【人】 大木慎之介─ Last day・放課後 ─ [今日はLast day、 何を願うか考えられる最終日。 願い事を叶えるために、 旧校舎に向かう人がいる日。 旧校舎探検から始まった非日常が、 降って湧いた重い悩みが終わる日。 大木はぼんやり校舎内を散歩していた] (466) 2022/10/20(Thu) 18:46:41 |
【人】 大木慎之介[散歩をしていて階段に差し掛かったとき。 大木の脳裏に、ふと 昨日の昼休みに背中に届いた言葉が蘇った。 『明日は旧校舎に居るのだろうな』>>291 確かに、大木はそうしようと考えていた。 大木は秋月の考えてることがわからないなんて 思っていたのに、秋月はお見通しのようだ。>>293 もっとも、大木は迷ってもいた。 皆がちゃんと帰ってくるか確かめて 自分が安心したいという思いはあれど、 覗き見をするようで気が引けるのも事実で。 早々に校舎を離れ、日常を過ごしながら みんなに明日があることを 祈っていようかとも思ったのだ] (467) 2022/10/20(Thu) 18:47:05 |
【人】 大木慎之介[けれど大木には、背中に届いた言葉とその少し前の 言葉とを合わせて思ってしまったことがあった。 その切実そうな言葉の重ね方に、>>290 まるで『自分を見守りに来てほしい』と 請われているかのようだ、と。 そう思ってしまったからには、行くことにはなりそうだ。 秋月とは“兄同士”、人に甘えづらい性分同士。 それで頼られている可能性を考えてしまったら、 放り出せるわけがなかった。 考えすぎなら後で笑い話にすればいいだけなのだから。 それに、他にも旧校舎から戻ってきてほしい人がいる。 白瀬、未國、その友達。 他の人たちにだって、できたら明日を迎えてほしい。 そう思うとやはり、 どこかから見守っていたい気分になった。 願いを叶えようとする人々の邪魔にだけは ならないようにして] (468) 2022/10/20(Thu) 18:47:35 |
【人】 大木慎之介[校舎内を歩きながら、昨日の昼休みを思い返す。 『それが“兄”だろう?』>>287 秋月に問われた言葉に、大木は答えられなかった。 きょうだいのどちらか一方を 偏重する親を想像しづらかった。 世の中にそういう親がいるらしいのは知っている。 白瀬の親もそうらしい。>>2:309 けれど大木の両親は違うのだ。 体験したことのない扱いは、やはり実感できない。 だから兄弟が溺れていて弟が迷わず助けられたなら、 それは岸に近かったとか、体を抱えやすいとか、 先に手早く助けられそうな理由があった、 という考えのほうが大木の脳裏には浮かぶ。 簡単に助けられそうなほうと大変そうなほう、 両方を助けたいなら、まず簡単なほうからだろう。 そして次に大変なほうへ手を伸ばすのだ。 一人でも多く助けたいと思うなら、そうなるはずである] (469) 2022/10/20(Thu) 18:47:55 |
【人】 大木慎之介[兄だから我慢しなきゃいけない、 弟を守らなきゃいけない、そういう局面だってある。 それは大木も理解することだ。 少なくとも大木の感覚で言えば、きょうだいは どうしても歳下が優先されやすい。 年齢差があれば尚更。 歳下のほうが、より手助けを必要とするから。 けれどそれは、愛情の差ではないのだ。 少なくとも、大木が育った家庭ではそうだ。 そう実感できる環境で兄弟ともに育ってきた。 やはり大木は恵まれているのだろう。 仲のいい親子で、仲のいい兄弟で、平等に愛を恵まれ、 幸せに暮らしていると言えるのだろう。 失う前でも幸せに気付ける機会はあるものだ>>1:305] (470) 2022/10/20(Thu) 18:48:14 |
【人】 大木慎之介[そうやっていろいろ思い出していると、 どうしても 考えたくないこと にまで辿り着く。 本当に作るのか? 秋月に? 卵焼きを? 時間を巻き戻してあの瞬間だけやり直したい── 大木は割と真剣に思った。 幽霊に頼もうかともちょっとだけ思った。 いくら友達に未来があってほしかったとはいえ、 勢いでしていい約束ではなかったのではないか? 当時の大木は全く自覚していないことだったが、 あのときはだいぶ冷静さを欠いていたようである。 とはいえ、あれが“意地悪”と表現されるあたり、>>289 友達が未来に確証を持てないでいるらしいと感じた。 友達の未来への希望になるならと思うと、 とても打ち消せはしなかった]* (471) 2022/10/20(Thu) 18:49:03 |
【人】 大木慎之介[そこまで考えてふと思い出す。 昨日の放課後、小鳥遊の頭を撫でたとき 聞こえたささやかな憎まれ口を。>>319 そのとき大木は苦笑しか浮かべられなかった。 けれど苦笑が浮かんだ時点で、 肯定だったのかもしれない。 自己犠牲精神というわけではないのだが、 大木はつい人のことばかり考えてしまいがちだ。 それは自分に余裕がある分、 追い詰められてはいない分なのだろう。 そしてそういったことが嫌いでもなかった。 『損な役回り』ともあまり思ったことがなかった ……が、今は少々実感してしまった。 他の友達と深く考えずにした約束のせいで]* (472) 2022/10/20(Thu) 18:49:19 |
大木慎之介は、メモを貼った。 (a57) 2022/10/20(Thu) 18:53:57 |
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