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人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

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【人】 軍医 ルーク

[ さて、痣のことに気付かれてからは大変だった。
 検査があったから冷やせなかったというわけでもないし、
 問題がなければ放っておこうと思っていたというか――
 などと、反論する間もなく、
 医務室に響いた大声に、ただ不思議そうに首を傾ける。
 このうさぎも声を荒げることがあったのか……という、
 奇妙な感心だった。
 言っていることを三回ほど繰り返して考えた後、
 不思議そうに口を開く。
 “なぜ心配するのか”とは言わなかった。]


  わたしの勘違いじゃなければ、君、
  その言い方だと、
  わたしがいない方がいいとは思っていないように、
  聞こえてしまうのだけれど。


[ やっぱり聞き違いだよなあ、と眉を顰める。
 返答を聞いてようやく、
 自分が“心配”されているのだと理解した。
 その怒りが、自分を殴った相手に向いているということも。
 たっぷり五秒ほど押し黙り、]


   ええ…?


[ 思わず変な声が出た。]
(236) 2020/05/20(Wed) 2:11:57

【人】 軍医 ルーク

[ なんだこのうさぎ。
 部下の事だとか、ひとのことを気遣ってばかりだと
 思っていたら、
 まさかの相手にまでその対象が向いている。
 恐らく自分は今、驚きを感じているに違いない。]


  驚いた。


[ 礼を言うべきだったのだろうか、と気づいたのは、
 それから随分後になって、検査も終わり、
 タイミングをすっかり逃してからの事だった。]
(237) 2020/05/20(Wed) 2:14:24

【人】 軍医 ルーク

[ 検査を終えて頼みごとをして医務室を出ようというとき、
 応えそびれていた問いがあったことを、思い出す。
 言葉を返そうとしたところで、
 相手が絡まったぺんぎんを見かねて手を出して、
 返事をする機会を失ってしまっていたからだ。>>216]


  そういえば、さっきの話。
  君が忘れている記憶の事だけれど、
  それが最初の襲撃の情報、という意味なら、
  ……知りたいと思っていることは、あるよ。

  けれど、それは、君の記憶だ。
  最初の襲撃の話しだけじゃない、
  すべてをひっくるめて、ね。  
  ひとが何かを忘れることには、理由があるんだ。
  逆さにして振れば
  記憶が降って来るというわけじゃない。
  上の方は、相応の理由があると言うのだろうけれど、
  本人の心身を無視してまで、
  引きずり出そうとしてどうする。
(238) 2020/05/20(Wed) 2:15:52

【人】 軍医 ルーク

[ 例えば、耐えられないと思うほどの衝撃を受けたとき。
 痛みが身体を守るように、忘却が心を守ることがある。

 本人が望むよりも先んじて、無理に暴いてまで
 何かを知りたいかと言われれば、
 戦局をつかさどる上層部は、イエスと答えるのだろう。
 けれど自分はそうではなく、医者だ。
 患者に無理を強いる状況に異を唱えるのは当然のこと。

 その答えで、間違いはないはずなのだ。
 他の誰が患者の立場であったとしても、
 自分は同じことを主張する。

 けれど、いま目の前にいるのは“他の誰か”ではなくて、
 自身がこのような目に遭いながら、
 誰かのために身を投げ出すような、
 あろうことか、目の前の“葬儀屋”にまで
 心配の対象を広げてしまうような、
 とびきり莫迦のうさぎだ。

 『患者』ではなくて、このうさぎの記憶のことを、
 検査のことを考えたとき、
 ペンを握る指先に力が入った理由も、
 自分がそうしたことさえも、知らない。

 ――けれど、]
(239) 2020/05/20(Wed) 2:17:40

【人】 軍医 ルーク



   君に、そうしたいとも思えない。


[ ぱちり、と。
 医務室の明かりを落とし、外に出る。]
(240) 2020/05/20(Wed) 2:18:04

【人】 軍医 ルーク

   ―― 
外壁の外で
 ――

[ 外壁から遠ざかり、大穴の下へと歩く。
 元々はひとが住んでいた場所だが、
 度重なる機獣との戦闘でひどく荒れている。 
 それでも、道なりに視線を巡らせ、耳をすませば、
 植物の影にある小動物の姿だとか、虫の声が聞こえてくる。

