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人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

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【人】 軍医 ルーク

[ 基地に人が戻ってくるまで、
 自分の力で医務室まで運ぶのは無理だから、
 少しでも楽な態勢を――と、辺りに視線を落とす。
 普通の脚なら、枕にということも出来たのだろうけれど。
 生憎金属だし、片方は壊れているし。
 ローブもずたぼろに裂けて血と埃に塗れている。
 タブレットはローブの懐にあって、
 壊れてはいないはずだった。
  
 そこで、ふと。]


   ……


[ ゆらりと揺れる、自分の尻尾が視界に入る。
 互いの身体を動かし、彼の首から上を支えるように、
 よいしょ、と自分の白い尻尾の上に乗せた。
 抑々狐はよく尻尾枕をする生き物である。
 重くても、大丈夫。

 尻尾に触れられることに慣れていない頬は、
 微かに赤くなりはしたけれど。
 ふかふかでふわふわの尻尾は、
 地面でそのまま休むよりは、身体が楽になることだろう。
 兎に角それが一番の理由ではあったけれど、

   ――… 自分もそうしたかった、というのは、
        内緒だ。]*
(206) 2020/05/29(Fri) 21:39:10


 [ 喰い殺される前のあなたが、まだ残っている。

  何時かと同じ素足は、
  美しい、を纏ったものであるのは、
  もう 違いないのだろう。

      結局 自分だって、生きた頃に縋っている。 ]


 


[ ゆめのなかの一幕は、けして血濡れたものでは無かった。
  珍しい、ゆめでもあった。
  多少なりとも無ければ、白昼夢にも見ない。
 
  唯──赤薔薇と青薔薇が、
  手を取り合って踊る絵を、
  起きるまでずうっと見せられていた。
 
  短調で逆にキツいなどと、最早文句の言い分だ。
  唯、これが毎夜ともなると…]
 

 

   植物のダンスなら僕にも踊れる。

 



        [ ──日記に残された一文は、
            大分意味の伝わらないものだ。]
 

【人】 軍医 ルーク


  ―― 
司令室
 ――


[ ――それから、いくらかあとのこと。
 最後の機獣を遂に破壊したとの一報を受け、
 司令室は沸き立った。

 蛇型が外壁を破壊し中庭に至ったときには、
 窓から見える建物の向こうに首を擡げる巨大な影に、
 これまでかと悲壮感を漂わせていた兵士たちも、
 互いに肩をたたき合いながら、歓声を上げている。

 彼らが存分に喜び合うのを暫くの間眺め、
 やがて、総司令はゆるりと口を開く。]

  
   諸君、我々の勝利だ。


[ その声に、再び大きな歓声が上がる。
 それを片手で制し、部屋に居る者たちを見渡す。]
(248) 2020/05/29(Fri) 23:59:27

【人】 軍医 ルーク


  さあて、もう一仕事頼むよ。
  これから前線の兵士たちが戻って来る。
  命令は一つだ、
  いま生きている者たちを一人も死なせるな。
  念のため、大穴の観測も継続して行い、
  破壊した機獣に爆発や再起動の兆候がないかは
  念入りに確認するように。


[ 沸き立っていた空気が、その言葉に再び引き締まる。
 三々五々に散ってゆく部下たちの後姿を眺めながら、
 彼は、机の中から一冊の書類を取り出す。
 ぼろぼろの紙束を、指の先でぺらりと捲った。
 その場にいた技術班長に、振り返らずに話しかける。]
(249) 2020/05/30(Sat) 0:00:12

【人】 軍医 ルーク

  これでようやく
  次の段階への“前提条件”が整った、
  ――と言っていいかな?
  これだけの攻撃を行った後だ、
  同規模の戦力の投入は暫くは可能性が薄い、
  合っているかい?


[ 口を開いて勢いよく喋り出すジルベールの表情に、
 その予測があっていることを確認し、
 紙束に視線を落とす。
 (つまり、長話は聞き流した)]
(250) 2020/05/30(Sat) 0:00:49

【人】 軍医 ルーク

『 我々はこの地下世界を開拓するために作られた。
  そして今、彼らは我々を滅ぼそうとしている。
  目的は、まあ、想像がつくところだ。
  しかし機獣の逐次投入とは随分と効率が悪い。
  より効率を求めるなら――

  “作った段階で殺す手段を組み込んでおくのが正しい”

  実際、そういった計画はあったようだと、
  この文書は類推している。 
  ナノマシン、というのだっけ?
  組み込んだ因子に反応するそれを散布すれば、
  労せずして彼らは、我々を皆殺しに出来た。

