13:56:20

人狼物語 三日月国


221 Pledge ~sugar days~

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視点:


[現状、仕事の繫がりはないものの。
 自身の営業スマイルは既に威優も体験済みであり、
 その彼からもお墨付きをもらっている。

 おどけた言葉に威優も笑う。
 きっと出会った頃を思い出したのだろう。
 今となってはその時よりも、
 笑顔が表情に出やすくなっている。

 秘書室の定員に上限がないことを聞けばまた、
 安堵に口元が綻んだ。] 

 
  そっ……か、よかった。

  もし配属先聞かれたら秘書室希望したくて、
  それまでに資格は取るつもりだし。
  一度目では無理でも、
  何度か希望出してみようと思ってる。  


[秘書課に配属されたなら、
 今回のように出張があっても同行する機会を得られるかも知れない。]


  ははっ、癒やしが欲しくなったら
  会いに来てくれてもいいよ?


[威優も肯定的であることにホッとする。

 世間的にも、性格的にも庇護欲の強い彼のことだから、
 多少の波風が立っても護ろうとしてくれるだろう。
 
 それでも、愛されるだけに落ち着かず
 愛することを選んだから。
 私生活だけでなく仕事面でも支えていきたい。]

 
  ……なんて、言ってるけどさ。
  力になりたいんだ、威優の。

  仕事中に顔も見られるなら、オレも安心するし。


[やがて、知識と機会を身につけていけば、
 彼の目の下の隈も減らしていけるだろうか。]

[声が跳ねる。素直に反応を示すところが可愛い。
 会えると思うなら移動は苦にならない。
 寧ろ自宅で待っている時間のほうが苦痛だから。]


  ん、旅行気分で行くよ。
  威優が仕事してる間は観光してるし。

  夜だけでも直接会いたい。


[もし、明日戻ると言われていたら、
 笑いながらも受け入れていただろう。
 それくらい、自身も威優に飢えていたから。]

[喉を鳴らす音も隠しきれない程興奮している。
 自分でオナニーしていてもこんなに敏感に反応はしなかった。

 威優の言葉たった一つで身体が熱を持つ。
 いつか威優が言っていた言葉を思い出す。
 その内本当に名前を呼ばれるだけでイくかもしれない。
 興奮に上擦った息を零して、瞳を蕩けさせ
 濡れた下着を引っ張れば、後孔が疼いて。]


  ……ンッ、もう、濡れてるッ……、
  

[電話口で伝えながら、
 彼の眼にも映っているのだろう痴態を告げられて、
 触れられてもいないのに犯されたような気分になる。]

[威優に直接、ではなく。
 カメラに向けるのは少し、躊躇いがあったけれど。
 見たい、と言われてしまえば弱い。]


  ……ッ、んッ、……


[一度スマホを手に持ち、雑誌の山を作ると
 スタンド代わりにしてスマホが立つ。

 小さなレンズを見失いそうだけれど。
 画面には威優の顔が映ったままだから、寧ろ。
 そちらと目を合わせるようにした。

 ゆっくりと時間をかけて股を広げていく。
 視られているのが威優だと分かっていても、
 少し、羞恥が浮かぶ。]

[股の間には勃ち上がった昂りがピンクのレースを
 押し上げて隙間から濡れた下生えを晒し、
 殆どと布地のないような紐が戸渡りから後孔へと続いていた。
 頬を朱に染め上げながら、指先で紐をズラして
 ひくついている後孔を画面の威優に見せる。]


  ……、ッ、はぁッ、……


[こぷ、と愛液が呼吸するように溢れて。*]

[同じ会社で働くことを提案したのは
彼が興味を示してくれたのがきっかけで、
今の会社にΩ差別が存在している事実を知ればますます
自社の方がよりストレスなく働けるのではないかと思った。

そこからの配属は基本は本人の希望を汲むようにしている。
様々な経験を積みたければ数年で人事異動にかけるし
営業をずっと続けたい熱意がある者にはそのままの立場で
給与が上がっていくように手配するのが上の者の務めだ。

