情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 初波華音[迎えた翌朝。 壮真くんの起床に合わせて一緒に早起きして、 ウォーキング用に買ってそのままになっていた ほぼ新品のウェアに袖を通して家を出た。 スタート前、壮真くんは 無理はしないでと声を掛けてくれた。好き。 温かい言葉のお守りをもらっておいて 日課の足を引っ張るわけにはいかない。 「体力には結構自信があるの!」 そう言って走り出した。までは良かった。 ランニングに慣れていない私に合わせて 普段より速度を落としてもくれてたんだろう。 それでも十数分経てば、息が切れてきた。 朝から大好きな人と走れるとあって、 序盤にはしゃぎすぎたのも いけなかったのかもしれない。 何がとは言わないけれど思ったより揺れた。 ゴール地点が近づく頃にはぐったりしていた。 マラソン大会が苦手だった理由を思い出した。 肩は痛いし男どもの視線が一点に注がれるからだ。 でもあんなに嫌悪していたのに 壮真くんになら、見られてもいいと思える。 やっぱり壮真くんは凄い。 そんな彼の穏やかならぬ心中は知らない。 ] (33) 2024/06/03(Mon) 19:25:33 |
【人】 初波華音[隣を走る壮真くんを見れば、 最後まで涼しげな余裕の表情だった。 流れた汗が陽光を受けてキラキラと輝いている。 えーーーんカッコイイ。汗拭いてあげたい。好き。 壮真くんがいつも見てる景色が知れて嬉しかったな 私ももっと体力を付けないと…… 連れていってくれたことにお礼を言って しょんぼり一人反省会をしているうちに、 彼はバスルームに吸い込まれていった。 どうやらこれも日課らしい。 少しの間を置いて、 扉一枚隔てた向こうから水の音がする。 なんだかいけないものを聴いている気分になって 慌ててリビングに避難した。 そのうち、一緒に入ったりとか……するのかな。 いやいやいや。そんな。妄想するのも畏れ多い。 ていうかもしかして私もシャワー浴びた方がいい? 汗臭くない??? ソファにも座れなくない????? どうしよう考えてなかった。] (34) 2024/06/03(Mon) 19:26:49 |
【人】 初波華音[そうこうしているうちに 湯上りほかほかの壮真くんが現れた。 彼はこれからピアノの練習をするらしい。 ピアノ室への出入りも自由にしていいと言う。優しい。 壮真くんのピアノなら 二十四時間三百六十五日いつでも聴いていたい。 これまでだって配信を一日中聴いていたから ライブ演奏はむしろ贅沢だ。 でもその前に、] あ、あの〜〜…… 私もシャワー借りていい? 練習がんばってね……! [ピアノ室ということは防音の密閉空間だ。 汗の匂いで壮真くんの気を散らせるのは避けたい。 奏者が万全な体調で弾いてくれるなら 観客だって万全なコンディションで聴きたい。 ぱたぱたとバスルームへ走って汗を流し 超特急でピアノ室前へと戻ると、 扉の中から聞き慣れたピアノの音色が聴こえてきた。 曲と曲の合間を見計らってそうっと扉を開き 邪魔にならないよう、部屋の隅に腰を下ろす。] (35) 2024/06/03(Mon) 19:29:55 |
【人】 初波華音[夢にまで見たソウマくんの生演奏が 目の前で繰り広げられている。 最高音質と謳われたヘッドホンをもってしても 生音の素晴らしさには到底敵わない。 譜面を見つめる真剣なまなざしも 鍵盤を軽々と撫でていく長い指先も ペダルを踏む長い脚も、すべてがカッコイイ。 ピアノの音色は言わずもがな、 練習と言えど非の打ちどころがない。] (は〜〜〜〜〜至福 耳も目もしあわせ……だいすき……………………♡) [熱い視線はどうしても注いでしまう。けれど 壮真くんはそれも気にならないといった様子で 夢中で延々と演奏を続けている。] (36) 2024/06/03(Mon) 19:32:32 |
