03:58:33

人狼物語 三日月国


180 【R15RP村】月影のさやけさ、 秘めたる願い

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視点:


【人】 未國 聖奈

 

 ……送ってから、もう少しちゃんと悩んで
 何度か書いて、何度か消して、
 何度か書いて、何度か消した。


   駅前のスイーツバイキングまじ気になってた
   今度絶対いこーよ

   あたしだって悩むことはいろいろあるんだよ
   はげたかもしれない

   未早のノート今日の分あとで見せてよー
   未早すごいノート綺麗そう



 どれも送信されなかった言葉たち 

 未来を約束する言葉も、
 気持ちを吐露する言葉も、
 揺らがないと自分に誓った決意が
 どうしたって揺らいでしまいそうだったから

 
(55) 2022/10/21(Fri) 16:05:38

【人】 未國 聖奈

 

── 19時・かなちゃん ──


 「 おはよ
   そっか、夜はおはよじゃないんだっけ 」


 何日か前に、ここで何人かと交わしたやり取り
 行けたら行く、じゃなくて、 >>50
 ちゃんとした、あたしとかなちゃんの待ち合わせ。

 あたしの手には300円以内のお菓子
 遠足気分かあ。そうだねえ。>>46
 それよりも、楽しい気分で在りたかったのかも。

 おやつ食べる?って差し出したのは
 チョコレート
 
いらないかーそっかー


 
(56) 2022/10/21(Fri) 16:48:48

【人】 未國 聖奈

 


  かなちゃんは憶えてる?

  かなちゃんが遠足に行くまえには、
  ふたりで一緒に駄菓子屋にも行ったよね

  ちいさいころは、
  おんなじお菓子買おう!って
  あたし、遠足でもないのにわくわくしたの憶えてる

  高学年や中学生のときとかはもうさすがに、
  かなちゃんも好きなお菓子を選んでたかもだけど。

  かなちゃんがもし遠足に行けない年があったなら
  一緒に買った駄菓子、かなちゃんの部屋で食べたね
  先生やお母さんに見咎められることもなく、
  いっぱい一気に300円分お菓子を食べられるなんて
  あの頃は、夢のようだった。


       ……ま、そんなことは
       今はどうでもいいんだけど、さ。


 
(57) 2022/10/21(Fri) 16:49:27

【人】 未國 聖奈

 


 「 憶えてるよ 」


 これはお菓子のことじゃなくて、
 ビンゴカードのこと。>>51
 いつまでもいつまでも埋まらない項目のこと>>52


 「 …憶えてるよ 」


 もう一度だけ、噛みしめるようにそう言って。
 幽霊に叶えてもらうのはズルになるか。って
 その答えは保留にしたんだ。

 もう少し答えを悩みたい気持ちもあったし、
 かなちゃんの言葉は続いていたし

    何よりほんの少しだけ
    あたしこそ狡いお願いをしようとしている


 
(58) 2022/10/21(Fri) 16:50:09

【人】 未國 聖奈

 


 「 そうなんだ 」


 これだけはお願いをしないんだ、って
 かなちゃんが言うから、淡々とそれにね、答える。

 昨日来たメッセージだって憶えてるから>>3:=50

   みんなにボクのこと 忘れてさせて
   どこかに消えてなくなってしまいたい


 前向きでない可能性だって充分に、考えているよ。


 
(59) 2022/10/21(Fri) 16:50:40

【人】 未國 聖奈

 


 「 ……幽霊に叶えてもらうのは、
   ズルにはならないんじゃないかなって、
   あたしは、そう思うけどな。 」


 じゃあお願いしようよ、とか
 そういうテンションじゃなくてね。
 あたしは「行こっか」ってかなちゃんの手を取って
 歩きながら、そういう話をするつもり。
 行きたくなさげなら、止まったまま話すよ。


 
(60) 2022/10/21(Fri) 16:50:54

【人】 未國 聖奈

 


 「 例えば元気になるために、
   ものすごい腕のいいお医者さんに、
   ものすごいお金を積んで直してもらうのと。

   例えば元気になるために、
   ……これは本当にすごい病気の人とかが
   誰か元気だった人の体の一部を貰ったりするのと。

   例えば元気になるために、
   怖いけど勇気を振り絞って旧校舎に行くのと。

   例えば元気になるために、
   神社に100回通って毎日お賽銭して祈るのと。

   あたしね、全部変わらないと思うんだよ
   全部、自分の力じゃかなわないから、
   だれかに、お願いするの。

   治してくれるのが、お医者さんか、誰かほかの人の力か
   幽霊か、神様か。それだけの違い。 」

 
(61) 2022/10/21(Fri) 16:51:18

【人】 未國 聖奈

 


 「 あたしも願い事、決めてきたよ。 」


 
(62) 2022/10/21(Fri) 16:51:44

【人】 未國 聖奈

 


 「 あたしね、かなちゃんには傍にいてほしいよ 」


 
(63) 2022/10/21(Fri) 16:51:55

【人】 未國 聖奈

 


 「 でも、そばに居てくださいっていうお願い事だと
   かなちゃんがそばに居たくないです、って願ったら
   あたしもかなちゃんも、きっとお願い事は叶わない
   幽霊さんだって困っちゃう。

   かなちゃんが元気になってください、っていうお願い事だと
   かなちゃんが元気になりたくないです、って願ったら
   やっぱり幽霊さん、困っちゃうでしょう?