志麻は今広報をしていると言った。
転職して仕事に慣れない時期は、
業種が異なっても使うソフトなどはあまり変わらない広報を
希望するのかと思っていたし、
かといって「広報が良いと思う」なんて
影響力が強い己が言ってしまわないように気を付けていた。

「秘書検定に挑戦する」と聞いた時には
己の傍に来てくれることを考えているのだと
嬉しくなったものだ。]


 うん、資格がなくても助手は出来るけど
 俺の仕事に同行したり、スケジュールを管理するのは
 資格を取ってからになるね。


[一度希望に添えなくても、そこから資格を取って
もう一度挑戦して希望が通るのが自社の良いところだ。
くじけず目指して貰えることが、
「落ちたら何とかして」と安易に頼らないところが、
愛しくて堪らない。]



 癒されに行って戻りたくなくなったら
 結果的に出張が伸びるからね、
 悩ましいよ。


[そもそも己が先延ばしにしていたからこんなに一度に
回らないといけなくなった訳で。
完全なる自業自得なので、この度は真面目に専念すると
決めたのだ。

志麻の声を聞いていると、顔を見ていると、
その決意も揺らいでしまいそうなのが辛い。

冗談めいて言った言葉の奥に、
「会いに来てほしい」が透けて見えるだけに、余計に。]

[今でも充分心の支えになっているけれど、
志麻が目指す「力になる」というのはもっと
物理的なことだろう。
だから現状で「充分」と口に出してはいけない。

その代わり]


 嬉しい。
 俺といる為に志麻が頑張ってくれることが
 幸せで、嬉しい。

 ありがとう。


[週末、逢いに来てくれることも含めて礼を言う。
歓びの気持ちも隠すことなく。]

[先日から薄々感じていたことだが、
対志麻で己は変態になるらしい。

尻孔を拡げて見せろ、とビデオ通話で要求し、
素直に従ってくれる彼がまだ紐にしか見えない下着を
纏っていることに興奮している。

躊躇があるのだろうに、
己の目には焦らされているように映ってしまって、

待っている間に自分の息で画面が曇ってしまいそうな位に
スマホを握り締めている。
片手で何度も強く陰茎を擦っているのだから
客観的に見てかなり変な姿だ。]


 ああ、出て来た。
 志麻が「俺がほしい」って時に出すの、
 胃が疲れててもいくらでも飲める気がする。

 いっぱいびちゃびちゃ音を立てて弄ろうか。
 合わせて俺もこっちでペニスを扱くから。


[ふ、ふ、と扱くのに合わせて息を荒くする。
志麻の内部で果てることを覚えた自身は
己の手淫で達することができるか――

長くかかりそうな予感がする。**]

[威優の働く会社が前社に比べて福利厚生も充実してあり、
 Ω差別もなく、社員に向上心があると知るのは
 志麻が無事就職を果たしてからになる。

 大守の血筋が番を大切にするように
 社員も会社自体も大事にしていれば
 その血が途絶えることもない理由が分かる。

 前社での部署は希望を出して配属されたわけではないが、
 主にバックアップ面で人につく仕事は性に合っていた。
 故に、秘書に興味が湧いたのも、
 威優を支えたいという思いの他に、
 仕事としてやり甲斐を感じられそうな気がしている。

 転職への準備の間、威優は手を差し伸べながらも、
 彼自身の希望や意向は口に出さなかった。
 志麻の希望を優先してくれたのだろう。

 そのことが、
 信頼を向けられている気がして、見守る姿勢が嬉しい。]

 
  じゃあ尚更、資格は急いだ方が良さそうだ。


[悩ましいという声が
 真剣な響きを含んでいて笑い声が漏れた。

 どんな些細な悩みも共有したい。
 それが努力で補えることなら労力も厭わない。
 それだけ真剣に人と向き合うことを、
 思い出させてくれたのは他でもない威優だから。]


 
  ……うん。
  威優が喜んでくれるなら、オレも嬉しい。


[幸せと感謝の言葉が胸に染み込んでいく。
 それだけで、満ち足りていくほど──、幸せだ。]

[後孔から溢れた愛液が臀部を濡らしてシーツに染み込む。
 その箇所を晒すまで威優の言葉が途切れたのが、
 余計に羞恥を煽り、スピーカーから聞こえてくる
 衣擦れの音と威優の呼吸音だけが響いていた。

