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【人】 軍医 ルーク『……きらいだった、 あんたたちなんか、大っ嫌いだった、 笑ったり、怒ったりしてもいい、 悲しんだり、楽しんだり、なんでも持ってる、 当たり前みたいに、“感情”があって、 わたしに酷いことをする、あんたたちが』 [ そう言いながら、彼女は、 ――… この手を離そうとは、しなかった。 強く、固く、互いの手を握りしめる。 この手もまた、震えていた。 彼女の言葉のすべてを受け止めるように、頷く。 その憎しみは、きっと、わたしの中にもあるものだ。 天の穴の向こうに居る者たちと会ったなら、 どうして父を殺したのかと、 一片も思わずにいることが、できるだろうか。 彼女にその影を重ねようとは、思わなかったけれど。 それでもどうしても、自分たちは、 世界の外と内で殺し合う場所に立ってしまっていたのだ。] (76) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:49:30 |
【人】 軍医 ルーク[ 視界のすべてが赤かった。 炎は消し止められたようだ。 耳音で滴る水の音に、 ああ、流れている血だなと――そう思った。 辺り一面の瓦礫の山、 吹き飛んだ天井の向こうは、一面の闇だ。 誰かの声が聞こえる、誰かの動き回る音、 瓦礫をかき分ける音。 彼らの声が、ひとつも意味を為さない。 頭の中はぐらぐらと揺さぶられて、 目に飛び込んでくる景色も一秒後には捻じれ、 水にぬれて絞られる布のような心地がした。 身をよじり、身体を動かそうとする。 けれど、からり、と手元の破片が音を立てた、それだけで。 そうだ、繋いでいた手が、あったはずだった。] (78) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:50:36 |
【人】 軍医 ルーク[ 首を傾ける。 小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。 自分の右手と、つないだままだった。 ――その手“だけ”が、あった。 動いた視界の先に、大きな瓦礫がある。 その下にあるものは――ああ、位置的にはわたしの脚か、と、 他人事のように、思う。 音のすべてが遠ざかる。 けれど、鼓膜は大丈夫。 視界に問題はない、赤いのは、血が入っているから。 そんな風に淡々と分析しながら、 駆け寄ってくる誰かの足音を聞きながら、 まるで、ピアノを弾いている指の上に 蓋を思い切り閉められたように、 自分の中に『何か』が致命的に断ち切れたということに、 気づいては、いた。 そのときは、それは両脚のことだと思った。 切れてしまった糸はそれだけではなかったということを、 病室で自分を診察した医師のカルテを盗み見て、知る。 ―― そのときも、もう、何も感じなかった。] (79) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:51:11 |
【人】 軍医 ルーク[ ――… ] [ 身を起こす。 起こそうとする。 意識なんて、あるかないかすらもう分からないけれど。 自分が確かに『生きている』ということだけは、 はっきりと、分かっている。] ……死ぬもんか、 [ そうだ、絶対にだ。 わたしは、待ってる。 君が帰って来るのを、君にまた会うのを、 そして――… これからもずっと、一緒に、いるんだ。] (80) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:52:15 |
【人】 軍医 ルーク[ きゅいきゅいと、腕の中で声を上げる温もりがある。 額が割れ、血が流れ込んだ右目の視界が、 赤く覆われていく。 ぽたり、血が頬を伝い、床へと滴り落ちる。 少し離れた場所に、あの男がいる。 銃を落とし、意識はないが―― 見たところ、生きている、大丈夫だ。 どうやら砲撃の直撃は避けられたらしい、 だとしたら、逃げないと。少しでも遠くへ。 足に力を込めたそのとき、 がくり、引っ張られるように身体が床へと落ちる。 義足の片方――先ほど撃ちぬかれた足を、 倒れた棚が押しつぶしているのに気づいたのは、その時だ。 ぺんぎんが腕を抜け出し、必死で持ち上げようとするが、 到底動く重さではない。] (81) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:53:21 |
【人】 軍医 ルーク――、っ。 [ 切り離してでも抜け出そう、 此処から逃げないと。 何か使えるものはないかと、 身を起こし、辺りを見渡す。] [ 建物の壁面が崩れ、中庭が見える。 ず るり、と、ひどく重い何かが、土を這う音がした。 蛇型の機獣の巨大な目が、 真っ直ぐに此方を見ていた。] (82) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:54:59 |
