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ライカは、廊下を駆ける最中、ミナイの声に足を止めた。 (a7) osatou 2022/07/10(Sun) 22:37:01 |
【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ────びく。 あからさまに、恐ろしいものでも確認するかのように振り向いて 一瞬だけ、幽霊でも出たかと肩を震わせたけれど よくよく目を凝らし、君の顔を認めれば、安堵を浮かべた。 「……み、薬袋。」 君とは、保健室登校のクラスメイト──と言っても、 教室なり廊下なりで姿を見れば、何気ない会話を交わすような仲だ。 体が弱くて儚げで──体力面では気を使いつつも、 君を極端に特別扱いしたことはない。 「あー……、いや、居たケド。 何も無いよ。ほんとに、なんにも。」 駆けていたものだから、僅か呼吸は乱れている。 何度か荒い呼吸を繰り返し、君へと向き直った。 「……そっちは、どしたの。 何か……あったの? 手伝おう……か?」 何かを誤魔化すかのように からりと下手な笑顔を作って、思い切り話題をすり替えてやった。 (-16) osatou 2022/07/10(Sun) 22:38:05 |
【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ「バケツ? そんなの何処にでも転がってるだろ……」 とは言うが。 嫌がる素振りはなく、じきに取っ手の取れたぼろぼろのバケツでも発見するだろう。 「……み、深雪のこと?」 ──本題だ、とでも言わんばかりに。 君の視線、言葉、繋がれた手。 その全てが自分を逃すまいとして、向けられている。 事実、自分達の別れ話(?)は色々な人を巻き込んでいたり、気を遣わせたりしているようだから 君もきっと、心配や慰めの気持ちを持ってくれているのだろう。 「あ〜…… うーん……そうだな……。」 ……どうしようか。 言うか、言わないか。たった2択。 君の事はそれなりに信用している──けれど、選べずに暫し沈黙。 たっぷり間をかけて、口を開いた。 「……怖い、けど。 酷くも辛くも……ないよ。 W何かあったWケド……大丈夫。」 ▽ (-31) osatou 2022/07/11(Mon) 1:57:23 |
ライカは、空いた手を、君の頭上へ向けて。 (a10) osatou 2022/07/11(Mon) 1:57:44 |
【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ弱々しく笑って、 あんまり目線の変わらない、君の頭を柔らかく撫でた。 「僕らの問題だから、 僕らが何とかする。」 心配はいらない、大丈夫だ、と。 言葉で、温度で、示す。 「あ。」 嗚呼、でも、ひとつだけ。 君に伝えたい事がある。 「……今までありがとな。 薬袋のこと、結構好きだったよ。」 ずうっと下げていた、カメラの紐へ手を掛けて。 首から降ろせば、君へと差し向ける。 それをやっと手に入れた時の喜び様を、自分が肌身離さず持っていた事を、君は知っている。 「だから、貰って欲しい。」 (-32) osatou 2022/07/11(Mon) 1:59:55 |
【秘】 怖怖 ライカ → かれがれ ユメカワ──画面の向こう側。 またグループLINEが鳴っているのかとスマホを確認すれば 君の名前が目に入る。 君を傷つけてしまった、だろうか。 それはそうか。無理もないか。 僅か思い悩んで、文字を打つ。 君がWひとのそとWへ成りかけていたとしても、気付く筈もない。 だって君は、大切な君のままなんだから。 覚悟を、決めなきゃ。 『僕こそごめん』 『もう大丈夫』 『どうしたいかって』 『深雪と居たい』 『今どこにいる?』 (-55) osatou 2022/07/11(Mon) 14:26:10 |
【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ「……写真に残せるのか、分かんないからさ。 壊しちゃったら、僕だってヤだし。」 自分が、自分達が、何をするのか。 自分が何を危惧しているのか。何を想定しているのか。 ……きっと、君は理解っている。 だから、これ以上何も言わない。 困った様に眉を下げて、笑ってやった。 肌身離さず、いつだって側に置いていたそのカメラには 今まで撮ってきたデータが詰め込まれたまんま。 彼の笑顔だとか、何気ない景色だとか、廃校の理科室だとか──クリスを撮ったW心霊写真Wだけは、消してしまって残っていない。 「そんで、多分、もう使わないし。 それならさ、誰かに持ってて欲しくて。」 ▽ (-76) osatou 2022/07/11(Mon) 19:59:56 |
ライカは、お気に入りのカメラを、手離して (a24) osatou 2022/07/11(Mon) 20:00:26 |
ライカは、やっぱり下手くそに、笑った。 (a25) osatou 2022/07/11(Mon) 20:00:51 |
