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【赤】 従業員 ルミ[ 覗き込んだ彼の顔が僅かに歪んでいたから、 尚のこと声には窘める色が増した。 そもそも元凶は自分が盛った薬なのだけれど。 過去を搦めとることを望みながら、 いま大人になった彼を体を繋げようとしたのは 目的だけを考えればおかしな話だ。 ──閉じ込めて脅して洗脳でもする方が確実なのに。 心が駄目なら体だけでも、なんて有名で陳腐なフレーズ。 結局わたしは、過去だけ欲しかったんじゃなくて 今の自分の恋すら叶えてしまいたかった。 ] (*5) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:40:39 |
【赤】 従業員 ルミ……だって、そうでしょ ずっと傷を抉って、死ぬまで覚えててくれるなら 未来も一緒にいられるんでしょう? [ だから全部、わたしのものだ。 過去も今も未来も貴方の全てを食べてしまって、 毒に依存して一緒にいようよ。 二人で死の幕が閉じるまで。 ] うん! わたしが食べる! だからずっと痛がってね、お兄さん。 ────他の人で痛くなくなったりしないでね。 [ あの頃よりも低い声。 もっと聞きたい、と欲が顔を覗かせる。 ] (*6) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:40:44 |
【赤】 従業員 ルミ────約束だから、ね。 [ 本当は誰かと飲みに行くのも許したくないし、 何だったら仕事を辞めて貰いたいくらいなのだが。 朝から働く一般的な社会人の彼と、 会社員の退勤後から働く自分のすれ違いを思えば。 幸いなことに客はたくさんついているし ここに住んでもらえば生活に不自由はさせない。 考えれば考える程名案のような気がしてきて、 思考を割いている間に。 「ところで」と変わった話題へ一瞬ついていけず ぱちぱちと目を瞬かせる。 ] (*7) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:40:50 |
【赤】 従業員 ルミ続き? [ 実際に腕を切る実演でも…? などとあらぬ誤解をしそうになったけれども、 その意味はすぐに理解出来た。 ] す、好きだもん! 好き、大好き、 嘘じゃない……ッ [ 本当は好きじゃない?という言葉に首を横へ振り、 縋りつくように彼の服を握り締める。 とんでもないあらぬ誤解だ。 女は好きな人とセックスさえ出来れば 無条件に興奮して濡れるタイプの性格ではない。 それ以前に、 ] (*8) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:40:59 |
【赤】 従業員 ルミ……セックスって、濡れないのが普通じゃないの? いきなり挿れたがる人以外は 確かにローションとか使って慣らしてたけど……。 [ でもこの家には用意がない。 即物的なセックスなら無くてもいい、と思って。 けれど、今の彼と自分は、こいびとというやつで ──後ろ暗さも無くなった今 続きをしたい気持ちはあるのだけれども。 ] (*9) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:41:13 |
【赤】 従業員 ルミちょっと痛かったけど……今はもう痛くないよ。 慣れてるから平気。 お兄さん、は? [ 背を支える手は、自分が不意に倒れないようにと 気遣ってくれているだけだと信じている。 もう片方の手が下肢へ滑らされる感覚に、 少しくすぐったいような、そわそわするような。 視線を彷徨わせて息を吐く。 ローションがないから、痛かったなら今日は出来ないと あくまで彼を気遣うトーンで。** ] (*10) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 8:45:43 |
