【人】 帰宅部 雨宮 健斗ありがと、美味かった。 [ かたんと音をさせて立ち上がれば、 またあの黒板の絵が視界に入る。 あー。 なんつーか、その。 上手く言えねーけど。 [ 何をどう伝えたいのかは、 自分でもよくわからない。 それでも、今日出来た『ふりよう仲間』には、 笑って過ごす日が増えるといいな、と。 ] …なんかいっこでも、好きなものがあるって、 まぁまぁ幸せだよなぁ。 (33) 2020/06/17(Wed) 18:05:05 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 話す須藤はとても嬉しそうに見えて>>48 ならライブ観に行きゃいいのに、 行きますと即答しないのはやっぱり なにか事情があんだろな、と思った。 ] つーかいっこ言わせて… なんで文化祭だってのに、男三人で コーヒー飲んでんだよ… [ 『ふりよう仲間』になったばかりのそいつが、 重たい気持ちにならないといい、と。 ついでに俺がピアノを弾いていたことは 伏せたまま。 ふざけてテーブルに額をつけてそうぼやいた。 だけど言いながら、自分でも笑ってしまう。 これだってきっと純粋で楽しい、 貴重な時間のはずだから。 どこが不良だよ、ともう一度口にした。 ]* (54) 2020/06/17(Wed) 21:43:13 |
帰宅部 雨宮 健斗は、メモを貼った。 (a9) 2020/06/17(Wed) 21:44:34 |
帰宅部 雨宮 健斗は、メモを貼った。 (a10) 2020/06/17(Wed) 21:45:19 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗矢川のバンドって、どんなの演んの? [ 須藤が、俺のと同じアイスコーヒーを 矢川の前に置くのを見ながら訊ねる。 氷がひとつ、からん、と鳴った。 初めて、おまけにいきなりセッションが 始まったにもかかわらず、 俺が強引に弾いたジャズにも特に 戸惑う様子を見せず合わせてくれた。 こーいう人間がいるバンドは、 どんなジャンルだってそこそこ聴かせるん だろうなとは想像がついたけど。 ] (68) 2020/06/17(Wed) 23:16:09 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗オルタナティブロック。>>75 へぇ、意外。 [ 口をついてそんな言葉が出た。 俺の中のオルタナティブって例えば NIRVANAとか、Red Hot Chili Peppersとか、 そんなイメージ。 目の前の矢川はいつだって穏やかだし、 話す言葉も柔らかく、クラスの田中に こき使われたりもしてる。おまけに詰襟だし。 ついでに言えば合わせた音から想像したのは どっちかっていうとゴリゴリのジャズ系だったから。 そんな感想を口にすれば、気分を害したりは しなかっただろうかと、少し不安になる。 須藤はちょっときょとんとして、 それからにこにことその表情を変えた。>>83 うん、うん、と頷くたびに、 長い前髪が揺れていた。 ]* (91) 2020/06/18(Thu) 13:03:45 |
帰宅部 雨宮 健斗は、メモを貼った。 (a18) 2020/06/18(Thu) 13:16:53 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 何を言えばいいのだろう。 何と声を掛ければ、目の前のこいつは 救われるのだろう。 救う、だなんて。 無意識に、右手で自分の左手に触れていた。 興味本位の質問が、 中途半端な同情が、 どんなに心を傷つけるのか。 それだけは分かっているから。 ] …そか。 話してくれてありがとな。 知らなくて、なんか嫌な思い させたなら、ごめん。 [ そう言った。 出来る限り、いつもと変わらない口調に 聞こえるように、と努力して。 ]* (100) 2020/06/18(Thu) 16:21:26 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 我に返って話を聞けば、あんなデカイ声で 行くと言い張った割りには、 一緒に行って欲しい、とかわいく上目遣いまで 使用してくる須藤。 それは本当に吹き出した。 かわいくねぇ。かわいくねぇぞ断じて。 ] わーったわーった。 行ってやるよ、一緒に。 体育館までの道も、 一人じゃない方がいいだろーしよ。 [ そう言って口角を上げた。 ] (133) 2020/06/18(Thu) 22:05:46 |
