22:13:50

人狼物語 三日月国


258 【身内】冬融けて、春浅し

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【人】 葛切 幸春


[此方の意を汲んで、返される響きが心地好い。>>8]


 ……ああ、大事にする。


[噛み締めるように呟いた。
出会ったあの日から
――余りに無防備で、これ以上に情の深い話はない。迷いながら手を伸ばせなかった己の前へ、未だ選択肢は此処に在ると示すかに 何度も鍵を差し出してくれた彼の心を思う。
その線引き>>5 は知り得ない。唯今日まで、歩幅を合わせるかのような自然な厚意を幾度となく感じて来た。そしてその優しさに救われた己が居る。仮令彼が彼自身を如何思っていようとも。]
 
(10) 2024/05/10(Fri) 21:57:38

【人】 葛切 幸春


[多分に甘さを含んだ軽やかな受諾>>9 に 安堵染みた笑みを刷く。ものの、次いだ提案に眉をぐうと寄せる事となる。]


 いや駅までで……いいんだが、………。
 

[言い掛けて、先程よりも長い沈黙。
先程本望だと応えてくれた彼の柔らかな、或いは嬉しそうな表情を瞼の裏に反芻するように。手の内の鍵を握り締めて頷く。]


 甘えてもいいか。駅より、幾らか遠いが。


[この最寄り駅から三,四駅分隔てた距離に在る己の住処安いアパートまで。残り時間を惜しむように、行先を告げた。*]
 
(11) 2024/05/10(Fri) 22:08:19

【人】 靖国 冬莉


[下心をちらつかせた問いに眉を寄せる彼の、その表情の変化すらも愛おしく その沈黙の中で 彼の答えを待った。駅までと、そうだとしても 送迎を委ねられたことそのものに 彼との距離が縮まったのだと思える。———焦らなくても、何時か。急かすことなく、彼の言葉を手繰るように視界を薄める姿を見届けて。]


 ……勿論。その分、傍に居れるだろ。


[返答に、一層笑みを深めて 喜色を塗した素面を晒した。凛と立つ彼の甘える矛先に、自分自身が居ることへの光栄に身を浸しながら 続く行先に 相槌を打ちながら 携帯を取り出して、操作する。———その近くを前に車を走らせた覚えがあるが、念のために。 そして、行先を指し示す地図上の色味に、指先はブックマーク≠圧す。]


 ん、また 車の中でも教えてくれ。
 じゃ、行くか。


[携帯を仕舞い込んで、彼へと手を差し伸べる。別れで無しに、帰路を共に出来る幸福を噛み締めながら。*]
 
(12) 2024/05/11(Sat) 11:47:56
村の更新日が延長されました。

【人】 葛切 幸春


 アイコン。ああ、可愛いだろう?
 少し癖っ毛の、ふわふわとした毛並みで。何となく冬莉に似ていると思ったらつい。あんたの小さな頃はあんな感じだろうかと……、まあ……。

[犬と人間で在るからには雰囲気の話ではある。だが一目見て変えずにはいられなかった事を、髪へ触れる柔い指先に背を押されるように点々と語って手に手を重ねた。尤も 文字の上で繋がっていた数日に相手を思い起こしていた事実を白状するようで、最後には言葉をやや濁しもしたが。]


 ――変えるのか?


[水を差すとは知りながら残念そうな返事になった。]


 あの眼鏡のアイコン、あんたらしいと……
 ……可愛く思っていたんだが。


[この数日で慣れ親しんだ画像に少々愛着が沸いた事を許して欲しい。]
 
(13) 2024/05/11(Sat) 20:04:35

【人】 葛切 幸春


[彼の喜色が深まった笑顔を眺めて、また一つ選択を許された気持ちになる。儘に吐露すれば、>>0:-27対等で在る事を説いてくれるかも知れない。昨夜を思い出しながら携帯を弄る横顔を眺め――横から其処だと示した地図の上、確かに保存された己が住処を知り 頬へ一度口付けていた。]


 ……ああ。


[靴を履き、相手の隣へ立つ。
あの日一人だった帰り道を二人で辿る喜びに笑い、重ねた指先を絡めて扉を潜った。]
 
(14) 2024/05/11(Sat) 20:05:15

【人】 葛切 幸春


[―――扉を出た後でこう思いもする。]


 
( 他の住人と擦れ違う可能性があるのでは。 )



[擦れ違う人影が無い慌てて手を離さずに済むことを願って。]
 
(15) 2024/05/11(Sat) 20:05:39

【人】 靖国 冬莉


  ふふ、やはりそうか。

 どうだろうな、この癖っ気も生まれつきだからなぁ。
 昔の写真、アルバムなぁ…… 今度探しとくわ。


[互いの日常へと帰った中でも 己を浮かべながら 遣り取りをしていたかのような彼の言葉回しに 愛おしさが込み上げて触れる指先は頬へと下っていく。僅かに歯切れが悪くなっていくのに、そっと輪郭へと這わせつつ 自ずとくすりと笑気が漏れてしまった。そっと取られた手が合わさり 、伝う温度を噛み締めるようにきゅうと握り締める。 ]


 ……ん?


