68 【身内】空想模倣機体は駒鳥達の夢を見るか?【R18G】
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| >>116 >>117 ヌンキ キファとサダルとはお別れになるかもしれない。 でも、”無かったこと”にはならない。 キファとサダルはちゃんと此処に居た。 あなたの祈りによって結ばれた愛は、 成就と言えるのだろう。 その愛はきっと、悪いことじゃない。 「吾にとって、おまえは。血の通った人間だ」 きっと、これが二人の別れになるのだろう。 ”恋を知ったヌンキ”も。『キファ』も。 いずれはいなくなる。 キファには帰らねばならぬ場所がある。 → (131) 2021/05/01(Sat) 0:42:58 |
| >>116 >>117 ヌンキ でも。悪くなかった。 団結力の無い会議で、3人で必死に進行を担当したことも。 がんばり団、なんて妙なネーミングで活動したことも。 ヌンキと密やかに耳打ちをし合ったことも。 花を送ったことだって。 全部全部、忘れたりなんかしない。 記憶処理。 だから何だというのだ。 意地でも思い出してやる。 そんなもの覆せるって、あなたが教えてくれた。 ──さあ、さよならだ。 「ありがとう。 おまえと会えて良かった」 (132) 2021/05/01(Sat) 0:44:10 |
| >>113 >>114 サダル 「阿呆。吾は吾だ。中の人に何と言われようが── 吾はおまえとえっちが出来る」 ……閑話休題。 号泣するサダルをよしよししながら、 近場から紙を手に取り、何かをメモする。 「しょうがないな。吾は秋葉ではない。 だが、サダルがあんまりにも甘えん坊だから、教えてやる」 差し出されたメモには、何かのIDが書かれている。 現実世界の記憶を取り戻したあなたなら、 それが某メッセージアプリのアカウントであることを 理解できるだろう。 「……仕事用ではなく、私用の連絡先です。 僕にしては珍しいんですよ。感謝してくださいね」 記憶については、 ブラキウムが”お手伝い”してくれるそうだ。 けれども、あなたは生死を彷徨う現状。 はたして連絡が出来るかどうかは、定かではない。 でも、"無いよりはマシ"だろう? 「存外、吾の面影が有るかもしれんな?」 (194) 2021/05/01(Sat) 15:05:45 |
| >>138 ルヘナ ──びくり、と肩が跳ねる。 こんなことをしでかす人物など、 キファには一人しか思い浮かばない。 「ルヘナ。 おまえ、もう少し普通に登場することは 出来ないのか?」 口にしてから、苦笑した。 知っている。 ルヘナという男は、刺激を好む質である。 気の利く茶の差し入れに にぃ、と口の端を吊り上げると、 問いに答えた。 「今が最も忙しないかもしれんな。 墓の下は、存外退屈だったのだ。 何も出来なかったから」 早速カップの片割れを手にすれば、 熱い液体で舌を濡らす。 「さて。ここ数日で様々な騒乱が有ったのは おまえも知っての通りだ。 ……どうだった? おまえの退屈は、満たされたか?」 (235) 2021/05/01(Sat) 20:32:09 |
| >>149 ハマル 「うむ、僥倖! 川のせせらぎも好ましいが、 海の雄大な大らかさもまた良いというものだ」 キファは、大きく頷く。手は握られていた。 不安な仕草を感じれば、包み込みようにぎゅっと握るのだ。 でも、ハマルは今わくわくしている。 期待で膨らむ胸から、持ち上がった口角から。 熱い掌から、それが分かる。 「ああ、行っておいで」 引っ張れば、そのままキファは着いてくるだろう。 (252) 2021/05/01(Sat) 22:06:15 |
| >>210 サダル 「夢見路 沙羅。綺麗な名前ですね。 改めて。秋葉 義一(アキバ-ヨシカズ)です。 以後お見知りおきを──」 何を言ってるんだこいつ……みたいな目で見てきた。 秋葉はオタク心が分からない。 「はい、これで満足か? ……今は吾だけを見てくれ。な?」 キファは、サダルの腕に絡みついた。 甘えるように、名残惜しむように、 頬をあなたの腕に擦りつける。 「サダル。キスして」 唇に、もう一回。 「それでお別れだ」 (258) 2021/05/01(Sat) 23:06:01 |
| >>263 ルヘナ 鋭い皮肉を一笑で蹴り飛ばす。 「……ふ。意外だな。 以前こうしてお喋りをした時は、 意味も、価値も、意義もそこに見出せないと、 嘆いていたのに」 引き摺り出されたか。 キファは胸中で独り言ちる。 この事件は、人の本性を、本当の願いを露にした。 色とりどりの演者達は、 あなたのまっさらなキャンバスすらもきっと、 彩ったのだろう。 だけれど、その殆どは、まだ空白で埋まっている。 だからこそ、彼は自ずから手を伸ばす。 この数日間で初めて齎された、彩りを。 → (289) 2021/05/02(Sun) 15:22:05 |