帰宅部 雨宮 健斗は、メモを貼った。 (a23) 2020/06/18(Thu) 22:34:23 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 頭に浮かぶのは喫茶店アトリエで見た、 須藤の絵。 心に響いて描いたという、 あいつの言葉は素直にうれしいと思ったし、 大げさに言えばちょっとは感動さえした。 …それでも。 ] (180) 2020/06/19(Fri) 8:35:51 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 俺のピアノは、白と黒。 矢川の音は、ひとつひとつの音符が色彩を放って。 キラキラ、キラキラ。 音を跳ね返しては自ら光る。 それは例えばたくさんの、 絵具のつまったパレットのようで。 ] (181) 2020/06/19(Fri) 8:36:32 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 羨望、嫉妬。 焦燥、後悔、喪失感。 あぁ、気付いてしまった ずっと、開けないようにしまっていたパンドラの箱。 気づかないようにしていた感情。 おれは、こんなに、 ピアノが、ひきたいのに。 弾けない。 弾けない。 弾けない。 悔しい。 悔しい。 悔しい。 なんで、おれだけ。 ふらり、と雨の中へ足を踏み出す。 ここでなら、泣けるのだろうか。 ]* (182) 2020/06/19(Fri) 8:40:17 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ そんなメッセージにふ、と身体のチカラが緩む。 足が止まる。 もう泣いてんだか笑ってんだか わからない顔だったと思うけど、 どうやら、借り物のスーツは、 濡らさずにすんだみたいだ。 ] 『バカかよ引き止めとけよ』 [ と返信した。 スマホの画面がちょっと歪んで見えたことは 気づかないふりをして。] (184) 2020/06/19(Fri) 9:00:44 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ それからちょっと悩んで、 ] 『なぁ、体育館のステージ出演てさ、』 『飛び入り枠あったよな?』 [ と文字を打つ。 送信ボタンを押す指は微かに震えた。]* (185) 2020/06/19(Fri) 9:02:01 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ すぐに、手の中のスマホが震えて。 今度は、着信。 通話ボタンをそっと押す。 ] 『もしもし?雨宮?』 ああ。なに。 『どしたの、大丈夫?』 [ 大丈夫、なんて。 俺何も言ってないのに。 ] (186) 2020/06/19(Fri) 9:10:42 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗なんもない。大丈夫。 『ひどい声してる。』 まじか。タバコ吸いすぎたな。 [ 小さなため息が機械を通して聞こえた気がした。 ] 『体育館のステージイベント、 ひと組出られなくなったらしくて。 出演者に時間調整頼んでるけど、 それだけじゃ足りないみたいで、 飛び入り枠歓迎だよって 役員さん回ってきてたよ。』 (187) 2020/06/19(Fri) 9:12:18 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗 …そっか。ありがと。 『…あんたのピアノ。また聞けるの。』 さぁ。わかんねー。 けど、なんか。 [ ( その言葉は言えなかったけど。 ] 『…そう。』 うん。 『ステージ役員さんに、連絡しといてあげる。 私も、体育館、行くから。』 (188) 2020/06/19(Fri) 9:17:09 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗うん。サンキュ。 『あんたじゃないわよ。 Two wins見に行くのよ。 田中さんも、うちわ持ってくって。』 [ ぶはっ、と吹き出す。 ずいぶん気持ちがはっきりしていた。 ] なんだよそれ。 [ 笑いながら、そう言った。 ] 『…頑張って。』 …おう。 [ 通話終了のボタンを押して。 時間になれば須藤を迎えに、 理科室へまたふらり、歩き出すだろう。 ]* (189) 2020/06/19(Fri) 9:21:33 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 理科室の扉を開けながら声をかける。 顔がわからない、と打ち明けた須藤が 困ることがないように。 ] おーす。 ふりよう仲間が迎えにきたぞ。 [ そう言って、手を振った。 ]* (190) 2020/06/19(Fri) 9:44:37 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ なんでか水筒を二本、手に持って、 明らかにワクワクしてんのに、ちゃんと 電気を消して戸締りするその動きは ちょこまかした犬みたいでかわいかった。 