 普段外壁の外まではあまり出ない自分は、
 彼の身に着けている武器が、護衛のためのものだとは
 最初気付かずに、
 外に出るなら装備は身につけるものか、と、
 疑問に思うことはなかったけれど。

 周囲に視線を向けながら、
 警戒を忘れずに歩いている様子を見れば、
 そういうことか――と、気づきもする。

 脚の痛みに歩みを止めたことを案じてくれているとは、
 やはり、気付けないままであったけれど。>>232]
(241) 2020/05/20(Wed) 2:19:48

【人】 軍医 ルーク

  楽しい…?
  ああ、確かに耳に新しい情報も、あったかもね。

  わたしも君と話すのは“楽しい”。
  前にも言ったかな、
  君を見ていると時折、こう、
  わざと苦いものを出したくなったりとかそういう。

  ほんとうに、君くらいだろうな。
  こうしてわたしと歩いて話をしていて、
  これといって嫌そうなそぶりも見せないのは。
  非番の夜中に物探しに引き摺り出されたのに。
  変わってる。


[ にい、と笑みの形を作って見せる。
 実際のところあれは、薬が嫌だったら無理をするな、
 という意味合いが殆どだけれど。
 飲んで涙目になっているところを見ると、
 擽られるものがあるというのも嘘ではなく云々。

 変わってる、という言葉は、
 考えたことをそのまま述べたものだった。
 その言葉を言ったときの声は、
 苦いものの話をしていたときのような、
 揶揄い交じりのものではない。
 構えたところも皮肉もない、ただ、肯定的なもの。]
(242) 2020/05/20(Wed) 2:21:26

【人】 軍医 ルーク

[ ランタンの明かりが示す先を見ながら、先導に従って歩く。
 道すがら、探し物の形状の予想は伝えた。
 このくらいの大きさの箱のようなもの――と、
 両手で大きさを示す。

 ぺんぎんもまた、二つの人影の間のあたりをてちてちと。
 うさぎが取り出した包みに気付けば、
 頭の上にぴこん! と明かりでもともすような顔をして、
 わあい、と飛び跳ねた。
 
 なんだろう、と思っていると、
 此方にも紫の包みが飛んでくる。
 放物線を描いてゆるやかに掌に収まったそれは]


  飴?


[ そうか、さっきぺんぎんにあげていた。
 確かぶどうの飴だったか。
 うさぎがそれを口に入れるのと一緒に、
 ぺんぎんもまた器用に羽で包みを解いて、
 大事そうに取り出した飴玉を口に放り込む。
 ほわああ、と幸せそうな顔をして、
 その場でぺたぺたと足踏みをするぺんぎん。]
(243) 2020/05/20(Wed) 2:23:13

【人】 軍医 ルーク

[ 少しの躊躇いの後、包みをあけて、口に入れてみる。
 ころり、と、硬い感触がした。
 苦いものを甘いと言って渡すような悪戯はしないだろう。
 だから、この飴は本当に甘いのだろう。
 “甘いもの”、というのだから。

 ――なんて答えたら正解なのだろう?
 あまい? ぶどうの味?
 戸惑いに眉を寄せて考え込みながら、
 先に飴を食べていたふたりの顔を見る。

 ぺんぎんは、それはもう幸せそうな様子で、
 ほわほわと甘味を楽しんでいるようだ。
 うさぎのへらりとした笑みが見えた。
 最初から三つ持って来たのだと、そう言って。]
(244) 2020/05/20(Wed) 2:24:36