 とろりと零れていく愛液を威優が指摘する。]


  ……ぁ、……ッ、は、……


[飲めると言うだけで舌で嬲られたことを思い出して、
 こぷりとまた愛液が溢れ、中の蠕動を伝え。]

[溢れた愛液を指で掬い、濡れた中指を
 つぷんと第一関節だけ差し込んだ。]


  ッ、ぁ……んんッ、
なか、あつい、ッ……



[威優とセックスするようになって一人遊びを
 長らくしていなかったから久しぶりに
 自身で中の熱さを指で感じて熱にほぅ、と吐息を零す。
 愛液で滑りがよくなった指が、ぬぷ、と深く埋まっていき、
 注挿を繰り返せば、快楽が滲み瞳が潤み始め。]

 
  ……ん、ぁッ、
……んンッ……


  ……
はっ、
、……い、ゆぅッ……、のも、
  かたく、なって……る、……?


[荒いだ息が聞こえてくる。ふと視線を上げて
 画面を見れば慾を称えた彼の瞳がこちらを向いている。*]



 頼もしいな俺の奥さんは。


[己に仕事を減らさせる方向ではなく、
自らが時間を作る為に動ける。

それを義務ではなく「やりたいこと」と捉えてくれるのが
堪らなく嬉しい。

こんなに想ってくれる相手だと知ってから番ったのではなく、
どうしようもなく手に入れたいと思った相手に
愛される歓びを実感している。]

[カメラの向こうでは、志麻が自らの身体を慰めている。
快楽の発散の為ではなく、己の慾に晒されることを望んで。

熟れた肉を拓いて指が沈む。
音量を大きくしたスピーカーから、
くちゃりと卑猥な音が響いた。]


 ん、志麻のえっちな姿を見て、
 俺のも堅い、 ……っは、


[スマホを持ち上げ、己の局部を映した。
接写すれば顔は画角に入らなくなるが、
志麻の視線がきちんと注がれるように。

既に先走りでしとりとしている陰毛、
血管が浮いてごつごつした幹。

それを扱く指は、暫く志麻を愛撫しないのに
いつも通り深爪に近い短さに揃えられている。]



 見えるか?
 いつもこれが、志麻の尻に入って、
 ぐちゅぐちゅに掻きまわして、
 子宮にめり込んでる。


[てらてらと光る先端を映した後、
今度は顔も映す。

すると彼の痴態も目に映った。
視線の鋭さが物理的に彼の蜜壺を犯せたら良いのに。]



 は……――――
 志麻のナカに出したい……


[切なく歪んだ声が、射精が近いことを伝えた。*]


 
  ……ッ、


[奥さんという響きにドキリとした。
 番よりも婚姻することを掻き立てる表現。
 威優は無意識かもしれないが、本当に籍を入れて
 彼の伴侶になるのだと思うと込み上げるものがある。

 自身のやりたいことが彼に繋がるように、
 そして家族にも広がっていくように、
 大切に育てていきたい、この想いを。]

[くちくちと音が立ついやらしさに煽られて、
 指の動きが大胆になっていく。
 入り口だけを擦っていたのが飽き足らず、
 指を深く埋めて奥を目指し、届かないことに身悶えて、
 慰めるように浅い部分を突いて。

 電話越しに威優も興奮しているのが伝わる。
 言葉の中に混じる熱い吐息や、
 彼の声に挟むみたいに聞こえる水音。

 それが、もっと分かりやすく画面越しに映し出されて、
 そそり勃ったものに思わず舌を伸ばした。]


  はぁ、ッん、……みえ、てるッ……、
 

[その太さを堅さを、身体が覚えている。
 中に溶け込んだ指を後膣がきゅう、と締め付ける。]

[息が上がる。
 互いの高揚で部屋の湿度も増しているみたいに。
 言葉にされる度に、切なくなって
 指を締め付ける内壁が彼を欲しがっている。]


  んぁ、ッ、アッ、い、ゆうの、ッ……、
  はいっちゃ、うッ、ぁ、っぁんッ、

  ん、ンンッ、ぅッ♡


[慰めているのは自身の指のはずなのに、
 まるで威優に犯されているみたいにくらくらする。
 彼の言葉通りにぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て、
 内臓を掻き回せば、愛液がどんどん溢れていく。]