【人】 初波華音[いつもこんな風に、ずっと練習してるのかな。 ……凄いな。体力も集中力も精神力も想像以上だ。 もうピアノが壮真くんの一部みたい。 この部屋に居ると、時間を忘れてしまう。 二時間くらい聴かせてもらったらお暇しよう、 週末やりそびれた課題を済ませないと。 最初はそう思っていたのについ長居して 気付けば実に六時間近い時間が経っていた。] (……あっ カノン……!!!) [生配信で聴いたカノンとも それ以前のリクエストで聴いたカノンとも また少し違う、 優しくてやわらかな旋律。 耳を傾けていると胸が甘く高鳴る、 まるで彼が抱きしめてくれているかのような 錯覚を覚えてしまうあたたかい音色。] (37) 2024/06/03(Mon) 19:33:25 |
【人】 初波華音[哀しみも苦しみもすべてが 今この瞬間のためにあったのだと思えるような、 幸福な未来への祈りのようなメロディー。] ────…… 壮真くんが弾いてくれるカノンが、 世界でいちばん大好き [演奏が終わったところで惜しみなく拍手を送った。 いつも練習の最後には パッヘルベルのカノンを弾いていると知れば、 なんだか照れてしまった。] (38) 2024/06/03(Mon) 19:34:11 |
【人】 初波華音[やっぱり勉強は大事だ。 好きだと思った曲も、 どんな風に好きだと感じたのかも 的確に君に伝えられるようになりたい。] お疲れさま 素敵な演奏、聴かせてくれてありがとう さて──私、大学に行ってくるね 今日は帰りはちょっと 遅くなっちゃうかも…… [そう。そういう日もある。 先週搔き集めたデータを纏めて分析して 所見を交えて読めるレポートにせねばならない。 午前中の講義をまるっとサボってしまったから せめて午後の講義には顔を出さねばならない。 向かう先は文学部の心理学科だ。 壮真くんが同じ大学に在籍しているとはまだ知らない。 すぐ後ろをついてくる様子なら、 振り返って小首を傾げてみよう。*] (39) 2024/06/03(Mon) 19:36:01 |
【人】 初波華音[壮真くんは、私の意思を尊重してくれた。 私の言葉を信じてくれた。 好きに使っていい、と言われた空き部屋は 壮真くんの部屋に一番近い部屋を一部屋 ありがたく使わせていただくことにした。 ワンルームから一気に物を運んでくるのは大変だし 大きな家具は運べないから、 お気に入りの小物を少しずつ。 取り急ぎ許されたソウマくんコレクションを纏めて 大切に宝箱にしまい込んだ。 私も寝るときは一緒がいい。 だから、彼の主張には二つ返事で頷いた。 これからはおはようからおやすみまで 壮真くん本人が傍に居てくれる。 最初の数分こそガチガチに緊張しながら 「お、おじゃましま〜す……」なんて言ったものの、 最愛の人の腕枕があまりに心地良くて 抱きつきながら数分で眠りに落ちた。ので 彼がどんな一夜を過ごしたかは知らない。] (54) 2024/06/04(Tue) 16:50:05 |
【人】 初波華音[けれど私は、 早朝目覚めてから昼までに はしゃぎ疲れてかなり消耗していた。 隣を走っていたときに聴こえた息遣い。 ぐっしょりと汗でウェアを濡らして そこはかとない色気は感じさせても、 むさ苦しさは一切感じさせない首元。 どんな香水より魅力を感じる汗の匂い。 脱ぎ揃えたシューズの大きさ。 濡れた髪が張り付いたうなじ。 熱いシャワーを浴びて上気した肌。 言うなれば壮真くんの過剰供給。 余すことなくすべてが目の保養で心臓にわるい。 脱衣所を出るとお手製スムージーが用意されていた。 シャワーを浴びるとき脱いだ衣類は畳んだけれど 習慣で一番上に下着を置いたことを大分後悔した。 スムージーは美味しく頂いて、 グラスは二人分洗ってからピアノ室へ向かった。 極めつけに ずっと愛を囁かれているかのようなピアノの音色。 六時間越しに立ち上がろうとしたとき ごく当たり前な感じで差し出された手。] (55) 2024/06/04(Tue) 16:50:16 |
