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【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 名もなき医者 リカルド【テンゴの部屋】 いつか、どこかの時間軸。 もし、貴方が。 奇跡的に回復して、何かが気になって。 テンゴの部屋を訪れたならば、部屋の鍵は空いている。 綺麗に整理され、殆ど物が見られない室内に、オーダーメイドと思われるスーツが一式飾られているのがよく目立つ。 ぽつん、と置かれた机の上には、封筒が1つ。それと、貴方にテンゴが投げて寄越した竹の水筒が1つ、残されていた。 何故か貴方は、水筒に不自然さを覚えたかもしれない。 もし手に取って確認したならば、その中に紙切れが入っているのに気付けるだろうか。 紙切れは、達筆で書かれたメモ書きと、港の五番倉庫の地下にある秘密裏に設置された医療施設に関しての情報が記載されているものの2種類だ。 『これに気付く者は、恐らく俺を良く知る人物であると確信している。もし俺が報告書に上がらず、帰る事も無かったら訪ねてみてくれ。運が良ければ生きているかもしれない。』 (-6) 2022/08/23(Tue) 22:43:12 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【テンゴの部屋】 会議が終わった後か。 包帯を巻き、ふらつく頭を抑えながら、男はよろよろと貴方の部屋を訪れた。 貴方がただの昼行灯でないことはわかっている。 だからこそ、この疲弊した組織をまとめるのは貴方と 姿の見えない上司 しか居ないと、思っているのに。「……リカルドです。テンゴさん、居ますか」 ノックをし貴方の反応を待つ。 待つが反応はなく、ドアに触れるとその鍵は開いていて疑問を覚えた。 「…………テンゴさん?」 周囲に視線を彷徨わせ、質の良いスーツと、机には封筒と不自然に水筒が置かれているのに気づいた。 あの時もらったのと似た竹水筒を振ってみても水が入ってる様子はない。代わりに何かカサカサとした音がしてそれを開く。 自分が秘密裏に設置した施設の事が書いてあり、これはもう必要ないなとその手紙は自分のポケットへと収めた。 「こっち、は…………と」 見慣れた文字を読み、「そうか……」とほっと胸をなでおろした。 そこにいるのなら、行かねば。 (-19) 2022/08/23(Tue) 23:58:15 |
リカルドは、ふらつく頭を抑えながら、どこかにある闇医者の元を、抜け出した。 (a7) 2022/08/24(Wed) 0:02:14 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 名もなき医者 リカルド【隠された医療施設】 貴方が情報を頼りに向かった先に、隠されるようにしてその施設はあった。 元々、秘密裏に匿ったり、治療を行う目的で作られた施設のようで、言わばファミリーの中でも秘密の隠れ家と言っても良いものであった。 施設の人間にテンゴの名を話せば、此処にいる事を教えてもらえる。だが…男が此処にいるのは患者としてであった。 聞けば、路地裏で倒れていたところを発見されたのだが虫の息で、発見が遅れていれば死んでいただろうとのこと。 身体の至る場所に怪我があったが、心臓部の刺し傷と右目の銃創が特に酷く、致命傷になっていた可能性もあったようだ。 今は何とか持ち直し、意識が僅かだが戻ったと知らされ、貴方は病室へと通されるのだろう。 → (-20) 2022/08/24(Wed) 0:54:19 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 名もなき医者 リカルドベッドに横たわったテンゴは、すっかり変わり果てていた。 体中に包帯が巻きつけられ、いつも付けている面はない。 酸素吸入器を付けられた様子は弱弱しくも映るだろうか。 身体を動かす余地もないのか、気だるげな様子で。残った左目で貴方を見れば、それはもう驚いたように目を瞬かせる。 「お前さん、どうして……」 小さく、思わず、声が漏れた。 (-21) 2022/08/24(Wed) 0:58:37 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 医療施設に着いて見れば、自分の手で用意していた施設と似たようなものが、もうひとつあったのを目の当たりにして苦笑した。 