【人】 軍医 ルーク

[ それを見ているうちに、自然と言葉が出た。]


   ……、
   悪くないね。


[ 顔を上げる。
 ああ、よかった――この答えなら、嘘じゃない。

 我知らず浮かべた表情は、
 混ぜ損ねた絵の具のようないつものそれでもなければ、
 時折このうさぎに向けるような、物騒なものでもなくて。

 夜目が効くその赤眼には、ふっと無防備に零れたような、
 柔らかで微かな微笑みが、見えたことだろう。]**
(245) 2020/05/20(Wed) 2:25:25
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a24) 2020/05/20(Wed) 2:33:42

軍医 ルークは、メモを貼った。
(a25) 2020/05/20(Wed) 2:35:32

【人】 軍医 ルーク


[ 嫌に思う理由がない、というのは、
 それこそ不思議な物言いだった。>>292
 基地内の噂は、耳に届いていないはずもないのに。
 聊かならず誇張された、根も葉もないうわさ。
     木を隠すなら、森
     森がないなら作ってでも

 指先が、湿布を張った頬に触れて、離れた。
 そんな不思議さは、やはり
 “変わっている”という感慨になった。]

  
  そう言うなよ、>>293
  わたしの数少ない楽しみの一つなんだから、さ。


[ じと目で見てくるうさぎに、べえ、と舌を出してやる。
 苦い苦くないの話については、
 自分でも人が悪いことは分かっている。]
(310) 2020/05/20(Wed) 22:00:25

【人】 軍医 ルーク


  ……もしあの薬を飲むのが嫌だと思うなら、
  義手を使うな。
  戦闘のことは領分の外、君の判断ではあるけれど、
  それでも、だよ。


[ けれど、“使うな”と口にするときは真顔になる。
これまで何度言ったか覚えていない。
 分かっては、いるのだ。
 先の戦闘でこのうさぎがあの義手を使わなければ、
 被害はより甚大なものになっていた。
 もしかしたら、死傷者が出ていたかもしれない。
 それを思うなら、ほんとうに、
 自分が口を挟めることではないのだけれど。
 それでもどうしても口に出してしまう。]
(312) 2020/05/20(Wed) 22:01:22

【人】 軍医 ルーク


  記憶を取り戻せたら……


[ その言葉を、繰り返す。
 それは、喜ばしいことのはずだ。
 けれど、その言葉を口にしたときの彼の表情は、
 いつものゆるやかな笑顔ではなくて、強張って。
 ――まるで、何かを恐れているようにも見えて。

 思考が一呼吸、遅れる。
 呼吸をひとつ、忘れる。

 記憶を無くしたものが取り戻すことを不安に思うのは、
 理解出来ない心情ではない。
 自分も知らない自分への不安、
 いまの自分自身の存在を不安定に思う心理。
 そんな一般論が頭を過り――…
 
 “変わってる僕は、少しは、マトモになるかも”

 聞こえたその言葉に、口を開きかけ、噤む。
 ……自分は、何を言おうとしていたんだろう。
 ただ、何処かが酷く、痛んだ。
 その正体も分からないまま、彷徨いかけた指先を握り込む。

 変なことを言ったと謝られても、
 首を横に振ることしか出来なかった。]
(314) 2020/05/20(Wed) 22:02:13

【人】 軍医 ルーク

[ 道すがら、飴を貰ったときのこと。
 返って来た言葉に、くすりと笑う。]


  はは、それが魂胆かい?
  こういう味、かあ。
  同じ味を作るのは難しいから、
  そこは期待しないでおいて。
  ああ、でも……


[ そろそろ、棚の中の瓶詰の果実は出来上がっている。
 よく滅菌した瓶に詰めておけば、日持ちもする。
 直接薬に混ぜ込むというわけにもいかないけれど、
 薬の後にでも水で割って飲めば、
 少しは後味もましなことだろう。
 ――渡す心算なんてなくて、
 きっと捨ててしまうのだろうと思っていて。
 ただ、返された微笑みに、ふと。]