   それに、ビンゴカードは
   自分の意志で空けるものだと思うから

   かなちゃんが選んだ選択肢で、
   かなちゃんが選んだ願い事で、
   かなちゃんがどうするか、決めなきゃいけない>>3:144

   だから、あたしはかなちゃんの幸せも、
   あたしがかなちゃんと一緒にいることも、
   願えないなあ、って、そう思ったの。 」

 
(64) 2022/10/21(Fri) 16:52:33

【人】 未國 聖奈

 


 「 でも、あたしだってさ、
   そばに居たいよ、かなちゃんの。

   居なくなるのも、忘れちゃうのも悲しいよ
   打ち明けてもらえないのも悲しいし
   離れて行っちゃうのだって悲しい

   願いたいよ、かなちゃんの幸せも健康も、
   かなちゃんが、自分を好きになってくれることも

   全部。全部、願いたいよ。 」


     
── お願いごとはたくさんあるんだよ。



 
(65) 2022/10/21(Fri) 16:53:25

【人】 未國 聖奈

 


 止まって話していたのなら未だ昇降口。
 そうでないならだいぶ旧校舎の先まで進んだところで
 あたしはもう一度だけかなちゃんを見る


 「 だからあたしは、幽霊さんに、こう願うよ
   後悔しない、あたしが選んだ選択肢。 」


 短く、息を吸ってから。吐き出して。


 
(66) 2022/10/21(Fri) 16:53:52

【人】 未國 聖奈

 


   もしもそれが旧校舎なら
   もうすでにそこに、幽霊はいたかもしれなくて
   だとしたらこの声は、幽霊にも、届くように。


 
(67) 2022/10/21(Fri) 16:54:15

【人】 未國 聖奈

 


 「 かなちゃんがこれから願う願い事と、
   おなじことを、あたしにも、叶えてください 」


 
(68) 2022/10/21(Fri) 16:54:41

【人】 未國 聖奈

 


   ─── 幽霊さん、届いた?


 
(69) 2022/10/21(Fri) 16:55:05

【人】 未國 聖奈

 


 「 元気になれますように、
   みんなが自分のことを忘れてくれますように

   どんな願い事をかなちゃんがしたって、
   あたしは決して後悔なんかしないよ 」


 かなちゃんはどんな顔をしてたかな。
 あたしはまっすぐにかなちゃんを見て、少し考えて

 
(70) 2022/10/21(Fri) 16:55:17

【人】 未國 聖奈

 


 「 あ、でも

   ユメリンのライブチケット当たりますように。
   そんな願い事だったなら、

   あたしのチケット分は、
   誰かと一緒に行っていいからね。 」


 願うだけで2枚確保だよ。やったね。って
 ちょっとだけふざけて、笑うの。 **

 
(71) 2022/10/21(Fri) 16:55:33
未國 聖奈は、メモを貼った。
(a0) 2022/10/21(Fri) 16:57:11

【人】 未國 聖奈

 

── かなちゃんと ──


 あたしの足が旧校舎に向かうことはなかった
 かなちゃんが、その場で止まってしまったから>>227

 それからはじめて
 ── かなちゃんの主張を聞いた気がするの>>232

 そういう努力の部分が
 自分の力なんじゃないの?っていう指摘はさ
 きっと野暮だったから、そっと飲み込んだ。

 だって、この旧校舎に来るのだって、
 怖気づきながらも、それでも来たじゃない>>0:220
 それはかなちゃんの力だよ、って
 思ったけれど、続けなかった。


 
(255) 2022/10/22(Sat) 23:19:15

【人】 未國 聖奈

 


 全部の言葉を飲み込んだまま、
 あたしはかなちゃんの主張を聞いた

 だってそういう指摘に、きっと
 かなちゃんは否定の言葉を続けるんでしょう?

   そうじゃない、
   それは違う、
   ボクは、そう思わない、

   そんなの目に見えているもの。
   そのたびにかなちゃんが自分で自分を傷つけて
   またひとつ、気持ちがすれ違うことに、
   悩んで、後悔して、口を閉ざして

   それを今日は望んでるわけじゃない。


 
(256) 2022/10/22(Sat) 23:19:58

【人】 未國 聖奈

 


    ────── だけど。

    そんなことを、告げるなら。>>236



 
   昨日、大切な友人の前で見せた以上に、
   もっともっと、悲しい顔になったんだろうな


 
(257) 2022/10/22(Sat) 23:20:25

【人】 未國 聖奈

 


 「
違うよ



 ごめんね、かなちゃん
 あたしの口から出てきたのは、恐ろしく冷たい声
 きっとかなちゃんが好きなあたしの声じゃない


 「 かなちゃんは誤解してる。
   誰かのためにお願いしてるんじゃないよ 」


 かなちゃんのためにお願いするんじゃない。
 あたしが、あたしのためにお願いするんだよ。

 
(258) 2022/10/22(Sat) 23:20:53

【人】 未國 聖奈

 


 欲しいものはたくさんあったけれど
 叶えてもらう願い事はなかった
 あたしの少しのおせっかいは
 誰かのやさしさで、背負うことが叶わなかった

 だからせめて大切な幼馴染と、
                

 同じ願い事をしたい、同じようにいきたい
                


 そういう願い事だってこと、
 かなちゃんには伝わらないんだ、って
 ……こういうの、絶望っていうのかな。


 
(259) 2022/10/22(Sat) 23:21:27

【人】 未國 聖奈

 


 「 後悔しないわけないじゃん。
   でも消えるって、メッセージくれたから、
   じゃあ、一緒に消えたいと思ったの。

   どんな選択肢を選んでも後悔しないっていうのは
   そういうことだよ。分かってよ。

   誰かのために願ってるんじゃないの。
   あたしが、あたしのために願ってるの。

   一人は嫌だよ。
   かなちゃんと一緒に生きたいし、
   居なくなるならあたしも居なくなりたいよ
   ライブ一緒に行ってください、だったら
   布教されるよ、それでもいいよ

   あたしが生きて、
   かなちゃんが居なくなるなんて、
   後悔しかないから、こういう願い事にしたの。
   分かってよ。 」

 
(260) 2022/10/22(Sat) 23:21:57

【人】 未國 聖奈

 


 あたしの言葉が堰を切ったように流れ出す。
 あたしの想いが、願いが、本当の声が、

 ああ、そうか──
 もしかしてかなちゃんのお願い事は、
 幽霊さんに、届いているのかな>>239



 
(261) 2022/10/22(Sat) 23:22:10

【人】 未國 聖奈

 