理科室を出れば、案の定あさっての方向を 指差す須藤に、こっちだっつの、と さりげなく背中を押した。 俺の足取りも、多分ずいぶん軽くなったと思う。 ]* (194) 2020/06/19(Fri) 11:02:34 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 体育館の二階に繋がる階段は、狭くて暗い。 人もたくさんいる横をすり抜けて階段へ向かう為、 ちょっと考えて、やばかったらスーツの裾を掴んで かまわねーぞと小さく須藤に伝える。 須藤がその提案を受け入れるかどうかは わからなかったけど、想像するその姿は お化け屋敷でのカップルの正しい歩き方だよな、 とそれもついでに小さく伝えて、 笑いを含んだため息をついた。 ]* (195) 2020/06/19(Fri) 12:20:59 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗 …おい。 …おい赤羽。 [ 俺は慌ててスマホを取り出して、 赤羽から来たメッセージを何度も読み返す。 ] … … 赤羽ぇぇ! [ 褌なんてひとことも書いてねえじゃねぇか!!! 危うくこの中の一員になるところだったなんて。 ] (…あっぶねぇぇ…) [ 人数が足りないから助けて欲しいという メッセージに応えてやれなかったことを、 実はひそかに申し訳ないと思っていた心は、 今1ミリも残さず消え去った。 ]* (197) 2020/06/19(Fri) 12:31:41 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 引っ張り出した椅子はふたつだったけど、 須藤は腰を下ろさず柵に身を乗り出して ステージを見つめていた。 そんな姿は微笑ましくて、それでも多少は心配で 時折引っ張って椅子に座らせては水分を補給させた。 須藤が持ってきたお茶はキンキンに冷たくて、 俺も貰って飲んだ。 めちゃくちゃ美味かった。 必死になって歩いている時に、彼女がいるのかと 聞かれてうるせぇ黙って歩け、 そういうお前はどうなんだと矢継ぎ早に 答えたを思い出して、 ] さっきの答えだけど彼女がいりゃあ 今こんなとこでお前と二人で座って 茶ァ飲んでるかよ… [ なんてぼやいては爆笑して、 照明係に睨まれたりもした。 ] (210) 2020/06/19(Fri) 13:32:35 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ Two wins。 知ってる。 編入してきた一年の時に見たから。 パワーのあるサウンドに加えて、 万人受けするルックスのせいか、 周りのやつらはキャーキャー言ってて。 やさぐれてた俺には眩しすぎて、 カッコよくて、 羨ましくて、 直視出来ないような気がしたんだった。 ] あれ、矢川じゃん。 [ 間違えようもない、その長身のベーシスト。 矢川だ。 そうか、このバンドにいたのか。 ]* (211) 2020/06/19(Fri) 13:36:57 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 二曲目の始まりを、ギターが告げる。 鳩尾のあたりが、ギュッと軋んだ。 ボーカルの声が、滑らかに伸びて、 俺に、届く。 ] 忘れないで、今までの道のりに、 自分の足跡があるんだから。 [ あ、やばい。 (213) 2020/06/19(Fri) 14:27:12 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗『自分のこれからを見つけるとき どうかまた息を吸って、 君の人生は君が作るんだから。 一歩踏み出すことに意味がないなんて、 誰が言った?そんなわけないだろ。 生きることは、愛することなんだから。』 [ 堪えきれずに天井を見上げて、目を閉じる。 腕で、顔を覆った。 ] (214) 2020/06/19(Fri) 14:31:39 |