[空いた手でぎゅうと乳首を虐め、
 後膣を弄る手の動きが追い立てるように早くなる。

 なのに、足りない。
 指じゃ威優が突き上げる最奥までは届かない。
 切なくて目尻に涙が浮かぶ。]


  
……いゆ、ぅの、で……イき、たいッ……、



[身体はもう充分に射精感を訴えるのに、足りない。
 威優が、足りなくて。苦しい。*]

[志麻が言葉に詰まる。

カメラを起動して貰っていて良かった。
「奥さん」と評した時の反応が見たかったし、
見たかった通りの表情が見られたから。

ふ、と己の表情が緩んだのも彼には見えただろう。]

[画面上では志麻が赤い舌を伸ばしてくれたのに
その感触は己には届かない。
ぬめった熱い粘膜で己を包み込み、先端が喉奥で揺れる
小さな肉片をぴとぴとと押す快感を得られない。

こんなに鮮明に見えているのに、切ない。

抱きたい、と小さく弱音が零れた。]


 ああ、こんなことなら
 俺のと同じくらいの大きさのディルドでも
 置いておくんだったな。


[そして己は彼のを模したオナホールでも、と思ったが、
余計空しくなりそうだ。
形だけが「彼」ではない。
熱や湿度や息遣いがすべて必要なのだ。]

[志麻も同じ気持ちなようで、
身体は十分昂っているのに射精に至らずに苦しんでいる。
酷なことをしてしまったか、と悔やんでも遅い。]


 じゃあ後ろは俺がはいるまで取っておいて。


 ……ベッドの傍の引き出しに、透明なビニル袋があるだろう?
 いつもティッシュを棄てる時に使ってる。
 それをスマホに被せられるか?


[此方はスーツケースの中から同様に
透明なビニル袋を取り出してスマホを入れる。

少し視認性は悪くなるが仕方がない。

彼の準備が整うのを待つ間、
萎えてしまわないよう裏筋をくちくちと弄っていた。]



 出来たか?
 じゃあ、画面にペニスを――……

 そう、カメラ越しに兜合わせなら、
 そのままイけるかも。


[昂ったまま達することなく電話が終われば
二人とも夜を持て余すことになりそうで。
今すぐ逢えなくても、何とか志麻と「ふたりで」
気持ち悦くなりたいと考えた末の提案だった。*]

[自身の挙動一つで威優が表情を変えていく。

 嬉しそうに目尻が綻んでいく顔も、
 触れられずに歪んで切なく寄せられる眉も、
 どれも、自身が引き出したもので、
 自分だけしか見られないことに愉悦を覚えた。

 それは自身にも言えることで、
 威優の些細な表情に変化や声色に一喜一憂してしまう。

 抱きたい、と小さく零れた声に息を呑んだ。]


  オレも、……威優が、ほし、い……ッ、
  お、もちゃじゃ、やだッ……ぁ、


[形だけ同じものではなく、威優の熱が欲しい。
 自身を繋ぎ止める楔だけじゃなく、
 頬を濡らす涙を拭う手が、産毛を擽る吐息が、
 全身で感じられるぐらい全部、威優に差し出したくて。]

[威優の前だとぐずり癖がついたみたいに、
 いやいや、と子供のように首を振って駄々をこねてしまう。
 それは身体を繋げているとき程、顕著に現れた。
 イきたくてもイけないのがつらいと嘆いたら、
 お預けを告げられ、指を引き抜いた。

 奥はまだ疼いていたが、足りない刺激を送れば
 余計切なさしか残らないだろう。]


  ……ン、……引き出し、


[四足歩行の動物みたいに、ベッドの上を這う。
 勃ち上がったままの昂りで歩きづらい。
 乱れた浴衣を引きずり、カメラにお尻を向けながら
 ベッドサイドに向かう様子も全て映っていただろう。]

[目当てのものを手に取って戻れば、
 教え通りにスマホをビニルの中に包んで。]


  ……、……?