【人】 初波華音[「行ってらっしゃい」と送り出してくれる声も、 「気をつけて」と気遣ってくれる優しさも 言葉にできないくらい愛おしい。 幸せすぎて眩暈がする。 そんな彼も今日はどこかへお出かけするらしい。 えーーんオフ壮真くんカッコイイよ〜〜!!!♡♡♡ もしベストキャッパー大賞があれば彼が毎年優勝ね 間違いない。] わ、そうなの? じゃあ途中まで一緒に行こっ [どこに行くのかな? 訊きたい。すごく訊きたい。 行き先が知りたすぎる。 お買い物? 気分転換?? 何かお仕事とか、習い事とか それともお友達とお出かけ??? でも言いたくないかもしれない。 尋ねて面倒な女だと思われるのは嫌だ。 ここは全然関係ない話をしよう、 あっねえ見て見てあの猫かわいい!] (56) 2024/06/04(Tue) 16:50:29 |
【人】 初波華音次の信号を私は右なんだけど 壮真くんは…… え? 壮真くんも右? ふふ もう少しだけ一緒に居られるね 言いそびれちゃってたけど スムージー、私の分も作ってくれて ありがとう ……ね、手繋いでもいい? [長く一緒に居られるのは素直に嬉しいのだ。 歩き慣れた変わり映えのない歩道も 君と一緒に歩くと輝いて見える。 あっいつの間にか新しいカフェが出来てる! 可愛くて美味しそう。壮真くんも好きかな?] (57) 2024/06/04(Tue) 16:50:35 |
【人】 初波華音あ、あの角のパン屋さんのメロンパン すごく美味しくて大きいんだ〜 食べたことある? そこの交差点を私は左なんだけど 壮真くんは…… え? 壮真くんも左? えへへ 嬉しいな〜 今日は西洋音楽史の講義の日でね 毎週楽しみにしてるの! 壮真くんがさっき練習してた曲も、 ぜんぶじゃないけど 曲の生まれた背景や歴史が 詳しく知れたりするんだ あっ あの角のクレープ屋さん 私の今のバイト先なの サービスするから良かったら今度食べに来て! [いつもより少し距離があったはずなのに 君と歩くとあっという間だ。 下宿先のワンルームから大学へと続く、 通い慣れた通学路に辿り着く。] (58) 2024/06/04(Tue) 16:51:05 |
【人】 初波華音じゃあ私はこっちだから…… ……え? 壮真くんも? えっすごーい!! この道通ると近道なんだ〜♪ [──思えばこの辺りで気付くべきだった。] 次は── え? 一緒? ほんとー? すごい偶然ね ふふ、嬉しいななんか 壮真くんと一緒に大学通えてるみたい [すれ違う歩行者に学生が増えてくる。 その次の角を右。彼も同じく右に曲がる。 往来が賑やかになって、 徐々に大学の立派な校門が見えてくる。 というか、] (59) 2024/06/04(Tue) 16:51:30 |
【人】 初波華音[奇遇……????? 気付いたらもう校門の前まで来ていた。 この奥は大学の敷地内だ。 キャンパスしかない。] 同じ大学だったの!!?!??!? いいい言ってよぉ……!!?!? い、行ってらっしゃい ……またあとでね? [身体は大きいのに淋しげに小さく手を振る彼が なんだか非常に可愛らしく思えた。 ただ講義に向かうだけなのに罪悪感がすごい。 そしてやはり、長身の彼はかなり目立つ。カッコイイ。 ソウマくんファンに取り囲まれてしまうかもしれない。 連れ去られたりしたらどうしよう。不安だ。 連絡先は伝えてある。もし何かあれば メッセージ送ってね、とも伝えた。 繋いできた手をそっと解放して、手を振り返し 後ろ髪引かれながら講義棟へ向かったのだった。*] (61) 2024/06/04(Tue) 16:52:01 |