【人】 軍医 ルークあ……、 [ 機獣が、口を開ける。 外壁を砕いた砲撃だ、 放たれたなら、建物はひとたまりもない、 自分たちもまた、骨一つ残さず消し飛ぶだろう。] [ 脚にどれほど力を入れて瓦礫から引き抜こうとしても、 瓦礫も、脚も、動かない、動けない。 機獣の口の中に、あかい光が灯るのが見える。 ――指先が、懐に触れる。 こつり、触れた感触は、 そうだ、此処に来る前に彼から渡された――] (83) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:55:47 |
【人】 軍医 ルーク――… ット、 “ ルークの声は、絶対に聞き逃さないから。” シュゼット!!! [ 残されたすべての力を振り絞り、叫ぶように、 ―― その名を、呼んだ。]** (85) zelkova 2020/05/28(Thu) 1:57:37 |
【秘】 部隊長 シュゼット → 軍医 ルーク[ この夢は、僕が来た時の記憶の夢だ。 僕は、この世界に降り立った後。 機獣が、基地の皆を蹂躙するさまを、 攻撃に参加することも、機獣を守ることもなく。 ただ、呆然と立ち尽くしていたようだった。 ] (-103) kaomozi 2020/05/28(Thu) 21:46:33 |
【秘】 部隊長 シュゼット → 軍医 ルーク[ 僕は。地下世界にいる "敵"を倒せとしか、言われていなかった。 地下に、地上の人達が移り住むために 必要なことなのだと、そう言われた。 でも。地下に降りた僕が見たのは。 突然現れた機械の怪物に恐怖し、逃げ惑う人々の姿だ。 本当は、機獣と協力して、この地下世界に生きる者を 全て殺さなければならなかったのに。 僕と同じように、耳や尻尾を持つ人々が 圧倒的な機獣の力にやられていく人々が 蹂躙されていくのを見て、 そんなこと、できないと……そう思ってしまった。 地下世界に居る"敵"は、どうみても。 この機械さえいなければ、平和に過ごしていた彼らを 蹂躙しにやって来た"敵"は、……どうみても……!! ] (-104) kaomozi 2020/05/28(Thu) 21:49:56 |
【秘】 部隊長 シュゼット → 軍医 ルーク[ 暫く立ちすくんでいた僕は 地下の世界の人ではなく、 機獣の方へ、僕はゆっくりと右手を向けた。 義手砲は、相手を守ろうと思って出せるものではない。 相手を"殺してやる"とか、"壊してやる"とか そういう感情が爆発したときに、出せるものだ。 その時の僕の怒りのエネルギーは、凄まじい物だった。 膨れ上がった光は、一瞬で、 硬い外殻に包まれたコアを一瞬で消し去って。 ……そして。 …………そして。 ] (-105) kaomozi 2020/05/28(Thu) 21:51:20 |
【秘】 部隊長 シュゼット → 軍医 ルーク[ ……僕の記憶は、ここで、ぷつりと途切れた。 ルークが、今まで僕を心配してくれてた通りだった。 義手砲は、加減をせずに使ってしまうとこうなるんだ] (-106) kaomozi 2020/05/28(Thu) 21:51:50 |
【独】 軍医 ルーク/* や る と 思 っ て た せめてもと思って技術班からバズーカを、こう、こう…! でもやると思ってた><。。。。。(しぬ(ちょっと書いてくる (-110) zelkova 2020/05/28(Thu) 21:56:59 |
【独】 軍医 ルーク/* ですよねだって頭痛が収まらないとか、ぶっといフラグがたくさん見えてたもん!! 絶対にやると思ってた!!! というか、わたしでもやったと思う!!( 誤字脱字多いのはわたしもずっとそうだったから心の目で補正し合おう… (-115) zelkova 2020/05/28(Thu) 22:04:16 |
【人】 軍医 ルーク[ 蛇型が開いた口の中に、赤い光がぎらりと輝く。 それは煮え立つように煌々と光を集め、放ち、 その光は徐々に、赤色から白色に変わってゆく。 ひどく異様な色をした光だ。 その威力は分からずとも、本能的な恐怖が全身を貫き、 瞬間が凍り付く。 瓦礫に挟まれた足が動かない。 もし今この足が抜け出せたとしても、 あの砲撃から逃げ出すことは敵わないだろう。 そのとき――…、 聞こえてきた“ 声 ”に、目を見開いた。それは、一瞬のこと。 触れれば直ぐに飛び去ってしまうほどの、ほんの刹那。 ずっとずっと聞きたかったその声が呼んでくれた、 自分のほんとうの名前。 その音が心臓を強く揺さぶり、 鼓動がひとつ、全身を貫くように強く脈打つ。 身を起こし、その声の聞こえた方角を、真っ直ぐに見た。] (128) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:10:01 |
【人】 軍医 ルーク[ 離れているはずの距離が、ひどく間近に感じられて、 遠くにある赤い目が、直ぐ目の前にあるようで。 いつかの医務室で、互いの鼓動が聞こえる距離で、 その目を見つめていたときのことを、思い出した。] [ 彼の義手の右腕が、 機獣へと真っ直ぐに、突き出される。] その唇が、“ごめん”と紡ぐ。] [ その瞬間、理解した。 だめ、と、青ざめた唇が震える ] (129) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:11:13 |