【赤】 従業員 ルミ[ 痛みも傷も他人には決して見えない。 どれほど交わってもどんなに近付いても、 言葉にし難いものだってあるのだろう。 経験していないことを警戒出来ないように 得たことのないものは想像出来ない。 ] …うん、わたしだけ。 [ 満足げにふにゃ、と頬を緩めて頷いた。 後は住居や仕事のことを決められれば完璧だ。 ──この後今後について話し合うことになれば、 必然的に自分の" 夜のカフェ "も話すことになるか。 さすがに恋人には胸を張って言える気はしないので 店の詳細がバレないことを祈るのみである。 ] (*15) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 22:14:51 |
【赤】 従業員 ルミ[ ここにきて好意を疑われているのかと思ったけれど、 自分の思い違いだったらしい。 縋りついていた指先から力を抜いて、息を吐く。 ] よ、よかった…… セックスは別に、好きじゃない。 でもお兄さんとならしたいって思うよ。 [ 処女ならあんな凶行には流石に及べなかっただろう。 客とは決してそんな関係になったことはないが それ以外の男とは何度かしたこともある。 内臓を押し上げられるような、妙な感覚だった。 ああそういえばシフト載せてないなあとか 次の自撮りどうしよう、と考える余裕があるほどに。 " 好きな人とするもの "だという知識はあった。 自分には適用されなかった言説だが。 ] (*16) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 22:14:56 |
【赤】 従業員 ルミ[ ところで今、彼はかわいいと言ったか。 今まで飽きる程に聞いてきたその言葉が鮮明に聞こえて なにも言えず、聞こえなかったふりをする。 頬がじわりと熱を持った。 平常を保とうとして、今度は両腕で背を抱き締められ 否が応でも体がぴしりと固まる。 なんだこれは。夢を見ているのかもしれない。 毎日見ていた叶う筈もない夢が現実になって 雨のように降っている。 ] ……お兄さんもさっき、痛かった? ご、ごめんね……。 でも今までわたし、気持ちいいってなったことないし たぶん、不感症……とか…… [ しかしそれでは彼が一生セックスをしてくれないのか。 自分が気持ちよくなったら挿れたいと言われても、 そんな経験は一度も──── ] (*17) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 22:15:01 |
【赤】 従業員 ルミッひゃぅ、 [ 肩に心地いい重みが乗っかって、 次に首筋へ彼の唇が軽く触れ、くすぐったさに声を零す。 背中を撫でられるのは好きだ。 けれど、何にも守られていない首筋や耳を啄まれると なんだか背筋や体がそわそわする。 ] ん、ふふ、 くすぐったいよ、お兄さん… [ 大型犬が甘えているように見えて、 思わずやわい皮膚を啄む彼の頭をふわりと撫でた。 えっちなことが出来ないから甘えているのかと 勘違いをしたまま、こそばゆさに身体が跳ねる。 少し身じろいで、目が瞬いた。 ] (*18) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 22:15:05 |
【赤】 従業員 ルミ…………お、お兄さん、って わたしで勃ってくれるんだ……。 [ 決して押し付けられたりしたわけではないが 当たってしまえばさすがに気付く。 動揺を露にして、反射的にそう零した。 てっきり刺激しなければ兆さないと思っていたのに、 触れなくても固くなっていることに驚いて。* ] (*19) 鬼葉 2024/05/11(Sat) 22:16:13 |
【赤】 従業員 ルミ[ あの時覗き見たパスワードは" 計画 "のためで、 崩れ去った今、使う発想を持っていない。 今はもう連絡手段を奪う必要もないからこそ 実家への連絡を気にするのを忘れていた。 さて、物語を現実で続けていく為の話し合いの一つに 自分の仕事があるとして。 抵抗があると伝えられたら、どうだろう。 この仕事でなければ、というわけではない。 けれど辞めて他の仕事が出来る気もしない。 店用のSNSアカウントを教え、 彼が許せる範囲の営業方法を探していくことになるか。 ────そう、それから。 ] (*26) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:01:53 |