【人】 初波華音そっか、休学してたんだ…… ……アレッ!!? 実は先輩だったりする……!!? [歳は同じくらいか、違っても 一つか二つ程度だろうと勝手に思っていた。 もしも留年していたりしたら学年は揃っているか、 場合によっては抜かしているのかもしれない。] 教務課に行く……ってことは もしかして、 ……あっもうすぐ三限始まっちゃう! またね! [「もしかしてこれからは一緒に通える?」 尋ねそびれたまま、校門前で彼と別れた。] (70) 2024/06/04(Tue) 23:34:37 |
【人】 初波華音[文学部の講義棟へと一人向かう道のりが遠い。 キャンパスの最奥部に位置するとはいえ、 壮真くんの家から大学までの道のりに比べれば ずっと短いはずなのに。 手のひらから既に失われかけている温もりを これ以上逃したくなくて、きゅっと手を握る。 だめだめ、贅沢よ華音。帰れば会えるんだから。 今まではイヤホンで聴く音源で満足できたんだから。] は〜〜〜楽しかったなー…… [隣を歩く壮真くんから自分と同じ香りがした。 話し掛けすぎちゃったかなって思ったけれど 話が楽しくて、って壮真くんは言ってくれた。 洗い物の話の流れで、 冷蔵庫内の作り置きについても訊いた。 ソウマくん好みのお料理を作れる田中さんとやらに 弟子入りしたいなって話もした。 パン屋さんにも、新しくできたカフェにも 今度一緒に行く約束をした。 君のおかげで未来が彩られていく。] (71) 2024/06/04(Tue) 23:38:19 |
【人】 初波華音[壮真くんが望むなら家でも制服は着て見せるけど、 バイト先にも来てくれるって即答してくれた。 元々は制服の可愛らしさに惹かれて応募したお店だ。 ……可愛い、って、思ってもらえたら嬉しい。 壮真くん、手続き問題なく出来るかな。 用事が終わったら何するんだろう。 カフェテリアで一服? 注文できるかな(失礼)。 それとも購買で文房具の厳選? 図書館には入れるだろうから、読書かな。 うちの大学には音楽部があるから 楽譜も色々と揃っているだろうし…… いつも私がアイスココアを飲んでいるカフェで、 ノートやカラーペンを買い漁っている購買で、 閉館時刻ギリギリまで籠もることもある図書館で 壮真くんが過ごしている(かもしれない)。 つい先週までは考えもしなかった。 今は、想像しただけで楽しい。 傍に居なくても私に力をくれる。 やっぱり壮真くんは凄い。 なお当の彼が己の私物をチェックした上で 同じものを買い漁っているなど考えもしない。] (72) 2024/06/04(Tue) 23:39:02 |
【人】 初波華音[三限の講義を恙なく受け終えて 四限の講義が行われる講義室へと移動する途中。 先週飲み会をお断りした友達が、 心配そうな顔をして駆け寄ってきてくれた。] 「珍しいじゃん、華音が一限サボるなんてさ。 センセーも心配してたぞ〜?? はいこれ。ノート」 すみません、助かります 今朝は少し体調を崩していて…… ああいえ、今はもう大丈夫です ご心配おかけしましたっ ありがとうございます♡ [気遣ってくれる友達の声が温かい。 体調不良はもちろん嘘だ。心苦しい。 壮真くんの過剰摂取による 発熱・動悸・息切れを起こしていたという意味では 決して間違ってはいないけれど。] (73) 2024/06/04(Tue) 23:40:26 |
【人】 初波華音[余程珍しかったのか、 普段なら寄って来ない学友達も寄ってくる。] 「そういや聞いたか? アイツ、今日来てるらしいぜ 教務課で見たって奴が居てさあ」 アイツ……ですか? 一体どなたが…… 「あれよあれ。 西洋音楽史の教授が激推ししてる 秋月美奈子の息子ーってやつ」 ……え? あ、あれっ そんなお話してらっしゃいましたっけ……? 「ああ、初波さんは心理学科だから 音楽部の研究室には行ったことねえんだっけ。 あの教授すげえ秋月美奈子ファンなんだよ。 ああ、秋月美奈子ってのは 何年か前に亡くなったピアニストで──」 (74) 2024/06/04(Tue) 23:42:50 |