  あとで、いつでも都合がいい時でいいから。
  お返しは、するよ。


[ そんな風に、口をついて出た。]
(315) 2020/05/20(Wed) 22:03:01

【人】 軍医 ルーク

[ 目的の場所に到着する。
 激しい戦闘の痕跡を残した荒れ地は、
 直に目にするとそれは酷い有様で、
 其処彼処に崩れた瓦礫や、建物の残骸が飛び散っている。
 硝子窓の欠片を靴の先でつつき、ぺんぎんを持ち上げる。
 尖った破片を足で踏ませるわけにもいかない。
 ぺんぎんは、きゅう、と大人しく腕にしがみ付いた。]


  木箱ではない、と思う。
  そう、恐らくは金属製。


[ 以前研究所で見た、それと思しき部品の形状を思い出す。
 その後すぐに、解析できない状態に陥ってしまったそれが
 本当に通信機だったかは――…
 『使用している場面を見た』のだ、
 ほぼ間違いはないだろう。]
(317) 2020/05/20(Wed) 22:03:35

【人】 軍医 ルーク

 

    ごめんね、おとうさん、おかあさん、
    きっとわたしは帰れない。

    
(318) 2020/05/20(Wed) 22:03:56

【人】 軍医 ルーク

[ ――途切れてしまったはずの何かが、強く軋む。
 けれど、不意に横合いから聞こえたうめき声に顔を上げ、
 振り返った。>>298]


  どうした?


[ 様子がおかしい。
 まるで夢でも見ているかのように、ぼんやりと彷徨う視線。
 此処ではない何処かを見ているような、
 此処にはない何かを見ているような。
 まず過ったのは、強かったと言っていた薬の後遺症。
 あるいは、義手の。
 それとも、まさか――…

  先ほどの会話の中で感じたざわめきが、
  強く湧き上がる。
  途切れ途切れのノイズ、
  身体の内側を剃刀で引っかかれているような、
 
  ――“不安” 

 それを振り払い、肩に手をかける。
 もし倒れでもしたときに、自分の力でどうにかなるかは
 分からないけれど、
 何があってもすぐに対応できるようにと。]
(319) 2020/05/20(Wed) 22:04:58

【人】 軍医 ルーク

[ 息をつめて、じっと様子を見守る。
 四角い金属――通信機を探しているようではあった。]
 

  “あの怪物の作りなら、きっと”…?


[ その言い回しに引っ掛かりを覚える。
 聞きようによっては、まるで、
 『機獣の構造を知っている』ように聞こえてしまう言葉だ。

 歩き出したその後を追ってゆく。
 真っ直ぐに向かった先、瓦礫片の影。
 そこには、まるで彼を待ち構えてでもいたかのように、
 しっかりとした造りの金属製の箱が、瓦礫に埋もれていた。
 作業員の回収の折には、此処まで調べていなかったのだろう。
 少し距離があり、物陰になっている。
 
 ――作業員が見逃しているような、そんな場所。
 
 こちらを振り返った表情は、いつものあの笑顔。
 いましがたの様子が、何かの錯覚であったかのように。]
(320) 2020/05/20(Wed) 22:05:56

【人】 軍医 ルーク

  具合は?
  何か違和感があったり、
  副作用の症状が強く出ていたりはしないか?