[ここまでしても威優の意図が掴めずに、
 透明な覆いの中のスマホを覗き込んで、
 こてんと首を傾けたら、少し籠もった音声が
 またいやらしいことを口にした。]


  ッ、……画面越しって、


[かぁ、と頬が熱くなる。
 威優が見せたように画面いっぱいに自身の昂りが
 映り込むということに一瞬、躊躇う。]

[だけど、このままではイけそうにない。
 兜合わせということは彼も同じことをするのだろう。
 それなら、確かに、一緒にシた気持ちになれる。

 溶け始めていた理性は、簡単に籠絡されて。]

 
  ……、ッ、ん、……こ、う……?
  ぁッ、すべ、って、ぐじゅって……するっ、……


[おず、とスマホを裏筋に当てて、上下に擦り上げる。
 つるつると滑る感覚は、少し似ていて。
 は……、と熱の籠もった息が漏れた。

 淡い刺激なのに、予想以上に感じている。*]

[互いが欲しくて始めた自慰の見せ合いが
こんなにも切なくなるとは思ってもみなかった。

彼を想い一人で慰めていた夜中は
セックス程の快感は得られなくても射精には至っていたから
こんなことは初めてだ。

ギリ、と歯軋りする。

どうして今、おもちゃじゃ嫌だと泣く志麻の
涙を舐めてやれないのだろう。]

[このまま同じ個所を弄り続けてもお互い辛いだけだ。
かといって、こんな状態で止めてしまうなんて、
切なくて気が狂ってしまいそうだ。

二人でしている気分になれることを考えて思いついた案は
志麻には予想もつかないことだったようだが、
寂しさにぐずついていても、己の言葉通りに
動こうとしてくれるところがいじらしい。

画面に映る乱れた浴衣と白い尻。
少し遠ざかるだけでも猛烈に寂しくて
追いかけたくなるのに捕まえられない。]


 そう。
 ああやっぱりビニル越しだとちょっと見えにくいな。
 でもそのままシて壊れたら明日絶対後悔するし……


[画面に直接性器を当てるのはリスクが高い。
スマホにとってだけではなく、スマホにもし何かが
付着していたら、性器が荒れてしまうかもしれないから。]


 はは、真っ赤になってる先っぽが見える。
 そこにくっつけるから、な……っ


[彼が先に示してくれた位置に合わせ、
己の先端を当てる。
感触は無機質なビニルだが、
視覚的には実際に志麻としているような画となって、
己の手で擦っていた時よりも興奮する。

ぷくりと浮き上がった先走りが
ビニルの皺を伝って画像を乱した。]



 好きだよ、志麻。
 先っぽくっつけたまま腰を動かせる?
 そう、俺をよく見て、

 ああ、やばいな、 ……本当にシてるみたいだ。
 志麻のペニスから出てる音もちゃんと聞こえる。


[はあ、はあ、と荒く息を吐く。

本来兜合わせをするなら、正面を向けば志麻の顔が
見えるだろうが、彼の顔は小さな四角の中にしかないので
必然的に下を向くことになる。

すると、開けたままの口から唾液が垂れるのも
止められず、ぽたぽたとシーツにシミが落ちる。

きちんと精嚢が重くなっていくのを感じる。
このまま擦っていけば達することができるだろう。
願わくば、君と一緒に。**]

[威優を考えて一人で慰める夜が数えるほど合っても、
 どれも、結局最後まで果てることはなかった。

 自慰が減っていったのは達しきれない切なさを
 繰り返してしまったせいでもある。

 もう一人では満たされることはない。
 ぐずついて泣いてしまうぐらいに威優がいい。

 威優じゃないといやだ、と告げた告白は、
 今や、志麻に繋がるもの全てに影響を与えている。]

[ビニル越しの威優の顔は少し歪んで見える。
 多少歪んでいても格好いいと少し見惚れてしまう。

 もとから造形は好みの顔をしていたけれど、
 今となっては、嫌いな箇所を上げるほうが難しい。

 スマホに陰茎を直接擦り付けるのではなく、
 しっかりとビニルを取りにいくことを選ぶ配慮も
 ただ精密機器が壊れることを危惧してのことじゃないことも。]