【赤】 従業員 ルミ[ 大切に扱われるセックスの経験がないことを、 不幸に思ったことは一度も無い。 " 関心を失う "ことに対してはひどく敏感だったが セックスにおいて静かだったのは、 前提となる経験が乏しかったおかげだろう。 ] ……? うん。 したいって思ったの、お兄さんが初めてだよ。 だって、ほんとは好きな人とすることなんでしょ? 今までの人には思ったこと、ないなぁ。 しなきゃ、はあったけど。 [ 捨てられて、他の女に関心が向くよりは、と。 埋まらない穴を体温とちっぽけな愛で埋めようとした バカな女の自傷行為だ。 ] (*27) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:02:18 |
【赤】 従業員 ルミ──────……ありがとう、お兄さん …………やさしいね、ほんと そういうとこも、昔と変わんないな……。 [ 長い間頑張って今日を作った。 そう言われるだけでも、何故か泣きたいような心地になる。 おとぎ話のお姫様よりも傷だらけで、 なんでもしてみせると誓って来た道を汚して、 何度も何度も夢見た大事な人。 ──可愛いの四文字は聴こえなかったことにした。 かわいくないと否定するのも違う気がするし かといって、仕事のように素直に受け取れもせず ] ……期待外れでも捨てないでね。 [ 気持ちよくなるなんて無理だろう、と思いながらも 口にはせずにくすぐったさを受け入れる。 そもそも不感症なら戯れに反応しないというのを、 知識のつまみ食いで構築された女は知らない。 ] (*28) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:02:22 |
【赤】 従業員 ルミひだり、 ……────ッ、んん、くすぐったいてば……っ [ 頭が反対の肩に移動するのは良いのだけれど、 やわらかな髪が肌を掠める感覚に声が震える。 間を置かず、今度は音が鼓膜を伝って神経を揺らした。 かすかに首筋を吸い立てるような音。 近くで鳴るのを聞いていると、 耳から神経をくすぐられているみたいだ。 ] み、 みみ、ぞわぞわする…… [ 決してそれは不快だなんて類ではないのだけれど ──適切な言葉はまだ、経験には無い。 ] (*29) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:02:33 |
【赤】 従業員 ルミ男の人が擦られたらおっきくなるのって、 そういう理由だったんだ……? すごい、お兄さん。物知りだね、 ………………ぁ。ぇと、……わたしに……。 ……ぅ……うれしい、けど、 あたまおいつかない ……かも…… [ 何ならずっと今の言葉がリフレインしている。 信じていないとか嘘だとか言うつもりはもうないが、 「わあ嬉しい、ありがとう!」などと 素直すぎる反応が出来るほど子どもでもない。 蜘蛛の糸よりも細い粘性の糸がちら、と見えて 漂う夜の気配にたまらず目を逸らした。 そのまま彼の手が背を撫でてくれるのを 最初は「宥めてくれているのか」と なにも咎めず、むしろ喜んでいた──が ] (*30) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:02:39 |
【赤】 従業員 ルミ[ どうにもこれは、擦っているわけでもなさそうだ。 落ち着かせるためなら一定数同じ場所を触れるべきで、 あちらへこちらへと動く手は 別の目的を伴っている気がしてならない。 窺うように彼を再度見上げた。 おず、と服を握り、問うための言葉を探している。 ] お兄さん、あの、背中──── ──────ッん、ぁっ!? [ 尾骶骨と脇腹の部分を撫でられた瞬間、 妙に甘ったるい声が零れて、ば、と口をふさいだ。 くすぐったい、と笑っていた時とは違う色。 僅かだけ電流が奔ったような心地がして、 彼の手の動きを止めようと 空いている手で、咄嗟に彼の腕を取ろうとした。** ] (*31) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 0:05:15 |
