【人】 軍医 ルーク『ああ、探した探した! そこの兎君、えーと、ゼット!』 [ 皆がせわしなく動きまわる前線基地を、 ぱたぱたと走る人影がある。 一斉攻撃の情報が齎されて後、基地内の空気は一変した。 当初は絶望に近いものでもあっただろう。 一度の降下で一体の機獣を倒すにあたり、 犠牲を出さずに済むこともあったけれど、 これまでどれ程の死傷者、損害を重ねてきたことか。 けれど、此処は最前線にして最後の砦であるという認識は、 否応なしに、基地にいる者皆が感じていることでもある。 廊下で第一攻撃部隊隊長に声をかけてきたのは、 技術班長、ジルベール。 賑やかに両手をぶんぶん振って、駆け寄って来る。] (181) 2020/05/25(Mon) 21:48:46 |
【人】 ミアあの時 怒ってたの。 [ 肯定されたい訳でも、否定されたい訳でも無くって。 貧民街の落書きにちょっと近い気がした。 スラングなんかじゃあなくたって、 ……何だろうか。気分のようなものだろうか。 難しいことは、わからない。 薔薇の香が また、夢に招く。 遠くからの声は、何時も以上に次々届く。 ] (182) 2020/05/25(Mon) 21:49:12 |
【人】 ミア─── そんなものだよ。 あとさ、あんまり、…… [ 読み違える なんて、 そもそも先の読めないだけの奴はそう言う他無い。 もっともらしい返事をした、と思えど、 まったく 回ってるようで、回ってないような舌だった。 インクの跡をなぞったゆびさきは、 もう、本を閉じてしまったし、 真白の寝床を借りる勢いで もうひとつ、 枕を抱いている。ねむたい。 ] (183) 2020/05/25(Mon) 21:50:32 |
【人】 ミア…… あんまり、そんなに、 大事に扱わなくたっていいのに。 [ たったひとつ そのあたりの女と、違うことはあるとはいえ。 ─── 卑下、では、無かった。 割り切り、でもなく。 見えなかっただろう偶々の巡り合わせを、 そこまで抱えるのも よく分かっていないから。 ……抱えられるのも、よく分かっていないけれど、 さあ 拾われた義理とでも言うのか。 ] (184) 2020/05/25(Mon) 21:51:32 |
【人】 ミア……、 ねむいんだけど、私の夢には、出ないで。 出たら 一生 ゆるさない。 [ ぽん、と シーツをかるぅく叩いた。 うらがわを、語ることも無いままに それきり。 ] (185) 2020/05/25(Mon) 21:53:04 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也 [ 非日常が日常を上書きする瞬間を 当たり前がそうじゃなくなる瞬間を だれがそんなん 望んだいうねん ―――そんなもん (187) 2020/05/25(Mon) 21:58:08 |
【人】 軍医 ルーク 『君に渡したいものがある、 暇かい? あはは、愚問だったね、 いまこの基地は、年中行事を袋詰めして振り回して ごちゃまぜにしたような有様だ、 窓を開けたら年始の祭りの飾りが仮装して 菓子を強請り始めたっておかしくない。 けれど、いくら暇じゃなくたって、 これは来てもらわなきゃいけない』 [ そう言った彼女は、彼をぐいぐいと 武器倉庫に引っ張ってゆくだろう。 天井が高い堅牢な倉庫には、 整備された通常の装備に加え、 新たに運び込まれているものがある。] 『実戦への投入はまだ先の予定だったのだけれどね、 “いま使わずにいつ使う!”っていうやつさ。 技術班総出で、徹夜突貫で整備した。 機獣から回収された装備を元に開発したものだ。 各部隊長に支給して回っているところだったんだが、 実際、今この基地の最大戦力は君と言っていい。 最大の戦力に出来るだけ火力を集中するのは、 理にかなったことだよ、うん』 [ 一画にある金属製の筒を、ずるずると引きずって来る。 彼女の腕力でぎりぎり動かせるくらいの重みのようだ。] (189) 2020/05/25(Mon) 21:58:54 |
【人】 軍医 ルーク 『それに、こういうのを軽々持ち運べるのは、 馬鹿力の連中のなかでも そう多くはないだろうからね。 携帯式対機銃弾発射器といったところか、 反動はかなりのものだが、君のそれと違って、 物理的な反動だけだ。 つまり一言で言うと、筋肉でなんとかなる!』 [ 義手の解析に携わったこともある彼女は、 彼の義手の性質もある程度は心得ているようだった。>>2:65] 『それからこっちは、対機獣の手榴弾。 爆発の威力は前方にだけ収束するわけじゃなくて、 周囲にも爆風が来るから、 離れたところから投げるんだ。 機体に吸着して爆発する。 立ち回りによっては中々の効力を発揮するだろう。 それから――』 [ 部隊長のみならず、 部隊全体への一通りの追加装備について説明をした後、 彼女は顔を上げる。] (190) 2020/05/25(Mon) 21:59:38 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也[ 隣にすんでるからって いつでも一緒なわけでもなく 雨音が買い物へ行ってることなんて 把握してるわけでもない。 近くのコンビニにいくには 公園を通り抜けないといけないし そのためには横断歩道を渡らないといけない。 それはきっと誰にとっても普通の日常で 横断歩道を渡り切った俺にとっても 渡るために向こう側にいた女の子にとっても なんでもない 一日の行動だったはず ] (191) 2020/05/25(Mon) 21:59:46 |