 
  ぅ、ンッ、もう、張り詰めて、いたい……、


[まるで性教育を施されたばかりの子供のような
 張りの現状を伝え、威優に助けを乞う。]

[すり、とビニルの上で腰を揺らすと、
 先端の膨らんだ陰茎がレンズの上を往復した。
 液晶の向こうでは同じように
 威優の太くて赤黒い昂りが画面を上下している。

 見て、と言われて画面を注視すれば、
 威優の切なげが表情が、しっかりと映り込んでいた。]

  ッ、ぁッ……ン、いいッ……、
  これ、ンッ、いゆうっ、と、シてるッ……、

  
ぁ、ぁんッ、
きもち、いッ……ッ、
 

[擬似的な兜合わせでも、先程より一体感があって興奮する。
 腰を突き出して、スマホに押し付け。
 腰の動きと合わせるようにスマホを持つ手も、
 次第に快楽を求めて、揺らぎ始め。]

[くちゅくちゅと水音が響く中に、
 ビニルのザラザラと擦れ合う音が交ざり、
 摩擦が激しくなっているのが分かる。
 どちらのマイクから拾っているのかもう分からない。 
 見下ろしている表情が、
 威優と抱き合っている時みたいに蕩けて。]


  んッ、おと、きこえるッ……ぁ、ッ、
  い、ゅ、……いっしょ、にッ、

  ぁッ、んンッ、んッ!
  も、でそ、ッ、……イく、ッ
  ……イッ、
────ッ !


[スマホを持つ手が震え、腰がびくつく。
 ぴゅくっと勢いよく飛び出した白濁は、
 画面を濡らすと共に、
 見下ろしていた自身の顔にも飛び散って。**]

[ビニルが彼我のカメラに掛けられただけで
途端に随分と離れたような気持ちになる。
なまじ解像度の高いカメラが搭載された機種だけに、
歪みが煩わしい。

それでも、不自由さを感じるとしても、
「志麻と一緒」が良い。

ビニルが擦れる音に合わせ、水音が響いた。
マイクの近くだから、息遣いよりも大きく聴こえるだろう。

己の耳に届いているように。]



 あんまり激しく押し付けたら
 摩擦で切れるかもしれないから慎重にな。


[己がよく彼の状態を言語化するからか、
彼も自己申告に抵抗がなくなってきているように思う。

痛みを感じる程に張り詰めているのは
志麻が己を
しているからで、
それでも自慰で射精に至らないのは
己が志麻をそうなるまで
してきたからだ。

擦れる音に負けないように告げる。]


 好きだよ、志麻。
 っは……兜合わせ、きもちいぃ、な?


[実際に触れているのは相手の性器ではなくとも
お互いがこの行為をそう呼ぶなら
これは「兜合わせ」だ。]

[あんなに遠かった射精感がこみ上げてくる。
志麻の方も同じ焦燥感を抱えているようで嬉しい。]


 俺も、イきそう。
 志麻、志麻……ッ ぁ、イく……っ


[びるるるる、とビニルが震える音がした。
電話の向こうでは大きなノイズになったかもしれない。

己の精液で画面が遮られ、よく見えない。
それでも、画面の向こうも己の像に向けて
射精していると確信したまま、何度か腰を振って新しい白濁を飛ばした。*]

[慎重にという声に頷くことはしたものの、
 擦り付ける動きは止まらなかった。
 ほんの少しだけ、腰を揺らす動きを緩やかにして
 それがまたもどかしくて瞳を覆う水膜が厚みを増した。

 一緒に気持ちよくなっていることを知ってほしい。
 淫らな言葉を口にすることも厭わずに
 只管、快楽を追い求め、二人で悦くなりたくて。
 
 低温の甘やかな声に名前を呼ばれたら、
 鼓膜まで性感帯になったみたいに快感が突き抜けた。

 自身の飛沫がスマホを汚していくのと同時に
 画面の向こうで、威優の切羽詰まったような声と、
 薄い被膜が擦れる音が聞こえる。

 達した後の余韻に惚けながら、視線を落とせば。
 スマホに映る威優の顔を自身が吐き出したものと、
 彼が吐精した精液が重なって、汚して。]