人とは、皆、似たようなことを考えるのだなとでも言うように。 施設の人間には、貴方も十分重症患者ですよと言われながらも治療を受けてる暇はないと断り、病室へ案内してもらった。 それはそうだろう。 リカルドが銃撃されてからはまだ、1日しか経っていない。 頭部を撃たれてるのだから絶対安静であり、それは口酸っぱく救出してくれたストレガにも言われたし、自分自身もマウロにそうしろと話した医者であった。 そうしてなんとかたどり着いた部屋で、貴方は驚くほど弱った姿でベッドに横たわっていた。 「……な、んで……」 どうしてこんなことになってるんですか、という言葉がとっさに出てこずに言葉を飲み込んでしまう。 俺に、死に急ぐなと言ったその口でどうして、こんないつでも死んでしまうような姿になっているのか、頭で理解できなかった。 「俺は……頭部損傷の死の寸前でストレガに助けられました。 腕の立つ闇医者に処置を受けてこの通りです。……ですが、その言葉はそっくり貴方に返しますよ」 (-23) 2022/08/24(Wed) 1:27:27 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド【隠された医療施設】 「……そうか。無事で良かった。」 やっと戻った意識の中では、貴方の無事を認識するのがやっとで、それだけの言葉を漏らし。 次いで、貴方に返された言葉に僅かに言葉を選ぶような間があった。どういったものかを、考えるような、そんな間だ。 「俺は、 ノッテに消されかけた。 恐らくは、抑えがなくなったのを良いことに、元々消したがっていた連中が動いたんだろう。まあ、どんな運が働いたのか、俺は生き延びた訳だ。」「確かに、心臓を抉った筈、なんだがな。」 苦笑いをするように、しかし苦し気に息を漏らす。 目が覚めたばかりで予断を許さない状況であることが伺える。 「それで…俺に用でもあったか?」 わざわざ足を運んだという事は、用向きでもあったかと。 瀕死の重傷を負った身でありながらも、向き合おうとする。 (-24) 2022/08/24(Wed) 1:55:23 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 「……ノッテ、に?」 まさか、そんな。 そんな事あの人が許すはずもない。 俺の上司が居る限り、そのような事を許すはずもないではないか。 ―――ズキリ、頭が痛む。 「俺が診れればよかったんですが……、生憎頭をやられたもので、しばらくは使い物になりそうもありません」 隠してましたが俺は医者なんですよ、と呟いて近くの椅子を寄せて腰を下ろす。 視線が少し、低くなった。 「俺はここの、医者………、……? っ、いや、俺はここのことは知らん……知ってる?」 頭を撃たれた影響か、記憶が混濁してふるりと震えた。 スタッフが、ここは貴方が作った場所ですよと言ってるのが遠くに聞こえた気がする。 そうだ……ここは、俺の営む密輸倉庫の俺の地下。 忘れてはいけない。 「……ヴェネリオさんとラウラ、それにレヴィアの姿が見えません。 俺は、貴方がただの昼行灯だとは思っていませんから……だから、せめて貴方を呼ばなければと部屋に行ったんです」 そうしたら手紙を見つけました、と、素直に話すだろう。 (-25) 2022/08/24(Wed) 2:39:47 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】 「………っ、は」 闇医者から出たものの、その身一つだった自分に運転する車はない。もっとも、この頭の状態で運転するなど自殺行為であろうが。 朦朧とする頭と、ふらつく足取りで、一歩、一歩と歩みを進める。 大通りにさえ出てしまえば、タクシーも捕まるだろう。 はやく、アジトに戻らねばと。 その一心でただ、歩いている。 (2) 2022/08/24(Wed) 2:50:24 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド「………。なるほど、ならこれをヴェネリオに寄越したのは、お前さんだったんだな。くく。っ、つう……」 笑いを零し、痛みに呻く。 「気にするな。