[彼の言葉に、小さく首を傾けつつも 続く言葉に 一層笑みが深まってしまう。可愛らしい、と自身を毎度定義するのはさておき、名残惜し気な声音で問う彼が余りにも愛らしくて。]


 なら、止めとくか。

 ずっと、あのアイコンなんだわ。
 ……まあ、眼鏡付けてるから、眼鏡って安直だがな。


[彼を模した画像を探すのは、お預けにしよう。また何時か、別の形で用いることができたら良い。可愛いのはお前さんなんだよなぁ≠ニ小さく漏らしながら、繋いだ手を引き寄せる。 ]
 
(16) 2024/05/11(Sat) 22:14:46

【人】 靖国 冬莉


[頬に伝わる口付けの余韻に薄く笑みを敷いて、玄関へと赴く。互いに支度をしては、扉を開けば 閑散としたテラスのような廊下が続いていた。見慣れた視界が、建物から覗く空がより澄み切っている。
 僅かに重ねた手が手の内の中で浮く。まるで、手を離さねばならない時に備えるような所作で。彼へと視線を向ければ、表情の薄い彼ではあるが、———少しずつ分かってきたこともある。少なくとも、二人だけの空間での素面の笑みには強張っていた。]


 ………大丈夫だ。


[その手を握り締め、離れていくことの無いように 彼との存在を繋ぎ止める。小さく頷きを見せて、———きっと 手を離さんとするのは配慮からだろう。繋いだ手を後ろへと隠して、手前からは見えないように 歩いていく。 ]
 
(17) 2024/05/11(Sat) 22:15:14

【人】 靖国 冬莉


[エレベーターを降りれば、また 繋いだ手を背へと隠して 彼との関係を世間の目から逃していく。
結局、誰とも会わないままに駐車場へと辿り着き、———助手席へと乗るように促しては。]


 っと、じゃあ ナビゲート 宜しくな。
 ……向こうなら、此処から左に曲がった方がいいかね。


[なんて、緩やかに車を発進される。名残惜しく、二人過ごした空間を後にしながら。*]
 
(18) 2024/05/11(Sat) 22:15:54
村の更新日が延長されました。

【人】 葛切 幸春


 生まれつきか……。
 ふ、あんたは小さな頃から可愛いだろうな。間違いない。

 昔の写真? いいのか、楽しみにしておく。
 

[幼い時分もさぞ愛らしい事だろう。目の前の相手に、まろい輪郭を想像するように重ね見て思わず僅かに声が弾む。若干抱いた決まりの悪さも、アルバムと聴けば霧散するのだから我ながら調子が良い話だ。穏やかに空気を揺らす彼の笑みに釣られて、そっと目を細めた。]


 安直でも何でも、あのアイコンを見るとあんたの顔を思い出して……愛しくなってな。

 止めてすまない。だが有難う。


[長く使っていた画像を、己を切欠に変えようとしてくれた心自体は嬉しくもあったのだから己は欲深い。小さな呟きは耳に入らず僅かに首を傾いだが、追究する事無く戸を潜った。]
 
(19) 2024/05/11(Sat) 23:25:42

【人】 葛切 幸春


[幸いにして廊下は静寂に包まれていた。扉を閉める相手の横で微かに安堵の呼気を逃す。外に出るまで浮かれていた己が内心を正すように、何時でも離せる準備をと絡めた指先の力を弛め―――逆に力が籠められた事を知る。寸刻、息を飲んだ。]


 だが………、


[穏やかな声を咄嗟に否定し掛けて、しかし次ぐ言葉が続かない。万が一の遭遇で何より困るのは此処に住む彼自身だ。にも関わらず絡んだ儘の指先は温かく、此方の逡巡を敢えて流すかのように配慮と共に相手は歩み出す。半歩遅れて 足を踏み出した。]
 
