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人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

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視点:

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【人】 軍医 ルーク

 ―― 
明け方の見張り台
 ――

[ 通信機の解析は、順調に進んでいたようだった。
 途中までは。
 あの重みの大半は外殻である箱のものだった。
 内部が破壊されないよう頑丈に作られていたためだろう。
 中から現れた部品は、驚くほどに小さく精巧だった。
 内部に記録の痕跡を発見し、
 色めき立った技術班の解析が止まったのは、
 その通信が暗号化されていたからだ。

 機械の解析はいつの間にやら数学の時間と化し
 (何故言語学ではなくて数学なのかは、
 専門外の自分には朧げに想像するのみだ)、
 役目を終えた自分は解放されて日々の業務に戻り、
 あの見張り台を漸く訪れることが出来たのは、
 箱が発見された翌々日の明け方のこと。

 慣れた道のりを、ぺんぎんと共に歩く。
 階段を上ってゆく。 
 前回は帰りがけに引き出しを開けたけれど、
 今回は最初から見張り台の机に向かった。
 見張りが離れているのを確認し、
 引き出しの中から赤い袋を取り出す。

 机の横にぺたんと腰を下ろして、
 タブレットを取り出しロックを開く。
 指の動きは最初は躊躇いがちに、
 動き始めてからは、逸るように早かった。]
(11) 2020/05/21(Thu) 19:45:09

【人】 軍医 ルーク

[ ノートのページはまた増えていた。
 いつものように、日付から始まる日記。
 一語一句目で追いながら、
 呼吸すら忘れるように真剣に読む。
 ぺんぎんは、画面を覗きこむことはしなかったけれど、
 羽根の一枚も動かすまいとでもいうように、
 口の前で羽をバツにして、しーっと静かにしていた。

 いくつかの箇所で、表情が動いた。
 気付いたことがいくつもある。
 それはまだひどくあやふやで、
 指を伸ばせば煙のように散ってしまいそうな、
 そんなとりとめもない感覚だ。

 例えば、そう、
 この日記の主は『通信機』という言葉を避けている。
 その暫く後で『通信をする』という言葉を使っている以上、
 『何か』と書かれた箇所に入る言葉は、
 文脈からしても、別のものであること自然だ。

 けれど、それが何を意味するのか、
 今は触れることなく、一度、タブレットから視線を上げる。]
(12) 2020/05/21(Thu) 19:46:45

【人】 軍医 ルーク

[ ゆっくりと、片手を伸ばす。
 いつも、大穴に向けてそうしているように。
 目を眇め、その先にある何かを見る。
 朝の光が差し込み始めた見張り台、
 淡く室内を照らす光の筋。
 舞い上がった小さな埃が、光に照らされて、
 ゆるやかに白く光る。
 
 さらに、その向こうを見る。
 誰かの後姿が見えるような気がした。
 凍えるような寒さの中、
 何処までも続く白い景色を、
 たった一人歩いてゆく人影だ。]


  ……、


[ 言葉から思い描くことしかできない、その景色が、
 『どの場所』のものであるのか。
 自分はきっと、気づきかけている。
 その白い景色に足を踏み入れたとしても、
 この足は、きっとまともに動かない。

 ――… けれど、
 
 伸ばした手を握り込み、下ろす。]
(13) 2020/05/21(Thu) 19:48:35

【人】 軍医 ルーク

[ 傍らのぺんぎんに向けて、首を傾げた。]


  息まで止めてるような、顔してる。
  窒息するぞ?

  
[ ぺんぎんはそう言われて目をくりくりさせて、
 ぷはー、と深呼吸した。
 そういえば、此奴らは基本的には寒冷地仕様で、
 この世界のどこでも活動できるように、
 幅広く適応可能な造りになっているようだ。
 
 きっと、いくつものことに、自分は気付き始めている。
 何かの前で立ち竦んでいる。
 けれど、このタブレットを閉じて、
 何もかも見なかったことにして立ち去るのは、
 最早選択肢すら思いつかないことだった。

 ノートのページを改め、指を滑らせて行く。]*
(14) 2020/05/21(Thu) 19:50:09

【人】 軍医 ルーク

[ それは、ばらばらに砕け散った窓硝子を、
 目隠ししたままかき集めて、
 形を探ってゆくパズルのようなものだ。
 少しずつ、必死で、
 自身の中にある何かを探して結い合わせてゆく。