[ 箱の事よりも先に、そのようなことが口をついて出た。
 もし、何の事か分からないという様子だとしたら、
 こう話しはするだろう。
 さっき、頭痛があったように見えたから――と。

 連れ出してよい状態だったのだろうかという迷い。
 “知っていた”かのように箱を見つけたことへの疑問。
 二つの思考は縺れて、ピアノ線はまた、おかしな音を立てる。]


  わたしが、持ってく。
  帰ったら休むといい。
  それ、貸して。


[ 箱に手を伸べて受け取ろうとして力を籠めれば、
 自分の腕力では難儀しそうな重みにうっとなる。
 フードの下、滅多にその存在を主張しない耳が
 ふるりと震える。
 青白い顔を赤くして暫くの間頑張ろうとしたのだけれど、
 物理的に無理だった。
 なお、足場を確保して下に降りて、ぴょんぴょんはねて
 “おてつだい”しようとしているぺんぎんにも、
 やっぱり物理的に無理だった。]
(321) 2020/05/20(Wed) 22:07:57

【人】 軍医 ルーク

[ その箱は、結局持ってもらうことになったか。
 あるいは持ち帰るには重く、戻ったらすぐに回収班に
 声をかけることになったかは、そのうさぎの腕力次第。
 帰りの道すがら、ぽつり、口を開いた。]


  今更の話を蒸し返して悪いけど。
  ……言ってなかった。
  医務室でのこととか、飴とか。


[ ゆっくりとした足取りで、瓦礫の中を歩く。
 ぺんぎんを抱えたまま。
 がらがらに崩れ去ってしまった、
 けれど、嘗ての形を未だとどめている、そんな瓦礫たちが、
 『月』と光る草木の下、ひっそりと物言わずそこにある。]


  ありがとう。


[ きっと、言いたいことはそれだけではない。
 それだけじゃないはずなのに、分からない。
 ざわめきがある、痛みがある。
 それなのに、どうしてなのかが、
 ――… わたしには、わからない。]*
(322) 2020/05/20(Wed) 22:10:26
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a28) 2020/05/20(Wed) 22:13:44

【人】 軍医 ルーク

[ 自分が持ち上げられなかった箱を、
 うさぎは軽々と持ち上げてみせる。
 医務室で義手を巡って部下たちと話していた内容を思い出す。
 恐らく、持って来た装備も、
 自分が持てるような重さのものではないのだろう。

 躊躇いはあったが、見たところいまは不調もなさそうだし、
 不承不承頷き、手を離した。
 代わりに、来るときには持ってもらっていたランタンを
 受けとることにする。
 道すがら、投げかけられた言葉に顔を上げた。]


  ……“心配”?


[ 困惑しているような、理解できずにいるような、
 その声はきっと、以前医務室で盛大に“怒りながら”、
 “怒る”が分からずに問い返したときと同じもの。>>0:242 ]
(397) 2020/05/21(Thu) 2:12:11

【人】 軍医 ルーク

[ けれど、今はそのときとは違い、じっくりと思案を重ね、
 ひとつ、ゆっくり瞬きをした。]


  ――ああ、それだったんだ。
  そうか。


[ 外から言われて、初めて気づいたように。
 途切れた糸を、不格好に一先ずは、結んでしまうように。
 味の分からない飴を、甘い、と教えてもらうように――
 そんな風に、呟いた。
 きっと、それだけではない、心配だけではない。
 けれど、“心配”していることに、間違いないのだろう。

 義手を使うなと言っても、頷かない。
 副作用は『いつものこと』と言う。
 いつもの副作用なら、ずっと痛い――
 痛みに強い体質で、それでも強く感じるほどの痛み。]
(398) 2020/05/21(Thu) 2:13:16

【人】 軍医 ルーク

[ 先ほどの出来事を思い出す。

 『通信機は攻撃されにくい場所、
  背中の後ろから飛んだはず』>>348

 それは、いかに間近で戦っていたとしても
 知りようがない情報。
 元よりどこかで知っていたとしか思えない知識だ。

 あの時の様子は明らかに、普段の彼のものではなかった。
 そもそもここに来るときの会話では、
 通信機の話すら、初めて聞いた様子だったのに。

 だとしたら――忘れていた、記憶?
 機獣の知識なんて、どこで得たのか。
 彼らの来襲が繰り返されるいま、自分と同じように、
 機会は何処かにあるのかもしれない。
 けれど、記憶が失われたのは最初の襲撃のとき。
 戦闘中に、機獣から通信機が飛ぶのを見ていた?
 それもどこか、違和感があった。