(20) 2024/05/11(Sat) 23:26:07

【人】 葛切 幸春


[何事もなく乗り込んだ助手席で、任された、≠ニ頷いたのが少し前。滑らかに走り出す車は、矢張り無駄な振動を感じさせず心地好い。走りには人柄が出ると良く云うが彼の運転は出逢った時から穏やかだ。

硝子向こうに流れていく景色よりも 惜しむように相手の横顔を眺める最中、もう“あれ”は無いと知りながらルームミラーをつい視線でなぞった。部屋と同じく殺風景になった車にも何か贈りたいところではあるが――黒い犬が思い付くのだから、元居た犬と重なって少々眉が寄る。
悔しい話ではあるが、彼に犬を贈った女性とは或る意味気が合うのかも知れない。
そんな事を考えていたものだから、]


 あ。

 今のところを右に曲がっ……、
 ……もう遅いな。すまない。


[ナビゲートの任を了承しておきながらこの為体。
申し訳無さに僅か肩身を狭くして、次の道を示した。*]
 
(21) 2024/05/11(Sat) 23:28:15

【人】 靖国 冬莉



 そうか?楽しみにしているお前さんが可愛いから直ぐにでも見つけたいが、……無かったらすまん。

 お前さんの小さい頃は……嗚呼、可愛かったな。
 叶うならもう一度、見てみたいが。


[思い起こすは 先週の施設でのとある一幕。少々険しそうに眉を寄せるもあどけない 幼い姿は、彼の愛らしさの面影を宿していた。あの施設の浴湯は 果たして何処のものだったのか。否、通説や常識から逸れた現象が幾つも生じていたあの場所を杓子定規で測るのも水を差すのと同義か。此方もくすりと笑みを落とし、 続く言葉に上機嫌に吐息を零す。]
 

 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。
 ………ずっと、思い出してくれてたのか?


[言葉の揚げ足取りになってしまったのは許してほしい。だが、触れずにいられるほど、寛容では無かったらしい。扉へと進み行かんとする歩を止めて、柔い声音でそう問えばどのような声が返されただろう。感謝の意には 頬への口付けで返したのが、未だ外界を分け隔てた部屋での話。]
 
(22) 2024/05/12(Sun) 13:57:18

【人】 靖国 冬莉



[人混みに覆われていた昨日とは異なり、疎らに他者が行き交う通りを窓越しに見送りながら 車を走らせる。彼との逢瀬に後ろ髪を引かれているからか、法定速度すれすれに落として 車内の時間を取っていく。我ながら、彼のことになると その欲深さに驚くも、その心境の変化は心地よい。赤へと、目の前の信号が転じていく。ルームミラーへと視線を向ければ、———彼の向ける表情の、その方角に薄く笑みを敷いた。
 再び、車を発進させる。硝子越しに景色が様変わりしていく中で、僅かに声を上げる彼にすいと目を細める。]


 そういうことも、あるっての。
 次で右に曲がったら、リカバリーできるかねぇ。


[彼の声音に、ハンドルを切る片方の手を少しばかり彼へと向けて、優しくぽんと頭を撫でては 指し示された道へと指示器を鳴らす。彼との時間が少し増えた中で、少し疲れたか?≠ニ柔く尋ね。*]
 
(23) 2024/05/12(Sun) 13:58:09

【人】 葛切 幸春


[また何時かがあればな。
不可思議な事が往々にして起きた件の施設。半ば夢だったのではないかとさえ感じるが、掴んだ縁が確かに此処に有るのだから化かされた訳では無いのだろう。アルバムに関する彼是は敢えて笑むばかりに流す事で、心待ちにする姿勢を暗に伝えた心算で。]


 ……、あんたのことを考えない日はなかった。
 返事を待ち遠しく思ったのは、初めてだ。


[扉を潜る直前だっただろうか。思わぬ形で掬われて一瞬肩を揺らしたが、顔を上げて頷いた。正直に溢す言葉が 彼が示してくれた愛情への一日遅れの返答に成り得たなら良い。0:-26]
 
(24) 2024/05/12(Sun) 20:03:50

【人】 葛切 幸春

[緩やかな速度の所以を知らずとも、二人の時間が増えるのならば否やはなく。眺める横顔の中、薄く笑みを刷く口唇へ焦点を添えて目を細めた。運転の最中に手を出す程不道徳ではなくとも、エレベーターで最後に交わした口付けの感触を思い出すように自身の唇へ触れる。扉の開く最後まで情を示してくれる誠実さも、彼の人柄を指し示すようで愛惜しかった。
キーホルダーを残した女性達とも、そうした逢瀬を楽しんだのだろうか。有るか如何か不明だと言っていたアルバムは誰も見ていないと思いたいが――
己も大概、嫉妬深いと自嘲する。]