【赤】 従業員 ルミ[ そう、自分にとってはパスコードを盗み見ることも、 例え何度変えたってそれを見破るのも容易い。 毎日毎日勝手に覗いて女の痕跡を洗い出しはしないが、 知っておけば怪しい時に取れる手段が増えるから。 とはいえ合法的に浮気や類似するものを探れる今、 疑っていようとそうでなかろうと 定期的にスマホは見せて貰おうとするだろう。 元恋人と繋がっていやしないか、飲み会に女はいるか 不安の種はそこらにあるもので。 自分の仕事が快く受け入れられるものではないことは、 一応自覚もしている。 知られようとそうでなかろうと、 今の色をかけるような営業はやめていくつもりだった。 ────歪んだ承認欲求はすぐには治らない。 並べてみれば、過去も感性も何もかも違うけれど おとぎ話のようにすぐさま解決することは何もない。 続いていくには、続ける努力が必要なのだ。 ] (*38) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:56:35 |
【赤】 従業員 ルミ……──、うん。 お兄さんが教えて。ぜんぶ。 [ 大事にされなくてもいいと思っていた。 夢を見ない方が、現実に傷付かなくて済むからだ。 やっぱり自分にはこの道しかないんだ、と 一本道しかないと諦める方が楽だった。 ] ────……優しいとこ、好きだよ。昔から。 お兄さんなのに子どもっぽかったとこも 名前で呼ばれるのとか、 嫌なことは嫌って教えてくれたとこも好き。 でも、例え優しくなくなっても お兄さんのことは、ずっと好きなままだと思うな。 [ 過去に執着していただけなら、 忘却を" 優しくない "と捉えて嫌いになっただろう ] (*39) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:56:41 |
【赤】 従業員 ルミ[ こんな自分に好かれて執着され続ける彼を、 可哀そうだと思う気持ちが無いわけでもない。 けれど手元に手繰った運命がここにあるのなら 今更聞こえの良い言葉で手放してもやれない。 これは、誰が何を言おうとも運命だ。 あの日貴方がわたしに声を掛けなければ。 わたしが貴方を好きになどならなければ。 例え人から獣に変じたって愛している。 ────そう、例え意地悪を言われても、だ。 ] …こ、言葉のあやってやつだもん…… [ 揚げ足を取られて思わず言葉に詰まる。 喉奥で笑うような、聞き慣れない笑い方が揺れた。 途端に気恥ずかしくなって、 それ以上を紡ぐのをやめ、ふ、と息を零す。 ] (*40) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:56:46 |
【赤】 従業員 ルミん、んん、……笑っちゃうより くすぐったいの、感じないように意識する……から…。 というか、くすぐったくなったこと自体 今まであんまりない、し……。 [ 今まさに身を捩って感覚を逃がそうとしたわけだが、 上手く逃がせずに、返事は時折不自然に途切れた。 そもそも今までけらけら笑った経験と言えば 幼い頃くらいしかないような気もする。 子ども同士の戯れのような触れ合いの気分で、 彼の困ったような笑みに「ええ?」と笑い返した。 ] なぁにそれ、適当? ……あは、お兄さん調べならそれが正しいでしょ。 [ 自分には彼が世界に等しい。 あっけらかんと見解を受け止め、知識を上書きして。 ] (*41) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:56:52 |
【赤】 従業員 ルミわたしはお兄さんが夢中になってくれるの、 嬉しいけどな。 ……わたしもべつに、余裕あるとかじゃないし…… [ 彼が絡むだけで何に対しても余裕など失われ、 まるで毒殺を試みた白雪姫の魔女のようだ。 目的を成すにはもう殺すしかない、と りんごに毒を塗った短慮さを咎められない。 他愛ない会話にすこし力が抜けていた。 ────だからだろうか、 高い声を抑えられずに零してしまったのは。 ] (*42) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:56:57 |
【赤】 従業員 ルミぇぁ、 あ、ぅ、 [ 声は言葉の輪郭を保てなかった。 気持ちいい、を教えてほしいとは確かに言ったが 自分のものではないような声が出るなんて聞いていない。 唇で声を抑える手をつつかれ、 言葉でも促されると、困ったように眉を下げた。 例えばここで彼が手を外してくれたなら、 声を聞かせることへの言い訳も出来ただろう。 自分から外すのは。 つまりそうすることを、自分で選んだというわけで。 ] (*43) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 21:57:46 |