[まるで自身にも吐精されたみたいで、
 ぞくんと達したばかりの腰が震え
 刺激も与えられていなかった後膣がまたきゅんと疼いた。]


  ……、は……、ぁッ、……


[熱っぽい息が、また、零れる。]



            
              
……会いたい……、




[吐精しても尚、彼の熱が足りない。*]

[ビニルが擦れるにつれて皺が寄り、
画面が更に見えにくくなる。
その分、己の様子は言葉にして伝えたいと思った。

達する時、実は上擦る声が聞いていて不快なので
普段は呻きに留まるように必死に声を抑えているのだが

今日は志麻と一緒に高みに上りたくて
解放時にそれと伝わるように言葉にした。

やはり己の声は好きではないが、同時にスピーカーから
聞こえて来た志麻のアクメの声がその不快感を相殺してくれた
気がする。]


 ……ビニル被せてて良かった。
 べとべとだ。


[射精後の脱力感で、苦笑も緩慢だ。
汚れた部分が内側になるように慎重に剥がし、
口を縛る。]



 ……体調不良にでもなるか。


[切ない呟きに返すのは、少し弱った声。]


 ほら、実際、胃が弱って今日の夕飯を
 部屋でとったくらいだし。


[「今すぐ行く」と強引に行動に移さないことから、
この度の出張が早々キャンセルできるものではないことが
志麻にも伝わるだろう。

立場があることをこんなに苦しく思う日が来るなんて、
思ってもみなかった。]



 志麻が有休使って来てくれる?


[思わず言い出してしまうくらいには、志麻が恋しい。*]

[汚してしまったビニルを取り外して、
 歪みのない威優を映し出す液晶を改めて見る。

 滅多に聞けない威優の上擦った声に
 酷く興奮を煽られたから、
 今度ベッドの上でもう一度聞きたいとねだってみようか。]


  ……ははっ、オレも。


[苦笑する威優につられて笑い。
 もう一度ベッドサイドに寄ってガーゼを取り、
 顔にまで飛び散った飛沫を拭った。]

 
  
  威優とほんとにシてるみたいだった。 
  キス顔より、今のやつ録画したら良かったのに。



[綺麗に映るようになった向こう側に、
 片目を伏せてみせて、そんな冗談を口にする。]

[切なさが滲んだ声に、威優の声が重なった。
 役職以前に彼の性格上からも、出来そうにないのに。

 そんな言葉を口にしてしまうほど、彼も。
 会いたいと思ってくれていることに、
 今度は胸がきゅうと絞られるような感覚を覚え。]


  ……二人でサボっちゃう?


[だめ、とは言えずにサボタージュに誘うくらい。
 会いたい気持ちはより募ってしまったから、
 やっぱり遠距離恋愛になんて、向いてない。

 だから、珍しい彼のおねだりにグッと来た。]

[入社して以来有休は余り使えていない。
 今の会社を退職する直前に、纏めて使おうと思っていた。

 ならば、一日、二日くらい。
 許されるだろうか。

 瞬時にカレンダーを脳内に浮かべて、
 週末までの日数を数える。]


  ……、……行く。
  仕事が終わったら新幹線で。

  だから、……明日抱いて。


[もう、週末まで待てる気がしない。*]

[情けなく上擦った声が出せたのは、
弱っている己の顔でも見たいと志麻が受け入れてくれたおかげ。

別の機会にベッドで聞かせられるかは、
余裕がどれだけ残った状態でセックスに至るかによるかもしれない。

余裕を剥ぐのが上手な番のことだから
きっと己が思うよりも早くその機会は訪れるだろう。]


 よく考えたら、俺はともかく志麻は
 後の処理を考えたらゴムの方が良かったかも
 しれないな。


[己は性器の形状的に市販のコンドームの装着が
困難なのだが、志麻はもし持っていれば、そちらを被せて
した方が飛沫を抑えられて後が楽かもしれない。

己とする時にはむしろべとべとにさせたいから
使う機会は限られているが。]



 感じてる顔を撮っても良いって?
 じゃあ今度「ハメ撮り」ってやつをしてみようか。


[出張が決まった時に、自宅にカメラを設置して
志麻の様子を観察したいと思わないでもなかったが、
盗撮は志麻を愛しているからというよりも
自己満足の為の行為に思えて止めておいた経緯がある。