 「 だからあたしの願いが変わることはない
   かなちゃんと同じ願い事を叶えてください。

   かなちゃんがやっぱりそれでも消えたいっていうなら
   あたしも一緒に消えるの。それがあたしの願いなの。

   かなちゃんがいっぱいしたいことがあるのなら
   あたしも一緒に、いろんなことをしたいの。 」

 
(262) 2022/10/22(Sat) 23:22:23

【人】 未國 聖奈

 


 「 かなちゃんの願いが ──────────
   本当のこえを聞かせてください、なら、 」


 
(263) 2022/10/22(Sat) 23:22:43

【人】 未國 聖奈

 


  ── 幽霊さん、今度こそ、聞いててね


 
(264) 2022/10/22(Sat) 23:23:13

【人】 未國 聖奈

 


 「 あたしも、お願いします。
   かなちゃんの、本当のこえを聞かせてください。 」 **


 
(265) 2022/10/22(Sat) 23:23:20

【人】 未國 聖奈

 


 「 かなちゃんにとってはずるいのかもね。 」


 あたしは短く言う。>>342


 「 ほかの選択肢が思いつかなかった。
   かなちゃんの願い事がわからない以上、
   かなちゃんと同じ道をたどる方法が他になかった。 」


 あたしの声が、震える。

 
(348) 2022/10/23(Sun) 14:07:15

【人】 未國 聖奈

 


 「 じゃあかなちゃんならどう願ったっていうの?
   かなちゃんがあたしだったら、どう願った?

   かなちゃんが先に願えばいいじゃないか、って?
   そしておんなじ願い事をすればいい?

   先に願って叶ってしまったら。
   その時には、あたしはかなちゃんを
   忘れてるかもしれないじゃん。

   一方的に居なくなって、忘れてほしい、なんて
   自分勝手すぎるんだよ

   どういうつもりでメッセージを送ったの?
   あたしなら許してもらえると思った?
   あたしがそういう願い事を持つなんてことを
   想像すら。してくれなかった? 」

 
(349) 2022/10/23(Sun) 14:07:28

【人】 未國 聖奈

 


 あたしの声はまだ怒っていて、
 まだ悲しんでいて、
 どうしたってすれ違うそれを、
 埋められないのだ、って気づいた。

 だってそれは
 あたしとかなちゃんのずるさの基準が
 多分圧倒的に違うから。

 やめてよかなちゃん
 あたしにかなちゃんを嫌いにならせないで


 
(350) 2022/10/23(Sun) 14:07:58

【人】 未國 聖奈

 


 こんなに話すつもりはなかった
 こんなに気持ちを届けるつもりはなかった

 旧校舎の幽霊は、きっとどこかで見てるんだよ
 かなちゃんの願い事は、叶ったんだよ。
 だからもう、この次はないのだ、って
 あたしは心のどこかで、分かってる。

 二度も叶えてもらおう、なんて都合が良すぎる。
 二度も叶えてもらったら、罰が当たるよね、きっと。

 
(351) 2022/10/23(Sun) 14:08:17

【人】 未國 聖奈

 


   でも、あたしの願いは叶っていないのかな
   かなちゃんの心の声は聞けていないのかな
   それとも、聞けたのかな。

   もう、……わからないや。


 
(352) 2022/10/23(Sun) 14:08:31

【人】 未國 聖奈

 


  ── そうだよ、かなちゃんが誘ってくれたから
     あたしは旧校舎に来たんだよ。 >>345

  願い事、たくさんあるけど、
  叶えて欲しい願い事なんてひとつもなかった

  ううん、今はもう全くないよ
  大切な人に気持ちも届かない、すれ違って、
  それでいて、もう、言葉にする気も失せた


    あたしの願い事は、
    大事な人にも届かない
    大事な人に、あたしの想いは
    願い事として認められることもない



 
(353) 2022/10/23(Sun) 14:09:08

【人】 未國 聖奈

 


 「 そうだね 」


 あたしはかなちゃんの
キレイな提案

 短く、答える。 >>347

 
(354) 2022/10/23(Sun) 14:09:29

【人】 未國 聖奈

 


 そして、ひときわ大きな声で言うのだ


 
「 この三日間のこと、何もかも忘れられたらいいのに 」



 ふたつ目の願い事を叶えてもらうのは、だめかな。
 ひとつ目の願い事が叶った保証もないから
 もしかしたら、なんて思うんだ。

 今度こそ、あたしはずるいね。
 昨日は絶対に願わない、と心に誓ったお願い事だ。
 あたしは今度こそ、あたしの心を守るためにお願いをする。


 清く澄んだ月影に、秘められることのない想いを告げて、
 あたしたちはその場を後にした。 **

 
(355) 2022/10/23(Sun) 14:10:40

【人】 未國 聖奈

 

── 夜 ──


 ふたつ目のお願い事が
 叶えられる保証はどこにもなかったけれど
 あたしは、それでも、
 何もかもリセットしたいって思ったんだ

 世良とのことも、かなちゃんとのことも、
 願い事、なんていう
があったからこそ、
 あたしたちの関係はきっとこじれた。
 こじれたなんて思っているのも、
 あたしだけかもしれない


 三日間に送ったメッセージは
 すべて、スマホから削除することにした
 グループを抜けなかったのは、
 それでもどこか繋がっていたかったから、
 そう思ってしまったからかもしれないね

 三日間、いろんな人といつもよりも話して
 いろんな人といつもよりも悩んで
 普段よりもずっとずっと大切な時間だった。

 ── それくらい、あたしにもわかるよ。
    わかるけど………… 辛いんだよ。


 
(356) 2022/10/23(Sun) 14:37:18

【人】 未國 聖奈

 