【赤】 従業員 ルミ…………………ひかない……? [ しかしこのまま意地になっても仕方がない。 まるで合意ではない行為のように見えてしまうし、 ────きもちいい、を教えてほしいと思ったのも したいと言ったのも自分なのだ。 そろ、と恐る恐るの仕草で手を下ろした。 行き場を失った手はすこしの間宙を彷徨い、 彼の肩をそうっと掴む。* ] (*44) 鬼葉 2024/05/12(Sun) 22:00:40 |
【赤】 従業員 ルミ[ " 知らない顔 "があることを許しがたく思うのは、 自分の悪癖であり、同時に変えられない部分だ。 正確に言えば「我慢をしろ」と言われれば出来るのだが、 重ねていくうちに遠からず爆発してしまう。 いつか暴くのではなく、 自分にも見せてくれるようになればいい。 何でもかんでもSNSで把握しようとしてしまう性分を、 愛の実感を得るために相手の全てを知ろうという欲を、 もし正せる日が来るのならば それもまた、運命の成せる技になるのだろう。 ] (*50) 鬼葉 2024/05/13(Mon) 0:26:14 |
【赤】 従業員 ルミふふ、そうだね かわいかったな、小さい頃のお兄さん。 [ 記憶の中を慈しむように目を細める。 一緒に食べた美味しいものの味、 凪いだ風の音、祭りの喧騒、手の温もり。 降り注ぐ雨から守ってくれたのも彼だった。 肌から熱を奪うつめたい雨。 傘を差したかったけれど、わたしは持ってはいなくて、 けれど濡れないでいられる道を諦めさせないでくれた。 それなら。 傷を抉って、わたしをずっと憶え込ませて、 ────そんな中でわたしは貴方の何になれるだろう。 痛い傷以外の何に、いつか、成れるのだろう。 ] (*51) 鬼葉 2024/05/13(Mon) 0:26:18 |
【赤】 従業員 ルミ[ これは夢よりも優しい現実だ。 嫌われて憎まれて然るべきのことをしたわたしに、 貴方はずっと近くにいる許しをくれた。 防衛反応、あるいはストックホルム症候群。 傷付けてその痛みを食べ続けるという行為は ある意味洗脳だと言われても反論できない。 ────罪に対する罰はどこにあるのだろう。 けれども、食べていたいのだ。 愛されていると思えるような蜜の味。 貴方をこんなにも愛しているのは、わたしだけ。 ] (*52) 鬼葉 2024/05/13(Mon) 0:26:22 |
【赤】 従業員 ルミ……が、がんばる…… ッ、 [ ────いやそれにしては甘い言葉が出てくるな?と 彼の経験値を推察し、過去の恋人の顔を浮かべ、 わたし以外にはそういう顔も見せてたのに……と 嫉妬の炎を燃やしてしまう。 耳朶をやわく噛まれる感覚に、すぐさま鎮火したが。 多くは言わないようにして、言葉を返した。 どうせSNS越しにもう知っている情報だ。 改めて肉声で聞きたい話でもない。 過ぎたことを詰って責めたいわけでもないのだ。 大声で喚いたのは関係が終わると思っていたからで、 続いていくためには堪えるべきことも分かっている。 過去は変えられないから過去なのだし。 ] (*53) 鬼葉 2024/05/13(Mon) 0:26:25 |
【赤】 従業員 ルミぁ、 当たってる……けどっ ……お兄さんの、そういう…… えっちなことの対象に入ると、おもって、なくて …………し、しんぱい、なのっ! [ そういえば当たっていることを遠回しに言及しても、 特に位置をずらそうということはしていなかった。 あまり自分が身を引こうと動けば余計に熱を感じるし、 気にしないようにしていたのに。 再度意識すると、後はもう気にしないなんて出来ずに、 彼の熱から粘性のものが零れていることに気が付いた。 流石に正体を知らないほど無知ではない。 かぁ、と耳が熱くなって、 神経を言葉に出来ない感覚が奔っていく。 ] (*54) 鬼葉 2024/05/13(Mon) 0:26:31 |
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