 ――… 時折、指が鍵盤に触れて、音を鳴らす。
 そうして、自身が感じていることを理解する。
 
 恐怖? 不安?
 けれど、違う、決してそれだけじゃない。
 しいて言うなら、これは、そう。
 “望み”。

 綴り終えた指は、少し震えて。
 タブレットを袋に戻し、大切に引き出しにしまう。
 日記の主は、このタブレットを大事にしてくれると、
 そう言っていた。
 自分も、そうしたい。
 これは、今はそのひとの物で、
 書き記した大切な記録だから。]*
(15) 2020/05/21(Thu) 20:01:39
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a3) 2020/05/21(Thu) 20:21:24

【人】 軍医 ルーク

 ―― 
医務室
 ――

[ 叩きつけられた机の上から、
 器具が床に落ちてがしゃりと音を立てる。
 椅子を巻き込んで転び、身を起こすのに少し時間がかかった。

 頬の痣の上、広く貼られた湿布の端に、
 刃渡りの広いナイフが突きつけられる。
 刃先が白い湿布を無造作にはぎ取れば、
 下にある青黒い痣の上に、 滑った刃が薄く傷を重ね、
 一筋開いた傷口から、少し間をおいて、
 ぷっくりと赤い血が球になって流れた。]


 『なあ、状況が分かってんのか?
  いいか、もう一度聞くぞ、
  “あのときあったことを、話せ”』


[ 怒りに我を忘れる寸前といった男の声は、どこか酷く冷えて、
 返答によっては何が起こるか分からない。
 けれども、まだだ。
 ひとはそうそう“思い切れる”わけでもないし、
 最後の一線を越えたなら、どのような処分を受けるのかを
 考える理性も残っているのだろう。
 突きつけられた刃先がぴくりとも揺らがないのは、
 やはり兵士だ。]
(16) 2020/05/21(Thu) 21:29:58

【人】 軍医 ルーク

 
   前にも言っただろう?
   好きに想像すればいいって。
   君にも分かりやすく説明すると、だ、
   この基地には機密レベルというものがあり、
   皆、それに応じて、
   目やら耳やら口やらを
   上手いこと動かしているものだ。
   君は手が滑りやすいようだから、
   耳と目くらいは言うことを聞かせておけ。


[ 間をおかずに返って来たのは、
 躊躇なく振るわれ、腹にめり込んだ拳の一撃。
 重い衝撃に視界が明滅し、痛みが遅れてやって来る。
 床に崩れて身体を折り、けほ、と咳き込む。
 腹の底からせりあがる吐き気をこらえきれず、
 けれど、また暫く飲み食いを忘れていた胃からは、
 何も吐き戻すものがなかった。
 身体が痙攣するように震え、起き上がれない。

 成程、以前は腹を殴るのを教えてやろうと思ったけれど、
 少しは考える頭があったのかどうか――、
 思考だけがそんな風に冷静で、身を折って蹲る。]
(17) 2020/05/21(Thu) 21:31:30

【人】 軍医 ルーク

[ 次に衝撃があったのは、頭。
 ざり、と固い感触と衝撃。
 床に打ち付けられた頭がぐらりと揺れて痛み、
 踏みつけられたのだと知る。
 視界の片隅、横合いから飛び出してきたぺんぎんが、
 必死に男の足にしがみ付こうとする。]


  『何だ!?
   おい、邪魔するなって!』


[ 男は驚いた様子で足を振り、振りほどこうとするが、
 頑として離れない。
 ぺんぎんを蹴り飛ばすのには躊躇いを覚えるようだった。
 自分相手なら兎も角、何もしていないぺんぎんに
 暴力をふるうような、そういう性質の人間ではない――
 そういうことなのだろう、おそらく。

 それでも、逆上した相手が何をするか分からず、
 手を伸ばし、ぺんぎんを鷲掴みにして引き剥がし、
 戸口の方へ転がす。
 声は出せなかったが、
 にげろ、と、口の形だけではっきり告げた。]
(19) 2020/05/21(Thu) 21:33:20