 ふと世良の言ったことを思い出す。

 
 人ならざるものに願う程の
  いくらの代償を支払っても叶えたい願い
  そんなもの、普通はないんだよ



 ああ、そっか。これが
 代償を支払っても叶えたい願いなのか、って
 家に帰ってから、思い出して、小さく笑うの。

 
(357) 2022/10/23(Sun) 14:37:39

【人】 未國 聖奈

 


 最初から、分かってたじゃないか。
 あたしの願い事は、最初からずっと変わっていなかった


  
『 あたしは、あたしで在りたい 』
>>1:-51


 欲だらけだけど願いのないあたし。
 かなちゃんのことを好きなあたし。
 友達と馬鹿やってばかりなあたし。
 あたしは、そんなあたしのことが好きだった。

 毎日、平和で、充実していて、幸せだった。
 そんな暮らしを、ただただ、守りたかったんだと思う。

 どこまでも、自分勝手なお願いごと。
 代償を支払っても叶えたい願い、あったじゃん。
 ……あたしにも。

 
(358) 2022/10/23(Sun) 14:38:03

【人】 未國 聖奈

 


   ……自分を優先しすぎて、
   罰が当たったのかもしれないな。


 
(359) 2022/10/23(Sun) 14:38:53

【人】 未國 聖奈

 


   深夜、あたしは高熱を出した

   普段風邪もひかないようなあたしが
   三日三晩魘され続けて生死の境を彷徨った

   それは、二度もお願いをした
   あたしへの代償だったのかもしれないし
   ただ単純に、運悪く
   流行り病にかかっただけなのかもしれない。


 
(360) 2022/10/23(Sun) 14:39:13

【人】 未國 聖奈

 


── 三日後・近くの市立病院 ──


 あたしが目を覚ましたのは三日後。
 あたしはぼんやりと、スマホを手に取る
 グループメッセージには相変わらず何か
 スタンプやらコメントやらが飛び交っていたかな

 最初にメッセージが送られているのは
 ちょうど、一週間前のことだ。


 窓の外を見る。
 秋晴れの空がきらきらと輝いていて

 あたしは、─── それを、写真に収める。 **


 
(361) 2022/10/23(Sun) 14:39:40

【人】 未國 聖奈

 


 幸い面会は許可されていた。
 どうやらあたしの熱は
 
他に伝染るような類のものではない
らしい

 もちろん他にも面会に来たい、
 っていうメッセ―ジが来てたら
 拒むことは一切なかったと思うんだ。

     思うところはいろいろあった
     とりあえずここではそれは置いといて…


 
(426) 2022/10/23(Sun) 18:54:30

【人】 未國 聖奈

 


 大木がやってきたなら
 あたしは笑顔でそれを出迎える。

 まるで何事も、無かったかのように。
 大木の目には、きっとあたしはそう映るだろう。


 
(427) 2022/10/23(Sun) 18:55:18

【人】 未國 聖奈

 


 
あの
三日間のこと、憶えてないんだ 」



 そういう言葉を大木が耳にするのは、
 病室に入って、暫く言葉を交わして、
 間もなくのことだったはず。 *

 
(428) 2022/10/23(Sun) 18:55:42

【人】 未國 聖奈

 

── 三日後・病室にて。大木と ──


 「 えーありがとー
   大木が!花!気が利く! 」


 ばかにしてるわけではない。
 決してばかにしているわけではない(二度言いました)。
 ちなみにあたしも花言葉なんて知るわけがない。

 そんなやり取りまで、以前までのあたしたちのまま

    あたしの指はスターチス変わらない心を撫でる。


 
(450) 2022/10/23(Sun) 20:15:41

【人】 未國 聖奈

 


 「 ……そ。憶えてないの。
   高熱が続いた後遺症だって、お医者さんは言うの
   短期間の記憶が飛んじゃうようなこと、
   高熱のあとは、ないわけではないんだって。 」


 あたしの表情はそこまで深刻には映らないだろう
 何せ文化祭のあとのたった三日間の記憶だけだ。
 ………少しぐらい、記憶がなくても、支障はない。

 ただ、そのあと少しだけあたしは顔を曇らせた。

 
(451) 2022/10/23(Sun) 20:15:57

【人】 未國 聖奈

 


 「 あたし、知ってるよ
   文化祭の後、旧校舎に行ったでしょ
   そこに、大木も居たんでしょ

   文化祭の前までは、記憶があるから
   誘われたこと、憶えてるし、
   あたしのスマホには、
   グループのメッセージがちゃんと残ってる 」

 
(452) 2022/10/23(Sun) 20:16:12

【人】 未國 聖奈

 


 「 何かを、願ったのかもしれない
   何も、願わなかったのかもしれない

   ……記憶がなくなったのは
   何かの代償なのかもしれない。

   でも、今となっては、
……… 、


  
……、


   わからなくても、いいのかな
   なんとなく、そんな気もするの。 」


 手元に握られたままのスターチスの花束に
 あたしは視線を落として言うんだ。

 言葉に滲むのは、諦観だろうか、悲しみだろうか
 それとも ──────────── 、


 
(453) 2022/10/23(Sun) 20:16:41

【人】 未國 聖奈

 


 「 何を願ったんだろうね。あたし 」


 すべてを振り払うように、努めて、明るく。 *

 
(454) 2022/10/23(Sun) 20:16:54

【人】 未國 聖奈

 

── 三日後病室・大木と ──


 「 ……そっか。
   願い事、しにいったんだね 」


 どんなに大木の言葉に耳を傾けても
 あたしが何を願ったのか聞くことはない
 大木が、言葉を選ぶのがわかるから
 あたしも、ひとつひとつ、言葉を選んでいく

 
        
………、



 丁寧に、あたしは適切な言葉を探す。
 あたしだって 記憶を失っていることに
 あまりこれ以上触れたくなかったから


 探して、探して、そうして「ああ」と
 言葉を見つけて、小さく呟いて。

 
(470) 2022/10/23(Sun) 21:03:14

【人】 未國 聖奈

 