俺も両腕に足を銃でやられてる上に、心臓は破れかけ。右目はお陀仏だ。悪いが、暫くは動けそうにもない。お前さんはお前さんの怪我を治すのに専念すると良い。」 「それで…そうか、お前さんは知らなかったんだったな。」 貴方にとって、最も聞きたくなかった報告を、告げる。 「ヴェネリオ・フィルマーニ、ラウラ・リベラトーレ、この両名とも、お前さんと同日に、 死亡報告 「レヴィア嬢は…分からんが。少なくとも、俺にこの怪我を負わせた時までは、生きていた筈だ。」 (-26) 2022/08/24(Wed) 2:57:27 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ「なんて事を……、ですが……貴方も居ないとなれば、俺が現場にいないわけにはいきませんね」 自分の役割くらい承知しているつもりだ。 生き残ってしまった以上、無理は承知で動かねばなるまい。 自分とて、ヴェネリオが守り抜いたこのノッテを愛しているのだ。 彼が居ない間くらい守れなくてどうする。 休むのは戻ってきてからでいい……そう、思っていたのだけど。 「…………は?」 嘘だと言ってほしかった。 告げられた言葉を聞いて、我が耳を疑う。 施設の部下が慌てて持ってきた報告書を奪うようにして見て、目眩がした。 あの上司が。約束をしたはずのラウラが。 もう居ないなんて。 俺が、右腕としてお守りすべきだったのに。 マウロとうまく話ができればいいと、思っていたのに。 「俺、ひとりだけ……生き残ってしまったと……」 仏頂面の瞳から、涙がこぼれた。 (-31) 2022/08/24(Wed) 8:21:13 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>3 ルチア 怪我の影響による重い一歩を懸命に前に、前に出しながら大通りを目指す。 もうしばらく歩けばたどり着く、そんな時に。 自分とはまた違う一歩を進める音を聞いた。 「…………?」 警戒し周囲を見回すと、そこには見覚えのある少女。 アルバとの対立が激しくなった頃に、一度こっそり抗争の場から逃したことのある子供の姿だ。 その後も見かけた時は、明るい顔をしていたはずなのに。 いつも一人で本を読んでいたヴェルデとは違い、あなたの側には油断ならぬ男が控えていたから関わるまいと遠ざけていたが。 ――そういえば、あの男の死亡報告があがっているのだったな。 そう思い出せば、貴方の方へと歩の方向を変えた。 「……君、このような所でどうした。危ないだろう」 気がつけば、声をかけていた。 (4) 2022/08/24(Wed) 8:29:49 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド【隠された医療施設】 「無理をするな。折角拾った命を捨てたいのか。」 ただの怪我であればまだしも、貴方も頭へ相当な傷を負っている。記憶が一瞬混濁するほどだ。無理をすれば悪化する可能性だって否定出来ない。諫めるような言葉が出る。 「…すまんな。守り切れなかった。」 「こうなってから分かったが、二人とも、恐らくは ノッテが原因 だ。俺がもう少し早くに腰を上げていれば、と悔いている。」喪った悲しみ、苦しみ、全てよく分かる。 自分も味わったことがあるものであるからこそ、痛いほどに。 「まだ独りではないだろう。お前さんには残っている者たちがいる筈だ。だが、今は泣いておけ。」 ただそれだけ、零す。 (-32) 2022/08/24(Wed) 9:18:36 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 本来であれば絶対安静の重体であることには変わりない。 頭、脳への損傷は傷が軽く見えても油断ならないことは、一般人であったって理解してる事だ。 それでも、動けるならば動かなくては。 今の状況が、真面目すぎる男を大人しく寝かせるには弱すぎた。 腐った阿呆どもに任せていては、アルバとの交渉だってきっと決裂しかしないだろう。 冷静になれ、考えろ。 自分がどのように動くのが最適解なのかを。 ……ただ、それでも。 「……っ、う」 今だけはこの喪失感を隠せそうもない。 男は正しく、上司を愛していた。 それが色恋のような感情ではなくても、確かに愛していた。 一生忠義を尽くすつもりだった。 ラウラを幼馴染の元へ帰すつもりだった。 