>>46 エミール
「そう?怪我じゃないのなら構いませんけれど。
これだけしか居ない中で似たような位置に痣が現れるなんて不思議ですね」
唇に指をあてて視線を逸らす。その先には女神像が鎮座していた。
痣の位置は首で当たりのよう。
位置が位置だけあって何かあったのかと勘繰ったがそういう事なら話は別。
女にできることも口を出すことも無い。
「珍しい。あなたの口からそんな誘い文句を聞くなんて。
……子供達は連れて行かないで、ですか?」
はっと視線を戻した。瞳はまんまる意外さを隠さない。
拍子に余計な力が抜けたのか、軽口も交えて。