  散布自体はあったらしいと、
  第二研究所に収容された“訪問者”は語ったそうだ。
  けれど、それは効力を発揮しなかった。
  地下の住民が設計段階で時限爆弾が組み込まれることは
  なかった、ということだね。 』
(251) 2020/05/30(Sat) 0:02:37

【人】 軍医 ルーク

[ 爆風に罅割れた窓越しに、天の大穴を見上げる。
 そこには闇があり、その向こうは計り知れない。]


 『さて、岩盤の上の世界も一枚岩ではならしい。
  そうとなれば――
  総攻撃を凌いだ今、動きようによっては、
  “交渉”の余地がある者を探すことも、
  出来るのではないかな?
  そうなれば問題は、
  誰を送り込むか、ということだが』
 
 
[ 心当たりはあるかな? と揶揄えば、
 ジルベールは目を輝かせて両手をぶんぶんと上げる。
 余程天の向こうに興味があるようだ。
 君には此処で働いてもらわなければ困るよと苦笑して、
 書類に再び視線を戻し、背もたれに背を預ける。
 最初の襲撃の後、この拠点から発見された文書だ。
 まだ論文の体すら成していない装甲、走り書き。
 けれど、此処にいた調査員であり、
 研究者である男が残したものだった。

 候補や手段、あるいはこれからの道筋も、
 考えている方策は一つ二つではない。
 その中のどれを取るかは状況次第だ。

 先程蛇型が攻撃態勢に入った際、
 窓の外を染め上げた白い光。
 それを思い出すように、黒眼鏡の奥の目を細めた。>>-314]*
(252) 2020/05/30(Sat) 0:04:34


   [ 碧が、子供を見詰めている。
      過去しか視えない その、瞳で。 ]

 

【人】 軍医 ルーク


  ――… 君がひどいやつなら、
  わたしだって、そうだ。>>266


[ 義手を使ってまともに動くことも出来ない様子を、
 いつもなら心配でたまらなくて、
 居てもたってもいられなくなるところ。
 今だって、直ぐにでも出来るだけの手当てをしたいとは
 思っているけど、
 それでも、いまこの胸を満たすのは、
 無事に戻ってきてくれたという喜び。
 彼が彼のまま、大切なものを失うことなく、
 傍にいてくれるということへの、どうしようもない幸せだ。

 それに、泣かせてしまっているというのなら。]


  泣いてるのは――嬉しいから。
  だから、いいんだ。
  それに、嬉しい、とか、悲しいとか、
  分からなくなっていたことだから。
  …わたし、こんな風に泣けたんだなって。  
(276) 2020/05/30(Sat) 19:29:17

【人】 軍医 ルーク

[ 断ち切れたまま戻ることはない、取り戻す必要もないと、
 置き去りにしていたことだった。
 それなのに、いつの間にか。
 結びあわされた糸が、手を伸ばして再び色彩を編むように、
 取り戻されていくのを感じていた。]


  笑ったり、泣いたり――
  幸せだと思ったり。
  君がくれたもの、
  君を大切だと思うわたしが、取り戻したもの。
  だから、嬉しいって思ってくれる方が、
  わたしは嬉しい。


[ 泣きながら、息を詰まらせながら、
 子供みたいな拙い精一杯の言葉で、そんな風に伝える。]
(277) 2020/05/30(Sat) 19:29:37

【人】 軍医 ルーク

[ 腕力はないが、患者の身体を動かすコツは心得ている。
 さすがに義手の重さはどうにもならないから、
 それ以外の部位を動かすことにはなったけれど。
 先ほどまでより落ち着いた呼吸を聞き、
 此方もほっと安堵の息をつき、胸に耳を当てて蹲る。

 ――で、今になって照れが来て、
 尻尾をぴたぴた言わせていたわけだが。]


  ひどい、とか、尻尾とか……!
  そういうことを、君は…!!


[ 聞こえてきたくすくす笑いに、益々顔が赤くなり、
 尻尾がぶわりと膨らんだ。
 絶対に顔を上げるものかと、服にしがみ付きながら
 聞こえてくる鼓動の音は早足で、
 それを意識すると、また頬にかっと血が上る。
 尻尾の揺れる動きはまた少し早くなったけれど、
 嬉しそうな尻尾、と言われたなら、
 その動きも止まって、ぴーんと張りつめ、
 ぎこちなく、そろり、地面へと降りてゆき。]
(278) 2020/05/30(Sat) 19:31:31