感情の種別はさておき、彼女にとっても上司は最愛の相手だったはずだから。 まるで自分のように、妹のように見守っていたのだから。 (-34) 2022/08/24(Wed) 11:24:23 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>7 ルチア 「―――…………」 その言葉に。 「そうか……」 その眼差しに。 「君も、壊れてしまったのか」 あの男がとても大事な存在であったのを理解した。 俺は、あの男の死の真相は知らないが、自分で死ぬような目をした男ではないことくらいは知っている。 そして、もう一人。 同じように狂ってしまっていた男のことを、俺は知っている。 あのようなことになる可能性を、俺はどうしても許せない。 この年端も行かぬ少女に、させてはいけない。 「……おいで。 今度は俺が、君を独りにしないと約束しよう」 そうして男はまた、懲りずに手を伸ばした。 (9) 2022/08/24(Wed) 13:05:30 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド【隠された医療施設】 「泣ける時に泣いておけ。きっと此処から先は、泣きたくとも泣けなくなる。お前さんも、マウロもツィオも、上を目指すべきだと期待しているんだ。」 「他の連中よりは、余程信用出来る。だから。」 「落ち着いたら休め。どうしても動くなら、一人でやるな。良いか、お前が無理をして倒れたらそれこそ本末転倒だ。」 喪失感をよく知る男は、親友の言っていた言葉を思い出しては、似ているな、と一人思った。 「強く生きろ、リカルド。我が親友ヴェネリオが期待して目を掛けた男は、後にも先にもお前さんだけだ。」 (-43) 2022/08/24(Wed) 15:52:46 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → ”復讐の刃” テンゴ【隠された医療施設】 そうかもしれない。 残された幹部を考えるとあまりにも、ノッテは脆い城となってしまった。 その上で唯一信用できた上司の親友はこの有様だ。 今のノッテを支えるのは、俺達三人をおいて他に居ないだろう。 マウロを今の境遇から引き上げるのにも逃せぬいい機会だった。 この方にも、上司にも目をかけてもらった自覚もある。 可愛がってもらった自覚があるからこそ、このままではいられないと、止まらぬ涙を流しながらそう思う。 「はい……、 俺の愛する上司もまた、後にも先にもあの方だけです。 そしてあの方の親友も、貴方をおいて他にはおりません」 ですから、貴方はこのまま死んだりしないでください。 点滴まみれの貴方の手を取って、切に願った。 (-44) 2022/08/24(Wed) 16:29:59 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド【ヴェネリオの部屋】 「………………」 主を失った部屋に入り、部屋を見回した。 使う人間がいなくなったというだけで、ひどく寂れた気持ちになり涙がにじむ。 テンゴに聞くまで、亡くなったことすら知らなかったのが、ひどく親不孝にすら思えてしまってならない。 部屋に香るあの人が残した煙草の匂いも、いつかはなくなってしまうのだろうか。 、ひょっこりと「リィィック、直ぐに迎えに来い」なんて連絡を入れてきそうな気さえするというのに。 (_0) 2022/08/24(Wed) 16:37:17 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド血の気もなくふらふらと、いつも2人で珈琲を飲んでいたソファに腰掛ければ、上司に託されたノートパソコンがテーブルに鎮座しているのが見えた。 「このパソコンで、2人でラウラを見守っていたな……」 パソコンを開いて、電源を入れた。 小さく稼働する音が聞こえてしばらくすると、パスワードを入れる画面が出てきた。 教えられた操作方法を経て画面を映し出せば、それは、様々を見通す目となる。 ――けれども、見守るべき女も、もういない。 (_1) 2022/08/24(Wed) 16:43:27 |