| >>263 ルヘナ 「今。死した者はみな蘇り、一先ずの大団円と言えよう。 だからこそ、こう言える訳だが。 ……あぁ、満たされた」 カップに揺れる水面を見下ろす。 実のところ、キファの性質はルヘナと似ていたのだろう。 ただ、生に執着していただけ。 人の範疇から昇華しかけた心は、 情熱を無くしていた。 表情豊かに見えていたのなら、 きっとそれは、殆どが演技だ。 思い出させてくれた。人らしさを。 有象無象の、取るに足らない、ちっぽけな人間。 迷い、葛藤し、慟哭し、藻掻く。そんな人間らしさを。 俗物性に、汚されたのだ。 → (290) 2021/05/02(Sun) 15:22:50 |
| >>263 ルヘナ 「キファの物語はもうすぐ終いだ。 ……十分だ。十分過ぎた。 これ以上、彩る必要も、汚す必要もないだろう」 美しい日々は。鍵を掛けて、胸の奥に仕舞っておこう。 ”彼”には、帰る場所がある。 思い出なんて言葉、少し寂しいけれど。 いつかまた迷ったときに、自らの道を指し示す標となる。 ”天啓”になんて頼らずとも。己の過去が、教えてくれる。 「互いに。求めるものを、 どこかで手に入れて来てしまったようだな? ……それで良い。 吾の色だけのキャンバスじゃ、きっと退屈だ」 カップの縁を撫でる。 「結局、腰を落ち着けて話せたのは、 全てが終わった後になってしまったが。 ──それも、好ましいだろう? 素敵な舞台の後に、感想を述べあうような。 茶飲み友達としての関係って。 何だかとっても、吾等らしいじゃないか」 (291) 2021/05/02(Sun) 15:30:54 |
| >>272 サダル この瞬間、声なんて要らなかった。 そんなことしなくっても、言葉は届くから。 お喋りの為の唇は、塞がれてしまった。 本当は全部奪ってしまいたい。 あなたの躰も。心も。 あなたがいつか、別の何かに向けていた恋心も。 あなたにとっての幸せも。 全部。 でも許してあげる。 キスしてくれたから。 熱い体温。柔らかく濡れた唇。 たった一つのキスだけで、許せてしまうのだ。 → (302) 2021/05/02(Sun) 19:03:27 |
| >>272 サダル もうこの温もりは、永遠に手に入らないのだろう。 後ろ髪を引く想いを噛み殺して、 唇を離す。 またねは無い。 キファは一度強く瞑目して、 涙を堪えた。 明るい別れがモットーだ。 「ここまで吾を狂わせたんだ。 ”吾”のこと、忘れてくれるな」 一歩下がって、振り返る。 キファは笑っていた。 「ではな」 (303) 2021/05/02(Sun) 19:04:36 |
| >>297 >>298 ルヘナ 「悪くなかろう?」 今日は、茶菓子を持ってきてはいない。 だけれど。この会話が、何よりの興となろう。 「確かに口惜しいな。 ……だが。吾はきっと、一期一会に留めることを、 選べてしまうのだろう」 だからこそ。この時間が愛おしい。 ポットを差し出されれば、 こちらもカップを差し向けて答える。迷いはしない。 砂時計代わりの紅茶が注がれれば、さあ、茶会の続きだ。 → (321) 2021/05/02(Sun) 23:11:48 |
| >>297 >>298 ルヘナ 「ああ、でも。 おまえ、ホワイトボードに『向こう側』での名を 書いていたな、吾も見かけた」 「もしかしたら。いつかどこかで、 ”向こう”の二人が出会うことも有るかもしれない」 例えば、"orion"の記録復元の手段を持つ Brachiumに、情報の提示を求めたなら、どうだ。 そこに、”あの”如月ルヘナの名が書かれていたら。 可能性はゼロじゃない。 「でも、それは『キファ』と『ルヘナ』に。 近いようで、きっと遠いのだ。 どんな事実が暴かれようとも。 吾にとっての現実は、此処なのだから」 → (323) 2021/05/02(Sun) 23:14:33 |
| >>297 >>298 ルヘナ きっとこの二人の歓談は、 『舞台』の上にあるものじゃない。 劇を終えた役者が、楽屋で今までを振り返るような。 或いは、観客がエンドロールの後に シアターで語り合うような。 そういうものに、似ている。 時間の流れを噛み締めるのに、きっと必要なことだ。 二人にはまだ、会うべき人や、 行くべきところがあるのだろう。 けれど。今はただ、茶を楽しもう。 緩慢な時間の使い方も、きっと今の二人には丁度いい。 → (324) 2021/05/02(Sun) 23:15:22 |