 ああ、いや。すまない。大丈夫だ。


[柔らかな促し、頭に触れる手に現へ意識を戻す。]


 俺よりあんたの方が疲れている筈だ。
 運転も世話になって、……身体の方も。
 今夜はよく休んでくれ。


[一日穏やかに過ごしたとて、昨夜の負担は未だ残っている事だろう。目線をそっと身体の線へ添わせて、自然と脳裏に描き掛けた彼の艶姿。今思い返すには場が悪いと 首を振るって目を瞑った。]
 
(25) 2024/05/12(Sun) 20:09:13

【人】 葛切 幸春


[その内にやがて己の依拠も見える筈。駅からの利便性と、その中でも家賃の低さを重視した安いアパート。
男一人の暮らしだ。住めればそれで良いと、これまでは特に気にも留めていなかったが、高層マンションとは比べるべくもない住まいに些か気不味さを覚えもする。]


 上がっていってくれ、と言えたらいいが……何の持て成しも出来なくてな。


[微かに眉を下げて苦笑し 過ごす時間の終わりを惜しんだ。
だが車が付近に辿り着いた折、別れる前にふと――少しだけ待っていてくれるか≠サう言い残して 二階の一部屋に暫し姿を消すだろう。*]
 
(26) 2024/05/12(Sun) 20:13:47

【人】 靖国 冬莉



 ん、それなら良かったわ。

 何、お前さんこそ疲れただろう、……後始末までして。
 お互いゆっくり休もうな。


[触れる指先の その髪質の感覚は最早馴染みのあるものと化しており、———— 趣向で無しに、五感も全て 彼自身を馴染ませることができたら。僅か数舜の触れ合いの後に、手は空を切って ハンドルへと舞い戻る。他者を思い遣る言葉に、彼らしさを覚えながら 薄く笑みを敷いて 部屋の中で彼の指し示した場所の近くに辿り着く。周囲の景色に対して既知だったのは、此処までだった。]


 成る程、……駅が近くて良いな。


[告げられた彼の住居へと視線を向ければ、小さく頷きを入れて 傍の駐車場へと入り込む。装飾を排したシンプルな建物は機能性のみを意識したような佇まいで、最小限に身持ちを整える自身としては好ましい ————いや、彼が此処に住んでいる、その事実だけでも 酷く魅力的に見えるのだから盲目なのだろう。彼の指示で空いているところへと止めながら。]


 気にすんな、お前さんの処を知りたいと急に強請ったのは俺だ。
 ……次は此処に来ればいいか、お前さんを誘うときは。


[なんて苦笑する彼をルームミラー越しに一瞥しつつ、柔く笑みを零せば 車体は白線の中に入り込み エンジンを止めた。]
 
(27) 2024/05/12(Sun) 22:02:10

【人】 靖国 冬莉



 ん?……いいよ、幾らでも。


[彼の言葉に 緩く頷きながら、階段を上る彼の背を見送る。規則的な音の後にやがて、影一つ見えなくなって。ふと、運転席の中で 周囲を見渡す。———この景色を、何時も彼が見ながら 世俗に呑まれているのだと思い起こせば また一つ 知らない彼を理解できたような気がして 自己満足に耽った。

返事を待ち遠しく思ったのは、初めてだ。


 先刻の彼の柔らかい素面に、きっと 日常を少しずつ己が侵していることに 喜悦が滲み出ていく。彼を構成する一つ一つを知りたいと、———あわよくば それに自身を滴らせたいと思う強欲さに自嘲を浮かべながら 彼の帰り≠待つ。* ]
 
(28) 2024/05/12(Sun) 22:03:15

【人】 葛切 幸春


[少し口の端を弛めて軽く首を振る。恋人と睦み合った後、託された肢体を気遣う事を疲れと思う筈も無い。口数多く語りはしないがそう伝わればいいと目線を交わし―――辿り着いた駐車場で車が完全に停まった後、ハンドルを握る手指をするりと一度撫ぜ、礼を言って車を降りた。]