【魂】 銀の弾丸 リカルドこのパソコンと、操作権限の全を握るUSBは、生涯露出させないことを上司に誓って託されたものだ。 これを破壊できていないまま、二人共死んでいたならば、本当に大変なことになっていたかもしれない。 いっそこの場で破壊してしまうべきかとも思ったが、これはきっと、これからの自分に必要なものになってくるだろう。 情報を握ることこそ、この先の戦いにおいて必要なこと。 ツィオやマウロでは出来ない何かを、俺自身が握っておく必要があったのだ。 それを貰えていた俺は、 「……俺も、随分愛されていたものだなぁ」 と言って笑った。 あの男に逆恨みされるのも当然だったかもしれない。 そしてしばらく無意味に流れる映像を眺め、 いつもの珈琲でも淹れるかと思ったその時だった。 (_2) 2022/08/24(Wed) 16:51:34 |
【魂】 銀の弾丸 リカルド「―――――……っ!!!」 激しい頭痛に目を顰め、質の良いソファにどさりと倒れ込む。 割れるように頭が痛い。 何かが失われそうで、何かが視えそうで。 なぜだかとても恐怖を覚えた。 しばらくソファの上で蹲っていると、フラッシュバックしたかのように、映像と声が、目の前に広がっていく。 「ヴェネ……オ、さ。ラ……ラ……!」 夢と言うにはリアルで、現実と言うには不可解なそれは、きっと臨死体験というものだったのだろう。 川を渡ってしまう前に、貴方達に出会えていた。 そして、生きている者は戻れと送り出されていたのだ。 「あ”……う”、ぁ”……!」 とても痛いです、ヴェネリオさん。 貴方の答えが聞けないのが悲しいです、ラウラ。 ―――男はソファから動けないまま、痛みと喪失感でまた、涙を流した。 (_3) 2022/08/24(Wed) 17:01:05 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 銀の弾丸 リカルド「何も知らなかった、なんて口先だけではどうとでも言い逃れ出来るだろ。 信用できない。それにそれだけの地位に居て覚えも何もないなんてマヌケな話はないだろ?」 的を射ているかどうか、なんて識別は出来やしない。遠く昔の話だ。 4年前、ありふれた日課のうちのいつかにアクシデントが起きてたとして、覚えているものか。 そんなことさえ、男には関係ないのだ。理屈の通っている正論を期待しているわけじゃない。 逆手に指を巻き付けた男根をやわく包んで上下に擦る。垂れた酒が水気を足した。 曲がりなりにも低くはない度数のアルコールが粘膜からじんわりと吸収される。 掌の窪みでつつみこむようにした亀頭から滲む体液を、馴染ませるようにくるりと手を動かす。 先の方ばかり刺激しては、手の中のものを絶頂へと導いて追い詰めた。 「……アイツが一番、アウグストに近かったから。でも満たされなかった。 果たされたと思えたものがなかった。だから、次を見つけないといけなかった。 今度は、次を殺せば胸の内がスッとするかもしれないだろ?」 たったそれだけの為に、目の前の男は貴方の幼馴染みを、大事な家族を殺したのだ。 正確には今はまだ境界の淵に彼の命はあり、抜け出したところではある、それでも。 そこに明確な目標があり、使命めいたものを帯びて刃を振るっているように思えているのは己だけ。 他人から見てみればもはや彷徨いながら何もかもを牙を剥くようにさえ見えたって、仕方がない。 「アウグストの屋根の下の人間なんか、一人残らず死んじまえばいい。それ以外に理由なんて、無い。 それに、アンタに教えた直後に、みんな死んだ。カフェも、アベルさんも、トトーも、ヴェルデも。 アンタの差し金なんだろ」 言葉は刺すように鋭く、他者への慮りも欠片もなく踏み躙って。 そのくせ、火照った肌の上を這う手先だけはそろそろともどかしい。 体液の絡んだ手はそのまま手首から先を動かすように押し広げて、足元に絡む衣類を下着ごと剥ぐ。 空調の効いた室内は、外気よりも僅かにひんやりとしている。アルコールで体温が上がっていれば尚更。 広い空間、寝室でもないテリトリー外の建物の中で肌を露わにしているのを思い知らせるように。 (-45) 2022/08/24(Wed) 17:08:23 |