【人】 軍医 ルーク


  …… 莫迦、
  あとで、覚えてろ。


[ 恨めし気に顔を上げ、じーっと睨んだ。
 顔は真っ赤だし、
 口元は綻びたいのかぎゅっと結びたいのか
 ひどく難しい表情になっているし、
 まったく迫力なんてなかっただろうけれど。]
(279) 2020/05/30(Sat) 19:31:53

【人】 軍医 ルーク

[ それでもどうにかこうにか立ち直り、
 状況を確認する頃には、大分落ち着いてきて、
 ぺんぎんに義足の調達を頼む余裕も出てくる。
 動けなくてごめんと謝る声に、首を横に振った。]


  大丈夫。
  君は、あの機獣から守ってくれた。
  わたしだけじゃなく、皆のことも。


[ あのまま蛇型がここで暴れていたなら、
 どれだけの被害が出ていたか想像もつかないほどだ。]


  だから、此処から先は任せて。

  ……さっきも、今までも。
  戦えなくて、君が危険な目に遭っているときに、
  近くにいられないのが、怖かった。
  だから、出来ることがあるのは嬉しい。
  それに、彼らは君にとっても大事な連中だろう?


[ 医者として、戻って来る者たちを治すという使命感は、
 元よりあるけれど。
 それだけではなくて、力になりたい、
 出来ることがあるなら何でもしたいという望みでもある。
 だから、此処からは自分の仕事。]
(280) 2020/05/30(Sat) 19:32:47

【人】 軍医 ルーク

[ いまはゆっくり休んでいてほしいと、
 尻尾をそっと頭の下に差し入れて。
 だいじょうぶだよ、おやすみ――と、そっと耳を撫でる。
 その穏やかな表情に、あの頭痛は感じていないのだろうと、
 安堵を深くした。
 ずっと、不安だった。
 手を繋いでいると、忘れさせたりなどしないと誓っていても、
 いなくなってしまうかもしれないと、そう思うだけで、
 心臓が握りつぶされるような恐怖を感じていた。

 だから、水の中の夢の話を聞けば、
 いまでもどきりと鼓動が悲鳴を上げる。
 ――本当に、ほんとうに、
 帰ってきてくれて、よかった。]

  
  ……どこまでだって、行くよ。
  世界中のどこだって、水の中だって、
  ううん、世界の外だって。
 
(281) 2020/05/30(Sat) 19:33:54

【人】 軍医 ルーク

[ 温もりというには冷たいけれど、
 この手の温度を、感じていてくれたこと。
 彼の言葉のひとつひとつが、嬉しくて幸せで、
 あたたかくて、どうしようもなくて。

 “僕と、一緒に”
 その言葉の続きに耳をすましたのだけれど――
 続きの代わりに聞こえたのは、
 すー、と穏やかな寝息だったものだから。]


  ……、
   

[
そこは! 最後まで言ってほしかった!!!


 莫迦ー! 
 と思わず声を出しそうになるのを、何とか噤み、
 そっとその耳を撫で、おやすみ、と言った声は、
 自分自身でも聞いたことがないほどに、
 愛おしさを隠せずにいる、やわらかな声だった。]
(282) 2020/05/30(Sat) 19:35:32

【人】 軍医 ルーク

[ 最後の機獣が倒されたという一報が基地を駆け巡り、
 前線の兵士たちが帰還し、
 怪我人の搬送や戦闘後の機獣の処理が始まる。
 第二研究所の爆発を受け、爆発物等の確認は
 極めて入念に行われることになっている。
 ぺんぎんが運んできてくれた旧式の義足を取りつけながら、
 誰か手が空いたものに担架を持ってきてもらい、
 彼を医務室に運ぼうとしたのだが。]


  ん?


[ くいくい、と服の裾を引っ張られる。
 そこには、ずらりと並んだぺんぎんたちが、
 決意に満ちたきらきらした眼差しで此方を見上げていた。
 じい、と医務室のぺんぎんに視線を送れば、
 羽でしゅたっと彼を指す。
 先ほどの蛇型から自分たちも守られたと理解しているのか、
 それとも普段から仲の良いうさぎを運ぶお手伝いをしたい! 
 というところか。>>0:39]
(283) 2020/05/30(Sat) 19:36:21

【人】 軍医 ルーク


  多分、君たちには重いぞ? 
  この義手とか。
  人間が運ぶにしても何人かは要ると…

  ――
うわあ…?