 「 ……あたしは、何か大木の役に立てた? 」

  
 空白の三日間。
 あたしは、誰かの役に立てていたのだろうか。
 せめて見舞いに来てくれた大木くらいには
 何か役に立てていたらいいな、…なんて。
 
 
…………、


 ………あたしはね、思うよ。
*

 
(471) 2022/10/23(Sun) 21:03:43

【人】 未國 聖奈

 

── 三日後病室・大木と ──


 何処か緊張にもにた面持ちで、
 あたしは大木の言葉に耳を傾ける。>>486
 一言一句聞き逃すまいと、集中するけど
 集中する必要もなかったのかもしれない。
 だって大木の声は、いつだって大きいから。


 そうして返ってきた答えと笑顔に、
 あたしは硬くした表情をやわらげるだろう。


 「 ああ…よかった 」


 それはきっと心からの声だ。
 ──── きっと、あたしはその言葉を聞きたがっていた
 誰かの役に、立ちたかった。


 
(508) 2022/10/23(Sun) 21:47:10

【人】 未國 聖奈

 


 大木のすがすがしい笑顔に、
 あたしはもうひとつだけ、踏み込んでみようと思った。
 多分、聞いても許される。
 多分、聞いても あたしが傷つくことはない
 そんな気がしたんだ。



 「 ……大木は、願い事、できた? 」


 願わなかったんだ、って
 グループメッセ―ジとかに送られていたなら
 それはあたしが見落としているだけだ。

 大木の顛末をしらなかったあたしは、
 
勇気を出して、
踏み込んだ。 *

 
(509) 2022/10/23(Sun) 21:48:25

【人】 未國 聖奈

 

── 三日後病室・大木と ──


 「 そっか。 」


 穏やかな声に、ただ、頷いた>>514
 それはあたしのおかげだったらしいってこと、
 改めて、言葉にされて、少しだけ戸惑う。
 嫌な戸惑い方じゃない
 だけどそれを忘れている、という状態に、
 ほんのすこしだけ、心が痛んだ



 「 願い事なんて、
   急に言われても思いつかないよね。」


 あたしの返事は、あの日をなぞる>>0:570
 多分ね、あたしの顔はほんの少しだけ淋しそうに、
 大木に向けられていた。

             …………、

     その意味を、問われたとて
     あたしには、答えられないだろうけれど。 **


 
(517) 2022/10/23(Sun) 22:32:48

【人】 未國 聖奈

 

── 病室で・かなちゃんと ──


 ひとしきり大木と話した後だったかな


 「 ………あ、かなちゃん 」


 一瞬表情が固まって、それでもあたしはにこやかに笑う
 あの日、すれ違ってしまったことなんて
 微塵も思わせないような明るさで、
 あたしは、いつもの聖奈として、
 かなちゃんの目には映っているはずだ。
 花束はそっと、大木に手渡した。>>665


 
(667) 2022/10/24(Mon) 15:23:17

【人】 未國 聖奈

 


 意識が戻ってよかった、のあとに、
 すぐに記憶がないことを言おうと思ったけれど
 かなちゃんの言葉は間髪入れずに続いたね。>>642
 だからあたしは言う機会をその時は逃して、
 かなちゃんの言葉をきいて ──────


 「 え???そうなの??? 」


 と聞き返す。
 なんでだろう、と疑問が沸いた。
 キョトンとした顔で、あたしはかなちゃんを見ている

 
(668) 2022/10/24(Mon) 15:23:30

【人】 未國 聖奈

 


 あたしにはわからなかった。

 どうして高校をやめることが、
 誇れる自分になれるのか、ということ
 高校をやめたら、
 夢の向こう側に行ける、ということ

 それがどうつながるのか全く分からなくて
 
ましてやこの三日間は無かったことになっているから


 お礼を言われても、あたしは首を傾げただけ。

 
(669) 2022/10/24(Mon) 15:23:47

【人】 未國 聖奈

 


 「 そ、…っか。
   かなちゃんが選んだ選択肢で、
   かなちゃんが元気になるのなら。 」


 ビンゴカードは自分の手で開くもの。
 それはこの数日間を経ても経なくても変わらない。
 勇気を出して幽霊に頼むのか、そうでないのか
 どんな手段を選ぶかは別の話。


 
(670) 2022/10/24(Mon) 15:24:03

【人】 未國 聖奈

 


 「 えっ、待って 」


 去ろうとするかなちゃんをあたしは呼び止める。
 早くない?こっちの話何も聞かずに出てくの?
 近くに居た大木には曖昧に笑った。
 あまりに出てくのが早すぎるじゃんねえ、って。


 「 あのね
   あたし、旧校舎に行ったこと、憶えてないんだ。
   かなちゃんが誘ってくれてたでしょ。
   行けたら行く、なんて言って。 」


 あたしの中に確かに残る、文化祭よりも前の記憶。
 あの時、願い事なんて何もなかった。
 だけど大木の話によれば、あたしは何かを願ったらしい。

 
(671) 2022/10/24(Mon) 15:24:32

【人】 未國 聖奈

 


 「 あたしは。
   最初願い事なんてなんもなかったけど
   大木の話じゃ、三日間悩んで、
   ひとつ、願い事を決めることができたみたいなの 」


 皮肉にもそれは、かなちゃんに却下されたもの
 あたしが発した“三日間悩んだ”という言葉は
 かなちゃんにどう伝わるのかは… わからないな。


 
(672) 2022/10/24(Mon) 15:24:57

【人】 未國 聖奈

 


 「 ………かなちゃんの。気持ちは。
   旧校舎で、伝えることができたかな。 」


 そうだね。幽霊に、という意味だね。
 だけど、あたしが“誰に”という主語を省いたせいで
 また、それもどう響くのか… これもわからないね。
*

 
(673) 2022/10/24(Mon) 15:25:06

【人】 未國 聖奈

 

── 数日後・小鳥遊 ──


 これはさらに数日後の話。
 文化祭が終わってからはもう10日から二週間、
 随分と長い間休みをもらってしまったと思う

 謎の高熱も、短期記憶の欠如も、
 医師の検査や診察からはなにもわからず
 まあそのうち思い出すでしょう、という雑な判断で
 すっかりぴんぴんしているあたしは退院に至る。

 多分そのころには、
 3Aには入院していることは広まっているし
 仲良しさんには、記憶がないことも打ち明けている

 
(679) 2022/10/24(Mon) 19:50:58

【人】 未國 聖奈

 

 今日はそんな退院の日。
 市民病院だから、別の用事で彼は現れたのかもしれない
 それともあたしのお見舞いに来てくれた?