【秘】 銀の弾丸 リカルド → 天使の子供 ソニー「知らないものは、知らんとしか、言えん」 いくら知らぬといった所で、通じないだろうことはわかっていた。それくらいで何年もの間蓄積された物が晴れてしまうならば、この男はマウロを殺してなどいないし、俺を犯そうとも思わないだろう。 消化しないまま直接体内に入れられるアルコールは薬の影響と相まってひどく回る。 「ふ、あ……、あ――――っ」 性急に絶頂へと導かれているのが手付きでわかって、堕ちてはやるまいとふるふると頭を振った。 それでも硬度を増し、弓なりになってしまったそれは、簡単に良いように貴方に弄ばれてしまっている。 断続的に与えられる感覚に、随分とご無沙汰な身体はすぐにでも気をやってしまいそうで。 きっと、あっけなく果ててしまっただろう。 「マウロも、俺も! 何も関係などあるものか、……っ。 あ”、全部俺だと言えば満足なのかっ。 貴様に、きいっ、あっ、話は! 誰にも話して、いないっ」 気をやった後であっても容赦はなく。 与えられる刺激はそのままに残った衣服を剥ぎ取られていく。 出来上がってしまった身体は、衣服の擦れる感触ですらもどかしい快感となってしまっていてたまらない。 けれど、綺麗に衣類を剥ぎ取ってしまったその瞬間に訪れた、つかの間の静寂とひんやりとした空気に、少しだけ冷静に喋るすきができただろう。 「貴様、は……、自分で自分を追い詰めている。 このような方法で、胸の内が晴れるものか。 貴様のそれは、最早敵討ちですら無い、ただの狂気だ。 恨みと嫉妬で塗りつぶされた狂人だ」 「――俺は、貴様の思い通りにはなってやらん」 堕ちながらも、その挑戦的な目だけはまだ、失われていない。 (-46) 2022/08/24(Wed) 17:47:40 |
【秘】 ”復讐の刃” テンゴ → 銀の弾丸 リカルド【隠された医療施設】 「…それでこそ、だ。」 「俺は早々くたばるつもりはない。誓ったからな。」 なあ、兄弟。と零す。 意識が戻ったとは言え、傷は深く。 脂汗を滲ませて、息を吐いた。 「お前さんが作り上げたこの施設の連中は優秀だ。そうだろう?だから心配はするな。お前の為すべき事を為せ。」 安心させるように、貴方の手を軽く握った。 (-88) 2022/08/24(Wed) 20:35:46 |
【秘】 天使の子供 ソニー → 銀の弾丸 リカルドふっと笑うような声が漏れる。嘲弄にしては柔らかなものだった。 哀れみなんだろうか。成すがままにされている相手への、男にとっては不可思議な状況への。 どんな想いで相手がここへ訪れたのかなんて、考えやしない。思いを巡らせたりもしない。 冷えた妄念だけが足と頭を動かして、この数日を組み立ててきたのだ。 今までに何度もやってきた手口を繰り返してなぞるだけ。自分自身の傀儡のようだ。 「そうだったら。自分で自分を追い詰めているなら、なんだって言うんだ。 目的も見失って、狂っているんだとしたらなんだって言うんだ。ほかに何も持ってやしない。 その全てを持ってるアンタに言われたくない。全部掻っ攫っていったのはアンタのほうだ」 指に絡んだ精液を拭うように雁首に指を擦り付ける。僅かに濃度の平坦でない滑りが流れる。 ソファに乗り上げ、息の掛かるほどの位置で囁く。陰湿な喜びに、歪んだ笑みを浮かべた。 小さな声で吹き込む唇は、件のアイオライトのすぐ傍で動く。微かに耳を、熱のある肉が揺らす。 「返してよ、リカルド。 ……ね、今楽しい? 望んでやってきて、こんな目に合わされて」 高揚したように吐息が音を立てる。それが何に依るものかなんてのは、わかっちゃいないのだろう。 乾いた左手が頬に触れる。冷えたジェイドの瞳が、貴方の目を輝きを見つめ返して。 酒で腫れて深い赤に染まった舌で、まだ強気な言葉を投げかける唇をそうっとなぞった。 「ちょっと転がすね。……こんな姿勢、女相手じゃしやしないでしょ。 女みたいにされるのは初めて? 大事にされてそうだもんね、アンタはさ」 体温を帯びた頭がゆるく、上体の上を滑るように離れてソファから身体を起こす。 肩口をまだ体液の付着した手で掴むと、内側に押し込むようにぐるりと体勢を変えさせた。 相手の頭はクッションの上に、身体は丸ごとソファの上に。 下肢は奥に押し込められ、背中を反らせて腰を天井に突き出させる。 衣類の剥がされた下肢のその付け根に、く、と体液と唾で濡れた親指を宛てがい浅く愛撫する。 乱暴に指を突っ込んだりはしない。その方がマシな気分だったかもしれないけど。 (-91) 2022/08/24(Wed) 20:58:12 |
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