[ 思わず変な声が出たのは、そう言っている間に、
 さらにわらわらっとぺんぎんが増えたからだ。
 近くの建物で息を潜めていた連中だろう。
 医務室の方角から担架を担いできた数羽が見えるに至り、
 まあいいか……と諦めた。
 この規模の戦闘なら、怪我人の搬送には鳥の手も借りたい。
 
 そのようなわけで、帰還した第一攻撃部隊隊員は、
 中庭で破壊され、停止した蛇型機獣の残骸を見て、
 彼らの隊長が基地を守ったということを知るだろうし。

 ―― タイミングによってはそれに加えて、
 見慣れない白狐に先導されたぺんぎん達に運ばれて行く、
 赤いうさぎを目撃してしまうことも、
 もしかしたら、あったかもしれない。>>269]
(284) 2020/05/30(Sat) 19:37:14

【人】 軍医 ルーク

  ―― 
医務室
 ――

[ それから暫くの間、
 医療班は負傷者の治療に総出で取り組むこととなる。
 出来るならずっと付き添っていたかったのだけれど、
 彼が目を覚ますまで、自分は自分のするべきことを――と、
 職務に打ち込んだ。
 それでも空き時間を見つけるたびに、
 臨時の医務室に顔を出し、様子を見ることは忘れない。
 人見知りのぺんぎんも、今回ばかりはと人前に出て、
 “おてつだい”業務に大忙しだった。

 自分が担当になった兵士は、
 相変わらず顔を青くする者もいれば、
 非常時にえり好みをしていられないと腹を括る者もあり。
 あるいは、フードを取った姿を見て、
 えっ…と固まっているようなのもいたが、
 あれは何に驚いていたのかよく分からない。

 逃げようとするやつには、
 逃げたらその腕の捻挫治すついでに四本位に増やすぞ? と、
 念入りに脅してやったものだ。]
(285) 2020/05/30(Sat) 19:38:40

【人】 軍医 ルーク

[ それで、だ。
 目を覚ましたと聞いて駆けつければ、そこに見えたのは、
 穴に潜り込んでも、どう見ても隠れ切れていない感じの、
 ふわふわぷるぷると揺れている、赤い尻尾。>>275]


  ……


[ ひとつ、ふたつ、瞬き。
 どういう状況だこれ――?
 ぺんぎんと顔を見合わせて数秒後、なんとなく察する。

 ( 自分もここしばらくの間仮眠をとるときなんかに、
  あのときのことを、何度も思い出しては赤くなり、
  尻尾がぱたぱたと動いてしまうことなんかが、
  あったものだから。 )

 それでも、あれから時間をおいている分、
 自分の方は彼に比べて“心の準備”が出来ているのだろう。
 ああ、そういえば、
 “後で覚えてろ”と言ったっけかなあ――と思い出し、
 寝台を指さし、うずうずしているぺんぎんに
 ゴーサインを出した。]
(286) 2020/05/30(Sat) 19:40:45

【人】 軍医 ルーク

 [ ぺんぎんはきらきらした眼差しで嬉しそうに、
 ててて、と寝台に飛び乗り、
 足元からもぞり、布団に潜り込む、
 以前義手を使った彼が運び込まれてきた時と同じように、
 顔の近くまでもぞもぞと這ってゆき、ひしっとくっつく。]

  
  起きたって、聞いたから。
  身体の具合は?
  薬を持って来たんだ。
  残念ながら薬は苦いから、
  また苦いものと苦いものの選択になるね。
  抵抗したら、また全部混ぜて口に突っ込むよ?


[ そう言いながら、布団に手をかけ、
 それはもう情け容赦なく、一秒も待つことはせず、
 べりべりと引っぺがそうとする。
 自分の力では剥がせないかもしれないし、
 案外剥がせてしまうかもしれないし、どうなるだろう。

 いずれにしても、もしうさぎが穴から顔を出したなら、
 微笑みを浮かべた紫の双眸が、
 すぐ近く、目と鼻の先にあるだろう。
 そうして、言ってやるのだ。]
(287) 2020/05/30(Sat) 19:42:14

【人】 軍医 ルーク


   おはよう、シュゼット。
   “これからも、僕と一緒に”の、
   続きを聞かせて?