【人】 軍医 ルーク『ルースに頼まれた。 通信機を運んできてくれたときにね。 君のその義手の代わりになる、 身を守れる武器が何かないかと。 わたしもその考え方には賛同する。 最大戦力が行動不能になるような武器は、 実に非効率的だから』 [ 自分たちの発明品を嬉々として解説する彼女の様子は、 状況分かってるのかこのひと、と、 装備の確認に訪れた他の部隊の兵士たちの 胡乱な視線を受けていたけれど。 気にせず、にやりと笑う。] (192) 2020/05/25(Mon) 22:00:11 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也[ ―――轟音。 ] 『 なんや?! 』 [ 振りかえったそこには 電柱に突っ込んでる軽トラと ] 『 事故……?! うそやろ 』 [ 少し離れた場所に倒れた おなじ年頃らしき女の子と 俺の足元までふきとばされたらしき 鞄には 見覚えのある マンボウがくっついてた ] (193) 2020/05/25(Mon) 22:00:58 |
【人】 軍医 ルーク『我々は技術者で、非戦闘員で、後衛だ。 でも、我々なりの戦闘というものがある。 この世界の技術は、どこかで唐突に始まっている。 遺失技術だって、どこからともなくもたらされたものだ。 そのことについて話し出すと 三日三晩かかるから割愛するとして―― けれど、そこから積み上げた我々の技術と 生きるための知識は、我々のもの。 成果の多寡じゃない、 わたしたちは、 先人の成果の上に自分たちの石を詰むのさ。 その石の一つに、この基地が調査拠点であった頃、 命を落とした学者たちの成果もある。 君は、何があったか覚えてないそうだけれど―― 機獣を退けたのは君なのだろう? そう聞いている。>>1:213 だとしたら、そのおかげで、 彼らの研究はごく一部なりとも此処に残っていたんだ。 彼らに代わり、一度礼を言いたかった』 [ そうまくし立て、部隊長の兎の肩をばしんと叩き、 また次の部隊へと、装備品の支給に走り出した。]* (194) 2020/05/25(Mon) 22:01:13 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也『 ……え 』 [ ちっとも動かない女の子。 頭から血が流れて、目を閉じてるその子は 見覚えのある服装と よく似た髪の長さ そんなわけないやん。 あいつなはず あるわけが ] (195) 2020/05/25(Mon) 22:01:53 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也『 ……え 』 「 女の子が轢かれた! 」 [ 自分以外に目撃者はいたらしく 近寄る大人たち 叫ぶ人 その中に紛れて 音がなくなったように 俺と女の子の間に風が流れて ひろいあげた鞄の中には 偶然なのか、それとも。 星柄マスクが まだ入ってた ] (196) 2020/05/25(Mon) 22:03:34 |
【人】 楊 宇静[送った文を見て、穂村が何か言いたげにこちらへ視線を寄越す。 不誠実なことをしたつもりはないが、何かしてしまったのだろうか。と、不安になって。 じっ。と断罪の時を待つような気持ちでもって待ったけれど、彼の意識は再び、手元に向かったらしい。] ……? [何だろう。と、胸がざわつくが、再びこちらのスマホが震えるまでは、そんなに時間の掛からなかったようで。 見下ろせばその中身が。] ……うーん、うーん? [難し過ぎて、唸ってしまった。] (197) 2020/05/25(Mon) 22:03:51 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也『 雨音!!! 』 [ 処置をする大人の側で うるさいとか友達やったら見るないう 静止の声が聞こえんくて 救急車きて、離されるまで なんもできん無力なこどものまんま 俺と雨音の距離は またあいてく ] (198) 2020/05/25(Mon) 22:04:14 |
