取った。鉄板に乗せればじゅうと音がして、当たりを肉の焼ける香りが包む。 (-211) 2022/08/19(Fri) 0:50:52 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → どこにも行けない ヴェルデ「それは……虐待というんだぞ」 知ってるか? と問うた顔は眉をハの字に曲げていた。 いつから入れられていたのか知らないが、こんなに感覚が麻痺するほどだということは、きっと物事の善悪がよくわからない内からずっと、ということなんだろう。 こういう話を聞けば、自分はなんて恵まれていたんだろうと思うほどだ。 孤児になったとはいえ、親のことなど知らずに孤児院で幼馴染に出会えていたのだから。 「あぁ、覚えておけ。 夢はな、叶えるためにあるものだ。 世の中難しいことだらけだが……お前にも、きっとわかる日はくるさ」 「……さて、と。少年、次に会う時は、新しい本を読んでいてくれ」 そう言うと、煙草の火を消して立ち上がる。 何も言われなければ、軽く手を上げ去っていく。 この時の俺は、貴方が自分よりも早くに亡くなってしまうなどとは毛の先ほども考えてなかったし、 知ることが苦しみを自覚することになっているなどと、思いもしなかったのだが。 きっとそれは、後の祭りだ。 (-218) 2022/08/19(Fri) 1:14:14 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ時間があると思っていた。 根拠もなく。 こんなところでこんな生き方をしていて、それでも、明日が来ることを疑っていなかった。 ——或いは、失うことの恐怖を、苦痛を、まだ知らずにいた。 一歩、二歩。 歩幅を広げて、少年はあなたの隣を歩く。 雑踏に紛れてしまいそうな、不明瞭な声を拾う。 「……ビアンカ」 たよりない女の細腕は、あの日、確かに少年を拾い上げた。 生まれたとき天使だったはずの子供は、 碌に使えもしないこの子供を、あなたは何故か放り出さなかった。 恋の魔法が憎悪へ変わると共にゴミへと堕した。 苛つかせることも多かっただろうし、実際、何度も怒られただろう。 世界の歩き方さえ知らされないまま呪いを背負い、生きて、 けれどそれは、理不尽に当たるあの女の声とは違って。 「あんただって、たぶん、あんたが思うほどばかじゃない」 「だって、あんたのお陰でおれは生きてる」 少年は歩き方を知った。 まだ、あなたのように堂々とは歩けなくても。 少年は人間になった。 それは、あなたと出会ったからだ。 (-261) 2022/08/19(Fri) 12:55:09 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ撫でられるとやはり、きゅっと目を瞑る。 何と答えればいいのかわからなくて、開いたり閉じたりする口は。 「……選り好みなんかしてられないだろ」 迷った末に、そんな生意気な言葉を吐く。 大人だなんて言われるのは、こども扱いされているからこそだろう。 その証拠に、すぐに取り上げられてしまうのだ。 翠の瞳が、じとりとあなたを見上げる。 「ああ、またそうやって――」 「これぐらい、べつにヘーキなのに」 なんて、文句を言ったって、もう遅い。 じきに焼き上がるそれを、店主から手渡されることだろう。 「……なんかしてもらうとさ、何も返せるものないのになって思う」 「それこそ仕事するぐらいしか」 (-381) 2022/08/20(Sat) 14:48:02 |
【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 銀の弾丸 リカルド少年は曖昧に笑った。 灰被りに、白雪姫、それから捨てられた兄妹。 母親に虐げられる童話は存外多い。 少年は、もう、それがふつうではないことを知っている。 けれど事実として、ずっとそれがふつうだったのだ。 そしてそれは、もう、なかったことにはならない。終わったことだから。 「……ん」 それでも、取り返しのつかないものばかりでもなかった。 あなたとの交わりの中で確かに欠落の一部を埋め、少年は人間になった。 人間として死ぬことができた。 それはきっと、幸いなことだった。 「ちゃんと読む」 「けど、わかんないことあったら。 ……また、教えて」 結局、根拠もなくそこにあると信じていた未来は失われてしまった。 この物語を最後まで読むことはできなかった。 あなたともう一度、言葉を交わすこともなかった。 だとしても。 (-404) 2022/08/20(Sat) 17:22:40 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → どこにも行けない ヴェルデ君の言葉を、男はじっと聞いていた。 赤に近い紫の瞳は慈愛を宿している。 ────高い位置から降り注ぐそれは、やや翳って見えるかもしれない。きっと気のせいだ。 「返してほしいものなんて何一つないさ」 男が身を折る。君の上に影が落ちる。空気を含んだ柔らかい声が、君だけに聞こえるよう囁いた。 「愛してるよ、ヴェルデ。どうか、ただ受け取っていて。 ────君が僕に、何かをしたいと思うなら」 そのまま、君の頬にキスを落とすだろう。もちろん嫌がられなければ、の話だ。僅かにでも拒むのなら、にこりと笑って引いてくれる。それから何もなかったように焼きあがったものを受け取り、店主に礼を告げた。 どこかに座るにしろ歩くにしろ、ひとまず店からは離れなければいけない。店頭は先程より賑わいを増している。 「行こうか」 「選り好み、すればいいじゃないか。どうにも君たちはわがままってものが苦手みたいだけど」 (-416) 2022/08/20(Sat) 18:44:47 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ「そう?」 何もなかった。 意味もなかった。 ゴミ捨て場に倒れるこどもを見た時、なぜ傘を差し伸べたのだろう。 なぜ、その手を引いて連れ帰ったのだろう。 きっと、疲れていたのだ。 つまりは、ただの気まぐれだ。 何の道理も通らないし、 何の意味もありはしない。 ただ、かつて失ってしまったものが、 もう決して手が届かないはずのものが、 そこにあるような、気がしただけ。 「ま、あんたがそういうなら」 ――子供は嫌いだ。 けれどまあ、意味のないことなら。 「いいかな」 別に、そうしてもいいだろう、と。 隣にきたあなたを見下ろして、笑うのだ。 ↓[1/2] (-422) 2022/08/20(Sat) 19:08:44 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ↓ 「…あんた、でかくなったねえ」 あの時、ただ引いた力ない手は。 ほんの少しだけ、暖かくて。 ――もう二度と、失いたくはないと思っていたのだ。 (-423) 2022/08/20(Sat) 19:09:01 |
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