【秘】 怖怖 ライカ → 不知 ミナイ高校生が買うには、ちょっと高価なカメラ。──それが確かに、君の手に渡る。 なんとなく、 自分が生きていた痕跡を残しているみたいな気分だ。 「そのW誰かWは、 薬袋が良いなと思ったんだ。」 自分だって、君の事が好きだ。 それは勿論、友情に近い感情だけど。 W特別Wと括るには、十分なほどの大きさ。 「……じゃあ、そろそろ。 行ってくるよ。」 君と出会えたお陰で、少し心の整理ができた。 ……ちゃんとW見出しWて、笑って、彼の元に行けそうだ。 「 ばいばい。 」 (-78) osatou 2022/07/11(Mon) 20:01:35 |
ライカは、君に背を向けて、階段を登っていく。 (a26) osatou 2022/07/11(Mon) 20:02:39 |
ライカは、階段を登る。古びた木が、きしりと音を鳴らす。 (a28) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:30 |
ライカは、体が軽い、気がする。カメラひとつ分の重みがないから。 (a29) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:37 |
ライカは、行かなければならない。彼が好きだから。 (a30) osatou 2022/07/11(Mon) 21:23:50 |
ライカは、……ほんとは、まだちょっと怖い。 (a31) osatou 2022/07/11(Mon) 21:24:01 |
ライカは、きっと今なら、W見出せているWと思う。 (a32) osatou 2022/07/11(Mon) 21:24:11 |
【秘】 夢の先 ライカ → かれがれ ユメカワ3階の、階段を上がってすぐの教室。 ぱた、ぱた、からり──床板とドアが鳴って、 君の前に再び姿を表す。 お気に入りのカメラは、手中にない。 これが自分なりの覚悟で、誠意。のつもり。 「おまたせ、 ………さっきは、ごめんな。」 もう、怖がったりしないから。 だから、君の側に居させて欲しい。 ──君以外の全てを、捨てるから。 「好きだ、深雪。 僕も、ずっと一緒に居たい。」 宵闇の空が、白んでいく。 ぼやけた月明かりに照らされる君が、あんまりにも綺麗で。 惹かれる様に、君の側へと、歩み寄る。 辿り着けば、いつもみたいににっと笑ってみせた。 もうその瞳に、恐怖はない。 (-84) osatou 2022/07/11(Mon) 21:25:37 |
【秘】 夢の先 ライカ → 不知 ミナイ振り返る事はしないけれど、 少しだけ、足を止めて。 知っている。君のWいつも通りWを。 故に、君のおかげで固まった決意を、僅か揺らがせて。 「……責任なんて、 誰のものも取れないよ。」 ただ一人を、選んでしまったから。 たった一人だけを、隣に選んでしまったから。 「ねー薬袋、」 「笑って見送ってよ。」 君が笑ってくれないと、 僕だって泣き出してしまいそうだから。 「……さいごの、お願い。 もうこんな事言わないからさ、聞いてくんない?」 覚悟は、折らない。 君の望みは、叶えられない。 今君は、どんな顔をしているのだろう。 (-96) osatou 2022/07/11(Mon) 23:30:05 |
【秘】 夢の先 ライカ → 不知 ミナイ「───はは、」 振り向くな、と言われたから 君の笑顔を拝むことはない。 見たかったな、なんて思ったのがバレたら 彼は拗ねてしまうだろうか。 「叶えてくれてありがとう、 僕の大事な友達よ。」 君に贈る言葉は、たったそれだけ。 だけど良いだろう、長々話せば、決意が揺らいでしまいそうなんだ。 そうして、止めた足をまた動かして 古びた木の階段を、一段ずつ踏みしめていった。 (-151) osatou 2022/07/12(Tue) 20:20:16 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ君のすぐ隣は、自分の定位置。 頭ひとつ分高いところから、君の声が聞こえるのが、酷く心地良い。 笑い合えば、Wいつも通りWみたいな空気が流れていって それがなんだか懐かしくて、また笑った。 「どんなでも、良いよ。 だってそんな深雪が……す、好きなんだから。」 ああやっぱり、慣れないな。 歯の浮く様な台詞は、何度吐いても照れ臭くて。 いつか自然と言える日が来るかな、なんて考えてたけど、どうやら来ないらしい。 「……もう、一人にしないから。 空回っても、ダイジョーブでしょ。」 幼い頃は、ちょっと体が弱くて。 自分の為にと越してきた先が、この広大な田舎で。 初めはうまく友達が作れなくて、ずっとカメラばかり触ってたから 君が声を掛けてくれるよりも、ずっと前──インスタントカメラを持っている君の姿を見つけてた。 思い返せば、きっとあれが一目惚れ。 (-154) osatou 2022/07/12(Tue) 21:05:38 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ「……あのさ、 この町の──夜景が見たい。 いちばん高い所から、二人でさ。」 自分達が出会って、関係を育んで、 生きていた景色が見たい。 カメラは置いてきたから、 レンズの代わりに、自分の目で。 「この校舎あんま高くないし 灯りも少ないけど……まあ、 ギラギラしてるよりは綺麗だと思う。」 最期の、デートの誘い。 自分から何か切り出すのは、数えられる程しか無かったから さいごくらい、自分から。 「……深雪と見たいんだ。」 そっと君へと、手を差し出す。 屋根の登り方なんて知らないけれど 少しだけ格好付けるくらいは、させてくれ。 (-155) osatou 2022/07/12(Tue) 21:06:37 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ/* バタフライ今日は今までの どんな日々より美しい 飛び降りていこうぜ 結婚死き、しような! (-156) osatou 2022/07/12(Tue) 21:09:11 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ「──……〜〜っ、!?」 懐かしい唇の感触。目を見開いて、次にぎゅっと閉じて。 ──もっと、と、唇を薄く開いて、控えめに舌を絡めていく。 静かな教室内に似つかわしく無いリップ音を立てて。 「……、ん、」 自分達が付き合って、だいたい一年くらい。深いキス。君と数えきれない程交わした筈なのに、上達しなかった、とぼんやり思う。 ───暫く、そうしていて。 息苦しさに胸を叩いて、どちらからともなく唇を離す。 「……やるなら、やるって、」 ちゃんと言ってよ。なんて、どの口で言うのか。 君をじとりとねめつけて、それでも繋がれたままの手を引けば 「……行こう。 僕が居るから、大丈夫。」 もう離さないから、命を終わらせに。 夢の先へ、向かう為に。 さて。 「や……屋根って、 どう行ったら……良いんだろな。」 (-189) osatou 2022/07/13(Wed) 11:31:08 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ同じではない気がする。いつだって君の方が一枚上手だ。 ……なんて言ったところで、水掛論。 「………もう。」 仕方ないな、と独りごちれば 五指を絡めた手を引いて、君の言葉の通りに空き教室を後にする。 「連れて行くよ。 離さないからさ、安心して。」 ここを出て、右の突き当たり。 廊下の隅の目立たない階段。 屋根裏に上がる──前に、音楽室からパイプ椅子を拝借してやった。 足りなければ、瓦礫でも何でもかき集めてやればいい。 「さっきセンパイと来た時、 階段なんて見逃してたな……。」 情けないけれど 君以外見えていない、証左。 さて。 パイプ椅子を引き摺って屋根裏へと登れば、確かに上へと続く穴がある。 ぎし、とパイプの鉄錆を鳴らして踏み付けて、屋根の上──いちばん高い場所へと辿り着くだろう。 君を先導して、手を引いて。 存分に甘やかすのは、僕の特権。 ▽ (-241) osatou 2022/07/14(Thu) 1:15:18 |
ライカは、君を連れて行く。 (a81) osatou 2022/07/14(Thu) 1:15:42 |
ライカは、「足元、気を付けて。」 (a82) osatou 2022/07/14(Thu) 1:16:53 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ───屋根上。 星空にいちばん近い場所。 落ちてしまわないように、確と足腰へ力を込めて ゆるりと屋根へ腰を下ろす。勿論、君を隣へ誘って。 「……カメラじゃ、 上手く撮れないんだよね、星って。」 電気の灯りが少ない町では 夜空に星々が力一杯煌めいていて、 そうして、大きな月が、僕たちをいっとう優しく照らす。 まるで二人の選んだ夢を、 見守ってくれるみたいだ。 「……綺麗。」 星空、それから君が。 僅かに残る死への恐怖を、全部飲み込んでしまいそう。 「夜景は、見に行った事無かったよね。 夜は……いつも、家で……、だったし…………。」 ……もう少し。 もう少しだけ、デートを楽しませて欲しい。 これから踏み出す一歩は、あまりにも大き過ぎるから。 (-243) osatou 2022/07/14(Thu) 1:17:23 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ君と当たり前みたいに隣り合って、 綺麗なものを綺麗だと、好きなものを好きだと言って まるで普段と変わらないW日常Wを、味わって。 レンズを通さずに見上げた空は、いつもよりも綺麗に見えた。 嗚呼、これから死ぬんだ、なんて。実感は未だ湧かない。 「か、わいいって……僕が………?」 そうして、君のストレートな言葉には、むっと眉を顰める。 可愛がられるのも嬉しいけれど、 他の誰でもない君には、もっと─── 「格好良いとか、頼り甲斐があるとか そういう方が嬉しいんだけど……?」 ……そっとその横顔に、頬に唇を触れさせて 意地悪には、不意打ちで仕返してやった。 ▽ (-278) osatou 2022/07/14(Thu) 20:04:32 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワそんなふうに君と笑い合って、戯れて。 どれだけの時間が経っただろう。 軽口から、意地悪、愛の言葉まで。 伝え合って、何となく互いに言葉が止まる頃。 「………、」 そろそろかな、なんて 誘うように両腕を広げて、君をまっすぐに見据える。 「好きだよ、深雪。 ずっと……一緒に居よう。」 太陽が目を覚ます前に。 行かなくちゃ。僕たちの夢の先へ。 君をこの腕に抱いて、その後はどうしよう。 何もかもに逆らって、空でも飛んでやろうか。 (-281) osatou 2022/07/14(Thu) 20:06:12 |
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