【人】 軍医 ルーク


  『――ったく、
   いいか、これ以上手間を取らせるなら、
   こっちにも考えがある。
   最後にもう一度だけ聞くぞ、
   あのときあったことを、話せ』


[ 突き付けられた刃先が、今度は首筋に傷を作る。
 先ほどよりは明確に、意志を持って。
 何も答えず、視線だけで男を睨み上げる。

 男が刃先に再び力を籠めようとした、そのとき。
 遠くから聞こえてきた『足音』に、
 男の犬耳がぴくりと動き、
 忌々し気な舌打ちの音がした。]
(20) 2020/05/21(Thu) 21:34:16

【人】 軍医 ルーク


   『いいか、警告はこれが本当に最後だ。
    次はない』


[ 男は足早に、医務室を出てゆく。
 戸口のところに、ぺんぎんの姿はなくて。
 ああ、ちゃんと逃げられたのかな――と安堵する。
 もしかしたら仲間の端末経由で、
 何処かに通報しようとでもしたのだろうか。
 ぺんぎんはいつも医務室にいるが、
 他の連中と没交流ということもなく、
 廊下で他の連中とジェスチャーを交わしている様子も、
 稀に見ることもある。

 足音は、此方に向かってくる。
 腕に力を籠め、起き上がろうとするが、
 どうしても体に力が入らない。
 急患なら対応が必要だが、戦闘があったわけでもなし、
 可能性は低いか――と、そのまま力を抜いた。

 急を要さない要件なら、驚いて逃げ出すか、
 指差して笑って立ち去るかどちらかだろう、多分。]*
(22) 2020/05/21(Thu) 21:35:30

【人】 軍医 ルーク

  ―― 
着任の日の記憶
 ――

[ 窓の向こうから聞こえてくる喧騒は、遠く規律正しい。
 総司令の後ろ姿に失礼します、と声をかけ、
 所属と名を名乗り挨拶をする。
 黒豹の耳と黒眼鏡の背の高い男が、ゆるりと振り返る。
 人好きのする笑みを浮かべ、
 やあ、待っていたよと目を細めた。]


 『長旅ご苦労、疲れただろう。
  君の経歴は聞いている、
  今日から早速医務室と研究班の両方に
  配属になってもらうよ。
  詳しいことは、
  それぞれの部署で聞いてくれたまえ。』


[ 男は木の椅子にかける。
 華美なところ等一切ない、機能一辺倒の司令室。
 誰が飾ったか、まさか自分で摘んできたのか、
 水飲みグラスに、そのあたりで生えていそうな花が一輪、
 飾ってあった。]
(38) 2020/05/21(Thu) 23:15:23

【人】 軍医 ルーク


 『軍事基地の勤務経験はなし、か。
  確かにねえ、一昔前の開拓時代なら兎も角、
  この数十年、世界は実に平和なものだった。
  此処は最前線にして、唯一の戦場と言える』


[ 表情も変えず、押し黙って司令の話を聞く。
 フードを脱いで露にした耳も、ぴくりとも動くことはない。
 窓からまた飛び込んでくる遠い喧騒を、耳が捕らえた。
 訓練中の兵士たちの声だろう。]


 『我々が相手取るのは未知の脅威だ。
  けれど、此処の兵士たちの士気は
  中々のものだよ。
  いや実際、私は“人材に恵まれている”。
  出来るなら兵を失うことは極力抑えたい、
  そのためにも、君には期待しているよ』


[ 何処か読み切れないその笑みは、
 “それだけのものではない”。
 この基地で戦う兵士たちを誇りに思い、
 失いたくないという言葉通りの感情も、
 確かにそこに表れてはいるのだ。]
(39) 2020/05/21(Thu) 23:16:46

【人】 軍医 ルーク


 『いやあ、ところで君の武勇伝も中々のものだ。
  実際、いい読み物だった。
  壁面をよじ登って新種の鳥の巣を観察に行ったり、
  開けたら顔面から頭までピンクに染まる染料爆弾を
  学問所の教師に仕掛けたり――
  ああ、そいつ、
  所属学生にしていた陰湿な嫌がらせが発覚して、
  今は懲戒処分になったのだっけかなあ。
  
  けれど、君なら引手数多だったろうに、
  最前線に勤務することになったというのは――
  “色々と言われることもあるかもしれないけれど”
  其処は事を荒立てずにいてほしいな』