本人が了承しているならいくらでも映像に残したい。
一人で感じている姿だけではなく、
己と繋がって善がる蕩けた顔を。]

[射精後の所謂賢者タイムも相俟って、
胸に穴が開いたような寂しさが募る。

何もかもを投げ出して傍に行きたいのに
何もかも失えば志麻との末永い未来がないと
理性がブレーキをかける。

弱った己に志麻の甘い誘惑。

窘めない彼も同じ寂しさを胸に抱えているのだろう。]


 ……明日?


[週末までには時間がある。
思わず脳内でカレンダーを展開した。

本当に有休を使う心算なのか。]



 滞在に必要なものは全部此方で手配する。
 だから荷造りしなくても良いよ、
 そのままおいで。

 明日が明後日になっても離さないから。


[明日、仕事が終わったら、というのが
志麻の仕事に対する責任感を感じる。
新幹線の時間を勤務時間中に早めたところで
此方の仕事が終わっていなければ逢えないという
冷静な判断も好ましい。]

[そうと決まれば明日の為に体調を整えなければ。
逢えると思ったら途端に身体に力が漲ってくるが
肝心の時に勃たないなんて困るから。


おやすみ、を告げる声は
もしもし、よりも明るく響いた。**]

[余裕に溢れた意地悪な顔で焦らされるのも、
 余裕がなくなった時に滲み出る声も、
 どれもが愛おしい。

 自分ばかりが夢中になっているのではないと
 思えるくらいに威優の気を引けているのだと分かれば
 破顔してしまうのも仕方がないだろう?]


  ゴムは……、
  威優のサイズのしか置いてない、から。


[自身用のコンドームは使う機会はないと思っていた。
 これからは避妊具として使うのではなく、
 栓をする役割として必要かもしれない。

 あれほどセーフティセックスを心がけていたのに、
 威優がコンドームを使うときですら、
 直接中に感じたくて使わないで欲しいと
 ねだるようになったのも志麻の一つの変化だ。]

[威優になら汚されても良い。
 汗と汁気でべとべとになって、
 零された白濁を舐め取りたいぐらいに。

 だけど「ハメ撮り」にはぎょっとしてたじろいだ。]


  バッ……冗談のつもりで言ったんだよ!



  ……でも、また出張があるなら、
考えなくも、
ない、けど。



[警備用のカメラですら意識してしまっていたのに、
 セックスしながら威優にレンズを向けられたら
 どうなってしまうか分からない。
 かと、言ってまた一人が続けば
 長い間彼を感じられないのも苦しい。

 羞恥と欲望を天秤にかける。
 それも、また威優の押しにかかれば
 なし崩しになってしまうのは時間の問題だ。]

[予定していたよりも早く、威優に会いたい気持ちが募る。
 画面越しに感じた熱をやはり直接感じたいから。
 明日といえば、少し間が空いて返事が戻る。

 さすがに性急過ぎたかと悔やみそうになったが、
 次に続いた言葉に心が凪いだ。

 明日抱いて、のアンサーに明後日まで離さないと
 言葉を選ぶ彼と想いを交わす。
 三角座りをして爪先同士を擦り合わせ、
 腕を伸ばした先のスマホに微笑んで。]


  …………うん。


[たった一言の相槌が意味を持つ。]

[明るく響いたおやすみにおやすみを重ねた後。
 自撮りにしたままのカメラに向かって、
 予告通りに目を閉じて、キス顔を撮る。

 瞼の裏に思い浮かべるのは出迎えてくれる威優。

 ああもう既に、──明日が待ち遠しい。**]




  [父の腕から手を離して、最愛の人の元へ──。*]


 

[
 二十四歩、


            ――己と出逢った。
                     ]



 ――Yes, I will.


[意思の籠った言葉で誓う。**]

[
 二十四歩、


            ――威優と出逢った。
                      ]

 

  ――Yes,はい I will.誓います


[ブーケを持つ手に力が籠もる。
 ヴェールに覆われた中で、また唇が震えた。**]

 




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