【人】 初波華音「息子もすげーピアノ弾けるらしいじゃん? 休学してるらしいけど。 戻ってきたらティーチングアシスタントに 是非雇いたいってずーっと話しててさ〜」 へ……へえ〜〜…… ちなみにですがその方のお名前って……? 「「「秋月壮真」」」 [普通に有名人じゃない壮真くん!!! 復学したら半径1メートル以内にも 近づかせてもらえなくなるかもしれない。やばい。 構内のどこかで今頃、 盛大にくしゃみをしていたりするのかもしれない。 冷や汗交じりに 「わ〜私もいつか聴いてみたいですー♡」 なんて言いながら講義室に入った。 午前中丸々存分に聴いてきたのは黙っておこう。**] (75) 2024/06/04(Tue) 23:44:23 |
【人】 初波華音[西洋音楽史の講義は、今一番のお気に入りだ。 教授の解説も一言だって聞き漏らしたくないから 毎週決まって最前列の一席を確保している。 ピアノのイラストのシールを貼ったノートを開き、 ペンケースからシャーペンに消しゴム、それから カラーペンを三本取り出す。 一本はシアンブルー。もう一本はジェイドグリーン。 最後の一本は暁の空のようなオレンジ。 購買で見かけたとき、 ソウマくんの瞳の色と髪色に似ていると思って 即断即決で購入したものだ。 オレンジは重要な単語を目立たせるために、 シアンブルーは絶対に覚えておきたい事柄に ジェイドグリーンは補足を書き足すために、と 使い分けて使っている。 この三色を使ってノートを作ると、 自然とノートがソウマくん色に仕上がる。 見返すのが楽しくなるし、何度も見返すから 記憶にも定着して一石二鳥。 そういえば昼食を取りそびれた。 壮真くんに夢中で完全に忘れてたわ。 おなかすいたな。なんか持ってないかしら。 せめてどっかに飴とか……、ないか〜〜〜!!] (84) 2024/06/05(Wed) 20:50:56 |
【人】 初波華音[ところで時間になっても教授が来ない。珍しい。 監督が誰も居ないと講義室は賑わうものだ。 他愛ない会話を繰り広げているうちに、 話題がさっきのものに戻った。] 「まあすげー弾ける、っつってもさあ 実際聴いたことある奴はいねーんだろ? 案外大したことねえんじゃ……」 っ、そんなことない!! …………と、思います ええと…… 教授のお好きな方の息子さんならきっと お母様から教わってきたのではないでしょうか それこそ 物心つくかつかないかの頃から、ずっと…… [壮真くんの演奏を聴いたこともない人に、 壮真くんが貶されるのは嫌だ。 あんなに素晴らしい音色を奏でられるのに。 突然声を荒げて友達を驚かせてしまっても、 これだけは譲れない。] (85) 2024/06/05(Wed) 20:52:41 |
【人】 初波華音休学していたのにも きっと理由が──── [と、そのとき講義室の扉が開いた。 やあやあ遅れてすまないねえ、なんて言いながら 入室してくる教授の後に、] ──!!!?!??!? そっっっっっっ [ひどく見覚えのある長身の男性がいる。] (86) 2024/06/05(Wed) 20:53:21 |
【人】 初波華音[一瞬見間違えかと思った。 壮真くんに逢いたすぎてとうとう 白昼夢まで見始めてしまったのかと思った。 危うく素で名前を呼びそうになって、 両手で口元を抑え込んだ。 彼は真顔で、黙々とプリントを配布していく。 え、本人? 本物……?? なんで????? まさかもう既にスカウトされて……??? てかプリント配る壮真くんカッコ良すぎない!? アッアッこっち来る!! あっっ!!!!!] …………、 ッ!! [すぐ目の前までやってくると彼は にこりと不意打ちで微笑みかけてきた。 本物だ。本物の壮真くんだ。] (87) 2024/06/05(Wed) 20:55:57 |