 ――ああ、まただ。
 先ほど過りかけた“何か”が、
 再びちりちりと思考を焙る。>>141

 思考に沈みながら、ひどく難しい顔で、
 ぐしゃりと自身の首元を、服ごと掴んだ。
 呼吸の苦しさを、痛みで紛らわせるように。]
(399) 2020/05/21(Thu) 2:15:10

【人】 軍医 ルーク

[ “噂のようなひとじゃない”

 その言葉に、痛みが増した。
 そうだ、噂自体は愚にもつかないカムフラージュ。
 けれど、事実はそれよりも遥かに許し難い。
 いまはない両脚が強く痛む。
 どくどくと、血を流すように。
 立ち止まらないように片方ずつ前へと踏み出す。]


  噂、か。
  あれはもう、話してる連中が
  どれだけ面白いことを言えるか
  ゲームみたいになってるんじゃないかな?
  けど、本当か嘘かは、さあどうだろう?
  採点して医務室に張り出してやろうか。


[ いつものように、人の悪いことを言ってやろうと思っても、
 どうしてか、それ以上は続かなかった。
 “ルークの頼みなら”と、その言葉の意味が、
 どうしたって、伝わってきてしまったから。]


  ――… うん。
  頼みというなら、今はひとつだ。
  帰ったら休むことと、
  頭痛があったときは時間外でも医務室に来て。
  
(400) 2020/05/21(Thu) 2:16:50

【人】 軍医 ルーク

[ 回収された箱は、研究棟へと持ち込むことにした。
 勝手に探しに行く、とは言ったものの、
 特に問題がある行動をしたわけでもない。
 そこのところは、探索に付き合わせてしまった以上、
 説明しておこう。]


  勝手に探しに行くことにしたのは、
  殆ど根拠もない憶測だったから。
  上が取り合ってくれるか分からなかったし、
  手続きがまどろっこしかったんだ。
  でも、実物を見つけたなら、あとは引き渡せばいい。
  小言の一つも食らうかもしれないけれど、
  わたし、そういうの聞き流すの得意なんだ。
  それに多分、今日担当してる連中は気にしない。


[ 後ろ暗いことをしているわけではないのだから、
 持って行っても問題はない。
 見つけるまでの手続きを簡略化しただけさ、と嘯く。]
(401) 2020/05/21(Thu) 2:18:09

【人】 軍医 ルーク

[ 果たして、未回収の部品が運び込まれた研究班の夜組は、
 金属の箱を囲んで色めき立った。

 自分が前にいた研究所で、
 通信機ではないかと推定されていた部品に似ている。
 今回の襲撃でこの部品が回収されなかったことが
 気になって探しに行った。

 特に隠すこともない成り行きをそのままに話せば、
 経緯に疑念を抱くものもいなかったようだ。

 ――話さなかったことがあるとすれば、
 同行を頼んだ第一攻撃部隊の部隊長が、
 あまりにも的確に、その部品を見つけた出したということ。

 技術班の連中は案の定、細かいことにはこだわらなかった。
 抑々、研究の事ばかり考えている連中で、
 特にこの班は各方面の才能ある人材を集めてきた
 研究畑の遊撃班という色合いが濃く、
 その手の連中がまともであったためしがない。
 まともに世渡りできるなら研究者なんてやってねえよ、と
 記憶の中の父が笑った。

 普段交流があるわけではないが、
 非正規の手順で回収した箱を持ち込むならこの班だな――
 という目算くらいはあった。]
(402) 2020/05/21(Thu) 2:19:31

【人】 軍医 ルーク

[ ――というか、]