 ……此処まで来て貰うのは悪い。
 あんたの所まで俺が行くさ。


[車でなくて悪いがな。@U導したのは来客用の一角であり、自身が借りている駐車場は無い。その場に残した彼が、頭の中で如何思っていたかを知る所ではないが。至って普通と云うよりも若干古びた建物でさえ在る。部屋を守る唯一の鍵は当然ディンプルでもなく、極一般的なシリンダー錠だ。彼の住まいのセキュリティに比べたら頼りないと言うべきかも知れないなと頭を過った考えに少し笑って扉を潜った。]
 
(29) 2024/05/12(Sun) 23:23:30

【人】 葛切 幸春


[幾許かの間。
階段を下りる音を響かせて、再び駐車場に戻った時に彼は如何していたか。運転席側の窓を覗き込むように数度ノックして帰りを知らせ、]


 ……これを。
 あんたも、受け取ってくれないか。
 そう使う事はないかと思うが……俺の気持ちとして。


[掌の上、銀色の鍵を差し出した。*]
 
(30) 2024/05/12(Sun) 23:24:15

【人】 靖国 冬莉


[頬杖をつきながら 景色を眺めている中で 硝子越しに響く規則的な音に 視線を向ければ 降りてくる彼の姿に緩やかに笑みを傾けて出迎える。ノックに、窓硝子を開けば 言葉と共に 差し出される彼の手。
 それは、つい先ほどの自身と同じく 彼の領域を侵すためのもの。受け取ることに初め、躊躇していた彼が 自らの意思で 手渡すそれは 日陽に照らされて 柔く暖かみのある色味を放っていた。]


 ………嬉しいねぇ。


[自ずと素直に 込み上げる感情のままに言葉が出てしまう。受け取っては胸元へと運び、きゅうと握り締めた。これは、これまで 周囲に溶け込まんと己を排して藻掻いていた 愛する人からの、信頼の証だ。そして、退路すらも自らの手で絶った、覚悟の顕れ。]


 幸春。


[思いのままに顔を寄せようとするも、俗世の中で彼はきっとそれを善しとはしないだろう。彼を見上げながら ふわりと笑みを深めて。]
 
(31) 2024/05/13(Mon) 0:01:56

【人】 靖国 冬莉



 じゃあ、また着いたら連絡するよ。
 ……また会うまで、無理すんなよ?


[手のひらの中の鍵をキーケースに仕舞い込み、 顔を上げて 別れの挨拶を紡ぐ。彼はどんな表情をしているのだろう。目を細め、その愛おしい顔を目に焼き付けては、エンジンを掛けた。後ろ髪の引かれるままに、———されど 続いていく関係の中での信頼の元で ハンドルを動かしていく。]
 
(32) 2024/05/13(Mon) 0:03:42

【人】 靖国 冬莉



[未だ空いた窓から 頬を擽る風に、僅かな陽気を覚える。それは心情故なのか、それともこの先の季節への兆しなのか。何れにせよ、きっと互いにとって 息のしやすい日々になればいい。
 冬が融けて、春浅し。緩やかに閉じていく窓硝子の先にある木々の枝、その先端には桜の蕾が芽吹いていた。*]

 
(33) 2024/05/13(Mon) 0:09:02

【人】 葛切 幸春


[差し出した鍵を、喜びと共に受け取って貰えた事に安堵し──己が躊躇った二度の折、彼の心情は如何だったのかと改めて思う。

それでも此方の選択をその儘受け入れてくれた優しさに、この先で報いて行きたいと願いながら。胸許で大切に握り込まれた鍵を、その柔らかな笑みを描く相貌を、細めた眼差しで暫し眺めた。]
 
(34) 2024/05/13(Mon) 0:35:45

【人】 葛切 幸春


 あんたも。
 ……気を付けてな。


[眦を和らげて、短い言葉に有りっ丈の愛惜しさを込めた。

エンジンの音に、一歩 足を退く。
窓硝子に掛けた指先だけが、惜しむように遅れて離れた。緩やかに発進する車に軽く片手を挙げる。やがて道を曲がって見えなくなるまで――否、その音が聴こえなくなるまで、ずっと。その場に立っていた。]
 
(35) 2024/05/13(Mon) 0:37:27

【人】 葛切 幸春


[暫し噛み締めた余韻を、近くを通る人々の話し声に区切って首を振る。再び階段を上って部屋に戻る最中、建物の脇に咲く桜の木が小さな蕾をつけているのを知って足を止めた。目を細める。
嗚呼そうだ。いつの世も――――]
(36) 2024/05/13(Mon) 0:40:00

【人】 葛切 幸春



    [優しい冬の隣に、春が在る。**]
 
 
(37) 2024/05/13(Mon) 0:40:43
 




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