帰宅部 雨宮 健斗は、メモを貼った。 (a26) 2020/06/19(Fri) 18:28:35 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 体育館はまださっきまでの興奮で、 むっとする熱気に包まれている。 息苦しいような気さえするその場所で、 不思議に落ち着いている自分は、 ちょっと場違いな感じがした。 機材がまだ残るステージ上ではスタッフが 慌ただしく動き回り、上手では ひっこんでいたピアノを役員と先生で動かして、 セッティングしてくれている。 幕裏でそれを眺めて時を待つ。 跳ね回りそうな心臓をなんとか宥めていると 演奏を終えたTwo winsのメンバーが 見えたりしただろうか。 頭ひとつ飛び出した、友人の姿も。 もし、見えていたら、 すげぇ、かっこよかった。と、 声を出さずに口を動かして。 左手で、 親指を立てるだろう。 ] * (230) 2020/06/19(Fri) 19:08:42 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ どうぞ、と舞台を指差すスタッフに、頭を下げて。 客席の視線を感じながら、ピアノに向かう。 ちらりと二階に目をやって、 首元のネクタイを、ぐい、と引っ張って緩めた。 すう、と息を吸い込んで、背筋を伸ばして。 吹き出しそうになりながら、 爆速で、あの日>>0:34の【猫踏んじゃった】を弾く。 体育館の空気がざわついた。 構わず、続けてバイエルの練習曲を一節。 ピアノをやってるやつも多いのだろう、 くすくすと笑う声が耳に届いた。 それから、休符も挟まずあのゲーム音楽を>>0:63 アレンジを盛って弾けば>>0:66 どっかで聴いてるかな、と見知らぬあの日の セッション相手を思った。 ]* (249) 2020/06/19(Fri) 21:40:15 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ ゲームオーバーの音を奏でたら、 そのまま教室で弾いた矢川の選曲をみっつ、 短く続けて。 今じゃ星に祈っても叶わないことが、 世の中にはあるのだと知ってしまったけど、 それでもその旋律は色褪せることなく。 須藤の描いた絵が閉じた瞼の裏に浮かぶ。 あぁ、ベースがいないのはやっぱ、 ちょっと寂しいな、と思った。 ] (250) 2020/06/19(Fri) 21:42:25 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 客席の空気が少し、変わった気がする。 ラフマニノフも、リストもショパンも、 今は満足にもう弾けないけど。 それ以外の音楽もたくさん溢れていて、 いつだってこんな俺にも、 ずっと優しかったじゃないか (251) 2020/06/19(Fri) 21:45:24 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 一瞬だけ、間を取って。 和音で階段を降りて行くような前奏の曲を、ひとつ。 So goodbye yellow brick road Where the dogs of society howl You can’t plant me in your penthouse I’m going back to my plough Back to the howling, old owl in the woods Hunting the horny-back toad Oh, I’ve finally decided my future lies Beyond the yellow brick road スターダムへの道を捨てて、 あの森へ帰ろう。 僕の未来は 黄色いレンガ路を外れたところに 広がっているんだ そう歌う曲を、口遊みながら。 ]* (252) 2020/06/19(Fri) 21:48:15 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ は、と一息ついて、そっと左手を撫でた。 ] 『あとちょっとだからがんばれポンコツ。』 そう左手に毒吐いたら、 『うるせぇちゃんと弾け雑魚め。』 と返される声が聞こえた気がした。 Cause we don't want your broken parts 壊れた部品はいらないって I've learned to be ashamed of all my scars 自分の欠点を恥じてきた I am brave, I am bruised 勇敢で、傷つけられた者 I am who I'm meant to be, this is me これが俺のあるべき姿、これが俺だ そんなことを高らかに歌い上げる、 映画の主題歌のメロディを紡いで。 ]* (255) 2020/06/19(Fri) 21:54:56 |
【人】 帰宅部 雨宮 健斗[ 音を、気持ちを、感情を。 ひとつ、ひとつ、大切に。 だれかのこころにとどくように。 須藤に、矢川に。 ここにいる、だれかに。 ] (256) 2020/06/19(Fri) 21:59:01 |
[|<] [<<] [<] [1] [2] [>] [>>] [>|]
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新