貴方様の為に命を投げるものは
　　少なくはないはずですよ

　　

　　あの狐の方にも教えて差し上げましょうか

　

　　少なくないと言っておきながら


　　知らせずともどこからか聞きつけてくるのだろう
　　静かな塒にそんなに来客はいらぬぞ


　

　　わたくしのことは置物と思ってくだされば


　

　　思えるか
　　そんな大きい置物は邪魔にしかならぬ

　　用が済んだのなら帰ってもらおうか
　　今は機嫌が良い
　　このまま巫子と寝るのでな

　

　　気が……増えましたね
　　貴方様の気はこの山の寿命のようなもの
　　尽きかけた時はどうなることかと思いましたが

　　無事巫子から貰えましたか
　　貴方と合う様で良かったですね

　

　　いつぞやの出会ってすぐ逃げられた時や
　　気が合わずに嘔吐した時
　　山は荒れに荒れてわたくしにも被害がきたもので
　　
　　全く、強そうに見えて繊細過ぎるのですよ


　　折角手に入れた巫子を逃がさないでくださいよ

　

　　……言われずとも
　　我が巫子を守れずしてこの山を守れようか

　　我に力が戻れば山も戻る
　　またこの山で花見をしよう。……皆でな

　　ほら、もういいだろう
　　

［　手をひらひらとさせ追い払う動きを見せる。
　　寄りかかった体を抱え直し
　　力を入れすぎず、落とさない様にと
　　慎重に持ち上げる。　］

　

　　おやおや
　　邪魔者は消えるとしますか

　　
　　

　　では、また



　

　　知っておったのか
　　抜け目のないやつだ

　　みつきに聞かれたらどうするのだ
　　



　

　　あやつにはなんでも見通されてしまうな

　　みつき……。我の巫子