【人】 軍医 ルーク[ 幾つもの記憶が過る。 それは、この戦いが始まるとき、 外壁にいる自分に向けて、ここに居ると教えてくれるように、 大剣を掲げてくれた、姿だとか。>>31 医務室で、通信機を探しに行く道行きで、 幾度となく感じているようだった、 記憶の予兆の頭痛。 義手を使えば、どうなってしまうか分からない。 それなのに、彼は最後まで、 『使わない』と言おうとはしなかったんだ。] 駄目…!!!!! [ 喉を引き裂くほどに強く、強く叫ぶ。 その叫びすらかき消すように、飲み込むように、 義手へと収束した光が膨れ上がり、 視界を白く染め上げてゆく。 そして、開かれた機獣の顎から光が放たれる、その寸前、 義手から放たれた一撃は、 過たずそのコアを一閃に穿った。] (130) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:11:56 |
【人】 軍医 ルーク[ ぺんぎんを抱え込み、身を伏せた背の上を、 爆風が吹き抜けてゆく。 目は白い光に眩み、何も見えない。 爆風に吹き飛ばされた瓦礫が、 先程の攻撃で崩れかけていた建物の外壁を打ち、 がらがらと破片が崩れ落ちる音がする。 けれど、それは耐えられない衝撃ではなくて、 なにひとつ、自分の周囲に、落ちてくることはなかった。 顔を上げる。 眩んだ視界の中、影絵のように蠢く大蛇の姿がある。 それはゆらり、と大きく左右に揺れて、 コアを貫かれた機獣はのたうつことすらせずに、 その鎌首を建物の一つに預けるようにして、傾いてゆく。 ズ ン…、と、ひどく重いものが斃れる音が、聞こえた 最早動くことのない残骸となったそれの行方を 目で追うことすらせず、 辺りを見回し、必死で赤い姿を探す。] (131) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:13:19 |
【人】 軍医 ルーク――…! [ 此処からは遠く離れた場所に、倒れ伏す赤い姿を見つける。 ぴくりとも動く様子はない。 どきり、と、また一つ鼓動が跳ねる。] 嘘……、 [ 茫然と、音を吐き出して。 這うように、両腕に思い切り力を籠める。 一つだけ幸いしたのは、 今の衝撃で足を挟んでいた瓦礫が再び動いたことだ。 挟まれていた義足を引き抜けば、 折れて捻じれたそれは足としての体を為さず、 動かそうとしても、棒切れのように動かない。 残った片足で歩こうとしても、 直ぐに足を取られてぐしゃりと土に転んだ。 この調子で歩いていくよりは――、と、 両腕と片足で、這うように前に進む。 基地の喧騒が遠くに聞こえる、 まだ遠くに響く戦闘の破壊音も、何もかも。] (133) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:15:05 |
【人】 軍医 ルーク[ 飛び散った硝子の破片が、砕けた瓦礫が、 ずるずると這う両腕を裂いていくつもの傷をつけてゆく。 痛みも、何一つ気にならなかった。 この手足の歩みの遅さが、 これほどまでに歯痒かったことはない。 心臓を鷲掴みにされたような恐怖の底で、 懸命に這って近づく。] シュゼット!! [ 漸く近くに辿り着き、肩に手をかける。 消された日記の内容を知ることはない。 けれど、ひどく不吉な予感が黒雲のように心に広がる。] (136) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:17:21 |
【人】 軍医 ルーク[ 彼は最初の襲撃で、義手を使って機獣を葬った。 そのことは、話してくれた通りだ。 そうだ、そして、 “そのあと記憶を失った状態で発見された”。 その後も義手を使った反動は、 その都度大きなダメージとなっていたはずだ。 過去の記憶を運んでくる頭痛は、今もその身を蝕んでいる。 そのような状態で、あれほどの威力の一撃を放ったなら? かたり、震える手。 白く色を失った唇が、声を失う。 言うことを聞かない全身が、崩れ落ちそうになる。] (137) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:17:34 |
【人】 軍医 ルーク嫌…、やだ、 [ いなくならないで。 置いていかないで、お願いだから、 泣き出して、縋りつきたくなる。 恐怖は別離の姿をしている、 それは、ひと一人の亡骸にしてはあまりにも小さく軽い 遺体袋の傍にあった、一枚だけの家族写真のかたち。 赤く染まった小さな手のかたち。 赤く、赤く、広がってゆく血の沼の底に手足を絡めとられ、 叫び出しそうになる。 ――それでも、] (138) zelkova 2020/05/28(Thu) 23:19:23 |
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