| >>297 >>298 ルヘナ 「うむ」 「吾が淹れるよりも、ずっと美味い」 これは。──そんな、いとまの話。 (325) 2021/05/02(Sun) 23:16:12 |
| >>メレフ さて、此処はどこだろう。 談話室? 或いは、皆で何度も集まった会議室かもしれない。 どこだって構わない。 「わっ」 キファは、メレフの背に声を掛けた。 ルヘナリスペクトである。 「やあ、メレフ。数日振りだな」 エピローグの訪れによって、死した人々は蘇った。 キファも、その一人である。 (327) 2021/05/02(Sun) 23:28:17 |
| (a122) 2021/05/03(Mon) 10:24:23 |
| >>329 ハマル ざぷり、ざぷり。 波を掻き分ける音。 浅瀬から少し遠くで潜ったあなたに、 白い手が差し伸ばされる。 それは這い上る亡霊の手でも、なんでもない。 キファの手だ。 潜るあなたを、掴み上げる手だ。 「ハマル」 水面から声が掛かる。 「覚えているとも。おまえの言葉。 ……ちゃんと、掴んだぞ?」 (356) 2021/05/03(Mon) 10:41:10 |
| (a123) 2021/05/03(Mon) 14:43:06 |
| >>363 メレフ キファはむくれた。 ノリの悪いやつめ。 「人の弱みを弄ぶでない。 ……存外、平気なものだな。 いや、寧ろ。この世界の真実を知ったからこそ、 なんだかすっきりした心地だ」 意地の悪い問いに、意趣返しをしてやる。 「おまえこそ、お嬢はどうなったのだ。 全て、”設定”だったそうだぞ?」 (366) 2021/05/03(Mon) 15:31:23 |
| >>367 ハマル 「何、おまえに海を見せたかっただけだ」 恰好を付けた。 半分ほんとうで、半分嘘。 最初は、ただの気紛れだった。 でも、この激動の数日間を過ごすうちに、 いつしか絶対に違えたくない約束になった。 年甲斐もなくびしょ濡れになった民族服を つまみあげながら、笑う。 「暫く遊んで行くか」 → (397) 2021/05/03(Mon) 20:42:03 |
| >>367 ハマル ──それから二日ほど、海沿いの街に滞在した。 海岸の朝日は格別で、頑張って早起きして見に行った。 貝殻を集め、ハマルにネックレスを作って貰ったりもした。 それから来た時と同じように、 時間をかけてレムノスの街に戻る。 何もかもから解放された、きままな旅だった。 帰ってきたレムノスの街は変わらず賑やかだった。 けれど以前より、少しだけ寂しかった。 件のアナウンスから数日が経過していたから。 もう既に、帰ってしまった旅人も居たのかもしれない。 → (399) 2021/05/03(Mon) 20:57:52 |
| >>367 ハマル 「頃合いだな」 星見杯亭の談話室で、 ハマルと旅の思い出話を語り合っているとき。 キファはふと、そう切り出した。 「吾はそろそろ、”行く”」 「吾はキファである。 キファにとっての現実は、此処だった。 吾は確かに、233年を生きていた。 ……だが。 『秋葉義一』には、帰らねばならぬ場所がある。 『キファ』という人生は、終わるのだろう」 キファは、覚悟をしている。 ……それはきっと、”死”程に冷たいものでは、ないのだろう。 例えるなら、生まれ変わりに近いのかもしれない。 「……最後におまえと、海を見れた。 約束を全部果たせたのだ。……良かった」 キファは、にっこりと笑った。 永い旅だった。 今度の旅の目的地は、ずっと遠い。 (412) 2021/05/03(Mon) 21:46:34 |
| >>386 メレフ 「……無論。 くく。吾のカマかけも、空振りはしなかったようだな」 後に続く言葉で、メレフがテスター側であることを 確信する。 「吾もだ。前世の記憶を取り戻した、という感覚に近いか。 うむ。おまえがそう思ってくれていて、よかった。 233年生きた吾の立つ瀬にもなると云うものだ」 やっぱり似た者同士だったのだろう。 割り切り方も。”今”の在り方も。 → (429) 2021/05/03(Mon) 23:22:55 |
| >>386 メレフ 「どうだ。 こんな神の御業を見せられたんだ。 ならば逆に、”それに至る手段”も存在するということだ。 人間が、神に等しき仙人になれるように。 死者蘇生だって。今では不可能ではあるまい?」 それは、今あなたの眼前に立つ少女が証明している。 キファは揶揄うように軽く首を傾げて、 少女みたいに愛らしく笑って見せた。 「何、これはただの意地悪だ。 本気だったのだぞ? 吾は。 敢え無くフラれてしまったが──あぁ、”共同研究”の話だ」 『別に独り占めになんてしないのに』、そう続ける。 どうやら少女は、あなたのことを同類として 結構気に入っていたらしい。 さて、本題は此処からだ。 「おまえはこれから、どうしたい?」 (430) 2021/05/03(Mon) 23:25:15 |
