【人】 綴 千翠[身体も髪も、涙に濡れた顔も全部洗って、 肩までお湯に浸かると、私は芯から解れるような 心地よさに目を閉じながら、そっと胸の中心にある 手術痕に触れる。] …ちゃんと話さなきゃ [隠したままではいられない。 ひとめぼれだと鹿賀さんは言ってくれたけど 彼は私にこんな傷があることは知らない。 もう痛みがあるわけではないけれど、私自身、 どれ程時間が経ってもこの痕を見慣れるという事は なかった。] (169) springkraut 2022/08/01(Mon) 19:01:15 |