 「 あっ 」

 
 まだベッドサイドにはスターチスの花が咲いている
 そっと前髪を指で整えてから
 あたしは、扉を開けてくれたその人に言う

 ─── 小鳥遊大地。
 当然あの三日間の彼との記憶は、ない。


 
(680) 2022/10/24(Mon) 19:51:08

【人】 未國 聖奈

 

 
 「 今日ね。退院なんだ 」


 すっかりあたしの顔は晴れやかで、
 文化祭前と、変わらない表情をしていただろう。


 「 ……誰かから聞いた?
   あたしね。記憶喪失なんだよ 」

 大木や大槻あたりから聞いたかな。
 それとももしかして知らなかった?
 知らなかったのなら、かいつまんで経緯を説明して。


 「 大変だったみたいだね、三日間 」


 他人事みたいに、そんなことをいう。
 
 
(681) 2022/10/24(Mon) 19:51:20

【人】 未國 聖奈

 


 ──── だけど


 「 小鳥遊にとって、三日間は長かった? 」


 こんなことを聞いたのは、どうしてだったかな。 *

 
(682) 2022/10/24(Mon) 19:51:30

【人】 未國 聖奈

 

── 病室にて・かなちゃん ──


 あたしはかなちゃんの話を聞いている。>>678
 かなちゃんは本心を伝えてくれたんだ
 その言葉を聴けば、
 あたしはホッとした表情を見せただろう

 悲しませた、苦しませた、
 そんな言葉には曖昧に微笑んでおいた

    
    …そうだね。
    もう傷ついてないよ。
    そういう風に伝わればいいと思った

    それをかなちゃんが願うなら。
    それでかなちゃんが楽になるなら。


 
(685) 2022/10/24(Mon) 20:29:52

【人】 未國 聖奈

 


 そんな風に考えたあたしの見立ては
 正しかったのかどうかすらわからない。



 
(686) 2022/10/24(Mon) 20:30:05

【人】 未國 聖奈

 

 かなちゃんは言葉を選ぶ。
 選んだ結果、上手く言えなかったみたいで
 それも、かなちゃんらしいな、とあたしは思う>>684

 かわいいかわいい幼馴染。
 ごめんなさい、で言葉を締めるかなちゃんに
 あたしは首を横に振る。


 「 あのね。
   三日間のことも、
   そこで何があったのかも、聞かない。

   でも、かなちゃんのゆめが叶ったら
   あたしも一緒にお祝いさせてほしい。

   応援してるよ。かなちゃん。 」


 今のあたしにできるのは、それだけ。
 一緒に夢を見るくらい許されるでしょう?って>>0:542

 きっと。いつもの未國聖奈の顔ができているはず。*

 
(687) 2022/10/24(Mon) 20:30:42

【人】 未國 聖奈

 


── 退院前・小鳥遊 ──


 「 わーい飴だー 」


 子どものように喜んで、
 そうやって受け取ったのはいちご>>706
 あとで舐めよーってポケットにしまう。
 ちなみにマロンラテ味は不味いらしい。
 マロンラテ味じゃないといいなって思ってるけど神のみぞ知る


 小鳥遊の言葉は、ひと言だった。>>709

 三國が言った通り。
 小鳥遊の言葉に、あたしは少し視線を伏せる。

 
(732) 2022/10/24(Mon) 21:06:52

【人】 未國 聖奈

 


   そうだね。魂を投げ出すな、って言った。>>710
   あの時は、何かのために命を賭けるなんてこと、
   ありえない、って思っていたから。

   それでも結果的にあたしは記憶を投げ出した。
   誰かのためじゃない。
   ほかならぬあたしを守るために。

   小鳥遊に相談していたら、
   何か未来は違っていたのかな。

   ……あたしの知らないあたしは、
   そんなことを、こっそりと、思うよ。


 
(733) 2022/10/24(Mon) 21:07:23

【人】 未國 聖奈

 


 「 そっかぁ。短かったかあ 」


 ぽつ、と溢す。
 憶えているわけじゃないあたしは
 適切な言葉を探す、選ぶ、
 そして何も言えなくなって、押し黙る。

 
 「 ……でも、そうだね
   小鳥遊が生きていて、良かった 」


 なんとなくそんなことを思ったのはさ、
 ときどき、本当にときどき。
 小鳥遊がどっか遠くに行っちゃうような、
 そんな気がしてならなかったから >>1:521

 
(734) 2022/10/24(Mon) 21:07:50

【人】 未國 聖奈

 


 あたしは、小鳥遊が案外
 自分の優先順位が高いことも
 それでいて、最上位じゃなかったことも憶えてない

 だからこそ、これは、本心だよ。
 居なくならないで、欲しいんだよ。

 尤もそれは、
 ……覚えていたとしても、だけど。



 
(735) 2022/10/24(Mon) 21:08:52

【人】 未國 聖奈

 


 そのあときっと、あたしは日常に戻るよ。
 もう、片道切符は貰ったから、あたしは、戻れるよ。*


 
(736) 2022/10/24(Mon) 21:09:06

【人】 未國 聖奈

 