[ 男は靴音を響かせ、近づいてくる。
 黒眼鏡の奥の眼差しが、すっと冷える。]
(40) 2020/05/21(Thu) 23:17:57

【人】 軍医 ルーク




 『 まだ、皆に知らせる段階ではない。
   あの大穴の向こうに
“何”
がいるのか。
   君がいた研究所にいたのが
“誰”
なのか――…

   我々を殺そうとしている者たちの、正体を。

   物事にはタイミングというものがある。
   今はまだ、早い  』
(41) 2020/05/21(Thu) 23:18:59

【人】 軍医 ルーク

 『けれど、探りたがる手合いも多いだろうから――
  そうだなあ、彼らには、
  適当な“解答”を用意してやれば、
  一先ずは気が済むだろう。 』


[ 荒唐無稽な噂の向こうに、
 森に紛れた木のような、もう一つの噂を。
 必ずしも事実無根ではない、真実を織り交ぜたものを。
 調べれば確かな情報として、分かることだろう。
 着任した軍医は、研究所で機獣絡みの極秘任務に携わり、
 その研究所で爆発事故が起きた後に、
 最前線に送られたのだと。]


  『ああ、とはいえ、
   困ったことがあったらいつでも相談してほしいなあ。
   何せ私も、若い頃は君の父君には世話になった。
   これも縁だ』


[ 頷き、すべて受け入れる。
 そう、噂の森の向こう、見えるように隠される木は、
 そこまで的外れな代物でもないだろう。
 もし自分に何かが出来ていたなら、
 結末は、変わっていたかもしれないのだから。]*
(42) 2020/05/21(Thu) 23:21:13
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a5) 2020/05/21(Thu) 23:29:28

軍医 ルークは、メモを貼った。
(a6) 2020/05/21(Thu) 23:31:59

【人】 軍医 ルーク

[ 箱を回収してから数日と経たぬうち、
 言い渡された直近の勤務表に眉を顰めた。
 残骸の研究に携わる夜の時間が、大幅に増えている。
 それ自体は、通信機の回収の一件を考えれば
 そこまで不自然なことではない。
 けれど、その分削られていた箇所は何処かというと、
 あのうさぎの『検査』だ。
 自分が一人で検査にあたる時間はおろか、
 複数人で行う検査に参加する機会すらない。

 医療班の班長に何か間違いはないかと聞いてみても、
 研究班の方で急な人出が必要になっているらしい、
 という答えくらいしか得られない。
 それもあながち出任せではないようだったけれど、
 どうしても気になることはあった。
 生憎歯に着せる衣はもっていない性質だ。
 ずばりと、聞いてみた。]
(124) 2020/05/22(Fri) 21:41:04

【人】 軍医 ルーク

  治療の方針が合わないわたしは
  外したほうが良いということでしょうか。
  あなたも医者なら、
  これはおかしいと分かっているはずだ。


[ 問いただされた軍医はたじろぐこともなく、
 それもある、と頷いた。
 向けられた表情は、形容しづらい複雑なものだった。
 聞き分けのない子供に向ける苛立ち、僅かに滲む呵責。
 けれど、彼は何も肝心なことは口にせず、

 『君の勤務状況も見直しが必要だったからね、
  医者の不養生も程々にしておきなさい。
  行き届かない自己管理は怠慢と変わらない』

 そんな風に、口を噤んだ。
 せめて投薬の方針を――と言い募っても、
 それは参考にさせて貰うよ、と、
 明らかに口先と分かる返答を返されるばかり。]
(125) 2020/05/22(Fri) 21:41:53

【人】 軍医 ルーク

[ 検査記録を見ることは妨げられなかったため、
 日々の記録を追いながら、
 治療の建前すらかなぐり捨てたような実験めいた処置に、
 後から目を通すことしかできない。
 誰に訴えたところで、軍の方針に行きつく。

 自分には知らされていないところに理由があって、
 その理由は、最初の襲撃の顛末だけではない、
 あのうさぎ自身に関わりがあることだと、
 この頃には、もう確信し始めていた。

 “副作用ではない頭痛は、兆候。
  その前後の様子はよく見ておくように”
   
 記録されていた指示に、
 鳩尾を掴まれたような感覚を覚える。
 通信機を回収に向かった夜、
 箱を見つけたときのことを思い出す。
 頭痛の直後、まるで別人のような様子で、
 『機獣の構造を知らなければ』見つけようもなかった
 通信機を見つけ出した。]
(126) 2020/05/22(Fri) 21:45:16

