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涼風は、相手の手を優しく握り返す。 (a25) 2021/08/16(Mon) 18:46:32 |
涼風は、ふらりゆらりと歩き出す。からん、ころん。下駄が鳴る。からん、ころん。それは遠くへ。 (a26) 2021/08/16(Mon) 18:47:36 |
百千鳥は、その手を握って、喧騒に背を向けた。 (a27) 2021/08/16(Mon) 18:56:02 |
百千鳥は、ずっと前から、全ては夢だと知っていた。 (a28) 2021/08/16(Mon) 18:56:16 |
百千鳥は、見ないふりをしていただけ。 (a29) 2021/08/16(Mon) 18:57:31 |
涼風は、ただ寄り添う。寄り添って、二人でそっと抜け出して。 (a30) 2021/08/16(Mon) 19:00:10 |
涼風は、ようやくここが夢だと気づいた。それでも、何も言わずに貴方と並んで歩く。 (a31) 2021/08/16(Mon) 19:01:08 |
【人】 さよなら 御山洗>>72 >>73 >>74 宵闇 「……ひどいやつだな、お前は……」 喉の奥からほとんどつっかえて出てこないような涙声が、ようやく震えながら音を成す。 なぜかだなんて。克明に思い出さずに済んだなら、この想いを風化できたからだ。 どうしてかだなんて。そんな気持ちを抱いたところで叶うわけが無いのを理解してるからだ。 目の前の彼が思うよりもずっと不届でみっともない願いを抱えて、 唄うような声もはしゃいでる声もとぼけたような声も、 長い前髪から覗く目もろくに体を作れるものを食べてないような細さも、 全部どうしようもなくこの手に掻き抱いてしまいたくて、そんなのは、お前には向けるべきじゃない。 "友達"だと言うのなら、こんな不自然な気持ちは最初から持つべきじゃなかったからだ。 抑えられないくらい好きな自分が、夢に見るくらいに好きな自分が、 自分では制御できない怪物になったようで、自分から思い出を守れないのが、恐ろしかったからだ。 宵闇の思いと御山洗の想いは全く違っていて、それはどちらも両立することは出来ない。 「俺は……」 首を横に振る。同じ思いを、抱けなかった。 ここにいたら、綺麗なまま額に入れてとっておきたかった大事なことを壊してしまう。 此処には居られない。いてはいけない。思い出に触れないまま、しまっておきたいと願う。 帰ってよかったと思う気持ちより、帰ってこなければよかったと後悔する愚か者は、 永劫の花園にはいられない――帰りたくないなどと、思えない。 このままでいることにも、ここままでいられないことにも、何もかも耐えられなかった。 → (76) 2021/08/16(Mon) 20:14:32 |
【人】 少年 編笠>>78 夕凪 視界の中の風景は、過去を移す。 憧れであり、淡い思いを抱いていた相手の姿が、 憧れであり、追いかけていた背中である誰かが、 今の夕凪に重なる。 「でも、ごめん。 俺はここで、嘘を吐くことに決めて。 だから、その嘘に今縛られてんだ。 ……ここにきて。 俺のことを好きって言ってくれたやつがいるんだ。 でも俺は、応えられなかった。 答えすら与えてやれなかった」 それはもう実感としてあるかもしれない。 この世界が、誰かの思いで紡がれていることを。 「"夢"が"夢の中"である限り。 俺にとっては、それは"夢のような言葉"なんだよ。 黙ってようと、思ったんだけどな……」 そしてそれを自覚した今。 この夢の時間が綻び始めていることにも気づいている。 (79) 2021/08/16(Mon) 20:42:14 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥ここが都合の良い夢だなんてわかっていた。 慈姑が姿を消した時に、あの人は夢に還ったのだと思った。 姿を消しては現れる夕凪や卯波を見て、 そういうものなのだと思った。 夢の中で何の根拠も無く、けれど確信じみてそう思うように。 居なくなった人も確かにここに居て、 決してどこかへ消えてしまったわけではない。 会おうと思えば会いに行けて、一緒に遊ぶ事だってできる。 今はここに居ない人も、きっと見えないだけでここに居て ここで待っていればいつか、 せめてその面影に触れる事は叶うと思っていた。 皆に会いたいと願いながら亡くなった姉が寂しくないように。 あの頃のままのみんなと一緒に、 あの頃のままの村を保って、待っていてあげたかった。 それは決して叶わないという現実に見ないふりをして。 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。 (L17) 2021/08/16(Mon) 20:46:45 公開: 2021/08/16(Mon) 20:50:00 |
【置】 さよなら 御山洗「――……ああ」 バカだ、と。やってしまったな、と思った。 今まで自分が大事にしてきたものは、この手で壊してしまった。 今までひた隠しにしてきたものは、この手で暴いてしまった。 思い出は浅ましい思い出塗りつぶされて、曇ってよく見えない。 これが、自分の望んでいた"夢"なんだろうか。 もしもそうなら、とんでもなく悍しい悪夢だ。 それでも俺は、翔のことが。 「……本当に、バカだ……」 (L18) 2021/08/16(Mon) 20:53:30 公開: 2021/08/16(Mon) 20:55:00 |
涼風は、百千鳥の手を握った。 (a32) 2021/08/16(Mon) 20:55:32 |
御山洗は、恐れていた。怯えていた。今は、後悔ばかりが焼き付いている。 (a33) 2021/08/16(Mon) 20:56:40 |
花守は、諦めて、諦めなかった。 (a34) 2021/08/16(Mon) 20:59:00 |
添木は、”遊び”を終わりにする。 (a35) 2021/08/16(Mon) 20:59:10 |
花守は、ウソをホントにする、きっと。いつか。 (a36) 2021/08/16(Mon) 20:59:57 |
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