── 見舞い・世良 ──


 大きなくしゃみが出た。
 誰かあたしのことを噂してるんだろうか。>>715
 それもこう、なんか
太字
とかそういう…
 
太字?あたしは何を言ってるんだろう。


 世良が、騒々しく部屋に入ってきたのは
 それから間もなくのことだった。>>717


 「 そっかー
   寒くなってきたもんねー
   アイスの季節だねー 」


 決して棒付きだったから棒読みだったわけではない
 決して違う。断じて。
 でもあたしの手はちゃっかりアイスを受け取った。
 その合間にひとつだけ深呼吸したのは、
 世良には気づかれてなくていい。


 
(751) 2022/10/24(Mon) 21:28:58

【人】 未國 聖奈

 


 「 おかげさまで十分サボらせてもらってるよ
   でもこのままだと期末やばいなって思ってる 」


 アイスをひと口かじりながら
 あたしは何気ない調子で世良に言う。
 何も変わらない。文化祭前の、あたしの姿だ。

 世良があたしの記憶喪失を知らないのなら
 どうしてこんなに普通にしてられるんだろうって
 戸惑うレベルで、いつものあたしだったかもしれない。

 
(752) 2022/10/24(Mon) 21:29:10

【人】 未國 聖奈

 


 「 世良、きいた?
   あたしさ、記憶喪失になっちゃった 」


 それも三日間だけ。
 世良の顔色をうかがいながら、
 なんでもない風を装って、そんなことをいう。
 アイスを持っていない指は堂々と3を作って見せた

 
(753) 2022/10/24(Mon) 21:29:21

【人】 未國 聖奈

 


 「 高熱のせいなんだろうけど
   もしかしたら、そう願ったのかな
   それとも代償に取られちゃったのかな
   わかんないけど。 」


 ………どれでもいっか、って付け加えてから
 世良の反応を見て、そうだなあ。って溢して。


 「 でもね、もし。
   あたしが望んで記憶を喪ったんだとしたら

   ……あたしね。
   取り戻したかったんだと思うことにしてる。
   今までのあたしを。今までの生活を。 」


 だからきっと後悔なんてしてないと思うよ。
 そんなふうに、言うの。

 
(754) 2022/10/24(Mon) 21:29:36

【人】 未國 聖奈

 


 食べ進めたアイス、
 その棒に描かれていたのは ──── ハズレ

 確率は25%。

 ハズレてたら、また今度買いに行けばいいよね。
 これからめっちゃ寒い時期が来るけれど、
 逃げる目的じゃなくったって、一緒にサボるくらい、
 またきっと、付き合ってくれるでしょう?

 当たってたら、そうだなあ。
 今日の運は、使い果たしちゃったかも。 *


 
(755) 2022/10/24(Mon) 21:29:49

【人】 未國 聖奈

 


  あたしはスターチスの花変わらない心>>450 を撫でる



 
(778) 2022/10/24(Mon) 22:11:27

【人】 未國 聖奈

 


    そう、
  
    花言葉は ─────────────────
    
花言葉は ─────────────────



 
(779) 2022/10/24(Mon) 22:11:47

【人】 未國 聖奈

 

   ……。

 
(780) 2022/10/24(Mon) 22:12:20

【人】 未國 聖奈

 


    ねえ知ってる?
    憶えていないことに対して
    
“あの三日間”
なんて表現、しないんだよ>>428



 
(781) 2022/10/24(Mon) 22:12:34

【人】 未國 聖奈

 


  ………答え合わせ、しよっか。



 
(782) 2022/10/24(Mon) 22:12:59

【人】 未國 聖奈

 


 記憶にもないのに、
 あたしは空の写真を送るのを躊躇ったりはしない>>=20

 言葉に滲んだのは諦観でも悲しみでもなく
 
このまま忘れていよう
というあたしの決意だった>>453

 いつそれがぼろを出すか、怖かった
 だから、その話を、どうしても避けたがった>>470
 
 せめて大木の役に立てていたらいいな>>508
 あたしは、世良の役にもかなちゃんの役にも
 ましてや自分の役にさえも、立てないから>>471

 
自分の願い事
すら叶えてあげられなかった
 あたしの記憶は失われることなくここにある


 
(783) 2022/10/24(Mon) 22:13:38

【人】 未國 聖奈

 


 大木は、何も願わない、と言ったね。
 それが嘘でなかったことを確認したくて
 あたしはあの日、勇気を出した。>>509

 本当は
叫び
たかった
 あたしだって。願いたいことがあったんだ。
 だけど願わせてすらもらえなかった。
 最後の願いも届かなかった。

 
だって旧校舎にはいなかったから


 そんな心の内側の叫びを隠して、
 あたしは大木に淋しそうな顔を向けるに留まった>>517



 
(784) 2022/10/24(Mon) 22:14:02

【人】 未國 聖奈

 


 小鳥遊とのやりとりだって、
 全部、もちろん覚えているんだよ。
 全部言えたらどんなに楽かって思って、
 あたしはあの時視線を伏せた。>>732

 あたしは想像しながら語る。
 あたしの知らないあたし、ではなくて>>733
 あたしのことを知らないあたし、に想いを馳せて。

 適切な言葉を充分探した。>>734
 だけどなにも語らなかった頃のあたしと小鳥遊の
 やり取りがもう思い出せなくて何も言えなかった

 惜しんでくれたほんの数分。>>710
 あたしは本当に大切だったんだな、って気づく。

 手放したことにするのが、こんなにも辛いなんて。

 もちろんあの時の言葉は本心。
 尤もそれは憶えていたとしても、ってモノローグ>>735
 ……きっとこれが小説か何かだったら、流れてる。


 
(785) 2022/10/24(Mon) 22:15:02

【人】 未國 聖奈

 


