【人】 桧垣 やよい[ 無口で真面目だったお父さん やさしかったお母さん。 当時のことはぼんやりとしか思い出せない。 事故よりも前のことは、もっともっと思い出せない。 だから、お父さんとお母さんのことも、 はっきりと憶えているわけではないの。 お父さんやお母さんが残した日記を読んで こんな人だったのかな、って思うだけ。 とある夏の日。 ザァァ、という雨の音と、 だんだん暗くなる外の景色 お気に入りのぬいぐるみを抱きしめて、 女の子がひとり、両親の帰りを、待っていた。 ずっと、ずっと、ずっと。 ずっと、ずっと、ずっと 待っていたんだ。 ………そんな、気がするんだ。 ] (3) 2023/02/10(Fri) 14:41:40 |
【人】 桧垣 やよい[ うさぎに猫、犬のぬいぐるみ。 ベッドに並べられたいくつかのぬいぐるみが 私の目覚めと眠りを見守っている。 古びたぬいぐるみたち。 どこに行くにも、一緒だった。 もうすぐ10年。 今年も、あの夏が来る。 手近にあった ── というよりも、 気づけばいつも、このぬいぐるみを抱きしめている 小さく笑ってその子を撫でて もうすぐ夏だねえ、と独り言を言う。 ] (5) 2023/02/10(Fri) 14:42:48 |
【人】 桧垣 やよい[ 学校から帰って来て、制服のままで。 暖かい日差しでついうっかり眠くなりそうだ だめだめ、このままだと、宿題が… 早くやった方がいいってこと、 分かってるのに、眠気には逆らえなくて。 忘れないように、スマホに『宿題』とだけ打ち込んで そのままうとうと、目を閉じる。 ] (6) 2023/02/10(Fri) 14:43:49 |
桧垣 やよいは、メモを貼った。 (a1) 2023/02/10(Fri) 14:51:59 |
【人】 愛智 哲弥良く知りもしないのに、 好きになんてなるか普通? ないない、俺は絶対ないね [ 惚れっぽい友人の話を、 そうして笑い飛ばしていたというのにな。] (9) 2023/02/10(Fri) 19:05:14 |
【人】 愛智 哲弥[ 高校2年の終わり、両親が離婚した。 少しずつ冷えていく両親の関係に気づいてはいたし、 離婚すると聞いた時は、 あぁやっとか。 と、子どもらしくない感想を抱いたくらいには、 そのことに対して何も思っていなかった。 中学2年の妹は、母のもとへ。 そして、俺は父のもとへと。 別れて引き取られた妹は、 離れたくないと泣いていたのを、 会えなくなるわけでもないのに どうしてそんなに悲しいのか。と、 不思議に思いながらも、笑って慰めた。 それから、タイミングがいいのか、悪いのか。 父の転勤も決まり、高校3年の春という時期に 俺は、転校をすることになった。] (10) 2023/02/10(Fri) 19:05:17 |
【人】 愛智 哲弥[ 昔から、俯瞰して物事を見てしまう。 当事者だとしても、感情が強く揺れることがなくて よく笑って泣く妹と違って、 俺は不気味だったのだろう。 小さな頃、眉を寄せながら 顔を覗く親の顔をよく見ていた。 中学に上がる前には、そのことを理解して、 年相応に笑ったり泣いたり、怒ったり、 取り繕うことを学んだ。 だけど、そう。 結局は、見様見真似だったから、 友人たちとの別れも、 それなりに仲は良かった筈だけど。 そこまで悲しいと思わなかったのも、 別れを惜しんで貰えなかったのも、 きっとそんな俺の薄っぺらな感情を見抜かれて、 そこまで深い関係を築けなかったからだろう。] (11) 2023/02/10(Fri) 19:05:19 |
【人】 愛智 哲弥[ 彼女に出逢うまでは。 まだ、出逢ったばかりだというのに、 君のことを、名前すら知らなかったのに、 俺は、君に 恋 をしてしまった―― ] (13) 2023/02/10(Fri) 19:05:23 |
【人】 愛智 哲弥[ 君を想うと、胸を打つ鼓動が早くなる。 君のことを、自然を視線で追ってしまう。 君の傍を通ると、周囲の温度が 数度上がった錯覚をする。 化学的にありえないのに、 論理的に証明もできない。 そんな初めての感覚に、最初は戸惑うばかり。] (14) 2023/02/10(Fri) 19:05:25 |
【人】 愛智 哲弥[ 君に出逢ってから、俺は初めての経験ばかりだった。 視線が合えば、思わず逸らしてしまって、 それでも、また視線を向けて、 照れを含んだ笑みを浮かべたり、 君のことを知りたくて、 自分から声をかけることもあったり。 読んでいる本があれば、面白いか聞いて、 宿題に悩んでいれば、何処で詰まったか聞いて、 少しでも君の記憶に残れる存在になろうとした。] (15) 2023/02/10(Fri) 19:05:27 |
【人】 愛智 哲弥よし、これでよし [ 走らせていたペンを止めて、 終わった宿題に満足そうに笑えば、 明日、君に ―― 桧垣さんに会えるのを待ち遠しく思う。**] (16) 2023/02/10(Fri) 19:05:28 |
愛智 哲弥は、メモを貼った。 (a2) 2023/02/10(Fri) 19:31:45 |
【人】 桧垣 やよい[ ん …… 両手をめいっぱい上へと伸ばす。 窓から入る日差しは傾いていたけれど、 髪の毛に残る熱がさっきまで この場所を照らしていたことを教えてくれる。 何か夢を見ていたような気がするけれど、 内容はよく思い出せいまま瞼をこすった。 制服のまま寝ちゃったんだ。 えっと、今何時だっけ? 時計を確認しようとスマホを持ち上げると、 メモに残された「宿題」の文字に口が半開きになる。 ] (18) 2023/02/11(Sat) 0:39:05 |
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