【人】 初波華音[ほんの数時間前には手を繋いで歩いていたのに、 どくんと一気に心拍が跳ね上がる。 緩む頬を戒めながらプリントの束を受け取って 後ろへと回すと、いつの間にやら 机の上に小さな桃のキャンディが三つ。 えーーーん神様かな……!!??!? すき。 よく見ると、うち一つには付箋がついている。 アシスタントに雇われたことについてかな? そう思いながら文面へと目を通せば、] …………!!! 〜〜〜〜〜〜!!!!! (壮真くん!!!!!!!!!!!) [壮真くんと付箋を交互に五度見した。 付箋は失くさないようノートに即貼り付けた。 一番前の席に陣取っていて本当に良かった。 顔が真っ赤に染まってしまっても、 それが見えるのは壮真くんと教授だけだ。] (88) 2024/06/05(Wed) 21:01:30 |
【人】 初波華音[この場をお借りして叫び出したい気持ちを抑えて 指先で小さなハートマークを作った。 帰ったらめいっぱい……ううん、 この講義が終わったら伝えに行こう。 この先何度でも伝えてゆきたい気持ちを 世界でいちばん愛しい君に。*] (89) 2024/06/05(Wed) 21:04:32 |
【人】 初波華音[ころころ。 口内で転がすキャンディが甘い。 しあわせの味がする。 一粒目は空腹感を紛らわせる為にすぐ頂いて、 二粒目はもったいなくて大切にポーチにしまった。 今日の講義も面白かったな。ただ、 どうしても壮真くんの方へ視線が向いてしまうこと あの教授にはぜんぶお見通しだった気がする。 え? さっきのサインは何かって? そういえば生放送の時のソウマくんは 違う方法でハートを作ってたっけ。 あのハートも尊くて可愛かった。だいすき。 あれも間違いじゃないよ? 教授の前では流石に憚られたってだけ。 もう一度、両手それぞれの指先で 解説しながらハートを作って君にはにかんだ。] (92) 2024/06/05(Wed) 22:47:26 |
【人】 初波華音[私にも間違えてしまうことは沢山ある。 失敗しちゃうことだって幾らでもある。 すべて自分が正しいなんてぜんぜん思えない。 だから壮真くんも、 嫌だな、悲しいなってことが もしあったら教えてほしい。 知らないまま、気付けないままの私でいたくない。 落ち込んでしまう日には励ませる私でいたい。 閉じ込められたときには心底焦ってしまったけれど ……そんなにも想ってくれてたんだ、って 嬉しかったのも本当の気持ち。 私にとって特別な思い出には違いない。 初めて壮真くんに出逢えた日だから。 次の誕生日には、一緒に ラザニアを焼いてくれるかな? パスタ生地と具材を重ねる作業なら、 君にもできるはず。] (93) 2024/06/05(Wed) 22:48:07 |
【人】 初波華音[壮真くんの奏でるピアノだけが、 私を世界に繋ぎ留めてくれて ひたむきにピアノに向かい続ける君が 私の世界を拡げてくれた。 ソウマくんのファンになったきっかけについて もし正直に話したら、ともすれば 優しい君を心配させてしまうかもしれない。 でも聴いてほしい、君にしか言えない。 情けなくてみっともない私も知っていてほしい。 きっと君は、そんな私も 受け止めようとしてくれるんでしょ? 私だって君への愛だけは 誰にも負けない絶対の自信があるの。 好き。大好き。愛してる。 末永く一生よろしくお願いします。 ……言葉だけじゃ、うまく伝えきれないな。] (94) 2024/06/05(Wed) 22:48:37 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新