【人】 軍医 ルーク

[ 本当なら、報告しなければいけないことだ。
 うさぎの記憶にまつわる手掛かりは、
 どのような細かいことでも申告するようにと
 言い渡されている。

 それなのに、口を噤んでいるのは、
 頭の中の何処かで強く鳴り響く警戒音があるからだ。
 言ってはいけない、口火を切ってはいけない。
 そうしたら、きっと、何かが始まってしまう――
 そんな、予感だ。

 出来ることが、何もない。
 手が届くようで届かないところで行われていることを、
 何もできずにただ見ているしかない。
 そんなどうしようもないもどかしさ、焦燥が、
 自身に対する怒りと自責を連れて、
 空洞の中で煮えている。

 そのような感覚は、
 そこまで時間をかけずに自覚することが出来た。
 この感覚の元になっているものが、
 あのうさぎへの『心配』だと、もう、知っていたからだ。]
(127) 2020/05/22(Fri) 21:46:43

【人】 軍医 ルーク

 
  ……しかも、
来ない



[ 昼時の医務室、椅子にかけている。
 音を立てて開いた扉にぱっと視線を向ければ、
 ひえっとすくみ上った鹿耳の若い兵士が、
 『部屋を間違えましたー!!』
 と、まっしぐらに逃げ出していった。

 ああ、いつものあれか――と、
 ぷいと顔を逸らした自分が、
 どれほど不機嫌な顔をしていたかを知っているのは、
 いかにもタイミングが悪かったその兵士と、
 机の上で溜め息をついているぺんぎんのみだろう。

 分かっている、向こうも暇じゃない。
 部隊長としての仕事や訓練に加え、検査がある。
 まともな空き時間なんてあるわけもないのだ。

 ―― 無事に、過ごせていられる状態だろうか。]
(128) 2020/05/22(Fri) 21:48:16

【人】 軍医 ルーク

[ 机の上で、ぎり、と拳を握りながら。
 顔を上げて、ぺんぎんに問う。]


  わたしは、『怒ってる』ように見える?


[ ぺんぎんは、それはもう、とばかりに頷いた。
 “また近いうちに”>>1:362
 その言葉を覚えていたぺんぎんは、
 仲間の伝手を辿って、『いいもの』を調達したようだった。
 とうもろこしから作ったお茶。
 珈琲や紅茶とは違い、苦みも渋みもない。
 戸棚のシロップの瓶の横にそっとしまい込まれたそれが、
 誰のために調達してきたものであるかは、聞くまでもない。

 やっぱりあいつが現れたら、
 最初は苦い物の一つも飲ませてやろう、そうしよう。
 決意を込めて頷けば、ぺんぎんは、
 おてやわらかに……とでもいうように、
 首を竦めたものだった。]*
(129) 2020/05/22(Fri) 21:49:23

【人】 軍医 ルーク

   ―― 
現在・医務室
 ――

[ 駆け込んできた足音は、ひどく慌てているようだった。
 耳に飛び込んできた声に、
 フードの下の白耳がぴくりと動く。]


  ――…、
   ん……


[ それが誰のものであるかを認識すれば、
 ぐらぐらと揺れていた意識が思考を結ぶ。
 最初に思ったのは、何故このような時間にということ。
 検査の時間でもない、夜の時間。>>70
 次の瞬間、思いついた可能性に、
 霞がかった思考がざっと晴れた。
 身をよじり、腕をついて身体を起こそうとする。]


  すぐ、起きるから。
  どこか、具合が悪いなら――


[ 椅子にでも座って待っていてほしい、
 そう言おうとしたのだけれど、
 痛みと吐き気にまるで身体に力が入らない。
 声だって、音になっていたか怪しい。]
(144) 2020/05/22(Fri) 22:25:18

【人】 軍医 ルーク

[ 記憶が戻る兆候、頭痛、
 “あと少しだろう”と皆は言っていた。>>63
 通信機を回収しに行ったあの晩に感じた感覚は、
 そう、『心配』だけではなくて、
 恐怖にも近く、痛みにもひどく近い。
 何に対する恐怖であるかは、分からないけれど。

   明け方の見張り台で、
   あの日記を読むときに感じる痛みと、
   どうしてか、ひどくよく似ているのだ。
   ――… 遠ざかる何かに、
   必死に手を伸ばすような。

 
 間近に見えたのは、赤い目だ。>>72
 いつもの穏やかな様子とは
 ずいぶん違った表情をしていたけれど、
 それでも、“変わらない”、あのうさぎのものだった。]
(146) 2020/05/22(Fri) 22:28:15