 でも、世良に会ったときは危なかったな
 ちゃっかりアイスを受け取ったとき、
 思わず表情に滲んでしまいそうで、
 あたしね、深呼吸で胡麻化した>>751

 もちろん世良からのアドバイスも憶えてる。
 そう、忘れちゃえばいいんだよね。
 憶えてたからこそ、世良の顔色を窺った>>753
 
 ……あたしさあ。世良とサボるの、楽しかったよ
 世良の役に立てなかったのは残念だけど、
 世良のおかげで、願い事を見つけることもできた
 本当にそれは感謝してるし、


 
(786) 2022/10/24(Mon) 22:15:46

【人】 未國 聖奈

 


 ……アイス。受け取った時点で、
 もうすでに、楽しかったなあ。こういうやりとり、って
 どうしたって……元通りにしたかったよ。


 
(787) 2022/10/24(Mon) 22:16:17

【人】 未國 聖奈

 


 だからね。伝わればいいと思った。
 記憶を喪ったのは、あたしが望んだからなんだって>>754
 誰かに傷つけられたとか、悲しい思いをしたんだとか
 そうじゃないんだよ、って。

 
そういう風に
伝わればいいと思った。

 ましてや世良のせいなわけじゃないのは事実だからさ
 俺のせいでもしかして記憶失った?なんて
 ……ときどき世良、ナイーブだからさ。
 
 あたしが望んだ。
 今までのあたしに戻りたかった。

 せめてそういう風に伝わればいいと思った。
 …………伝わったかな。
 
 だってまた一緒にサボってほしいじゃん。>>755
 え?世良には大切な人がいる?
 じゃあその人が男女の友情認めてくれれば、って
 心の中で付け加えとくね。


 
(788) 2022/10/24(Mon) 22:16:41

【人】 未國 聖奈

 


 かなちゃんの姿を見たときも
 一瞬だけ、表情が固まってしまった。>>667
 あたしも、しまった、と思った。

 そのあとは努めて明るく。
 あたしは、何も覚えていないのだ、というふりをした

 この三日間は
無かったことになっている
>>669
 ううん、憶えていたって、かなちゃんの提案は突飛で
 それが全然彼女の未来にどうつながるのか、
 あたしにはさっぱりわからなかった。
 これは、かなちゃんを理解しきれてなかったせい


 だけどかなちゃんを応援したい気持ちは
 ずっと変わらなかったんだよ>>687
 どんなことがあったって。



 
(789) 2022/10/24(Mon) 22:17:12

【人】 未國 聖奈

 


 心の声がこぼれた>>672
 せめて、かなちゃんの声は
本心
だったんだ、って
 あたしは、それだけでも、聞きたかった>>673

 本心を語ってくれたらしいこと、
 それだけは安堵した。>>685

 もちろん。
 本心の内容すべてを、未だ受け止められる心の広さはない
 あたしのことを理解してくれなかったことも、
 あたしを全否定したことも、忘れるわけなんてない。
 本心を知ったことで、
 あたしは無かったことにしようと決めた。

 だから今のあたしがある。


 だけど、本心を語っていたのだとしたら
 かなちゃんは「願いが叶った」んだって
 思い込むことができる>>675
 あたしの願い事も叶った、って騙されていてくれる。

 それでいいんだよ。


 
(790) 2022/10/24(Mon) 22:17:55

【人】 未國 聖奈

 


  聖奈は、もう傷ついていないんだ、って
  そう思っていてほしかったの

  この場所が、笑顔の絶えない場所だったんだ、って
  ずっと信じていてほしかったの >>763



 
(791) 2022/10/24(Mon) 22:18:10

【人】 未國 聖奈

 


 優しかったんじゃない>>-1155
 自分の願い事は、憶えているからだよ
 せめて、かなちゃんの本心であったことを
 信じたかったからだよ。

 互いに言葉にしないそれは、
 お互いに伝わることがない



 
(792) 2022/10/24(Mon) 22:18:22

【人】 未國 聖奈

 


  だけど全部、エゴだったのかな
  忘れたふりをするのは勝手だったのかもしれない>>678
  そう気づいたって、もう取り返しはつかなかった



 
(793) 2022/10/24(Mon) 22:18:37

【人】 未國 聖奈

 


  あたしの見立ては
  正しかったのかどうかすらわからない。>>686



 
(794) 2022/10/24(Mon) 22:18:55

【人】 未國 聖奈

 


   伝わってるよ >>765
   かなちゃんの気持ち。

   知ってる?何度も言うよ。
   伝わったからこそ、
   理解してもらえていないことに、
   あたしは絶望しているんだよ。

   いつか話すね、なんて
   残酷なことを、かなちゃんが言うから>>684
   あたしは、あの日のあたしには絶対戻らない。>>765


 
(795) 2022/10/24(Mon) 22:19:21

【人】 未國 聖奈

 


   あたしね。
   こうでもしないと生きていけなかったんだ>>-913

   エゴだとしたって、守りたかったよ
   本当に願い事が叶うって思ってたよ

   あたしは二度も絶望したんだよ。
   一度目はかなちゃんに伝わらなかったこと。
   二度目はあたしの記憶が残っていたこと。


 
(796) 2022/10/24(Mon) 22:19:39

【人】 未國 聖奈

 


   だからせめて、忘れるふりをして生きていこうって
   あたしは、決めたんだ。

   あの時、他でもないあたしが望んだあたし
   あたしの唯一の願い事。
   最初から最後まで、一番大切にしたかったもの。
   ごめんね、やっぱり自分勝手かな。

   誰かのための願い事なんかじゃない。
   あたしは、あたしを大切にしたいの。

   それを守るためなら、
   幽霊に願い事が届かなくったって、
   代わりにあたしが願い事をかなえてあげるんだ。



 
(797) 2022/10/24(Mon) 22:19:56

【人】 未國 聖奈

 


  あたしが撫でていたのはスターチスの花途絶えぬ記憶>>450

  それを手にして、あたしはまた日常へ戻っていく**



 
(798) 2022/10/24(Mon) 22:20:08
 




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大木慎之介
53回 残----pt

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35回 残----pt

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