[ そう、つまり。
 感情が戻ろうと、自覚しようと、
 やっぱり意地悪はするのである。

 ( ―― ほんとうに聞きたかったからだ。
   とても )

 でも、そう言いながら、やっぱり自分の頬も、
 心の準備なんてどこに行ったとばかりに赤くなっているのは、
 これはもう、仕方がない。

 運んできた薬瓶が苦いのも、どうしようもないことだけれど、
 それに加えてもう一つ、
 後に飲めば苦みを消し去ってくれるような、
 甘い苺味のジュースを作って持ってきていたのも、
 まだ、言ってやらない。

 手に持っているのは、あのタブレット。
 自分が書いた返事を、まだ読んでもらっていない。
 そちらはそっと枕元に置き、まずは返事を待つ。]*
(288) 2020/05/30(Sat) 19:44:34


  喰われているのだと思うよ。

 


[ いつか、リドルはまるで“何でもない”ことのように
  硬い膝を枕にして語った。
  ゆめで誰かを喰らうたび、己を削り取っている。

   真白の掌を天井に掲げ、
      指の間から真上の彼女を見る。
   汚れのない、男にしては華奢な手だ。

  ──だから僕は必要以上に見たくないのさ。
  人と関わらない理由を此処にこじ付けて、
  指の間に隠れつ うっそりと わらっている。]
 

【人】 軍医 ルーク

[ 右腕がまた動かない、のところで
 ぐっと表情を曇らせはするけれど、
 義手を使って全く反動がないということはないだろうと
 予測はしていた。
 “いつもと同じ感じ”ならば近々動くはず――と
 自分を納得させる。

 赤くなってしどろもどろになっているところを見ると、
 いつもの自分なら、さらに追撃――なんて、
 考えてしまうかもしれないのだけれど。
 間近に目を見れば此方の頬もかっと赤くなってしまうのは、
 どうしても数日前のあのときのこと――、
 触れあった感触を、克明に思い出してしまうので。
 心の準備どこに行った。

 それでも、“聞きたいこと”は聞きたいのだ。
 続きを聞かせて、と問うときも、
 仕切りの向こうの他の患者には聞こえないように
 そっと声を潜めていたりもする。]
(332) 2020/05/31(Sun) 14:20:32

【人】 軍医 ルーク


  約束してくれて、ありがとう。
  

[ “あんな威力の義手砲は”撃たない――
 彼自身が失われる恐怖に怯え続けていた自分にとって、
 それは何よりも嬉しい約束だ。

 撃つこと自体はやめないと言ったのは、
 これから何が起こるか分からない以上、
 言えないことだったのだろう。
 本当は、身体に負担がかかることはやめてほしいと、
 そう思ってしまうのだけれど。 
 出来ないことを言わないのは、その言葉が“本当”だからだと、
 分かってる。

 それなら、自分も出来ることを探したい。
 あのとき彼は、蛇型に襲われていた自分を、基地の者たちを
 助けるためにその力を使った。
 あのようなことが、二度と起こらないように。
 義手砲を使わなければいけないことが、なくなるように。

 ――そして、そうだ。]
(333) 2020/05/31(Sun) 14:26:04

【人】 軍医 ルーク


  撃たなくても良くなることが、
  何より一番だけれど。
  どうしても使わなければいけないことがあったとしても、
  体に影響が出ないように改良していく方法を、
  見つけたいと思ってる。
  わたしは技術者じゃないけれど、
  専門外だなんて言ってられない。
  これから探すし、考えるし、
  絶対に見つけるんだ。


[ いま布団の中でもぞもぞ言っているぺんぎんの、
 飛べない羽のこともある。
 自分の持つ技術の幅を広げてゆくことは、遅くないはずだ。
 もしかしたら、天の向こう、
 この義手が作られたであろう場所なら、
 そのヒントもあるのかもしれないと――
 そのようなことも、薄っすらと考えながら。]
(334) 2020/05/31(Sun) 14:27:20

【人】 軍医 ルーク

[ やがて、名残惜しそうに身体を離し、
 ベッドの横に椅子を持ってきて腰掛ける。
 基地に流れる噂は、彼の耳にも入っていたようだ。
 
 なお、ぺんぎんに纏わる噂の方は、
 尾ひれがついて不思議なことになっているようだったが、
 面白いからそのままにしておいた。>>297

 医務室のぺんぎんは、患者に甘いものを差し入れされて、
 頭の上にハテナを浮かべて不思議そうにしていたけれど。
 食べきれない分を机の上に並べて困っていたから、
 仕事の合間にポシェットを縫って肩から下げてやった。
 というわけで、
 いま布団の中に潜り込んでいるぺんぎんのポシェットには、
 飴やキャラメルといった菓子が入っていて、
 “おすそわけのおみまい”を渡すタイミングを、
 いまかいまかと待っている。

 そして、“地上との交渉”という噂。]


  ああ、本当らしい。
  今は中央との折衝中だと聞いたけれど、
  近いうちに決定が出るはずだ。 
  次の襲撃までは間があるだろうけれど、
  それもいつまでかは分からないし、
  早いに越したことがないから。
 
(335) 2020/05/31(Sun) 14:28:45