【人】 軍医 ルーク



  
   ――… シュゼット、


[ はじめて、名前を呼んだ。]
(147) 2020/05/22(Fri) 22:28:49

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんは、辺りをおろおろと駆けまわっていたけれど、
 飛ばされた指示にはっと我に返り、
 鍵のかかっていない方の戸棚に大急ぎで駆け寄る。
 勝手知ったる医務室、
 必要なものをかき集め、両の羽に抱えて
 ぺたぺたと戻って来た。

 どうやら、あの頭痛があったわけでも、
 具合が悪いというわけでもないらしい――…
 そうと気づけば、力も抜ける。
 床にぐったりと横たわり、
 腹部に手を当て、痛みをやり過ごそうとする。
 内臓まではやられていないだろう、休めば問題ないかと、
 頭はそう判断するものの、
 痛みというのは思考でどうにかなるものでもなかった。

 ローブにかけられた手の感触を感じたが、
 なされるが儘に動かない。]
(148) 2020/05/22(Fri) 22:29:59

【人】 軍医 ルーク

[ はぎ取られたフードと黒いローブの下、
 白い狐耳があらわれる。
 身体を庇うようにくるりと胴に巻き付いた尻尾は、
 普段は外には出さないもの。
 白く柔らかくふわふわで、
 胴回りよりも尾の方が豊かな程だ。

  降ったばかりの新雪と同じ色――と例えるには、
  この世界にそれがない。

 
 捲れた服の裾から覗く足は、両方とも金属色の義足。
 もし、怪我を探そうとローブの下のシャツをはぎ取るなら、
 一切止めようとしないのでそれは簡単なことだろう。
 腹部の殴打には、痣は残りづらい。
 肉付きの薄い体には、目に見える傷は殆どない。]
(149) 2020/05/22(Fri) 22:31:00

【人】 軍医 ルーク


 

[ 其処に在るのは、青白く痩せた、
 “女性”の身体。 ] *
(150) 2020/05/22(Fri) 22:32:10
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a16) 2020/05/22(Fri) 22:35:56

【人】 軍医 ルーク

   ―― 
カイキリア
 ――


[           身をよじり、身体を動かそうとする。
 けれど、からり、と手元の破片が音を立てた、それだけで。
       そうだ、繋いでいた手が、あったはずだった。


                      首を傾ける。
       小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。
          自分の右手と、つないだままだった。]
(151) 2020/05/22(Fri) 23:00:05

【人】 軍医 ルーク

[ ――… ]

 
  『ルウのおとうさんは、
   随分…強烈なひとだったんだねえ』


[ 自分の話を聞き終えた彼女の第一声は、
 それだった。>>0:6>>0:7
 両親の話を聞かせてほしいと言うから語ったのに、
 聊かならず、引いている。
 
 じゃあ、君の親は?
 そう聞いたら、嬉しそうに色々なことを話し出した。
 “話しても良い”と、彼女が判断したことだろう。
 本当の両親ではないのだけれど、それは優しい人たちで、
 自分に色々なことを教えてくれたのだという。

 ――帰れるのだろうか、彼女は。
 胸を鷲掴みにされたような息苦しさを、
 表情に出すことは必死で抑え、“医者”の顔を作る。]
(152) 2020/05/22(Fri) 23:00:58

【人】 軍医 ルーク

[ 白い部屋だった。
 寝台も、床も、壁も、すべてが真っ白で、
 いっそ現実味を失うようなその空間には、
 あるべきものがひとつ、ない。
 窓のない部屋は、病室というよりは囚人を閉じ込める檻。
 まるで白紙の世界に放り出されたかのような、
 耳が痛くなるような静寂の底に、
 自分たちの声が吸い込まれて行く。]


  さて、傷を見せて。
  体調に変化は?
  
 『えー、もっとおしゃべりしようよ。』

  ん、何の話をするんだい?

 『ルウの尻尾の話』

  なにゆえ

 『えー、だってすごくもっふもふで、
  触り心地が良さそうなんだもの。
  ね、触らせてー!』


[ 寝台の上に胡坐をかき、屈託なく笑う子供。
 その笑顔が自分に向けられるたびに、
 胸奥がぎしりと軋む。]
(153) 2020/05/22(Fri) 23:02:18