【人】 楊 宇静[助けを求めようと視線を上げれば、えもいわれぬ雰囲気の穂村がそこにあって。 話し掛けるのを躊躇えば、また続き。] だったらわたしが謝ることよ やっぱりホムラが謝るのは違うでしょ? [見て、言おうとしていたら、先に付け加えられてしまったけれど。それでもやはり。と、自分を曲げずに固辞した。] ……え? [ら、追加でまた、文が画面に増えて。 困惑しながら穂村を見れば、悪戯っ子の笑みを浮かべていた。] (199) 2020/05/25(Mon) 22:04:32 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也[ 予断を許さない状況が続く。 家族でもなんでもないから、 雨音には会えないまま。 期間にしたらどれくらいだったか わからないけれど ずっとずっと永い時にも思えた ] (200) 2020/05/25(Mon) 22:04:41 |
【人】 楊 宇静うーん、じゃあカプチーノで [暫くうんうんと唸りながらあれやこれやと考えたのだけれど。 そう長くない時間のあと、漸く折れたのだった。] (201) 2020/05/25(Mon) 22:05:04 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也 [ やっと面会を許されて 痛々しい管に繋がれて 変わり果てた雨音を見てるのに 思い出すのは すきだよ なんて、都合よく切り取った音。 頭の中で奏でたって ほんまの 雨音の声じゃあない ] (202) 2020/05/25(Mon) 22:24:02 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也なんで俺やなかったんやろ 『 雨音ー いつまで寝てるんや 』 あんとき 居てるのが反対やったら 『 はよ起きんと島雑草まみれでゴキブリでるで? 』 [ ちゃうやん。 伝うものは 嘘をつけない ] (203) 2020/05/25(Mon) 22:24:50 |
【人】 軍医 ルーク ―― 前線基地・外壁 ――[ 基地の周りをぐるりと取り囲み、 高く高く張り巡らされた壁面の上に、 一つの人影がある。 針金のようなその人影は、 爆風の一つも食らおうものなら吹き飛ばされそうに ひょろりと頼りなく、細い。 ――けれど、何が起きたとしても目はそらさない、 退くことはしないと、二つの脚でそこに立っている。 爆風に吹き飛ばされないようにと、 ぺんぎんをしっかり両腕で抱えて。 サイレンが叫んでいる。 この基地が始まって以来発せられることがなかった、 最大の警戒レベルを告げて。 高く遠く、『太陽』に照らされた天の岩肌に、 穿たれた大穴がある。 世界の蓋に闇が口を開け、 数多の死が吐き出されようとしている。 けれど、届かない場所へと手を伸べることは、 もうしなかった。 ――彼は、あの大穴の向こうの世界から来た。 この地に降りてきたとき、 彼は何を思い、何を見たのか。 これまでに読んだ、日記の記述は、 一語一句たりとも忘れられるものではない。] (204) 2020/05/25(Mon) 22:24:53 |
【人】 軍医 ルーク[ 赤茶けて荒れ果てた荒野に、 前線基地の兵士たちが隊列を組んで散開してゆく。 西側の外壁の砲台が、一斉に『天』を、 そして荒野を差して動き始める。 降下が予測された刻限まで、もう間がない。 此方からは向こうがよく見えるけれど、 向こうからは、此方のことは見えないだろうか。>>0:14 前回の襲撃と同じように。 そうだったとしても、そうでなかったとしても――… 自分がここにいることは、 きっと、知っていてくれるだろうと思う。 他の医師や技術者たちとともに、 建物の最深部に籠ることを選ばなかった。 戦場は彼らの領分と心得ていたとしても、 近くにいては足手纏いになってしまうことが分かっていても。 それでも近くにいて、 もし何かが起きたなら―― ここにずっとこうしている、心算だってない。] (205) 2020/05/25(Mon) 22:26:00 |
【人】 軍医 ルーク[ それから、いくらかの時が過ぎる。 耳鳴りがするような静寂に、大気が張りつめる。 そして、 ――風が、吹いた。]* (206) 2020/05/25(Mon) 22:26:38 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a13) 2020/05/25(Mon) 22:28:32 |
【人】 ☆中学生☆ 相星 雪也[ あの日わたせなかったキーホルダー。 パンジーと、ペンギン。 そっと握らせた。 握らせるしか、出来なかった。 中学生は、こどもは なんの奇跡も起こせない 無力な存在でしかなく 何もできないまま 病室を後にすることしか 許され無かった *] (207) 2020/05/25(Mon) 22:29:37 |
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