 『えーと、キミ誰だっけ、ルート? 
  じゃあこの部品は責任もって
  我々技術班が預からせてもらおう!
  機獣がどこかと通信していたとして、
  その記録が残されているなら、重要な手がかりだ。
  というか、正直手掛かりとかそういうのより、さ!
  おまえらー!! 新しいパーツが! 来た!!!
  今夜は徹夜だ!! 栄養剤持ってこい!!!
  ふわあああ!!
  謎の怪獣の未知の通信機を解析できる機会! とか!!
  ひゃっほう!!
  あ、そこの兎君もありがとね、
  そういえばキミだれ?
  まあいいか! 今日は祭りだ―!!!』
  

[ 細かいところに拘るどころの話ではなかった。]
(403) 2020/05/21(Thu) 2:21:13

【人】 軍医 ルーク

[ 技術班長のジルベールは、
 ぎょろりとした目を益々大きく見開き、
 箱を持ってきてくれたうさぎの両手を無理矢理とって
 ぶんぶんと振り回すように握手した。
 そうして、机の上の箱に抱き着かんばかりの勢いで、
 矯めつ眇めつ観察している。

 基地内の噂話だの人間関係だの、何なら戦況に至るまで、
 聞いても頭をすり抜けて、
 日がな一日研究に明け暮れているような女性である。
 自分のことを忌避しない珍しい人物ともいえるが、
 単に頭の中に数式と螺子が詰まっているだけだ。
 何なら総司令の名前すら覚えていないかもしれない。]


  『あ、ルーディには話を聞かせてもらいたいかも。
   別に今でなくてもいいけどさ。
   いや、これは建前で、
   出来れば今がいいなあ、今すぐがいいなあ。
   キミが前いた研究所って爆発した所だろ?
   それなら、似たパーツの現物は
   取り寄せられないだろうけど、
   キミが見てたなら、見解を聞きたい』


[ そもそも、まともに識別されてすらいない。
 適当に、おー、と頷き、
 直ぐに戻ると言って部屋の出口へと。
 技術班の連中は、此方には見向きもせずに箱を取り囲んで、
 何やら議論を始めていた。]
(404) 2020/05/21(Thu) 2:25:11

【人】 軍医 ルーク

[ 立ち去り際の兎が、飴の包み紙を取り出す。
 自分が貰った分の包み紙は、ポケットに入れてある。
 くしゃりと丸めてしまうことはせずに、そのまま。]


  確認したいこと? 
  それなら今でも――
  いや、無理だねこの調子じゃ。


[ 今ではだめだろうか、と思ったのだけれど。
 背後で盛り上がる議論が否が応でも耳に飛び込んできて、
 この後暫く捕獲されることは間違いないか、と諦めた。
 抑々自分も、機獣の謎に迫るために此処に来た。
 そう考えるに至った動機は、ひとつ、ふたつではないけれど。
 通信機の内容が気になるのは、事実だった。

 “お返し”の方は――
 うん、そうだな、このうさぎの表情を見ていると、
 既に何かの直感で、
 甘いものの気配を嗅ぎついているような気がする。]
(405) 2020/05/21(Thu) 2:26:42

【人】 軍医 ルーク


  ――じゃあ、待ってる。
  わたしがいるとき、か。
  医務室から悲鳴上げて飛び出してくる新兵がいたら、
  そのときの担当はわたしだろうな。


[ にやりと笑って脅すような顔をしてみせたけれど。
 自分の部屋へと帰っていったうさぎの後姿は、
 実に機嫌が良さそうだった。
 ぺんぎんもその後姿に、跳ねながら手を振っている。
 後ろを向くと尻尾が見えるなあ、と、
 さっきと同じようなことを、どこか違う感覚で考えながら。
 その後姿が角を曲がって消えるのを見届けて、扉を閉めた。

 待っている、
 そんな風に言葉にしたときに感じた感覚は、
 飴を貰ったときの不思議なそれと、どこか、似たもの。]**
(406) 2020/05/21(Thu) 2:30:48
軍医 ルークは、メモを貼った。
(a30) 2020/05/21(Thu) 2:36:54