| >>431 ハマル 「うん……、うん」 ハマルの抱擁を受け入れる。 背中に手を回す。 数日振りの抱擁は。 小さくて、思ったよりも大きくて。 ……温かかった。 キファはハマルに、 ”連絡先”を渡さなかった。 ハマルの前では、ずっと、『キファ』で居たかった。 → (441) 2021/05/04(Tue) 0:17:06 |
| >>431 ハマル ああでも、どうだろう。 ホワイトボードに記されたハマルの連絡先を、 このプレイヤーは覚えている。 だから。"proxy"を脱出した後。 その記録を確認した『秋葉義一』が、 『日辻春』に連絡を取ることも、あるかもしれない。 未来の話だ。誰にも予測できない。 良い意味でも。 「吾もだ。 ──実に好い人生だった!」 これで悔いなく行ける。 ”天啓”を得る必要は、もう無い。 標はちゃんと、ここに在る。 「ありがとう、ハマルよ! おまえの旅路に、祝福が有らんことを!」 → (442) 2021/05/04(Tue) 0:18:43 |
| >>431 ハマル それが、お別れの代わりだった。 「さよなら」は言わない。 また会う約束をひとつ、交わしたから。 ハマルの言う通り。 『キファ』が『ハマル』に会うのは、 これが最後になるのだろう。 ……綺麗な海だった。 233年の人生の中で、一番綺麗な海だった。 キファは、忘れないのだろう。 たとえ、生まれ変わっても。 (444) 2021/05/04(Tue) 0:19:32 |
| >>386 メレフ 「……半分外れ、半分正解。 この街に残るか、脱出するかの話だ。 だが、今の答えで理解した」 指先で薄翠の髪を弄ぶ。 「いや、何。 同じくらい永きを生きたおまえに、聞きたかったのだ。 "orion"を出ることは、自らが消えるのと同義よ」 特に、キファは秋葉義一と完全に意識を切り離していた。 それでいいと思っている。覚悟だってしているつもりだった。 明るい別れがモットーだ。 だから。大好きなサダルにも、 ヌンキにも、ルヘナにも、話していない。 これは、境遇の近いあなたにだけ、話すこと。 「寂しいだろ? この世界が好きだっただろう? おまえにとって、この世界は簡単に諦めきれないほど 大切なものだっただろう?」 でも、どうやら。 存外、自分は未練たらしかったらしい。 だってまだ、ハマルと海にだって行ってない。 (448) 2021/05/04(Tue) 0:55:28 |
| >>450 メレフ 「ノリの悪いやつめ」 キファはむくれた。 「死ぬことは、……もう、怖くない。 唯、そうだな。 慣れ親しんだこの世界との別れが、寂しいのだ」 キファは仰々しくため息を吐く。 「わからぬなあ。 それじゃあ、おまえの自我がどこにあるのか 分かりゃしない。 だが、そうか。 おまえにとっては、”この世界”も、”寂しい”も、 きっと範疇に無いのだろうな」 同じところを見ているようで、 きっと遠いどこかを見つめている。 互いに。 「全く、本当に。 近くて、分かりあえないやつ」 (453) 2021/05/04(Tue) 2:00:27 |
| >>454 メレフ それはキファにとって、思ってもみない提案だった。 ……メレフという人間の、コア。 「行く」 そう答えたのは。 キファが、”そのもの”だったからだろうか。 『秋葉義一の死んだ妹』をモデルにしたアバター。 それが、キファだ。 見てみたかった。 人生のほとんど全てを妹に捧げた兄の、生きた証が。 残された時間は少ないわけではないが、 多いわけでもない。 ハマルと旅に出る予定があるのだ。 向かうとなれば、キファはすぐにでも出発できるだろう。 (477) 2021/05/04(Tue) 14:10:51 |
| >>479 メレフ 「……いや、何。あの『等価交換』の祭壇を 拝めるというのだ。神秘主義者としては見逃せなかろ?」 冗談めかして、橋の下を潜り抜ける。 互いに深い理由があるのは、知っている。 だが、道中を神妙な空気にさせる理由もあるまい。 そんな風に適当に語り合いながら、 祭壇へと向かう。 「おお」 相変わらずの彼の隠蔽魔法の精度の高さに、 キファは感嘆した。 「入っても?」 (481) 2021/05/04(Tue) 14:43:38 |
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